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山口那津男
参議院 東京
公明党
昭和27年7月12日茨城県ひたちなか市に生まれる。茨城県立水戸第一高等学校を経て同53年東京大学法学部卒業○昭和57年4月弁護士登録(東京弁護士会)。同63年日弁連調査室嘱託。平成2年2月から同8年10月まで衆議院議員を2期6年半務める。同5年8月より同6年5月まで防衛政務次官。平成13年より参議院議員、行政監視委員長、党国対委員長及び政調会長等を歴任○現在外交防衛委員会、国家基本政策委員会各委員、公明党代表
山口那津男
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我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会
外交防衛委員会
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国家基本政策委員会
国家基本政策委員会合同審査会
国家基本政策委員会合同審査会(党首討論)
国土交通委員会
財政金融委員会
懲罰委員会
内閣委員会、農林水産委員会連合審査会
農林水産委員会
本会議
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第208回[参] 本会議 2022/01/21 3号
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公明党の山口那津男です。
私は、公明党を代表して、施政方針演説等政府四演説に対し、総理並びに関係大臣に質問いたします。
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大から三年目を迎える本年、足下では、新たなオミクロン株が猛威を振るい、感染は急拡大しています。
まずは、新たな脅威から国民生活を守るため、昨年の教訓を踏まえた実効性ある医療提供体制の確保やワクチン追加接種の前倒しなど、政府を挙げた迅速な対応が必要です。
また、本年は、回復が遅れている日本経済の立て直しも大きな課題です。
総理が言及された成長と分配の好循環を実現するためには、コロナ禍で拡大した格差の是正や深刻化する気候変動問題の解決など、資本主義の弊害に対応する新たな取組も重要です。
ポストコロナの新しい日本の構築に向け、子育て・教育支援を始めとする全世代型社会保障の強化や、潜在成長率の底上げを図るデジタル・グリーン投資、命を守る防災・減災対策など、将来不安を払拭し、成長期待と持続可能性を高める改革を強力に進めなければなりません。
コロナ禍で停滞する外交面においては、大国間の対立が懸念される中、我が国が対話による国際協調をリードし、核軍縮など地球規模課題の解決に積極的な貢献を果たしていくべきです。
公明党は、コロナ禍で浮き彫りとなった諸課題を克服し、安心と希望あふれる日本の未来を開くため、一人一人の力を引き出す人への投資を強化し、新たな活力と発展につなげていくべきだと考えます。
女性や高齢者、非正規雇用労働者など全ての方々が活躍できる多様性と包容力のある社会の構築を目指して、本年も全力で働いてまいります。
以下、当面する重要課題について質問いたします。
総理が施政方針演説で言及されたとおり、本年も国民の命と健康を守る新型コロナ対策は最優先課題です。
感染力の強いオミクロン株への対応では、予防、検査、早期治療のための体制強化を急がなければなりません。
まずは、ワクチン三回目接種の前倒しが喫緊の課題です。
自衛隊による大規模接種センターの早期再開とともに、都道府県などによる大規模接種会場の確保を強力に促すなど、ワクチン接種のスピードを高めるとともに、自治体の希望する供給量を確実に確保し、前倒しによる混乱などが生じないよう総力を挙げていただきたい。
また、早期発見、早期治療には更なる検査体制の強化が不可欠です。
発熱等の症状のある人が速やかに検査を受けられるよう、診療・検査医療機関の拡大や診療時間の延長などを促進するとともに、感染が拡大傾向にある地域では、都道府県知事の判断で無料検査ができるようになったことを踏まえ、積極的な検査の活用と陽性者には医療機関への速やかな受診を周知徹底することが重要です。
一方で、感染拡大を想定すると、宿泊・自宅療養者の増加も懸念されます。
