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緑川貴士
衆議院 秋田県第二区
立憲民主党・無所属
昭和六十年一月十日埼玉県飯能市に生る、早稲田大学社会科学部社会科学科卒業○秋田朝日放送アナウンサー○立憲民主党秋田県総支部連合会代表○当選二回(48 49)
緑川貴士
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第210回[衆] 農林水産委員会 2022/12/08 4号
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皆様、お疲れさまでございます。
畜産経営は、餌が生産コストに占める割合が高いということと、そして、餌の四分の三が、全体の飼料のうちの四分の三が輸入飼料ということで、その価格の高騰はやはり死活問題ですし、他の資材であれば、その使用を控えたり、また購入の量を抑えるという余地もありますけれども、私の地元の秋田でお話を聞いても、やはり畜産は食べさせて何ぼの世界であるというお話がありました。
大きく育てて、そして高く売るために、また肉や生乳の質を落とさないようにするために、毎日違った、決まった餌の量を与えて健康状態を確認する。
乳牛では、搾乳も毎日しなければ牛が病気になってしまうということでした。
餌の量はもちろん、人手もかかりますので、人件費などのランニングコストの節約も極めて難しいというお仕事であります。
経営環境の厳しさの中で追い打ちをかけたのが、今年の八月の東北、北陸地方を中心とした記録的な大雨でありました。
秋田の養鶏場でも甚大な被害がありました。
秋田県北部では、日本三大地鶏として、名古屋コーチン、さつま地鶏と並ぶ比内地鶏の産地なんですが、大雨によって鶏舎であるハウスが濁流とともに流されました。
また、およそ一万七千羽の比内地鶏が水死してしまうという被害もありました。
弾力のある肉質、そして甘い脂が特徴であり、きりたんぽ鍋に、冬も特に重宝されますけれども、例年、出荷量の半分以上が首都圏などに向けて出されるんですけれども、例年であればですね、しかし、今シーズンは、出荷を予定していた地鶏も流されてしまいました。
そして、今は品薄の状態です。
流通の状況、生産現場以外でも、影響が今続いている状況であります。
必要となる生産現場での今後のひなの購入費、そしてハウスの再建、消毒薬の経費、そして水死した地鶏の処理費用など、今、県、そして市、村の補助があって、また、飼料が高騰した分についても一部の助成があるんですけれども、それにしても、農家の収入源が今全く閉ざされているという中で、それぞれの経費について一定程度自己負担をしなければならない、それぞれの経費の分が重なっております。
そして、営農を再開した後も、追加的な費用というものが、やはり様々必要になってきます。
そして、今さらに、この大雨の前後で、夏から秋にかけては、被災した養鶏場で、複数回にわたって、野生動物、熊による比内地鶏の食害というものがございました。
熊よけの電気柵を設置して農家は対策を取ってきたんですが、それでも被害に遭っているというケースがあります。
こうした相次ぐ食害、そして今多発している全国での鳥インフルエンザ、これに対しても気が気でないということで、現場の緊迫感が今高まっております。
自然災害、そして野生動物による食害、また感染症への脅威などに向き合いながら、今必死に営農再開に向けて努力している養鶏農家を、何とか行政として目配りをして、お支えをいただきたいと思います。
大臣、いかがでしょうか。
災害は、その土地にとっては毎年ではないにしても、全国それぞれのところで起こっている、そうした中での国としてのセーフティーネット、そして日頃の備えということも含めてやはり目配りをしていただいて、様々、のり面の崩落とか農業用排水路のインフラ設備に対しての支援などは国として頑張っていただいているんですけれども、こうした生産者の視点でのきめ細やかな視点ということで、そうした支援を是非お願いをしたいというふうに思っております。
今、御年齢もあって、養鶏農家の方で引退を考えている方は、やはりいらっしゃいます。
今回の災害をきっかけにはしたくないけれども、やはり納得して区切りを迎えたい、だから、災害を機にというよりは、これでよかったと思えるまでは諦めたくないという思いで日夜踏ん張って取り組んでいらっしゃいます。
この営農の今後の不安を生んでいる課題の一つ一つに対して、国として丁寧に向き合っていただいて、被災した農家が何とか前を向いていただけるような多角的な支援、是非お願いをしたいというふうに思っております。
経営基盤を安定させるために、今、輸入あるいは購入に頼り過ぎずに自給飼料を確保していくということはやはり大切です。
牛や豚、鶏では子実用トウモロコシ、乳牛では青刈りトウモロコシが飼料として利用されていくということで、地元からも生産拡大に向けた関心が寄せられていますが、どちらの飼料も熊の大好物であります。
青刈りトウモロコシの作付を始めた途端に熊の出没が多くなって、被害が急増したというお話もございます。
自給飼料としての生産を増やしていく、そして、その一方で、熊などによる飼料や家畜の食害、さらには人への被害、こうしたものを防いでいく、それが現場でしっかり両立できるように、どのように国として対応していかれるのか、お伺いしたいと思います。
聞いたところでは、養鶏農家の方も、熊の被害、僅かな柵の隙間から熊が入ってきたのではないかと。
周囲も、やはり山際ですので、草木で茂っている部分があり、柵がそうした関係で漏電をしてしまって機能しなくなっているということもあるということで、そうした地域の実情に応じてきめ細かい対策をしていただく、また、自給飼料の作付状況も地域では異なりますし、野生動物の出没状況なども、自治体と是非連携をしていただきながら、地域に目配りをして必要な対応を取っていただきたいというふうに思います。
配合飼料価格安定制度の課題についてお尋ねをしたいと思います。
飼料コストでやはり特に大きいのは、配合飼料代です。
お配りしている資料の1を御覧いただきたいんですけれども、全ての畜種のこれは加重平均での配合飼料価格なんですが、コロナ前は一トン当たり六万六千円から七千円で推移していたところが、この間、中国での需要増加、コロナ禍からの経済回復、ウクライナ情勢などによって価格が急騰しました。
さらに、そこに、進行する円安、海上運賃の値上がりなどがあって、直近の今年九月では、配合飼料価格は一トン当たり十万円を超えています。
つまり、コロナ前に比べて一・五倍に跳ね上がっています。
しかし、その補填については、例えば九月を見ても、跳ね上がっているにもかかわらず、確かに、配合飼料価格安定制度に基づいた補填額が一トン当たり一万六千八百円、そして、緊急特別対策として、今年度の予備費を使って、生産コストの削減に取り組むという条件付で一トン当たり六千七百五十円が来年二月に交付されますけれども、これらを足しても、なお一トン当たり一万円ほどもコロナ前よりも飼料の価格が高いですし、ほかの月もやはり十分な補填ではなく、農家の負担が常にこの間生じてまいりました。
こうした状況について、農水省、どのように御覧になっていますか。
やはり畜産経営のこの制度は、そもそも生産者の畜産経営を、影響を緩和するための制度としてありますから、本来のそうした目的、その機能が十分に発揮されていないように思います。
通常補填の基金と異常補填の基金を合わせたこれまでの累積額で見た場合には、国と生産者そして飼料メーカーのそれぞれの負担は、一対三対六という比率です。
大臣が御答弁いただいたように、今の比率でいえば、積立額の数字でいえば、飼料メーカーに負担が偏っていますし、飼料価格が高止まりしてきた中で、一層飼料メーカーの積立金の負担というものがメーカーの経営を圧迫する構造に今のこの制度ではなっています。
そうした中で、昨年度の補正、今年度の予備費で、御答弁いただいたような国による異常補填基金の積み増しなどが行われていますが、その制度の仕組みとして、その都度同じように飼料メーカーも国と同じ額を積み立てることになりますので、飼料メーカーの積立金負担が、ここに来て、国が払うだけ、払うだけ、また増えています。
そんなメーカー側も、負担額の一部を一方で小売に転嫁する必要が出てきますので、最終的には、購入する生産者の実質の負担がこの比率以上に大きくなっています。
地元の畜産家にお話を聞くと、濃厚飼料も、そして粗飼料も、どちらも購入に頼ってきたという方がいらっしゃいますし、これまでのコロナの影響での外食需要の低下、また子牛の価格の下落という累積で苦しんできた、そこに今回の小売価格の転嫁分をそのままかぶっているという経営状況があるわけであります。
大臣、この辺り、生産者の現場の声をしっかり聞くべきではありませんかね。
長期的な対策の話としては、大臣の方向性、おっしゃるとおりなんですが、今はやはり直近の対策の話をしています。
これだけを進めろとは言っておりませんし、やはり制度としては、今、輸入原料価格の高騰分への制度としては補填なんですが、今はこの急場を、生産現場の急場をしのがなければいけません。
小売段階での農家の購入費を踏まえて、十分な補填が今は行われなければならない、そんな時期であると思います。
そこで、この異常補填基金を、これまでいろいろな議論がもちろんあった、その上で、国と飼料メーカーによる半々の積立てではなく、やはり、メーカーや生産者の責任に帰さない状況が生まれているわけですから、国の積立割合をしっかりと増やしていく。
その上で、異常補填の適用率である一一五%を恒常的に引き下げる、そして異常補填を行いやすくしていくということ、あるいは、この適用率そのものをなくして、異常と通常の基金を一階建てにして、基金の一本化を図っていく。
いずれにしても、異常基金からの支援をしっかりと強化をしていく、国が関与する異常基金の補填をして、通常基金、民間の支出を抑えていくことによって、民間サイドの積立金の負担軽減をしっかり図っていく必要があると思いますが、いかがでしょうか。
今、現状の飼料価格の高騰は、一義的には国の責任においてしっかりと対策が取られるべき状況であります。
今、国産飼料を拡大をしていかなければならないというようなお話、議論になっていますが、飼料自給率も、今の二五%、二〇三〇年三四%という目標は今立てていますが、そもそも、この自給率というものも昭和六十年代からほぼ横ばいで、四十年近くも二〇%台半ばという状況で、これまで国策として力を入れてきませんでした。
むしろ、農畜産物の自由化を進めながら、輸入飼料の依存を深めてきた、そんな農政の帰結として現状が生まれている、そういうことであります。
国内の畜産農家がかつてない危機に直面しているという状況に対して、今、歯を食いしばって何とか今をしのごうとしている。
これまでの飼料政策に責任を持つ国としての対応が、この飼料価格安定制度への対応としても問われているというふうに思います。
今後懸念されるのは、輸入原料の価格の高止まりというのが長期化することです。
補填額を計算する際の、この直前一年間の基準価格そのものが高くなってしまうと、補填額がどんどん減ってしまう課題が残されています。
補填が先細ってしまえば畜産経営は立ち行かなくなるわけですから、この補填の額が決まる直前一年間の基準価格の決め方についても見直しが必要であると思います。
例えば、輸入原料価格が一定値を超えた異常な四半期があった場合には、この異常な四半期の原料価格は計算に入れずに、代わりに、この一定値を超えた、この一定値を代入する。
この低い一定値を入れて直前一年間を計算した基準値とすれば、補填額が先細りしていくということはなくなります。
最低でも平行線になっていくはずです。
大枠の仕組みは維持をしながらも、こうした微修正を図るという検討もしっかり考えていく必要があるんじゃないでしょうか。
いかがでしょうか。
是非、この大枠の仕組みを変えるということは、先ほど私も質疑をしておりますし、その大枠を変えられなくとも、今の残されている課題についてはしっかりと向き合っていく、そんな細かい修正を図っていただきたいというふうに思っています。
他の、畜種ごとの経営安定対策ということについても御答弁がありましたけれども、例えばマルキンについても、この赤字補填の基金への農家の負担というものが、これまでの状況の中で、また負担も増えてきたわけです。
その基金の農家負担が四分の一あると。
そして、農家への補填金額が増えるにつれて農家の拠出金も増えて、今はその拠出金と補填金額が余り変わらないような事態が生まれています。
せっかく積み立てたのに、結局それ以上には戻ってこないという嘆きが現場の声であります。
そうしたところについて、大臣、今、配合飼料価格安定制度の課題、そして、それを補うための畜種ごとの経営安定対策についても課題が残されています。
こうしたところについて、生産者の目線に立った支援がやはり求められると思います。
御答弁をお願いします。
やはり、国の財政負担、厳しい財政事情ということはもちろん承知をしていますけれども、それ以上に懐が厳しく、そして寒くなってきているのが今の現場であります。
手元のキャッシュがないということから営農をやはり諦めてしまうような、そうしたベクトルに働きかけておりますし、この補填の算定方式ということも、時期も大事だというふうに思っています。
補填の有無がやはり早く分かれば、それだけ営農に向いて、前向きな気持ちでしっかりとまた見通しを立てて営農することができる。
そんな、今は残念ながら、配合飼料価格の安定制度というのは、補填が決まる時期も、これが知らされる時期も遅いです。
そうした営農計画に支障が出るような課題についても、是非これからも議論をしていきたいというふうに思いますし、省庁として前向きな御検討をお願いをしたいというふうに思います。
飼料のうち、粗飼料については、やはり国産の割合は高いんですけれども、これから高まるにしても、いまだ四分の一が輸入。
そして、資料の2にありますように、乾牧草は、コロナ前は一キロ当たり四十円前後でしたが、今年九月には六十五・四円、そして今年の十月、書いてありませんけれども、六十八・七円と一・七倍にまで上がっています。
この乾牧草は価格安定制度のような措置がありませんので、粗飼料を多く必要とする酪農家は、この値上がりの影響を強く受けています。
一頭当たり一日二十五キロの餌を食べるという前提でいけば、生乳の生産コストを計算すると、この一年だけで一キロ当たり三十円以上もコストが上がっている状況です。
一方で、コロナ禍でメーカーの乳製品の在庫が積み上がっていましたので、その生産コストに見合わない乳価はずっと据え置かれていました。
先月から一キロ当たり十円乳価が引き上げられたにしても、それでもやはり二十円以上不足していますし、国の緊急対策事業で経産牛一頭当たりに対する補填額も、今申し上げたコストの数字と比べれば、やはり全く足りていない状況です。
乳価は民間同士の交渉で決まっているというのは承知をしておりますし、生乳の需給ギャップにシビアに対応していく必要があるというのは、ここも承知をするんですが、それにしても、これまでに経験がない、飼料価格が高止まりをしているという状況。
農水省としてはコストを価格にしっかり転嫁するということが基本であるというふうに現場にも伝えているにもかかわらず、それに見合った価格にはやはりなりません。
原価割れした状態での出荷を余儀なくされている現場の酪農家がいらっしゃいます。
この現状、どのように見ていらっしゃいますか。
今そうした生乳の需給ギャップを埋めていくということに注力する余り、相次ぐ廃業によって生産基盤が弱まり、いざ生産力を高めたいというふうに思っても、今や遅しという状況になってしまうのではないかというふうに危惧をしております。
来年度は十五万トンの生産抑制を行う、減産を行っていく、また、生産コストが上がっていることを踏まえて、酪農経営が維持できるような加工原料乳の補給金単価を決めるという取組の陰で、今日議論になっているように、海外からは年間十三万トンを超えるバターあるいは脱脂粉乳を今年も輸入し続けているわけであります。
しかしながら、あくまでこれらは低関税で輸入するという枠であって、決して最低輸入義務があるものではありません。
なのに、これを義務だといって大量に輸入を続けながら、国産を捨てているわけです。
米のミニマムアクセスと似たような問題が起きておりますし、輸出国の余力ということが、これは変化がなくても、今、円安が急速に進行して、そして為替、通商環境が激変しました。
輸入国側の状況が変わっています。
そして、相手を心配すると同時に、自分のことを心配しなければならないときになってしまいますし、場合によっては、他国のように柔軟に輸入量を調整していく、そして、義務でない輸入枠を確実に減らしながら乳製品在庫を解消していくということが、酪農家の廃業を防ぎ、そして生産現場の生産基盤を維持することにつながっていくというふうに思いますが、最後にお答えいただきたいと思います。
終わります。
第208回[衆] 農林水産委員会 2022/05/18 15号
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皆様、お疲れさまでございます。
人口減少などに伴う国内市場の縮小もある中で、輸出に活路を求めて、これまでの現地での販売促進あるいは国内の産地支援、官民で輸出体制の強化に取り組んできたという成果は、昨今のこの輸出の数量に確かに表れてきているというふうに思いますが、輸出が増えたことには円安が大きく影響していることも考えなければならないというふうに思います。
お配りしている資料を御覧いただきたいんですけれども、早速ですが、1の折れ線グラフ、赤色がドルに対する円相場、そして青色が物の輸出額、そして黒色が民間企業の設備投資額で、二〇〇六年から今年までの推移です。
