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00:02:03 ~ 00:03:03 委員長(山本順三君)
本日は、令和四年度一般会計予算、令和四年度特別会計予算及び令和四年度政府関係機関予算につきまして、六名の公述人の方々から順次項目別に御意見をお伺いしたいと存じます。この際、公述人の方々に一言御挨拶を申し上げたいと思います。本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席賜り、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。本日は、令和四年度総予算三案につきまして皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いをいたします。次に、会議の進め方について申し上げます。まず、お一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。 Angry: 0.354 Disgust: 0.263 Fear: 0.363 Happy: 0.772 Sad: 0.444 Surprise: 0.547
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00:03:03 ~ 00:03:36 委員長(山本順三君)
それでは、経済・財政について、公述人慶應義塾大学総合政策学部教授中室牧子さん及び東京財団政策研究所研究主幹森信茂樹君から順次御意見を伺います。まず、中室公述人にお願いいたします。中室公述人、どうぞ。 Angry: 0.449 Disgust: 0.295 Fear: 0.374 Happy: 0.781 Sad: 0.404 Surprise: 0.540
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00:03:36 ~ 00:04:07 公述人(中室牧子君)
本日は、公述をさせていただく機会を賜り、誠にありがとうございます。経済財政運営に関して、中でもとりわけ人への投資の効果をどう高めるかという観点で、私の専門であります教育経済学の研究成果に基づいてお話をさせていただきます。資料の一ページ目、こちらを御覧ください。これは、二〇二〇年に経済学の最も権威ある国際学術誌の一つであるクオータリー・ジャーナル・オブ・エコノミクスに掲載された論文の図表であります。 Angry: 0.494 Disgust: 0.282 Fear: 0.389 Happy: 0.659 Sad: 0.397 Surprise: 0.573
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00:04:07 ~ 00:05:01 公述人(中室牧子君)
これは、過去五十年間にアメリカで行われた百三十三の公共政策の費用対効果を算出したものです。縦軸に費用対効果、横軸に政策の対象となる個人の平均的な年齢を取ったグラフです。費用対効果の高い政策は左側の上部、すなわち政策の受益者の年齢が低いときに行われているものに集中していることが分かります。公共政策は当然、社会保障、職業訓練、現金給付など多岐にわたりますけれども、その中で最も費用対効果が高いのは子供の教育と健康への投資であるということになります。この論文では、子供の教育や健康への投資を行った政府の政策の多くは、子供が大人になった後の税収の増加や社会保障費の削減によって初期の支出を回収できていることも示されています。 Angry: 0.675 Disgust: 0.393 Fear: 0.527 Happy: 0.441 Sad: 0.317 Surprise: 0.483
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00:05:01 ~ 00:06:02 公述人(中室牧子君)
しかし、子供の教育や健康について行われる支出であったとすればどのようなものでも費用対効果が高いというわけではありません。経済学では需要と供給の理論を用いて多くの経済現象を説明します。教育についても例外ではありません。このため、私たちは、教育政策には教育の需要を喚起するような刺激策や再分配政策と教育の質を高めるような供給側への投資というものを分けて考えます。教育需要を喚起するような政策は当然、時として有効なこともあります。例えば、開発途上国で就学率が低い場合に、主に貧困世帯の子供たちの学費を無償化することによって就学率を一気に向上させたというような事例は枚挙にいとまがありません。しかしながら、このような教育需要を喚起する目的で行われた再分配政策は、子供の学力や学歴に与える影響は一時的で、かつ費用対効果に優れないということを示す研究も少なくありません。 Angry: 0.736 Disgust: 0.416 Fear: 0.509 Happy: 0.398 Sad: 0.370 Surprise: 0.441
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00:06:02 ~ 00:07:07 公述人(中室牧子君)
今の日本においても、再分配政策が余りうまく機能していない可能性があります。資料の、こちら三ページの方を御覧ください。こちらは、兵庫県尼崎市から提供を受けた、市内の保育所に支払われる保育料の分布でございます。一番下にあります緑の分布は二〇〇〇年のもの、一番上の黄色が二〇一五年のものです。これを見ると、二〇〇〇年時点では保育料の利用料はゼロ円のところが最も高くなっているということが分かります。保育所は、御承知のとおり、児童福祉施設の一つであり、保育料は応能負担となっていますから、二〇〇〇年の時点では経済的に苦しい御家庭における子供の養育を支援する福祉的な役割を担っていたということが分かります。しかし、二〇一五年になってみると、今度は最も保育料の高い家計が多くなっているということが分かります。これは、この十五年の間に保育所の役割が福祉から共働き世帯のサポートへと変化してきたということを意味します。 Angry: 0.369 Disgust: 0.334 Fear: 0.507 Happy: 0.633 Sad: 0.409 Surprise: 0.609
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00:07:07 ~ 00:08:06 公述人(中室牧子君)
このような状況で一律に幼児教育の無償化が行われると何が起こるのでしょうか。二〇一九年十月に開始された幼児教育無償化の支出の多くは高所得世帯への再分配となったと考えられます。同様のことは他の自治体でも生じており、例えば、東京大学の山口慎太郎教授らによれば、神奈川県横浜市では、世帯年収一千百三十万円以上の世帯が幼児教育無償化によって受けた恩恵は一年間で約五十二万円、一方、三百六十万円の世帯では十五万円程度であったということです。このように世帯の経済状況を把握することなく一律の無償化を行えば、再分配の機能を果たし得ないことが分かります。我が国の財政状況が極めて厳しい中では、高所得世帯ほど手厚い再分配を受けるということは国民の理解を得られないものというふうに考えます。一方、真に必要な人には十分な支援が行われているのかというと、この点にも疑問が残ります。 Angry: 0.516 Disgust: 0.384 Fear: 0.586 Happy: 0.391 Sad: 0.458 Surprise: 0.496
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00:08:06 ~ 00:09:13 公述人(中室牧子君)
資料の、こちら四ページの方を御覧ください。これは、私の研究室でNPO法人カタリバとともにコロナ禍における経済困窮家庭の小中高生を対象にした調査の結果です。これを見ると、経済困窮以外の問題を同時に抱える世帯が実に全体の四〇・二%に上っています。経済困窮に加えて、一九%が発達障害、七%に身体障害があり、一三%が不登校となっています。このように複数の問題が同時に生じると一気に困難な状況に陥ります。例えばですが、一人親で経済的に困窮しているというのに、学齢の小さい子供が不登校になり学校に通わなくなってしまったら、親は昼間、子供を一人に置いたまま就労することは難しいでしょう。しかし、発達障害や身体障害は保健部局、不登校は教育委員会、経済困窮は福祉部局の担当であり、行政の縦割りによって保健、教育、福祉の所管横断的な情報共有が妨げられ、重層的な課題を抱える子供に対する支援が十分に行われているとは言えません。 Angry: 0.524 Disgust: 0.332 Fear: 0.555 Happy: 0.437 Sad: 0.449 Surprise: 0.519
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00:09:13 ~ 00:10:02 公述人(中室牧子君)
この結果、私たちの分析では、この四ページで示されているとおりですけれども、複数の課題を抱えている世帯の子供というのは、経済困窮のみの世帯の子供と比較すると、学力や非認知能力、問題行動などの面において不利になっていることが分かります。そもそも経済困窮世帯の子供たちは、そうでない世帯の子供たちと比較すると様々な面で不利になっているにもかかわらず、それよりももっと不利になっているということが分かるわけです。以上のようなことを踏まえますと、私たちは、高所得世帯ほど恩恵があるような再分配を行ったり、あるいは縦割り行政によって真に支援の必要な子供に対して十分な支援が行われていないというような状況を改めなければなりません。必要な人に必要なだけの支援を迅速に届けるということが必要です。 Angry: 0.631 Disgust: 0.402 Fear: 0.481 Happy: 0.503 Sad: 0.415 Surprise: 0.404
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00:10:02 ~ 00:11:01 公述人(中室牧子君)
五ページの方を、こちら御覧ください。このことを実現するために今アメリカで起こっている新たな動きが参考になります。ノーベル経済学賞の最右翼とみなされているハーバード大学のラージ・チェティらの研究グループ、オポチュニティーインサイツがCOVID―19の影響を計測することを目的に開発したエコノミックトラッカーという仕組みがあります。これは、複数の民間企業から匿名化されたデータの提供を受け、個人消費、雇用、売上げなどに関する日次のデータを用いてリアルタイムに経済状況を把握することができるようになっています。これらを目的に応じて公的統計や行政記録と照合し、分析を行っています。この皆さんに見ていただいております五ページの図表というのは、バイデン政権下で行われた現金給付の効果を明らかにするために行われた分析です。緑のグラフ、こちらはバイデン政権下で行われた一回目の現金給付の効果になっています。 Angry: 0.477 Disgust: 0.336 Fear: 0.494 Happy: 0.622 Sad: 0.330 Surprise: 0.586
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00:11:01 ~ 00:12:03 公述人(中室牧子君)
御承知のとおり、バイデン政権では三回にわたり現金給付が行われており、二〇二〇年三月にまず一回目、千二百ドルの支給を決定し、同年十二月に六百ドルの追加給付が決定しています。チェティ教授らの研究グループは、クレジットカードの支出データを分析をして、この緑のラインで表されている一回目の給付が行われた直後にほとんど全ての所得階層で消費が増加しているということを明らかにしています。しかし、オレンジのバー、二回目の現金給付が届き始めた頃、七・八万ドルを超える高収入の家計はほとんど支出を変化させていません。同時に、雇用のデータを使って、二回目の現金給付が行われる頃には高所得世帯の雇用状況というのはV字回復していて、ほとんどCOVID―19の悪影響から脱出したということも示しています。この分析は、アメリカで行われた三回目の、この後行われた三回目の現金給付で、八万ドル以上の家計は支出対象外として所得制限を設ける根拠となったというふうに言われています。 Angry: 0.472 Disgust: 0.293 Fear: 0.588 Happy: 0.512 Sad: 0.349 Surprise: 0.595
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00:12:03 ~ 00:13:10 公述人(中室牧子君)
このように、例えばCOVID―19のようなショックが、いつ、誰に、どのような影響をもたらしたのかということを詳細に分析し、次の打ち手に生かすデータ掛ける政策の動きが加速をしています。データが蓄積されれば、単なる所得によって支援を受けるかどうかの線引きをするだけではなく、雇用状況や家族構成にも配慮した必要な支援を届けることができるようになるでしょう。子供や保護者のプライバシーに配慮して個人情報保護法を遵守しつつも、様々なデータの連携をすることで、子供に対する支援にもメリットがあります。第一に、データによって複数の困難を抱える子供を特定して、必要な支援をプッシュ型で迅速に行うことができるようになるということです。申請手続が面倒くさいと、貧困世帯の成績優秀な高校生が大学に進学するための出願書類を出すことを諦めてしまうという有名な研究がありますから、このようなことが起きないよう、行政が国民側からの申請を待つのではなく、能動的に支援を届けるプッシュ型の支援というのは非常に重要です。 Angry: 0.547 Disgust: 0.290 Fear: 0.519 Happy: 0.540 Sad: 0.369 Surprise: 0.466
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00:13:10 ~ 00:14:21 公述人(中室牧子君)
また、予防的な介入を行うことも重要です。例えば、母親のストレスホルモンであるコルチゾールの上昇にさらされた胎児は、生まれた後の健康や学歴に悪影響があるということを示した研究があります。学歴の低い母親ほど妊娠中のコルチゾールのレベルが高く、貧困の世代間連鎖に影響している可能性があります。子供が生まれてからではなく、生まれる前から、貧困状態にある母親への支援を行うことの重要性が示唆されます。多くの研究が、予防的な介入は、問題が生じた後の政策介入よりも効果が大きく、コストが小さいことを示しています。加えて、虐待、自殺など、放置すれば生命の危険に及ぶ異変を速やかに察知し、介入を行うことも重要でしょう。我が国でこうした動きを加速するため、私自身も非常勤でデジタルエデュケーション統括として関わるデジタル庁では、子供に関する各種データの連携による支援実証事業において、個人情報保護条例を遵守した上で、自治体とともに保健、教育、福祉などの所管を超えたデータ連携の実証事業を開始します。 Angry: 0.518 Disgust: 0.383 Fear: 0.560 Happy: 0.490 Sad: 0.365 Surprise: 0.505
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00:14:21 ~ 00:15:11 公述人(中室牧子君)
令和五年度以降は、創設が予定されるこども家庭庁の司令塔機能の下で、ニーズに応じたプッシュ型の支援につなげていきます。人への投資をより効果的にするため、データを活用した効果的な政策を実施していただきたいというふうに思います。最後に、一つ強調したいことがあります。六ページの方を御覧ください。こちらは、先ほど、教育需要を喚起するために再分配政策は費用対効果に優れないということを申し上げましたが、一方で、教育の質を高める供給サイドへの投資は費用対効果に優れていることを示す研究は多くあります。これについて、我が国では、教育の質の担保を目的として、例えば保育所設置認可に代表されるような事前の規制というものが非常に重視されてきました。 Angry: 0.504 Disgust: 0.375 Fear: 0.451 Happy: 0.594 Sad: 0.443 Surprise: 0.493
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00:15:11 ~ 00:16:04 公述人(中室牧子君)
設置認可においては、施設の面積や保育士の数などが細かく規定され、それを満たしていないと設置が認可されません。しかし、一旦認可を受けると、その後の事後的な評価というのはほとんど行われません。その結果、育ち盛りの園児にスプーン一杯しか御飯を与えなかったという認定こども園に批判が集まったことは記憶に新しいところです。どう考えても、入口の規制よりも出口における質保証に力を注ぐべきです。これは、幼児教育のみならず、我が国の全ての教育段階で同じことが言えると思いますが、ここでは具体的に幼児教育のデータを用いて説明します。当然、自治体において保育の質を高める取組は様々に行われていますが、その一つである第三者評価の結果を見てみると、ほぼ横並びという結果になっているものが少なくありません。 Angry: 0.575 Disgust: 0.391 Fear: 0.527 Happy: 0.463 Sad: 0.399 Surprise: 0.491
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00:16:04 ~ 00:17:02 公述人(中室牧子君)
この六ページの一番上の図表を御覧ください。これは、関東のある自治体の全認可保育所の第三者評価の結果ですが、ほとんど保育所間の差は見られないという結果になっています。本当に保育の質に差はないのでしょうか。下の左側の図を御覧ください。これは、私たちの研究グループが、全く同じ自治体で全く同じ年に発達心理学分野で開発された保育環境評価スケールという指標を用いて、トレーニングを受けた調査員が保育所の観察調査の中で約四百五十程度の項目を評価した指標です。これを見ると、保育所によってかなり大きなばらつきがあるということが分かります。そして、下の右の方の図を御覧ください。これは、関東の別の自治体で三年にわたって認可保育所の保育の質の評価を行ったものです。そうすると、保育所間はもちろんのこと、年によってもばらつきがあるということが分かります。 Angry: 0.378 Disgust: 0.351 Fear: 0.540 Happy: 0.576 Sad: 0.428 Surprise: 0.616
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00:17:02 ~ 00:18:10 公述人(中室牧子君)
同じ自治体から認可を受けた保育所で同じ保育料が設定されているにもかかわらず、保育所によって質に差があるばかりか、入園した年によっても差があるという状況になってしまっているのです。アメリカやイギリス、ニュージーランドでは、私たちがここで用いたような学術的に妥当な指標に基づいて幼児教育の質をモニタリングする政府機関があり、全国規模で幼児教育の質を向上させる取組を行っています。我が国においても同様の取組を行うことが急がれます。経済学では、二〇〇〇年にノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマンらの研究業績を中心に、質の高い幼児教育が子供たちの将来の成果にプラスの影響を及ぼすことを明らかにした研究もあります。一方で、カナダのケベック州で実施された保育料の大幅な値下げの後、子供たちの発達や学力、行動に悪影響があったということを示す研究もあります。教育、特に幼児教育は、その質が高かった場合、プラスの効果が長期にわたって持続すると言えますが、逆に質が低かった場合、そのマイナスの効果も長期にわたって持続をします。 Angry: 0.436 Disgust: 0.306 Fear: 0.481 Happy: 0.639 Sad: 0.392 Surprise: 0.563
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00:18:10 ~ 00:18:29 公述人(中室牧子君)
この意味においては、私たちが人への投資の効果を高めるために何よりも注力すべきは教育の質の向上だというふうに思います。七ページ目は、本日のまとめになります。御清聴どうもありがとうございました。 Angry: 0.419 Disgust: 0.309 Fear: 0.364 Happy: 0.752 Sad: 0.432 Surprise: 0.494
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Angry: 0.412 Disgust: 0.311 Fear: 0.332 Happy: 0.752 Sad: 0.557 Surprise: 0.483
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00:18:43 ~ 00:19:02 公述人(森信茂樹君)
皆さん、おはようございます。東京財団政策研究所の森信でございます。私からは、我が国の経済財政の課題として、経済の現状認識、必要な政策、財政に関する見方の三点をお話しさせていただきたいと思います。 Angry: 0.365 Disgust: 0.236 Fear: 0.355 Happy: 0.810 Sad: 0.472 Surprise: 0.534
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00:19:02 ~ 00:20:07 公述人(森信茂樹君)
最初に、我が国経済の現状認識です。図の三ページをお開きいただきたいんですが、この三ページの図は、総務省の家計調査、二人以上世帯で、我が国の所得と資産の分布の変化をアベノミクス期以前とアベノミクス期に分けて比較したものです。これを見ますと、黒塗りのアベノミクス期には、四百万円から七百万円の収入階級の分布が、これ減少しております。一方、七百万円超と三百万円以下の収入階級が増加しており、中間層が二極化したことが明確に見て取れます。それから、次の四ページの図ですが、これは貯蓄残高、資産の変化で、これを見ましても、中間層の割合が減少し、右と左に二極化していることが見て取れます。 Angry: 0.330 Disgust: 0.272 Fear: 0.540 Happy: 0.674 Sad: 0.400 Surprise: 0.640
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00:20:07 ~ 00:21:00 公述人(森信茂樹君)
さらに、オレンジ色の部分ですが、これはコロナ禍の時期です。これは、二極化の動きが加速しているというふうに考えております。以上のことは、これは私の認識ですが、アベノミクスの描いたトリクルダウンというストーリー、つまり、政府が円安や金融緩和により大企業の業績を改善させれば、その成果が市場メカニズムに沿って中小企業や国民全体に及んでいくということが生じなかったことを示していると言えましょう。民間や市場メカニズムに任せただけでは国民全体の格差は是正できないということでもあります。一方で、安倍政権は八年に及ぶ長期政権となり、若い世代を中心として国民の支持率もそれなりに高いものがありました。 Angry: 0.533 Disgust: 0.320 Fear: 0.479 Happy: 0.507 Sad: 0.369 Surprise: 0.538
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00:21:00 ~ 00:22:04 公述人(森信茂樹君)
アベノミクスによるトリクルダウンが機能せず、中間層の二極化が生じたにもかかわらず長期政権となったことには、それなりの理由があったと考えております。それは、アベノミクスの持つもう一つの側面で、私が意図せざるリベラル策と呼んでいるものでございます。安倍政権は、二度延期しながらも消費税率を八%、一〇%と引き上げ、十数兆円の財源を活用して、子ども・子育て支援や幼児教育の無償化、待機児童解消などを進め、高齢者に偏っていた社会保障を全世代型に切り替えました。大和総研の研究成果で、三十代四人世帯の実質可処分所得が、二〇一九年から施行された幼児教育無償化の恩恵が二度の増税による可処分所得の減少を上回り、増加したという分析があります。 Angry: 0.568 Disgust: 0.378 Fear: 0.542 Happy: 0.475 Sad: 0.341 Surprise: 0.500
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00:22:04 ~ 00:23:12 公述人(森信茂樹君)
このような社会保障の政策転換が子育て世帯を中心として安倍政権への評価につながったというふうに考えておりまして、それが長期政権を続けることができた原因であったというふうにも捉えております。以上から言えることですが、トリクルダウン、つまり、企業行動や市場メカニズムに任せただけの分配の効果は低いということ、一方で、国家が自らの権能である税制や社会保障を見直す再分配を行っていくことが重要だということです。我が国経済がいまだデフレ脱却できずにもがいている最大の原因は、個人消費の低迷にあります。国民の間には医療、年金、介護、子ども・子育てなどに対する将来不安が根強く残っており、これが消費者の財布のひもを締めさせ、勤労世代が安心して子供を産まず、少子化につながっています。 Angry: 0.533 Disgust: 0.308 Fear: 0.557 Happy: 0.426 Sad: 0.425 Surprise: 0.495
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00:23:12 ~ 00:24:00 公述人(森信茂樹君)
この国民の不安を解消するには、信頼のできる社会保障の将来像を示すことだと考えています。賃上げを促進しても、不安がある限り分配と成長の好循環はできないと考えます。先ほどのアベノミクスの事例は、国民は、増税や社会保障負担の増加により国民負担が高まったとしても、それが自分たちに還元され、将来不安やリスクを軽減すると実感すれば負担増を受け入れる素地を持っているということを示しているのではないでしょうか。次は、国民の安心を高める具体的なセーフティーネットについてお話をしたいと思います。 Angry: 0.527 Disgust: 0.340 Fear: 0.557 Happy: 0.416 Sad: 0.502 Surprise: 0.393
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00:24:00 ~ 00:25:03 公述人(森信茂樹君)
コロナ禍を機に政府部内でデジタルガバメントに向けた対応が進められています。しかし、デジタルガバメントというのは、行政サービスを効率的、効果的に進めるための手段にすぎません。二〇一六年一月から始まったマイナンバー、この制度の目的は、公平な課税、つまり正確な所得把握とそれを基にした効果的、効率的な社会保障制度の構築、この二つです。この原点に立ち返って、マイナンバー制度を活用したデジタル時代のセーフティーネット、つまりデジタルセーフティーネットを構築することが国民の不安の解消につながると考えております。働き方改革やコロナ改革で、ネット上のプラットフォームを介して単発の契約で労務やスキルを提供して所得を得るギグワーカーが増加し、ギグエコノミーが広がっています。 Angry: 0.561 Disgust: 0.328 Fear: 0.503 Happy: 0.550 Sad: 0.305 Surprise: 0.541
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00:25:03 ~ 00:26:05 公述人(森信茂樹君)
これは、新たなライフスタイルとして期待される一方で、ギグワーカーなどフリーランスの所得は一般的に不安定です。また、オンライン飲食配達代行サービスの配達人などは、プラットフォーム企業から業務内容について指示を受けるなど労働者と同じ働きをしているにもかかわらず、個人事業者となるので、様々なセーフティーネットから抜け落ちてしまいます。さらに、彼らの収入の管理、記帳は十分でなく、例えば持続化給付金の申請に手間取るなどの問題が生じています。彼らのセーフティーネットを考えるには、まず収入を正確に把握することが大前提になります。そのためには、業務の発注主や契約を仲介するプラットフォーム企業から労務を提供する者のマイナポータルに収入情報の提供をさせることが必要です。 Angry: 0.520 Disgust: 0.404 Fear: 0.518 Happy: 0.577 Sad: 0.368 Surprise: 0.525
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00:26:05 ~ 00:27:21 公述人(森信茂樹君)
マイナポータルは、e―Taxや社会保障と連携しているので、個人事業者が各種給付金の申請や正確な給付に役立てることが可能になります。このことを示したのが十一ページの図でございます。ちょっと十一ページは見にくい図かもしれませんが、真ん中にこの国民全員が保有するマイナポータルが書いてあります。ぴったりサービスとかお知らせとか書いてあります。これは国民の一人一人に設置されているものです。左側に民間のいろんな企業があります。本人の同意に基づき、様々な情報をこの民間の企業から今情報を入手することが可能になっています。この仕組みに、一番左の下に書いてあるんですが、プラットフォーマー、プラットフォーム企業から、そこで働くギグワーカーの収入情報を提供、連動させるようにすれば、このギグワーカーたちの、あるいはフリーランスの税務申告や社会保障の早期受取につながっていくと思います。 Angry: 0.559 Disgust: 0.331 Fear: 0.493 Happy: 0.510 Sad: 0.405 Surprise: 0.536
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00:27:21 ~ 00:28:07 公述人(森信茂樹君)
さらには、このようなシステムを構築すれば、広く欧米で導入されている給付付き税額控除制度も可能になります。この制度は、税と社会保障を連動させることにより、低所得の勤労者に減税や給付が与えられるもので、労働インセンティブを供与したり、フリーランスの不安定な収入の安定化につながります。英国では、あらゆる社会保障給付と税負担が一体的に捉えられ、勤労に応じて給付が増加するユニバーサルクレジット制度があり、職業訓練、人的資本の向上策と組み合わされて、人的資本の向上に役に立っております。 Angry: 0.509 Disgust: 0.299 Fear: 0.551 Happy: 0.516 Sad: 0.407 Surprise: 0.473
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00:28:07 ~ 00:29:03 公述人(森信茂樹君)
類似の制度はオランダ、スウェーデンなどの北欧、欧州諸国や韓国にも存在し、低所得者のセーフティーネットになり、またコロナ給付金の早期給付にもつながっております。是非、我が国でも、デジタルを活用して収入や所得をリアルタイムで把握しつつ、必要な給付に結び付ける制度を検討していただきたいと思っております。国民の将来不安を軽減する大変有効な経済政策というふうに言えましょう。三番目に、MMTについて申し上げたいと思います。最後に、このMMT、つまり現代貨幣論について私の考え方を述べたいと思います。MMTは三つのパートに分かれます。 Angry: 0.334 Disgust: 0.239 Fear: 0.448 Happy: 0.682 Sad: 0.505 Surprise: 0.536
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00:29:03 ~ 00:30:07 公述人(森信茂樹君)
第一は、政府と中央銀行の勘定を一体とみなし、財政赤字拡大に伴う国債の増発分は、それに見合う国民の資産増加となるので、公的債務の増加は将来世代の負担にはならないという考え方です。第二に、したがって、自国通貨を発行する権限のある政府は、中央銀行が財政赤字分の国債を買い続けることによって、国民負担なく財政支出が可能になるとし、経済に需給ギャップがある限り、これを埋め合わせる財政出動を行うべきだとしております。第三に、積極財政の歯止めはインフレ懸念で、インフレ率が上昇し始めたら増税や歳出削減によって対応する、そのルールをあらかじめ決めておけばいいとしています。 Angry: 0.767 Disgust: 0.377 Fear: 0.465 Happy: 0.392 Sad: 0.370 Surprise: 0.386
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00:30:07 ~ 00:31:00 公述人(森信茂樹君)
金融政策が機能不全になり、デフレ脱却にもがく我が国の現状に対して、財政赤字を気にすることなく、コロナ対応も含めた経済政策の実行を主張する論者や政治家の方々の主張を正当化する文脈で用いられています。筆者はこのような考え方に対して、インフレ、ワイズスペンディング、国家の信任という三つの観点から疑問を呈しております。第一点目は、インフレの問題で最大の課題です。我が国財政については財政破綻の危機が言われますが、財政破綻というのはどのような形で発生するのか、定説があるわけではありません。また、日銀が財政赤字をファイナンスをしている状況下では、直ちに財政破綻が生じる可能性は高くないと言えましょう。 Angry: 0.600 Disgust: 0.314 Fear: 0.567 Happy: 0.498 Sad: 0.299 Surprise: 0.519
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00:31:00 ~ 00:32:01 公述人(森信茂樹君)
むしろ、懸念すべき問題は、国の目指す二%をはるかに超えるインフレの発生です。インフレは、耐えられる富裕層と耐えられない貧困層との格差を拡大し、社会に大きな亀裂を招きます。MMT論者も、財政拡大策の唯一の歯止めはインフレとして、インフレ率が上昇し始めたら増税や歳出削減により対応する必要がある、あるいはそのための具体策をあらかじめ決めておけばいいとしています。しかし、あらかじめインフレ懸念が出始めれば財政拡大をやめ、緊縮に向かうということを法律で決めることが現実的でしょうか。事前に決める増税は所得税なのか、消費税なのか、あるいは新税なのか、歳出削減は社会保障か、公共事業か、どの程度の規模なのか、これらの事項を我が国の国会であらかじめ議論し、立法化できるでしょうか。 Angry: 0.544 Disgust: 0.386 Fear: 0.518 Happy: 0.459 Sad: 0.402 Surprise: 0.492
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00:32:01 ~ 00:33:03 公述人(森信茂樹君)
安倍元首相は、消費税一〇%の引上げの時期をめぐり、法律で実施時期が決まっているにもかかわらず、二度も延期をしております。また、インフレ懸念が生じたら増税や歳出削減をという主張は、タイムラグを考慮しておりません。筆者が経験した例ですが、我が国が土地バブル対策として導入した地価税が挙げられます。高騰する土地価格が社会問題化し、対策の必要性が議論され始めたのが一九八九年で、地価税の導入は九二年、この間、三年が経過しております。導入された九二年には既にバブルが崩壊し、地価は下がり始めており、地価税の対象となる百貨店やホテルなどの経営を更に苦しめる結果となりました。インフレ懸念が生ずれば増税、歳出削減で機動的に対応すればいいというMMT論者の主張は、実現性が低いと思います。次に、ワイズスペンディングからの問題です。 Angry: 0.510 Disgust: 0.425 Fear: 0.563 Happy: 0.476 Sad: 0.412 Surprise: 0.492
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00:33:03 ~ 00:34:06 公述人(森信茂樹君)
需給ギャップがある限り、それを埋め合わせる財政追加をすべきということになれば、ワイズスペンディング機能は機能せず、果てしない無駄な政府支出や政府投資が行われ、それが更に経済の停滞の長期化につながるという問題です。一つだけ例を申し上げますと、投資されたが有効活用されず、維持費だけがかさむ、国の資産価値が、これは資産価値が毀損しているというふうに見ることができまして、したがって、国民の借金は国民の資産だというふうには言えないというふうに私は思います。最後に、国家、通貨の信認の問題があります。際限なく国債発行を続ければ、国家に対する信用は落ち、通貨への信頼、信認も消え、国債の買手がいなくなります。国内でファイナンスできるから大丈夫というこのMMTの大前提は崩れてしまいます。 Angry: 0.538 Disgust: 0.357 Fear: 0.537 Happy: 0.428 Sad: 0.476 Surprise: 0.424
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00:34:06 ~ 00:35:03 公述人(森信茂樹君)
二〇二五年には、団塊世代が全て後期高齢者になり、国債を国内の貯蓄でファイナンスする力が大きく衰えてくることも念頭に置く必要があります。財政をめぐる新しい見解としてのMMTは、様々な課題や疑問を抱えています。一方、米国では潜在GDPを超える膨大な財政支出やエネルギー価格の上昇などから急速な物価上昇が生じており、欧州でもインフレの兆候が見え始めています。このように見てくると、今必要な経済政策は、インフレにつながるような財政運営を避けつつ、あわせて、国民に受益と負担のリンケージあるいは選択肢を含めた社会保障の将来像を示しつつ、国民の将来不安を軽減させることではないでしょうか。以上でございます。 Angry: 0.553 Disgust: 0.354 Fear: 0.533 Happy: 0.467 Sad: 0.386 Surprise: 0.539
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00:35:03 ~ 00:35:24 委員長(山本順三君)
ありがとうございました。以上で公述人の御意見の陳述は終わりました。それでは、これより公述人に対する質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。 Angry: 0.620 Disgust: 0.474 Fear: 0.407 Happy: 0.575 Sad: 0.462 Surprise: 0.404
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00:35:24 ~ 00:36:49 山下雄平君
自由民主党の山下雄平です。お二人の先生、今日は貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございます。私は、両先生に格差問題についてお話をお伺いできればというふうに思っております。中室先生には教育におけるこの格差の問題、そして森信先生には税、財政の観点から格差の問題について少しお伺いできればと思いますけれども、まず中室先生は、いろんな政策の投資効果というのは、やはり教育であったり健康というものが非常に投資効果が高いと、特に教育においては幼少期での政策の投資効果が高いというようなお話をされましたけれども、ただ、教育で政策であれば何でもいいというわけではなくて、そこはやはりいろんなものを精査していかなければならないということで、欧米での先行研究を踏まえて、では日本ではどういった具体的な施策を取るべきか、保育の質の改善のことについて触れられましたけれども、保育の質の改善であれば、具体的にどういった質の改善ということをやっていくことが日本でも効果が高いだろうというふうに考えられ得るかということを、EBPMの観点から少しお話をお伺いできればと思います。 Angry: 0.408 Disgust: 0.263 Fear: 0.389 Happy: 0.696 Sad: 0.476 Surprise: 0.501
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00:36:49 ~ 00:37:19 公述人(中室牧子君)
貴重な質問をいただきまして、ありがとうございます。先ほど御紹介をいたしました二〇〇〇年にノーベル賞を取ったジェームズ・ヘックマンは、子供が大人になった後の再分配というものをやるよりは子供が小さいときに行う事前分配の方が望ましいというような言い方をしていまして、これは何を意味しているかというと、質の高い教育を提供するということが、その後に大人になってから行う再分配よりも効果が高いということなんですね。 Angry: 0.206 Disgust: 0.213 Fear: 0.397 Happy: 0.860 Sad: 0.374 Surprise: 0.640
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00:37:19 ~ 00:38:07 公述人(中室牧子君)
ですが、この質を測るということはなかなか困難が伴うことでありまして、先ほど幼児教育の例をお見せをいたしましたけれども、今は様々な方法を使ってその教育の質を測るというようなことを研究上行うようになってきています。先ほど御紹介をした海外の政府機関の例は、例えばアメリカであればQRIS、イギリスであればOFSTEDというような機関がありまして、幼児教育の質をモニタリングをしているということがあります。例えば、ニューヨーク州にはスクール・クオリティー・スナップショットというホームページがありまして、そこへ行きますと、全ての幼稚園や保育所、小学校、中学校等の名前を入れるとその質の指標が同時に出てきて、保護者がそれを参考にできるようになっているということがあるんですね。 Angry: 0.295 Disgust: 0.210 Fear: 0.446 Happy: 0.839 Sad: 0.299 Surprise: 0.696
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00:38:07 ~ 00:38:48 公述人(中室牧子君)
今、我々が保育所や幼稚園を選ぼうと思うと、例えば家から近いとか、あるいはその周囲の保護者の方の評判に頼るほかないわけですけれども、そのように質に対する情報が保護者に開示をされているとすれば、そのことを通じてその保護者の方から保育所や幼稚園にプレッシャーが掛かって質が向上していくということもあるでしょうし、それを見て保育所や幼稚園が自らその教育を改善していこうというようなことも起こるのではないかというふうに思っております。ですので、そうした海外の先行事例から、質を高める取組というのは、特に政府が関与する形で様々なことが実施可能ではないかというふうに考えております。 Angry: 0.656 Disgust: 0.371 Fear: 0.456 Happy: 0.523 Sad: 0.365 Surprise: 0.441
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00:38:48 ~ 00:39:05 山下雄平君
ありがとうございます。利用者の方からいろいろ選択ができることによって供給側のまた改革につながって、それがいい保育の質であったり教育の質につながるような、そういう意味でいうと、データを現場でも活用していけるのではないかという御指摘で、大変非常に参考になりました。 Angry: 0.226 Disgust: 0.293 Fear: 0.411 Happy: 0.802 Sad: 0.541 Surprise: 0.506
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00:39:05 ~ 00:40:29 山下雄平君
あと、加えて教育環境の地域間格差という問題についても先生にちょっとお伺いしたいんですけれども、先生が雑誌等で書かれていたりお話しされているものを幾つか拝見させていただいたんですけれども、田舎よりも、私自身も田舎の出身で、先生も関西の御出身だと思いますけれども、田舎よりも都会の方が教育環境が良くて、個々人ではいかんともし難い教育における地域格差が子供の将来に影響を与えるという話もされておられたんですけれども。また、外国では、政府が良い環境の地域に引っ越すことができるようにするバウチャーを配ることによって、そうしたいい環境のところに引っ越してもらうことによって効果が出ているような国があるというふうにも以前御指摘されておられますけれども、仮にこうした政策を日本で取ると、更に人口の集中している東京であったりとか大都市に人が動いていってしまうという懸念もあるとは思うんですけれども、日本におけるその教育環境の地域間格差というものをどのように現在見ておられるかということと、それに対応してどういった政策を日本で取るべきかというふうに考えていらっしゃるかについてお話をお伺いできればと思います。 Angry: 0.549 Disgust: 0.200 Fear: 0.343 Happy: 0.552 Sad: 0.545 Surprise: 0.413
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00:40:29 ~ 00:41:03 公述人(中室牧子君)
こちらも大変貴重な御指摘かというふうに思います。私の研究室で様々な自治体のデータを見ておりますけれども、今まさに山下先生がおっしゃいましたように、地域間の格差というのは確実に生じています。例えば、同じ自治体の中でも、就学援助率が〇%の学校から五〇%の学校まで存在している、いじめ、暴力、不登校に関してもゼロ件の学校と非常に多くの件数で生じている学校があるということになるかと思います。こうした格差が生じている中で、平等な資源分配をするというのはかなり危険なことだというふうに思います。 Angry: 0.382 Disgust: 0.281 Fear: 0.676 Happy: 0.393 Sad: 0.379 Surprise: 0.601
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00:41:03 ~ 00:41:42 公述人(中室牧子君)
やはり、いじめや不登校、あるいは暴力などのことが非常にたくさん起こっている学校にはたくさんの教員を配置をするとか、そういったように、問題のその状況に合わせて資源分配をするということが非常に大事だと思うんですね。ところが、我が国では一律、例えば小学校であれば三十五人学級にするとか四十人学級にするというような形で、全ての学校に平等に資源分配しようとするわけですけれども、それについてはやはり改めていく必要があるのではないか、実情に応じた資源配分にするということが必要なのではないかなというふうに思っております。 Angry: 0.667 Disgust: 0.285 Fear: 0.464 Happy: 0.469 Sad: 0.315 Surprise: 0.503
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00:41:42 ~ 00:42:01 山下雄平君
ありがとうございます。その点においても、この問題に関してもやはりデータに基づいて政策を決定していく、またどういったところに施策を投じていくかということを、まあPDCAサイクルと言っていいかどうか分かりませんけれども、回していく必要があるというふうな考えだと思いますけれども。 Angry: 0.410 Disgust: 0.248 Fear: 0.343 Happy: 0.774 Sad: 0.528 Surprise: 0.419
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00:42:01 ~ 00:42:32 山下雄平君