政府は、昨年夏の教訓を踏まえ、全ての宿泊・自宅療養者について、陽性判明当日ないし翌日に連絡を取り、健康観察や診療を実施できる体制を都道府県に要請していますが、それぞれの地域で確実に整備できているか、確認が必要です。
あわせて、承認された飲み薬を迅速に届けられる体制を急ぐとともに、パルスオキシメーターの配備や地域医療機関と連携した取組など病状急変の対応にも万全を期すべきです。
予防、検査、早期治療の体制強化について、総理に伺います。
こうした取組と並行して、中長期的には感染症に強い国づくりを進めることがより重要です。
これまで国内で接種された三種類のワクチンや昨年末に承認された飲み薬がいずれも海外製であることを踏まえると、我が国のコロナ対策は海外に依存せざるを得ない状況にあることを厳しく直視すべきです。
その上で、今後、オミクロン株に替わる新たな変異株や未知の感染症が発生した場合の備えとして、ワクチン、治療薬を国内で開発、生産できる体制を整えていくことが大切です。
あわせて、国産ワクチンの実用化や普及に向けては、これまでの経験を踏まえ、緊急時における薬事承認制度の議論も急ぐ必要があります。
ワクチン、治療薬の実用化にスピード感を持って取り組む一方、緊急時においても安全性の確保や有効性を適切に評価できる薬事承認制度の創設が求められます。
国産ワクチン、治療薬の早期実用化に向けて、どのような財政支援を行い、必要な法整備を進めるのか、総理の答弁を求めます。
総理は、経済再生の要として新しい資本主義を掲げ、その実現によって気候変動問題を克服し、脱炭素の実現と新たな成長を生み出すエンジンとする考えを述べられました。
昨年のCOP26で合意された一・五度目標、摂氏一・五度目標の達成に向けた取組が世界で加速する中、我が国もグリーン化など成長分野への大胆な投資を通じて、低迷する潜在成長率や国際競争力の底上げを図り、持続可能な社会経済構造への転換と本格的な経済再生を目指すべきです。
具体的には、二酸化炭素の排出量が大きい発電部門の技術革新に加え、国民生活と経済活動を支えるインフラの省エネ化やグリーン化を促す取組を加速すべきです。
官民が連携して、次世代の蓄電池や太陽光パネル、水電解装置や貯蔵設備など水素を活用した発電技術の開発に取り組むとともに、環境性能に優れた住宅、自動車の普及や充電設備の整備などを急ぐ必要があります。
また、地域における脱炭素化の促進に向け、地方自治体の再エネ設備の導入支援や、地域資源を活用した分散型エネルギーシステムの構築、地域間の送電網整備等を強力に進めるべきです。
あわせて、国民一人一人の意識改革と行動変容を促すためには、公明党の強い主張で令和三年度補正予算に盛り込まれたグリーンライフポイントの発行と普及拡大が有効と考えます。
既に静岡県では、アプリを使って環境配慮行動をポイント化し、たまったポイントを地域の商品券などに交換できる取組を行っており、好評を得ています。
こうした好事例を参考に、他の自治体や事業者へ展開し、脱炭素化につながるグリーン消費の大きな流れを生み出すことが重要です。
グリーン化を通じた社会経済構造の転換について、総理の答弁を求めます。
デジタル社会の構築に向けた基盤整備も急がなければなりません。
総理は、成長戦略の第一にデジタルを活用した地方の活性化を挙げられましたが、都市と地方の格差を是正する上でも、地方のデジタル化は極めて重要です。
特に、今後のデジタル社会を支える5Gは、自動走行や遠隔医療などの実現を可能にするとともに、高齢化や人口減少が進む地方の生活機能を維持し、地域経済を活性化させる重要なインフラとなります。
どの地域においても5Gの恩恵を実感できるよう、環境整備を急ぐとともに、地域課題の解決のために、効果的にデジタルを活用できる人材を地方でも育成しなければなりません。
マイナンバーカードの普及拡大もデジタル社会の構築に向けた大きな課題です。
その中で、今月から開始したマイナポイント第二弾は、カードの更なる普及拡大を始めポイントによる消費喚起、デジタル化で増した家計負担の軽減などに資する重要な取組です。
まずは、高齢者等が円滑にカードを取得できるよう、申請手続の支援や交付体制の強化が必要です。
次に、カード取得者が漏れなくポイントを利用できるよう、マイナポイント手続スポットの周知徹底や、デジタル活用支援員の増員など、各地域できめ細やかなサポート体制を強化すべきです。