御覧のように、輸出額は、円高の局面では減って円安が進むと盛り返していくというように、円相場と輸出額の動きというのはおおむね連動して、強い相関があります。
そして、次の2の資料、裏なんですが、御覧いただきたいと思います。
これは、輸出額が過去最高になった昨年の農林水産物の輸出についてです。
その品目ごとの数量と金額のデータなんですが、赤で囲ったところ、昨年の輸出の数量は多くの品目で確かに伸びているんですが、青で囲ったところ、輸出金額ほどの伸びになった品目というのはほぼありません。
そして、数量が減った品目でも、その輸出額が減らず、むしろプラスになっているものがあります。
貿易統計で公表している輸出金額や輸入額というのはあくまで名目値であって、この円相場の影響を強く受けて、そして、円安によって輸入する原材料が値上がりした分、その生産コストの増加分が価格に転嫁されていることも含めて輸出額が伸びていることについて、御見解はいかがでしょうか。
御答弁にあるように、もちろん、産地や事業者のこれまでの、やはりなかなか輸出が伸びていかないという中での官民一体での取組というのは評価をしたいんですけれども、輸出額の単純な伸びというのを、やはり輸出だけを見て手放しで喜ぶことはできません。
輸入について見ても、農林水産物の輸入数量というのは、おととしより数量は減っているんですが、輸入額は増えています。
つまり、輸出量が好調な陰で、農林水産物の貿易赤字というのはおととしより一三%増えているわけです。
輸入についても見なきゃいけないのは、やはり加工貿易の国であるからです。
値上がりした輸入原材料から造られるものを多く輸出して、これは加工食品も四割近く占めているわけですから、その結果として生産コストが押し上がっているわけですので、それを含めた名目の輸出額の数字を見ただけでは、農林水産業の利益にどの程度貢献しているのかがやはり見えにくいというふうに思います。
名目の輸出額だけでなく、輸入した、今回特に高騰している小麦や飼料など、原材料の費用を輸出金額から除いた上で、実質の輸出額も算定して、名目と併せて公表する、そしてその実質の輸出額に対して目標設定をしていくという必要があると思いますが、お考えはいかがでしょうか。
実は、政府統計ではそれで算出しているものがあります。
カロリーベースの食料自給率を計算するときでも、全体から輸入した飼料の分を除いて算出しているわけですから、できないわけではないんじゃないでしょうか。
必ずしも個々のそうしたものに対しての事実上の計算ができなくても、ある程度の基準を設けてしっかりと推計をするということは可能であるというふうに思います。
今後、是非そうした算定方法での検討をお願いしたいと思います。
先ほど、円相場は名目で見てきたんですけれども、3の資料を御覧いただきたいんですが、円の実質実効為替レートについて御覧をいただきます。
ちょっと時間が押してしまったので、左側にある実効レート、これは、ドルを含めた全通貨でそれぞれの通貨に対する円相場とその相手国の貿易額を加味したレートなんですが、これは一五%、名目よりも下がりました。
そして、真ん中の日本の物価上昇率、海外と日本の比較では、海外では消費者物価指数がこの二十七年でおよそ二倍に上がっているのに対して、日本の上昇率は五%に届いていません。
その結果として、右側の、円の本当の実力、実質実効レートは九五年と比べて五五%以上も下落していますし、農産物の輸出が増加傾向になったこの十年で見た場合でも、二割から三割、実質実効レートが下がっています。
つまり、海外からすれば、高級品とこれまで言われていた日本の農林水産物が、この十年で二割から三割も安く買えるようになったわけです。
二五年に二兆円の目標達成というのも確かに射程圏内にこういう状況では入るのかもしれませんけれども、海外の富裕層向けに多く輸出されるような農林水産物や食品と、一方で、国内で日常的に消費されるものにはずれが生じています。
今日、農林漁業者の所得向上につながるかという議論に加えて、輸出向けの生産に力を入れ過ぎれば、国内で一般向けに消費するものとのバランスを欠いてしまうのではないかという懸念がございます。
高い国産の農産物に今なかなか手が出ない、賃金が上がらない、そして、少しでも安価な輸入品を選ぶという傾向が強い中で、消費者が国産国消から離れていかないように、国内外にしっかり目配りをして輸出政策に取り組んでいく必要があると思いますけれども、お考えを伺います。
こうした輸出が、生産額に対しての今二%という輸出額ですけれども、二〇三〇年にはこれを五倍以上にする、一〇%にするというわけですから、十個のうちの一個が海外向けになるということであります。
ですから、国内の食料の安定供給につながるような、一次産業の生産基盤が維持されるのかどうか、やはり、引き続き注視をしつつ、今後も議論していきたいというふうに思います。
今回の法案で、輸出拡大に取り組む関係者で構成する品目団体を国が認定して支援をするということであります。
これまで、品目によって、各産地や事業者が個別に輸出をすることで、一部の国や地域で品物が同じ時期に集中してだぶついてしまったり、過当な競争が起こっていたことを回避するために、認定団体として、品目ごとに関係者がまとまって活動することが期待されています。
その中で、それぞれの輸出先の輸出の時期、数量が調整された場合には、例えば、この国にこれだけの量を輸出したいという会員の意向が必ずしもかなわずに、認定団体の意向に沿って取り組む場合もあるかと思います。
ただ、認定団体として輸出先のニーズを調査したり、また、需要の開拓を行って十分な需要があることが確認できたとしても、その国がコロナの感染の再拡大などで、輸出先による急な規制の影響を受ける場合があります。
実際に、香港で年明け以降に飲食店の人数制限などの規制が強化されたことが影響して、日本の牛肉の輸出額が今年の三月は落ち込みました。
産地や事業者への適切な調整が行われて、会員がそれに従って輸出した場合に、輸出先やタイミングによって会員に不利益が生じたり、それによって別の会員との利益に差が生じた場合にはどのように対応されていくのか、伺います。
時間がないので、有機酒類についてお伺いをします。
有機米で造る清酒など、有機食品を原料とした有機酒類はJAS法に基づくJAS規格の対象外でしたけれども、これを規格の対象に加えて、国が品質を保証する形で輸出を後押ししていますけれども、これまでなかった有機酒類のJAS認証を行うために、国内の体制は現状で万全であるのか。
そして、現状は認められていても、今後、EUなど有機食品に関心の高い輸出先国から遺伝子組み換え作物に由来しないことなどを求められる可能性、また、その際の対応についてお伺いしたいと思います。
今、世界的な需要がやはり有機食品で高まっている中で、輸出先の規格と同等に認められるよう、政府の交渉力、期待したいと思います。
最後に、重点品目である米関係について伺います。
米関係の輸出割合を最も伸ばそうとしている先が中国であります。
二〇二五年には一九年実績の四倍以上に増やすということなんですけれども、米については、中国産のコシヒカリも現地で生産されていまして、二キロパックでも、新潟産コシヒカリよりも日本円にして二千円以上安く売られていることがあったり、また、パック御飯については、資料の4の赤線が引いてあるところにあるように、課題がございます。
そして、世界的な小麦不足の中で、日本の米粉の輸出のチャンスが広がっていますし、グルテンフリーで、アレルギー対応食品の市場も活発になっています。
こうした米関係の生産から販売に係る体制の充実、米、パック御飯、米粉についての支援について最後にお尋ねしたいと思います。
和食のブームというものを更に超えて、海外の食文化に本格的な日本食の浸透が図られる取組、期待したいというふうに思います。
質問を終わります。
ありがとうございました。
ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
案文を朗読して趣旨の説明に代えさせていただきます。
農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)我が国の食市場は、人口減少や高齢化を背景に今後縮小する一方で、世界の食市場の拡大が見込まれている。
農林水産物・食品の輸出の拡大は、我が国農林水産業の生産基盤を維持・強化し、持続的な食料システムを構築するとともに、農山漁村の活性化を図るためにも重要である。
これまでの産地、関係団体及び国一丸となった取組により、令和三年の輸出額は、一兆円に達したところである。
しかしながら、輸出先国政府による食品安全、動植物検疫上の規制が輸出拡大の障害となる事例があることに加え、一部の国・地域が東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴う輸入規制措置を依然として実施しているなど乗り越えるべき課題も残されている。
また、新型コロナウイルス感染症、気候変動等に加え、ウクライナ情勢により食料及び生産資材の安定供給への世界的な影響が懸念されており、食料安全保障の確保が求められている。
こうした状況を十分踏まえ、農林水産物・食品の輸出の促進に戦略的・計画的に取り組む必要がある。
よって政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。
記一農林水産物・食品の輸出の促進に取り組むに当たり、農林漁業者をはじめとする関係事業者及び農村地域関連の所得向上が図られることが重要であり、これまでの輸出促進に係る諸施策の効果を検証し、効果的かつ効率的な施策を講ずること。
その際、効果を正確に把握するための手法を速やかに検討すること。
二農林水産物・食品の輸出をオールジャパンで推進していくため、農林水産物・食品輸出促進団体の運営基盤の強化に向けた支援を行うとともに、団体の適正な業務運営の確保及び団体間の連携の推進を図ること。
三輸出拡大のために施設整備や海外現地法人の設立等に取り組む事業者や新たに輸出に取り組む事業者に対し、輸出事業計画の認定を通じて、補助、融資、税制面できめ細かな支援措置を実施すること。
四高鮮度で付加価値の高い輸出物流の構築や輸出に係るコストの低減のため、輸出産地との密接な連携が可能となる地域の空港や港湾の活用など効率的なサプライチェーンの構築を促進すること。
五農林水産物・食品の輸出に必要な輸出証明書の発行手続及び相談についてのワンストップサービスの充実を更に進め、輸出に取り組む事業者の負担軽減に取り組むこと。
六輸出支援プラットフォームについては、在外公館や日本貿易振興機構海外事務所等の構成者間の連携を強化するとともに、現地事情に精通した人材を活用し、農林水産物・食品の輸出に取り組む関係事業者と海外バイヤー等との効果的なマッチングの実現に努めること。
七原発事故に伴う輸入規制措置については、政府間交渉に必要な情報及び科学データの収集、分析等を十分に行い、諸外国・地域に正確な情報を提供し、あらゆる機会を捉えて輸入規制措置の撤廃を強く要請すること。
また、動植物検疫に関し、輸出解禁に向けた協議を推進すること。
八日本産農林水産物・食品のブランド力を維持・向上し、競争力を強化するため、GAP認証等、世界の食市場において通用する認証の取得を更に支援するとともに、JAS等の我が国発の規格の国際標準化に向けた取組を推進すること。
また、地理的表示の相互保護を行う国・地域の拡大、種苗法に基づく登録品種の海外持出制限等の制度の厳格な運用及び海外での品種登録への支援など、農林水産物・食品に関する知的財産の戦略的な創出・保護・活用を図ること。
九酒類を含む国産有機食品の海外での販路拡大に向けて、認証取得の負担を軽減するため、同等性の承認を得る国・地域の拡大に向けた交渉を推進すること。
十現下の国際情勢を受けた原材料価格の高騰など、原材料の調達に不安定さが増している現況に鑑み、国産農産物の安定的な生産・供給に努め、加工食品における国産原材料の使用を推進するとともに、その消費拡大を図ること。
右決議する。
以上です。
何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
第208回[衆] 地方創生特別委員会 2022/05/12 6号
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お疲れさまでございます。
立憲民主党・無所属の緑川貴士です。
地方の自主裁量を高めるための地方分権改革は、これまで大学に対しても行われてきました。
第九次一括法では、公立大学の法人が、自治体など設立団体の長の認可によって、大学の業務などに関係しない土地を外部に貸し付けることができるようになりました。
また、前回審議した構造改革特区法では、こちらは特区ではありますけれども、全国展開を視野に入れながら、実情に合わなくなった国の規制を緩和することで地域の活性化を図ろうというものであります。
前回は、国立大学法人が研究開発の成果を活用する拠点の整備を行う事業者に対して大学の土地や建物を貸し付ける、そういう要件が緩和されています。
どちらの要件緩和も、大学法人に資産運用を促して、財務基盤あるいは経営力を高めてもらうということを一つの狙いにしています。
もちろん、自分たちで財源をつくるということはどの大学も目指したいところではあるんですけれども、都心に一等地を持っているような恵まれている大きな大学と、そうではない地方にある大学とでは、保有する資産の価値にはやはり大きな開きがあります。
一律に資産運用をしろというふうに促しても、都心と地方では運用の利益がまるで違うわけです。
この資産運用の違いによって大学財政の差が広がっていくという懸念があるんですけれども、この辺りの御認識を伺いたいと思います。
ありがとうございます。
全国に八十六の国立大学があるわけでございますし、必ずしも地方対都市というような構図にはならないにしても、都心にある大学の方がやはり多いわけなんですね。
国立大学の中で教員や研究者を多く抱えることができるところであれば、そうした研究成果の活用については、民間とタイアップをしながら、そこに貸し付ける土地や建物による収益も見込める大学というのはあると思います。
しかし、そこは、そもそも研究基盤がしっかりしていることが前提で、その上での規制改革、資産の活用なんですね。
そもそも、国立大学については、二〇〇四年に法人化されて以降、基盤的な経費と言われる運営費交付金が年々削られてきました。
安定して教育研究活動を行っていくための必要な経費である交付金が減らされてきたということが、研究活動を促す前に、日本全体としての大学の研究力を低下させていく要因の一つになってきたというふうに思います。
これらの予算額以上の地方への財政支援というものもこれまで確かに行われてきているんですが、地方大学・地方産業創生交付金、今年度の予算額では、しかしながら、これは僅か七十二億円。
十兆円の大学ファンドの支援の対象にならない大学向けにもあるんですけれども、これは地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージがあるんですが、これも今年度予算で僅か四百六十二億円です。
これらの予算額以上の規模で削られてきたというのが運営費交付金です。
この交付金の額というのが、財務省の財政審によれば、基本的には教員の数に応じた配分であるというふうにしているんですが、それによって、結果として、教員の数が多い旧帝国大学、この七つの大学に運営費交付金の総額の実に三四%が行っています。
申し上げたように、全国で八十六の国立大学があるのに、特定の大学に交付が集中していますし、教員の数に応じた配分というものが結果としてそこに通う学生にも影響しています。
お配りしている資料一を御覧いただきたいんですけれども、一枚目、青の棒グラフは、都道府県にあるそれぞれの国立大学の運営費交付金を都道府県別に足し合わせているものです。
青い棒グラフの隣の黄色の棒グラフは、その都道府県にある国立大学に通う学生の数です。
学生が多いところには確かに交付額が多い傾向に見えるんですけれども、もう少し細かく見ていったものが緑の折れ線グラフです。
学生一人当たりに対する交付額なんですが、そこには明らかな差がありまして、グラフの数字を読むと、例えば、突出している東京や京都、また宮城で見ていただくと、学生一人当たりの交付額、緑の棒グラフは、二百万円前後のところがあるのに対して、ほかでは、よく見ると、一人七十万円ほどしかもらっていないようなところがあります。
多いところとそうでないところで実は三倍前後の差があるわけなんですね。
ここでお尋ねをしたいんですけれども、都道府県ごとの学生一人当たりから見ても、このように不平等なものになっているということが見て取れると思いますし、これを解消するためには、交付金の基盤的な部分、特に教育の部分については学生の数を明確な基準にする、その上で、学部ごとのコストを踏まえた加算などにして、それに基づいて交付金が交付されるべきであるというふうに考えていますけれども、お考えはいかがでしょうか。
学生の数というものがこれまで法人化前には踏まえられてきたものが、その影響というもの、その基準というものがどんどん優先度が低くなってきているわけですよね。
結果として、そこの地方に通っている、そこの大学の学生にとってはこの額に差が出てきているという結果になっています。
諸外国では、一般的には学生の数などを基準として算定されていますので、基盤的な教育に係る部分が減ることは実はありません。
日本は、運営費交付金を含めた高等教育への全体の支出もそもそも少ないんです。
対GDPで見た場合の高等教育への支出額は、OECD加盟国三十八か国の中で最下位という状況であります。
高等教育への国の支出が少ないのに、その中でも、日本では学生ごとに見た場合の配分には偏りが生まれているということになっていますし、研究力を底上げするための基盤である交付金が、近年では、まずは研究業績を上げていなければ交付をしませんと、成果を先に求めて、それによって交付額に差をつけるという傾斜配分の仕組みが取られています。