日本の教育政策、恐らく教育政策だけではないんだと思うんですけれども、決定的にそういうことが欠けているというふうな御指摘もいろんなところでされておりますけれども、日本の政策決定において、この辺をまずは改善して、そのいわゆるEBPM政策を取れていない日本の現状として、まずはどの辺りからそこに切り込んでいくべきかというふうに考えていらっしゃるか、お考えをお聞かせいただければと思います。 Angry: 0.791 Disgust: 0.252 Fear: 0.363 Happy: 0.472 Sad: 0.396 Surprise: 0.318
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00:42:32 ~ 00:43:10 公述人(中室牧子君)
ありがとうございます。海外と今の日本の状況を比較しますと、圧倒的に遅れているのは行政記録情報の利用ということではないかなというふうに思っております。行政記録情報というのは、人々が例えば申請をしたり届出をしたりしたときに行政にたまっていくデータのことですけれども、近年、経済学の研究、社会科学の研究ではこの行政記録情報を匿名化して研究利用するということが始まっています。これは非常に重要なことでありまして、例えば国勢調査とかも直近のものであれば回収率が七〇%となっていて、三〇%の方は回答されていない。 Angry: 0.490 Disgust: 0.300 Fear: 0.444 Happy: 0.601 Sad: 0.466 Surprise: 0.459
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00:43:10 ~ 00:44:12 公述人(中室牧子君)
この三〇%の回答されていない方がランダムに起こっているということであればいいんですけれども、恐らくそうはなっていないでしょう。恐らく貧困の方、病気の方、外国人で日本語が分からない方が国勢調査に回答していないんだとすると、政策的に最も救済をしていかなければならない人が統計から抜けているという問題が起こってくるわけです。この問題を解決するために、海外ではレジスター方式といって行政記録を用いて統計を組成すると、国勢調査を組成するというようなことが始まっていて、我々もやはりそういったことを考えていかなければならないのではないか。今回、国交省や、以前は厚労省の問題で統計不正の問題が起きましたけれども、やはり人為的に統計を収集して集計するという作業の中では、まあ不正が起こるとまではいかなくても、ミスが起こったり、様々なその問題が生じますので、デジタル化の恩恵を最大限受けるという意味でも、そうした行政記録情報の利活用というものは進めていくべきではないかというふうに考えております。 Angry: 0.699 Disgust: 0.346 Fear: 0.534 Happy: 0.322 Sad: 0.423 Surprise: 0.398
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00:44:12 ~ 00:45:01 山下雄平君
ありがとうございました。非常に分かりやすく、また、我々としても取り入れていかなければならないというふうな御指摘だったというふうに考えています。次に、森信先生にお話をお伺いできればと思いますけれども、まず、所得税の再分配機能が低下してきているのではないかというような指摘がありますけれども、これが日本の社会、また日本の経済にどのような影響を与えてきたというふうに見られておられるかという点についてお伺いできればと思いますし、また、所得税の最高税率であったり、課税最低限はどのような水準にあるべきかと、どういった課税を求めていくべきかというふうに考えていらっしゃるか、お考えをお聞かせいただければと思います。 Angry: 0.532 Disgust: 0.304 Fear: 0.390 Happy: 0.582 Sad: 0.516 Surprise: 0.398
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00:45:01 ~ 00:46:07 公述人(森信茂樹君)
お答えします。所得税につきましては、最近、所得再分配機能が落ちてきていると、この一つのシンボリックな現象として言われますのが、金融所得課税ですね。金融所得は、国税一五、地方税五の合計二〇%の分離課税になっておって、それが所得税の本来である累進税率を阻害している、特に高所得者においてはそれが阻害されているというところが機能が低下していると言われているわけなんです。私もこれはそのとおりだと思いますけど、しかし、よって立つべき結論としましては、じゃ、金融所得を一律引き上げるということでは解決できないわけですね。といいますのは、そもそも今の金融所得、国税一五%というのは、七百万とか八百万とかという所得の方にとってみれば、実は給与所得よりも高い税率なんですね。 Angry: 0.504 Disgust: 0.349 Fear: 0.543 Happy: 0.532 Sad: 0.339 Surprise: 0.560
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00:46:07 ~ 00:47:20 公述人(森信茂樹君)
だから、一律引き上げるというふうな話ではなくて、やはり、先ほど言いましたが、デジタルの活用によりまして、これはもう番号が付いているわけですから、特に株式譲渡所得とそれから配当についてはマイナンバーで把握されているわけですから、それで名寄せをして、その高金融所得者、ここにピンポイントして、税率をもう一つ、もう一段階高い税率をつくると、そういったことが私は必要ではないかと思います。それから、課税最低限と累進税率の問題は、これは大変社会構造とも深い連携を、関連をしていると思いますので、これにはもう少し時間を掛けて議論をする必要があると思っておりまして、まずは金融所得税率の高金融所得者への課税強化、それからもう一つは所得控除から税額控除への変更による累進機能の強化と、そういったところを進めていくのが筋ではないかというふうに考えております。 Angry: 0.422 Disgust: 0.283 Fear: 0.541 Happy: 0.598 Sad: 0.277 Surprise: 0.598
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00:47:20 ~ 00:48:24 山下雄平君
ありがとうございます。あわせて、先生先ほどMMTについてもお触れになられました。本当は参議院にMMTの権威の方がいらっしゃるんですけど、ちょっと今日はメンバーじゃないのでいらっしゃいませんけれども。こうしたMMT、自国で紙幣を刷って財政を更に拡大していくべきだという考えと、財政はやはり再建していかなければならないという考え方あると思うんですけれども、MMTについて、先生が先ほど指摘された懸念と合わせて、私自身、過度な財政的な、積極的な財政政策を取ることが将来取り得る財政政策の範囲を狭めてしまうというような懸念もあるのではないかというふうに思うんですけれども、財政政策が引き起こす世代間への影響の格差、この時代に生まれたから幸せだった、不幸だった、親ガチャという言葉がありますけれども、世代ガチャみたいなことを財政政策が引き起こす可能性について、先生、どのようにお考えなのかをお聞かせください。 Angry: 0.532 Disgust: 0.304 Fear: 0.411 Happy: 0.522 Sad: 0.535 Surprise: 0.412
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00:48:24 ~ 00:49:10 公述人(森信茂樹君)
お答え申し上げたいと思います。今日は権威の方がいらっしゃらないということなので、自由に話ができると思いますけど。私も全く今の山下先生のお考えと、賛成いたします。結局、財政の硬直化ということで利払いとか償還に回る予算の割合、予算の中に占めるその利払い、償還の費用の割合がどんどん増えていくわけなんですね。そうしますと、本来使うべき社会保障とか防衛なんかも含めて、公共投資も含めて、使える範囲がどんどん狭くなっていくということで、これは明らかに将来世代の社会構成というものを縮めていくことだと思います。 Angry: 0.388 Disgust: 0.364 Fear: 0.506 Happy: 0.617 Sad: 0.462 Surprise: 0.474
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00:49:10 ~ 00:49:41 公述人(森信茂樹君)
それから、やっぱり世代間の問題だけではなくて民間との関係というのも考えていく必要があると思うんですね。政府がたくさんたくさん貯蓄を吸収して使いますと、民間の方が使える資金がどんどん減ってきて、くるわけです。そうすると、非常に、何でもかんでも政府だということで、効率的な経済、経済が回らなくなるという懸念もあるんではないかというふうに考えております。 Angry: 0.340 Disgust: 0.264 Fear: 0.522 Happy: 0.549 Sad: 0.484 Surprise: 0.571
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Angry: 0.479 Disgust: 0.395 Fear: 0.421 Happy: 0.644 Sad: 0.503 Surprise: 0.497
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00:50:04 ~ 00:51:00 熊谷裕人君
立憲民主・社民の熊谷裕人でございます。今日は、公述人の中室先生、そして森信先生、ありがとうございます。私からも幾つか御質問をさせていただきたいと思いますが、まず最初に中室先生に御質問させていただきます。私も前職、市議会議員でございまして、地方議員の時代に御著書の「「学力」の経済学」、購入させていただきまして、読ませていただきました。今日の公述の中にもございましたように、その本で幼児期の投資が最大効果を上げるというようなことが書いてありまして、そのとおりだなと思って、どのように地方自治体の幼児教育の中でそれが還元をできるのかといった形で私もいろいろ考えさせていただきました。 Angry: 0.250 Disgust: 0.224 Fear: 0.403 Happy: 0.802 Sad: 0.490 Surprise: 0.578
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00:51:00 ~ 00:51:34 熊谷裕人君
教育は、未来への先行投資と言われている中で、我が国の教育への投資は、残念ながらOECD諸国の中で本当に下位で恥ずかしい限りだと思っております。この教育全体に関わる予算、この国の現状というものを中室先生はどのようにお考えか、まずはお聞かせいただきたいと思います。 Angry: 0.641 Disgust: 0.347 Fear: 0.482 Happy: 0.370 Sad: 0.437 Surprise: 0.393
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00:51:34 ~ 00:52:09 公述人(中室牧子君)
ありがとうございます。今まさにおっしゃいましたように、教育は未来への投資ということですから、しっかりやっていかなければならないということかと思いますが、国民医療費の金額が四十二兆円に上る中、教育に関してはおよそ幼稚園から大学まで合わせても五兆円程度しか掛けられていないということですから、これをもっとしっかりと増額していくことが必要だという問題意識は私自身も持っております。ただ、今十五歳以下の子供たちのいる世帯が日本全体の二〇%以下にとどまっているということを考えますと、その子供がいる世帯がマジョリティーとはとても言えないということだと思います。 Angry: 0.384 Disgust: 0.284 Fear: 0.440 Happy: 0.608 Sad: 0.494 Surprise: 0.494
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00:52:09 ~ 00:53:02 公述人(中室牧子君)
ですから、数の論理で考えれば、どう考えても子供たちに係る政策に予算を増やしていこうというふうにはならないというのは当然のことかと思います。このモメンタムを変えていこうと思えば、やはり数の多いところにお金を付けるということではなくて、リターンの高いところに、効果の高いところにお金を掛けていくんだという考え方を徹底していかなければならないというふうに思っています。先ほども申し上げたように、子供の教育や健康への投資というのは、今支払ったものが必ず将来回収できて、しかも割のいい投資であるということを示す研究が多数ありますから、そういったものを利用して、国民の皆さんにとって、子供がいない皆さんにとっても子供への投資というものが非常に利益のあるものであると、外部性の高いものであるということをしっかりと訴えていかなければならないというふうに思います。 Angry: 0.504 Disgust: 0.340 Fear: 0.487 Happy: 0.566 Sad: 0.399 Surprise: 0.464
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00:53:02 ~ 00:53:23 公述人(中室牧子君)
そのためには、子供への投資であれば何でもいいというわけではなくて、こういったところにこれぐらいのお金を掛けるとこういう効果があるということをきちんと示していくということがとても大切なことなのではないか、アカウンタビリティー、説明責任という観点からもとても大切なことなのではないかというふうに考えております。 Angry: 0.433 Disgust: 0.277 Fear: 0.305 Happy: 0.736 Sad: 0.510 Surprise: 0.426
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00:53:23 ~ 00:54:12 熊谷裕人君
ありがとうございます。私どもも、しっかりと子供への投資というものがどれだけ効果の高いものであるかと、政策的な評価、しっかりとEBPMに基づいて政策立案をしていかなければいけないなというふうに思っております。その中で、先ほど先生の公述にもありましたとおりに、幼児期の投資効果の、高めるための鍵というのが供給サイドへの投資だというようなお話もございました。そこで、幼児期の教育といいますと、保育園の保育士さんや幼稚園の教員さんという方への、担い手への投資ということが非常に重要になってくるのかなと。 Angry: 0.421 Disgust: 0.377 Fear: 0.383 Happy: 0.710 Sad: 0.461 Surprise: 0.464
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00:54:12 ~ 00:54:44 熊谷裕人君
特に保育園の保育士さんへの投資というのは、保育園ごとにも中身の違いがございますし、置かれている地域によっても格差があるというような話、先ほどございました。そういった中で、そういった担い手の皆さんへどのような処遇改善をしたらこの質が高まるのかといったところで、何かお考えがあれば御示唆をいただければと思います。 Angry: 0.385 Disgust: 0.347 Fear: 0.457 Happy: 0.727 Sad: 0.355 Surprise: 0.588
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00:54:44 ~ 00:55:13 公述人(中室牧子君)
ありがとうございます。私は、その処遇改善という意味で、例えば給与だったり福利厚生だったりを充実させるということも重要かと思いますが、それ以外に重要なのは働き方改革だというふうに思っております。労働条件の悪いところに優秀な人が集まってくるということは古今東西あり得ませんので、やはり幼稚園の先生や保育士さん、あるいは公立学校で働く教員についての働き方改革ということを徹底していくべきではないか。 Angry: 0.391 Disgust: 0.349 Fear: 0.381 Happy: 0.717 Sad: 0.476 Surprise: 0.471
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00:55:13 ~ 00:55:51 公述人(中室牧子君)
今文科省や政府の方でも例えば部活動のことについての議論というのは既に行われているやに承知をしておりますけれども、例えば教員の兼業などを認めるなどして部活動を保護者の負担にする、あるいは企業に外注するなどして、仮に教員が部活動に放課後は関わりたいという場合は兼業でその人にも報酬を払うというような形にして、今のそのボランティアのような形で無料、ただ働き、働かせ放題みたいなやり方は直ちに改めるべきではないかというふうに考えております。 Angry: 0.748 Disgust: 0.298 Fear: 0.465 Happy: 0.500 Sad: 0.240 Surprise: 0.433
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00:55:51 ~ 00:56:17 熊谷裕人君
ありがとうございます。私も、地方議員の時代に、学校の先生の部活動の関係、私は地域総合型スポーツクラブにその担い手をしていただきたいなということで一生懸命取り組んでまいりましたが、教員の働き方改革というところが必要だなというところは認識は一致をしているかと思います。 Angry: 0.392 Disgust: 0.291 Fear: 0.306 Happy: 0.766 Sad: 0.563 Surprise: 0.427
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00:56:17 ~ 00:57:17 熊谷裕人君
その中で、今教育現場でITC化が大変進んでおります。教員の負担というのが大変高くなってきていると思いますが、その中でどんなことが具体的に言ったら現場の先生方の労働環境の改善や働き方改革につながるかというところと、それから、私の娘も大学生なんですが、大学の授業が今オンライン化をされて、ここ二年ぐらいほとんどキャンパスに行っていないという状況でございまして、これからの大学の授業の在り方というのがこのコロナ禍を機会に変わっていくのかなというふうに思っておりますが、この大学の授業のオンライン化についてどのように先生は御所見をお持ちか、お聞かせいただければと思います。 Angry: 0.193 Disgust: 0.254 Fear: 0.630 Happy: 0.542 Sad: 0.591 Surprise: 0.584
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00:57:17 ~ 00:58:02 公述人(中室牧子君)
ありがとうございます。ちょっと二つの論点に分けてお話をしたいと思いますが、小中学校で進んでおりますGIGAスクール構想、一人一台端末構想でございますけれども、これに関しては引き続き推進していくものというふうに理解をしております。ただ、海外の先行研究を見ますと、海外でも、一人一台端末政策というのは諸外国でかなり行われていますけれども、ただ単にパソコンを配るだけで子供たちの学力や認知能力が高まることはないというのはコンセンサスになっています。ですので、やはりこれをどう使うのかということが極めて重要で、海外の研究を見ますと、個別最適化、子供たちの能力や特性、興味、関心に合わせた個別化ができると、一人一台端末というのは非常に功を奏するということが分かっています。 Angry: 0.277 Disgust: 0.285 Fear: 0.375 Happy: 0.782 Sad: 0.505 Surprise: 0.533
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00:58:02 ~ 00:59:01 公述人(中室牧子君)
ですので、こういった方向で一人一台端末政策を生かすことができるようにしていくということが一つ重要ではなかろうかと思っております。二つ目に、大学におけるオンライン授業ということでございます。これは、良い面、悪い面あるということは、私も大学で教えていて大変よく理解できるところでございます。良い面としては、やはり今まで八百人とかの大規模の教室でやっていたことがオンラインになりますと、例えば、出席率が高まったり、もっとたくさんの人たちを受け入れることができるようになったり、あるいはその大学のキャンパス外からの参加もできるようになったり、様々ないいことがありますので、こうした技術革新というのは最大限利用していかなければならないだろうというふうに思っております。ただ一方で、やはり目が届きにくくなるということで、教育の質が下がるのではないかという御懸念はあるのかなというふうに思っております。アメリカでは、実は二〇〇六年に規制緩和が行われて、今の日本と同じように、大学の遠隔授業の単位上限というものを取っ払うという規制改革が行われています。 Angry: 0.361 Disgust: 0.301 Fear: 0.519 Happy: 0.578 Sad: 0.442 Surprise: 0.578
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00:59:01 ~ 01:00:15 公述人(中室牧子君)
この結果、様々な研究が行われて、オンライン授業と対面授業の間で、少なくとも座学形式の講義においては差がないということを示す研究が多数になっています。ですので、座学で、例えば先ほども申し上げましたように六百人とか七百人とかというような大講義に関して言えば、その空間や時間の制約を取っ払えるという意味においてオンライン授業は活用していくべきだろうというふうに考えておりますけれども、例えば、ゼミなどの少人数、あるいは実験や実習を伴うような授業というのはオンラインには限界がありますから、こういったものに関しては引き続き対面で行っていくというように、その組合せを、どういう組合せがベストなのかということを考えていく時期に差しかかっているであろうというふうに思います。我々としても、大規模の講義に関してはオンラインでやれる、その代わり、小規模のゼミや講義形式のものに関しては対面でやれるというふうに、リソースをある程度分散することができるようになれば、同じ時間やエネルギーでより多くのことができるということになりますので、そうしたそのリソースの再分配といいますか、より効率的な再分配というものが大学の方でも起こっていくのではないかというふうに考えております。 Angry: 0.343 Disgust: 0.311 Fear: 0.535 Happy: 0.638 Sad: 0.382 Surprise: 0.599
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01:00:15 ~ 01:01:09 熊谷裕人君
ありがとうございます。続いて、森信公述人にも御質問させていただきたいと思います。公述人の御出身が財務省ということで、ちょっとその辺の予算の関係でお尋ねをしたいと思っておりますが、ここ数年、補正予算と本予算が一体化をされまして十数か月予算というような編成がここのところずっと行われております。そして、コロナ禍への対応ということで、補正予算も大型化をして予算規模が拡大をしています。そのために予算使い切れずに翌年への繰越しということもここ何年か起きておりますが、予算が正しく使われていないんではないかというようなことも指摘をされております。 Angry: 0.350 Disgust: 0.292 Fear: 0.415 Happy: 0.683 Sad: 0.533 Surprise: 0.494
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01:01:09 ~ 01:01:29 熊谷裕人君
そういった中で、政府の方から、予算の単年度主義見直すんだというような話も出ておりますが、この予算の単年度主義について、先生、御所見がありましたらお聞かせをいただければと思います。 Angry: 0.298 Disgust: 0.146 Fear: 0.453 Happy: 0.767 Sad: 0.382 Surprise: 0.668
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01:01:29 ~ 01:02:16 公述人(森信茂樹君)
お答えします。今、予算の単年度主義に対しまして御質問をいただきました。これは大変難しい問題で、確かに単年度主義だと、繰り越してしまうと予算が次年度から使えなくなるので、余れば無理やり使ってしまおうというふうなインセンティブが働くのは当然のところだと思います。他方で、繰り越しても使えるように、例えば基金というものをたくさんつくってきたわけですけれど、それはそれでまた非常に不明朗な中にお金がたまって、また見えないというところが出てきているわけですね。 Angry: 0.381 Disgust: 0.339 Fear: 0.540 Happy: 0.594 Sad: 0.399 Surprise: 0.540
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01:02:16 ~ 01:03:16 公述人(森信茂樹君)
これ大変難しい問題だと思うんですが、ちょっと話は外れますが、私予算を長年やってきた経験で申しますと、やっぱり霞が関の文化が、予算を作ったらもうおしまいなんですね。とにかく予算が通って、予算が通ればあとは人事異動を待つだけというふうな感じで、俺があそこの予算を付けたんだというような人も出てきたりして、決算とか執行とかにリソースが行っていないんですね。財務省では一時、今もやっていると思いますが、執行調査ということで、予算が終わってもちゃんと調査、執行がどうなっているかを調査するようなこともやっているんですけれど、やはり予算を作ったら、さあ、これでおしまいだという感じが残っているところに私は何か大きな問題があると思っているんです。 Angry: 0.257 Disgust: 0.148 Fear: 0.587 Happy: 0.596 Sad: 0.462 Surprise: 0.659
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01:03:16 ~ 01:04:03 公述人(森信茂樹君)
したがって、まあ国会のことを申し上げると怒られちゃいますけど、やっぱり予算委員会が一番重要で、決算になると何かまたちょっと違う雰囲気になってくると、そこがやっぱり霞が関と同じような文化があるなというふうに思っておりますので、やっぱりきちっとその最後まで見届けるという文化をつくっていく。これ、民間では絶対に、あれですよね、予算で作って、はい、おしまいということはあり得ないですよね。ちゃんと決算まで見て、執行に使われたかどうかというのを、うまく使われたかどうかというのが一番重要だと思います。だから、そこの文化を是非変える、変えていただきたいなと私は常々思ってきておりました。答えになっているかどうか分かりませんけど、以上です。 Angry: 0.390 Disgust: 0.258 Fear: 0.457 Happy: 0.669 Sad: 0.516 Surprise: 0.483
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01:04:03 ~ 01:04:52 熊谷裕人君
ありがとうございます。私たち参議院は実は決算重視の参議院でございまして、この予算のPDCAサイクルをしっかり回すというのは、地方議員の時代から私も一生懸命やってきておりまして、この参議院の決算重視の文化を何とか私もしっかりしたものにしていって、予算作ったら終わりというこの霞が関と国会の文化を何とか変えていきたいと思いますので、今後ともアドバイス等いただければ幸いでございます。時間が参りましたので、これで終了させていただきます。ありがとうございました。 Angry: 0.383 Disgust: 0.278 Fear: 0.287 Happy: 0.800 Sad: 0.540 Surprise: 0.429
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01:05:08 ~ 01:06:15 杉久武君
私の方からは、まず最初にお二人の公述人に同じ質問をさせていただきたいというふうに思います。先ほど様々御教示いただきましたが、その前提として、やはり所得の正確な捕捉をしていく、私はこれはやはりまだまだ日本では課題があるんではないかなというように思っております。特に、このコロナ禍でも様々政府もいろいろな政策を打ってきたわけでありますけれども、所得制限のあるもの等もございました。ただ、今、日本の制度の仕組みの中では、やはりこの所得の捕捉、所得制限で判断をする主体が国ではなく地方自治体であるということ、そしてその捕捉のタイミングが、やはり年度の所得は国税で捕捉をされた後、その情報が自治体に送られて、翌年の六月ぐらいが所得が分かる時期にもなりますので、やはりこの迅速性においてもまだまだ課題があるんではないかなというふうに感じているところであります。 Angry: 0.382 Disgust: 0.253 Fear: 0.439 Happy: 0.703 Sad: 0.502 Surprise: 0.515
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01:06:15 ~ 01:07:59 杉久武君
ただ一方で、日本の、森信参考人はもう財務省出身なのでよく御存じだと思いますけど、やはりこの所得の捕捉って、確定申告は決して義務ではなく、多くの給与所得者は年末調整で対応するという仕組みの中で、やはりこの正確な所得を迅速に捕捉をしていくというところは改善の余地はまだまだあるというふうに感じております。私自身、アメリカでも仕事をしていく中で、アメリカの場合は全員が確定申告をするというのが大原則でありまして、そのIRS、内国歳入庁に集まった情報を基に、先ほど中室公述人からも御紹介ありました例えば給付金ですね、これについても所得制限を設けて、かつ、日本はどうしても所得の制限を設けたときに崖ができるんですけれども、ちゃんとこのフェーズアウトをしていく形で、要は一円違ったら給付がないということは、給付がゼロサムにならないような形で調整をされ、かつプッシュ型、申請なしに給付が受けれるという形をアメリカでは実現したわけでありまして、いろいろ生い立ち等、文化、歴史も違うところで一律にこれを合わせるということは難しいと思うんですけれども、やはり正確な、このデジタル社会の中で正確な所得の捕捉ということはやはり私は前に進めていかなきゃいけない課題だというふうに思っておりますが、この点についてどのようにやはり日本は取り組んでいくべきなのか、この辺りについてお二人の公述人から御意見をいただければと思います。 Angry: 0.403 Disgust: 0.261 Fear: 0.508 Happy: 0.687 Sad: 0.302 Surprise: 0.605
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01:08:06 ~ 01:09:03 公述人(中室牧子君)
ありがとうございます。経済学の分野では課税情報の目的外利用をした研究というものが急速に増えているということがあります。やはり、その税の情報をきちっと分析できるということは非常に重要なことでありますので、我々もこの税データを研究利用できるということを求めて様々なところにお願いをしてまいりました。二〇一九年の骨太の方針の中では、例えば住民税であるとか不動産取得税であるとか、こういった情報を研究利用、目的外利用できるように検討をするということが明記されているわけですけれども、そこから一向にそのことについて動きがないということですので、政府の方で是非この点については前に進めていただきたいというふうに思っております。アメリカでは、実は税データの利用というものは許可制、IRSの許可制になっているところでございますが、欧州ではもっと研究利用が自由にできるようになっています。 Angry: 0.379 Disgust: 0.268 Fear: 0.405 Happy: 0.706 Sad: 0.480 Surprise: 0.510
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01:09:03 ~ 01:09:45 公述人(中室牧子君)
先ほどノーベル賞の最右翼として御紹介しましたラージ・チェティやアメリカの研究者グループは、許可制であるアメリカのやり方であったとしても欧州に比べるとはるかに遅れていて、アメリカのその経済学の研究競争力をそいでいるというような発言をしています。しかし、日本はそこから比べてまだ更に遅れているわけでありまして、研究上ということだけではなく、その政策的な意味からも、やはり税情報や不動産取得税の情報というものを研究利用できるように速やかに働きかけていただければ大変幸いでございます。以上です。 Angry: 0.481 Disgust: 0.322 Fear: 0.451 Happy: 0.671 Sad: 0.348 Surprise: 0.576
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01:09:45 ~ 01:10:09 公述人(森信茂樹君)
お答え申し上げます。先ほどの私の資料の十一ページを開いていただければ有り難いんですが、十一ページは、マイナポータルを活用して、所得をどうやって情報を得て、それをどうやって申告につなげるかと、一番左の上にe―Taxの観点で税務申告のことが書いてあります。 Angry: 0.450 Disgust: 0.338 Fear: 0.494 Happy: 0.682 Sad: 0.374 Surprise: 0.565
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01:10:09 ~ 01:12:13 公述人(森信茂樹君)
これで、実は、この左の方に、左の下の方に、民間からの、例えば自分の働いている企業からの源泉徴収票、それから生保料控除、損保料控除とか、あるいは医療費控除のための資料とか、今全てこの民間送達サービスを通じてデータで入手できるように今年からなったんですね。二、三年前から進めてきたんですが、今年は特にふるさと納税もそのポータルサイトから一気にダウンロードして自分でe―Taxにつなげることができると。こういうシステムができた、もうできているわけですが、私は、もう全員申告にすべきじゃないかといつも思っているんです。やっぱり、先ほどおっしゃいましたように、年末調整がある、税務署に行かなくていいというのがやはり納税者の納税意識を弱めているというふうに思いますので、今は本当にもう簡単に、e―Taxをやればどんどんどんどん自動的に入れるデータを指示してくれますし、そこにアクセスしてボタンを押す、押すと全体が出てくるということになってきておりますので、非常にこのデジタルの、マイナポータルを活用した収入の把握、これができればこれを適正な社会保障につなげることができるので、先ほど中室先生からもあった、次の次のページにちょっと書いてあるんですが、給付付き税額控除のバイデンのやった制度、これ、要するに、フェーズアウトしていって高所得の人には配らない、しかし低所得のときには働けば少し増えていくと、こういうことで、非常に勤労のインセンティブが高まるし、フリーランスのように所得不安定な方の所得の安定化というのもできるんですね。 Angry: 0.399 Disgust: 0.256 Fear: 0.551 Happy: 0.534 Sad: 0.411 Surprise: 0.612
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01:12:13 ~ 01:13:08 公述人(森信茂樹君)
そういう意味で、こういう制度をつくるためには、どうしてもやはり収入をデジタルで把握することができていないと駄目なんですが、それがいよいよ日本でも昨今できてきたというところが私は非常に大きな進化だというふうに思っておりますので、このできた、このできていることを活用していかなる制度をつくるかということが必要だと思うんです。一つだけ申し上げさせていただきたいんですが、例えば、この間十万円の給付でいろいろ問題になりましたが、あのときに、世帯でその所得を把握することが一つ課題になりましたですね。今、マイナンバー制度というのは住基ネットからつながれていますから、AさんとBさんが同世帯だということが分かるんですね。 Angry: 0.219 Disgust: 0.195 Fear: 0.543 Happy: 0.647 Sad: 0.505 Surprise: 0.609
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01:13:08 ~ 01:13:56 公述人(森信茂樹君)
だから、それを活用すれば世帯所得も把握できるというような状況になっているんですが、しかし、じゃ、世帯とは何かとかというふうな議論がまた一方ではあって、なかなかそれがデジタルの世界に落とし込めないという状況がありますので、是非そういう制度の設計を、単にデジタルは基盤整備なのであって、その基盤を基に新しい制度をつくるんだと。例えば、世帯というものを定義して、どうやって世帯で給付をしていくかとかですね、そういった制度の設計が私は重要じゃないかというふうに思っております。以上でございます。 Angry: 0.462 Disgust: 0.356 Fear: 0.519 Happy: 0.606 Sad: 0.366 Surprise: 0.551
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01:14:02 ~ 01:15:00 杉久武君
先ほど、今、フェーズアウトの話も少しいただきましたけれども、やはりこのデジタル的に所得の捕捉が遅れているという中で、やはりこの給付水準が、崖があるというのがどうしても日本だとスタンダードになってしまっている。そのため、例えば配偶者控除のように、崖をなくしたのに壁の意識がやはり国民に残ってしまっているというのが私は非常に解決しなきゃいけない課題だというふうに思いますし、やはりこの、先ほども言いましたように、やっぱり一円違ってもらえないと、もらえるという形ではなくて、徐々に逓減させていくという、やはりきめ細やかな制度設計というものをつくっていくベースになっていくのがやはり正確なデジタルでの所得の把握だというふうに思いますので、今日いただいた御示唆も踏まえて取り組んでいければなというふうに思っております。あと、続いて森信参考人にお伺いをしたいと思います。 Angry: 0.332 Disgust: 0.223 Fear: 0.438 Happy: 0.626 Sad: 0.579 Surprise: 0.472
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01:15:00 ~ 01:16:16 杉久武君
先ほど教えていただいたように、やはり我々自身もやっぱり中間層をどう支援していくかということを物すごく今テーマと考えております。やはり、この二極化という話もありましたが、この強い中間層をやっぱりしっかり支えていくということが日本経済全体の発展につながっていくというように思いますが、私もまだ、今いろいろと若い皆さんと車座で対話をする機会を最近設けているんですけれども、やはり将来に対しての不安、特にやっぱり負担感の重さ、社会保険にしても税にしても、これが減ることはないだろうというやっぱり意識を持っているので、これをどう和らげていくのかというのがやっぱり大事なんじゃないかなというふうに思っています。そういった中で、一つ我々まだ考えている最中ですけれども、やはりこの生活上の必要最低限のサービス、ベーシックサービス的な考え方ですけれども、それをやっぱり低廉化していくことも重要なんじゃないかなと思いますが、どうやってこの中間層の負担感を和らげていくのか、どういう対応が政策的に重要か、この辺りについて教えていただければと思います。 Angry: 0.291 Disgust: 0.146 Fear: 0.499 Happy: 0.617 Sad: 0.549 Surprise: 0.618
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01:16:16 ~ 01:17:25 公述人(森信茂樹君)
お答え申し上げます。これ、中間層に限って所得を引き上げるというのはなかなか容易ではないと思います。中期的な話になりますけれど、やっぱりそこに人的資本投資をできるような税制なども考えていくと。例えば、いろんな、自分が会社に勤めていて、そこで新しくコンピューターの勉強をしに行くとかデータサイエンスの勉強をするとかいったときに、その支出がうまく自分の経費になるような、今、特定支出控除というのがありますが、なかなかこれが使いにくいとか、それから個人事業主の方にもそういったものが使えるような制度とか、あるいは、一年、ちょっと会社を辞めて留学をして人的資本を向上させようと思ったときに、それに掛かる年間二、三百万の費用を将来的にこの費用化して落とせるように減価償却みたいなものを人的資本の控除にも入れていくというふうな、いろんな税制は考えられると思っております。 Angry: 0.522 Disgust: 0.406 Fear: 0.481 Happy: 0.607 Sad: 0.381 Surprise: 0.466
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01:17:25 ~ 01:17:48 公述人(森信茂樹君)
それから、やはり、繰り返しになりますけど、この諸外国で入れております給付付き税額控除というのは、非常にその低所得のときの所得の安定化につながりますので、こういう制度は私は有益ではないかというふうに考えております。以上でございます。 Angry: 0.457 Disgust: 0.370 Fear: 0.546 Happy: 0.576 Sad: 0.395 Surprise: 0.558
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01:18:00 ~ 01:18:44 杉久武君
私もいろいろとこの件については勉強もまだ続けている途中なんですけれども、一時的な緊急的な財政出動に対しては私は必要性はあるとは思うんですが、やはり私が一番やっぱり気になるのは、先ほど教えていただいたインフレなんですね。やっぱりインフレというのは、よくこの議論をすると、二十年間デフレだったんだからまずはやってみようみたいな議論もあったりもするんですけれども、やはりこのインフレをどうコントロールするかというのは非常に大きな課題だと思うんですけれども、やはりこの財政出動を増やしたときにインフレというものはコントロールし得るものなのかどうか、この辺りについて御意見をいただければと思います。 Angry: 0.426 Disgust: 0.195 Fear: 0.418 Happy: 0.707 Sad: 0.342 Surprise: 0.623
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01:18:44 ~ 01:19:07 公述人(森信茂樹君)
お答え申し上げます。大変難しい御質問でありまして、これはなかなか、日銀からすれば、いろんな手段で今コントロールできているじゃないかというふうなことにもこれからもなる、あっ、できるのではないかというふうなことだと思うんですが、しかし、インフレというのはいつどういうふうな形でやってくるかも分からないんですね。 Angry: 0.414 Disgust: 0.378 Fear: 0.579 Happy: 0.459 Sad: 0.433 Surprise: 0.543
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01:19:07 ~ 01:19:44 公述人(森信茂樹君)
今、既にアメリカでは全く想定外の、例えばエネルギー価格の上昇とかというのが起きていまして、インフレ状況になっていると。そういったときに、やはりMMTだと、じゃ、そうなったらMMTの発動を、何というんですか、緊急財政支出、支出をやめるんだといっても、そのやめるというのが、どうやってやめるんだというところが私はきちっとビルトインされていない限りは、議論は私はちょっと問題が多いなというふうに思っております。 Angry: 0.315 Disgust: 0.278 Fear: 0.640 Happy: 0.427 Sad: 0.388 Surprise: 0.682
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01:20:03 ~ 01:21:09 浜口誠君
国民民主党・新緑風会の浜口誠です。今日は、中室公述人、森信公述人、本当にありがとうございます。大変貴重なお話を伺わさせていただきました。まず最初に、中室公述人にお伺いしたいと思います。先生のお話の中で、データを用いて必要な人に必要なだけの支援を迅速にというお話がございました。一方で、国民の皆さんの中には、子供への支援というのは、やっぱり公平性の観点から、親御さんの収入に関係なく、所得制限設けずにやっぱり一律にやるのが子供目線でいけば重要ではないかと、こういった意見もたくさんあるのも事実だというふうに思っています。また、所得制限を設けることによって、中間層と言われる年収層の皆さんからは、どれだけ頑張って働いても所得制限が入って、私たちは子育て罰を受けているんじゃないかというような、所得制限に対してそういった受け止めをされている国民の皆さんの層も大勢いらっしゃるというふうに受け止めております。 Angry: 0.428 Disgust: 0.275 Fear: 0.411 Happy: 0.619 Sad: 0.516 Surprise: 0.509
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01:21:21 ~ 01:22:13 公述人(中室牧子君)
ありがとうございます。今の御質問は非常に貴重な御質問かというふうに思っております。確かに、子供目線で見れば公平ではないという御指摘はあるのかもしれませんが、私は平等と公平ということは違うのではないかというふうに思っております。すなわち、学校教育現場におけるリソースの配分を平等にし過ぎるということは、かえって公平性を損なうということもあるのではないかということなんですね。例えば、最近起こりました少人数学級の議論であります。これは先ほども申し上げたように、学校によってかなり実情が違うのにもかかわらず、三十五人学級、先生一人に対して子供が三十五人ということが前提として議論されていますが、経済学の研究の中では、必ず全ての子供にとって少人数学級がいいということになってはいません。 Angry: 0.388 Disgust: 0.245 Fear: 0.516 Happy: 0.577 Sad: 0.428 Surprise: 0.626
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01:22:13 ~ 01:23:01 公述人(中室牧子君)
例えばですが、大きな人数の方が有利になる子供たちもいるんです。学力の高い子供たちにとってみれば、学級サイズが大きいことはむしろプラスになるということを示した研究があります。例えば、御承知のように、灘とか開成って五十人学級ですよね。これは、周りに優秀な子供たちがいるので、互いに教え合ったり刺激を受け合ったりすることで、大きな学級サイズであるということがプラスになっているというわけです。それをかえって三十五人にしてしまったら、ひょっとしたら灘や開成では生産性が下がってしまうかもしれないということになります。ですから、私は、公平であるということは、全てを平等にするということではなくて、必要な人に必要なことを届けるということこそが全ての人にとって最も生産性が高くなるということを意味しているのではないかなというふうに思うんですね。 Angry: 0.235 Disgust: 0.238 Fear: 0.499 Happy: 0.745 Sad: 0.376 Surprise: 0.693