誰もがデジタル化のメリットを享受できるよう、地方の5G整備や、マイナポイント事業のサポート強化について、総理の答弁を求めます。
総理は、分配戦略の第一に賃上げを掲げていますが、この三十年間、日本の実質賃金は伸び悩んでおり、政府として、その要因をいま一重、分析すべきです。
その上で、先進国と比較して人的投資が進んでいないことが生産性向上に影響しているとの指摘もあることから、公明党が強く主張し、従業員の教育訓練費を増やした場合に法人税の控除率を更に引き上げる仕組みが令和四年度税制改正に盛り込まれました。
企業が賃上げの原資を生み出せるよう、グリーンやデジタルなど成長分野を担う人材の育成につなげていくべきです。
あわせて、企業間の構造的な取引慣行にメスを入れることも必要です。
下請企業からは、材料価格や労務費の上昇分が取引価格に転嫁されないなどの切実な声が寄せられています。
また、デジタル化の進展に伴い、取引条件の不透明化や取引構造の複雑化も進んでいます。
こうした問題に対処するため、下請Gメンによる実態調査など既存の対策強化とともに、独禁法等の在り方についても抜本的な検討を行うべきです。
賃上げの課題解決に向けた取組について、総理に伺います。
新しい資本主義を支える基盤となる女性の活躍について伺います。
内閣府によると、役員に女性がいる企業のパフォーマンスは高いとされている一方、いまだに企業の女性役員比率は低く、給与の男女格差も解消されていません。
女性リーダーの方々から話を伺うと、口をそろえて社会における意識改革が必要だと強調されます。
そのために、企業や組織の男性リーダーが率先して意識改革の先頭に立ち、男性も家庭や地域への参画が当たり前の社会へ取り組んでいくべきです。
公明党は、女性の活躍を広げ、多様性が尊重される社会を目指しています。
コロナ禍では、様々な機会に女性の悩みを伺ってきました。
特に女性委員会、我が党の女性委員会は、昨年、一昨年と全国で合計二百五十回を超えるウイメンズトークを開催し、苦闘する女性の声を聞き、生理用品の無償提供などの実現に結び付けてきました。
私も話を伺う中で実感したのは、女性の経済的な自立が何よりも重要であるということです。
公明党は、その解決策の一つとして、不足するデジタル人材の裾野を広げ、働く場を確保し、新しい働き方を実現するために、女性デジタル人材育成十万人プランを提案しています。
女性活躍の推進策について、総理のお考えを伺います。
コロナ禍が長期化する中、我が国の子供たちを力強く支援し、その未来を開く観点から、令和三年度補正予算には子供一人当たり十万円相当の給付が盛り込まれましたが、あくまでこれはコロナ禍での特例的な支援策です。
子育て支援に関する日本の公的支出は、対GDP比でOECD諸国の平均値を下回っており、国際的に見ても十分な水準とは言えません。
子育て、教育を国家戦略に据えて、恒久的な支援策を中長期的に充実していくべきです。
公明党は、今月から全国で子育て・教育支援に関するアンケート調査を実施し、その結果を踏まえながら、子育て支援策の充実に向け、子育て応援トータルプランを策定いたします。
総理は、子供政策を我が国社会のど真ん中に据えていくため、こども家庭庁を創設すると述べられましたが、その観点から、こども家庭庁の役割や課題について国民に分かりやすく説明すべきです。
そのためにも、政府の全世代型社会保障構築会議などにおいて、子育て・教育支援の中長期的な充実を議題とし、検討を開始すべきと考えますが、総理の御決意を伺います。
人への投資で重要となる教育訓練の充実や非正規雇用労働者等のセーフティーネット強化について伺います。
厚生労働省などの調査によれば、日本企業のOJT、いわゆる職場内訓練以外の人材投資はGDP比で諸外国と比べて著しく少なく、社外学習、自己啓発を行っていない方の割合も半数近くに上ります。
学び直しを希望し、興味を示す方は五〇%を占めるものの、仕事が忙しくて余裕がない、費用が掛かり過ぎるなどの課題に加え、社内制度や情報不足も指摘されています。
こうした中、昨年十一月に決定した経済対策では、三年間で四千億円の予算を大胆に投入する施策パッケージを講じるとされています。
労働者や企業など現場のニーズに即した制度設計を行い、オンラインでの受講などデジタル時代にふさわしい内容にすべきです。
また、求職者支援制度など非正規雇用労働者等のセーフティーネット強化も重要です。
政府の取組について、総理の答弁を求めます。