運営費交付金を研究業績で傾斜配分できてしまうというのはなぜかといえば、教育の部分と研究の部分というものが資金が分けられていないということが原因であります。
業績連動型の部分が教育の部分に影響しないように財源を明確に分けることが必要じゃないでしょうか。
いかがでしょうか。
そうした各大学の意欲を酌んだ配分というものについて、評価に基づいて配分をしていくということ自体の課題というのもあると思います。
中期計画は大学ごとに異なる目標をそれぞれ評価しなきゃいけないので、主観的になりがちです。
そこで資金に差をつけるということがやはり一つの課題になっていると思いますし、実績評価についても、研究業績と関係があるのは、確かに研究費とか若手の研究者の数というのも入っているんですけれども、そのほかにも、大学の会計とか人事とか、研究業績を上げることとは直接関係のないような指標も含まれているということが、これがどのぐらい配分に生かされるかどうかというのはしっかり考えないといけないというふうに思います。
配分を受けるための大学ごとの目標設定、また、指標を設定するという各大学の業務量も膨大です。
規模の小さい大学ほど不利になっていますので、こういう評価とか業績連動の仕組みももっと簡易なものにしていかなければならないというふうに思います。
こういう傾斜配分の仕組みがいずれにしても強化をされてきている中で、しかも、年々交付金の総額が減らされている中で、安定して教員を雇えない、また、若手研究者の登用もできない、研究の裾野が狭まってしまう。
そして、教員を多く抱えて交付金を選択的に受け取れるような、潤沢に受け取れる大学との格差というのは、残念ながらそれが広がっていることにつながっています。
それが都心と地方という構図で際立っていると思いますし、地元の地方大学に自宅から通うよりも、学費とか交通費がかかっても都市部の大学への進学を希望する学生が多いわけですね。
コロナ禍では、人の流れは確かに変化があります。
去年一年間の東京圏への転入超過は二〇一四年以来最も少なくなっていますが、男女別に見ますと、実は、男性が転出超過、東京を出ていく人の方が多かったんですが、女性は転入超過に相変わらずなっています。
つまり、東京圏の転入超過というのは女性によって去年も維持されていますし、この転入超過の女性の数が常に男性を上回って推移してきているというところを考えると、これまでと傾向は変わっていないわけです。
昨年時点の、昨年以前の人口移動も含めた意識調査の一つの抜粋を資料二でお配りをしているんですけれども、これは内閣府による意識調査の資料でございます。
なぜ地元を離れる選択をしたのかについて、地元と異なる地域になぜ進学をしたのか、進学についての男女別の回答です。
左から二番目の、自分が関心のある分野を学べる学校が地元になかったからというのが女性では最も多くなっています。
コロナ禍でも東京圏への転入が二十歳から二十四歳の女性の層で顕著でありますし、大学や短大への進学をきっかけに地方を離れて、まずは政令指定都市で暮らしていこうと、私の地元秋田でも、宮城の仙台の方に進学をして、その後、東京に入っていくという方がやはり多いんですが、一度政令指定都市で暮らして、その卒業後に東京圏に就職をするという流れがやはり多いようです。
男性でも左から二番目の回答が多いんですけれども、女性の回答割合がより高くなっています。
それは、逆に言えば、そのニーズにかなう地方の大学があるならば選択肢に入れたい、そのように捉える女性が多いんじゃないかということが言えると思います。
卒業後の就職や結婚に係る課題への対策というのは必要なんですが、まずは地方の大学の教育環境というものが、こうした調査にあるような関心の持てる多様な分野、研究のニーズに応えられるように国として後押しをしていくことが地元にとどまる一つのきっかけになって、子育て世代の地方からの流出を防ぐ、大学がこの最初のとりでになるというふうに思いますけれども、野田大臣、いかがでしょうか。
御答弁ありがとうございます。
時代に合わせたそれぞれの大学の工夫で学生の獲得に努めている状況が、それぞれの大学で見受けられます。
女子学生に人気のある国際関係の学部を再編して女性の学生割合が高くなっていたりとか、また、理系の学部では、女性研究者、こうしたビジョンを卒業後のキャリアもイメージできるように大学が支援していく、そこに力を入れていたりとか、あるいは、文系とか理系の学部を融合して、より入りたいという魅力を高める取組というものも聞いております。
こうした地方大学を含めた息の長い多様な教育に対する取組というものを続けることがイノベーションにつながっていくと思いますし、学生の人気を呼んで地元への定着にもつながっていく、そんな後押しができる国の支援、予算の確保というものを是非お願いをしたいというふうに思います。
地方分権改革について個々の自治体からの提案を募集して、その実現を目指す提案募集方式について伺います。
今日もるる御議論になっていますけれども、この方式が取られて九年目になりますけれども、昨年までの市区町村の提案の実績を都道府県ごとに見ますと、大分県そして愛媛県のように県内全ての市町村で提案している県がある一方で、その県内で一割未満の市町村しか提案がなされていないというところがいまだに多くあります。
地域ごとの提案の実績には差が出てきているというのが先ほどの議論でもあったと思います。
地域の実情や課題に精通した地方の発意を起点としたスキームでありますので、より多くの自治体に声を上げてもらう、その熱量をより高めていくには国としてどのように今後対応していかれるのか、伺いたいと思います。
九年目で、積極的に出してきた自治体あるいは都道府県というものも次第に少なくなってきているというふうに思います。
昨年でも、この提案募集は、提案件数だけではなくて、提案する市町村の数も減っています。
共同提案も含めて、これまで提案のなかったところにいかに出してもらうかということが重要であると思いますし、事務手続がなかなか煩雑なのではないか、ノウハウが必要なのではないか、提案になじみのない自治体ほど業務の負担というものを気にしてなかなか動き出せない自治体があると思いますので、新たな発意、貴重な発意というものをしっかりと形にできるようにサポートをお願いしたいというふうに思います。
今回の法案では、医師や歯科医師、薬剤師のオンラインでの届出が可能となる見直し、先ほども御答弁をいただいた面があります。
これらの免許を持っている方は、二年に一度、十二月三十一日現在の住所や勤務先などを届けるということが法で義務づけられています。
これまで都道府県を経由して紙での提出しかできなかったんですが、今年の十二月三十一日以降の届出についてはオンラインで国に直接提出することができるように見直すということなんです。
ただ、直近でオンラインで行えるというのが、医療機関、また歯科医療機関、薬局に勤務する方だけ。
そうでない方、例えば医師でいえば、就活中の方、霞が関を始め官公庁に勤めている方、そして医師の資格とは関係のない仕事をしている方、そしてフリーランスの方、こうした方々は、今回オンラインでできず、従来どおり紙で届けることになりますけれども、これがオンラインでできるのが再来年の十二月三十一日以降の届出からということになっています。
要は、前者と後者でオンライン化の時期に違いが生じました。
二つ目の問いだけにしたいと思うんですけれども、オンライン化は二〇一九年の提案募集の段階で既に提案されていたものなんですが、政府は、そのときは、オンライン化するには準備期間が短い、実務上の対応が難しいという理由で先送りにしています。
しかしながら、法改正自体はそのときにできたわけであります。
それによって、今回違いが生じてしまったオンライン化の時期というもの、これも一本化できたはずです。
このほども、デジタル化を進める際には、いろいろなシステムで一連の不具合の問題が起きているということも考えますと、やはり早期に改正を目指して準備を進める必要があったのではないかというふうに思いますが、そのお考えを伺いたいのと、今後、システムの不具合への備えというものは、法改正には時間がかかりましたけれども、この間、十分に不具合への備えは取られているという認識でよろしいでしょうか。
大臣からも、通告しておりますので、一言いただければと思います。
今年十二月ですので、システムの運用テスト、綿密なこれまでの取組もあると思いますけれども、あるいは関係機関への十分な周知を徹底していただいて、万全を期していただきたいというふうに思います。
医療機関に関連する課題として私の方から質問させていただきたいものが、保険診療として往診を行う際の距離制限についてお尋ねをしたいと思います。
最後、資料の三を御覧いただきたいんですが、令和四年の診療報酬点数表の往診料に関する通知の抜粋です。
これは、患者の急変など、いつ起こるか分からない突発的な事態に対応するのが往診なんですが、保険診療で行えるというのがこの円形に書かれている範囲なんですね。
その患者の家から半径十六キロメートル以内の保険医療機関だけで、それ以上離れた地域からの保険診療による往診は原則認められていません。
この十六キロルールは、定期的に医師が患者の家を訪れる訪問診療にもあるんですが、例外として、書いてあるように、二つの場合があります。
その患者の家から半径十六キロメートル以内に専門的に対応できる保険医療機関が存在しない場合と、また、専門の医療機関があっても往診を行っていない場合など、絶対的な理由がなければ、十六キロを超えている医療機関による往診は保険外診療になりますので、患者負担になるという規定です。
ただ、この十六キロルールは、確かに、外の地域からの特定の医療機関に患者が集中することを防いだり、緊急時には近場が対応する、そうしなければ間に合わないこともあることを考えれば、距離制限には一定の合理性があるんですが、例えば、十六キロ以内に専門の対応ができて往診を行える診療所があっても、そこに医師一人だけしかいない診療所、その体制で外来中心の診療所であるような場合には、外形的にはそういう範囲に医療機関があっても、その診療所が実質十六キロ以内の範囲を全て在宅医療をカバーできるのかという問題があります。
高齢化が進む地域の中でどんどん増えている通院が難しいという患者さんに対して在宅医療を提供できるかという観点から、この十六キロルールというのは昭和の本当に古いルールですので、地域に即して考える必要があるんじゃないかというふうに思いますけれども、お考えはいかがでしょうか。
これは自治体を通していろいろと提案という今回の議論でもありますので、意見をしっかりと集めていただくということがとても大事かというふうに思います。
大臣、済みません、地方の活性化という観点でこの問題について一言頂戴したいと思うんですが、紹介手続とか逆紹介の手続を取っている間に患者が急変した場合に、間に合わない場合があると思います。
やはり範囲外からしっかり駆けつけられる医療機関というものが必要であるというふうに思っています。
この支障が生じ得る地域を細かく調査して、自治体からの意見も聞きながら、全国一律の距離設定ではなく、十六キロに定めず、地方の目線でその実情に即したルールに柔軟に変えていくことについて、御見解を伺いたいと思います。
これで質問を終わります。
引き続きまた議論をさせていただきます。
ありがとうございました。
第208回[衆] 農林水産委員会 2022/04/12 9号
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皆様、お疲れさまでございます。
冒頭、昨年産米へのナラシ対策についてまずお尋ねをしたいと思います。
昨年、米価が大幅に下落したことに伴いまして、その収入減の影響を緩和するナラシ対策として、昨年産米への交付金の申請が対策加入者から今まさに行われているんですけれども、昨年産から交付対象となる範囲が広がりました。
まず、お配りしている資料の1を御覧いただきたいんですけれども、昨年産米について農水省が出した、これは、経営安定対策のパンフレットの抜粋であります。
米のナラシ対策については、これまでは農産物検査を受けた米だけが交付対象だったんですけれども、右下にありますように、農産物検査を受けない米というふうに書いてありますが、これはいわゆる未検査米です。
昨年産米からナラシ対策の交付対象になりました。
赤線のところですけれども、未検査米であっても、一・七〇ミリ以上のふるい目幅で調製した主食用米であることが確認できれば、これは交付されることになっています。
このパンフレットというのは、農水省によれば、七万四千部を印刷して、ホームページにもこれを掲載しながら、昨年に周知してきたということなんですけれども、個々の農家には、当然農水省から知らせるというのは現実的でありませんので、市町村の地域農業再生協議会、再生協から、コピーしたものを配付して、現場にこれは周知されていったのかというふうに思ったんですが、調べますと、農家に周知するべき再生協すらも把握していないところがありました。
これが、資料の2を御覧いただきたいんですけれども、加入者向けに出された交付申請の通知書です。
赤線のところ、未検査米はナラシの対象にはなりませんというふうに通知してしまっているんですね。
その通知が、何と先月の十八日付です。
この時点で、昨年周知していたのにまだ把握していなかったということになります。
政策に関心の高い住民からの指摘を受けて、後でこの再生協からは訂正文書が出されているんですが、ほかの再生協でも確認したところ、多くのところで交付対象が広がったことを把握していませんでした。
再生協が知らなければ、当然現場の農家の多くが知るはずもありません。
まずは、改めて、国による徹底した周知も含めた対応が求められると思いますが、いかがでしょうか。
再度周知をしていただくということでお答えをいただきました。
その周知が届かず、未検査米は対象にならないものとして、従来どおり申請しなかった農家が多いわけなんです。
再生協ですら把握していないところが多かったんですから。
しかしながら、今から、期限内とはいっても、改めて周知を行ったとしても、未検査米も交付対象になるということが分かっても、実はこれは昨年の秋に出荷が既に終わってしまっていますから、その時点で、交付を受けるのに必要な申請書類、つまり、一・七〇ミリ以上のふるい目で調製して販売したということが確認できる資料というものを提出することはもはやできません、販売伝票を偽って作るわけにもいきませんから。
周知が足りないことが原因で少ない交付金額にもなってしまう可能性があるわけですから、期限も柔軟に考えながら、そして、資金的な面、交付の部分でも救済措置が必要ではないでしょうか。
いかがですか。
結局、それでは、周知を行ったとしても、この要件を満たすような書類を提出できないという農家が多くなる場合に対してどのように対応していきますか。
本来、周知が徹底されていれば、一・七〇ミリ以上のふるい目幅でしっかり調製できていたはずなんです。
それが、もはや今のこの時点では、もう出荷が終わっていますから、できなくなってしまっていることに対して、やはり農水省による周知の徹底不足というところが根本的な原因であるというふうに思っております。
どのぐらいの未検査米が交付対象になるのかということは、できるだけ、これは正確に把握することは非常に難しいんですけれども、参考までに、資料の3をお配りしています。
農水省の資料で、ふるい目幅別の玄米の昨年産の重量割合というものが示されています。
地域によっても異なりますけれども、多くの農家は、ふるい目幅一・九〇ミリなどを使って調製しています。
一・九〇ミリで調製した場合には、そのふるいの下に落ちる一・七〇から一・九〇未満の米がふるい下米になります。
つまり、検査を受けない米、未検査米になります。
ですので、今、赤枠で囲ってある部分の多くが未検査米になるはずです。
一・八五ミリで調製している農家も多いので、一・八五から一・九〇の部分は点線にしているところがあるんですけれども、それを考えても、昨年産の玄米のトータルの重量のうち四%から六%ほど、収穫量に直せば七百万トン余りのうちの四%から六%、つまり、三十万から四十万トンが未検査米ということになると思います。
このうち、ナラシ対策の加入者の生産分について、申請に漏れが出ているということになるわけですから、こうした数字も参照していただいて、本来受けるはずだった交付金の補填というものを検討していただきたいと思います。
まず、政府参考人からいただきながら、最後に大臣からも頂戴したいと思います。
是非、今、コロナ禍、確かに、年々の需要減に加えて、コロナの影響ということで、非常に減収著しい米農家に対してナラシ対策が発動されているわけですから、現場に寄り添った対応というものを強く求めたいというふうに思います。
二つの改正案についてお尋ねをしたいと思います。
農業委員会の今後の協力内容というものが、法定化された人・農地プランである地域計画の原案を作るということ、そして、その中で、農地の一筆ごとに利用者を決めて、十年先を見据えた目標地図を作るという内容で具体化されています。
ただ、地元の農業委員会でお話を聞かせていただいても、地域の将来の絵を委員会が主体となって描くということはとても重いことだ、規模の大きな市町村であればなおさら大変だと。
複数の法人や個人の経営体が入っている中で、エリアを決めて、ここはどこどこの法人、そしてここは誰々の担い手さんというふうに、地域の中に入って決めていかなければならない。
これまでも、意見や相談を受けて、農地の出し手や受け手の意向なども把握をしながら、意見の調整やつなぎの役割というものを担ってきたわけですけれども、法改正を受けては、それを更に踏み込んで、五年先、十年先の将来の経営に関わる重要な判断、さらには、農村の在り方にまでこれまで以上に深く関わっていかなくてはならないという心理的なプレッシャーがあるということを強調されていました。