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01:23:01 ~ 01:23:19 公述人(中室牧子君)
ですので、子供たちの特性というものをきちっと把握をして、その子たちの生産性が最も高くなるような個別最適化というものをデータを使って実現することができるのではないかということでございます。 Angry: 0.303 Disgust: 0.494 Fear: 0.521 Happy: 0.622 Sad: 0.402 Surprise: 0.537
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01:23:19 ~ 01:24:01 浜口誠君
ありがとうございます。先生言われるように、最適化、本当に必要な人に必要なだけの支援を行っていくという考え方は理解できる部分も当然ございますが、一方で、税を納める立場の、納税者の立場からすると、やはり、税はしっかり納めているんだけれどもリターンが少ないと、こういう率直な受け止めをされている所得層の方も大勢いらっしゃるというのも事実だと思うんですね。しっかり税を納めたのにもかかわらず、自分たちの子供たちにはいわゆる国や行政からのリターンが十分にもらえていないんじゃないかと、何のために税を納めているんですかと。 Angry: 0.454 Disgust: 0.224 Fear: 0.350 Happy: 0.651 Sad: 0.484 Surprise: 0.491
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01:24:01 ~ 01:25:15 浜口誠君
まあ税の再配分機能があるというのは皆さん十分理解はされていると思いますけれども、やっぱり感情的にそういった受け止めがあるというのも、これまた事実だというふうに思っていますので、我々政治はその辺りをどう対応していくのか、まさに国会で議論すべき項目だとは思いますけれども、そういった受け止めがあるというのは我々もしっかり受け止めながら、今後の制度設計、制度の在り方というのは考えていきたいなというふうに思っています。その一方で、データを使ってやるというのはすごく重要だと思うんですけれども、給付の迅速性だとかスピード感ということを考えたときに、やはり一律給付の方が、もういろんな条件を加味することなく支給ができるということでいうと、迅速性の面では非常に効果があるんではないかと。いろんなデータに基づいてやるということは、それだけいろんな制度設計に対してきめ細かな対応をせざるを得ないがために実施のリードタイムが掛かってしまって迅速性の面では欠けるというようなことも指摘がありますが、その点に対しての御見解はいかがでしょうか。 Angry: 0.538 Disgust: 0.231 Fear: 0.485 Happy: 0.492 Sad: 0.382 Surprise: 0.542
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01:25:15 ~ 01:26:14 公述人(中室牧子君)
ありがとうございます。ちょっと、まず前半の方で、支払った納税のリターンがないというふうにお考えになっている方がいらっしゃるというお話がありましたが、その点は非常にまた重要な御指摘だというふうに思っております。その一方で、教育には外部性があるということも忘れてはならないのではないかと思います。要するに、自分が支払ったお金が、自分の私的収益に帰属する部分もありますが、社会的な収益となることによって将来的に自分の子供に社会から間接的にメリットがあるというようなこともあるということです。例えば、貧困の子供を放置すれば社会保障費が拡大をして、その社会保障費を誰が払うのかというと、将来世代の子供たちが払っていくということになるわけです。ですから、貧困の世代間連鎖を断ち切るということは、その当該の状況に置かれている子供だけではなくて、将来の納税者を助けるという意味においても非常に重要なことでありますので、私はその点も国民の皆様に御理解をいただく必要があるのではないかというふうに思っております。 Angry: 0.434 Disgust: 0.351 Fear: 0.520 Happy: 0.559 Sad: 0.460 Surprise: 0.470
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01:26:14 ~ 01:27:07 公述人(中室牧子君)
二つ目に、先ほど御指摘のありました、その所得制限というお話でありますけれども、確かに、済みません、もう一度ちょっと質問を……迅速性ですよね、はい、済みません。迅速性の観点であります。これは、確かに、デジタル化が進んでいない場合においては一律給付することの方が迅速性が高いと、これは間違いないと思います。しかし、そのデジタル化が進んで様々な情報がきちんと把握できるようになればスピード感というのは上がってくるものというふうに承知をしておりますので、そのデジタル化を進めて個々人にその最適な再分配をしながらスピード感を同時に上げていくという努力をすることが重要ではないかと思います。 Angry: 0.272 Disgust: 0.230 Fear: 0.509 Happy: 0.678 Sad: 0.447 Surprise: 0.618
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01:27:07 ~ 01:28:42 浜口誠君
ありがとうございます。まさに中室公述人おっしゃられたように、これから日本社会、デジタル社会に変えていかないと、本当、きめ細かなサービスの提供、あるいはスピード感を持った政策の実施というのができないというふうに思いますので、これも我が国の今抱えている大きな課題の一つだというふうに思っております。そういった観点で、デジタル庁というのも新しく国としても組織を立ち上げて日本社会全体のデジタルを推進していこうと、こういうスタートラインに立ったというふうに思っていますので、まさに先生もいろんなデジタル化の議論にも参加していただいておりますので、是非民間の立場からもいろいろと御助言、御示唆をいただければなというふうに思っております。あわせて、事前規制から事後評価、これも大変重要な視点を今日教えていただいたというふうに思っておりますが、この事後評価というのは、幼児教育ではなくて、まさに義務教育になっている小中高においてもこのような評価をしていくというのが子供たちへの教育の質を高めていくという観点からは、幼児教育は、もちろん早い段階でしっかりとした教育をしていくことがその後の子供たちの成長にも直結するというのは理解していますけれども、小中高、いわゆる義務教育段階でもこういった評価があってしかるべきではないかなというふうに思いますけれども、その点の御見解がありましたらお伺いしたいと思います。 Angry: 0.371 Disgust: 0.221 Fear: 0.354 Happy: 0.723 Sad: 0.517 Surprise: 0.485
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01:28:42 ~ 01:29:08 公述人(中室牧子君)
ありがとうございます。浜口先生のおっしゃるとおりかと思います。今日は、ちょっと時間の制約上、幼児教育に絞ってお話をしましたが、この事前の規制に重きを置き過ぎて事後の評価がきちんとできていないというのは、我が国の全ての教育段階に当てはまることかというふうに思っております。ですので、小中高のみならず大学も当然この対象に入るものというふうに思っておりますので、その意味においては、小中高、大学等で事後の評価をきちっと進めていくということが必要であろうと。 Angry: 0.469 Disgust: 0.349 Fear: 0.408 Happy: 0.677 Sad: 0.485 Surprise: 0.439
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01:29:08 ~ 01:30:00 公述人(中室牧子君)
ただ、幼稚園、保育所と違って、小中高、大学に関しては、例えば学力テストであるとか各種アンケート調査のようなものがありますので、そうしたものを通じて一定、教育の質を計測していく、生徒の側の成果から計測をしていくということが可能なようになっております。海外の研究では、どの小学校でどのような先生から指導を受けた子供たちが将来の所得が高かったかとか、あるいは幸福感が高かったかとか健康であるかというようなデータとリンクをして教育の質を計測するというような研究も行われております。ですので、そういった方法を使ってやはり教育の成果というものを、本人が能力の形成に資したかどうかということ、本人たちの健康や幸福にどのような影響があったかということも含めてきちっと評価をしていくということが重要であろうかというふうに思います。 Angry: 0.204 Disgust: 0.234 Fear: 0.542 Happy: 0.770 Sad: 0.385 Surprise: 0.668
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01:30:00 ~ 01:31:00 浜口誠君
ありがとうございます。今後、デジタル化、いろんな情報をやはり集約をしてそれをどう生かしていくのかというのが、いろんな政策を、あるいは社会を変えていく、社会をより効率的に、質の高い政策につなげていくためには大変重要だというふうに思っています。そこで、中室公述人と森信公述人、お二人にお伺いしたいんですけれども、日本社会はそういったデジタル化、個人情報に関して非常に敏感で、マイナカードの普及もなかなか進まないと。いろんなメリットがありますよというのをうまく政治の側から伝え切れていないという課題はあるにしても、そういったデジタルですとか個人情報に関しての国民の皆さんのやっぱり受け止めが非常に慎重になっているがために、デジタル化というのがなかなか進みにくい社会になっているんではないかなというふうに感じております。 Angry: 0.258 Disgust: 0.243 Fear: 0.450 Happy: 0.718 Sad: 0.527 Surprise: 0.530
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01:31:00 ~ 01:31:46 浜口誠君
ここを乗り越えていかないと、今やろうとしている、森信先生の、マイナポータルを活用したいろんな情報を民間からもデータをもらって支援につなげていこう、フリーランスですとかギガワーカーの皆さんにつなげていこうというのは大事な視点だと思うんですけれども、ここが非常に、個人情報に対する受け止めの国民の皆さんの意識を変えていくのは大変重要かなというふうに思っておりますが、お二人の公述人にその点に関して、どういうことをやっていけば日本のデジタル社会、あるいは個人情報に関する国民の皆さんのこの認識を変えていただくための何かウルトラCなりDがあるのかどうか、どうお考えかというのをお二人にお伺いしたいと思います。 Angry: 0.633 Disgust: 0.170 Fear: 0.243 Happy: 0.610 Sad: 0.563 Surprise: 0.371
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Angry: 0.336 Disgust: 0.382 Fear: 0.250 Happy: 0.828 Sad: 0.661 Surprise: 0.359
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01:31:54 ~ 01:32:03 公述人(中室牧子君)
時間の関係もありますので簡潔に申し上げますが、私はやはりその国民の皆様の理解を得るように丁寧に丁寧に説明をしていくというほかないのではないかと思っております。 Angry: 0.380 Disgust: 0.356 Fear: 0.425 Happy: 0.716 Sad: 0.503 Surprise: 0.453
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01:32:03 ~ 01:32:40 公述人(中室牧子君)
私はこのような研究者の立場ですから日々子供たちのデータを見ますけれども、その目的や利益を明らかにすることなくデータを使わせてほしいと言うと多くの保護者の方がやはりけげんな顔をされます。気持ち悪いと感じられます。そうではなくて、このデータを使うことによってどんな利益があるのか、どんな目的でそれを使うのかということを明確にして、国民の皆様との間にあるその理解の溝というものをもうとにかく丁寧に埋めていくと、そのことが我々に課せられている最も重要な仕事ではないかというふうに感じております。以上です。 Angry: 0.518 Disgust: 0.440 Fear: 0.501 Happy: 0.473 Sad: 0.422 Surprise: 0.499
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01:32:40 ~ 01:33:19 公述人(森信茂樹君)
お答えします。私が考えておりますのは、一つは、今、マイナポータルにアクセスしたときにログが残るんですね、ログが。ところが、ログだとこれ誰なのかよく分からないんですよね。私は、だから、ログではなくて、これ何省の、まあ何省というか、どこの官庁のどういう担当課がその私の情報を見たのかということが分かるようにすべきではないかというふうに、私もデジタル庁の有識者会議の委員やっておりますのでそのことは申し上げているんですけど、そういう国民の不安を解消するにはそれが私は重要ではないかと思います。 Angry: 0.452 Disgust: 0.318 Fear: 0.494 Happy: 0.594 Sad: 0.411 Surprise: 0.558
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01:33:19 ~ 01:34:30 公述人(森信茂樹君)
もう一つは、一方で、グーグルとか、いわゆる、何といいますか、一方では民間のそういうものに対しては我々全部自分の個人データをもうだだ漏れにさせているわけですね。そういうことを考えますと、政府のあれだけセキュリティーがしっかりしていて、逆に使いにくいじゃないかと言われているものを余り、何というか、プライバシーの観点から問題があると言うのは、ちょっと私は世論も行き過ぎじゃないかというようなことは感じます。そういう意味からにおいても、もっとマイナポータルは民間活力を使って、みんなが週に一回ぐらいはアクセスできるような、例えば私が提言しているのは、あそこにいろんな情報が、収入情報が入ってくるわけですから、家計簿みたいなものが今民間では作っていますけど、そういう家計簿みたいなものをあそこにぶら下げて、将来の年金の幾ら入ってくるかという、その年金ネットの情報なんかも入れることができるんですから、そういう何か本当に利便性の高いものを考えていくということも重要ではないかというふうに思っています。 Angry: 0.521 Disgust: 0.227 Fear: 0.558 Happy: 0.453 Sad: 0.310 Surprise: 0.617
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01:34:34 ~ 01:35:05 浜口誠君
お二人の公述人、大変ありがとうございました。先ほどの御答弁の中にいろんな国民の皆さんに理解をしていただくヒントがたくさんあるなというふうに感じましたので、我々政治の立場からも、デジタル社会ですとか、国民の皆さんからいただいたデータをどう有効活用していくのか、まさに大事な視点だというふうに思っておりますので、しっかりとその点については今後も国会の中でも議論させていただきたいなというふうに思っております。今日は大変ありがとうございました。 Angry: 0.283 Disgust: 0.225 Fear: 0.471 Happy: 0.642 Sad: 0.533 Surprise: 0.585
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01:35:14 ~ 01:36:22 音喜多駿君
日本維新の会の音喜多駿と申します。公述人の皆様、今日は本当にありがとうございます。中室先生は、以前から私も著作や論文等を拝読しておりまして、今日お目にかかれて光栄でございます。また、森信先生におかれましては、以前、我が党の勉強会で給付付き税額控除について御講義賜りまして、ありがとうございます。本日は、改めてよろしくお願い申し上げます。まず、中室公述人の方からお伺いしていきたいと思います。今日御講話いただきました、データに基づく政策を打っていくと、まさに最も重要なことだなと思う反面、我が国の最大の問題点として、そもそもこのデータを取っていくとかエビデンスを蓄積していくということ自体を軽視しているということに問題があると私も思っておりまして、これ、中室先生もいろんなところで警鐘を鳴らしているかと思いますが、特に教育政策については、どうしてもエピソードベースであるとか感情的なことが多くて、ゆとり教育にしてもあるいは大学入試改革にしても制度設計したまではいいけれども、じゃ、した後にどうやってそのデータを蓄積していって、五年後、十年後にフィードバックをしようというところまで考えて本来スタートしていかなければいけないものが、そこを始めずにスタートしてしまって、十年後、何か失敗だったねとか、何か成功だったねと、何となくこう雰囲気でまた意思決定がなされて転換していくと。 Angry: 0.269 Disgust: 0.231 Fear: 0.391 Happy: 0.779 Sad: 0.511 Surprise: 0.534
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01:36:22 ~ 01:36:39 音喜多駿君
この繰り返しで教育行政がなかなかうまくいかなかったんではないかというようなことを私も懸念しております。このエビデンスの蓄積の重要性というところについて、中室先生の御所見を是非この場でもお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いします。 Angry: 0.252 Disgust: 0.228 Fear: 0.364 Happy: 0.700 Sad: 0.600 Surprise: 0.489
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01:36:39 ~ 01:37:06 公述人(中室牧子君)
ありがとうございます。大変重要な御指摘をいただきました。先ほど、実は森信公述人の方から予算に関してのお話がありました。要するに、霞が関では予算を取るということに非常に重きが置かれて、その予算がどのように使われた、執行されたのか、あるいはそれがどのような効果を生んだのかということを検証しないということでありますけれども、私は、まずはこれを改めていくということが最も重要なことだと思っております。 Angry: 0.301 Disgust: 0.244 Fear: 0.479 Happy: 0.653 Sad: 0.463 Surprise: 0.597
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01:37:06 ~ 01:38:08 公述人(中室牧子君)
予算を取ることが大事なのではなく、予算をどのように使い、それにどのような効果があったのかというその検証をやはり義務付けていくということであろうと。例えばアメリカでは、オバマ政権下でエビデンス・ポリシー・メーキング・アクトという法律が可決されています。この中では、一定規模の予算以上のものに関しては効果検証を義務付けて、効果があるというふうに明らかになったものに関しては継続又は増額となるということが定められています。ですので、そういうふうになると、みんなの意識もきちんと効果検証をしようというふうに向いていくわけですけれども、今はそういうインセンティブが全くありませんので、やはり予算を取ることにばかりみんな一生懸命になっていると。そうすると、やはり財政的な面も厳しくなってくるというのは当然のことかというふうに思いますので、やはりこの入口のところに重きを置くのではなく、政策についても出口のところでの質保証ということをしっかりやっていきましょうというふうに変えていくことが、制度設計を変えていくことが重要ではないかと考えております。 Angry: 0.457 Disgust: 0.252 Fear: 0.532 Happy: 0.567 Sad: 0.370 Surprise: 0.568
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01:38:08 ~ 01:38:58 音喜多駿君
ありがとうございます。まさにおっしゃるとおりと思います。日本でもようやくEBPMという言葉が普及してきましたけれども、私は国会でいろいろ行政側とやり取りをしていて感じるのは、EBPMを全く意識していないわけじゃないんですけれども、エビデンスレベルが最も低い、いわゆる専門家の意見ではこうでした、審議会でイエスでしたから大丈夫でしたというところで、数字や事例の積み上げというか、そういったバックデータのないところでどうしても議論されていることが問題ではないかなというふうに感じております。教育政策においても非常にそういったところがやはり大きいと思っていまして、あるいは権威の方であるとか長年この研究されているからという方の意見が非常に通りやすくて、なかなか数字に基づいたものの議論が行われないと。こういう中で、やっぱり教育政策の中で、どう、何というんですか、データに基づいた議論を進めていく上で何が一番のポイントになるというか、そういったところに何か御所見があれば、中室先生、お聞かせください。 Angry: 0.411 Disgust: 0.272 Fear: 0.415 Happy: 0.664 Sad: 0.432 Surprise: 0.511
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01:38:58 ~ 01:39:09 公述人(中室牧子君)
ありがとうございます。私はやはり、まずは研究者がアクセスできるデータを構築していくということが最も大事なことではないかなというふうに思っております。 Angry: 0.267 Disgust: 0.291 Fear: 0.330 Happy: 0.833 Sad: 0.584 Surprise: 0.455
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01:39:09 ~ 01:40:00 公述人(中室牧子君)
例えば、南アフリカでかつてそういう事例があったんですけれども、家計調査だったりとか様々な統計の個票データを研究者に無料で即時開示しているということがありました。こうしますと、南アフリカの研究者だけではなくて世界中の研究者が南アフリカの研究をしているわけですね。今欧州なんかでは、特にヨーロッパの方なんかでは、そのようにいわゆる個票データと言われるような個人のデータを匿名化したデータ、行政データが非常に使いやすくなっている。こうすると、たくさんの研究者がヨーロッパの研究をします。でも、日本ではデータの利用可能性が極めて低いですし、例えば統計の個票データなんかを使っても、それにアクセスできるまでに一年とか掛かったりしますから、そうすると、やはり分かることも限られてくるということですから、そのデータの構築、データのアクセシビリティーを高めるということが非常に重要ではないかと。 Angry: 0.428 Disgust: 0.258 Fear: 0.499 Happy: 0.697 Sad: 0.298 Surprise: 0.595
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01:40:00 ~ 01:40:17 公述人(中室牧子君)
そうすると、研究者は研究するために来ているわけですから、たくさんの研究者が自然とそのデータに集まってきて、いろんな知見を出して、政策に役立つようなものもその中から出てきて、それが利用されていくという好循環が生まれていくのではないかと思います。 Angry: 0.219 Disgust: 0.162 Fear: 0.414 Happy: 0.847 Sad: 0.437 Surprise: 0.681
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01:40:17 ~ 01:41:12 音喜多駿君
ありがとうございます。まさにこのオープンデータの活用というところ、オープンガバメント、これ日本においてやはり非常に脆弱なところで、なかなかデータを公開しないという点については私も以前から問題意識持っていたところですので、是非これは提言をしていきたいというふうに思います。中室先生に最後もう一点、供給側の質を高めるということで、事前規制から事後チェックと私たちも言っていますけれども、これ、教育に限らず非常に重要な点だと思っております。この供給サイドを強化していくという点は、これはもう全面賛成なんですが、じゃ、その方法として市場原理を利用するというのも一つ教育や保育で議論されているところであります。先ほど事例で示していただいたような、評価というのをちゃんと公開していくというところで、日本だとどうしてもこの供給側に、保育所とか学校というところに当然補助金を出して質高めてくださいねというわけですけれども、いわゆるバウチャー形式で、利用する側の方にお金を配って、それで好きなところで使ってくださいと、要は質が高いところを選んでいただいて選択してもらうと。 Angry: 0.502 Disgust: 0.313 Fear: 0.395 Happy: 0.680 Sad: 0.385 Surprise: 0.489
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01:41:12 ~ 01:41:38 音喜多駿君
その結果、この供給側も、じゃ、お客さんを獲得するため、子供たちにより良いサービスを提供するために自然と競争が生まれて質が高まっていくということで、この我々の、政府のお金の出し方も供給側から利用者側に切り替えていくことでむしろこのサービスが高められるんじゃないかというこのバウチャー的な考え方、政策思想もあると思うんですが、この点に対する中室先生の評価をお聞かせください。 Angry: 0.582 Disgust: 0.212 Fear: 0.358 Happy: 0.735 Sad: 0.271 Surprise: 0.607
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01:41:38 ~ 01:42:01 公述人(中室牧子君)
ありがとうございます。これ、バウチャーにはいろいろな種類がありまして、私立学校に使えるものからあるいは学校外の教育に使うものまで様々な種類があって、ちょっと一概にここでバウチャーがいいとか悪いとかということは言えないんですけれども、根本的な考え方として、バウチャーというのは、やはり市場のメカニズムというものをある程度教育に入れるということが目標にされているんだろうというふうに思っています。 Angry: 0.318 Disgust: 0.337 Fear: 0.348 Happy: 0.805 Sad: 0.519 Surprise: 0.451
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01:42:01 ~ 01:43:10 公述人(中室牧子君)
その意味においては、その教育の供給者側、学校だったり塾だったりの自助努力を促すという意味においては一定の効果が認められるものと思いますが、一方で、このバウチャーというのは、先ほど申し上げた公述の中では、教育の需要サイドを刺激する策に当たります。これも先ほど申し上げたとおり、教育の需要サイドを刺激するような、バウチャーもそうですし、無償化みたいなものもそうですし、こういったものは実は長期的には費用対効果に優れないという、そういった研究もあるということになっております。ですので、ケース・バイ・ケースということになるかとは思いますけれども、どちらかといえば、私としては、供給側の足腰を強めるようなタイプの、それは補助金という意味ではなくて、制度設計の方が有用ではないかな、意味があるのではないかなと。例えばガバナンスの強化ということであったりとか、そのアカウンタビリティー、情報公開ということであるとか、あるいは処遇改善、待遇改善、働き方改革ということの方が優先されるのではないかというふうに考えております。 Angry: 0.391 Disgust: 0.328 Fear: 0.514 Happy: 0.611 Sad: 0.446 Surprise: 0.526
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01:43:10 ~ 01:44:27 音喜多駿君
ありがとうございます。その供給側をどう正しく行政が強化していけるかということにも課題もあるかと思いますが、しっかりと我々も検討して議論をしていきたいと思います。それでは、森信公述人の方にお伺いしたいと思います。我が党も以前から、今のやはり将来不安でなかなか景気が回復しないと、若い方々お金が使わないということをごもっともな御指摘だと思っておりまして、今の社会保障改革ということで、最低所得保障制度、給付付き税額控除又はベーシックインカムというものを導入することで、今の特に年金であるとか様々な社会保障制度に対する不安を抜本的に改革すべきではないかということを提案させていただいております。こうした中で、議論の中であるのが、この給付付き税額控除とベーシックインカム、要は、一律給付をして後から取り返すベーシックインカムと、ちゃんと詳細な制度設計をしてピンポイントに給付をしていく給付付き税額控除、これはベーシックインカムを推す方から見れば、政策効果は同じで、言わば兄弟であると、だから政策効果は一緒なんだよと言う人がいる一方で、給付付き税額控除を推した方から見ると、いやいや、そういう単純なものでもないんですよと、もう少し違いもあるんですよというような論もあるというところで、この一律給付をして後で取り返すベーシックインカムと、詳細な制度設計をしてピンポイントで給付をする給付付き税額控除、この違いというか優位性、これに森信先生の御見解があればお聞かせいただきたいと思います。 Angry: 0.494 Disgust: 0.256 Fear: 0.406 Happy: 0.590 Sad: 0.526 Surprise: 0.396
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01:44:32 ~ 01:45:08 公述人(森信茂樹君)
お答え申し上げます。私は、ベーシックインカムと給付付き税額控除は似て非なるもの、だけど非だけど似ているものという、非常に問われる方に対してちょっと対応が違うような答えも実はしているんですけど。まず、やはり一番大きく違いますのは、あくまでやはり給付付き税額控除は勤労というのが大前提になっておりますので、勤労を前提にしていないベーシックインカムとは全く異なると。 Angry: 0.541 Disgust: 0.373 Fear: 0.574 Happy: 0.445 Sad: 0.350 Surprise: 0.568
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01:45:08 ~ 01:46:37 公述人(森信茂樹君)
したがって、何というんでしょうか、ベーシックインカムで全員に毎月十万円ぐらい配りますと、本当にエッセンシャルワーカーみたいな方が本当にいなくなるんではないかというようなこともあると思うんですね。だから、やっぱり勤労というのを前提にした給付付き税額控除というのはその点が大きく違うというふうにまず思っています。それからもう一つ、後から取り返すと、今、音喜多先生がおっしゃったことなんですが、私はこれ、後から取り返すというふうによくおっしゃるんですけど、今の所得税の体系から考えて、後から取り返すというのは極めて難しい。しかも、いろんな計算をしましたが、例えばもう全体が一〇〇としますと、本当に取り返せるのはせいぜい一〇ぐらいの話で、そもそもそのベーシックインカムが世帯に対して配るのかどうか分かりませんが、働いている方はそんな多くないわけですし、さらに、課税最低限以下になっている方も多いわけですから、そういう人に給付されるベーシックインカムを後から取り返すためには、この所得税の税率を相当引き上げなければいけないという状況、私はこれ試算しておりますので、だから、後から取り返すというのは、取り返せばいいというのは、何かちょっと空理空論だなって感じが私はしております。 Angry: 0.449 Disgust: 0.370 Fear: 0.599 Happy: 0.436 Sad: 0.414 Surprise: 0.478
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01:46:37 ~ 01:47:36 音喜多駿君
ありがとうございます。このまさに制度設計の難しさという点があると思うんですが、もう一点、今の点に関連して、この一律給付か、それとも給付付き税額控除かという点で、今回のコロナのような危機が起きたとき、アメリカでもいろんな試行錯誤をして、今バイデン政権が給付付き税額控除にたどり着いているわけですけれども、いかにデジタルデータが進化していってピンポイント給付ができるようになっても、急変したときにどこまで対応できるかというと、本当に、このもう本当に二週間とか一か月とかいう単位で、もうコロナのような本当に想定していない危機が来て急落をして、富裕層が一気に落ちてしまうようなところに対してどこまで対応ができるようになるのかという点で、やはり一律給付をまずすれば、取りあえず抜け漏れなく一旦は全員をカバーして救済した後に、やっぱり余力があった人からは一定程度返していただきましょうねという方が、やっぱりこういう危機の場合においては優位性があるのではないかというような御指摘もあるところなんですけれども、その点について、この給付付き税額控除と一律給付の比較という点から森信先生のお考えがあれば、お聞かせください。 Angry: 0.409 Disgust: 0.275 Fear: 0.476 Happy: 0.582 Sad: 0.518 Surprise: 0.418
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01:47:36 ~ 01:48:04 公述人(森信茂樹君)
お答え申し上げます。今の点は、私は結局、銀行口座に、受取口座にひも付いているかどうかという点が決定的に違うんではないかと思います。アメリカの給付付き税額控除は、当然、税務申告のときにやりますので、当然全部口座とひも付いているわけですね。したがって、それをバイデンが増やすといって法案が通れば、その日からその口座に入ってくるわけですね。 Angry: 0.519 Disgust: 0.343 Fear: 0.503 Happy: 0.643 Sad: 0.322 Surprise: 0.558
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01:48:04 ~ 01:48:46 公述人(森信茂樹君)
ところが、日本の場合、一律にしても、それから世帯、所得制限を付けたところで、やはり受取口座と結び付いておりませんから、即座に入るというふうにはどうやってもいかないんですね。結局、市町村を通じてお知らせをしたり何をしたりしてすごい手間が掛かって、コストも掛かると。だから、私は、やっぱり番号を活用するというのであれば、そちらの方を銀行口座との、受取口座とのまず結び付け、これはもう法案が通っているわけですけど、さらには、もう少し幅広い口座へのひも付けというのが必要になるんではないかというふうに考えております。 Angry: 0.387 Disgust: 0.234 Fear: 0.513 Happy: 0.556 Sad: 0.386 Surprise: 0.652
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01:48:46 ~ 01:49:25 音喜多駿君
ありがとうございます。じゃ、もう一問、ちょっと簡潔にいけるかなと。最後、森信公述人にもう一問。アベノミクスは格差が開いたというようなデータもお示しいただいたんですが、金融緩和ですね、金融緩和の功罪はあると思うんですけれども、まだデフレが継続していてGDPギャップが残っているところでは雇用もまだ弱いという中で金融緩和は継続せざるを得ない側面もあると思うんですが、一方で、今ロシアのこういった動乱も起きて、アメリカ等々でもインフレが進んでいてなかなか金利差も出てきているという中で、この金融緩和をどうしていくかということって非常に難しい課題だと思うんですが、これについて森信公述人の見解をお聞かせください。 Angry: 0.509 Disgust: 0.305 Fear: 0.409 Happy: 0.605 Sad: 0.519 Surprise: 0.444
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01:49:25 ~ 01:50:06 公述人(森信茂樹君)
お答えします。大変難しい問題で、私の能力を超えるような話なんで、ちょっとどう答えていいか分かりませんが、やはり、インフレの足はひたひたとやっぱり来ているんだと思います。特に、金利というのは国際的に裁定、マーケットで裁定されますから、アメリカの金利が上がれば、四の五の言わずに日本の金利も上がらざるを得ないところがあるんですね。そういう意味で、やはりこのインフレの足は日本にもひたひたと来ているんじゃないかと思います。そういう意味において、金融政策をどうしていくかというのは大変難しい問題だというふうに思っております。 Angry: 0.468 Disgust: 0.326 Fear: 0.554 Happy: 0.504 Sad: 0.409 Surprise: 0.548
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01:50:21 ~ 01:51:07 大門実紀史君
日本共産党の大門です。公述人の皆さん、お忙しい中ありがとうございます。まず、中室公述人に伺います。お話、大変参考になりました。問題意識、一致する点も多々ございます。一点、人への投資と経済の関係についてお聞きしたいというふうに思います。今、世界でも日本でも経済格差が問題になっております。貧困の拡大、問題になっております。その経済格差は経済成長を阻害するという考え方も多く今指摘されるようになってきております。 Angry: 0.407 Disgust: 0.352 Fear: 0.489 Happy: 0.602 Sad: 0.484 Surprise: 0.531
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01:51:07 ~ 01:52:13 大門実紀史君
二つのメカニズムがあるのではないかと思うんですけれど、格差が広がる、貧困層が拡大すると需要が低迷すると、で、経済成長を阻害するというのが一つ言われております。中室公述人のお話との関係でいえば、もう一つのメカニズムが言われているんですけど、OECDが二〇一四年の十二月ですかね、私、大変注目したんですけれども、発表しておりますが、貧困層が拡大をすると、まさに公述人のお話のように、子供の教育の機会が、貧困層の方々の教育、子供の教育の機会が奪われて、それが教育への投資不足ということになって、将来の日本の技術開発とかいろんなことを阻害して、中長期的に見れば、格差の拡大が貧困層を拡大して経済も阻害するという考えがございます。 Angry: 0.589 Disgust: 0.253 Fear: 0.478 Happy: 0.411 Sad: 0.383 Surprise: 0.451
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01:52:13 ~ 01:52:42 大門実紀史君
私はこちらのことを大変注目をして、いろんな本を読ませてもらって、中室公述人の本も幾つか読ませてもらったんですけれど、つまり、人への投資と経済成長の関係ですね、ちょっと大きな話かも分かりませんが、今日、資料の中に一部ちょっとあるんですけれど、その辺のところをもう少しお聞かせいただきたいと思います。 Angry: 0.185 Disgust: 0.071 Fear: 0.446 Happy: 0.726 Sad: 0.675 Surprise: 0.605
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01:52:42 ~ 01:53:17 公述人(中室牧子君)
ありがとうございます。非常に重要な御指摘かと思います。確かに、御承知のとおり、経済学の研究の中には、格差が拡大すると経済成長にマイナスの影響があるということを示した実証研究は少なくなく存在しております。その理由の一つは、今まさに御指摘がありましたとおり、その貧困の世代間連鎖ですよね、親の経済状況が良くないということが子供の教育に対する投資不足につながって、子供の学力や学歴がまた低くなってしまって収入が得られないという、そういう貧困の世代間連鎖が起こっていくと。 Angry: 0.382 Disgust: 0.317 Fear: 0.436 Happy: 0.646 Sad: 0.527 Surprise: 0.475
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01:53:17 ~ 01:54:20 公述人(中室牧子君)
そうすると、社会階層が固定化されてしまって、低い方の層の人たちは頑張っても駄目なんだというふうになって、それがそのイノベーションだったりとか成長する意欲を落としていって国全体に影響するという、そういうようなメカニズムが指摘されているのかと思います。ですので、この貧困の世代間連鎖というのはやはり断ち切っていくべきものというふうに考えております。一時的に所得が低くなったり状況が悪くなったりするということはあるんですけれども、それをやはり努力によって改善していけるんだという希望を誰もが持つということはとても大事なことだというふうに思います。そうすると、この貧困の世代間連鎖がなぜ起こるのかということが非常に重要なんですが、今日の資料の中で御紹介したラージ・チェティという、いずれノーベル賞を取るだろうと言われているスーパースター研究者がいますが、彼がそのオポチュニティーインサイトのデータで、先ほどもまた話題に出た税のデータですね、課税のデータというものを親子でつないで、親の所得を子供が上回る、そういうときがいつ来るのか、どういう場所でどんな状況で来るのかということを調べています。 Angry: 0.436 Disgust: 0.318 Fear: 0.579 Happy: 0.434 Sad: 0.489 Surprise: 0.486
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01:54:20 ~ 01:55:00 公述人(中室牧子君)
そうすると、それを全米の地図に表してみると、明らかに貧困の世代間連鎖が起きている。すなわち、子供の所得が親の所得を決して上回らない地域と、そうではなくて、子供の所得が親の所得を上回っていく地域が明らかに分かれているということが分かったんですね。それが、先ほど山下先生が御指摘になったムービング・ツー・オポチュニティーといって、バウチャーを与えて、その貧困の世代間連鎖が固定化している地域からそうじゃない地域に引っ越しをさせるという研究につながっていくというわけなんです。この背景には、ラージ・チェティが、ネイバリングエフェクトといって、やはり周囲の人たちからかなり影響を受けているというようなことを指摘しているということがあります。 Angry: 0.359 Disgust: 0.346 Fear: 0.620 Happy: 0.481 Sad: 0.404 Surprise: 0.647
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01:55:00 ~ 01:55:22 公述人(中室牧子君)
周りの人が全部大卒だと、やはり自分も大学に行くんだというふうに思いますが、周りの人がそうでないと、自分にもそういうチャンスはないというふうに思ってしまう、そうしたモビリティーの低さというのが問題だというわけですね。ですので、やはりモビリティーというのは、その意味においてはキーワードの一つになるであろうというふうに私は考えております。 Angry: 0.246 Disgust: 0.274 Fear: 0.517 Happy: 0.698 Sad: 0.461 Surprise: 0.567
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01:55:22 ~ 01:56:11 大門実紀史君
どうもありがとうございました。森信公述人に伺います。私、ふだん財政金融委員会でございますので、税制の議論をやっているときに森信先生の論文とかよく引用させていただいております。大変お世話になっております。MMTなんですけど、先ほどございました自民党の権威の方も財政金融委員会におられまして、大変刺激を受けているわけでございますが、懇意にもしておりますので、今日ここにいらっしゃらないので、別に肩を持つわけではないんですけれど、少し私の意見を述べさせていただいて、森信公述人の感想を聞きたいと思いますが。 Angry: 0.429 Disgust: 0.293 Fear: 0.371 Happy: 0.712 Sad: 0.475 Surprise: 0.465
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01:56:11 ~ 01:57:08 大門実紀史君
森信公述人の三つの視点の懸念ですね、これはもう私もそのとおりだと思いまして、どうやってインフレを防ぐのかと聞いてみたら、増税するんだと。増税なんてすぐできるのかというようなことがあって、ちょっと荒唐無稽な部分あることはあるとは思うんですけれど。ただ、これまで、もう二十年、三十年、財務省が国の財政は大変だ大変だと言って、我慢しろ我慢しろと、増税をのめと、社会保障の切下げも仕方がないんだという、何といいますか、脅しのような、森信さん、財務省出身の森信さんに言うのもなんなんですけど、そういう、何といいますか、もう緊縮緊縮で人々の心まで緊縮させるような、さも大変だと、オオカミ少年的に、何か家計と一緒にしたりですね、むちゃくちゃな資料を出して、ずっとやってきたんですよね。 Angry: 0.399 Disgust: 0.199 Fear: 0.601 Happy: 0.490 Sad: 0.324 Surprise: 0.679
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01:57:08 ~ 01:58:13 大門実紀史君
それに対して、やっぱり人々の気持ちも緊縮で冷え込んでいくようなことがあって、そういう点で、何といいますか、この積極財政論、そういう財務省の考えに対する対抗軸としての積極財政論というのは、私はやっぱり重要な点があると、ここまでやってきてですよ。ここまで日本経済停滞して、需要が冷え込んで、やっぱりそういう点はあると思っておりまして、先ほどもちょっとありましたけど、これを全面的に活用するというか、全面的展開というのはちょっと幾ら何でもと思いますが、一定、やっぱりその積極財政論の中では思い切った経済対策、今のコロナのように人々が目の前でもう大変な事態になっているというときは、借金があるからとか財政が大変だからとかじゃなくて、やっぱり思い切って人々に支援の手を差し伸べると、それが財政必要だという場合は、そういう場合の国債の発行というのはいろいろあり得ると思うんですよね。 Angry: 0.473 Disgust: 0.288 Fear: 0.594 Happy: 0.533 Sad: 0.379 Surprise: 0.465