本年から団塊の世代が順次後期高齢者入りし、医療・介護ニーズはますます高まります。
政府は、病気や介護が必要になっても住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、地域医療構想の実現や地域包括ケアシステムの構築に取り組んでいますが、新型コロナにより、その必要性は一層高まりました。
都道府県は再来年度に次期医療計画や介護保険事業計画を策定することになっていますが、国においては、これらの計画策定に当たっての基本理念ともいうべき大きな方向性を示していただきたい。
当面は、感染症対策に配慮しつつ、二〇二五年を目指した地域医療構想などを着実に進め、その先の中長期的な視点に立った医療、介護の提供体制の再構築についても、全世代型社会保障構築会議などで議論を深め、我が国の進むべき明確なビジョンを提示すべきです。
地域医療構想の実現や地域包括ケアシステムの構築、中長期的な医療、介護の提供体制の再構築について、総理の答弁を求めます。
これまで社会に内在していた孤独・孤立の問題が、コロナ禍で顕在化、深刻化しています。
十代、二十代の自殺者数は令和二年度に約二割増加し、児童生徒の自殺者数も過去最多を更新しました。
これまで光の当たらなかったヤングケアラーを始め当事者の立場に立ったきめ細かな支援が不可欠です。
政府が昨年十二月に初めて策定した孤独・孤立対策の重点計画には、公明党の提言を踏まえ、当事者の目線や立場に立って、切れ目がなく息の長い、きめ細かな施策を推進することが明記されています。
今後、この重点計画を着実に実行することが大切です。
その上で、住まいのセーフティーネットの強化や、ワンストップの相談窓口等の一元的な相談支援体制、相談と支援をつなぐ体制の整備、NPO等が利用しやすい支援の在り方など、重点計画に明記された検討課題について早期に検討を開始すべきと考えますが、総理の答弁を求めます。
日本が重視する核兵器不拡散条約、いわゆるNPT運用検討会議がオミクロン株の影響で四度目の延期となりました。
しかし、その機会に核保有国である米中ロ英仏の五か国が核戦争の回避や核不拡散への協力を鮮明にした共同声明を発表したことは、世界の核軍縮を進める上で歓迎すべき出来事でした。
この声明を、今後のNPT運用検討会議の具体的成果や核兵器禁止条約における核保有国の参画につなげていくことが極めて重要です。
唯一の戦争被爆国であり、核保有国と非保有国の橋渡し役を自負する日本がその役割を積極的に果たすべきであり、そのプロセスをしっかり示すことが賛同者を広げることにつながります。
公明党は、その重要なステップとして、核禁条約締約国会合への日本のオブザーバー参加を訴えてきましたが、今回、施政方針演説で総理は、核兵器のない世界に向けた国際賢人会議を立ち上げ、第一回会合を年内に広島で開催すると述べられました。
こうした試みに私たちも賛同いたします。
その上で、この賢人会議は、具体的に何を目標に、いつ、どのような方々の参加を得て開催するおつもりでしょうか。
そのことを含めて、核廃絶に向けた日本の役割と貢献について、総理の答弁を求めます。
先週、ウクライナ情勢の緊張緩和に向けて、米ロや欧州諸国などが加盟する常設の欧州安保協力機構、すなわちOSCEで協議が行われました。
厳しい状況はあるにせよ、事実上対立関係にある国が参加し、対話を重ね、問題解決に努力することは極めて重要ですが、一方で、アジアにはそのような常設の枠組みは存在しません。
今後、アジアにおいて緊張が高まった際に、外交によって平和裏に問題を解決するため、OSCEのような取組が必要と考えます。
日米同盟を基軸にしていくことは論をまちませんが、その上で、米中ロなども参加する形で、アジアにおける多国間の安全保障対話の枠組みづくりを日本が主導して検討してはどうでしょうか。
総理の御見解を伺います。
総理は、昨年十二月、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団のビル・ゲイツ氏と対話協議をされ、オミクロン株への対応も含め、同財団との連携を強化したい考えを示されました。
日本はこれまで、公明党が後押ししてきたCOVAXへの支援を始め国際保健分野で世界をリードする貢献をしてまいりましたが、本年もCEPIやグローバルファンドの増資会合が開催される予定です。
Gavi、ポリオ撲滅なども含め、これまで以上に力強い支援が必要と考えます。