農業委員会の会長を始め、兼業で農業に取り組んでいる、兼業で生計を立てている方が多い中で、委員会の業務が膨大になることと、そして精神的な負担もあります。
農業委員をやる方がこれからいなくなってしまうんじゃないかと危惧される会長もいらっしゃいました。
これまで以上に業務が拡大する農業委員会の負担の軽減を含めて、どう活動を支援されていくのか、改めてお伺いしたいのと、そして、三年という準備期間があっても、結果として、一筆ごとに農地の利用者を明確にできなかった場合、十年後を見据えた農地利用の姿を明らかにできなかった場合は、国としてどのように対応されていくんでしょうか。
今後三年間の準備期間の間にも、農政の急な方針の転換ということも想定されなければならないというふうに思いますし、こうした負担も大きくなるということも考えていかなくてはなりません。
特に、水活交付金の交付対象の見直し方針の影響は大きいと思います。
畑になっても営農を考えていくのか、あるいは水活の枠で取り組むかの判断も迫られているわけですけれども、畦畔も潰してしまって水田に戻せないところは多々あるわけです。
五年後、完全に畑扱いになって水活交付金がもらえなくなるのであれば、営農を続けられずに離農する方も出てきます。
そうなった場合には、その農地の新たな引受手を探さなければならなくなります。
これまで求めていなかった水張りを求めるようになることが、目標地図の策定の進捗に影響を与えることになりはしないのか、政府の御見解はいかがでしょうか。
水張りのルールの影響についてお答えください。
今まさに懸念されている、現場で非常に強いお声のあるこの五年以内の水張りルールというものが柔軟な形で見直されなければ、私は、十年先の営農ビジョンを描くのが困難な農地が出てくるというふうに思います。
交付金が縮減されることで人の確保が見通せなくなるということに加えて、水田機能を維持するべき農地かどうかという判断も、実は関係者の協議の中でも意見が分かれるケースがあると思います。
土地改良区やJAも関わってくるような、農家が負担する水利費、そしてまた賦課金、こうしたものは経営に大きく関わってくるわけですから、ワンチームと一口に言っても、合意が難しいという場面は多くあるというふうに思います。
これまで得られていたような収益構造が変わる可能性もある中で、関係者が清濁を併せのまなければならない、うまく利害を調整していくためには、例えばJAとしては、農地の効率的な利用を進める中で、どの農産物をどのように作って販売していくかということを併せ持った計画にしていくこと、そのために、JAの役割というものも欠かせないというふうに思いますけれども、政府としてのお考えがあればお伺いしたいと思います。
是非、関係者の協議ということ、確かに、当事者同士の協議ということが主軸ですけれども、これは国がしっかりとそうしたところもケアをしていただきたいというふうに思っています。
地域の関係者の協議の結果、農業利用する区域、そして保全や林地化をする区域というふうに整理をして、農業利用する区域では地域計画を策定することにもなっていますが、他方で、保全や林地化する区域の在り方というものは丁寧に協議されるべきものであるというふうに思っています。
都道府県や市町村が作成する農山漁村活性化計画の対象事業として放牧や林地化などを新たに記載できるようになって、区域の活用を図るということですけれども、地域計画、一筆ごとに何とか利用者を見出して農業の基盤である農地を守ろうと努力するこの地域計画と比べますと、活性化計画はやや後ろ向きといいますか、関係者との協議の段階で、特に中山間地域で、農用地としての活用ができなくてもこれはいたし方ないというような、妥協的な協議の動きにつながりかねないというふうに考えていますけれども、政府のお考えはいかがでしょうか。
先ほど、宮下委員への御答弁で、保全管理をする区域というものを設定したとしても農地面積の確保に資するというような御答弁もありましたけれども、現状では、やはり年々耕地面積というものは二ヘクタールから三ヘクタールずつ減り続けている中で、活性化計画によって保全管理、林地化する区域が膨らんでいく場合には、これは耕地面積に数えられませんから、その減少幅がこれまで以上に広がってしまうのではないか、国の想定した耕地面積というものを維持することが見通せなくなってしまうんじゃないかということを改めて問いたいと思いますが、いかがですか。
簡潔にお願いします。
特に、林地化する区域というのは、そもそも、これは農地として維持が難しいと判断されたから林地化していくわけです。
食料の安定供給には利用することができない、これは譲っても、本来は農地なのに農業利用せず粗放的な土地利用にする、やはりそうしたところが出てくる、あるいは、非農地として森林に戻さざるを得ない、地域によって苦渋の決断をしなくてはならないところもあると思いますが、農地のコーディネーターでもあり、農家を兼ねる職員も多い農業委員会からすれば、保全管理区域にするのはやはりもったいない、保全管理するにしても積極的な活用を図ってもらいたいという現場のお声は強くあります。
計画的な植林で森林にしていくにしても、周辺の農地を守る機能というだけではなくて、人の手をできるだけ入れて、林産物の生産を重視する、例えば、成長の速いナラを植えてキノコ栽培をするとか、菌床栽培用にナラをチップに加工していく、あるいは、国産の漆の生産がここ五年でこれまでの倍近くに増えている中で、工芸品作りとか文化財の修復を支える漆の生産を進めていったりとか、その地域の農家が半農半林などの副業的な形で林産物を生産して、所得を補えるような林地化に進めていくべきであるというふうに思いますけれども、お考えはいかがでしょうか。
是非、保全等の土地利用だけではなくて、林地化する土地についても、できるだけ積極的に活用していける取組事例というものを現場に伝えていただきたいというふうに思います。
地域計画の方に戻りますけれども、計画に沿って農地利用を進める上で担い手の存在は重要ですが、この担い手の意味合いが変化してきていると思います。
担い手への集積、集約化という場合には、効率的かつ安定的な農業経営を行う認定農業者などを指します。
人・農地プランで言う中心経営体とほぼ同じ意味ですが、今回、地域計画の中には、農業を担う者という形で、認定農業者だけではなくて、多様な経営体も目標地図の中に落とし込んでいくことになりました。
そして、農水省で昨年の六月に公表された、新しい農村政策の在り方に関する検討会の中間とりまとめでは、農村の担い手という言葉も出てきました。
営農だけでなく、農村にも多様な形で関わっていく人が農村の担い手であるという考え方ですが、農政で言う担い手の意味が非常に多義的になっていて、必ずしも明確でなくなってきているのではないかと思いますが、いかがですか。
従来の担い手、中心経営体というものを軸に据えながらこれまでも市町村では人・農地プランが作成されてきましたが、アンケートなどを通じて農業者の意向が十分に反映されているプランと、そうでない、地域の経営体や農地のごく一部しか把握されていないプランも多くあります。
そうした実質化されていない区域の多い市町村では、話合いをリードして調整できる人材がいなかったり、中心経営体となる農業者の確保が大きな課題となって、将来の地域農業の姿を描くことが難しいという状況が続いてきています。
そうした地域では、やはり担い手だけが集積、集約化の主な対象ではなくなってきているというふうに思いますし、担い手への集積率八割という目標値をこれから掲げることへの妥当性が問われていると思います。
従来の担い手だけではなくて、実際には、準担い手と呼ばれるような中規模の農家、こうした経営体も、集積している数も相当ありますし、営農や農村に多様な形で関わっていく経営体もこの集積率算定の分子に加えた目標設定の方が合理的であると思います。
農地利用の実態をより反映したものにしていくべきではないかというふうに思っております。
もう一つ、まとめてお答えいただければと思いますが、これまでの担い手のような本格的な営農に限らずに、担い手が受けにくい中山間地域も含めた、多様な形で農業、農村に関わっていける経営体というものを国として後押しすることが一層必要になってきている法案であると思います。
その支援の在り方として、これまでの青年農業者等育成センターから、農業経営・就農支援センターに機能を拡大して、支援対象を広げて、そのサポート内容も、就農時だけではなく、経営サポートにまで広げるということですけれども、その支援対象は、認定農業者だけではなくて、中小規模の経営体や半農半Xなどの副業的な経営体も対象になるのかどうか、こうした経営体への支援の在り方について、お伺いしたいと思います。
担い手の高齢化も待ったなしの状況でありますし、農地の効率的な利用、その前提である、農村を守る人を維持できるような支援ということで、両方の計画作りを後押ししていただきたいと思います。
質問を終わります。
ありがとうございました。
第208回[衆] 農林水産委員会 2022/03/30 7号
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皆様、お疲れさまでございます。
みどり法案から、前回から引き続きまたお尋ねをさせていただきたいと思います。
長年取り組んできた有機農家にとっては、有機農業が、もちろん更に広まってほしいという強いお声をいただいておりますし、新規就農の方は有機農業に特に関心が高い傾向にありますので、一方で、熟練した有機農家というものがやはり少なく、近くで営農指導ができるような人材というものも、やはり農業団体の方も含めて非常に少ないというのが現状であると思います。
そうした中で、自然農法をその地域の気候風土に合う形で取り組んでいくというのはやはり時間がかかるというふうに思いますし、有機農業に取り組む農家を増やそうという中で、減農薬というものが適切な形で行われなければ、食の安全というものにもやはり関わっていくということは考えなくてはならないというふうに思っております。
特に、高温多湿、そして収穫期にも雨が降りやすい日本の気候というのは、カビの生育に適している環境です。
確かに、みそやしょうゆ、こうした日本の伝統ある発酵食品に欠かせない有用なカビというものも多くいますけれども、一方では、農薬を使わない、あるいは減らしていく場合には、農産物のカビ毒というものには注意しなければならないというふうに思います。
研究論文の中には、カビ毒は、慣行農法による農産物よりも有機農産物の方が比較的検出率が高いとしているものもあります。
有機農業を進めていくこと自体は大切なんですけれども、この辺りの懸念について、どのようにお考えでしょうか。
今、途上ということですけれども、これまでも、やはりカビ毒に対する対策、マニュアルというものも農水省の方で作られたというふうに聞いております。
品種改良や栽培方法の改良、また収穫後の速やかな乾燥という様々な組合せ、対策を組み合わせたマニュアルということなんですが、しかし、要は、やはりカビ毒の低減を図る上で消毒というふうにおっしゃいました。
欠かせなかったのは、結局は、やはり農薬ということだと思います。
しかし、それでは慣行の農法の位置づけとは変わらないことになってしまいますから、農薬を使わない、減らすことを前提とした有機農家向けのマニュアルというものも作成をしていく必要があると思いますけれども、その辺り、お考えはいかがでしょうか。
今後の長い有機農業の栽培普及の取組というところの中で、やはり温暖化というものが進んでいくことのリスクも考えなければならないと思うんですね。
そうした気候条件を踏まえ、そして農産物の生産段階、あるいは貯蔵時の管理や取扱いなどによっては、農産物に、健康への悪影響というものがやはり起きかねないというのがカビ毒であると思います。
麦であるというふうに御答弁もいただいたんですが、日本には、これまで発がん性の強いアフラトキシンといったカビ毒を作るカビというのは存在しないと言われてきたんですけれども、実は、国産米でアフラトキシンの汚染が見つかっていますし、これから生産拡大を目指すトウモロコシにはそうしたアフラトキシンがつきやすいと言われます。
そして、お答えにあった国産の小麦では、赤カビ病による汚染もありました。
これからこうした国内自給率を高めていこうという作物、あるいは家畜用の餌として飼料自給率を高めていこうという作物、その家畜がカビ毒を取り込むことで牛乳などが汚染されるというリスクも、現実問題としてしっかり想定して考えなければならないことであるというふうに思っております。
日本では、有機農業の取組自体がこれまで少なかったことから、欧米で行われるような食の安全についての比較研究というものはやはりなされなかったところであります。
マニュアルを策定する、効果的なマニュアルを作成していくためにも、改めて農家や消費者の理解を深めるために、食の安全性について科学的な見地から検証して、有機農業の普及の取組を進めていくべきであると思いますけれども、いかがでしょうか。
これまでの農水省のみどり戦略本部と各業界の意見交換会、昨年は二十二回行われたということなんですが、食の安全について意見があったというのは、二十二回のうちの一回の、消費関係団体からの意見だけであった。
つまり、食品安全の専門家と正面から議論したという形跡がやはりありません。
こうした安全性の観点からのやはり議論、農研機構とも連携をして、今取り得る対策について現場への丁寧な周知というものを強く求めたいというふうに思います。
有機農業の団地化に係る課題についても、小山委員からお話もありましたけれども、私からも一点お尋ねをしたいと思います。
家畜の排せつ物を堆肥として提供しながら飼料生産を行っていく、こうした地域内で資源を循環させる耕畜連携を進める上でも有機農業は重要ですけれども、これまでは、堆肥を作っても、受皿となる耕種農家が少ない地域があったり、また、堆肥が欲しいところでも、輸送距離の関係でまとまった量が手に入りにくいという課題があります。
有機農業を団地で取り組んでいく場合のマッチング、地域によって団地化の取組に偏りが生じないようにするために、どのように取り組んでいくんでしょうか。
団地化した場合に、堆肥の投入というものが、これは場所によっては大量に必要になってくるところもあると思いますが、この堆肥について、衛生管理を誤ってしまっている現場もあるというふうに聞いています。
堆肥を農地に野積みにしたまま放置をして、その堆肥に含まれる窒素が、硝酸性窒素、有毒な成分に変わっていく、それで土壌から流出をして地下水や川を汚染してしまうような、環境負荷を与えているような事例。
あるいは、堆肥の発酵が不十分であったために、農作物に大腸菌が付着をして、O157の感染経路になったと言われる事例もあります。
有機農業の団地化を進めるに当たっては、こうした事例にも一層目配りをして、対処していく必要があるのではないでしょうか。
やはり有機肥料として、本来、これは化学肥料に代わるものとして、土壌改良のための堆肥であるのに、残念ながら、家畜の排せつ物の埋立場のようなところになってしまっている、かえって環境負荷に影響を与えてしまっているような大変残念な事例であるというふうに思います。
法律に基づいて、都道府県による指導というものが、堆肥が野積みされているような事案も含めて、年間で十件ほどの指導が行われてきたということなんですが、いまだ同じ業者が複数年にわたってこの指導を受けている。
つまり、改善されていないケースがあり、環境負荷への影響もその現場でそれだけ長く続いているということであります。
農水省の補助事業の名前が記された立札を立てて、堆肥の大量投入による問題が起きている現場もあるわけです。
都道府県としっかり連携をして、情報共有をして、現場の実態把握、早期に努めていただきたいというふうに思います。
植物防疫法との関連で、化学農薬を低減しながら防除するという国の方針との関係で、まずは、農薬取締法に基づく再評価制度についてお尋ねをいたします。
昨年度から再評価制度が実施されていますが、その再評価を行うべき対象にネオニコチノイド系農薬が含まれています。
イミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサムについては、メーカーからデータを提出してもらう期限が昨年の十二月末、そして、ジノテフラン、アセタミプリドについては三月末ということでした。
このデータが既に出そろっているという時期だと思いますが、これらのネオニコ系農薬五種類の再評価は、今どのような状況でしょうか。
今年度に再評価が行われるというふうに聞いておったんですけれども、メーカーの提出期限からどのぐらいでこれは結果が出るんでしょうか。
もし何もなければ、お答えいただかなくても大丈夫です。
農薬取締法によれば、やはり農作物への被害が生じていると認められる場合には、その農薬への登録を変更したり取り消すことができるというふうに定めているわけで、その再評価の結果が待たれている間にも、養蜂家が飼っている蜜蜂への影響、蜜蜂被害というものが深刻です。
蜜蜂の死滅によって国産の蜂蜜が減少している、そして、蜜蜂による花粉交配が欠かせないイチゴやメロンなどの園芸作物の生産にもまさに影響を与えているわけです。
農薬散布に、影響を与えないように、地域での対策が再三呼びかけられてきたにもかかわらず、いまだ年間三十件から四十件の蜜蜂被害が起こり続けています。
そして、お配りしている資料の1なんですが、昨年八月の共同通信の記事であります。
蜜蜂被害に加えて、ネオニコ系農薬が秋田県の八郎湖から高い濃度で検出されたということ、そして、その農薬の影響で、湖に生息する魚が激減したということが秋田県立大の調査によって報告されています。