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01:58:13 ~ 01:59:10 大門実紀史君
だから、このMMTの考え方を全部というわけにいきませんが、財務省に比べたらまともですから、こちらの方がね、もう少しこの考え方を使って、財政支出のときですね。私は、例えばコロナのもっともっと財政支出必要だと思うんですね、ウクライナの状況も含めてね。やっぱり国債を発行するとすると、その国債は、通常の国債の償還だとやっぱりインフレ懸念とかいろいろ起きますので、特別会計にして特別の償還考えるとか、そういういろんな考え方に、こちらが頭を柔軟にして取り入れていくといいますか、そういうこともあり得るんじゃないかというふうに、多分ここにあの自民党の権威の方がいたらもっと厳しいこと言うと思いますが、最低限そこぐらいは参考にしてもいいんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。 Angry: 0.474 Disgust: 0.250 Fear: 0.418 Happy: 0.661 Sad: 0.377 Surprise: 0.531
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01:59:10 ~ 02:00:17 公述人(森信茂樹君)
お答え申し上げます。大変厳しい御指摘だと思いますけど、でも、今委員のおっしゃった中に私非常に感銘したことがあるんですけれど、コロナでたくさん対策、毎年七十兆ぐらい二年間出していますから、百数十兆出しているわけですね。それを、今おっしゃいましたように、特別会計をつくって償還も考えてきちっと手当てするという、これ私は一番重要なことではないかとまず思うんですね、財政再建とかなんとかという以外の話で。まさに、あの東日本大震災のときには、震災のまだ復興の中で、そういう二十年に、三十年にわたって償還財源を手当てして、何とか特別、歳出はきちっと必要なものは全部出すけれど、将来にわたって、三十年にわたって、その出した分は付加税、所得税の付加税とか住民税の付加税とか法人税の付加税とかという形できちっと返していこうじゃないかということがなされたわけですね。 Angry: 0.473 Disgust: 0.372 Fear: 0.602 Happy: 0.424 Sad: 0.416 Surprise: 0.507
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02:00:17 ~ 02:00:42 公述人(森信茂樹君)
私は、だからコロナの対策も、大盤振る舞いをするのは、人の命というほかにもう代え難いものですから、それはやむを得ないと思うんですね。したがって、それをやはり野放しにするのではなくてきちっと閉じ込めるというのは大変な重要な御示唆だというふうに思いました。ありがとうございます。 Angry: 0.387 Disgust: 0.293 Fear: 0.437 Happy: 0.629 Sad: 0.491 Surprise: 0.506
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02:00:42 ~ 02:01:49 大門実紀史君
ありがとうございます。そういうふうに考えなきゃいけないということも思います。森信公述人のいろんなレポートとか参考にしてもらう一つで、富裕層への課税問題、様々言及されておりますのでよく参考にさせていただいておりますけれど、例の、先ほども言われた一億円の壁ですね、金融所得課税の問題ですけど、これ、二〇〇七年から私ここで取り上げさせてもらっているんですけれど、政府の方が、あるいは金融庁が言っていることなんでしょうか、一般の投資家に影響を与えることが懸念されるとか留意しなきゃいけないとか言うんですけど、そんなことは誰も提案していないわけでありまして、大体あれなんですね、この提案というのは、森信先生と同じなんですけど、超富裕層とか大株主とかの優遇をどうするかという話でそもそも始まっているんで、みんなに一五%、何%にするとか、そういう提案しているわけじゃないんですよね。 Angry: 0.559 Disgust: 0.351 Fear: 0.376 Happy: 0.588 Sad: 0.485 Surprise: 0.399
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02:01:49 ~ 02:02:11 大門実紀史君
先ほども少し言及されたんで、私どもがずっと提案しているのは、大体、今貯蓄しても利息付かないし、ゼロ金利だし、将来不安があるから、サラリーマンの若い人だって何か増やしたいというんで株に投資される方もいるわけですよね。 Angry: 0.414 Disgust: 0.450 Fear: 0.584 Happy: 0.387 Sad: 0.455 Surprise: 0.426
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02:02:11 ~ 02:03:18 大門実紀史君
そんな方に増税しようなんて誰も思っていないわけですよね。例えば、我が党提案してきているのは、譲渡所得の高額の部分だけ、高額になる部分だけ欧米並みの三〇%を掛けるとか、あるいは株式配当は少額を除いて総合課税にするとか、当然、少額投資の非課税制度、NISAとかですね、あの層が増税にならないような、そういう制度設計をすれば別に反対する人はもうほとんどいなくてと思うんですけれど、提案の仕方なんでしょうか、なかなか、与党税調ではかなり議論はされているみたいなんですが、決断がいかないと、これはそうなのかと思いますが、もう少しそういう提案をクリアにしていけばいいのかなと思いますが、森信公述人の御意見を聞きたいと思います。 Angry: 0.631 Disgust: 0.346 Fear: 0.547 Happy: 0.386 Sad: 0.433 Surprise: 0.417
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02:03:18 ~ 02:04:20 公述人(森信茂樹君)
お答え申し上げます。私も今の委員のおっしゃいましたことに基本的に違和感がありません。まさにあれは一律金融所得税率を上げるということでは全くないと思いますし、それは本当に、先ほど言いましたけど、中低所得者の勤労所得よりも高くなってしまう、今もう既に高いんですね、あの一五%というのは。それを更に上げるというようなことは税としては考えられないと思います。問題は、これが十分議論されずに、いや、何か株式市場に影響を与えそうだということで終わってしまったところにちょっと問題があるんじゃないかと思いますので、今年は是非もうちょっと具体案に基づいて、今おっしゃいましたNISAの拡充みたいなものも含めて、日本の資本市場はしっかり守るんだと、だけど所得格差についてはきちっと対応するんだというようなことで議論をすべきだというふうに思っております。 Angry: 0.440 Disgust: 0.411 Fear: 0.508 Happy: 0.581 Sad: 0.396 Surprise: 0.499
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02:04:20 ~ 02:04:44 大門実紀史君
じゃ、最後一点だけ、富裕税というのが議論になってきておりますけれど、前は海外に資産逃げるとかありましたが、今、世界で包囲網が狭まっている中で、アメリカでもちょっと踏み出したことありますが、富裕税、つまり資産に掛ける方ですけど、今後の実現可能性、一言いただければ思います。 Angry: 0.276 Disgust: 0.224 Fear: 0.548 Happy: 0.614 Sad: 0.540 Surprise: 0.520
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02:04:44 ~ 02:05:03 公述人(森信茂樹君)
お答え申し上げます。中長期的には富裕税というのは考え得るものだと思います。今おっしゃいましたように、まさにOECDで自動的情報交換が始まっておりますから、外に逃げるという懸念が大分なくなったということは非常に税制にとっては大きな話だと思います。 Angry: 0.450 Disgust: 0.365 Fear: 0.471 Happy: 0.633 Sad: 0.462 Surprise: 0.507
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02:05:19 ~ 02:06:37 委員長(山本順三君)
以上で公述人に対する質疑は終了いたしました。この際、公述人の方々に一言御礼を申し上げたいと思います。本日は、有益な御意見をお述べいただき、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。速記を止めてください。速記を起こしてください。 Angry: 0.567 Disgust: 0.322 Fear: 0.349 Happy: 0.646 Sad: 0.402 Surprise: 0.462
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02:06:37 ~ 02:07:11 委員長(山本順三君)
それでは、引き続き公述人の方々から御意見を伺います。この際、公述人の方々に一言御挨拶を申し上げます。本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席いただき、誠にありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。本日は、令和四年度総予算三案につきまして皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。 Angry: 0.402 Disgust: 0.288 Fear: 0.361 Happy: 0.782 Sad: 0.445 Surprise: 0.517
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02:07:11 ~ 02:07:56 委員長(山本順三君)
次に、会議の進め方について申し上げます。まず、お一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。それでは、外交・安全保障について、公述人公益財団法人笹川平和財団理事長角南篤君及び名古屋大学名誉教授松井芳郎君から順次御意見を伺います。まず、角南公述人にお願いいたします。角南公述人。 Angry: 0.559 Disgust: 0.320 Fear: 0.421 Happy: 0.604 Sad: 0.455 Surprise: 0.504
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02:08:00 ~ 02:09:12 公述人(角南篤君)
私の方からは、限られた時間ではございますけれども、現在、我が国の中で非常に推進をしております経済安全保障についてお話をさせていただければと思っております。御案内のとおり、経済安全保障というのは世界でも非常に注目されている課題でございまして、これに向けて、今回我が国では初めて経済安全保障を担当する大臣を設置するということで世界からも注目をされているところでございますが、それに伴いまして、現在、御案内のとおり、経済安全保障推進法案ということで今国会の中で議論がされるというふうに伺っております。今日は、それについて少し私の意見を述べさせていただければというふうに思っております。まず、資料に沿って話をさせていただきますが、一枚めくっていただきまして、我が国が推進する経済安全保障と、そして、よくこれに伴って使われている言葉でエコノミック・ステートクラフトということがあります。 Angry: 0.315 Disgust: 0.245 Fear: 0.394 Happy: 0.778 Sad: 0.444 Surprise: 0.547
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02:09:12 ~ 02:10:05 公述人(角南篤君)
なかなか、こうした概念というのが一体何を意味しているかというのがなかなか分からないというところがございまして、今日はまず、私が考える、まず、我が国にとっての経済安全保障というのはどういうことを目指すべきかということを少しお話をさせていただければと思います。いろんな定義があるわけでございますが、私は、この社会経済システムを伝統的・非伝統的安全保障課題ということで、非常に幅広いこの課題というものからこの社会経済システムを守り、そして同時に、この強靱な社会経済システムを活用することによって、こうした脅威に対して課題解決に活用していくというところを考えるべきではないかというふうに思っております。 Angry: 0.554 Disgust: 0.348 Fear: 0.608 Happy: 0.402 Sad: 0.353 Surprise: 0.472
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02:10:05 ~ 02:11:03 公述人(角南篤君)
伝統的といえば、軍事的脅威ということでございますが、これは今、もちろんウクライナではもう大きな戦争に発展しております。具体的に軍が侵攻して行われている脅威でございますが、それ以外にも、非伝統的課題というのは我が国でも非常に大きな脅威として出ています。これは、気候変動であったり自然災害、それからテロ、海賊問題というようなこともありますし、感染症あるいは金融的な危機ということもあります。こうした幅広い脅威というものを、我々のこの社会経済システムをどうやってそこから守り、そしてそこから、自らこのこうした課題に対して解決も出していくと、こういうことを考えるのが経済安全保障ではないかというふうに思っております。参考までに、現在、政府の中で、法案の方で書かれている定義はそこに書いておりますけれども、それよりは、私は割と広めにこう考えているというのが現状でございます。 Angry: 0.433 Disgust: 0.306 Fear: 0.629 Happy: 0.475 Sad: 0.370 Surprise: 0.540
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02:11:03 ~ 02:12:07 公述人(角南篤君)
それから、エコノミック・ステートクラフトというのがよくこの議論の中で出てくるんですが、これは国際関係論の中で、一九八〇年代に、当時私はコロンビア大学の博士課程の学生だったんですけれども、デービッド・ボールドウィンという先生がいらして、それで八〇年代に「エコノミック・ステートクラフト」という本を出しました。それは主に、経済制裁の効果、つまり、ここに書いてありまして、一言で言うと、国家が自らの戦略的目標を達成するために経済的手段によって他国に影響力を行使すると。つまり、経済的な手段を使うことによってある国家的戦略を達成するということをエコノミック・ステートクラフトと当時は言っておりましたが、なかなか現実問題として、実際にそれで効果が上がったのかというところは常にこの研究の間で議論がございまして、効果の実証の問題、あるいは実際に実効性の課題ということをかなり言われております。 Angry: 0.338 Disgust: 0.256 Fear: 0.447 Happy: 0.752 Sad: 0.261 Surprise: 0.702
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02:12:07 ~ 02:13:08 公述人(角南篤君)
今回も、ロシアに対して経済制裁を考えたときに、やはりみんなが一つになって経済制裁をしないと意味がないんですが、やっぱりそこに温度差が必ず出てくると。一国や二国は参加しなくなってきて、なかなかその経済制裁って効果性、効果的なのかという議論が常に、今回もありましたけれども、そういった意味では、この効果が本当にあるのか、あるいは実際にこのエコノミック・ステートクラフトを実行したときに実効性があるのかと、これは研究者の間でも常に議論があるところです。言われているのは、エコノミック・ステートクラフトはアナウンスメント効果はありますということで、これはもう最初からみんなで、ああ、それは絶対私たちは認めませんよというメッセージ効果というのが言われていますが、実際にこれを実動すると、基本的にはお互いに報復の応酬が始まってどんどんエスカレーションしていくと。 Angry: 0.388 Disgust: 0.217 Fear: 0.528 Happy: 0.508 Sad: 0.339 Surprise: 0.663
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02:13:08 ~ 02:14:14 公述人(角南篤君)
じゃ、出口がどこに行くのかというところの議論が常にありまして、今言ったような形でこのエコノミック・ステートクラフトというのは研究の対象には結構なるんですけれども、実際にこれを実行していくということについては幾つかの課題があるということです。このエコノミック・ステートクラフトと経済安全保障というのは同じではなくて、経済安全保障というのはもちろんもっと大きな、先ほど申し上げた概念で今我々はこの議論をしているんだろうという私の理解です。めくっていただきまして、この背景に、これも皆さん御案内のとおり、先端技術をめぐって米中の覇権争いが顕著になっているということがあると思います。我々の研究の中でテクノヘゲモニーの分析というのがあるんですけれども、二十世紀にですね、これは、アメリカが先端技術をベースにしたある種の覇権というものをつくったときの要素というのは二つあると言われております。 Angry: 0.419 Disgust: 0.285 Fear: 0.452 Happy: 0.659 Sad: 0.328 Surprise: 0.611
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02:14:14 ~ 02:15:10 公述人(角南篤君)
一つは、新しいアイデアを誰よりも早く導入する、そういうシステムを持っていると。ここは大学と産学連携というのが一つのキーワードになるんですけれども、やはり、大学で新しいオリジナルのアイデアをつくって、そしてそれを産学連携という仕組みでどんどん世の中に出していく、これを持っていることが一つ要件の中に入っている。それからもう一つは、それを一気に大量生産をして社会実装していくと。この二つの要素を持っている国はいわゆるテクノヘゲモニーというような意味で技術の覇権国家としてできていくということでありまして、そして、御案内のとおり、二十世紀後半には日本が世界の中ではこの技術をもって大きな国に、大国になるのではないかということで言われたときもあります。 Angry: 0.373 Disgust: 0.261 Fear: 0.475 Happy: 0.700 Sad: 0.327 Surprise: 0.674
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02:15:10 ~ 02:16:45 公述人(角南篤君)
今回、今は、この二十一世紀になって中国がまさにこの分野で台頭したことによってアメリカは覇権国という地位を脅かされているということでありまして、例えばロボティクスであったり、AIであったり、ドローンであったりというようなところがまさにこのターゲットになって米中の間での覇権争いが非常に激化していると。そういう背景の中で我が国にとって経済安全保障ということを考えなきゃいけないという議論が今起きているというところでございます。先端技術が切り開くフロンティアというのは、テクノジオポリティクスというふうに我々呼んでいますけれども、そこにおいては、宇宙空間であったり海洋であったり北極圏であったりサイバー空間であったりということで、まだまだ我々人類がまだ未開のところで、先端技術がないと入っていけないようなそういう空間においてまさにこの米中の覇権争いが激化しているというのが現状であろうというふうに思っておりまして、こういった意味では、日本、我が国も先を見て、海洋の可視化プロジェクトというのをこう書いてありますけれども、海の、海底であったり、それから月面産業ビジョンということで、もう月まで見通して戦略を打っていくと、こういったところを同時に考えながらこの経済安全保障戦略というのを立てていく必要があるだろうということであります。 Angry: 0.543 Disgust: 0.292 Fear: 0.531 Happy: 0.579 Sad: 0.300 Surprise: 0.552
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02:16:45 ~ 02:17:02 公述人(角南篤君)
めくっていただきまして、中国の台頭なんですけれども、私はずっと、何年かずっと中国の科学技術政策を見てきまして、やがてこの日が来るだろうとずっと確信していました。 Angry: 0.587 Disgust: 0.295 Fear: 0.302 Happy: 0.684 Sad: 0.429 Surprise: 0.438
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02:17:02 ~ 02:18:13 公述人(角南篤君)
毛沢東が両弾一星政策というのを打ち出して、その後、トウ小平が改革・開放ということで、大学、それから研究機関、いろんなこうした科学技術を支える組織の変革に大胆に取り組んできた、しかもそれを長くやってきたというのが中国の私は強みだろうと思っております。先ほどアメリカの例を取り上げて、テクノヘゲモニーの二つの要件と、話をしましたが、一つはまさに新しいアイデアを導入して産学連携で出していくということと、二つ目は大量生産をできるノウハウ、能力ですが、この二つは、実は私は中国にはあるというふうに思っています。非常に長く大学を改革してきまして、今や、北京大学もそうですけど、中国のトップ大学は世界のランキングの中でもかなり上を狙ってくるポジションまで上がってきましたし、それから、研究機関もどんどんベンチャー企業を起こしたり、いろいろしながらやってきたという、システムをとにかく長年掛けて導入してきたというのが一つです。 Angry: 0.314 Disgust: 0.196 Fear: 0.458 Happy: 0.818 Sad: 0.244 Surprise: 0.727
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02:18:13 ~ 02:19:01 公述人(角南篤君)
それから、大量生産の話は、これは我が国もすごく貢献したんだと思うんですけど、中国で物づくりを一生懸命やりましたので、そこにはある意味で大量生産をするノウハウとか工場というのを幾つも彼らは持っていったわけですね。そうすると、テスラが最初に電気自動車を造ろうと言ったときに、世界の中で中国を選んで、そして中国で生産をするということをしているわけであります。そういう意味では、この生産システムを持っているということで、この二つの要件を満たしている中国はまさにアメリカにとっては非常に脅威になるということで、この中国とアメリカとの間での覇権争いが、この我々が今経済安全保障を議論している背景にあるということをお話しさせていただきました。 Angry: 0.503 Disgust: 0.235 Fear: 0.537 Happy: 0.595 Sad: 0.284 Surprise: 0.623
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02:19:01 ~ 02:20:09 公述人(角南篤君)
そして、めくっていただくと、具体的に、五ページ目に、アメリカと中国の間で技術の優位性をめぐる競争が具体的なプログラムとして、政策としてこういう形で出ています。先端技術の脅威、それに対する投資拡大ということで、アメリカは、これも御案内のとおり、最近イノベーション・競争法案ということが通りまして、半導体とかいろんな新しい先端技術、大きな投資をするということが決まりました。それに対して中国も、第十四次五か年計画で非常にこの研究の強化というのを入れております。それから、人材の問題、確保、流出対応ということで、アメリカも中国も、特に中国はこの千人計画というのが有名になりましたので、そういった意味で、お互いにこの人材、それから流出対応ということで、これを、政策を取っていると。それから、技術、データの保護というものを強化するということで、アメリカと中国、それぞれ輸出管理に関してもこういう形で政策を整備している。 Angry: 0.352 Disgust: 0.320 Fear: 0.453 Happy: 0.773 Sad: 0.366 Surprise: 0.571
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02:20:09 ~ 02:21:14 公述人(角南篤君)
それから、サプライチェーンのリスクの低減ということで、これも、中国も十四次五か年計画の中でサプライチェーンの強化というのを入れておりますし、アメリカも、御案内のとおり、サプライチェーンの再評価をバイデン政権の下でこれを実施しているという状況であるということです。めくっていただきまして、そうした中で、これはアメリカと中国だけの動きではなくて、世界中でこのミッション志向型ということが今言われていて、これは、ミッション志向型というのは、課題解決に向けた、こういう先端科学技術を使うんだという。今までは、科学技術というのはある意味で文明論的な部分もあって、我々が科学技術を発展させることがある意味では文明の一つのあかしみたいなところがあって、極端な話をすればですね、それから、やはり何のために我々は科学技術を発展させ、何のためにこれを我々は使おうとしているのかというミッション型のスタイルにこれ今世界がずっと変わってきています。 Angry: 0.393 Disgust: 0.240 Fear: 0.488 Happy: 0.661 Sad: 0.366 Surprise: 0.606
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02:21:14 ~ 02:22:23 公述人(角南篤君)
ですので、今一番挙がっているのは、もちろん経済安全保障のような脅威に対してある種科学技術を使っていくんだというようなこと、それから、気候変動のような地球規模課題の解決に向けてやっていくんだ、あるいは今我が国が推進しているソサエティー五・〇のような社会課題、これは高齢化社会もそうですし、地方創生もそうですし、そういった課題を解決するために科学技術を導入するという意味でこのミッション型と、常に何かミッションを与えて、その下で先端科学技術を伸ばしていく、あるいは取り込んでいくということが今これは全世界的に広がっています。めくっていただいて、このDARPA型というのがその開発のプログラムの一つのモデルとなっていまして、これはアメリカの国防総省の下でアメリカが、スプートニク・ショック以来ですね、とにかく二度と先端技術で世界に負けないということで、非常にリスクは高いんだけれども、世の中にインパクトがあって、ゲームを変えるようなプログラム、技術を開発するためにつくったモデルでございます。 Angry: 0.293 Disgust: 0.217 Fear: 0.695 Happy: 0.536 Sad: 0.331 Surprise: 0.569
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02:22:23 ~ 02:23:01 公述人(角南篤君)
例えば、このDARPAの中でGPSが出てきたりインターネットが出てきたりというようなことでやってきたわけですが、こうしたハイリスクの、しかも、ちょっと先なんだけれども、できたときは世の中を物すごく変えてしまうと、ゲームを変えてしまう、こういうゲームチェンジャーというものを支えるためにこのDARPAというのをみんな今学んでいて、中国もそれからヨーロッパも、いろんなところでこのDARPA型が検討されているという状況があります。めくっていただいて、最後、時間になりましたので、そうした中で、我が国として、経済安全保障に係る取組を始めてきたということであります。 Angry: 0.226 Disgust: 0.202 Fear: 0.474 Happy: 0.741 Sad: 0.520 Surprise: 0.604
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02:23:01 ~ 02:24:11 公述人(角南篤君)
経済安全保障法制度の議論がありまして、これ有識者会議というのが立ち上がって、私も委員として参画させていただきました。いろんな議論があった中で四つ言われていることがあって、それは、サプライチェーンの強靱化であり、重要物資の安定的な供給の確保、それから基幹インフラの安全性、信頼性の確保、それから官民技術協力によって、さっき言ったような先端技術を磨いて育てていく、それから特許出願の非公開化というようなことがあります。その中で、最後に、こうした仕組みをしっかりやっていくために、今一つだけ私が申し上げたいのは、これを支えるインテリジェンス機能ですね、シンクタンク機能を持たないと、どの技術が重要でどの技術はもっとオープンにしてよくて、あるいは、これから先どこに投資をしたらいいのか、いろんなそういう、あるいは産業界の中で今どういう研究が重要視されていて、それがどういう形で今後世の中にインパクトを与えていくのかと、こうしたことを専門的に分析をし、そしてその情報を政策に反映していくシステムが必要であります。 Angry: 0.526 Disgust: 0.315 Fear: 0.413 Happy: 0.661 Sad: 0.331 Surprise: 0.527
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02:24:11 ~ 02:25:36 公述人(角南篤君)
そこに、やはりこのいわゆるシンクタンク機能を持っていないと、この経済安全保障法案で整備されても、実際運用するとなるといろんなことで困難なことが想像されると思います。ですので、この法案を出していくと同時に、やはりこのシンクタンク機能というのはどうあるべきかということも議論をしなきゃいけないということであります。一つの、ここに参考までに置いてあるのがこのFFRDCという、フェデラリー・ファンデッド・リサーチ・ディベロップメントセンターという、アメリカのランド研究所なんかがやっているような、割と長期的にコントラクトを政府からもらって、そして、その五年間なら五年間の間、政府の一つの研究機関のように研究ができるという民間組織をコントラクトで結んで活用するというやり方でありまして、こうした制度の新しい取組というのを我が国も検討していかないと、なかなかこうした研究、シンクタンク機能というのを整備できないんではないかというふうに思っておりまして、あとは、御参考までに、ランドのストラクチャー、十ページ目、それから十一ページ目に今言ったようなこの課題も書いておりますけれども、もし御質問いただければ後ほどまた御説明をさせていただければと思いますが。 Angry: 0.564 Disgust: 0.339 Fear: 0.468 Happy: 0.557 Sad: 0.364 Surprise: 0.461
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02:25:36 ~ 02:26:30 公述人(角南篤君)
やはりこの経済安全保障、米中のあれもありますし、今まさに対ロシアに関して経済制裁、次半導体だ、あるいは医薬品だ、いろいろ出てきていますけど、どういう効果があるのかということもこのシンクタンク機能がないとなかなか分析できないということであります。その中で、我々が日本にとって、あるいは我々国民社会にとって、ただ閉じればいい、ただ守ればいいだけではなくて、どうやってそれを発展させていって、そしてそれを社会で共有していくかという、両方の面ですね、これをバランスを取るためにも、やはりちゃんと分析をし、ちゃんと情報を集めて政策に反映させていくシステムが必要でありまして、これがまだ我が国にないので、今この議論は先に進んでいますけれども、是非これは早急に検討していく必要があるというふうに思っております。 Angry: 0.436 Disgust: 0.148 Fear: 0.475 Happy: 0.534 Sad: 0.419 Surprise: 0.600
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02:26:49 ~ 02:27:18 公述人(松井芳郎君)
松井でございます。本日は、お招きいただきまして、ありがとうございました。私に与えられた課題は、御存じウクライナ危機についての国際法的な問題点について話をしろという御注文でありましたが、参議院予算委員会の議論でありますので、日本ともどういう関わりがあるかということを最後に簡単に触れることができればいいと思っております。 Angry: 0.492 Disgust: 0.351 Fear: 0.399 Happy: 0.670 Sad: 0.379 Surprise: 0.484
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02:27:18 ~ 02:28:16 公述人(松井芳郎君)
一応簡単なレジュメを差し上げておりますので、それに沿ってお話をいたします。まず最初に、ウクライナ危機について、国際法とか国連がどのように関わるかという問題でありますが、御存じのように、ロシアの行動が国際法を踏みにじった暴挙であるということはもう国際社会で一般に行き渡っておりまして、日本でも、政府もそう言っておりますし、衆議院、参議院でもその趣旨の決議をしておられるという状況でありまして、今更国際法学者が出向いて国際法に違反しているよというふうな議論をしても余り意味がないようにも思われますが、しかし、やっぱりどの点にどのように違反しているかということを確認するのは、この問題、解決を考える際に必要なことだろうというふうに思っております。 Angry: 0.488 Disgust: 0.259 Fear: 0.391 Happy: 0.677 Sad: 0.337 Surprise: 0.479
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02:28:16 ~ 02:29:04 公述人(松井芳郎君)
それから、国連無力論というのも一部に登場しておりまして、ロシアがあんなひどいことをやっているのに国連何もできないじゃないかという議論であります。これについても是非考えておく必要があるだろうと思っております。それで、一のところで書きましたのは、これも皆さんよく御存じの、三月二日の国連の緊急特別総会の決議がロシアに対してどういう非難をし、どういう要求をしているかということを簡単に箇条書をいたしました。ここに含まれているような論点がこの危機が示す国際法上の論点だろうというふうに思って箇条書にしたわけであります。 Angry: 0.672 Disgust: 0.394 Fear: 0.434 Happy: 0.455 Sad: 0.335 Surprise: 0.451
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02:29:04 ~ 02:30:11 公述人(松井芳郎君)
時間が詰まっておりますので一々読み上げませんが、御覧をいただきたいと思います。なお、国際法の問題を取り上げると申しましたが、ちょっとここで触れることができないことがありまして、これもレジュメに書きましたけれども、最近特に問題になっている原発への攻撃ですね、それから、これは紛争の始まった当時からずっと言われている文民とか民用物への攻撃、これは国際人道法に違反するのではないかという議論がございますが、残念ながらこれには触れることができない。それからもう一つ、この紛争で行われている、特にロシア側の様々な戦闘行為が戦争犯罪に該当するんじゃないかということで、これを処罰しようという動きが国際刑事裁判所等でも行われておりますが、これにも触れることはできません。つまり、紛争自体、ロシアの武力行使自体が国際法的にどういう問題を含んでいるかということに絞りたいと思います。 Angry: 0.564 Disgust: 0.303 Fear: 0.520 Happy: 0.414 Sad: 0.454 Surprise: 0.432
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02:30:11 ~ 02:31:05 公述人(松井芳郎君)
レジュメの二番目ですが、ロシアがこの作戦をどういう根拠で説明しているのかということであります。まだ紛争始まってそんなにたつわけではありません。つまり、武力が使われてそんなにたつわけではありませんので、系統立った国際法的な説明というのはロシア側はやっておりません。準備の時間が余りなかったので十分調べられておりませんけれども、プーチン大統領の幾つかの演説が新聞紙上でも大きく報道されました。それから、国連機関、安保理事会とか総会で議論が行われておりまして、もちろんロシア代表が発言しております。そういうところから大体ロシアはこういうつもりだろうというところを取り上げてみたのがその次の項目であります。 Angry: 0.624 Disgust: 0.345 Fear: 0.491 Happy: 0.458 Sad: 0.397 Surprise: 0.533
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02:31:05 ~ 02:32:07 公述人(松井芳郎君)
まず、何よりも先頭に来るのが国連憲章第五十一条、プーチンさんの演説も具体的にこの条を援用しておりますが、これに基づく自衛権の行使だということです。これが中心的な議論だろうと思います。これに二つの側面がありまして、一つはロシアが承認したと言っておりますウクライナの東部地域の、ロシア系の人たちがつくった国ですね、そういう国からの要請に基づいて集団的自衛権を行使しているという議論であります。もう一つは個別的自衛権の議論でありまして、ウクライナが核兵器の取得を追求している、あるいはNATO加盟を求めている。それから、ロシアに対して様々な領土要求を行っているというふうなことを挙げまして、これに対する自衛だということは、つまり個別的自衛という主張であります。 Angry: 0.708 Disgust: 0.396 Fear: 0.422 Happy: 0.533 Sad: 0.301 Surprise: 0.468
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02:32:07 ~ 02:33:15 公述人(松井芳郎君)
とりわけNATOの加盟については大変敏感でありまして、越えてはならない一線だと、それを越えたじゃないかという言い方をしております。もう少し一般的に申しますと、これもレジュメで一言書きましたけれども、ウクライナの非軍事化と非ナチ化ということを何度かいろんな場所で言っておりまして、これは要するにウクライナの体制自体を変更するという要求あるいは意図を示しているというふうに思われるわけであります。それでは、項目の三つ目に入りまして、こういった根拠による武力行使が国際法上どのように評価されるかという問題であります。事実関係は、まだ紛争が始まってそんなにたたないわけですから詳細に分からない点が多々あるのは事実ですけれども、ロシアの主張は非常に事実によって正当化されていない。 Angry: 0.570 Disgust: 0.380 Fear: 0.498 Happy: 0.495 Sad: 0.393 Surprise: 0.456
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02:33:15 ~ 02:34:02 公述人(松井芳郎君)
ロシアが挙げているいろいろな事実がどうも一般的な説得力を持たないという印象がありますが、それだけではなくて、法的にも多くの問題点があるというふうに考えております。それをポツ、ポツで書きまして、何よりもやはり武力行使禁止原則の違反であります。これは先ほどの総会決議も非常に強調している。侵略行為という非常にきつい言葉を使って非難しているところでありますが、レジュメに書きましたのは、実は国連総会決議でも、五十年ぐらい前になりますが、侵略の定義という決議がありまして、その中の一部を引用したものであります。 Angry: 0.578 Disgust: 0.322 Fear: 0.575 Happy: 0.422 Sad: 0.311 Surprise: 0.580
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02:34:02 ~ 02:35:03 公述人(松井芳郎君)
一国の軍隊による他国の領域に対する攻撃、侵入、占領は侵略行為になるということで、これに責任を負う指導者は個人としても刑事責任を負うという考えが確立しております。もっとも、やみくもに全部駄目だというわけではなくて、幾つかの違法性阻却事由が考えられるわけでありまして、そういうものが考えられるかどうかということでありますが、自衛権については、自衛権の行使を主張する国は相手国が自国に対して武力攻撃を行ったということ、そして、自国の対応は攻撃に対して必要であり、かつ均衡が取れたものであるということを証明しなければならないというふうにされております。しかし、ロシア自身がウクライナによる武力攻撃があったとは言っておりません。 Angry: 0.749 Disgust: 0.344 Fear: 0.521 Happy: 0.300 Sad: 0.369 Surprise: 0.429
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02:35:03 ~ 02:36:12 公述人(松井芳郎君)
これはもう客観的にもそういう攻撃があったとは言えないと思いますが、ロシアの言い分では、自国に向けられた脅威に対して自衛をしているという言い方であります。しかし、単なる脅威では自衛権の発動は正当化できません。それからもう一つ、これもプーチン大統領等がしばしば言うことでありますが、ジェノサイドの防止、つまり東部諸国、ロシアが承認した東部諸国でウクライナ政府がロシア系の住民に対してジェノサイドを行っているという、これをやめさせるんだという議論であります。確かにジェノサイドは国際法上の犯罪でありまして、これも刑事責任が発生する問題でありますが、これに対処するのは国際社会全体、とりわけ国連の役割でありまして、個々の国家が自称お巡りさんのようにしゃしゃり出て武力を使うというようなことを正当化するわけではありません。 Angry: 0.763 Disgust: 0.345 Fear: 0.576 Happy: 0.281 Sad: 0.274 Surprise: 0.504
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02:36:12 ~ 02:37:16 公述人(松井芳郎君)
実際にジェノサイドが行われているかどうか、行われているとすれば、ロシアがそのジェノサイドをやめさせるためにいろんなことをやる、そういうことができるのかどうかということをウクライナが国際司法裁判所に提訴をしておりまして、裁判が始まるかどうかはなお未知数でありますけれども、もし判決が出れば、その辺りのことは司法的に明確になるというふうに考えております。それから、不干渉原則の侵害ということがありまして、ウクライナがどのような対外政策、例えばNATOに入るかどうかですね、どのような対内政策を取るかということは、国際法が認める範囲内でウクライナ自身が決めることでありまして、これらの問題について何らかの圧力を掛けて、武力には限りませんが、圧力を掛けてああしろこうしろと言うことは不干渉原則に違反をいたします。 Angry: 0.762 Disgust: 0.288 Fear: 0.435 Happy: 0.479 Sad: 0.261 Surprise: 0.451
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02:37:16 ~ 02:38:03 公述人(松井芳郎君)
それから、先ほどからぼつぼつ、ちょろちょろ出てきていますが、東部諸国の独立承認という問題ですが、これらの諸国、中身をお話しする時間はありませんけれども、国家として、国際法上国家と認められる要件を備えていないというふうに思われますし、国家でなくても自決権を有する人民と認められれば、これに対する援助をするということも違法ではありませんけれども、そういう人民でもない。むしろ、ロシアが言わばでっち上げた、日本の歴史を思い起こせば、満州国のようなかいらい政権であろうというふうに見られます。 Angry: 0.772 Disgust: 0.373 Fear: 0.453 Happy: 0.444 Sad: 0.314 Surprise: 0.422
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02:38:03 ~ 02:39:32 公述人(松井芳郎君)
そういう政権に対して承認を与えることはウクライナに対する違法な干渉となります。それから、ウクライナの非ナチ化、つまり体制変更を求めるというのは、実はイラク戦争のときにもアメリカはちらっとそういうことを言ったんですが、これは同盟国からもう全て、例えば英国等からも総スカンを食いまして、少なくとも表立った目標として体制変更を掲げるのは妥当ではないということが確認されたと思われます。もちろん、ウクライナの政治的独立の侵害となります。その次に書いたことは、もうちょっと国際法の問題とは直接関わらないかもしれない、詳しくは申し上げませんが、周辺諸国に対して昔の大ロシア主義を思わせるような拡張政策を繰り返して取っておりまして、最近は、ウクライナについても、あれは実は昔はロシアの一部であったので、ロシア革命の際にレーニンが間違って独立を認めちゃった、それが問題なんだということをプーチン大統領などは言っておりますから、これはひょっとして昔の領土だから返せという議論につながっていくのかもしれません。 Angry: 0.789 Disgust: 0.382 Fear: 0.419 Happy: 0.435 Sad: 0.297 Surprise: 0.415
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02:39:32 ~ 02:40:08 公述人(松井芳郎君)
それから、もちろん国連憲章でいえば紛争の平和的解決義務にも違反しております。ウクライナのNATO加盟はロシアの安全保障上の懸念になっているということは、国連の議論でも幾つかの国が認めているわけです。しかし、そういう懸念があるからといって、それは平和的な交渉等で解決するべき問題でありまして、そのために武力を使うということの根拠にはならないというふうに考えます。 Angry: 0.674 Disgust: 0.392 Fear: 0.487 Happy: 0.440 Sad: 0.375 Surprise: 0.435
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02:40:08 ~ 02:41:13 公述人(松井芳郎君)
この紛争自体の国際法上の問題、これに尽きませんが、主要な論点は以上のようなことかと思いますけれども、これが、では、国際法と国連に対してどういう意味を持っているのか、日本にとってどういう含意があるのかということを最後に簡単に触れておきます。国連における討論の経過を数行、ごく簡単に書きまして、もう読み上げませんけれども、この経過は、ロシアの行動が国際社会の圧倒的多数の世論によって批判され、やめるように求められているということは明らかであります。しかし、国連は結局何もしていないじゃないかというふうに言われる方もありますけれども、国連は一応、国連憲章と関連の決議が定めるとおりに機能しております。 Angry: 0.600 Disgust: 0.360 Fear: 0.457 Happy: 0.531 Sad: 0.355 Surprise: 0.445