この八郎湖は、元々国内で二番目に大きかった汽水湖の八郎潟が、一九五七年から国営による二十年間にわたる干拓事業によって八郎湖になりましたけれども、このときから河川の水と一緒に農業排水また生活排水が流れ込んで、夏場に日照りが続けばアオコが異常発生するような年が見られるようになりました。
元々国策として干拓事業が進められてきたことが、ネオニコ系農薬の高濃度の検出も含めた水質汚染の問題の根本にあります。
農薬のリスクの再評価を行われているこの間も、生態系への影響が懸念されているこの研究結果が報告されたということを、大臣、国としてどのように受け止めていらっしゃいますか。
最後の質問にいたします。
ネオニコ系農薬の過剰散布の原因になっているのは、指定有害動植物に指定されている斑点米カメムシです。
指定有害動植物百十一種ごとに国がIPMの指針を作って対策に取り組む中身になっていますけれども、畦畔の除草とか田んぼの除草というのは、指針に書いてあることは大切なんですが、環境負荷をかけずに、生産現場でいかに作業の労力やコストを抑えながら防除に取り組んでいけるかという点がとても大切であると思います。
お配りしている資料の2、「現代農業」の昔の記事なんですが、石灰防除というふうに書いてあります。
生産現場からもお話を聞かせていただきましたが、夏場に、稲の出穂前に追加の肥料として消石灰をまく、学校のグラウンドでラインを引くときの粉ですけれども、カルシウム追肥として消石灰をまいておくことで、稲が丈夫になって、いもち病などの病気にも強くなる、あるいは、稲や雑草に産みつけていた卵からかえった斑点米カメムシも、アルカリ質の肥料を嫌がって、田んぼから追い出すことができる、こういう農薬を使わなくても肥料で防げるというわけです。
この防除の費用も、十アール当たり、カメムシの防除に対しては三千円なんですが、石灰防除の費用は十アール当たり四百円、コストも七分の一以上に抑えることができます。
そして、ドローンを飛ばして低空から的確に噴霧できるので、周囲が煙っぽくなることもないということでした。
国の防除指針に基づいて県が総合的防除の推進計画を作るわけですが、県から農家への助言を行う場合に、こうした石灰防除など、防除コストを可能な限り抑えることで農家所得の向上につながるような防除策を地域で実践していくことが望ましいというふうに考えていますけれども、お考えはいかがでしょうか。
質問を終わります。
ありがとうございました。
第208回[衆] 農林水産委員会 2022/03/23 5号
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皆様、おはようございます。
立憲民主党の緑川貴士です。
環境への影響を抑えるために、化学農薬あるいは化学肥料をできる限り減らすということ、そして温暖化の防止、気候変動への対応、生物多様性の保全、持続的な農業、こうした方向性として、その重要性を否定する方はいないと思います。
一方で、みどりの食料システム戦略は、農政の大きな方針転換です。
生産や流通、消費の現場が抜本的な変革を迫られる内容にもかかわらず、おととしの十一月、農水省に戦略本部が設置されてから昨年五月の戦略の策定まで僅か半年と、すさまじいスピードで策定されました。
意見交換会を二十回以上にもわたって開催をして、有識者、農業者の意見を聞いてきたというふうに言いますけれども、みどり戦略の目標で掲げるのは、EUの表面的な数字、あるいは対策の追随というものが、このみどり戦略を見ますと目立ちます。
しかし、EUと比べて、日本というのは、気候は高温多湿、病害虫や雑草が多いです。
温暖化でその病害虫による被害も増える傾向にあると言われていますし、大陸からウンカなどの害虫も飛んできます。
また、エネルギーの資源、鉱物資源が不足している、乏しい。
あるいは、大量の原料や食料、飼料を輸入する国でもあります。
こうした日本の実情というものがしっかり考慮されて、今回のみどり戦略の目標というものが科学的根拠に基づいてしっかりと設定されているものなのかどうか、お伺いしたいと思います。
環境負荷の低減を図る方法は様々ありますけれども、やはりこれはトータルで、かつ多角的に見ていく必要があると思います。
化学農薬について言えば、確かに、分解性の高い生物農薬などを用いれば、生物の多様性の保全には貢献できます。
その代わりに、では、何が犠牲になりやすいかというと、例えば機械で除草するときのこのエネルギーの使用量、これによって温室効果ガスの発生がかえって増えることになるのではないかというところがあります。
各種のリスクのトレードオフをどうするのか、環境負荷の低減を図ったときに何を犠牲にしなければならないのか、その様々な要素を踏まえて政策というのは推進されるべきなんじゃないでしょうか。
いかがでしょうか。
途中過程で相反するものが生じてきた場合には、かえってこの環境負荷の低減の取組がマイナスになり得る部分が出てくるんじゃないかということを私は懸念をしているわけです。
このみどり戦略の中で、化学農薬について具体的に触れていきたいと思いますけれども、リスク換算で化学農薬の使用量を五〇%低減するというふうになっています。
既に登録されている農薬の中で、リスクの高い農薬からリスクのより低い農薬への転換を進めるということなんですが、そのリスクを、では、どのように評価するかというのは、ADIという指標、つまり、一日当たりの摂取許容量、生涯にわたってこれは毎日摂取し続けても安全な量なんですよというこの指標で測ろうというものです。
つまり、ADIが小さいほど、摂取許容量が小さいほど、少量で何らかの影響を起こすというリスクが大きいという指標になります。
このADIが小さい成分を含むもので、例えば除草剤などは、これはやはりADIが小さいですから、これから大きく減らす方向に除草剤はなっていくというふうに思います。
ただ、この除草剤の場合は、そもそも散布の対象でない農作物に残留することはないといったこれまでの国の様々な試験データ、あるいは、こうした科学的な知見を基にして、食品の安全上問題はないとこれまで内閣府の食品安全委員会が言ってきたもの、あるいは、環境に問題ありませんと環境省が判断したものを、ADIを指標にして一律に減らすというのは、これまでの政府の立場として理屈が立たないと思うんですけれども、いかがでしょうか。
今後、農薬の成分ごとの指数というものが、これは国からこれから発表されるということになりますけれども、いずれにしても、このリスク評価の在り方というものをやはり現場にしっかりと、分かりやすく、透明性も確保しながら、生産者、そして事業者、また消費者、誰もが納得できるものでなければならないというふうに思っています。
単位面積当たりで考えますと、日本の農薬の使用量というものは世界でもトップクラスです。
農薬を使わないといけないという理由は、先ほど申し上げた気候条件、病害虫等々だけではなくて、農家の高齢化という問題もあります。
今、基幹的農業従事者の平均年齢は六十七・八歳です、農業センサスによれば。
七十代、八十代の方々が手で草を取るというのはもちろん、重さが数キロもある草刈り機を背負って長時間作業する場合の体の負担、あるいは、夏場の作業、熱中症など、人の健康被害もこれは出てきます。
中山間地域であればなおさらです。
作業は更に過酷なものになりますし、やはり除草剤がなければ営農が成り立たないという地域がたくさん出てくると思います。
中山間地域の農地でいいますと、急斜面の畦畔も多くある中で、今日、御審議で御答弁をるるいただいておりますけれども、除草ロボット、ラジコン草刈り機などが斜面に入って除草するという自動化も、これは計画はされているんですけれども、この自動機であっても、傾斜角が大きいと作業効率が上がりませんので、急斜面を緩やかにしながら、急斜面を緩やかにするような基盤整備をしなければなりません。
しかし、除草を自動化できるような基盤整備が実用化されるというのは、この政府のみどり戦略を見ると、二〇三〇年以降になります。
革新的な技術が現場で実装されるまでの間に、化学農薬の低減に伴って、現場の過重な負担、そして、平場、中山間を問わず、高齢農家が営農を続けていけるようにするための特段の配慮、対応というものが求められるというふうに思いますけれども、どのように取り組んでいくお考えでしょうか。
高齢化が進んでいる農村の実情に、果たして既存の機械導入というところが実用可能かどうかということも含めて、やはりコストをかけられる見込みがないような中小の家族経営の農家さん、様々な零細農家に対応したその技術導入というものを、今、実装できるものをしっかりと手配をしていく、それを支援をしていくということが何より求められているというふうに思っております。
化学農薬の半減とか化学肥料三〇%、数字ばかりを気にして、徐々にとはいっても減らされていけば、農村の現場には確実な影響が出てくるわけであります。
先ほど申し上げたADIだけで判断されては困るというような実情はあると思います。
そして、この農林漁業の持続的な発展の手段として、やはり技術革新というものが不可欠なものとして、先ほど御答弁にありましたように、位置づけられていますけれども、八十五ページあるみどり戦略の、これは中身を見ても、イノベーションという言葉が実に三十三回、そして、スマートという言葉が五十一回も使われています。
ただ、いつ頃から本当に活用できるようになるのかというのは分かりません。
実現可能性についても疑わざるを得ないものもたくさんあります。
環境保全をうたいながらも、これまでのような工業的な農業という側面がやはり色濃くなっていると思いますし、ロボット技術やAI、ICT、ゲノム編集技術などを用いて、その路線が更に強まるような流れになっているのが今だと思います。
生産現場でも取り組めることはもちろんありますけれども、こうした技術開発の主導権を握るというのはやはり企業です。
生産者だけでは解決できない新たな技術、その提供を行う企業というものを国直轄で認定をして、手厚く支援して、その技術開発あるいは市場の拡大の取組に農業の大事な未来をかけている部分が大きいというふうに思っています。
みどり法案を見る限りは、アグリテックやフードテック、こうした企業が、今後、農業、この生産現場の在り方を主導することになるのではないかというところがありますけれども、お考えはいかがでしょうか。
これは、やはり全ての農家に向けた戦略であるわけですから、革新的な技術というものを誰もが安く導入できるという保証はありませんし、有機農業による生産コストを例えば抑えるには、とにかく大規模で効率的な生産をしなければならないという必要性が出てきます。
環境負荷の低減に取り組む生産者というのも対象がありますけれども、資金繰りや農地転用の許可手続、また、補助金の目的外使用が可能になるといった支援を受けられるわけですが、工場のような大規模園芸施設が農地を覆う、農地転用で建てられて、自動化されたような食品工場で工業製品のようにパック詰めされて、スーパーの棚に並んでいく、こういうオーガニック宣言をする自治体で、こうした事業が展開されていくところも出てくると思います。
確かに、効率が上がりますし、便利かもしれません。
しかし、そればかりが求められるようになって、農家だけではなくて、消費者も農業の現場からますます離れていくことになってしまうんじゃないか。
農家や消費者、事業者など、有機的につながるという連携を目指すどころか、農村の持続可能性というものがやはり問われてくることになると思います。
イノベーション一辺倒でない、それだけではない、生産現場での実情を踏まえた取組というものを強く求めたいというふうに思います。
食料自給率と有機農業の関係でお尋ねをしたいと思います。
世界的な気候変動により食料生産が不安定になる中で、食料自給率を上げていくということ、つまり、そのための生産性の向上と収量増大というものが喫緊の課題ですけれども、有機農業が従来の農法並みにその生産性や収量が高まるまでには、有機農業の取組面積が増えれば増えるほど、当面は、食料自給率を高めるということは難しくなっていくんじゃないかというふうに思います。
どのように両立を図るお考えなのか、大臣、お伺いいたします。
この有機農業は、やはり四分の一まで目指すわけであります、農地の。
今後の国内の食料を安定的に確保していくということを念頭に置きながら、では、もう少し聞きたいですけれども、どの作物をどの程度有機農業で行えばいいかということも、併せてこれは考えなければならないというふうに思います。
お配りしている資料は、みどりの食料システム戦略の抜粋ですけれども、資料1ですね。
目的である有機農業の取組面積の拡大については、ここに掲げている技術革新がそれぞれどれくらいの面積拡大の効果をもたらすのかということは示されておりません。
有機農業を行う、その作付する作物や、また作付の時期、地域が異なれば、採用する栽培方法や技術革新も違ってきます。
例えば、二〇二〇年からの取組、技術のところに書いてある水田の水管理による雑草抑制というのは、水田で使用できても、畑地では当然使用できません。
逆に言えば、国内の水田作を有機農業化することを目指しているのであれば、同じ二〇二〇年のところにある地力維持作物を組み入れた輪作体系の構築と併せて、この有機農業の目標に向けては水田作が取り組みやすいというのもあるかもしれません。
水田作から有機農業は取り組みやすいというお考えなのか、あるいは、どの作物をどれくらいの面積で有機農業を行っていくのか、そこでの生産量も考えて具体的な目標を設定するべきであるというふうに思いますし、他方で、従来の農法であっても、環境への影響を最小限にした栽培体系というものも多数あります。
従来型の農業の利点も踏まえて、トータルで環境負荷の低減と農業生産の両立を図るということが重要であるというふうに考えていますけれども、お考えはいかがでしょうか。
有機農業かあるいは慣行的な農業との作物との相性、やはり時期的な、今のこの年代でできるものというのはあると思いますし、新たな技術や取組というものが実現可能となる具体的な時期というものも、やはり近くなれば見えてくるところもあると思います。
現実的で実効性ある選択をしていかなければならないというふうに思いますけれども、今御答弁にありました、水田作というところを進めやすいという御答弁の中で、これは、米を有機農業に移行すると、やはり減収になる可能性がございます。
ただ、くしくも、これは需要減少というところ、やはりコロナ禍で特にこの需要減少というものが、非常に落ち込んでいるという中では、皮肉にも、これが整合的であるところがあります。
その辺りで進めていくというところでのお考え、いかがでしょうか。
同じ水田の、やはりメタン排出という部分での、もちろん、アジアの農業の一つの課題というものもございます。
同じ重量で比較しますと、二酸化炭素よりもはるかに強い温室効果を持つメタン、この削減というものは、やはり即効性のある温暖化対策としてはこれは期待をされているところなんですが、国内のメタン排出量の四割は確かに水田からで、水を張った水田では、酸素が不足する環境で微生物が有機物を分解するときにメタンをこれは作り出すということが原因なんですが、夏に水田の水を抜いて土壌に酸素を供給する、政府が勧める、推奨する中干しの期間、これを一週間延長することで水田からのメタン排出量を平均三〇%削減できるというふうに資料で示しています。
私がお配りしている資料2の農研機構農業環境研究センターの資料ですけれども、これによりますと、水田の中干し期間を一週間延長すると、米の収量が一方で平均で三%減るというデータがあります。
地域や土壌、品種ごとにもこれは確かに異なりますが、三%以上の減収になるような地域もこれは確かに出てくるんだろうと思います。
いずれにしましても、このメタン削減の取組で、減収やコスト増のこうした経営負担の増加というものが、やはりこの中干し期間の延長によってあり得るというふうに思います。
昨今、コロナによる米の更なる需要減で、本当に減収で頭を抱えていらっしゃる生産現場の米農家さんが多い中で、この取組、どのように理解を得ていかれるでしょうか。
やはり中干し期間をこれ以上延長することができないような地域、カドミウムの濃度の高いという地域があります。
土壌の酸性状態を強めるような中干しができないところについての、やはり現場への丁寧な情報の提供というものをお願いしたいというふうに思います。
最後に、環境負荷の低減を図る生産者、事業者の地道な努力が実を結ぶかどうかというのは、消費者の有機農業への理解、そして支持に懸かっていると思います。
学校給食の有機化というのは少しずつ広がっていますけれども、加えて、病院食あるいは介護施設の食事などを含めた公共調達の一定割合をオーガニック食材とすること、あるいはまた、割高なオーガニックというのは、国内の平均賃金、また可処分所得が伸び悩んでいる状況では、オーガニックを買いたくても買えないという層が多いという問題もございます。
低所得の方も購入できるように、アメリカ農務省のSNAP、栄養補充支援制度のような、政府が食料用のクーポンを配付してオーガニックの購入を後押しするような制度の導入について、お考えを併せて伺いたいと思います。
やはり変革を迫られる生産と消費の現場、特段のこの配慮、そして力強い後押しをお願いを強く申し上げて、質問を終わります。
第208回[衆] 地方創生特別委員会 2022/03/16 4号
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皆様、お疲れさまでございます。
立憲民主党の緑川貴士です。
まず、技術者を養成する職能短大から大学への編入を認める制度についてお尋ねをいたします。
これまでも、短大や高等専門学校などからは大学への編入ができました。
そして、職能短大は省庁大学校の一つです。
職業能力開発促進法に基づいて厚労省が所管する職業訓練施設という位置づけでありますので、従来、職能短大からの編入はできないことになっていました。