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02:41:13 ~ 02:42:04 公述人(松井芳郎君)
確かに、総会決議は法的な拘束力を持たないわけですけれども、国際世論を結集するという意味では非常に重い道義的、政治的意義を有するわけでありまして、今回の、先ほど触れました緊急特別総会の決議もそのような意味が大きいだろうというふうに思われます。確かに、具体的な措置は何もとられていないわけですが、これは国連憲章の欠陥とか国連の落ち度ということではなくて、むしろロシアが核大国であって、しかもしばしば核兵器を使うという脅しを掛けている、このことがやっぱり一定の効果を上げているという側面が否定できませんで、むしろそちらが問題だろう。 Angry: 0.722 Disgust: 0.338 Fear: 0.517 Happy: 0.412 Sad: 0.295 Surprise: 0.444
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02:42:04 ~ 02:43:16 公述人(松井芳郎君)
その裏返しとして、国連が機能していないということを理由にして、核抑止でやっぱりやらなきゃ駄目だという議論が一部に登場しておりますが、核抑止というと大変現代的な概念のように思われますが、歴史的に見れば、十九世紀の国際社会を支配していた勢力均衡の考え方と基本的には同じでありまして、その勢力均衡がうまくいかなかったからこそ国際連盟で集団安全保障がつくられたという経過があります。したがって、核抑止論でいこうという議論は、実は十九世紀的な古い古い国際関係に戻るべきだと主張でありまして、これはとても取ることはできないだろうというふうに思われます。それとも関わりまして、現在、日本ではいわゆる敵基地攻撃論が検討の対象になっておりますが、下手をすると、敵基地攻撃をやれば今回のロシアと同じ立場に立つ危険があるということを認識しておく必要があるだろう。 Angry: 0.720 Disgust: 0.352 Fear: 0.523 Happy: 0.370 Sad: 0.320 Surprise: 0.370
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02:43:16 ~ 02:44:08 公述人(松井芳郎君)
つまり、自衛権の行使である、敵基地攻撃を自衛権の行使であるという説明をしようとすれば、そのことは事実において立証しなければいけませんが、今回ロシアが全くできていないように、日本も、もし、そういう場合、立場に立てば、立証が非常に困難であろうというふうに思われます。で、立証できなければ日本が侵略者だということになってしまうわけであります。それから、もう一つ、これも懸念されることでありますが、ごく一部のようですけれども、核共有という議論があるように見受けます。つまり、非核三原則を外して核を持ち込ませて、そしてその引き金に日本も手を掛けるというふうな仕組みをつくるべきだという議論です。 Angry: 0.586 Disgust: 0.327 Fear: 0.575 Happy: 0.404 Sad: 0.368 Surprise: 0.500
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02:44:08 ~ 02:45:05 公述人(松井芳郎君)
言うまでもなく、これは日本の国是である非核三原則に反する、少なくとも一原則はほごにするということになるわけでありますが、それだけではなくて、核拡散防止条約ですね、NPT、この第二条で非核兵器国の義務というのが幾つも定められておりますが、そのうちの一つに核兵器の管理を直接又は間接に受領しないことという義務がありまして、これに違反するだろうというふうに考えております。あと、まあ今回の危機から日本がどういうことを学ぶべきかということを、ちょっとこれはもう全く私の感想であります。二点書きましたけれども、もう時間が過ぎましたので、これはまた、御議論がありましたら、後ほど一緒に話をさせていただきたいと思います。 Angry: 0.575 Disgust: 0.306 Fear: 0.501 Happy: 0.453 Sad: 0.389 Surprise: 0.507
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Angry: 0.331 Disgust: 0.342 Fear: 0.312 Happy: 0.869 Sad: 0.473 Surprise: 0.428
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02:45:09 ~ 02:45:30 委員長(山本順三君)
ありがとうございました。以上で公述人の御意見の陳述は終わりました。それでは、これより公述人に対する質疑に入ります。質疑のある方は順次発言を願います。 Angry: 0.638 Disgust: 0.494 Fear: 0.407 Happy: 0.563 Sad: 0.460 Surprise: 0.392
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02:45:30 ~ 02:46:18 堀井巌君
自由民主党の堀井巌でございます。本日は、角南公述人、松井公述人、貴重なお話、ありがとうございました。今、ロシアによるウクライナ侵略、これはもう申すまでもなく、先ほど御指摘もありましたように、明白な国際法違反であります。本当にこのようなことを国際社会いまだ止められないということ、非常にみんな、じくじたる思いであります。今日は、それぞれ貴重なお話いただきましたが、私の方からは、このウクライナの危機を、今起こっているこの現況の中で、特にこの日本の今後の安全保障をどう考えていくか、日本との安全保障との関わりの中で質問をさせていただきたいと存じます。 Angry: 0.462 Disgust: 0.259 Fear: 0.443 Happy: 0.572 Sad: 0.422 Surprise: 0.575
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02:46:18 ~ 02:47:05 堀井巌君
まず、角南公述人の方にお伺いをしたいと思います。このロシアによるウクライナへの侵略、武力行使、これは人ごとではないと思います。この我々のこの東アジアにおいて、ロシアは隣国であります。また、北朝鮮が今核開発を継続している、またミサイル開発も進めている、今もミサイルの発射を今年に入っても何度も繰り返している状況にございます。また、中国については、先日発表されました予算が、日本円で公表されているだけで二十六兆円ということで、日本の四倍以上であるということであります。 Angry: 0.542 Disgust: 0.283 Fear: 0.467 Happy: 0.560 Sad: 0.379 Surprise: 0.563
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02:47:05 ~ 02:48:01 堀井巌君
当然、核大国でもあるわけでございます。こういった、今厳しい安全保障環境に日本は置かれているわけでありますけれども、その中で、このロシアという国が国連安保理の常任理事国で、拒否権を持つ国がこういう武力行使を行った、なかなか国連がこれを非難決議をしようとしても、それを拒否権を行使されてしまうと、国際社会において非常に難しい状況があります。そこでお伺いしたいんですが、このような今回のウクライナ危機を見て、日本の将来のこれからの安全保障についてどのような教訓を持っている、得られるかと、お感じになっているかというのをお伺いしたいと思います。 Angry: 0.530 Disgust: 0.347 Fear: 0.534 Happy: 0.452 Sad: 0.461 Surprise: 0.415
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02:48:01 ~ 02:49:11 公述人(角南篤君)
御質問ありがとうございます。私は、本当にまさかこの二十一世紀でこんな大掛かりな戦争が目の前で起きるとは思っていませんでした。私もずっと国際政治を勉強してきましたけれども、やはり先ほどの経済安全保障もそうなんですが、その大前提になっている国際社会というものがこんなに、ある意味原始的というか、武力行使も含めて、もう見ているしかないという状況というのを前提として、じゃ、我々どうしたらいいのかということをもう一回考えなきゃいけないんじゃないかなというふうに思いました。経済がグローバル化すると、皆、相互依存が高まるものですから、経済安全保障の議論も、やはりある種どこまで自分の身を削りながら、相手に対して攻撃するなり相手を追い込んだりと、これ、経済、お互いに相互依存が高まるとなかなかむちゃなことができないだろうというのが大前提にありますが、まさに今回はそういうことは全く関係なく起きてしまっている。 Angry: 0.315 Disgust: 0.259 Fear: 0.563 Happy: 0.467 Sad: 0.538 Surprise: 0.562
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02:49:11 ~ 02:49:55 公述人(角南篤君)
つまり、力と力の戦いというのが大原則にあるんだとなったときに、やはり、今日は経済安全保障というテーマでございましたけれども、我々の社会経済をどうやってこういった脅威から守るかということを、いち早く取り組む必要があるかなと。原子力発電所の攻撃も今朝も見ていましたけれども、そういった意味での社会インフラと、それから重要な基幹インフラもそうですし、重要物資ですよね、そういったものの確保というものをしっかりと戦略的に持っていかないといけないというのは改めて感じておりますので、まさに先生方にはそういった議論をこれから期待したいと思います。よろしくお願いします。 Angry: 0.368 Disgust: 0.224 Fear: 0.448 Happy: 0.693 Sad: 0.438 Surprise: 0.510
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Angry: 0.434 Disgust: 0.296 Fear: 0.232 Happy: 0.808 Sad: 0.651 Surprise: 0.365
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02:50:00 ~ 02:50:46 堀井巌君
予算委員会の去る日の議論で、岸田総理から答弁がありましたが、我が国がこの戦後平和が維持された要因として、もちろんこの現行憲法の下で平和の歩みを進めてきたということを前提として、岸田総理からは、自衛隊による抑止力、それから、日米安全保障条約に基づくこの日米同盟、この二つが非常に大きかったというような答弁がございました。この自衛隊の抑止力と日米安保条約についてどのように評価されておられるか、お伺いしたいと存じます。 Angry: 0.461 Disgust: 0.250 Fear: 0.487 Happy: 0.484 Sad: 0.420 Surprise: 0.614
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02:50:46 ~ 02:51:56 公述人(松井芳郎君)
御質問ありがとうございます。多分そのような御質問なり御意見が出るだろうと思っておりましたが、抑止力というのは、私、国際政治詳しくありませんので詳細には存じ上げないんですけれども、一見もっともらしく見える考え方であるのは、特に冷戦期は米ソが膨大な核兵器と軍事同盟の組合せでバランスを取って、その形で安全が、世界の平和が保たれているというふうな印象がなかったわけではないのは確かでありますが、果たしてその抑止力というのが、基本的に言えば、先ほど言いましたように、国連の集団安全保障の考え方とは矛盾しているわけでありまして、それに依拠することを強調するということは国連には頼らないということになるという大きな問題点があります。 Angry: 0.358 Disgust: 0.309 Fear: 0.408 Happy: 0.647 Sad: 0.539 Surprise: 0.463
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02:51:56 ~ 02:52:36 公述人(松井芳郎君)
しかし、今その抑止力、その問題はさておくとして、抑止力ということで日本が同盟を強化し、あるいは自衛隊を強化するということは、裏を返せば相手方もそれが脅威だと感じることがあり得るわけでして、つまり、日本が中国が脅威だというふうに感じるのと同じように、中国も日本が軍備を増強すれば日本も脅威だと感じるという可能性は大変大きいわけでありますから、それやりますと結局軍備競争が拡大するということになりかねません。 Angry: 0.520 Disgust: 0.341 Fear: 0.818 Happy: 0.169 Sad: 0.278 Surprise: 0.514
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02:52:36 ~ 02:53:10 公述人(松井芳郎君)
したがって、何とかむしろ外交交渉で軍縮なり両国間の了解をどのように取り付けるかという議論をするべきでありまして、抑止力を掲げて軍備を強化し同盟を強めるということは、かえってマイナスの効果ではないかというふうに私は考えております。 Angry: 0.664 Disgust: 0.241 Fear: 0.438 Happy: 0.530 Sad: 0.286 Surprise: 0.506
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02:53:10 ~ 02:53:47 堀井巌君
ありがとうございました。次にまた松井公述人に伺いたいと思いますが、今この自衛隊という存在ですね、私はもう与野党問わず、今の現行憲法上でまず合憲であるという位置付けははっきりしているというふうに思うんですけれども、ちょっとその点についてまず先生のお考えをお伺いしたいと思います。また、国際法上の位置付けですね。これは、一般論としての軍隊であるという、これ政府答弁にもあるわけでありますが、この点についてお聞かせいただきたいと思います。 Angry: 0.453 Disgust: 0.272 Fear: 0.348 Happy: 0.728 Sad: 0.478 Surprise: 0.474
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02:53:47 ~ 02:54:32 公述人(松井芳郎君)
お答えいたします。これも予測された御質問ではあったんですけれども、自衛隊についてはほぼ日本の世論でも一定の範囲で合憲だという理解は広まっているだろうと思いますが、少なくとも憲法ができたときの元々の精神では、自衛のためといっても武力を使うのは憲法の趣旨ではないということが当時の政府によっても、吉田答弁が有名でありますが、認められていたことでありまして、その初心というのはやはり大事にすべきではないかというふうに考えております。 Angry: 0.476 Disgust: 0.371 Fear: 0.378 Happy: 0.710 Sad: 0.400 Surprise: 0.490
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02:54:32 ~ 02:55:19 公述人(松井芳郎君)
それから、軍隊かどうかという議論で、一時、軍隊と違うという議論をすると、もしも武力紛争が起きたときに、例えば自衛隊員が捕まっても捕虜の待遇が受けられない可能性があるという議論がありまして、それはもう日本の若者がそういう立場に立つのはとてもたまらないことでありますが、これはほぼ現在の議論として、国内法上の位置付けがどのような形であっても、国際関係において軍隊としての役割を果たすということであれば、その構成員は戦闘員として捕虜の資格があるということで多分違う意見はないだろうというふうに思っております。 Angry: 0.693 Disgust: 0.304 Fear: 0.609 Happy: 0.452 Sad: 0.199 Surprise: 0.553
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02:55:19 ~ 02:55:42 公述人(松井芳郎君)
それが日本の場合には、一時、戦力なき軍隊とか何かややこしいことを言いましたので、それとの関わりで問題が生じるかと思いますけれども、そういう憲法論を別にすれば国際法上は戦闘員の地位を占めているということで間違いないだろうと思っております。 Angry: 0.654 Disgust: 0.267 Fear: 0.471 Happy: 0.637 Sad: 0.289 Surprise: 0.467
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02:55:42 ~ 02:57:03 堀井巌君
ありがとうございます。もう一つだけ松井公述人にお伺いしたいと思います。この敵基地攻撃能力ということでございますが、この松井公述人のレジュメにも示していただいていますように、一枚目の下の方にありますけれども、いわゆる一般的にこの国際法上の自衛権ということで、必要性と均衡性が保たれている中で武力行使がまず行われていることを前提にしまして、例えば、相手が武力攻撃を着手したか開始したかというので、どこまでをそれとするかという議論もあるかと思うんですけれども、仮に相手が今回のロシアによるウクライナへのミサイル攻撃のように何度も何度も実際に発射をされた、被害が出ている、第二波、第三波が来るという状況においての反撃をする、そして相手のミサイルの基地から撃ってこないようにする、これは当然自衛権だろうと、明確だろうと思うんですけれども、その場合に、そのような能力ですね、すなわち、第二波、第三波を防ぐための武器を持つということ、それは、その武器を持つこと自体は、日本の憲法上も、それから国際法上も当然に許されるものと私は理解をしているんですけれども、その点いかがでございましょうか。 Angry: 0.586 Disgust: 0.318 Fear: 0.274 Happy: 0.687 Sad: 0.542 Surprise: 0.322
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02:57:03 ~ 02:58:01 公述人(松井芳郎君)
敵基地攻撃能力の話はもっと勉強しなければいけないと思っておりますが、現在のウクライナ危機の場合のように明確に武力攻撃が発生したという場合に、その武力攻撃の基地をたたくということは国際法的に言えば自衛権で十分に説明が付く、もしウクライナがそういうことをやれば説明は付くだろうというふうに思っております。ただ、敵基地攻撃の議論で、どうもその辺が微妙な、ですから、もしも武力攻撃が日本に対してあった、あるいはまだ損害は生じていないけれども、実際に行われるという非常にはっきりした証拠があるというような場合でしたら、自衛権の行使として説明できる場合があり得ると思います。被害が出なければ何もできないということではないというふうに思っております。 Angry: 0.667 Disgust: 0.450 Fear: 0.558 Happy: 0.347 Sad: 0.414 Surprise: 0.351
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02:58:01 ~ 02:59:00 公述人(松井芳郎君)
ただ、一番問題になるのは、そのおそれがある段階で、要するに、先生もおっしゃったように、着手とか実行に掛かるというのをどういうふうに定義し、誰がどういうふうに認定するかということが非常に大きな問題になるわけでありまして、これは、場合に、はっきりしたケースもあると思いますけれども、非常に微妙なことが少なくない。もしも間違って敵基地攻撃をやっちゃったというときに、間違ってました、ごめんねでは済まないので、先ほども申しましたように、これは侵略行為として日本が責任を負う、あるいは政府の要職のある人が個人責任を負うという重大な結果になるおそれがありますから、非常にその点については、着手、実行ですね、この定義というのが大変重要だろうというふうに思っております。 Angry: 0.635 Disgust: 0.252 Fear: 0.559 Happy: 0.326 Sad: 0.404 Surprise: 0.421
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02:59:00 ~ 02:59:56 堀井巌君
最後に、角南公述人も、時間も参っておりますので一言だけ、経済安全保障を進めていくために日本のこの予算の中で何かこういうふうに工夫した方がいいということが、御示唆があれば一言教えていただければと思います。終わります。 Angry: 0.526 Disgust: 0.501 Fear: 0.482 Happy: 0.476 Sad: 0.508 Surprise: 0.424
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02:59:19 ~ 02:59:54 公述人(角南篤君)
まずは、そういった先端科学技術を伸ばしていくところにやはりしっかり予算を確保していくということが重要だと思います。それから、宇宙、海洋も、こういったところが今競争の場になっておりまして、そういったところに我が国の技術的なプレゼンスをしっかりと確保するための投資ということだと思います。以上です。 Angry: 0.425 Disgust: 0.351 Fear: 0.445 Happy: 0.690 Sad: 0.416 Surprise: 0.513
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Angry: 0.248 Disgust: 0.165 Fear: 0.254 Happy: 0.938 Sad: 0.399 Surprise: 0.585
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03:00:02 ~ 03:00:47 田島麻衣子君
立憲民主・社民の田島麻衣子でございます。まず最初、第一問です。ウクライナ情勢について、この侵略の原因を伺いたいと両先生に思います。いろいろ原因について分析する方々がいて、例えば、NATOの東方戦略、拡大戦略というのがこの欧州のパワーバランスを傷つけるリスクというのを甘く見積もったんじゃないかと言う方もいらっしゃいますし、一方で、プーチン大統領が国内の権力基盤を強化するために大ロシア主義への復帰、懐古を目指したという意見もあります。両先生はどのように今回のウクライナ侵略の原因を分析されているか、御知見を伺いたいと思います。 Angry: 0.550 Disgust: 0.354 Fear: 0.484 Happy: 0.505 Sad: 0.448 Surprise: 0.472
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03:00:47 ~ 03:01:03 公述人(角南篤君)
私、ロシアの専門ではないんで、うちの財団には専門家がいていろいろと我々議論はしてきましたが、今回のように、具体的に、例えば軍事侵攻に至るということは我々も想定は余りしていなかったところがあります。 Angry: 0.243 Disgust: 0.167 Fear: 0.472 Happy: 0.676 Sad: 0.581 Surprise: 0.609
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03:01:03 ~ 03:01:45 公述人(角南篤君)
こういう状況は、なってくるなということは分かっていましたけれども、それはロシアにとって、NATOがどこまで拡大してくるかということがロシアにとって非常に脅威には見えていることは分かっていましたが、ベラルーシの会議もそうですけれども、ある程度の合意できる落としどころがあるんではないかというふうにずっと見ていました。でも、そこがやはりこういう形でどんどん侵攻が進んでくる、そして侵略に至るということについてはまだまだしっかり分析をしていかなきゃいけないということだと思います。 Angry: 0.261 Disgust: 0.256 Fear: 0.597 Happy: 0.600 Sad: 0.503 Surprise: 0.541
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03:01:45 ~ 03:02:14 公述人(松井芳郎君)
お答えいたします。先ほどの私の話の中でも触れましたけれども、NATOの拡大についてロシアが相当の脅威感を、脅威を感じているということ自体は明らかだろうと思います。しかし、その脅威に対して、これ解決する方法はいろいろあるわけでありまして、ウクライナに武力侵略する根拠にとてもなるものではないだろうというふうに考えております。 Angry: 0.356 Disgust: 0.311 Fear: 0.553 Happy: 0.606 Sad: 0.426 Surprise: 0.548
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03:02:14 ~ 03:03:12 公述人(松井芳郎君)
もちろん、NATOも今まで純粋無垢でやってきたわけではなくて、いろいろ違法な武力を使った例もあるわけでありますから、ロシアの懸念が理解できないわけではないんですけど、それに対してウクライナに、対ウクライナで武力を使うという根拠にはならないだろうと。もう一つの、いわゆる大ロシア主義に基づくロシアの領土拡大ですね、これはどこまで本気か。単なる、先生もちょっと触れられました国民の人気を取るためのレトリックという側面もあろうかと思いますけれども、とにかく十九世紀までの大ロシア主義の復活のような議論をプーチン氏は時々やるわけでして、そうすると、そういうことを少なくとも長期的にはもくろんでいるのではないか。 Angry: 0.663 Disgust: 0.299 Fear: 0.450 Happy: 0.504 Sad: 0.341 Surprise: 0.502
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03:03:12 ~ 03:04:03 公述人(松井芳郎君)
これも、私、報告の中で一言触れましたけれども、非ナチ化とか非軍事化、ウクライナの、これは目的としてはっきり言っておりますので、つまり、そのようなことを実現しようと思えば、ウクライナの現政権を倒してかいらい政権をつくらなければそういうことはできないだろうと思われるわけですが、かいらい政権ができれば次に進んで併合というシナリオがないわけではなかろうというふうに思われますので、やはり領土拡大主義ということについても、単なる飾りではなくて、そういうふうにプーチン氏が考えているということが十分推測されるというふうに思っております。 Angry: 0.679 Disgust: 0.381 Fear: 0.516 Happy: 0.534 Sad: 0.246 Surprise: 0.424
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03:04:03 ~ 03:05:13 田島麻衣子君
ありがとうございます。次に、角南公述人に対して、この経済制裁はどのように国際システム上で管理運営していくかということについて伺いたいと思います。プーチン大統領は、我々日本を含めて世界の各国が経済制裁を行うことについて、宣戦布告であるということを発言されています。そのときに、私は、この経済制裁というのは武力行使と同じぐらいの脅威というものを与えるものなんだなというふうに再認識したわけなんですけれども、武力行使はもう物すごいたくさん、長い歴史で国際システムは管理してきたわけですよね。古くはローマ時代から始まって、一九二八年不戦条約から国連憲章からあるわけですけれども、対して経済制裁については、それほどの国際社会は努力、またジレンマを抱えながら前進してきた歴史がないわけなんです。公述人の先生、先ほど、みんなでやるのは大変だと、必ず漏れてしまう人たちがいるということをおっしゃっていましたが、これをどのように国際システム上管理していくか、もしお考えがあったらお聞かせください。 Angry: 0.559 Disgust: 0.299 Fear: 0.443 Happy: 0.476 Sad: 0.450 Surprise: 0.496
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03:05:13 ~ 03:06:16 公述人(角南篤君)
まさにこの問題はこれから世界中が注目していく話だと思います。古典的な話でいいますと、やはりキューバ危機のときに、やはりお互いに軍を、核を使わないというか、そこまで、第三次世界大戦まで行かないということでいろんな知恵を出して、お互いにメッセージを出すというところはあるんだと思うんです。そういう意味でのメッセージ性はすごく早く今回は、我が国も参加するということでロシアに対してそのメッセージを出したという、この西側の一員としてですね、それはあったと思うんですが、これから実効性を上げていくためには、まさにエスカレーションのプロセスに入っていきますので、むしろロシアの方がこれは軍事的な侵略と同じであるというふうに取るんだといった時点でそういうふうな解釈の出てくるわけで、じゃ、そうなってきたときに、じゃ、その次まで想定しながら手を打っていけるのかというようなことが非常に難しい局面に来ていると思います。 Angry: 0.384 Disgust: 0.244 Fear: 0.479 Happy: 0.718 Sad: 0.361 Surprise: 0.558
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03:06:16 ~ 03:06:50 公述人(角南篤君)
ですから、もう恐らく第二、第三の手までいろいろ議論は始まっていると思いますが、そこをしっかりと議論をしていく必要があって、ただ、ここがやっぱり、今回のケースで我々が何を理解して、どこまでそれが効果的にできるかというのは、それ自体がチャレンジだと思うんですが、だからといって何もしないわけにはもちろんいきませんので、段階を追ってやっていくしかないというふうに思います。 Angry: 0.490 Disgust: 0.320 Fear: 0.508 Happy: 0.472 Sad: 0.534 Surprise: 0.390
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03:07:02 ~ 03:07:34 公述人(角南篤君)
我が国のやはりハイテク産業、特に半導体もそうですけれども、それ以外の、我々が持っているある種特殊の、まさに戦略的な不可欠性のエリアを早く早急に分析をして、それをもってやはり経済制裁の議論の中に参画することが非常に求められているんだと思います。 Angry: 0.766 Disgust: 0.293 Fear: 0.498 Happy: 0.381 Sad: 0.256 Surprise: 0.420
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03:07:34 ~ 03:08:12 田島麻衣子君
ありがとうございます。次の質問に移ります。今、アメリカと中国の緊張感が非常に高まっています。私も委員会の質問などで、アメリカの軍事委員会の議事録とかを読んでいると、もう六年後にアメリカと中国は衝突するんじゃないかという、去年の段階でアメリカ政府が言っていたりとかするので、非常に緊張感が高まっているんだなということを実感します。その一方で、過去我々が二回の世界大戦を通じて得た教訓というのは、同盟が余りにも柔軟性を失った場合に、それが衝突するリスクが高まるということも一つの事実だと思うんですね。 Angry: 0.371 Disgust: 0.369 Fear: 0.558 Happy: 0.522 Sad: 0.471 Surprise: 0.529
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03:08:12 ~ 03:08:36 田島麻衣子君
これから日本が、今これから緊張感が増す中国、アメリカのはざまにあってどのような役割を果たすべきか。これは角南公述人、松井公述人、両方の、お二人の先生に伺いたいと思いますが、これから日本がこのアジアで果たしていく役割を、米中が高まる緊張感の中でということを前提に伺いたいと思います。よろしくお願いします。 Angry: 0.263 Disgust: 0.223 Fear: 0.508 Happy: 0.594 Sad: 0.493 Surprise: 0.612
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03:08:36 ~ 03:09:36 公述人(角南篤君)
非常に重要な御質問、ありがとうございます。私は、やはり今まで中国との研究もしてきましたし、中国をどういうふうに分析するかということも考えてきたんですが、やはり日本というのは、もちろん中国とも深い歴史があります。そういう意味で、もっと中国を分析をする必要がある。その結果をやはりアメリカとの間でも当然シェアをしながら、そして日本というのは、やっぱりアジアにおいて、つまり中国の周辺のところとの関係も非常に深いということもありますので、東南アジア諸国を始め、やはりしっかりとそこにおいての関係性をつくっていくことで、中国とアメリカとの競争がどんどんエスカレートしていくときのバッファーというか、それちゃんとバランスを取って抑えていく、そういう役割を求められているんではないかというふうに思います。 Angry: 0.393 Disgust: 0.239 Fear: 0.460 Happy: 0.673 Sad: 0.404 Surprise: 0.618
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03:09:36 ~ 03:10:12 公述人(角南篤君)
ですから、まずは我々自身が中国のことをもっと理解をする必要は当然あって、そこから先に我々がどういうふうに、この世界において中国とアメリカがエスカレーションが上がっていかないようにするのかという、そういう役割をつくっていく。そのためには、関係諸国全てに対して常に我々は関係を、何か、東南アジアなんかすごく重要なところになると思いますけれども、そういったところを丁寧にやっていくということだと思います。 Angry: 0.591 Disgust: 0.242 Fear: 0.397 Happy: 0.682 Sad: 0.351 Surprise: 0.498
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03:10:12 ~ 03:11:11 公述人(松井芳郎君)
お答えいたします。私、外交政策は専門ではございませんので、全く個人的な印象でありますけれども、今、角南先生が言われたように、米中の間に立って、エスカレーションを抑えるというんですか、デスカレーションですか、そのために役割を果たすべきだということについては全く異議がございませんが、ただ、そういう役割を日本が果たすときに、やはり忘れてはならないのは、過去において日本が中国で随分ひどいことをやったと、侵略者であったという事実ですね。これを棚上げにして公正な立場でやりますよといっても、中国の人たちもちょっと信用してくれないかもしれないし、それから、今、角南先生言われた東南アジアその他ですね、日本が進出していった地域の諸国の人も、日本の言い分はもっともだというふうになかなか思ってもらえないという側面があるように感じております。 Angry: 0.597 Disgust: 0.282 Fear: 0.494 Happy: 0.444 Sad: 0.378 Surprise: 0.479
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03:11:11 ~ 03:11:35 公述人(松井芳郎君)
つまり、第二次世界大戦の戦後責任というのをまだ日本は十分果たし切っていないという残念な実情がありまして、これを克服することが、こういった問題に日本が説得力を持って発言する一つの手掛かりになるのではないかと考えております。 Angry: 0.363 Disgust: 0.303 Fear: 0.600 Happy: 0.264 Sad: 0.682 Surprise: 0.429
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03:11:35 ~ 03:11:54 田島麻衣子君
ありがとうございます。先ほど角南公述人がバッファー、日本は米中のはざまにあってバッファーの役割を果たすべきだとおっしゃいましたが、具体的にこの分野ならば日本はバッファーの役割を物すごくしっかり果たせるんじゃないかというものがあったら教えていただきたいと思います。 Angry: 0.456 Disgust: 0.215 Fear: 0.281 Happy: 0.714 Sad: 0.516 Surprise: 0.499
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03:12:05 ~ 03:13:08 公述人(角南篤君)
先日、ワシントンでいろいろ議論をしてきたんです。日米関係の今後についても議論してきましたが、バイデン政権になって気候変動というのが、これはもう戦争中、戦時中、我々もそれぐらいの覚悟でこれに臨んでいるということです。これは、中国も、そしてそれ以外の国も同じように責任を持っているわけでありまして、こうした地球規模課題に向けて日本がやはりリードしていけるような、そういうところが一番一つの分野かなというふうに思っていまして、気候変動もそうですし、あるいは海洋、今回、昨年、ノーベル賞を眞鍋先生取りましたけれども、こうした気象モデルをしっかりと研究していって、防災とか自然災害からのエリアについてこうやっていくという、これは中国も国民も、これについては非常に即入っていける分野であります。 Angry: 0.613 Disgust: 0.346 Fear: 0.446 Happy: 0.632 Sad: 0.300 Surprise: 0.503
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03:13:08 ~ 03:13:55 公述人(角南篤君)
そこにおいていかに協力していくかということもありますし、あと、感染症のときに、これは先日、山中先生とちょっと話をさせていただいたときに、やはりこの感染症の影響で世界中の研究者が協力するようになった、今までは競争していたと、誰が先にいい論文を書いて賞をもらうかという。ところが、もう今や、ちょっとでも何かが見付かるとデータを出して、そしてみんなで協力するようになった。これは中国の研究者も入っているということですので、こうした分野でリードしながら、そして地政学的な分野をしっかりと備えに備えていくという、この二つのやり方が重要かなと思いました。 Angry: 0.248 Disgust: 0.190 Fear: 0.516 Happy: 0.622 Sad: 0.480 Surprise: 0.673
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03:14:03 ~ 03:14:31 田島麻衣子君
核の問題です。もし、ウクライナ侵略に関連しまして、一九九四年に核を放棄しなかったらロシアに侵攻されることはなかったのではないかという議論がありますけれども、この議論について公述人、先生はどのようにお考えになるか、御意見聞かせていただけますでしょうか。 Angry: 0.696 Disgust: 0.359 Fear: 0.399 Happy: 0.480 Sad: 0.454 Surprise: 0.343
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03:14:31 ~ 03:15:03 公述人(松井芳郎君)
仮定の問題にお答えするのは大変難しいんですけれども、侵攻の根拠ということを考えていきますと、核の問題が決定的に意味を持って、つまりウクライナも核を放棄していなければ侵攻する、しなかったんじゃないかという議論は、そう簡単には成り立たないのではないか。 Angry: 0.670 Disgust: 0.269 Fear: 0.608 Happy: 0.205 Sad: 0.469 Surprise: 0.361
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03:15:03 ~ 03:15:26 公述人(松井芳郎君)
現在でも、ウクライナが核を持とうとしていることがロシアの武力行使の根拠の一つとされておりますので、むしろかえって誘発、攻撃を誘発する、あるいは少なくとも攻撃に口実を与えた可能性もあろうかと思っております。ちょっと、ちゃんとした答えになりませんが、申し訳ありません。 Angry: 0.461 Disgust: 0.356 Fear: 0.593 Happy: 0.380 Sad: 0.543 Surprise: 0.474
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03:15:44 ~ 03:16:01 安江伸夫君
公明党の安江伸夫です。本日は大変お忙しい中、角南先生、また松井先生、大変貴重な御意見を賜りましたこと、心から感謝を申し上げます。まず初めに、私からは松井先生の方に御質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 Angry: 0.303 Disgust: 0.207 Fear: 0.413 Happy: 0.774 Sad: 0.485 Surprise: 0.585
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03:16:01 ~ 03:16:32 安江伸夫君
松井先生の方からは、まさに今回のウクライナ危機に関しまして、国際法的な立場からの御意見を賜ったところでございます。改めてで恐縮でございますが、国際法的なアプローチをもってして、今回のウクライナ危機に対しまして、今このときに我が国日本が果たすべき役割についてどのようなお考えをお持ちなのか、お聞かせください。 Angry: 0.356 Disgust: 0.230 Fear: 0.611 Happy: 0.631 Sad: 0.310 Surprise: 0.622
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03:16:32 ~ 03:17:14 公述人(松井芳郎君)
私も話の中で国際法違反というカタログを並べ立てたわけでありますが、それに、そういう状況の下で日本が何ができるだろうかということですけれども、これはもう既にちょっと触れましたが、政府はもちろん、衆議院、参議院でも決議があります。要するに、国際社会全体の中で、このロシアのやり方は、国際法に、乱暴な侵犯であって認められないということが非常に広く行き渡った意見になっておりまして、まず差し当たりそういう意見をどこまで広げるか。 Angry: 0.649 Disgust: 0.281 Fear: 0.551 Happy: 0.370 Sad: 0.250 Surprise: 0.547
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03:17:14 ~ 03:17:46 公述人(松井芳郎君)
国際的にもそうですし、国民の間にもどのくらい、どういうふうに広げていくかと。そういうことによってロシアを包囲する、国際世論で包囲するということが、いささか迂遠なようではありますけれども、少し長期的に見れば大変効果があるのではないかというふうに考えておりまして、そういう国際世論を高める、国際法違反だということで世論を高める役割を日本には何よりも期待したいというふうに思っております。 Angry: 0.593 Disgust: 0.270 Fear: 0.398 Happy: 0.589 Sad: 0.396 Surprise: 0.473
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Angry: 0.306 Disgust: 0.254 Fear: 0.332 Happy: 0.813 Sad: 0.544 Surprise: 0.524
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03:18:00 ~ 03:18:31 安江伸夫君
国連については、さきの大戦の大いなる反省を踏まえて、こうした戦争的な事態が発生してはいけないという固い決意の下で、その在り方については長年議論されてきたものかと思いますが、改めて今回のウクライナ危機に際しまして、この国連の機能をどのように向上させていけばいいのか、この点についての松井先生のお考えを確認、お話しいただければと思います。 Angry: 0.723 Disgust: 0.251 Fear: 0.419 Happy: 0.475 Sad: 0.402 Surprise: 0.323
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03:18:31 ~ 03:19:13 公述人(松井芳郎君)
この問題につきましては、安保理事会とか総会での議論で幾つかの論点が出されておりますけれども、気が付きましたことは、御存じのように、安保理事会で今の総会決議とほぼ同じ内容の決議がロシアの拒否権で葬られましたけれども、そのときに何人かの代表発言を見ておりますと、ロシアがけしからぬということももちろんありますけれども、それに加えて、やっぱり国連のシステムに問題があるねということは何人かの、特にアジア、アフリカ諸国の代表が指摘をしているわけですね。 Angry: 0.624 Disgust: 0.344 Fear: 0.473 Happy: 0.654 Sad: 0.178 Surprise: 0.510
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03:19:13 ~ 03:20:04 公述人(松井芳郎君)
したがって、究極的には、拒否権があるような国連の在り方自体が問題なんだろうというふうに思っております。ただ、拒否権をなくすためには拒否権が働くわけでありまして、そう簡単にはいかない。ですから、まず拒否権について言えば、これを行使できないような雰囲気を、持っていても使えないという雰囲気を安保理事会あるいは国連全体でつくるというほか差し当たりは対処の方法がないだろうというふうに、中小国でそういう動きをしている国が、もちろん先進国も含めて、途上国も含めて相当広範に広がっておりまして、まだ十分な力にはなっていないかと思いますが、そういうことが一つ考えなければいけないだろうというふうに思っています。 Angry: 0.563 Disgust: 0.448 Fear: 0.499 Happy: 0.470 Sad: 0.441 Surprise: 0.393
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03:20:04 ~ 03:21:27 公述人(松井芳郎君)
もう一つは、現状確かに非常に不十分な制度ではありますけれども、全く何もできないわけではないので、先ほども言いましたように、総会で決議が上がりましたら、これは法的拘束力はありませんけれども、国際世論の結集としては大変重みを持っている。そういう役割をもっと果たせるようにするということが重要であろうと思っています。それから、レジュメには書きましたが、話の中では触れられなかったんですけれども、総会決議、安保理事会決議などの制裁決議が出れば従う義務がありますが、総会決議では、もし出たとしても、今のところ出ていませんけれども、拘束力はないんですけれども、総会決議に従って加盟国が行動した場合、それがひょっとして制裁の相手国との約束に違反することがあった、例えば自由貿易協定があったけれども経済を止めると、貿易を止めるということになれば自由貿易協定に違反するわけでありますが、総会決議に従ったということであれば、これは違法性が阻却されるという考えが十分成り立つだろうと思っておりまして、全く何も拘束力がないから役に立たないとは考える必要はないと思っております。 Angry: 0.678 Disgust: 0.345 Fear: 0.471 Happy: 0.427 Sad: 0.371 Surprise: 0.432
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03:21:27 ~ 03:22:03 安江伸夫君
貴重な御示唆、ありがとうございます。やはり、この安保理の拒否権の在り方についてもやはり今回の件を踏まえた御議論が必要だというふうに認識をいたしましたし、今の違法性阻却事由の考え方も大変貴重な御意見として承りました。ありがとうございます。また松井参考人にもう一問お伺いいたしますが、レジュメの方の一番最後の辺りでも示していただきましたが、今回の危機から日本が学ぶべきこととして、ロシアによる核の威嚇に抗して、核兵器使用の違法性を認め、核軍縮を進めるべきだというふうにお話をしていただいたところであります。 Angry: 0.475 Disgust: 0.301 Fear: 0.377 Happy: 0.620 Sad: 0.511 Surprise: 0.402
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03:22:03 ~ 03:22:36 安江伸夫君
これに関連をいたしまして、核兵器禁止条約、核禁条約が発効されているところでございます。我が国は批准をしておりません。日米同盟との関係性を踏まえてという判断でありますが、松井先生の方から、この核禁条約の評価と、また公明党といたしましては、これにオブザーバー参加をすべきだという主張をさせていただいております。この意見に対しての御意見あれば、いただければと思います。 Angry: 0.783 Disgust: 0.382 Fear: 0.343 Happy: 0.565 Sad: 0.342 Surprise: 0.365
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03:22:36 ~ 03:23:12 公述人(松井芳郎君)
実はレジュメのその今引用いただいた箇所は核禁条約のことを念頭に置いて書いたことでありまして、御承知のように、日本は、先ほどからの議論で、核抑止に依拠するという基本的な立場があって、日米同盟の立場からはこの条約には入らないということを言っておりますが、やはりこれは国際社会の圧倒的多数の立場とは異なるわけでありまして、私は大変残念なことだろうと思っております。 Angry: 0.587 Disgust: 0.270 Fear: 0.511 Happy: 0.361 Sad: 0.524 Surprise: 0.342
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03:23:12 ~ 03:23:47 公述人(松井芳郎君)
今言われたオブザーバー参加でもすれば、まだ国際社会の議論が直接日本に入ってまいりますし、逆に日本が被爆国として役割をこの条約の中で果たす機会も増えるだろうと思いますので、直ちに条約に加盟することがなくても、締約国会議等にオブザーバー参加するという御提言は大変重要なことではないかというふうに思いました。 Angry: 0.619 Disgust: 0.231 Fear: 0.583 Happy: 0.394 Sad: 0.295 Surprise: 0.561
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03:23:47 ~ 03:24:07 安江伸夫君
松井先生、ありがとうございました。続いて、角南公述人にお伺いをしていきたいというふうに思います。今日のテーマ、経済安全保障について様々御示唆をいただいたところでございます。改めて、先月二十五日に経済安全保障推進法案が閣議決定をされたところでございます。 Angry: 0.399 Disgust: 0.249 Fear: 0.381 Happy: 0.712 Sad: 0.486 Surprise: 0.493
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03:24:07 ~ 03:24:31 安江伸夫君
御案内のとおり、重要物資の供給網の確保、基幹インフラ設備の事前審査、先端技術関係の促進、特許非公開の四本を柱とする法案となっているところでございます。先ほどの話にも触れていただいたところでございますが、改めてこの法案に関する先生の評価をお聞かせ願いたいと思います。 Angry: 0.435 Disgust: 0.257 Fear: 0.406 Happy: 0.743 Sad: 0.428 Surprise: 0.540
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03:24:31 ~ 03:25:55 公述人(角南篤君)
まず、私はこの法案の中で一番注目したのは最初の総則のところでございまして、そこに多分我が国のこの経済安全保障に対する考え、姿勢というものを盛り込んでいただいたと思っています。もちろん、私自身は、経済安全保障というのは非常に幅広い分野でありますし、逆に言えば、実際に経済活動を進めていく中でもいろんな柔軟性を持って対応していかなきゃいけないということで、今後もこの法案は更に改正なりリバイズをしていく必要が多分あるんだと思うんですが、そういう意味でも、この総則に書かれているように、我が国は経済政策全般を、やはり国家安全保障と国民経済の保全というか、そういったことに対してしっかりとこれを総合的にしっかり展開していくと、これを考えるということが書かれておりますので、私はそこは非常に今回大きな第一歩になっていると思いますし、先日もEUの専門家とのディスカッションがございまして、ヨーロッパ側からも、日本は本当に一歩踏み出したねということで、まさにこの第一歩、世界に対して日本が踏み出したということが見えたということだと思います。 Angry: 0.372 Disgust: 0.214 Fear: 0.463 Happy: 0.762 Sad: 0.247 Surprise: 0.656
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03:25:55 ~ 03:26:13 安江伸夫君
ありがとうございます。また、今日、先生から御説明いただいたレジュメの八ページのところに、一番下の丸のところになりますが、先端技術情報の分析と経済インテリジェンスの制度設計、新たなシンクタンク機能の整備ということで御指摘をいただきました。 Angry: 0.267 Disgust: 0.199 Fear: 0.331 Happy: 0.886 Sad: 0.506 Surprise: 0.554
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03:26:13 ~ 03:26:35 安江伸夫君
どの技術が重要で、世の中にインパクトを与えていくのか、これをしっかりと分析する機能が必要不可欠だというふうに聞かせていただいたところでございます。なかなか時間の都合で御説明できなかった部分もあろうかと思いますので、この新たなシンクタンク機能の整備についての御意見をいま一度伺いたいと思います。 Angry: 0.229 Disgust: 0.138 Fear: 0.516 Happy: 0.600 Sad: 0.585 Surprise: 0.602
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03:26:35 ~ 03:27:40 公述人(角南篤君)
お答えいたします。ここは私が結構自分の中でも長く考えてきたところでありまして、今回は、その先端科学技術、経済安全保障に関するシンクタンク機能ということであるんですけれども、やっぱり我が国はそのシンクタンクという機能をしっかりとこれまで持ってきていないと思っています。それは、ある意味では行政組織がかなりしっかりとやってきたというところはあるんですけれども、やはり政策に柔軟性を持たせたりその幅を広げるためにはこうしたシンクタンクというものを持つ必要があって、そこは今回、特にこの経済安全保障の貴重な情報というものが元々国の中にあるわけで、国というか政府の中にあるわけではなくて、民間の経済活動であったり、一般の科学者、研究者のコミュニティーの中からも情報を取ってこなきゃいけないということで、その民間の知見というものをどういうふうにこの政策の中に活用していくのかという、そういう意味での制度設計が非常に重要になると思います。 Angry: 0.405 Disgust: 0.288 Fear: 0.429 Happy: 0.740 Sad: 0.388 Surprise: 0.578
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03:27:40 ~ 03:28:19 公述人(角南篤君)
そこに参考でお付けいたしましたそのFFRDCというのは、アメリカが政府の中にシンクタンクをつくるのではなくて、政府の外にある、そういった大学も含めた研究機関にそういった契約を結んだことによって、今までではなかなか扱えなかったような機微的な情報も含めて、その民間の中で一緒にシンクタンクとして機能させていくと、そういう一つのトライアルというか制度設計でありまして、そういった意味で、我が国も民間をしっかり活用していく、そういうシンクタンク機能を考える必要があるのではないかというふうに思っております。 Angry: 0.567 Disgust: 0.197 Fear: 0.403 Happy: 0.643 Sad: 0.258 Surprise: 0.584
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03:28:19 ~ 03:28:57 公述人(角南篤君)
非常にこれからまさにここは重要なところになってくると思いますし、まさにこの今回の経済安全保障の法案の議論の中でも、どこまで政府は責任を持ってあるいは介入していくのか、あるいは罰則規定という話まで出ていましたけれども、いずれにしても、民間の活動というものを阻害しないというか、これを最大限活用するためには、その民間でやっていることの情報というものをしっかりと取って政策に生かしていかなきゃいけないということもありますので、そういった仕組みが非常に重要になってくるというふうに思っております。 Angry: 0.793 Disgust: 0.353 Fear: 0.438 Happy: 0.379 Sad: 0.296 Surprise: 0.396
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03:28:57 ~ 03:29:09 安江伸夫君
ありがとうございます。今回、まだ法案ですが、この経済安全保障の推進法案、これ第一歩としながらも、今先生に御指摘いただいたようなシンクタンクの機能の整備、非常に重要だというふうに認識を改めさせていただきました。 Angry: 0.295 Disgust: 0.255 Fear: 0.314 Happy: 0.842 Sad: 0.494 Surprise: 0.513
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03:29:31 ~ 03:30:51 礒崎哲史君
国民民主党・新緑風会の礒崎哲史と申します。本日は、松井公述人、角南公述人、貴重なお話をいただきまして、ありがとうございます。私からも何点か御質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申します。まず、松井先生の方にお伺いしたいんですが、昨日の夜のニュースだったと思いますけれども、今のウクライナへの対応ということで、ポーランドからウクライナに対して戦闘機等の武器についての供給をするというような動き、それに対して、穴が空いてしまったポーランドのミリタリーの部分についてはアメリカから補充をするんだと、こういう考え方が一部にどうもあるようだというんですが、それを聞いたプーチンからは、もしウクライナに対してそういった武器の供与等が行われた場合には参戦したものとみなすという、こういうことがロシアの方からは発せられているわけなんですが、これ法律上、そういった供与があった場合にはこれは参戦をしたというふうにみなされるのかどうか、これ法律上どのように考えればよろしいでしょうか。 Angry: 0.310 Disgust: 0.222 Fear: 0.346 Happy: 0.785 Sad: 0.439 Surprise: 0.536
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03:30:51 ~ 03:31:06 公述人(松井芳郎君)
何かそのお話は必ずしも順調には進んでいないように思われますが、理論的な問題として申しますと、軍事物資を供給するということは、中立義務の違反にはなると思います。 Angry: 0.455 Disgust: 0.231 Fear: 0.431 Happy: 0.751 Sad: 0.349 Surprise: 0.500
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03:31:06 ~ 03:31:51 公述人(松井芳郎君)
中立国でなくなるということですね。しかし、だからといって、武器弾薬を供与しただけで参戦国になるという議論には直接はならないだろうというふうに思っております。やはり、元々の交戦国の間でどの程度の役割を果たすかということで参戦国かどうかということは、法的な意味でですね、決まってくると思われますので、プーチンさんの発言はある種の脅しであって、おまえのところもたたくよというニュアンスをにおわせたのではないかと思うんですね。法律的な議論とは言えないだろうと思っております。 Angry: 0.540 Disgust: 0.338 Fear: 0.492 Happy: 0.514 Sad: 0.417 Surprise: 0.476
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03:31:51 ~ 03:32:08 礒崎哲史君
ありがとうございます。ということは、従来、これまでの戦争が始まったときからの形でいけば、誇張した言い方、あるいは少しでっち上げという言い方もできるということだというふうに理解をいたします。 Angry: 0.291 Disgust: 0.288 Fear: 0.342 Happy: 0.799 Sad: 0.561 Surprise: 0.460
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03:32:08 ~ 03:33:16 礒崎哲史君
それで、先ほど安江さんとのやり取りの中でもありましたけれども、今回、国連としては非難決議等をまとめようとしても、そこに対して常任理事国であるロシアが当人として賛成しないと、否決してしまうと身動きが取れなくなるということ、これが現実的なものとして課題としてあからさまになったわけでありますけれども、そうはいっても何とかこれを鎮めていかなければいけないという動きの中で、従来から、集団安全保障、集団的安全保障、あるいは個別的安全保障ですね、その考え方の中でどうやって武器を使うということを防いでいくかということを考えたときに、戦争をする、その軍事行為をすることに対して、もっと国連憲章あるいは国際法の中で縛りをきつくしていくことというのは何かできないのかというふうに思うんですが。 Angry: 0.731 Disgust: 0.483 Fear: 0.585 Happy: 0.256 Sad: 0.386 Surprise: 0.273
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03:33:16 ~ 03:33:44 礒崎哲史君
例えば、集団的安全保障であったり、あるいは個別的自衛権に関しては、武器を使うことが認められるといいますかね、ある程度許容されると思うんですが、そこに対しての縛りを何か法律上で厳しくしていく、こういうことというのは可能なんでしょうか。 Angry: 0.763 Disgust: 0.388 Fear: 0.461 Happy: 0.330 Sad: 0.457 Surprise: 0.299
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03:33:44 ~ 03:34:08 公述人(松井芳郎君)
国連の集団安全保障との関係では、御指摘になりましたように、ロシアの拒否権で安保理事会での決議が出なかったわけですね。一部の評価によると、あれはロシアを引っかけたという評価があるようです。つまり、拒否権の発動で決議が不採択に終わった場合には緊急特別総会を開けるという古い決議があります。 Angry: 0.615 Disgust: 0.461 Fear: 0.557 Happy: 0.404 Sad: 0.368 Surprise: 0.432
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03:34:08 ~ 03:35:17 公述人(松井芳郎君)
それに乗っけるために、わざと言わば挑発をして拒否権を発動させたんだという指摘もありまして、どこまで当たっているか分かりませんけれども、一つの見方ではあろうかと思います。つまり、総会ですと圧倒的に国際世論が結集できまして、拒否権もありませんので、法的拘束力ある決定はできませんけれども、国際世論の結集という意味では、総会に持ち込んだのは一つの少なくとも見識ではあろうというふうに思っております。武器の使用をどうして防ぐかということですが、やはりこれは国連の集団安全保障をどのように効果的に機能させるかということが一般論としては一番基本になろうと思っておりますが、それからもう一つは、やはりいろんな形で軍縮を進めることを、今でも、先ほどもちょっと触れましたけれども、プーチンが核兵器を振り回すというのは核兵器を持っているからでありまして、核兵器がなくなればああいうこともできなくなるわけですよね。 Angry: 0.635 Disgust: 0.443 Fear: 0.427 Happy: 0.516 Sad: 0.471 Surprise: 0.296
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03:35:17 ~ 03:35:46 公述人(松井芳郎君)
そう簡単にいく問題ではありませんけれども、やはり究極的に武器が使えなくするということについては軍縮が重要だということが一般論としては言えるだろうと。もっとも、これは具体的な状況の中で、例えば個々の兵器について考えていくということは別途必要だと思いますが、一般論としてはそのように考えております。 Angry: 0.452 Disgust: 0.376 Fear: 0.531 Happy: 0.522 Sad: 0.436 Surprise: 0.507
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03:35:46 ~ 03:36:18 礒崎哲史君
ありがとうございました。続いて、角南公述人にもお伺いをしたいんですが、やはりちょっとウクライナの関係ですけれども、今、ロシアに対して経済制裁が行われていますが、これ、いろいろな評論家の方ですとかそういった御意見を見ますと、ロシアは厳しくなってきたので焦っているんだという見方と、実は長期化は望まないけれどもそこまでダメージはないんだという見方と、両方の極端な見方があるかというふうに思うんですけれども。 Angry: 0.412 Disgust: 0.279 Fear: 0.375 Happy: 0.669 Sad: 0.552 Surprise: 0.449
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03:36:18 ~ 03:37:03 礒崎哲史君
事この経済という観点で見たときに、それこそ今SWIFTというところからロシアを締め出そうという動きになって、これが決定的になるんだという意見があるのと同時に、例えば中国では既にそういうデジタル技術を使ったそうした決済システムがあったり、つまりほかにも幾らでも逃げ道があるんではないかと、こういう意見も言われていますけれども、先生から見て、今行われているこういった経済制裁というのは、結果的にロシアの経済活動に対して従来のように想定していたダメージを果たして与えられるものなのかどうか、その辺の御見解をいただければと思います。 Angry: 0.258 Disgust: 0.145 Fear: 0.549 Happy: 0.588 Sad: 0.425 Surprise: 0.721
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03:37:03 ~ 03:38:04 公述人(角南篤君)
お答えいたします。経済的なダメージは当然与えていけるんだと思うんですが、それをもってプーチンを止められ、あるいはプーチンの政策を変えるというところに至るかどうかというところはまた別の課題があると思います。私、よくこの話を考えるときに戦国時代の兵糧攻めを想定するんですが、やはり武将が、城主が兵糧攻めを受けているときに、最後は自分が出ていって、そして自分の命をささげることによって、これは秀吉の兵糧攻めのストーリーでありますけれども、最後は城主、あるいは城内の女、子供たちを守るという決断をするというストーリーであります。少なくとも、ロシア経済に対してはかなりの程度のこれからどんどんインパクトというか影響が出てくると思うんですが、それに対してプーチンがどういうような行動に出るのか。 Angry: 0.344 Disgust: 0.316 Fear: 0.465 Happy: 0.706 Sad: 0.435 Surprise: 0.562
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03:38:04 ~ 03:38:50 公述人(角南篤君)
ですから、やはり、まあ武士道とは言いませんが、やっぱりそれを見たときに、いや、もう自分がやっぱりここは出ていってある程度これ終わらせることが重要なんだというリーダーであってほしいと私は思いますが、逆に、もう最後まで、もう行くところまで行くという選択肢を彼がしたとしたら、経済的なインパクトを与えても、結果的には、結果は出せないということでありますので、ここはやはり国民世論、だからロシアの世論の力というものに、まずは我々、この経済政策の効果を期待していくということかなというふうに思っています。 Angry: 0.369 Disgust: 0.250 Fear: 0.384 Happy: 0.786 Sad: 0.425 Surprise: 0.481
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03:38:50 ~ 03:39:23 礒崎哲史君
ありがとうございます。確かにプーチンの頭の中なので、我々としてはそこをどうすることもできないわけでありますが、今先生言われた、行くところまで行ってしまったらということで、これが長期化した場合に、当然その経済的な影響は、ロシアだけではなくて全世界に対して影響が及ぼされるものだろうというふうに思いますけれども、今言われているのは、既にエネルギー、日本でも燃料価格の高騰に既に結び付いているということもありますし、よくこれも報道で言われていますのは、小麦に関してもよく言われています。 Angry: 0.349 Disgust: 0.266 Fear: 0.365 Happy: 0.696 Sad: 0.514 Surprise: 0.520
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03:39:23 ~ 03:39:42 礒崎哲史君
こうした日本、まあ世界各国そうだと思いますけれども、日本に対するこうした経済への影響ということで注意しておくべき点についてお伺いできればと思います。 Angry: 0.394 Disgust: 0.161 Fear: 0.307 Happy: 0.779 Sad: 0.533 Surprise: 0.449
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03:39:42 ~ 03:40:12 公述人(角南篤君)
今回の経済安全保障の中で、最初の柱の、法案の中ですね、重要物資に関する調査分析というのがあります。我々がどういうところにその脆弱性があるのか、そういう、LNGだけじゃなくてエネルギー価格全体が今上がっていく中で、我々にとってのそのチョークポイントというのはどこにあるのかというのを、その重要物資をしっかり分析していくことによって考えないといけないと思っています。 Angry: 0.423 Disgust: 0.341 Fear: 0.558 Happy: 0.575 Sad: 0.327 Surprise: 0.611
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03:40:12 ~ 03:41:04 公述人(角南篤君)
ですから、まさにこのタイミングでこの法案が出ているということは非常に重要な局面だと思っていますし、早くこれを分析していかなきゃいけないと思いますが、いずれにしても、世界経済が全体がシステムとしてつながっている中で、対ロシアだけではなくて、どういう方面からこの影響が出てくるのか、そういうことがやはり非常に重要になってくると思いますので、そういう意味では、他の同盟国とかヨーロッパ、アメリカ、いろんな国々のいわゆる研究機関あるいは情報分析機関と一緒になって、この全体の脆弱性ということ、あるいはインパクトがどこにあるのかというのを一緒になってやらないと、日本だけでやってもなかなかここは答えが出ないと思いますので、是非その辺は進めていただければと思っております。 Angry: 0.188 Disgust: 0.230 Fear: 0.477 Happy: 0.756 Sad: 0.386 Surprise: 0.619
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03:41:04 ~ 03:41:49 礒崎哲史君
では、ちょっとウクライナ、ロシアの件からは離れて、純粋に経済安全保障の観点で先生にお伺いをしたいんですけれども、今回の経済安全保障、日本としては初めて本格的に取り組んでいくということになるわけで、私も大変期待はしているんですけれども、この経済安全保障を考えるときに、日本一国の中での安全保障として捉えていくのか、それともアジアという地域なのか、あるいは、今TPP11ということでアメリカとの連携もあります。日本でいけば、ヨーロッパとも経済連携を結んでいるという状況もあります。どういう単位でこの経済安全保障というものを考えていけばいいのか、この点について先生のお考え、いただきたいと思います。 Angry: 0.339 Disgust: 0.189 Fear: 0.452 Happy: 0.691 Sad: 0.452 Surprise: 0.598
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03:41:49 ~ 03:42:04 公述人(角南篤君)
大変重要な御指摘ありがとうございます。まさにそこを分析をしていかなきゃいけなくて、もちろんアジアというコンテクストがありますし、それから、いわゆるファイブアイズ・プラス・ジャパンと言われている世界もあります。 Angry: 0.203 Disgust: 0.209 Fear: 0.554 Happy: 0.611 Sad: 0.470 Surprise: 0.677
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03:42:04 ~ 03:42:45 公述人(角南篤君)
ここは、ある意味では、その最先端の先端技術、これは機微情報も含めて共同開発をしていくシステムということを考えると、まずはそういった国々との間でしっかりと連携していく、そのための整備をしていくのがこの法案の第二の、もう一つの役割かというふうに思っていますので、必ずしも一国だけでできることでは当然なくて、どういった国々とどういう面で協力してやっていくのかという、そこがすごく重要になってくると思います。まずはファイブアイズというところもあるかと思います。 Angry: 0.443 Disgust: 0.298 Fear: 0.411 Happy: 0.728 Sad: 0.420 Surprise: 0.497
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03:42:45 ~ 03:43:00 礒崎哲史君
ありがとうございます。分野によってその連携の仕方というのもやはりそれぞれ対応させていかないといけないんだなというふうに受け止めさせていただきました。それと、あと、先生の資料の三ページにテクノヘゲモニーという話がありました。 Angry: 0.325 Disgust: 0.339 Fear: 0.348 Happy: 0.714 Sad: 0.622 Surprise: 0.424
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03:43:00 ~ 03:43:42 礒崎哲史君
技術と併せて大量生産システムがこれが必要なんだということで、全くそのとおり、私も、ああ、そうだよなということで、改めて受け止めさせていただきましたが、こうした技術と、言ってみれば市場をつくっていく、商品を作っていく段階においては、従来からよく死の谷ということで言われている言葉があります。そこの技術開発を乗り越えるためのやはり人材育成であったり開発するそのシステムがやはり日本は脆弱であったというふうに思うんですけれども、この点をしっかりと日本として強化をしていくために今後何を行っていけばよいか、その辺のお考え、いただきたいと思います。 Angry: 0.365 Disgust: 0.251 Fear: 0.397 Happy: 0.694 Sad: 0.517 Surprise: 0.498
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03:43:42 ~ 03:44:26 公述人(角南篤君)
お答えいたします。死の谷もダーウィンの海もそれぞれ克服しなきゃいけない課題だと思います。人材育成、先生の御指摘のとおり、もう人というのは非常に重要になりますので、それを支える人材をこれからどういうふうに育てていくのか。そのためには、今現在、大学を改革するということを今政府が取り組んでおりますし、それから、ある意味ではその新しいイノベーションのエコシステムをここにしっかりつくっていくという、もうここでやれなかったらかなりもう取り残されてしまいますので、このエコシステムをちゃんとつくっていくことで、しっかり人、そして若い人たちが育っていくような、そういうメカニズムが必要だと思います。 Angry: 0.490 Disgust: 0.382 Fear: 0.438 Happy: 0.588 Sad: 0.436 Surprise: 0.516
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03:44:26 ~ 03:44:43 公述人(角南篤君)
そのためには、一つ一つの組織の中でずっといるんではなくて、どんどん流動化させていくことと、そして世界とつながっていくということで、人を育てていくという仕組みをつくる必要があると思います。 Angry: 0.286 Disgust: 0.222 Fear: 0.360 Happy: 0.870 Sad: 0.415 Surprise: 0.608
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03:45:02 ~ 03:45:32 片山大介君
それで、まずちょっと角南先生からお伺いしたいんですが、このエコノミック・ステートクラフトという、まさに今そのウクライナ危機において各国がやっていることなんですけど、今そのやり方、その温度差、各国に差がある中で、これで本当に今のこの侵略を、ロシアの侵略を止めることができるのかどうか、ここら辺は先生どのようにお考えなのか、教えていただけますか。 Angry: 0.337 Disgust: 0.175 Fear: 0.599 Happy: 0.410 Sad: 0.437 Surprise: 0.667
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03:45:32 ~ 03:46:16 公述人(角南篤君)
先ほどそのエコノミック・ステートクラフトの御説明する際に、これは学術研究としては非常に重要なテーマではあるんですけれども、実効性に関して言えば、これまで歴史の中で本当にどういう局面でエコノミック・ステートクラフトが効果を出したのかというのは、そこは物すごく難しいことであるというふうに申し上げました。非常にこれ、今のこのロシアに対して経済制裁をこれからどんどん次々と打っていくわけですが、それが果たして最終的にプーチンを止めることができるのかということについては、非常に難しい意見の方が幾らでも上がってくると思います。 Angry: 0.480 Disgust: 0.269 Fear: 0.592 Happy: 0.366 Sad: 0.336 Surprise: 0.605
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03:46:16 ~ 03:46:43 公述人(角南篤君)
やはり幾つかの要件が必要で、それは国民世論、ロシアの社会の、ロシアの方々がプーチンに対してどういうふうな行動を起こすのか、あるいはいろんなことがないと、この経済制裁だけで実際にプーチンの政策を変えるというのはなかなか難しいかなと、いろんな要件がないといけないというふうに思っています。 Angry: 0.662 Disgust: 0.199 Fear: 0.596 Happy: 0.294 Sad: 0.310 Surprise: 0.567
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03:46:43 ~ 03:47:17 片山大介君
そうすると、我々予算委員会でも、このウクライナをかなり対政府にいろいろ聞いているんですけど、やっぱりこれ、どういうそのゴールを描いていくべきなのか、各国のリーダーは、各国は、自国民のことを考えながら。何かそこがいま一つ難しい、分かりづらいところだと思うんですけれども、どういうゴールを描けばよいのか、ここら辺は、角南先生、松井先生、それぞれの御所見からお考えをいただきたいんですが。 Angry: 0.535 Disgust: 0.121 Fear: 0.461 Happy: 0.559 Sad: 0.458 Surprise: 0.562
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03:47:17 ~ 03:48:13 公述人(角南篤君)
まずは軍事活動を止めるということだと思います。戦っている間はその未来について話し合うことができませんので、何とかまずは戦っているところをまず止めて、そして、そこから先の、もちろんもう本質的な課題ありますから、それについてはみんなで知恵を出して答えを出していくしかないと思います。まずは停戦だというふうに思っています。じゃ、どうしたら停戦になるのかと。そこにもうとにかくエネルギーを注いでいくしかないというふうに思いますので、まずはとにかく停戦をして、そしてそこからみんなで知恵を出していくというプロセスに移っていく、それを期待しているべきだと思います。 Angry: 0.409 Disgust: 0.334 Fear: 0.529 Happy: 0.610 Sad: 0.417 Surprise: 0.548
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03:48:13 ~ 03:49:02 公述人(松井芳郎君)
御指摘ありますように、経済制裁というのは、少なくとも効き目があるとしても長期、中長期的な効き目でありまして、制裁を加えたから直ちに効果が出るというふうな問題ではないだろうというふうに思っています。加えて、今、角南先生も言われましたけれども、向こうの国民がどう考えるかということですね、これが重要なポイントになってくる。といいますのは、経済制裁、今まで何度か実施されておりますけれども、しばしば問題になったのが、結局国の戦力とかあるいは支配層の経済に影響を与えるんじゃなくて、弱者にしわ寄せが行ってしまうと。これをどうするかということは、例えばイラクのときでも非常に大きな問題になりました。 Angry: 0.563 Disgust: 0.274 Fear: 0.510 Happy: 0.449 Sad: 0.371 Surprise: 0.574
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03:49:02 ~ 03:50:20 公述人(松井芳郎君)
ということは、要するに、相手の国民に対してどういう影響を考えるかということだろうと思うんですが、そういうことを含めて、相手国国民の反応ということが大変大事だろうというふうに思っています。そのためには、やはりロシアのやり方が国際社会で圧倒的に孤立しているんだよということをロシアの国民に知らせるということが、これまた間接的ではありますけど、一定の役割を果たすだろうと。もう一つは、プーチンは、先ほども簡単に触れましたが、幾つかの要求を出しておりますけれども、ウクライナに対してですね、そのようなウクライナに対する要求は国際社会が認めないよと、つまり、現在の国際社会ではそんなことは実現できないよということを知らせるということも、今、角南先生言われた武力を取りあえずやめさせるということにつながっていくように思っておりますので、そういった世論も必要だろうというふうに考えております。 Angry: 0.567 Disgust: 0.340 Fear: 0.546 Happy: 0.452 Sad: 0.370 Surprise: 0.453
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Angry: 0.273 Disgust: 0.392 Fear: 0.530 Happy: 0.445 Sad: 0.755 Surprise: 0.384
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03:50:30 ~ 03:51:02 片山大介君
次、角南先生にまた聞きたいんですが、そのエコノミック・ステートクラフト、やっぱり、その自国へのやっぱり反動も来るわけですよね、経済制裁というのは。先ほどから話があるように、やっぱりガソリン価格の高騰などいろんなものが起きている。だから、そのバランスがすごく難しいと思うんですけれども、これ、政府はそこをどのように国民に納得してもらうか、我慢してもらうか。あとは、ここからはやっぱり我慢できない、我慢すべきじゃないと、そこの判断はどういうふうに考えたらいいと思いますか。 Angry: 0.461 Disgust: 0.242 Fear: 0.507 Happy: 0.437 Sad: 0.531 Surprise: 0.535
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03:51:02 ~ 03:52:00 公述人(角南篤君)
お答えいたします。まずはロードマップが必要かと思います。国民にとって次何が出てくるのか、そしてこの状況がもし進展しなければ次何をやるのか、これがどれぐらいのタームで行われるのかと。要は、非常に難しいんですけれども、やはり政府としては、そういう、もちろん全部手のうちを見せるわけじゃないんですけれども、ある一種のロードマップ的なものですね、そういうふうにエスカレーションが起きますから、相手から報復が来たり、いろいろしますので、常にそのたびに説明というかメッセージを出していくということが必要だと思います。一番問題なのは、やはり次何が起きるのかが分からないということでありますし、次何が制裁の対象になるのかということに対して、それに関わっている人たちは物すごく不安になると思います。 Angry: 0.398 Disgust: 0.317 Fear: 0.554 Happy: 0.492 Sad: 0.471 Surprise: 0.536
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03:52:00 ~ 03:52:29 公述人(角南篤君)
これは自ら関わってくるから、自分たちに跳ね返ってくるという意味でもですね。ですから、やはり、制裁のリストがこれから作られていく、そしてそれが第一段階でどういうものになる、そして第二段階では次何を想定していくのか、どこまでやるのか、あるいはどういったときにこれが次のフェーズに移っていくのか、そういったことをやっぱりある程度見せていく必要があるのかなというふうに思っています。 Angry: 0.413 Disgust: 0.266 Fear: 0.491 Happy: 0.604 Sad: 0.399 Surprise: 0.603
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03:52:29 ~ 03:53:11 片山大介君
ありがとうございます。それで、続いて、ちょっと松井先生にお伺いしたいんですが、ロシアのやっぱり国際法上の違反、ロシアの言っていることに正当性はないとしていますけれども、それでももうロシアは侵略を続けているわけですよね。それで、これを今、やっぱり先ほど言われたように、国連組織、やっぱりきちんと裁けないでいる。例えば、国際司法裁判所でも、ウクライナが提訴しているけれども、ロシア側はたしか出てこないだとか、強制力もないという、ここの問題はどのように先生お考えでしょうか。 Angry: 0.570 Disgust: 0.271 Fear: 0.412 Happy: 0.473 Sad: 0.527 Surprise: 0.443
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03:53:11 ~ 03:54:13 公述人(松井芳郎君)
残念ながら、現在の国際法に国内法と同じような強制力というのがないことは明らかであります。したがって、長期的に言えば、国際法の執行の力というのは、諸国民の連帯、あるいは国際世論ということになろうかと言わざるを得ないわけですね。ロシアの現在の状況、違法な状況が続いているということについては、差し当たり、これに対して直接に軍事的な対応をするということは、多分、現在の国際社会の状況では、ロシアの拒否権がなくてもできないことだろうと思っておりますので、それ以外の力をどのように結集していくかということについては衆知を集めて議論をしていく必要があるだろう。 Angry: 0.616 Disgust: 0.388 Fear: 0.505 Happy: 0.384 Sad: 0.474 Surprise: 0.423
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03:54:13 ~ 03:55:05 公述人(松井芳郎君)
しかし、ロシアが現在、国際社会で圧倒的に孤立をしているという事実は否定できないわけでありまして、これを生かしてどのような具体的方策を取るかということをこれから知恵を出していく必要があろうかと思っております。私も正直に申しまして、そう簡単に実現できる課題ではないだろうというふうに思っております。 Angry: 0.248 Disgust: 0.254 Fear: 0.496 Happy: 0.726 Sad: 0.407 Surprise: 0.589
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03:54:34 ~ 03:54:59 片山大介君
それで、先生は先ほどの話の中で、拒否権を行使できないように、安保理で拒否権行使できないように根回しをするみたいなことをおっしゃったんですけど、これも現実的には無理だなというか、難しいかなと思いますけれども、先生、それはどのようにして、どんなふうにお考えでしょうか。 Angry: 0.326 Disgust: 0.300 Fear: 0.571 Happy: 0.413 Sad: 0.642 Surprise: 0.380
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03:55:05 ~ 03:56:22 公述人(松井芳郎君)
しかも、拒否権全て全部行使するなという議論ではなくて、例えば国際犯罪に当たるような、例えば今回の例ですとジェノサイドですね、そういうことが起こって、安保理事会でそれに対処するというときに限って拒否権はやめてちょうだいという議論を、これはかなり多数の国がやっております。もちろん、国連憲章を改正しない限り拒否権を法的になくすことはできませんが、そのような声が強まってきたら、少なくとも、特定の事例において拒否権を行使したら非常に強い国際的な批判を受けるということは常任理事国に肝に銘じさせることができるような、そういう雰囲気を安保理事会なり国際社会でつくっていく必要があるだろうというふうに考えておりまして、実は常任理事国でもイギリスやフランスはそのような方向について全く消極的ではない、一定の場合には乗ってくるということが考えられますので、そういう雰囲気を広げていくということが大事ではないかと思っております。 Angry: 0.560 Disgust: 0.327 Fear: 0.466 Happy: 0.583 Sad: 0.266 Surprise: 0.463
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03:56:22 ~ 03:56:42 片山大介君
ありがとうございます。先生、そうした中で、日本政府として、そこでの役割というか、日本政府はどういうことをやっていけばいいのかというのを教えていただけますでしょうか。 Angry: 0.489 Disgust: 0.226 Fear: 0.273 Happy: 0.664 Sad: 0.586 Surprise: 0.382
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03:56:42 ~ 03:57:33 公述人(松井芳郎君)
大変難しい御質問でありまして、私、政策論争は余りうまくないんですけれども。一つは、安保理改革を日本はかなり積極的に議論をしてまいりました。ただ、どうもこれは、日本だけ常任理事国に入れてちょうだいという議論に少なくとも外からは受け取られかねない議論になりそうな場合もありまして、そうではなくて、現在の非民主的な安保理事会の構造なり活動様式というのをもっと民主化しなければならないんだという線で議論すれば、日本とかドイツというのは非常に発言力は強いわけですから、一定の影響力を国連の活動にも及ぼすことができるだろうというふうに思っております。 Angry: 0.471 Disgust: 0.273 Fear: 0.530 Happy: 0.537 Sad: 0.388 Surprise: 0.535
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03:57:33 ~ 03:58:18 公述人(松井芳郎君)