ただ、二〇〇三年から、今日審議がありますように、熊本県そして長野県からいろいろな類似の提案が何度もなされてまいりました。
政府は二十年近くもこれを認めてこなかったわけであります。
長年かたくななこれまでの姿勢を変えてこなかったのが、今回、大学への編入を認める方針に変わったという理由を伺えればと思います。
職能短大というのは公立でありますし、実学的であるということから、家計が厳しくても、早く社会に出て仕事がしたい、でも勉強もしたいという人たち、あるいは、社会人でコロナ禍で離職をされて訓練を始められた方、また、新たなスキルを学ぼうと意欲的に取り組んでいる在職者のニーズにも応えていける機関であるというふうに思います。
これまでの法令上、おっしゃったような、大学と同等となかなか判断することができない単位認定の問題であるとか、今までの学校制度の根幹に関わる部分についての課題があったということは承知をいたします。
他方で、学校教育法に定めがなく、職業訓練施設という位置づけであった大学校から、学校教育法に基づく高等教育機関である短大や高等専門学校、あるいは専修学校の専門課程と同じように、今回、職能短大も大学への編入が特区といえど可能になりました。
二十年近くも認めてこなかったことが認められるようになるというのは、やはり従来の学校教育制度の大きな転換であるというふうに思います。
構造改革特区というのは、将来の可能性として全国展開も視野に入れている規制改革制度であります。
手を挙げた自治体が特区制度を使える、それを使えるかどうか、使うかどうかは自治体の判断に委ねますよということで終わりにするのではなくて、国の責任として、今回特区を定める以上は、正面から、高等教育機関の範囲というもの、職能短大の位置づけ、この見直しの議論をしっかりしていくべきではないでしょうか。
いかがでしょうか。
やはり、法令上、高等教育機関という範囲がどうなのかということは、実は明確な定義が法律にはないんですね。
省庁大学校にも高等教育機関はあるわけでありまして、省庁の縦割り意識の中でそうした整理がやはり曖昧になってきたという部分があると思います。
一方で、職能大学校が大学と同等であると扱われる場面は多いんです。
公務員の採用試験では、職能短大で二年間の専門課程を修了すれば短大卒の扱いになります。
更に二年間、職業能力開発大学校、いわゆる能開大の応用課程まで修了しますと大卒と同じ扱いになっていますし、民間の給与水準もこのようにそろえているところが多いわけです。
ただ、学校教育制度上の学位については、やはり、四年制大学にあるような学士、また高等専門学校なら準学士、短大でいう短期大学士、専門学校なら専門士、高度専門士という学位を受けられるんですが、省庁大学校の一つである職能短大を修了しても、例えば短期大学士のようなものはないんですね。
更に二年間の応用課程を修了しても、教育制度上の学位、称号というものは授与できないということになっているわけです。
能開大か四年制大学か、どちらか進学しようか迷った場合に、こうした学位や称号のあるかないか、大卒かどうか、大卒というイメージにも引っ張られて、学費が高くても私立大学の方を選ぶという学生も多いというふうに聞きます。
お配りした資料一を御覧いただきたいんですけれども、これは新潟職能短大のホームページから抜粋させていただきました。
高校からの進路についてなんですが、職能短大では、二年間の専門課程の修了後は能開大の応用課程にステップアップする生徒、さらに、応用課程の修了後、試験を通れば国公立の大学院に進学するという生徒もいます。
つまり、能開大から大学院に進んだ場合には修士の学位を取ることができるんです。
大卒よりも給与がその場合には上がっていきます。
一方で、総合課程のある職業大学というところもあるんですが、それ以外の能開大は、大学へ編入するという今回のようなことがなければ学位は何も取れないといういびつな制度になっているなというふうに感じています。
まさに縦割り行政の弊害というものも感じてしまうんですけれども、省庁横断的に教育制度を見直していくという対応、検討というふうにおっしゃいましたけれども、改めてこれは求められているのではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
もちろん、現行制度上でしっかり見出せる部分はしていただくことが大事だと思いますし、そこで収まらない部分もやはりこの時代になって出てきているというふうに思うんですね。
職業大学以外の能開大でも物づくりには当然力を入れています。
生産現場のリーダーを担えるような訓練施設の役割だけではなくて、社会の変化に対応できる、そんな教育を展開しているというのも大きな特徴であると思います。
日本が強みとしてきた半導体の製造装置あるいは素材の分野を更に磨いていく、こうした物づくりの国際競争力を高めていくことが重要になっている、そんな世界の潮流の中で、変革に対する対応力とか経営力、こうしたものも養成していこうという点で、能開大というものは高等教育機関としての側面も持ち合わせているんだろうというふうに思っています。
ですので、野田大臣に是非とも一言いただければと思いますけれども、特区制度だけではなくて、地方を含めて全国に二十五ある職能短大そして能開大の教育制度上の位置づけというものを、やはり横断的なこの委員会ですから、その中でしっかりと教育制度の見直しに向けて改めて議論していくことが地方の活性化にも資することであるというふうに考えておりますけれども、どのようにお考えでしょうか。
ありがとうございます。
新たな時代に向けた柔軟な制度改革の議論というものを強く求めてまいりたいというふうに思っております。
職能短大から大学への編入を認める際の単位認定、今日も御議論がありますけれども、この編入を認めるには、やはり職能短大の一、二年次の学修内容が大学の一、二年次と同等であると判断されるということ、高等教育相当のレベルのものとして単位認定されなければなりませんけれども、それをどのように担保されていくのか、お伺いしたいと思います。
やはり大学によって本当に様々だと思うんですね。
職能短大というのはこれまでなかったんですが、例えば高等専門学校から四年制大学に編入する場合の課題というのを伺っております。
三年次に編入できないという大学があるんですね。
一、二年次はちゃんと別のところで在籍したんだけれども、三年次から編入できるかと思ったら実は二年次からの編入で、つまり、大学二年生というものをまた始めなければならないというようなところが、高等専門学校から大学、その大学によっても大分この扱いが違うというのがございます。
そして、大学によって職能短大で認定できる単位の数が、これまでもそうですけれども、今回も少ない可能性が出てまいりますけれども、そうなった場合には、たとえ編入できたとしても、不足する単位というものを取るために、三年、四年でカリキュラムというものが相当窮屈になってしまいます、せっかく編入できたのに。
そうなると就職活動に差し支えてしまう。
こうした同じようなことが職能短大からの編入でもあり得るのではないか。
せっかくの前向きなキャリア形成というものがマイナスになってしまっては、せっかくの特区ですから、もったいないことになりはしないかというふうに懸念をしておるんですけれども、この辺りのお考えはいかがでしょうか。
やはり、特区を国として認める以上は、大学の自治というものは尊重しながらも、編入が学生にとって不本意なものにならないように、大学側のニーズというものもしっかり把握をしながら、政府として最大限の対応を取っていただきたいというふうに思っています。
時間が来ておりますので、ここで、またちょっと積み残しになってしまっているものがありますけれども、またの議論にさせていただきたいというふうに思っています。
今日はありがとうございます。
第208回[衆] 農林水産委員会 2022/03/02 2号
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皆様お疲れさまでございます。
立憲民主党・無所属の緑川貴士です。
今日の御審議、ウクライナ情勢について御答弁、議論いただいております。
ウクライナの情勢不安による国内農業関連の影響について、私からもお尋ねをいたします。
事態の一刻も早い収束に向けて国際社会は一致結束していかなければならないという中で、やはり輸入関連の影響が深刻になる懸念がございます。
日本の十二倍の農地がある、ヨーロッパの穀倉と言われるウクライナ、そこに武力侵攻している産油国そして資源国のロシア、こうした情勢不安の中で、今、燃料、資材、穀物、飼料、各種の国際相場が更に上昇している状況です。
今日御答弁でいただきました水産物そして肥料原料、こうしたものについても影響があるということで、直接日本は、穀物についての輸入はほとんどないというところなんですけれども、私からは、家畜の飼料用のトウモロコシについてお伺いをしたいと思います。
二〇一四年のクリミア半島の併合時と同じように、ウクライナからの穀物輸出が大きく制限されれば、例えば、トウモロコシをウクライナから輸入していた他の国々、その需要がほかの輸出国、アメリカなどに集中していくおそれがあります。
アメリカ産に需要が集中すれば、主な輸入国である日本として、更なる値上がりという形でトウモロコシの飼料価格に跳ね返ってくる、飼料の十分な確保ということも難しくなってくるという懸念もございますけれども、現状でどのように御覧になっているでしょうか。
そもそも、元々の、ウクライナ情勢以前の問題であると思います。
トウモロコシを始め飼料用穀物の国際価格、中国国内の旺盛な需要というものがこの数年続いております。
そして、南米での不作が続いています。
天候不順の影響で、非常に穀物の生産というもの自体が厳しくなっている。
おととしから高止まりが続いているという状況。
そこに、今また乱高下をしているというところでも高い状況での乱高下ですから、直ちに影響がないというふうに楽観視することは到底できないというふうに思っています。
国内の飼料メーカーは、当然、トウモロコシの調達先、アメリカだけでは不安になっていきます。
様々多角化しようとしても、やはりどこも需要が厳しい、需要が本当に高くなっている中で、調達が厳しくなっている。
一方で、トウモロコシの代わりに小麦の利用を増やそうというふうになっても、これも、日本としてほとんどがやはり輸入です。
八五%が輸入であって、ロシアとウクライナだけで世界全体の輸出の三割を占めるという穀物でありますから、その国際相場の上昇に伴う輸入価格の値上がり分というものをいよいよメーカーが吸収できない、それが生産現場を直撃していくことにもなっていく、そうなりかねないというふうに思います。
燃料の高騰の影響も受けてきた畜産、酪農の生産者にとっては、これはやはり追い打ちを受けているような状況になっています。
酪農に至っては、コロナの影響で生乳の需要が落ち込んで、生乳の六割を占める北海道では、来年度から十六年ぶりの生産抑制が始まります。
他県でも需給調整が求められているという中で、売上げを伸ばすということができない状況です。
余り搾らないでくださいね、値段も安くします、でも材料費は高いですよ、燃料費もかかりますよというのでは、これではやっていけないというふうに思います。
経済的に、本当に精神的にも負担が増している畜産そして酪農家への、この生産現場への配慮、そして更なる支援の在り方はどのように考えていらっしゃいますか。
この配合飼料価格安定制度、先ほどの御審議の中でも、四期連続で支出、拠出が続いているということであります。
しかしながら、この影響が長期化しているという中で、調達してきたものが、いよいよ、価格のこの高さにもかかわらず、やはり物理的に調達できなくなる、そういう厳しさが出てくるという懸念も考えなければならないというふうに思います。
この不足する飼料を代替で補うような場合に、この成分割合も、配合飼料の中での割合も、これは多少の変動を覚悟していかなければならない。
そうなれば、家畜の健康への影響、そしてまた、さらには、それを日々、都度管理しなければならない生産者への影響も出てきます。
どのように対応されていきますか。
今やはり世界的に確保が厳しくなっている、調達競争にも発展しかねない状況であるということを楽観視できませんから、非常に注視をして対応していただきたいというふうに思っています。
そして、販売についても、酪農家では生乳が余っている。
国内のものは厳しい需給調整が行われている一方で、これまでのグローバル化の中で、輸入というものは、この間、制限されずに継続してきています。
牛乳の需要を喚起する取組も、「NEW(乳)プラスワンプロジェクト」というお話も、先ほどの御答弁もいただきましたけれども、やはり需要喚起策だけでは十分ではないです。
TPPなどに対する国内対策として、そもそも、畜産クラスターなどの大型の設備投資、多額の借金を抱えながら大規模化を進めてきた畜産家というものがいらっしゃる中で、収入が伸びないという、赤字を重ねるような状況になってきているわけです。
国策を信じてこれまで取り組んできた、そのグローバル化による帰結として今この大きな影響にさらされている生産現場に対して、融資返済も本格化してくる畜産家も多くなりますから、その不安を抱えている農家への猶予、あるいは柔軟な借換えの支援なども含めて、現場に寄り添って、声を聞いて、是非率先して国として対応していただきたいというふうに思います。
漁業の影響についてもお尋ねしていかなければなりません。
オミクロン株の感染拡大を受けて、今、三十一の都道府県、蔓延防止等重点措置が適用されています。
飲食店にも営業時間の短縮などを要請しているところと、蔓延防止等重点措置内で要請されていないところもありますが、客足が落ち込んでいることから、要請されていないところでも自主休業している飲食店がかなり多いですね。
そうした中で、魚の需要というものが落ち込んでいます。
地元のおすし屋さん、そこの魚を大きなお得意先としてそこに卸していた漁師の方が、御高齢ということもありますが、そのおすし屋さんは客足の厳しさから年明けから休業を決めて、そのために、その漁師さんの需要先がなくなったことをきっかけに、その漁師が廃業されています。
需要が戻るまで今を持ちこたえている漁師、漁業者でも、従来はその地域で捕れていた魚が、しかも捕れなくなっているという状況が今、各地域で起きています。
私の地元秋田県の県魚であるハタハタ、これも不漁だった、昨シーズンも大変な不漁だったんですけれども、そこに輪をかけて、昨シーズンの半減です。
九五年、禁漁期間が明けたところ、その直後の数字以来の、この三十年では過去二番目に厳しい数字になっています。
記録的な不漁になりました。
海洋環境が変化していることへの対策も併せてですけれども、この不漁続きのところに、漁船の燃料の軽油、こうした高騰の影響を受けている。
漁に出ても赤字になって、需要先もしぼんでいる。
この二重苦、三重苦、コロナの影響を受ける中でなりわいを維持していくことの難しさ、政府としてどのように認識して、どのように支援をされていくんでしょうか。
減収補填等々の様々なメニューの組合せというお話をいただいておりますが、例えば、漁業者、養殖業者に対しては水産庁の燃料代の補助制度というものがありますけれども、これらの制度も、事業者が次の原油の高騰に備えて積み立てた基金から補助を受けるという仕組みですから、今の時点で救われない。
この異例の燃料高騰の状況が続いている状況の中で、やはり、加入していない、そうした経営体は非常に大変な状況に陥っています。
そうした制度の網に漏れている漁業者に対してはどんな支援をされていきますか。
水産庁の御答弁のところで、事業者を募集して、加入をしたとして、その補助の対象にはいつからなるんでしょうか。
その加入したところでなるんですか。
四月一日以前の部分でのこの影響の重大さというところもしっかりと御認識をいただきたいというふうに思います。
リスクに備えていなかったからだといってやはり切り捨てるのではなくて、通常ならば何とか操業できている、このコロナがなければ、そうした状況の経営体が非常に多く聞かれます。
二年以上、本当に長引くコロナ禍でじわじわと打撃を受けてきた漁家、漁業者、こうした影響の中で救済に頼らざるを得ない、本来健全な経営体が苦境に立たされているというところの認識にも立ちながら、特段の配慮と後押しを求めてまいりたいというふうに思います。
エネルギー、資材、また穀物、こうした海外に大きく依存しているもの、そして、その依存のリスクが顕在化している中で、国際相場、また海上運賃の値上がり、物流の遅れという状況を踏まえて、政府は、緊急事態食料安全保障指針をこのほど改定して、昨年の七月、新設した早期注意段階というものをその月から適用されてきました。
食料の安定供給の懸念が生じる前に、平時から必要な情報の収集、分析、発信を強化してきたということですけれども、この事態の改善に向けて、具体的にどのような取組につなげてきたのか、この八か月余り、どういう効果があったのか伺いたいと思います。
情報をやはり早くキャッチする、そして分析をしていく、それに越したことはないですが、情報提供されて、その先だと思うんですね。
そうした知見、得られた知見とかデータというものをどういうふうに官民が連携して活用していくのか。
今の現状の海外依存のリスクをどのように、長期にわたる取組が必要ですけれども、どのように改善を図っていくのかという道筋の一つの材料として活用していかなければ、やはり意味がないと思うんですね。
昨日の大臣の所信にはスマートやデジタルという言葉が多用されました。
安全保障という視点からもこうした技術が十分に活用されるべきものだと思いますけれども、残念ながら、昨日の所信には食料の安全保障という言葉は一つも出てこなかったんですね。
省内の検討チームは立ち上げたというふうに言いますけれども、この所信に書いてなかったことは、非常に、本気度というものも含めて、残念な思いがあります。