もう一点は、これも先ほどからいろんな形で先生方も議論されました核兵器の問題ですね。これやはり、核兵器持っている国が核を振り回すことができないような国際的な状況をつくっていく、その一つの手掛かりが、これも先ほどから御議論出ました核兵器禁止条約ですね。これに対する対応は現状のままではちょっと望ましくないので、もう少し衆知を集めて、たとえ日米同盟の下であってもやることができるだろうという、その辺りのことを検討していく必要があるだろうというふうに思っております。 Angry: 0.565 Disgust: 0.280 Fear: 0.440 Happy: 0.478 Sad: 0.468 Surprise: 0.494
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03:58:18 ~ 03:58:48 片山大介君
ありがとうございます。それで、最後、残った時間で、角南先生、経済安保で私もちょっと少し聞きたいんですが、先生、シンクタンク機能の整備とおっしゃっていて、たしか政府は、来年度かな、そのシンクタンク設立目指しているんだと思いますけど、そのアメリカのようなものが今の日本でこれは本当にできるのか、人材も含めてどういうふうな規模になるのか、先生、どんなイメージで考えていらっしゃるか、教えていただけますか。 Angry: 0.205 Disgust: 0.191 Fear: 0.368 Happy: 0.822 Sad: 0.604 Surprise: 0.549
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03:58:48 ~ 03:59:28 公述人(角南篤君)
おっしゃるとおり、今、来年一年間掛けてこの準備に入っているというプロセスであります。このときに考えなきゃいけないのは、やはり政府が政策立案のためにこのシンクタンクを使うということをしっかりやっていかないといけなくて、できることというか、つくることだけでは問題で、それをどう活用していくのか、それは政府側の方にもしっかり考えていただく、そういう組織をつくらなきゃいけないということで、アメリカの事例の場合は、まさにいわゆるクライアントですね、この政策研究から出てきたものを、シンクタンクから出てきたものを誰が使うのかというのが明確にあります。 Angry: 0.539 Disgust: 0.307 Fear: 0.381 Happy: 0.697 Sad: 0.315 Surprise: 0.475
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03:59:28 ~ 04:00:04 公述人(角南篤君)
ですから、今そこで、政府の中でしっかりと、誰がこの経済安全保障のためにつくられたシンクタンクをしっかり使っていくのか、その組織体を内閣府の中に、あるいは内閣官房につくるのか分かりませんけど、そこをしっかりとつくっていただいて、そして、実際にこのシンクタンクを動かしながら、長く人を育てるということも視野に入れてやらないと、やはりただ単に組織ができてしまって、中身がなかなか付いていかないという状況になるんではないかと思っています。 Angry: 0.542 Disgust: 0.205 Fear: 0.540 Happy: 0.344 Sad: 0.415 Surprise: 0.522
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Angry: 0.376 Disgust: 0.373 Fear: 0.560 Happy: 0.479 Sad: 0.619 Surprise: 0.473
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04:00:17 ~ 04:01:07 山添拓君
日本共産党の山添拓です。お二人の公述人、今日は大変ありがとうございます。角南公述人に伺います。ロシアのウクライナ侵略について先ほど来お話があり、公述人御自身も二十一世紀にこんな戦争が起こるのかと驚きを覚えたというお話がありました。また、世界の相互依存が高まるとむちゃができないという想定もあった、それを破ってきたんだという話もありました。そのときに、力に対して力で応じるというそういう時代に戻さないためにも、経済制裁や、あるいは先ほど来言及されているロシアの国内の世論とも結んで、今戦争をやめろという声が国内でもあるということが報じられていますが、包囲していくことは本当に大事だと思います。 Angry: 0.441 Disgust: 0.242 Fear: 0.483 Happy: 0.526 Sad: 0.459 Surprise: 0.570
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04:01:07 ~ 04:01:38 山添拓君
ロシアは、軍関係の報道についてフェイクだと当局が認定すると最大禁錮十五年、そういう情報統制を強化していると言われますので、やはり世論を恐れているんだと思うんですね。そのときに、いかに事実あるいは情報を共有していくのか、ロシア国民の世論との関係でもこれは非常に大事だと思うんですけれども、御意見がありましたらお願いします。 Angry: 0.528 Disgust: 0.240 Fear: 0.477 Happy: 0.595 Sad: 0.297 Surprise: 0.577
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04:01:38 ~ 04:02:03 公述人(角南篤君)
私ども笹川平和財団は、これまで長くロシアとも事業を一緒にやってきましたし、政策対話もついこの間までやってきました。それは北極とかいろんなテーマについてありますけれども、ただ、そこで論理的にいろんな議論をしている中で、まさかこういうことが起きるということが全く想定されなかったというか、私自身は少なくともショックというか、驚きました。 Angry: 0.317 Disgust: 0.169 Fear: 0.622 Happy: 0.475 Sad: 0.433 Surprise: 0.646
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04:02:03 ~ 04:03:00 公述人(角南篤君)
それは、やはりお互いにいろいろ対話をしている中で、もちろん置かれている状況が厳しいのは分かりますし、ロシアから見たときに彼らの中で脅威というのは何なのかということも大事な、我々ディスカッションしている中で私も学ぶことができましたが、それに対するこの解決方法がまさかこれなのかというのはもう全く想定できなくて、これについては、どこまでこの解決方法をロシアの政府内あるいはプーチンの周辺の人でも共有していたのか、これが合理的な選択だというふうに思ったのかは、私は今でも疑問視しております。どういうふうにこうなってきたのかというところを考えていく上でも、そのインフォメーションというのは非常に重要だと思います。これも我々財団の方で、先日、ディスインフォメーションに関する取組ということを政策提言させていただきました、いわゆるフェイクニュースも含めてですね。 Angry: 0.504 Disgust: 0.281 Fear: 0.472 Happy: 0.570 Sad: 0.304 Surprise: 0.551
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04:03:00 ~ 04:04:08 公述人(角南篤君)
戦略的にこういうことをSNS上であったりネット上で使う、流すことによって、まず世論に影響を与えて操作を与えると。先ほど来から松井先生のお話もありましたけれども、やはりこの経済制裁が効果的に働くためには、国民世論がそれをちゃんと受け止めなきゃいけない。だけど、そこにディスインフォメーションが入ってきた場合に、逆に、これは誰々のせいなんだとか、そういう敵をつくらせて、仮想につくらせて、そして一つに国民をまとめていくということもあり得ると思うんですね。それは我々の周辺でも、長く経済制裁をしているにもかかわらず全然事が動かないという国は、事例はどこにもありますから、そういう意味では、先生がおっしゃるように、この情報操作に関する部分というのも徹底的に我々は対策を練っていかなきゃいけないというふうに思っていますので、この二つについては今後の課題になるかなというふうに思っています。 Angry: 0.674 Disgust: 0.331 Fear: 0.490 Happy: 0.461 Sad: 0.331 Surprise: 0.495
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04:04:08 ~ 04:05:00 山添拓君
ありがとうございます。松井公述人に伺います。二十世紀の二度の大戦の痛苦の経験を踏まえて国連憲章は武力行使を違法化した、その流れについても若干触れていただきましたが、ロシアがこの戦後の平和秩序を踏み破る中で、このまま十九世紀に戻ってしまうのではないかと、そういう懸念をする声もあります。しかし、国連でも国際社会でも、松井公述人もお話しいただいたように、この侵略戦争に抗議する圧倒的な世論が広がり、過去の歴史が決して繰り返しているわけではないと思うんですね。力に力で対抗するのではなくと、そういう改めて国際的な平和の秩序を再構築していこうと、そういう動きの方が圧倒的に強いと、過去とは違うんだという状況もあると思うんです。 Angry: 0.432 Disgust: 0.276 Fear: 0.418 Happy: 0.624 Sad: 0.478 Surprise: 0.498
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04:05:10 ~ 04:06:08 公述人(松井芳郎君)
おっしゃるとおりでありまして、私が申し上げたのは、現在直ちに国連が十九世紀に戻るというふうな話ではなくて、そういう方向でまた武力が物を言うような世界に戻ろうとする動きをしている人たちがあると、そういう動きに気を付けていかなければいけませんねというお話をしたつもりでありまして、うまい具合に表現できなかったのかもしれませんが。国連では、やはり全体としては、現在の体制を守り、強化していくという議論が主流になっているだろうというふうに思っています。集団安全保障をどういうふうに強化するかということは、実はそれほど名案が出ているわけではありませんが、長年にわたって委員会などを通じて議論もしておりまして、そういう方向を我々としても応援をしていく必要があるだろうというふうに思っております。 Angry: 0.431 Disgust: 0.308 Fear: 0.473 Happy: 0.690 Sad: 0.407 Surprise: 0.509
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04:06:08 ~ 04:07:18 山添拓君
プーチン大統領は、この間、核による威嚇を繰り返し、先制使用のハードルも引き下げています。核保有国との緊張を高めて、核戦争のリスクを高める危険な動きでありますので、断じて許されないと考えます。同時に、日本国内では、公述人からもありましたように、アメリカとの核共有を議論すべきだという主張が一部の政治家や政党からなされています。むしろ、核抑止論に固執することが世界の平和にとっていかに有害であるのか、これがウクライナ侵略で一層明らかになっていると思うんです。核の脅しに核で対抗するなら、それはプーチン氏と立場を同じくするものですらあると言えると思います。核兵器禁止条約の話が先ほどから出ていますが、日本で核保有や核共有の議論をするということ自体が世界の流れに逆行することになると考えますけれども、松井公述人の御意見を伺います。 Angry: 0.829 Disgust: 0.349 Fear: 0.467 Happy: 0.378 Sad: 0.264 Surprise: 0.405
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04:07:18 ~ 04:08:45 公述人(松井芳郎君)
核抑止が平和を維持してきたという議論が核保有国の間には根強くあるのは御存じのとおりで、例えば今の核禁条約ができたときにも核保有国が共同声明出して、今まで核抑止で平和が守られてきたじゃないかという議論をいたしました。しかし、核抑止の下というか、核兵器国がやってきたことは、現在のロシアがまさにそうであるように、核兵器を自国の国策の手段として、核兵器を持っていない国に対する脅しの手掛かりにするという使い方が最も一般的な核兵器の使い方、使い方って、落とすわけではありませんけれども、核兵器を持っているよという脅しを掛ける、現在のプーチンの議論はまさに典型的にそれでありまして、それをやめさせるためには、やはり長期的な目標ではありますけれども、核兵器をなくす、つまり脅かしの手段をなくしてしまうんだということが長期的には重要だろうと思いますが、もう少し短期的な目標としては、先ほどからお話が出ております核兵器禁止条約ですね、核兵器を使うことは違法なんだよと、人道に対する犯罪になるよという世論を強める。 Angry: 0.875 Disgust: 0.329 Fear: 0.454 Happy: 0.374 Sad: 0.240 Surprise: 0.317
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04:08:45 ~ 04:09:09 公述人(松井芳郎君)
つまり、持っていても使えない、あの条約に入っていなければ条約に拘束されるという議論にはなりませんけれども、少なくとも条約が国際世論を体現しているという意味では一定程度の役割を果たすわけでありますから、そういう意味で核兵器禁止条約は非常に重要だろうと。 Angry: 0.856 Disgust: 0.306 Fear: 0.488 Happy: 0.304 Sad: 0.275 Surprise: 0.352
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04:09:23 ~ 04:10:00 山添拓君
ありがとうございます。次に、岸田政権が敵基地攻撃能力の保有を検討していることについて松井公述人に伺います。政府は、憲法、国際法の範囲内で日米同盟の基本的な役割分担を維持してこの検討を進めるとしています。しかし、この間、政府は、敵基地攻撃能力とは、相手国の領域まで踏み込んでいって、まずレーダーなどを破壊し、制空権を確保した上で、敵のミサイル基地をしらみ潰しに破壊していくような一連のオペレーションをいうと、こういう答弁も国会でしています。 Angry: 0.700 Disgust: 0.305 Fear: 0.338 Happy: 0.567 Sad: 0.399 Surprise: 0.361
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04:10:00 ~ 04:10:35 山添拓君
相手国の領域で戦闘機が爆撃することも排除しないと述べています。ですので、ミサイルを一発撃つという話ではなく、全面戦争を仕掛けるような、そういう危険のある話がされています。安倍元首相のように、相手国をせん滅する打撃力だという声まであります。公述人が指摘された、国際法上の必要性と均衡性を満たすとは到底考えられないと思うんですけれども、いかがでしょうか。 Angry: 0.642 Disgust: 0.351 Fear: 0.578 Happy: 0.383 Sad: 0.319 Surprise: 0.524
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04:10:35 ~ 04:11:05 公述人(松井芳郎君)
お答えいたします。敵基地を攻撃するときに、実際に向こうが先にこちらを攻撃してきている、その策源地である基地をたたくという場合と、攻撃してくるおそれがある、したがって、こちらを狙おうとする爆撃機の基地とかミサイルのサイロをこちらから先に攻撃するということでは議論が随分変わってくるだろうというふうに思っております。 Angry: 0.576 Disgust: 0.427 Fear: 0.415 Happy: 0.633 Sad: 0.369 Surprise: 0.424
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04:11:05 ~ 04:12:07 公述人(松井芳郎君)
前者の場合ですと、もちろん様々な要件がありますが、自衛権として正当化することはできないことはない、もちろん状況によりますが。ただ、後者の場合、つまり、まだ攻撃は発生していないけれどもそういうおそれがあるという段階で基地をたたくというときには、そもそも損害が生じていないわけですから、必要性と均衡性をどう説明するかというのは至難のことだろうと思うんですよね。全くそういうことはあり得ないということは多分ないだろうと思うんですね。先ほどからちょっと出ておりました着手の時期をどういうふうに推定するかと、決定するかという問題等が絡んできますので、先に手を出すことが何が何でも一切できないという議論はちょっと困難かと思いますけれども、しかし、とにかく具体的な損害が出ない状況でこちらが先に行動を起こすということであると、これを自衛権で説明することは非常に難しい。 Angry: 0.620 Disgust: 0.377 Fear: 0.487 Happy: 0.441 Sad: 0.449 Surprise: 0.377
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04:12:07 ~ 04:12:38 公述人(松井芳郎君)
つまり、自分のところで幾ら自衛権だと思っていても、国際社会、相手国はもちろん、国際社会が全体として言うとおりだというふうに納得してくれないと通用しないということになりますので、敵基地攻撃で先に手を出すということを自衛権で説明することは、全く不可能とは言えないかもしれませんが、至難の業であろうというふうに考えております。つまり、そういうことはやるべきではないだろうと思います。 Angry: 0.645 Disgust: 0.323 Fear: 0.386 Happy: 0.575 Sad: 0.386 Surprise: 0.429
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04:12:38 ~ 04:13:15 山添拓君
ありがとうございます。敵基地攻撃能力の保有の検討というのは、抑止力の向上を理由として論じられています。実際に使うのではなくても、反撃力を持っているということが相手に踏みとどまらせる材料になるのだと、こういう理屈で進められています。しかし、松井公述人もお話しになったように、日本がこうして敵基地攻撃能力、反撃力を持ち、抑止力だと言えば、相手もこれを脅威と感じて抑止力を持とうということになるでしょう。 Angry: 0.620 Disgust: 0.375 Fear: 0.460 Happy: 0.533 Sad: 0.374 Surprise: 0.428
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04:13:15 ~ 04:13:38 山添拓君
抑止力論というのはそういう形で、とても展望がある話とは思えないのですが、ではそのときに、これに代わる対応としてどのような政策を考えるべきなのかと、この点について松井公述人の御意見をお聞かせください。 Angry: 0.705 Disgust: 0.237 Fear: 0.435 Happy: 0.486 Sad: 0.287 Surprise: 0.550
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04:13:38 ~ 04:14:04 公述人(松井芳郎君)
政策の問題は私の専門ではございませんので、ある意味では素人の印象になりますが、一つはやはり軍事力が使えない雰囲気を関係国の間でつくっていくという、いわゆる緊張緩和ですね、これをどういうふうに進めるかということが大変大事だろうというふうに思っております。 Angry: 0.226 Disgust: 0.189 Fear: 0.531 Happy: 0.724 Sad: 0.396 Surprise: 0.571
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04:14:04 ~ 04:15:17 公述人(松井芳郎君)
日朝間でも日中間でも様々な交渉が行われてきているわけですけれども、必ずしも十分な成果を上げているとは思えませんので、それをもっと力を入れるということは可能でもあり必要でもあろうというふうに思います。それから、もう一つはやっぱり軍縮ですね、逆に。敵基地攻撃能力とか抑止力とかいうことで当方が軍備を増強すれば、山添先生も言われましたように、向こうは、それじゃ、まあ危ないからやめとこうかと思うのではなくて、そういう日本の軍備を突破できるようなより高度の軍備を持とうとするのが、従来の歴史的経験からするとそういうことになるということでありますので、むしろ、そうではなくて、逆の方向で軍備を減らしていく、なくしていくという交渉を、いわゆる仮想敵国になるような相手国と行っていくということが大変重要ではないかというふうに考えております。 Angry: 0.461 Disgust: 0.275 Fear: 0.431 Happy: 0.632 Sad: 0.401 Surprise: 0.510
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04:15:24 ~ 04:16:25 委員長(山本順三君)
以上で公述人に対する質疑は終了いたしました。この際、公述人の方々に一言御礼を申し上げます。本日は、有益な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。午後二時に再開することとし、休憩いたします。 Angry: 0.361 Disgust: 0.274 Fear: 0.332 Happy: 0.808 Sad: 0.430 Surprise: 0.535
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04:18:17 ~ 04:19:09 委員長(山本順三君)
令和四年度総予算三案につきまして、休憩前に引き続き、公述人の方々から御意見を伺います。この際、公述人の方々に一言御挨拶を申し上げたいと思います。本日、御多忙中のところ本委員会に御出席を賜り、誠にありがとうございます。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。本日は、令和四年度総予算三案につきまして皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、どうかよろしくお願いいたします。次に、会議の進め方について申し上げます。まず、お一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。 Angry: 0.360 Disgust: 0.259 Fear: 0.374 Happy: 0.774 Sad: 0.459 Surprise: 0.551
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04:19:09 ~ 04:19:41 委員長(山本順三君)
それでは、新型コロナウイルス感染症が内政に与える影響について、公述人国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授和田耕治君及びインターパーク倉持呼吸器内科院長倉持仁君から順次御意見を伺います。まず、和田公述人にお願いいたします。和田公述人。 Angry: 0.498 Disgust: 0.306 Fear: 0.441 Happy: 0.615 Sad: 0.481 Surprise: 0.516
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04:19:41 ~ 04:20:13 公述人(和田耕治君)
和田耕治と申します。私は医師で公衆衛生学を専門としております。公衆衛生学というのは、患者さんだけではなくて全ての方の健康を追求する学問であり、実践です。私自身は、大学と現場で活動してまいりましたが、二〇〇九年の新型インフルエンザH1N1の際には厚生労働省の専門家会議や、この二年間は新型コロナの専門家会議や厚生労働省アドバイザリーボードなどに参画をさせていただいております。 Angry: 0.316 Disgust: 0.279 Fear: 0.400 Happy: 0.799 Sad: 0.429 Surprise: 0.564
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04:20:13 ~ 04:21:00 公述人(和田耕治君)
新型コロナウイルスが内政に与える影響として、影響を抑えるために必要なことについて、公衆衛生学の立場からのお話をさせていただきます。お手元の資料、こちら二枚目が全体の概要でございます。五つございますが、順にお話をさせていただきます。それでは、三枚目にございます、中長期を見据えた健康危機管理についてです。日本では、当初から死亡者をできる限り少なく、そして社会経済への影響もできるだけ小さくという戦略目標を掲げてきました。この二年間に行われました対策や結果については、検証や振り返りが必要です。それは、政府、それぞれの自治体、医療機関、企業などにおいても必要です。 Angry: 0.384 Disgust: 0.265 Fear: 0.512 Happy: 0.617 Sad: 0.424 Surprise: 0.589
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04:21:00 ~ 04:22:03 公述人(和田耕治君)
公的な支出については、対策の費用対効果も含めて検証が必要です。そこからの学びや教訓を基に、感染症だけではなく、災害も含めた健康危機管理の対応の改善につなげることが求められます。新型コロナの流行はまだ数年単位で何らかの形で続く可能性があります。ワクチンや治療薬などが得られてはおりますけれども、新たな変異株の発生並びに新型インフルエンザといったものも将来的にはあり得ます。日本は、この二十年間において、国際的な感染症の危機からある意味守られてきました。例えば、二〇〇三年頃に話題になりましたSARS、重症急性呼吸器症候群も、二〇一二年以降話題になりましたMERS、中東呼吸器症候群、二〇一四年、西アフリカで流行したエボラ出血熱、これらは日本国内では一例も報告されておりません。 Angry: 0.418 Disgust: 0.389 Fear: 0.656 Happy: 0.415 Sad: 0.384 Surprise: 0.544
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04:22:03 ~ 04:23:00 公述人(和田耕治君)
それらは幸いなことではありましたが、これらの感染症で痛い目に遭った近隣のアジアの国々、そして世界中でその教訓を得て、この二十年間に様々な形での取組をしてきました。日本でも、新型インフルエンザの後の二〇一〇年に、厚生労働省でも新型インフルエンザの対策総括会議の報告書が出されました。そこに示された課題の多くが解決に至らずに今回の新型コロナを迎えることとなりました。今日、資料の後ろにその資料を付けております。今こそ、感染症並びに災害なども含めた健康を守る危機管理体制の在り方の議論、並びに国、都道府県、市町村がどう協力して被害を最小化することが可能になるのかについての具体的な取組が必要です。 Angry: 0.397 Disgust: 0.292 Fear: 0.583 Happy: 0.491 Sad: 0.416 Surprise: 0.593
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04:23:00 ~ 04:24:02 公述人(和田耕治君)
自治体の間、そして医療機関、企業、そして市民なども含めて、それぞれがどう対応し、協力するのかといったことも含めて考えていく必要があります。そのための法的な枠組みが重要であり、感染症法だけではなく、関連する法令の改正についても引き続き御議論をお願いします。続いて、資料の四ページになります。保健所について取り上げております。新型コロナ感染拡大において、保健所の役割がこれまで以上に注目されました。一方で、多岐にわたる膨大な業務負荷が発生しております。それは、相談、検査の手配、感染者の確認、健康観察、受診の調整、食事の手配、措置の手続、医療の支払、医療機関や施設への感染対策の助言などにわたっております。 Angry: 0.459 Disgust: 0.307 Fear: 0.524 Happy: 0.561 Sad: 0.424 Surprise: 0.557
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04:24:02 ~ 04:25:13 公述人(和田耕治君)
この第六波において、感染者数の急激でしかも大きな増加に伴いまして、残業時間がいわゆる過労死のリスクを超えた状態にある職員も多数おります。保健所でこれまで頑張ってこられた方が休職や退職をするということも起きており、公共財としての人材や、自治体の中で培われてきた経験やネットワークが失われようとしている地域もございます。保健所は、感染症だけではなく、精神保健や母子保健など、様々な健康を支援する住民サービスを行っております。保健所の設置主体である自治体においては、所管する保健所の現状の点検並びに業務負荷を軽くするための具体化が今後の更なる感染拡大を見据える中でも必要です。自治体の中でどこかの組織がやればよいだけではなく、地域の中での医療機関や市町村を含めた自治体同士が縦割りを超えて有機的な連携で支え合えるような仕組みが不可欠です。 Angry: 0.529 Disgust: 0.349 Fear: 0.561 Happy: 0.389 Sad: 0.431 Surprise: 0.512
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04:25:13 ~ 04:26:11 公述人(和田耕治君)
こうしたことができている自治体も多数ありますが、保健所の負担の軽減ができていない自治体もあるようです。こうした自治体の底上げや支援は国の役割と考えます。是非とも、点検の指示であったり、良好事例を共有ということをお願いできればと思います。また、国におきましては、感染症法に基づく対応においても、保健所や医療現場の業務負荷を減らすことが引き続き求められております。資料の五ページ目にお進みください。まん延防止等重点措置、以下重点措置とさせていただきますが、十八都道府県で延長がされました。医療逼迫、そして国内においてもBA.2系統の拡大も予測されておりまして、さらには高齢者の三回目のワクチン、これにはもう少し時間が掛かるという状況を御考慮されたものと考えます。 Angry: 0.450 Disgust: 0.342 Fear: 0.548 Happy: 0.455 Sad: 0.501 Surprise: 0.510
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04:26:11 ~ 04:27:06 公述人(和田耕治君)
ただ、どうなったらこの重点措置を解除するのかという目安は曖昧であり、長期化しないようにするための議論と対応が必要です。一番避けたいのは、市民や事業者の納得が得られなくなり、重点措置が出ているのに守られなくなるということです。それにより重点措置という法的な措置の価値が損なわれるなら、今後再び必要となった際の運用にも影響が出てきます。何よりも、市民や事業者の間で不信感であったり、地域によっては不公平感が出たりということも危惧されます。都道府県は、重点措置の対象とした市町村と一体となって、その地域で要請する対策を丁寧にフォローしていかなければ重点措置の効果を十分に得ることができません。 Angry: 0.623 Disgust: 0.415 Fear: 0.624 Happy: 0.285 Sad: 0.427 Surprise: 0.438
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04:27:06 ~ 04:28:20 公述人(和田耕治君)
例えば、飲食の場面やリスクの高いと考えられるイベントの再開に向けた準備や取組が地域や市、事業者などで重点措置の期間に推進されているかというと、そうした取組はまだ少ないです。重点措置を出して待つだけではなく、あくまでその後に向けた準備や対策の強化などを具体的にしていただきたいと願っております。それによって、重点措置に頼らなくても持続可能な感染対策ができる地域となり、また、医療逼迫を少しでも予防するために、地域の医療機関がより多く新型コロナの診療や連携に御参画いただけるような再構築を継続することも重要です。資料の六ページ目を御覧ください。オミクロン株については、感染力はこれまでの新型コロナウイルスの変異株の中で最も感染が広がりやすく、そして今後、年度末、年度初めは接触機会が増えることから、感染者の数の点からするとこれまでよりも更に大きくなることを想定しておかなければなりません。 Angry: 0.350 Disgust: 0.301 Fear: 0.550 Happy: 0.531 Sad: 0.497 Surprise: 0.585
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04:28:20 ~ 04:29:15 公述人(和田耕治君)
一方で、六十歳未満で基礎疾患がなくワクチンを接種していると、亡くなる可能性というのはかなり小さくなることが分かってまいりました。また一方で、七十歳以上の高齢者が感染した場合の重症化や死亡のリスクはまだまだ高いです。また、若くても持病や障害があると影響は大きいです。デルタ株までは健康な四十歳代でも重症化や死亡リスクがあり、社会全体で厳しい対応についての合意がある意味ではされやすかったとも言えます。しかし、デルタ株までの状況と比較するとオミクロン株による社会へのインパクトが異なる中で、政府や社会が取るべき対応についての合意形成や判断がより難しくなっていると感じています。 Angry: 0.383 Disgust: 0.350 Fear: 0.655 Happy: 0.304 Sad: 0.557 Surprise: 0.516
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04:29:15 ~ 04:30:01 公述人(和田耕治君)
まずは高齢者、そして高齢者でなくても基礎疾患のある方への三回目ワクチンをできるだけ早くやっていただき、そしてより多くの市民の方にも接種できるかどうかが社会経済活動への影響を最小化する鍵となります。国民一人一人にとっては、ワクチン接種をすることが自分自身やそして周りの方を守り、さらには地域での医療の逼迫を予防することにつながります。感染するかもという不安が小さくなる期間が延ばしていくことができるならば、社会経済活動を継続することにもなります。しかし、それでも、今後において免疫のレベルが下がるなどで感染拡大はある程度はあり得るとも言えます。 Angry: 0.337 Disgust: 0.340 Fear: 0.569 Happy: 0.507 Sad: 0.548 Surprise: 0.512
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04:30:01 ~ 04:31:03 公述人(和田耕治君)
高齢者や基礎疾患のある方や、医療が必要という社会の中で弱い立場にある方々を守りながら、社会経済活動をどう継続していくのかに悩む事態が起こり得ます。こうした際に、政治の力としての判断や決定であったり、市民とのコミュニケーションがこれまで以上に求められます。こうした状況は既に諸外国でも起きておりまして、どこも苦戦しながら向き合っておられます。資料の七ページ目に参ります。この二年間、リスクの高い場所や行動について避けてくださいということで、市民の皆様には生活において引き算をしていただくような行動制限を求めてきました。今後は、学校行事であったり冠婚葬祭など、私たちの文化や生活の場に不可欠な場面については足し算型として、こうしたらできる、これはしてよいという情報発信が求められます。 Angry: 0.450 Disgust: 0.275 Fear: 0.541 Happy: 0.501 Sad: 0.449 Surprise: 0.554
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04:31:03 ~ 04:32:04 公述人(和田耕治君)
足し算型の情報伝達は難しいので、これは工夫が必要です。こうしたらできるという際には様々な条件が伴います。例えば飲食であれば、参加される方の体調確認、人数、時間、場所の換気がどうかといったこともありますし、場面の数も数え切れないほどあります。引き算型の情報伝達というのは、歯切れが良く分かりやすいです。例えば三密を避けてくださいといった引き算型のメッセージ、これは非常に分かりやすいと言えますが、一方で、足し算型は歯切れが悪く、文章が長くなり、やや分かりにくいです。学校行事、冠婚葬祭、そしてこれまでも課題になっている高齢者施設でのお子さんやお孫さんとの面会などについては、積極的に前向きな情報発信をしていく必要があります。特に、こうした場面は感染リスクがそれほど高い場面ではなかったりします。 Angry: 0.324 Disgust: 0.332 Fear: 0.576 Happy: 0.568 Sad: 0.438 Surprise: 0.613
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04:32:04 ~ 04:33:00 公述人(和田耕治君)
昨年の後半は日本でも感染が少し落ち着いた時期がございました。そのとき、大人は飲み会や会食ができたりしましたのに、小学生は給食を黙食することしかできなかったり、施設に入所している高齢者が家族に会えなかったりしました。また、念のためということで過剰な感染対策も継続されており、それはやめてよいといった情報発信も必要です。現場で対策を緩和したり変えたりする際は、これはもう慎重になりがちです。なぜなら、責任を誰が取るのかが課題になるからです。高齢者でも気を付けて面会をしていても、感染する事例があれば担当者や施設が責められる。また、対策を緩和するとした際に反対する声は、顧客やサービスの受け手ではなく、むしろ内部の職員からだったりします。 Angry: 0.460 Disgust: 0.341 Fear: 0.522 Happy: 0.495 Sad: 0.500 Surprise: 0.491
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04:33:00 ~ 04:34:00 公述人(和田耕治君)
それは決して悪意ではなく、心配や不安であったり、批判を恐れたりということもあります。こうしたことが、今まさに感染者が増加している幼稚園や保育園、小学校などでもこういった課題に直面しています。間違いをしないということは大事なことですが、本当にその感染対策が個人や組織での、個別であったり全体の効果があるのか、そして何か大切なことを見失っていないのかといった振り返りも必要です。関係者や事業者同士の情報交換、そしてサービスの受け手も含めて、対話であったり、さらにはリスクをゼロにするということを目指さないということも必要でしょう。政府においても感染対策の緩和につながることは慎重であるべきですが、後で批判が起きるのではということでちゅうちょしている間に日がたち、状況が変わってタイミングを逃すということもあります。 Angry: 0.404 Disgust: 0.334 Fear: 0.600 Happy: 0.427 Sad: 0.500 Surprise: 0.518
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04:34:00 ~ 04:35:03 公述人(和田耕治君)
コロナなんか早く終わればいいのにと誰もが思っていますが、一方で、本当に大事なことは先延ばしせずできるようにしていく足し算による社会活動の再開が今求められております。最後のページになります。私の専門は公衆衛生学と冒頭申し上げました。公衆衛生という言葉は、もう御承知おきだと思いますが、日本国憲法第二十五条第二項、国は、全ての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない、にも出てくる言葉です。感染症だけでなく、コロナによって改めて露呈した社会や健康医療の課題はもちろんですが、コロナ以前からの課題であるが、コロナによってやや注目されなくなって停滞している課題も多数ございます。二年以上がたつ中で、そうした課題にもしっかり光を当てた来年度予算としての御議論をお願いできればと考えております。 Angry: 0.484 Disgust: 0.326 Fear: 0.512 Happy: 0.364 Sad: 0.513 Surprise: 0.466
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Angry: 0.419 Disgust: 0.400 Fear: 0.259 Happy: 0.837 Sad: 0.569 Surprise: 0.377
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Angry: 0.551 Disgust: 0.376 Fear: 0.346 Happy: 0.671 Sad: 0.544 Surprise: 0.412
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04:35:19 ~ 04:36:10 公述人(倉持仁君)
よろしくお願いします。インターパーク倉持呼吸器内科の倉持と申します。今日は、臨床の現場から、第六波が内政に与えた影響、そしてクリニックの今年一月、二月の現状についてですね、そしてそこで実際にあった問題点とその対策についてお話をさせていただきたいと思います。まず、第六波が内政に与えた影響ですけれども、保健所が機能しなくなり、そして明確なルールがない状況で学校や保育園、幼稚園などが休園、休校を繰り返し、家庭内感染が増えて、就労困難者が増加しました。また、医療機関では検査ができないということで、コロナ診療はもとより一般診療が抑制され、そして救急医療も阻害されて患者が治療を受けられないという状況に陥って、今も続いています。 Angry: 0.312 Disgust: 0.255 Fear: 0.501 Happy: 0.668 Sad: 0.447 Surprise: 0.551
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04:36:10 ~ 04:37:14 公述人(倉持仁君)
また、医療機関、福祉施設では過重労働を強いられる一方、残念ながら私のクリニックにもなぜか労基署が来るとかですね、整合性が取れていないんですね。それから、まん延防止の延長措置により、いろいろな社会経済活動が阻害されたという事実があるかと思います。足りないものは、これから新型コロナ対策に前向きに、新たな問題として捉えて、検査体制、医療供給体制の見直し、それから新興感染症で、今の保健所機能というのは昔の結核とかそういったものを想定した状況で動いていますから、保健所の機能強化、隔離施設や法律を作り、皆保険制度の下、国民が社会生活をきちんと送れるルールを作ること、また、科学的知見の集積を前向きに集めて、科学に基づく政策決定というものが必要ですし、新たにコロナに対応した、感染しない環境、社会をつくっていくということが必要で、これを政治がリーダーシップを取って行っていただきたいと思います。 Angry: 0.514 Disgust: 0.289 Fear: 0.525 Happy: 0.437 Sad: 0.448 Surprise: 0.484
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04:37:14 ~ 04:38:08 公述人(倉持仁君)
次のグラフは、一波から六波まで、どんどん、六波には感染者が多く、死亡者も今増えている中ですが、次のページ見ていただくと、これ問題点が、第一波、二波、三波、それぞれ感染を拡大している年齢層であったりですね、あるいは変異株の問題であったり、感染の場面が飲食であったり、今は学校、保育園なんですね。デルタ株のときには四十代、五十代なんですね。ですから、これ、一個一個の波の問題点を教訓にして解決策を打っていかないと、もう八波、九波、十波と永遠に繰り返すことになってしまうという認識を持っていただきたいと思います。次のページ、これはECMOnetという、ECMOを実際、今何台回っているかというのを表したグラフなんですが、デルタ株のときは一日多いと百八十人、それが今は三十人と。 Angry: 0.215 Disgust: 0.165 Fear: 0.577 Happy: 0.663 Sad: 0.421 Surprise: 0.716
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04:38:08 ~ 04:39:18 公述人(倉持仁君)
つまり、ウイルスの性質が全く変わっていて対応も変えなければいけませんよということになってきます。で、次のページは、私のクリニック、実際にコロナ禍が始まってから、四万人の発熱患者さんを診て、そして六千人近いコロナの陽性の患者さんを診てきました。この一月、二月も、我々のクリニックではきちんと備蓄をしてPCR検査が行えるような体制でずっと診療を三百六十五日行ってきていますが、残念ながら、それでも陽性率が三〇%を超えるという異常な事態が続きました。次のページは、実際に当院で行った、この一月、二月、二万六千件のPCR検査を行っているんですが、これ、栃木県で行っている検査数、九・三万件なんですね。つまり、一クリニックで二八%の検査がやる気になればちゃんとできているということを知っていただきたいのと、それから、実際にこの一月、二月、一万人近い患者さんが来て、二千六百人ほどの患者さん診断して、一日当たりにすると百六十八人の人がクリニックに来て、そのうち五十名ぐらいの陽性者が出て、実際には薬が足りないという状況があるということを知っていただきたいです。 Angry: 0.269 Disgust: 0.259 Fear: 0.644 Happy: 0.544 Sad: 0.426 Surprise: 0.683
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04:39:18 ~ 04:40:05 公述人(倉持仁君)
それから、我々のクリニックでは、次のページですが、東大とあるいは医科歯科大学などと、この豊富な臨床データをすぐさま研究面に生かしていただいて、実際に論文化を幾つも行っています。特に、ここ最近では、オミクロン株の感染様式とそのメカニズムについてや、治療薬、ワクチンがどのぐらい効くのかということを検証したデータを科学雑誌、ネイチャーという雑誌に、このグループ、佐藤佳先生のグループで出しています。しかし、また、今も投稿中なんですが、今度は新しいオミクロン株、BA.2という株が感染力が強く病原性が強いですよということを示す、あるいは一部の治療薬も効かなくなりますよという論文をもう出しているんですね。 Angry: 0.201 Disgust: 0.164 Fear: 0.555 Happy: 0.696 Sad: 0.437 Surprise: 0.700
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04:40:05 ~ 04:41:02 公述人(倉持仁君)
おかしいのが、残念ながら、この先生方、研究費、数億円今年取れているんですが、お話を聞くと、来年度の予算は何もないと。何だそれはと、こんなことでコロナ対策できるんですかと、私は臨床の現場から正直ちょっとびっくりしました。次のページ。私、ツイッターとかやっているんですが、実際にいたんですが、CTで誤嚥性肺炎が疑われる九十代の方ですね。初めて来たときに、これは大分弱っているし、PCRをすると、Ct値といって、増幅回数が四十回以上は陰性と判定されるんですけど、四十一回で、まあ陰性と判断したんですが、これはどう考えてもCT所見見ればコロナだろうということで、翌日もう一度検査をすると、Ct値が二十四と。これ、要するに二十四回で、もうウイルスが急速に増えているということなんですね。で、こういう状況が現場では分かっているわけですから、当たり前にPCR検査ができる体制をやはりつくらないとやはりどうにもならないということ。 Angry: 0.348 Disgust: 0.265 Fear: 0.608 Happy: 0.461 Sad: 0.455 Surprise: 0.634
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04:41:02 ~ 04:42:06 公述人(倉持仁君)
そして、今までの一波から五波について、ちょっと宣伝になってしまうんですが、私の本にはそういったこと書いてありますから、是非、国会図書館にも入っているそうですので、読んでいただけると幸いです。第六波を経験して、問題点としては、検疫体制、保健所機能、検査体制、それから補助金の問題、医療アクセスの問題、治療薬の問題、ワクチンの問題、それから生活を送る上での隔離のルールの問題、それから変異株に患者トリアージ法が合っていないという問題、それから治験の体制など、たくさんの問題があることが分かりました。検疫では、変異株に合わせて適切な隔離、待機期間を設定して、そして、感度が高い検査ですね、少なくとも抗原定性検査を一回だけ空港でやっただけでは変異株の侵入は絶対に抑えられませんので、必ずPCR検査複数回と組み合わせて、先ほどの例でお分かりかと思いますが、そういったことが必要になりますし、当然、入国数に合わせてキャパシティーの確保をしなければいけませんし、隔離施設も空港付近に設置する必要があると思います。 Angry: 0.295 Disgust: 0.204 Fear: 0.577 Happy: 0.631 Sad: 0.463 Surprise: 0.556
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04:42:06 ~ 04:43:10 公述人(倉持仁君)
また、保健所機能も、濃厚接触者の追跡は二波のときに既にできていなかったんですね。しかし、それに最初は一生懸命できていたんですが、感染者が増えるともうできなくなっていて、やはり必要なのは検査体制、そして保健所には感染者の隔離や健康観察、入院指示などがしっかりできるようにしていただきたいと思います。実際、我々のクリニックで患者さんを診ていて、実際に来られる患者さんというのは、自費で抗原検査が陽性になりましたよという方と、接触者の方と、それから風邪症状を含めいろんな病気の方と、あるいは救急の患者さんが来るわけですね。で、これは医療機関どこでもそうなんですが、最初のこういう流行をしている時期には、PCR検査ができないと話にならないんですね。全然患者さんの区分けができませんから、この人は肺炎がなくて、コロナじゃなくて、後方病院に送れるといっても、検査ができないともうそこで目詰まりしてしまって、結果、救急医療が滞り、高齢者がたくさん今亡くなっている状況だという認識を持っていただきたいです。 Angry: 0.216 Disgust: 0.246 Fear: 0.682 Happy: 0.370 Sad: 0.598 Surprise: 0.620
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04:43:10 ~ 04:44:14 公述人(倉持仁君)
一方、次のページ、PCRの検査件数なんですが、第一波から六波までの、これは厚労省のホームページからのデータですが、残念ながら地方衛生研究所や保健所のPCRの検査数、全く増えていません。一方、民間の検査会社や医療機関でのPCRが増えているんですが、一方、今年の一月から診療報酬、PCRの点数が下げられて、一つは、医療機関でもやっていても赤字になってしまうよという声が多く聞こえるのと、それから、臨床検査会社も、従来であればそこで検査体制を拡充していただいてやはり検査できるようにしていただきたいんですが、投資意欲が湧かないんですね、お金がもうかりませんから。ですから、結果としてそういったことで検査ができていないと。新しいコロナ診療対策は医療と保健所機能の両輪でやはり行っていくべきと、次のページですけれども、まずは一次診療を開業医の先生にお願いして、まずはもう前提としてPCR検査ができるようにして、その後必要な検査を受けて患者さんを分けていくと。 Angry: 0.400 Disgust: 0.317 Fear: 0.591 Happy: 0.433 Sad: 0.492 Surprise: 0.534
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04:44:14 ~ 04:45:07 公述人(倉持仁君)
そして、それと保健所が両輪になって隔離の管理をしていただきたいというふうに思います。また一方では、大学や研究機関などでコロナのモニタリングをきちんとして、迅速に対応できるシステムは、先ほども言いましたが、もう日本にはあるんです。しかし、そこに研究費が出ていないんですね。これもうこんなおかしな話はないと思いますので、至急何とか対策していただきたい。実際にPCR検査体制の構築を行うために、我々、私が住んでいる宇都宮は人口五十万人で四百の開業医さんがいるそうですが、実際にコロナ診ますと言っている医療機関は百七十あるんですね。例えばそこに二時間半で四検体検査できる自動のPCR検査キットを配って、無償で、貸与でもいいと思うんですが、それで一日十二検体やっていただければ、一日の検査数は二千四十件になるんですね。 Angry: 0.370 Disgust: 0.281 Fear: 0.512 Happy: 0.567 Sad: 0.452 Surprise: 0.612
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04:45:07 ~ 04:46:04 公述人(倉持仁君)
一方、栃木県で一、二月にPCR検査やっている件数千六百件ですから、医療機関だけでも容易に、簡単に整えることができるんです。それから、民間の臨床検査会社にもそういう大型の機器を導入の補助をしたり、貸与したり、キットを無料で配るとかってすれば、容易に医療崩壊はしないという方向に持っていけることがあるんですよね。次のページ、これ、実際私のクリニックであって、ちょっとお話しするのはお恥ずかしい話なんですが、一床当たり四百五十万円の補助金出ているんですね。で、十七床ありますから七千六百五十万、私、いただきました。しかし、その七千六百五十万は、当たり前ですけど、業者さんに支払をするんですね。一方、税務という面を見てみると、プレハブの減価償却期間って十七年ですから、私が今年経費化できるお金って四百五十万なんですね。つまり、残りの七千二百五十万には、私、個人事業主ですから、所得税が掛かるんですね。 Angry: 0.263 Disgust: 0.255 Fear: 0.608 Happy: 0.630 Sad: 0.333 Surprise: 0.721
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04:46:04 ~ 04:47:04 公述人(倉持仁君)
と、何をするかというと、自分の給料ももらえないまま銀行からお金を借りなければコロナ診療ができない現状というのもあるということを知っていただきたいですね。ですから、新たなコロナに問題意識を持って、そこに物理的、人的、法的な整備をしっかりしていただいて、そして従来の保健所機能ではなくて、感染者が大いに、たくさんになっても、やはり今までというのは医療のパイの大きさは同じ中でむしろずっと対応してきた面がありますから、それから、先ほど言いました労基署の問題とか税制の問題とか、誰も新たにコロナの診療所をつくってみようなんて、こんな状況だと思わないんですね。それを是非知っていただいて、社会の整合性が取れるとよろしいかなと思います。それから、治療薬の確保、供給体制に関しても、当クリニックでも自費の患者さんも含めると一日当たり六十一人の患者さん診ていたんですが、実際に抗体カクテル療法の薬二個あるんですが、これは今回のオミクロン株には効きません。 Angry: 0.289 Disgust: 0.249 Fear: 0.545 Happy: 0.581 Sad: 0.492 Surprise: 0.576
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04:47:04 ~ 04:48:02 公述人(倉持仁君)
それから、今度BA.2というのでは、ゼビュディという薬も効かないんじゃないかというデータが先ほど我々の、佐藤先生のチームで行ったデータで出ていますから、そうすると、治療薬があとはレムデシビルが十個、そして飲み薬が六人分しかないんですね。その状況で患者さんの命が救えますかというと非常に不安だと思いますし、それから、HER―SYS入力なども、これ保健所がやるか医療機関がやるかの問題で、我々のようにたくさん患者さんを診れば診るほど負担が増えて、そしてそれをとがめられるような制度になっているということを是非知っていただきたい。それから、次のページ、ワクチンを打つと抗体価はだんだんもう落ちてくるということはもうみんな分かってきたわけですね。ワクチン戦略も、ワクチンの効果というのは変異株によって変わりますし、こういう抗体価の、液性免疫というんですが、それと細胞性免疫のバランスで決まってくるんですが、これ常にそういう検証をしていかなければ、ワクチン効く、効かない、分からないんですね。 Angry: 0.293 Disgust: 0.280 Fear: 0.681 Happy: 0.418 Sad: 0.547 Surprise: 0.551
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04:48:02 ~ 04:49:01 公述人(倉持仁君)
せめて抗体価のモニタリングをきちんと行って、それからワクチンの定期接種化を視野に入れて物を確保して、そしてそのワクチン効果をきちんと検証して、国民へ情報開示して、政策を決めていくということが必要になると思いますし、今回、次のページですけど、生活を送る上で、隔離のルールというのの、しっかり決まっていないんですね。我々、一生懸命患者さん検査していて、上のお兄ちゃんコロナ検査しているのに、教育委員会は下の弟は学校に来いと言っているんですね。これも先ほど言いました、全く整合性が取れていないので、感染抑制という立場からすると我々いつまでこういう不毛なことを続けなきゃいけないのかなというふうに正直思っています。ですから、きちんとその株に合ったルール作りというのをしていただきたいですし、それから、我々のところでたくさん患者さん診ていて、いろんな治験、日本で薬が使える数が増えるようにいろいろ治験に乗せようと思って努力しているんですけど、いろんな制限があって実際には一例も組み込めないんですね。 Angry: 0.474 Disgust: 0.234 Fear: 0.436 Happy: 0.556 Sad: 0.506 Surprise: 0.530
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04:49:01 ~ 04:49:33 公述人(倉持仁君)
これでは日本国としてそういう治験あるいは新しい薬の開発ということもできませんから、是非そういった点も見直していただきたいと思います。それから、最後の方には、去年でも同じようにお話しさせていただいた内容の資料を付けております。基本的な感染対策というのは一年前に言ったことと全く同じですので、是非そこをしっかり政策に生かしていただけたらと思います。以上です。ありがとうございました。 Angry: 0.422 Disgust: 0.328 Fear: 0.321 Happy: 0.728 Sad: 0.552 Surprise: 0.427
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04:49:33 ~ 04:49:50 委員長(山本順三君)
ありがとうございました。以上で公述人の御意見の陳述は終わりました。それでは、これより公述人に対する質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。 Angry: 0.613 Disgust: 0.492 Fear: 0.415 Happy: 0.569 Sad: 0.462 Surprise: 0.409
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04:49:50 ~ 04:50:02 こやり隆史君
自民党のこやり隆史でございます。先生方、本当に今日はお忙しい中、ありがとうございました。和田先生には、厚労省のときに本当に分科会、アドバイザリーボード始め様々お世話になりまして、ありがとうございました。 Angry: 0.313 Disgust: 0.233 Fear: 0.404 Happy: 0.695 Sad: 0.535 Surprise: 0.576
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04:50:02 ~ 04:51:03 こやり隆史君
あと、倉持先生には最前線でまさに対応していただき、また、様々な課題については高橋克法参議院議員を通じて直接お話を伺って、それを政策反映にできるだけ反映できるようにしてまいりました。まさにそうした両先生が、今日、有益なお話をいただきました。まず、この新型コロナ感染対応については、これは本当に様々な評価があって、特に各論をするともう本当いろんな課題はあるし、いろんな課題があるだけに、全体として本当にこの我が国の新型コロナ感染症というのはどういう対応になっていたのかということが見えなくなるという部分もありますので、まず両先生に、率直に日本のコロナ感染症対応というのが国際的に見てどうなのかという評価をいただきたいなというふうに思っています。 Angry: 0.477 Disgust: 0.282 Fear: 0.442 Happy: 0.590 Sad: 0.423 Surprise: 0.494
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04:51:03 ~ 04:52:06 こやり隆史君
特に、例えば、多分、感染症対応というのはパンデミックであります。だけど、やっぱり平時の医療体制の延長線上でもあります。したがって、例えば米国であれば、まさに医療アクセスはなかなかないけれども、先進医療によって様々な新しい医療、医薬品であったり医療方法が開発をされて、それが世界に広がっていく。欧州であれば、まさに半分公務員的な存在で、日本ほど医療アクセスは良くないけれども、部分的に、効率的に医療の運営ができるというメリットがあると思います。日本は、まさに地域医療、まさに先生がいらっしゃるように、様々な優秀なクリニック、医院があって、中核病院がある、その各地域にあると、そういう形で地域でまさに医療を提供していく、そういう性格があると思うんですね。そうした結果として、今回の新型コロナ対応で、例えば一つの象徴的な例としては死者数があります。 Angry: 0.405 Disgust: 0.326 Fear: 0.538 Happy: 0.584 Sad: 0.413 Surprise: 0.579
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04:52:06 ~ 04:53:00 こやり隆史君
米国は大体二年間で百万人亡くなられている。欧州は大体十万人から二十万人の規模で亡くなられている。日本はこの二年間で二・五万人が亡くなられています。大体、季節性のインフルエンザで、はやったときは一万人から三万人ぐらいの死者が出るというふうに言われています。プラスして言えば、超過死亡の数というのは認められていない。そういった状況があるという中で、この日本の医療提供体制を前提として、この二年間、まさに先生方中心に闘ってきていただいたわけですけれども、全体の患者の命を守るという機能、これを世界的に見てこの日本はやっぱりある程度評価できるのか、あるいは世界でも本当に先端を走って頑張っているのか、あるいは遅れているのか。 Angry: 0.468 Disgust: 0.341 Fear: 0.600 Happy: 0.270 Sad: 0.565 Surprise: 0.554
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Angry: 0.307 Disgust: 0.393 Fear: 0.439 Happy: 0.713 Sad: 0.495 Surprise: 0.529
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04:53:09 ~ 04:54:03 公述人(和田耕治君)
御質問ありがとうございました。国際的な中で日本がどういう状況にあるのかということについては、先ほどお話しいただいたように、例えば感染者の数だとか死亡者の数だとか、そういったものを人口当たりに出してどう見ていくのかということはこれまでも分析しております。どこと比較をするのかといったことにもなるわけですけれども、例えばG7にあるような国々との比較の中におきましては、日本は、実際にはお亡くなりになられた方もおられますし、後遺症に今苦しんでおられる方もおられるわけですが、数としては少なくできたんであろうというところはあります。そこにはやはり、緊急事態宣言だとか重点措置だとかそういったものがありましたが、多くの市民の方がマスクの着用であったり感染対策であったりそういったことを、日本では強制という形ではございませんが、多くの方に御納得をいただいて実行していただいたことにあるんだろうというふうに思います。 Angry: 0.299 Disgust: 0.280 Fear: 0.535 Happy: 0.496 Sad: 0.549 Surprise: 0.516
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04:54:03 ~ 04:55:09 公述人(和田耕治君)
一方で、医療の方も、もうずっとこの二年以上ですね、現場でも保健所も含めて頑張っておりますが、なかなかやはり次の起きることをどう想定して準備をするのかといったことについてはいろんな反省があるんだろうというふうに思います。やはり変異株が出てくる中で、より感染性が高い、そして、少なくともデルタ株でワクチンがない時代まではかなり、もう四十歳でも、ある自治体の調査では、もう十名の陽性者のうち一人が酸素が必要になって、それで酸素がなければ亡くなってしまうような状況があったわけであります。その後、ワクチンも、これも国に、海外からの輸入ということにはなりましたけれども、輸入をしていただいて、そしてこれも市民、特に市町村中心となって接種を非常に急ピッチで、少し遅れはございましたが、非常に諸外国と比べても速い速度でのワクチン接種といったものがあり、昨年の九月から十二月ぐらいまで少し感染の不安といったものが減るような期間を過ごせたのかなというふうに思います。 Angry: 0.129 Disgust: 0.154 Fear: 0.622 Happy: 0.562 Sad: 0.581 Surprise: 0.698
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04:55:09 ~ 04:56:05 公述人(和田耕治君)
ただ、やはり、今後の教訓としてあることは、なかなか硬直化して、次の問題起きたときにどう変えていくのかといった、そういった柔軟性のあるところが非常に難しいところがあります。例えば、第六波に向けて自治体においては酸素ステーションと言われるところを設置しましょうということで、九月から十二月、大分落ち着いておりましたが、それでもやっぱり増えたときには肺炎になる方をどうするかということですが、実際にはオミクロン株というものが流行してきて、むしろ酸素ステーションというよりは、今高齢者の方の感染が多くなっている中で、例えば少し介護等も含めた対応ができるような施設にということになるわけですが、なかなかそこは、自治体が人を集めて設置をしているようなところもありますけれども、急にその役割を変えるなどが難しかったといったところもあります。 Angry: 0.167 Disgust: 0.239 Fear: 0.634 Happy: 0.604 Sad: 0.490 Surprise: 0.639
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04:56:05 ~ 04:56:43 公述人(和田耕治君)
もちろん、柔軟にやっていくというのはそれほど簡単ではないわけでありますけれども、その柔軟を、じゃ、どうやったら都道府県に、国においても、都道府県においても、市町村においてもどう連携をしながらできるのかといったことは是非とも、かなり自治体差があるというふうに思いますので、できているところの事例を学びながら、まだこの後、次の変異ウイルスであったりBA.2というものがありますので、是非そこは生かしていかなければいけないんじゃないかなというふうに考えております。私からは以上です。 Angry: 0.429 Disgust: 0.306 Fear: 0.391 Happy: 0.695 Sad: 0.548 Surprise: 0.477
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04:56:43 ~ 04:57:08 公述人(倉持仁君)
端的に申し上げますと、私は、コロナの患者さん、早期診断、早期治療をすれば死なない病気だと思っています。全て亡くなっている方は、治療、診断の遅れです。それから、こういったことというのは、医療供給体制が国によって違いますから、海外と比べてどうなんだではなくて、第一波、第二波、第三波を反省してどうなんだという見方をすべきだと思います。 Angry: 0.464 Disgust: 0.311 Fear: 0.539 Happy: 0.373 Sad: 0.593 Surprise: 0.422
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04:57:08 ~ 04:58:10 こやり隆史君
ありがとうございます。それぞれ、その評価ですね、多分いろんな先生方がいろんな評価を下していただいています。だから、できるだけ、まさにこれ教訓とするために、できるだけ広いお声を聞きながら医療提供体制の充実につなげていくということが大事かなというふうに思います。先ほど、今お話を、和田先生からもお話があったときに、まさに柔軟性の話がありました。ちょっと冒頭申し上げましたけれども、やっぱり地域医療、まさに最前線の診療所であるとか医療機関が踏ん張っていただいて、まさにこのコロナを耐えてきた、闘ってきたということであります。他方で、政府では、まさにこの新型コロナ感染症のようなものについてはやはり司令塔機能の強化が必要だろうということで、今、党の方でも議論が進んでいますし、それはそれで多分大事だと思います。 Angry: 0.343 Disgust: 0.278 Fear: 0.410 Happy: 0.713 Sad: 0.479 Surprise: 0.531
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04:58:10 ~ 04:59:24 こやり隆史君
そういう意味で、なかなか、現場で中心にやってきたベクトルと、司令塔として中央からまさにこうしろ、しようという形でやるベクトルと、そういう意味ではベクトルが違う、ベクトルをうまく整合していかないといけないというふうに思うんですね。そのときに、やっぱり一番大きな役割を担っているのがやっぱり保健所という機能、これはまさに、国の政策と、あと、ある意味自治体の政策、これをもう融合させていただきながら、各地域の司令塔として機能してもらわないといけないということかと思います。そういう意味で、この司令塔の機能を強化をしていくというときに、例えば今の保健所の機能強化は前提として、今は各中核市を含めて各自治体の管轄下にある保健所、これをまさに緊急時に対応させる拠点とするならば、例えば厚労省でもいいんですけれども、そうしたところの指揮命令下に平時から置いておいた方がこうした危機時には対応がしやすいんではないか、そうした議論もあります。 Angry: 0.442 Disgust: 0.238 Fear: 0.460 Happy: 0.639 Sad: 0.411 Surprise: 0.521
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04:59:24 ~ 04:59:54 こやり隆史君
そういう意味で、今後のその感染症対応に向けて、例えばこの保健所の今の、何というか、位置付けから変えた方がいいのかどうか、まさに国の機関的なものにした方がいいのかどうか、その点について両先生から御意見いただければと思います。 Angry: 0.338 Disgust: 0.301 Fear: 0.636 Happy: 0.453 Sad: 0.523 Surprise: 0.492
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04:59:54 ~ 05:00:09 公述人(和田耕治君)
大事な御指摘をありがとうございました。まさに、そこはどうあるべきかは今後議論があるんだと思いますが、やはり国と自治体、都道府県を中心としたところで、何が役割なのかということをきちんと線引きができるかどうかだと思います。 Angry: 0.480 Disgust: 0.325 Fear: 0.427 Happy: 0.642 Sad: 0.396 Surprise: 0.512
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05:00:09 ~ 05:01:07 公述人(和田耕治君)
やはり国難でありますので、災害等であれば、ある一定のところであればその都道府県を中心としたところで国の支援ということになりますが、今回のように都市を中心としたところでかなり同時多発的に起きているようなところで、お互いに、じゃ、助けに行くにしてもなかなか難しいような状況があります。ですから、やはり国としては、こういった、例えば戦略を示し、海外からのワクチンを持ってくるだとか薬を確保してくるだとか、できることは多々あると思いますが、やはり私は、都道府県の単位できちんと様々な判断がもう少しできるようにならないかというふうには考えているところです。それは、既に、ちょっと今日は具体的には申し上げませんが、かなりやはり都道府県として意思決定をされて発信をされておられるところがあります。特に今回は新型コロナという感染症でございますので、医療の専門家を上手に巻き込みながら県としての御判断をされておられるようなところがあります。 Angry: 0.300 Disgust: 0.275 Fear: 0.561 Happy: 0.633 Sad: 0.441 Surprise: 0.557
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05:01:07 ~ 05:02:03 公述人(和田耕治君)
一方で、そういった組織すらもなくてというところもございますし、かなり国に対して要望の多いような自治体さんも中にはあるのかもしれないなというふうに見ております。やはり、もう二年もたつわけですので、各都道府県がきちんと自分たちで、この新型コロナだけではなくて、災害も含めて、意思決定ができるような役割を持てるのかといったところがあろうかなと思います。一例を少し挙げると、これが日本になじむかどうか分からないんですが、イギリスでは保健所のようなところにいわゆるリエゾンとしての職員を、いわゆる国の持っている職員を定期的に配置をしながら回していき、何かあればそこで国にリエゾンとして情報を上げるような方を置いておられるというような話を、前回のロンドン・オリンピックをされているときの専門家の方から聞いたことがございます。 Angry: 0.372 Disgust: 0.275 Fear: 0.511 Happy: 0.650 Sad: 0.375 Surprise: 0.577
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05:02:03 ~ 05:02:50 公述人(和田耕治君)
そういった仕組みが本当に日本になじむのかといったところはあるわけではありますけれども、そういったやり方というのもあるでしょうし、一方で、医療において非常に、これは先生方ももしかしたらもう少し何とかならないかと思われていたかもしれませんが、やはりある地域で医療者が足りないといったときに、例えば医師であったり看護師の派遣といったところでも、なかなか国から人を出すにしても一桁であったり二桁前半であったりといったことがありますので、やはりそういったところは大きな人数の方をどんと出せるような、今回、DMATの先生方も非常に頑張っておられますけれども、そういった仕組みといったことは今後つくっていかなければいけないと考えております。 Angry: 0.291 Disgust: 0.169 Fear: 0.498 Happy: 0.622 Sad: 0.457 Surprise: 0.613
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05:02:50 ~ 05:03:09 公述人(倉持仁君)
私が思うには、今回のコロナ禍では、国民皆保険制度という大きな仕組みがあるにもかかわらず、住んでいる地域によって、あるいは所属する自治体によって治療が受けられないとか検査ができないとか、そんなことがずうっと続いてきてしまったんですね。 Angry: 0.219 Disgust: 0.181 Fear: 0.682 Happy: 0.279 Sad: 0.637 Surprise: 0.629
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05:03:09 ~ 05:04:00 公述人(倉持仁君)
ですから、私は、北海道の人を何で入院させられないんですかって宇都宮の保健所の方とけんかしたり、そういうおかしなことが、あるいは川口市の人がたまたまうちにかかって、入院できないと、治療やめてくれと、そういうふざけたことがずうっと続いていたんですね。そんなことはやっぱりあってはおかしいですから、どうしてもその自治体任せにしてしまいますとやはりそこでの差が出てしまいますので、やはりこれは是非国がきちんとやるべきことをきちんとやると。特に今回、厚労省が当初、残念ながら検査、余り積極的にしない姿勢がずっと続いて今に至っている点は否めないと思いますから、やはり思い切った組織、コロナに見合った組織というのを国を挙げて今つくるべきだというふうに考えています。 Angry: 0.568 Disgust: 0.184 Fear: 0.478 Happy: 0.404 Sad: 0.491 Surprise: 0.468
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05:04:00 ~ 05:04:43 こやり隆史君
両先生ありがとうございます。もう時間が参りましたので、本当はもっとたくさんお話をお聞きしたかったんですけれども、まさに、コロナ対応だけではなくて、やっぱり日本の医療の在り方そのものに関わる課題かというふうに思います。倉持先生のお話にあったように、そもそもの医療提供、日常の医療提供体制からまさに緊急時をどうしていくかということが極めて大事でございますので、引き続き御指導賜りますようよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。 Angry: 0.346 Disgust: 0.308 Fear: 0.367 Happy: 0.640 Sad: 0.681 Surprise: 0.374
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05:04:43 ~ 05:05:03 打越さく良君
立憲民主・社民の打越さく良です。先生方、本日は本当に貴重なお話をどうもありがとうございます。先生方の本当のこの感染症下の三年に及ぶ御尽力に心から感謝と敬意を表します。それでは、まず倉持公述人に伺います。 Angry: 0.411 Disgust: 0.303 Fear: 0.409 Happy: 0.555 Sad: 0.623 Surprise: 0.483
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05:05:03 ~ 05:06:06 打越さく良君
本日も御指摘くださいましたけれども、この検査体制ですね、検査体制について一貫して警鐘を鳴らしてくださっていましたが、先ほどのお話でも、先生のクリニックで三〇%の陽性率と、最近でも東京や大阪などで陽性率が四〇%を超える事態ということを伺っています。世界保健機構は、感染がコントロールできているかを判断する指針としては陽性率五%未満が少なくとも二週間続くこととしていますが、これには程遠い状況ということです。あるべき検査体制ということについて先ほどもうお話ししていただきましたけれども、それが実現できていないという状況は何がハードルになっているのかということと、あと、それから、改めて抗原検査キットの有効性とPCR検査との違いについてもお伺いします。 Angry: 0.285 Disgust: 0.280 Fear: 0.564 Happy: 0.526 Sad: 0.512 Surprise: 0.535
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05:06:06 ~ 05:07:01 公述人(倉持仁君)
PCRの検査なんですけれども、検査体制自体が脆弱なのはもう明らかなことでして、一般的なきちんとした感染症になるためにはやはり検査が当たり前にできるというのが、これは感染症の、例えばB型肝炎、C型肝炎、あるいはHIVですね、それから梅毒、そういった感染症って入院時に全例当たり前に検査するんですね。それはなぜかというと、院内感染を起こすからなんですね。今ほぼほぼB型肝炎もC型肝炎の患者さんももうほぼいません。それが、一方、何でコロナでそういう検査体制ができないんですか、普通に、当たり前に二回やればいいじゃないですか。そうしたら、やればやるほどコストも下げられますし。でも、なぜかそれをやってこなかった。その理由はよく分かりません。ですが、まずはそういう体制をしっかりつくるのは、もうこれは医療を行う上で、検査、そして隔離、特にコロナの場合は隔離、そして早期治療と、もうこれは当たり前のことなんですね。 Angry: 0.438 Disgust: 0.346 Fear: 0.569 Happy: 0.399 Sad: 0.493 Surprise: 0.568
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05:07:01 ~ 05:08:07 公述人(倉持仁君)
ですから、なぜそこが止まっていたのか私には分かりませんが、そういう体制をすぐつくるべきだと思いますし、感染の蔓延期にはPCR検査体制では不十分になりますから、どうしても感度は低くなりますが、きちんとそのデータの検証をした上で抗原検査もうまく使っていくような体制が望ましいと思います。私のクリニックは、先ほども、例えば今月ですと三千五百人と患者さんを診て、その後、希望される方は全例フォローアップをちゃんとしています。 Angry: 0.432 Disgust: 0.193 Fear: 0.481 Happy: 0.624 Sad: 0.403 Surprise: 0.536
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05:07:25 ~ 05:07:57 打越さく良君
倉持公述人に改めて伺いますが、後遺症についてですけれども、後遺症フォローアップ外来を立ち上げてくださっているということで、敬意を表します。後遺症についての現時点における知見を教えていただければと思います。また、軽症者における重大な後遺症があるということを御指摘されていますが、これに対する有効な対策について教えていただければと思います。 Angry: 0.317 Disgust: 0.271 Fear: 0.566 Happy: 0.439 Sad: 0.659 Surprise: 0.458
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05:08:07 ~ 05:09:00 公述人(倉持仁君)
それで見ていると、例えば味覚・嗅覚障害の方でも肺機能障害を起こしている方がたくさんいます。それはどういうことかというと、今論文にしているところなんですが、ぜんそくの病態を来すんですね。これはもう明らかなことなんですが、一般的にそういったことがまだ知られていないのと検査ができていないので、結局分からないまま、そのままになっちゃっている面があると思うんですね。味覚症状しかないとかあるいは軽症だったという方も、我々のクリニックのように、診断時、濃厚接触者の本当に無症状のときから、発症をして、入院をして、残念ながらこれはほかの医療機関ですと、中等症であれば中等症の病院、重症になれば重症の病院、そこからリハビリの病院ということで、通しでちゃんと患者さんの臨床像が診られていないんですね。ですから、きちんとしたデータが取れていないんです。 Angry: 0.377 Disgust: 0.289 Fear: 0.620 Happy: 0.340 Sad: 0.557 Surprise: 0.570
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05:09:00 ~ 05:09:22 公述人(倉持仁君)
ですから、ちゃんとした臨床像、分かっていないんですね。ただ、私が診ている経験では、そういった患者さんがたくさんいますし、なかなかそれを診られる状況というのもないですので、まず私がやるべきは、早くそういったことを論文化して、そういう知識を広めていく必要があるというふうには考えております。 Angry: 0.269 Disgust: 0.217 Fear: 0.579 Happy: 0.603 Sad: 0.427 Surprise: 0.646
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05:09:22 ~ 05:09:59 打越さく良君
是非よろしくお願いします。そして、和田公述人からも倉持公述人からも、この感染症において保健所の機能というものがどう支えていけるかと、公的に支えていけるかという問題提起をいただいたと思います。やっぱり、憲法二十五条二項で公衆衛生の義務というものが国家に課されているにもかかわらず、なかなか果たせていない状態にあったのではないかということで、どのような体制が求められるかと、検証と体制が求められるかということを教えていただければと思います。 Angry: 0.225 Disgust: 0.229 Fear: 0.445 Happy: 0.740 Sad: 0.529 Surprise: 0.550
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Angry: 0.527 Disgust: 0.343 Fear: 0.518 Happy: 0.545 Sad: 0.300 Surprise: 0.723
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Angry: 0.596 Disgust: 0.373 Fear: 0.467 Happy: 0.513 Sad: 0.389 Surprise: 0.644
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05:10:05 ~ 05:11:52 公述人(和田耕治君)
ありがとうございます。保健所については、やはりかなり新型コロナの発生の前までにいろんな自治体の統合などもありまして、あとは長寿であるということからも、数として少し整理をされるような自治体があったように思います。さらには、やはり新型インフルエンザ以降、この十年間、感染症に関しても比較的、まあ結核などは今でも出ておりますし、時々はしかなどもありますが、かなり保健所として感染症に対応するといったことは少なくなってきた、これはいいことだと思いますが、やはりこういった危機的な状況があるという、本来想定をしておくべきだろうということで、本来であればその感染症に強い人材をこの十年においても養成をしていく、まあ養成は一部にはあったわけですけれども、まだまだ足りないような状況であったように思います。さらには、やはり保健所というところに様々な業務が今依頼されているところがありまして、その中で、やはり保健所しかできないところというのを切り分けて、ほかのところと、自治体であったり民間への委託、これも自治体によってできているところもあれば、県の中で人をそこにちょっとこう、ふだんは違うことをされている方を行っていただいてやっていただいたり、その近隣の市からまた人を派遣したりというようなことで対応いただいてはおりますが、この十月から十二月、昨年は比較的落ち着いておりましたので、一旦またその方々もいなくなり、また増えてくるとまた今度は違う人が来られるということで、なかなか、通常のいわゆる保健所でなくてもできるような業務は残っており、かつ、本来やらなければいけないところが山積みになっているというような状況があります。 Angry: 0.167 Disgust: 0.205 Fear: 0.466 Happy: 0.778 Sad: 0.611 Surprise: 0.512
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05:11:52 ~ 05:12:29 公述人(和田耕治君)
ですので、そういった業務の切り分けなどをきちんとできるマネジメントの能力のようなところも、やはり保健所であったり、保健所でできないのであれば、それを支える、所管する県であったり、市の単位でも保健所持っておったりするところですが、そこが、例えば緊急事態宣言が出ているだとか重点措置が出ているといったときに、いわゆるこれ全庁体制となってそこに支援を、人を向けられるかといったところが、これもできている自治体とできていない自治体があり、緊急事態宣言があっても、保健所だけはもう残業をしているけれども、ほかの部局は、健康に関係ないところは時間どおり帰れるというようなところがあります。 Angry: 0.415 Disgust: 0.154 Fear: 0.573 Happy: 0.524 Sad: 0.349 Surprise: 0.592
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05:12:29 ~ 05:13:07 公述人(和田耕治君)
ですので、そういった自治体の中でやはり健康危機というものを自分たちの課題として、専門以外でも保健所の支援、例えば食品の配達などにおいては保健所じゃなくても、そういったものを得意としているような部署が市の中であったり都道府県の中にあったりしますので、そういったところと連携したりといったことを、多分、恐らく知事であったり市長がきちんとそうなっているかということを点検をして、必要に応じてボタンを押していただいてということで、かなり改善するところはあるようにも考えております。 Angry: 0.190 Disgust: 0.179 Fear: 0.644 Happy: 0.729 Sad: 0.387 Surprise: 0.610
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05:13:07 ~ 05:13:45 公述人(倉持仁君)
私が思うには、やはりこの第一波から六波まで、残念ながら、従来の既存の構造とか人とか物とか仕組みで、新しいものを投入せずに対応しようとしてきて、あふれ出てしまって間に合わなくなっているという現状があると思いますから、やはりここは、そうなったときにどうやって変えるべきかというと、やはりこれは政治が動いて、政策的にやはり構造を変えていかない限り、その場しのぎの通達で何か事を変えようということはできないと思いますから、それこそ政治の力でやるべきことだと思います。 Angry: 0.679 Disgust: 0.269 Fear: 0.440 Happy: 0.382 Sad: 0.541 Surprise: 0.293
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05:13:45 ~ 05:14:18 打越さく良君
しっかりと受け止めます。ありがとうございます。和田公述人は、今日の、本日の発表でしていただいて、公的な支出による対策の費用対効果の検証が必要だということを御指摘いただいているんですが、これはどのような体制であれば可能かというか、そういった御示唆をいただけるでしょうか。 Angry: 0.320 Disgust: 0.345 Fear: 0.423 Happy: 0.677 Sad: 0.581 Surprise: 0.466
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05:14:18 ~ 05:15:11 公述人(和田耕治君)
新型コロナにおいては、昨年度ぐらいからですかね、大きなお金が使われております。それは、いわゆる健康に関するところだけではなくて、やはり経済面をどう支えるのかといったところもあるんだろうと思います。その中で、やはり、じゃ何の目的でやっているのかといったことが、きちんと、その当初の政策として考えられていたところと一致しているのかどうなのかということは是非御確認いただければと思います。やはり、状況がいろいろと変わってまいりますので、前例が積まれて、それが前例となって更に継続してというようなところで、かなり長く、例えば緊急事態宣言にしても、重点措置にしても、長くなって、大きなお金がそこに投入されている、だけれども、それによってどういう方の何が救われているのかといったところがやはりきちんと明らかにされるべきだろうと思います。 Angry: 0.305 Disgust: 0.195 Fear: 0.558 Happy: 0.587 Sad: 0.430 Surprise: 0.639
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05:15:11 ~ 05:15:48 公述人(和田耕治君)
医療におきましても、かなり多くの財政的な支援も含めてやっていただいてということで、倉持先生から先ほど、十分ではないというお話がございましたけれども、やはり何を国として優先して、それがちゃんと現場で動いているのかといったところも含めて、まだこの新型コロナは数年続くかもしれないという視点の中で、何を、じゃ、これからやっていくのかといったことを言語化していく、そこには専門家であったり現場の先生であったりといったところも含めて、政治の中でも議論をしていただければというふうに思います。 Angry: 0.446 Disgust: 0.218 Fear: 0.412 Happy: 0.703 Sad: 0.367 Surprise: 0.534
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05:15:48 ~ 05:16:07 打越さく良君
済みません、その議論をしていくのはどのような体制があればいいのかと思いまして、例えば、今の厚生労働省のアドバイザリーボードとか、そういうような形を延長して、そういった形でできるのか、それとも、全く違う別の組織の方が検討できるのかと。 Angry: 0.370 Disgust: 0.208 Fear: 0.612 Happy: 0.516 Sad: 0.329 Surprise: 0.738
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