革新的な技術というものは進めていく、そして早期の社会実装には期待をしたいと思います。
しかしながら、その不確実性の中で、農地、また水で育まれている農村、その生産基盤を食の安全保障を通じてどうやって守っていくのか、国内農業の発展にどうつなげていくのかという視点が、まずはこのデジタル、スマート以上に先に立たなければならないというふうに思います。
現状を客観的に判断する上で、食料安全保障に係る指針においても触れていきたいと思います。
お配りしている資料を御覧いただきたいと思いますけれども、食料・農業・農村基本計画で示している食料自給力指標というものです。
一方の食料自給率というのは、ふだん国内の食料消費が国内生産でどれくらい賄われているかというのを示すのに対して、食料自給力というのは、不測の事態が起きたときにどれだけの潜在能力があるのか。
書いてあるように、花を栽培している農地、また荒廃農地をカロリーが高い作物の栽培に変えて、二毛作も可能な限り行った場合の指標がこの食料自給力。
これは、農地、また農業労働力、省力化の技術というものは考慮している。
それに加えて、右の下線にも引いてあるように、原料をほぼ全量輸入しているような肥料、そして農薬、化石燃料、こうしたものも生産に十分な量が確保されているという、それを前提とした自給力指標の試算になっています。
平時の今でさえ、今の議論にあったように死活問題になっている、肥料や燃料の高騰、供給制限などが考慮されていない仮定の数字が不測の事態に当てはめられている、現実味を帯びない指標になっているんじゃないかと思いますが、いかがですか。
最大限活用した場合の指標であることは分かりました。
では、食料輸入が制限がかかっている、途絶するような、仮にそうした状況を想定するような不測の事態、そのときにおける、国内のその状況における食料自給力指標というものは考えられていますか。
やはり、条件が整った状況での生産力は当然ですけれども、食料安全保障というのは、条件が整っていない状況下を想定する、最悪の事態を想定しておくということが危機管理の要諦ではないでしょうか。
不測の事態のときに発揮できる生産能力でなければ意味がないというふうに思います。
有機農業も進んでいない日本の現状においては、やはり肥料に代わる養分の不足を補わなければ作物が十分に育ちません。
すなわち、単収が下がります。
そして、燃料費、種子代の高騰などでも、生産コストが上がることによる営農の意欲の低下、農地の保全、労働力の確保にも影響していく。
こういう生産資材というものは、やはり農地、労働力とは切り離せない重要な生産要素であるというふうに思います。
これらが不測の事態でもどれだけ確保されるかを考えなければ、潜在能力とは言えない。
つまり、農地や労働力、農業技術という指標だけではなくて、生産資材も指標に加えて、その調達が困難な状況でどれだけ現状で対応できるのか、それを反映した自給力を考えるというのが食の安全保障であるというふうに思いますけれども、御見解を伺います。
生産資材の安定供給ということと、現状のこの数値を客観的に認識をするということは全く、御答弁がちょっとすれ違ってしまっていて残念ですけれども、時間がないので、最後に問わせていただきます。
これは、食料自給力指標にはない、そしてその根本である法律、今のこの食料・農業・農村基本計画には、国内の農業生産の増大に不可欠なはずの生産資材というものが法律に明記がありません。
農業生産、食料自給の基礎として、この生産資材の確保を明確に位置づけるべきではないでしょうか。
いかがですか。
質問はいたしませんけれども、やはりこの法律以下の具体的な自給力の指標に表れていないことは大きな問題であるというふうに思います。
国民が国産を買い支える意識、この現状をしっかりと示すことによって、国産を守らなければならないという国民の意識を高めることにつなげていく重要な議論だというふうに思いますので、水活のお話も今日は予定していたんですが、また議論させていただきたいと思います。
ありがとうございました。
第208回[衆] 予算委員会第七分科会 2022/02/16 1号
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皆様、夕方に差しかかる中で、朝から御審議、大変お疲れさまでございます。
立憲民主党・無所属の緑川貴士と申します。
今日はよろしくお願いいたします。
国内のコロナの感染拡大が始まって、同じタイミングで、おととしの三月にコロナに関連した融資制度が始まって二年になります。
利子を負担する実質無利子無担保融資については、民間金融機関の受付というものはもう昨年の三月には終了しております。
そして、政府系の金融機関の申込みも来月には締め切られるというようなスケジュールになっています。
おととしあるいは昨年にこうした融資制度を利用して借りていた事業者の返済というものが本格化してくるのが、まさにこれからになります。
まずお尋ねいたしますけれども、この政府系の金融機関が行うコロナ特別貸付けで、実質無利子無担保融資などの資金繰り支援策で融資してきた件数、そして、これまでに条件変更、リスケ、つまり、経営状況に応じて月々の返済額また返済期限を見直して条件変更が行われた件数というものをお伺いしたいと思います。
御答弁ありがとうございます。
条件変更が行われてきた件数、やはり、始めがおととしの三月から実行されたという件数ですから、当然、この二十万四千百二十二件の中にはコロナ前の既往債務というものが含まれての数ですので、コロナ特別貸付けの百一万件の内数ということは言えないんですけれども、実際には、コロナ特別貸付けを受けた事業者の大半がこれから一年間の返済猶予というものを最初に選んでいますから、コロナ禍二年目に入った昨年だけの条件変更の数を見ても、毎月一万件前後のペースで企業が条件変更、リスケを申し出ている状況です。
それが実行されているわけですから、つまり、特別貸付けで融資を受けてきた事業者のリスケというものが、コロナ禍で貸し付けたものがリスケされる、相当なペースで今これは増えているという状況です。
コロナ禍で、緊急事態宣言期間中に、例えば足下の数か月間だけちょっと様子を見て、短めの期間ちょっと借りてみようかという事業者がいたりとか、あるいは、借りられる分だけ、やはりリスクに備えて多めに借りておきたいという事業者、様々な資金需要がありますけれども、それでもやはり足りなくなってきて、コロナの影響が思いのほか長引いて、需要が蒸発したりとか、あとは事業が延期になったりとか、資金がショートしかけている、だから元金の返済をちょっと待ってほしいんだ、当初の契約からの変更をせざるを得ない、そういう状況を、条件変更のこの二十万四千件余りの数字というものが、私は物語っているというふうに思います。
その上で、事業環境が厳しい中で、リスケだけというわけにもいかない方、条件変更して、元金返済を先送りにはできても、これは元金返済の分ですから、例えば実質無利子融資でないメニューを選んでいた事業者の場合は利子がかかるわけですね。
これは先送りにできないわけで、こういう、資金繰りが厳しく、これ以上の借入れというものは本望ではなくてもやはりそうせざるを得ないという方からのお問合せというものを、私、このコロナ禍、もう三年目になりますけれども、そうした中でも、本当に切実なお声をいただいている状況です。
その中で、日本政策金融公庫では、ホームページにも、既存の融資を借り換えるだけの利用も可能というふうに書いてあるんですけれども、前回公庫から借入れができていた事業者で、今回借り入れようとしたら、何と、理由も示されずに借換えを断られてしまったという方が出てきました。
政府はこれまでも、政府系の金融機関に対しては、資金繰りの支援に丁寧にそして迅速に対応するようにと、経産大臣の名前で累次要請を出されてきたというところを承知しております。
金融庁からも、政府系だけではなくて民間に対しても、事業者を訪問しての丁寧な経営相談とか、また、積極的な、必要な資金の供給については支援せよということを、通知を累次出しているんですけれども、それでも、私の方にお問合せが来た方には、理由なく断られてしまったと。
これは、審査の結果だけが通知されて、連絡されて、断られてしまっている現状があるわけです。
これは、政府として想定されていることなんでしょうか。
これは大臣です。
事業者は、個別の実情が当然あるというふうに思うんです。
お金を借りるからには、事業計画とか、また資金繰り表などを基に審査を、大きな材料として返済能力、これは大分厳密に見なければならない側面が当然あります。
借換えできない理由というのが、ただ、その上で、やはり大臣がさっき、理由を丁寧に説明していただくように促していくということをこれまでも行ってきている上での、こうした現場の対応が続けられている状況もあると思います。
リスケを申し込んだ方なんですね。
御本人が直接やはり担当者から言われず、自分の中で自問自答しているわけですね。
リスケをやはりしない方がよかったんじゃないかとか、あるいは、返済というものを、やはり始まるときにしっかりと行っていた方がよかったんじゃないか、そっちの方が有利に融資を受けられるように働いたんじゃないかというふうに、やはり疑心暗鬼になっている状況であります。
そうした状況の中で、ほかにも、これは業種は違うんですけれども、実質無利子無担保融資での借換えを申し込んだという方がいまして、この方が言うには、コロナが落ち着けば客足が戻るから、その戻ったときには収益がまた回復をしていくから返済をすることができるというふうに、やはり自信を持って担当者にはお話をしたんですね。
そうしたら、返ってきた答えが、コロナが落ち着くのはいつか分からないではないかと。
あくまで融資ではありますけれども、サービスをお届けする現場として、担当者から一蹴されてしまうような、そうした話しぶり、答え方をされてしまうと、やはり事業者も更に絶望してしまうんじゃないかというふうに思います。
先行きが不透明だからこそ、融資を申込みに来ているわけですよね。
ほかの融資枠では審査がやはり厳しくなっている、信用保証ではなかなかちょっと自分の方では審査が通りにくいというふうに判断をして、この無利子無担保融資というもの、特別枠ですよね、これに望みをつないできたわけですよね。
売上げが同じように減少二〇%以上、中小企業ですから、この二〇%以上の中小企業で比較したときに、すぐに必要ではないけれども一応借りておこうという、先を見越して、比較的余裕のある、まだ体力があると見込まれている方々、その事業者には比較的審査が通りやすいのに対して、今お話ししたような、運転資金が、やはり目の前の資金がいよいよ厳しくなってきている、本当に困ってきたというところには、実際には審査が通りにくい。
一般枠なら分かりますけれども、特別枠でこういう状況なんですね。
これに望みをつないできた事業者が、やはりこれにかけているわけですから、身も蓋もない返答をされて、これは何のための特別枠なんだというような、やはり悔しさをにじませているわけです。
大臣にちょっとお伺いしたいんですけれども、これまで累次の御要請というところ、本当に政府としての、各省庁の横断的な取組もあって、非常に要請には力を入れてきたというのはうかがえますけれども、リスケの希望には、やはり金融機関としてまた御対応いただいていることも併せて評価もできるんですが、もう一歩、事業環境が厳しい今のこの切迫した状況の中で、追加の融資を含めて、資金需要により丁寧にお応えをいただくということ、配慮せよという要請を、もう少し工夫をして取り組んでいただきたいというふうに思うんですけれども、御答弁を求めます。
雇用調整助成金など他の施策の効果も当然、複合的な効果がやはり相まっての、今の数字的には倒産件数が抑えられている。
融資による支えというものは、一方で非常に大きかったわけです。
これまでの累次の要請にもかかわらず、やはり現場での心ない対応がまさに今行われている状況ですから、より、苦境に立つ方への寄り添った支援というものを、様々なまた工夫を凝らしていただいて、御対応を求めていきたいというふうに思っています。
最初にそもそも借入れをした事業者が、この時期なら返せるようになるんだというふうに、コロナで特別貸付けを受けた最初のときとは、私はやはり状況が変わってきていると思うんですね。
当初想定をした状況と、今、コロナ禍三年目を迎えている今の状況は、異なっていると思うんですね。
二年間の間、やはり影響の特に大きかった飲食、そして観光、また運輸、こういう産業を始めとして、市場自体がやはりこの二年間で急速に縮小していった。
そして、需要が併せて大きくしぼんでいったというところで、その中で、国内の他社、また海外の参入してくる企業とも、限られたパイをめぐって激しい競争をしていかなければならない、この市場の中で。
その中でシェアを維持していくことの難しさ、厳しさ、そして、需要が回復していくかというふうに期待をした矢先に、今、オミクロン株が国内でまた急速に感染拡大が生じている、経済が正常化から遠のいてしまっている、こういう状況の中です。
燃料費そして原材料費、また高騰を続けている中で、それが収益の確保を厳しくしている。
帝国データバンクの試算では、昨年十一月の時点では、およそ三十万社の企業がやはり慢性的な経営不振に陥っているというふうに推定しています。
これまでの倒産件数が抑えられてきたというものが、今度は雪崩を打つかのような状況になり得ることを大変懸念をしています。
将来の見通しが立てられずに、このまま事業を畳んでしまおうというふうに考える事業者が更に増えていく、そういう御懸念について、大臣はどのように捉えていらっしゃいますか。
廃業は、やはり納得をした上で、気持ちの踏ん切りをつけた上でステップを踏む、前に進むことができるというふうに思います。
ですが、そうじゃない、諦め切れないという事業者のお声がやはり私は根強い、倒産につなげたくないという事業者の信念を感じるところですし、そういう中で、やはり各種の融資に関わらない給付金というところ、大臣からも御答弁をいただいたところなんですけれども、これまで、借入れを重ねることでの過剰債務の状況というところはあるんですが、一方で、じゃ、給付を受けられるかというと実はそうでもないという状況を抱えていらっしゃる事業者が、私のところにもやはり連絡が来るわけです。
例えば、今お話しした方でいえば、この無利子無担保融資、二〇%減というのは、これは適用されるんだけれども、三〇%までの減少ではないんだと。
事業復活支援金の減収要件、三〇%以上の売上減少であればこれは該当になるんですが、残念ながら、どのようにしてもそこまではいかない、この給付を受けられない。
しかしながら、でも、コンスタントに減収はずっと二年間続いてしまっているという事業者、ボディーブローのようにダメージを受けているわけですね。
極端に減収していないけれども非常に水面下で苦しい思いをして、地味に減収が続いている事業者に対して、そうしたところにフィットした支援というものをやはり求めていきたいというふうに思っておりますけれども、大臣、そんなところ、是非期待をしたいと思いますが、いかがですか。
大臣から、様々施策メニューを御答弁いただきました。
今私がお話ししたような切実な事業者は、やはり、興味を持って様々なホームページにもちろんアクセスをして、省庁のこの給付金は使えるだろうか、あるいは融資を、これは自分の今の状況には何とかクリアできるんじゃないかと、いろいろ思案をしながら、非常にアンテナを張って、本当に今の工面をしようというふうに考えていらっしゃる方なんですが、やはり今言ったような給付金は難しいと。
そして、一方で、業態転換を見据えた事業再生に道筋をつけるような計画というよりは、やはりあくまで今の業務、これをもう少し広げていきたい、あくまで今の状況の中でこの事業を守っていきたい、何か新しいものに取り組むというよりは、やはり今のこの足場を守っていきたいという、今、思いでありますので、そうしたところに対する、やはり制度のはざまに私は落ちてしまっている方の支援が、特に事業者、切実な声を抱えていらっしゃる方にはなかなか届きにくい今の支援の状況になっているというふうに思っております。
ちょっと時間がないので進めていかなければなりませんけれども、やはり今の原材料価格、また、資材費も高騰しています。
建設業の方も大変です。
重機の燃料費が値上がりしています。
手元のキャッシュもやはり、いよいよ手元の運転資金も厳しくなってきている。
こういう目減りをしているような、やはり仕入価格も上昇していますから、ランニングコスト自体が非常にかかってきてしまっている今の状況になっています。
こういう経営体力が損なわれてきている状況の中で、たとえ、これからどのぐらいのスパンになるか分かりませんけれども、コロナ禍が収束をして、需要が回復をする過程で売上げが、やはり需要が回復すれば伸びてきますから、伸びてきたからといって、直ちにそこで追加の融資を受けられるわけでは、残念ながらないと思います。
事業を展開していけるチャンスが、景気が上向いてきて、目の前にそのチャンスが広がってきているのに、その資金需要に運転資金が追いつかない、場合によっては、黒字が出てきたのに融資を受けられないまま倒産をしてしまう、そんなケースも私は出てきてしまうんじゃないかというふうに懸念をしています。
それに対処をしていくためには、銀行からの融資の残高がたとえ積み上がっていた場合でも、例えば、売掛金があればその債権を業者に買い取ってもらう、そこでそれを現金化して資金調達ができるオンラインのファクタリングというものも、今これは活発になっています。
人工知能を使うことで審査の手続がまた迅速になっている。
資金需要に素早く対応できるというのが魅力になっているんですが、一方で、市場規模が広がるにつれて、人気が高まっている一方で、高額な手数料であったり、また違法な取立てをするような悪質な業者というのも増えていくことが懸念されています。
そこでお伺いしたいんですが、事業者がこうした売り掛け債権を安心して資金調達に活用できるように、国がこれを担保に取って、金利も優遇しながら融資をしていく、そんな選択肢もあるというふうに思うんですけれども、追加の融資を求める声に、どのように大臣、お応えされていくでしょうか。
大臣にこれは通告しております。
やはり、何度も申し上げるんですけれども、信用保証ですから、今の審査を前提として、厳しい状況に置かれている事業者はやはりそこではねられてしまう、そういうところの中で、その上でいわゆる売り掛け債権の更なる活用ということを御提案させていただいておりますので、この中で、国として、やはり今の最大限に取り得る施策、柔軟な金融支援というものをしっかりと求めてまいりたいというふうに思っております。
ちょっと時間がないんですけれども、これからの成長の芽になり得る事業者がまさに苦境に立たされている中で、柔軟な金融支援ということは、今、現場の、中小企業の再生支援協議会による支援ということが非常に重要性を増しているというふうに思っています。
この協議会は、特例リスケ支援、つまり、資金繰りに困っている事業者に対して、窓口相談、あるいは新たな融資などを含めて積極的な対応を、事業者と金融機関の間に入って調整を図っていく、今まさに私が申し上げた事業者のケース、本当に、この求められる役割、その重要性が高まっているというふうに思います。
ただ、四十七都道府県、それぞれの窓口はあるんですけれども、事業者からお問合せをまたいただきまして、最寄りの協議会に相談したら、具体的な計画が出るまで最短で六月と言われたそうです。
窓口で申込みをしてから四か月も待たなければならない。
正直、これは時間がかかり過ぎてしまっているというふうに思いますけれども、この現状について伺いたいと思います。
予算づけもして、今二百八十人と聞いていますけれども、それが徐々に、補正予算も組んで三百人台まで来ているというんですが、四十七の都道府県で三百人台の数字です。
申込件数が今五千件以上、二〇一九年、コロナ前の二・五倍以上に膨れ上がっていますから、しかも、一つ一つの事例が簡単な案件ではないと思います。
非常に手間がかかるというのはお察しをするんですけれども、より予算づけ、やはり強化をしてもらって、しっかりと現場に人を充てて、迅速に対応していただきたいというふうに思います。
ちょっと話題を変えます。
最後に、時間がないんですけれども、地域のサービスステーション、ガソリンスタンド経営の今後の在り方についてお伺いをしたいと思います。
地方において車は必需品でありますけれども、農業機械への給油、また、移動手段を持たない御高齢の方への灯油の冬場の配送など、様々なケースを考えれば、地方においては、スタンドが減少しているという影響が非常に大きいです。
給油所過疎地と定義しているガソリンスタンドが、今の二〇二〇年度末時点では三百四十三の市町村で、二〇一二年に比べて九十以上の市町村が増えているわけです。
この給油所過疎地、経営を多角化して何とか収益確保につなげていく取組が大切であるというふうに思っておりますけれども、御答弁を求めます。
もう質問はいたしませんけれども、スタンドの数以上に減少率が高まっているのが人、やはり担い手なんですね。
スタンドの担い手が、やはり人がいなくなってきている。
それが、給油所だけではない、給油所過疎地の問題であるというふうに思います。
ですから、従業員の確保、また後継者の確保が難しくなっている中で、やはり、新しいサービスステーションとしての役割というものをしっかりと形に示していくことで、産業を担う魅力につなげていただきたいというふうに思います。
引き続き議論させていただきます。
ありがとうございました。
第204回[衆] 科学技術特別委員会 2021/05/27 3号
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皆様、お疲れさまでございます。
立憲民主党・無所属の緑川貴士です。
科学技術・イノベーションの領域というところで、米中対立の先鋭化に見られるような国家間の覇権争いの主戦場になってきている。
そして、大きな自然災害を引き起こす気候変動、また、人の往来が活発化してパンデミックのリスクが顕在化する、こうした世界が抱えてきた様々な課題が今、現実の脅威になってきています。
そこに社会経済のデジタル化の急激な波が押し寄せてきて、情報の格差が富の格差を広げている状況、一人一人の幸福を脅かす状況が生まれている中で、それを打開していくというのが、第六期の科学技術・イノベーション基本計画で、ソサエティー五・〇を実現する上での大きな柱の一つになっているということです。
それを打開していくために、誰もが能力を伸ばせる教育、それを生かした多様な働き方ができるような環境をつくっていく。
その一つの方策として、その人が希望すれば適切なリカレント教育を受けられるように、仕事につなげていく、それを仕事につなげていくという考え方ですけれども、基本計画の進捗を図る指標というものの一つに、大学、専門学校などにおける社会人受講者の数を来年度までに百万人にするという目標がございます。
現在では、二〇一七年度までの数字しか出ていないんですが、五十一万人ということで、足踏みが続いてきているという印象です。
これを来年度には倍にしていくという意欲的な目標ではあるんですけれども、政府としてどのように取り組んでいくお考えでしょうか。
一七年度ということで、ちょっと前なんですね、やはり。
一八年度の数字が出てくるのがこの夏というふうに聞いていますので、また、この状況、数字を見て改めて議論していければというふうに思っております。
学び直しのための給付金、先ほど大臣もおっしゃるような講座の開講、こうした文科省所管の様々な施策を組み合わせて活用してもらう、金銭の負担を抑えながら学び直しを後押ししていくということがやはり重要になっています。
文科省所管のこういうプログラムとか講座、これは、専門的、実践的な講座として文部科学大臣が認定している講座であれば、厚労省が所管する教育訓練給付制度のうちの専門実践教育訓練給付の対象になっている場合が多いです。
この専門実践教育訓練給付というのは、受講者のキャリア形成を更に後押ししていくために費用の給付率の引上げなどもこのほど行われています。
ニーズのあるプログラムが不足しているというこれまでの声を受けて、来年度中には、ITの分野を含め、講座の数も五千に増やしていくということで、拡充が行われるということ自体は、その受講者に適した講座をしっかり選べるように、これをサポートしていく仕組みがあること、そして生産性を高める講座をしっかり国が後で検証して見直しを図るということが前提であるならば、選択の幅を広げていくということは私は歓迎をしたいというふうに思います。
その上で伺いたいのが、専門実践教育訓練のうち通信制、夜間制でない講座を初めて受講するケースで、その人が離職しているという場合には、失業手当の日額八割ほどを訓練の修了まで受け取ることができるという制度が、教育訓練支援給付金という制度があるんですが、これがちょっと制限がありまして、受講を始めた年齢が四十五歳未満でなければ受給することができません。
お配りしている資料の1を御覧いただきたいんですが、今、失業者の現状です。
先月に発表された今年三月の労働力調査。
完全失業者の数は百八十八万人です。
前の年の同じ月よりも十二万人増えて、コロナの影響がありました、十四か月連続で増えています。
資料の下の年齢階級別完全失業者の数は、特に昨年に比べて失業者が増えているというのは赤枠で囲っているところです。
男女共に四十五歳以上の年齢層です。
こうした年齢層の方も急速に変わっていく雇用ニーズにしっかり対応できるように、訓練の修了まで長い期間が必要な専門実践教育訓練に収入の不安なく、腰を据えて励めるように、この支援給付金の対象年齢を四十五歳以上に引き上げていく必要が私は出てきているんじゃないかというふうに考えるんですけれども、いかがでしょうか。
社会人の受講者数を増やすというのは、これは若年層だけじゃないわけですよね。
百万人、まず目標の中で倍ほどの人数にしなければならないわけです。
それを若い人たちだけで、給付金が足りないからといって、その数を倍に増やしていくことがそれでできるんでしょうか。
リカレント教育の中でも、特にこの教育訓練です。
自己啓発型というのは、これは政府も認めているんですが、新たな職に就いた場合に収入を増やすことができる、そういう効果があるということを内閣府も認めているわけですよね。
成長分野への円滑な労働移動を促せるというのが教育訓練なわけです。
ですから、この教育訓練支援給付金というのは非常に、私は今の状況で大事になってきているというふうに思っております。
非正規で雇用保険に加入している中高年の離職がコロナで増えているわけですから。
そしてまた、健康寿命が今まさに伸びている中で、これからまだまだ働き盛りで新たな学びを重ねてより長く働いていこうという方が増えているわけですよね。
そういう声に応えていただけませんか。
自分のための学びということを、今、それで大丈夫なのかという不安が、老後二千万円の問題もありました。
やはり、貯蓄ということも含めて、これからもっともっと働いていきたいという意欲もある方が多いと思います。
人生の後半戦をしっかりお支えをいただいて、雇用形態を問わず望むところへスムーズな転職ができる、そういうようにこの給付制度を産業構造の変化に合わせて、若年層に対して講座を増やしていくというだけじゃなくて、労働市場の構造の変化にも是非柔軟に御対応いただきたいということを強く求めていきたいと思います。
残りの時間は、ちょっと、初夏を迎えていますので、涼しい話題に移りたいというふうに思っておりまして、南極観測についてお伺いをします。
来月で発効から六十年を迎えるというのが南極条約であります。
日本は一九五〇年代から一貫して南極観測を続けてきたんですが、戦後の、当時、主権を回復して間もない日本が純学術的な国際協力プロジェクトの国際地球観測年、IGYで南極観測に参加をできた、南極条約の策定にもその当時に関わって、十二の原署名国のうちの一つとして関わることができたのは、戦前に、明治の末に南極点の到達を目指した、私、地元は秋田なんですけれども、秋田県出身の白瀬矗中尉の功績が大きいというふうに思います。
日本初の南極探検家として一九一〇年に白瀬中尉は南極観測のルーツである学術探検を行い、長い航路の末に南極の地に足を踏み入れて、大和雪原と命名した地があるんですけれども、その地点に日章旗を掲げました。
現代の南極観測で科学的な成果を上げる大きなきっかけをつくった白瀬中尉の取組に対する大臣の御認識、そして宇宙研究から気象、生物、氷床など様々な研究を進められてきた南極観測の重要性についてもお考えを伺いたいと思います。
御答弁ありがとうございます。
白瀬という名前で、今、昭和基地に近い、南極で最大級の流速のある白瀬氷河、そして、一九八〇年代の南極観測船が初代「しらせ」なんですが、これで四代目に今なっています、二〇〇九年から就航しているんですが。
この船名の由来になっている。
南極については、やはり、人間が住まない、南極というのは手つかずの自然が残っている、大気や氷、海など地球環境を正確に捉えられる貴重な大陸でありまして、国家間で協力をしながら各国の観測隊が様々な研究や観測をそこで行っているんですが、大臣おっしゃるような貴重な研究材料であるオーロラや隕石を始め、地球の周りの現象を捉えやすいということで、南極は宇宙の窓とも呼ばれています。
日本は、御紹介いただいたようなアイスコア、氷床深層コアの掘削の成功、そして、六十年以上の南極観測の歴史の中では、先ほど紹介したオーロラの立体観測、オゾンホールの発見、隕石の採集、本当に様々、世界に誇る成果を上げてきているというのが日本の南極観測の事業であります。
特に、やはり南極観測というのは科学の最前線だと思います。
宇宙から見た、観測できる、私たちが受け取ることができるメッセージというのは光だけではないということが、最近、この十年でも分かってきていて、時空のゆがみの変動を伝える重力波、そしてあらゆる物質をすり抜ける素粒子のニュートリノ、こうしたものが宇宙から届いている。
つまり、異なる種類の情報で多面的に宇宙を理解することができるようになっている。
これは大きな転換だ。
基礎科学において新たな軸が加わるというのは、まさにイノベーションであるというふうに思います。
更なる進歩を続けるために、若手の研究者の育成に向けて、今、大学院生、学生の参加も積極的に受け入れているというのが南極観測隊でありますが、今年の二月、帰ってきました。
昭和基地での任務を終えて南極観測隊が帰国したんですが、南極に向かうのは、例年であれば、オーストラリアを経由して、そこで一年分の食料や燃料、観測に必要な機械を積み込んでから「しらせ」に乗って南極に向かうという日程なんですが、今回は、コロナの影響で往復路共にオーストラリアには寄らず、南極観測で初めての無寄港での航海となりました。
現地でも、活動の期間、内容をやはり縮小することになりましたけれども、今回どのような取組の成果があったのか、政府として、今回の南極観測の取組の受け止めを伺いたいと思います。
おっしゃるような、非常に厳しい条件の中で、最大効率で取り組まれてきたというのをお伺いしました。
業務の合理化、見直しというのは、ある意味、次にいい形で、時間を大切に使うんだという意識がより高まったというふうに思うわけなんですが、他方で、重要な観測業務もやはりあったと思います。
ヘリを使った氷床の観測、そして東京海洋大の観測船の海鷹丸との共同観測、これも来期以降に持ち越しになったということを聞いております。
そして、温暖化で融解が懸念されているのがトッテン氷河、東南極にあるこの氷河に設置をしている観測機器も回収ができなかったということですので、これがやはり、主要命題、非常に重要な温暖化の仕組みを解明するというこの計画に是非遅れが出ないように求めていきたいというふうに思っております。
来期について、大臣、またお伺いしたいんですけれども、この南極観測隊の活動で積み残しになっているこうした業務がございました。
この活動の負担が、どんなに効率的に運営をしても、観測事業を行っても、制約が出てくるところは現実としてあるわけです。
この観測体制をどのように充実させて活動を支援していくお考えでしょうか。
コロナは、十一月の派遣が決まるときでも当然やはり続くわけですので、こうした中で、今後、観測隊の活動は非常に難しいものがやはりあると思います。
感染が続く国から改めて出ていくわけですから、前回とまた違うわけですよね。
是非安全に、効率を上げるんですけれども、慎重な業務もあると思いますし、安全に観測事業を続けていただきたいというふうに思います。
最後に、北極についてお尋ねをしたいと思うんですが、資料をお配りしています。
裏の方ですね。
国立極地研究所の資料を載せているんですが、最近になって分かってきたことがまたございます。
二〇一八年について専門家の解析が進められているということで、新潟、福井、富山などで記録的な豪雪がありました。
これは、北極での海氷の減少とそれに伴う温度の大幅な上昇というものが北半球の偏西風の流れを変えて、寒気の吹き出しが強まって、それがはるか遠くの日本列島にまでその影響がやってきているということが最近分かったということでございます。
南極には南極条約のようなものが、北極における北極条約というのはなくて、北極評議会、ACというものがあるんですが、日本は八年前にオブザーバー国としてACに参加しています。
日は浅いんですけれども、観測技術の高い日本が、トップの閣僚会合に対して提示できるような基礎情報とかエビデンスを持っている重要な国に位置づけられております。
他方で、今、北極海では、観測データが不足しているという空白区が多い中で、北極海航路においても持続可能な形で航路を実現することができるのか、航路を阻む海氷がどのぐらいの厚さなのか、そういう予測が、これは研究を更に深めていく必要があるというふうに思いますし、日本の観測技術をAC参加国に提供しながら、この観測のネットワークの連携を主導していける、日本はそういう立場であるというふうに思っています。
この観測のネットワーク、体制を一層強化していくことが、大臣、必要ではないでしょうか。
北極政策ということも、政府は最近になって打ち出していますけれども、この研究、観測に係る予算の拡充を含め、政策を進める上では、やはり最後は、国民の理解の上で政策が進むものになります。
南極では、例えば、これまで事業が続けてこられた、これは白瀬中尉の功績。
昭和期の観測では、犬ぞりの先導犬として活躍したタロとジロの実話。
日本人にはこれは非常に親しみがあります。
その観測隊の苦難を描いた映画とかテレビドラマも日本で放送されましたけれども、国民が南極に親しみを持つことができているのは、国策として観測事業を続けてきたことにあるというふうに思います。
最後にお伺いしたいんですが、北極観測隊というものはないんですけれども、南極での取組を考えれば、継続的に教員を派遣するということがやはり重要で、その経験を基に教員が授業をして、それを聞いた国内の子供たちが興味を持って、将来、研究者の担い手になる、そんなきっかけを北極でもしっかりつくっていく必要が出てきているんじゃないか。
将来を見据えた研究人材の育成、北極政策への国内の関心を高めていくことを国としてどのように進めていくのか、最後にお伺いしたいと思います。
今ある研究成果を土台に、次の世代にしっかり引き継いでいただきたいというふうに思います。
極地研究を入口にして、宇宙とか、さらには基礎科学の分野でも研究人材が活躍をしていく、そんな将来を期待していくことを強く求めて、質問を終わります。
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