また、施政方針演説で総理は、国際開発協会への拠出やTICAD8にも言及されました。
今や、開発途上国における感染症対策などグローバルヘルスへの取組は、国内、国際社会、ひいては経済や安全保障にも大きな影響を与える重要課題です。
こうした観点から、中長期的な戦略をしっかりと持った支援も必要です。
国際保健分野における日本の更なる取組について、総理に伺います。
昨年の流域治水関連法の完全施行を受け、本格的な取組がスタートする流域治水について伺います。
近年の台風災害では、水害リスクの情報が明らかになっていない中小河川や下水道などがある地域で多くの浸水被害が発生しました。
これを受け、令和四年度予算案では防災・安全交付金による財政支援が強化され、中小河川におけるハザードマップ等の水害リスク情報の充実や整備、市街地の浸水対策の加速が期待されます。
また、水害リスクを踏まえた町づくり、住まいづくりの積極的な推進も盛り込まれています。
まずは次の出水期に向けた対策を加速するとともに、流域治水の新たな対策が効果を発揮できるよう取組をお願いしたい。
国土交通大臣の答弁を求めます。
昨年、熱海で発生した土石流災害を受けて実施した盛土の総点検を踏まえ、令和三年度補正予算や来年度予算案には、災害危険性が高い盛土の撤去等を行う地方自治体への支援策が盛り込まれました。
昨年の臨時国会で私の質問に対し、政府は、対策強化のための新たな法整備を進める考えを示されました。
住民の命と暮らしを守ることを第一に、危険な盛土等の造成に係る規制を抜本的に強化し、再発を確実に防止する仕組みが必要です。
斜面に設置された太陽光パネルなどによる土砂災害も相次いでいます。
再エネの導入拡大に向けては、地域環境への配慮や住民の理解醸成を含めた合意形成が重要ですが、同時に、自然災害での事故を受けて、太陽光施設をめぐる住民トラブルや、災害リスクの高い地域での再エネ導入を条例で制限する自治体も増えています。
国として、安全対策の在り方について更なる検討が必要です。
盛土対策や再エネ施設の安全対策について、総理の答弁を求めます。
私は、気象災害情報の専門人材を生かした地域防災力を強化するため、気象防災アドバイザーの周知と活用を訴えてきました。
先月までに、全国で八十七名の方が気象防災アドバイザーとして委嘱され、今月十七日、気象防災アドバイザー推進ネットワークも設立されました。
群馬県渋川市では、気象防災アドバイザーが、昨年八月の大雨災害で早期の避難情報の発令などを市に助言するとともに、平時においても地域防災計画の見直しや市民向けの防災講座に携わっています。
防災担当職員が不足する中で、災害発生が見通せる人材が必要であり、職員の人材育成や住民の防災意識の向上にもつながると高い評価を得ています。
先日は、南太平洋のトンガ付近で発生した火山噴火に伴い、日本でも津波が観測されましたが、いわゆる空振によるこれまでとは異なる潮位変化に、警報、注意報の発出をめぐり混乱もありました。
この教訓を生かし、今後は、こうした事態の予測や防止、避難などについても気象防災アドバイザーの活用が対策の一助になると考えます。
気象防災アドバイザーの全国市町村への周知や普及、活用しやすい環境づくりについて、総理の答弁を求めます。
これまで公明党は、全国と地方のネットワーク力を生かし、各地の離島で行った現地調査を基に、党として離島振興ビジョンを策定するなど法改正を含めた離島振興に全力で取り組んできました。
しかしながら、人口減少の進展や離島航路の維持など従来からの課題に加え、コロナ禍の影響による打撃も大きく、深刻な状況が続いています。
一方で、近年、魅力的な地域資源を生かした農水産品のブランド化や、交流・関係人口の増加にもつながる離島留学など新たな取組も広がりつつあります。
加えて、遠隔医療の導入やリモートオフィスの整備などデジタル化の推進とともに、離島の持つ豊富な地域資源を活用した再生可能エネルギーなどグリーン産業の展開による雇用創出も期待されています。
離島振興法の期限が令和四年度末に到来することから、延長を含めて新たな視点で対策を盛り込んだ法改正を行うべきと考えます。
今後の離島振興対策について、総理に伺います。
以上申し述べたとおり、本年は、岸田内閣として、これまで取組が遅れていた日本の構造改革を本格的に進める年にしなくてはなりません。
長きにわたりコロナ禍と闘っている国民の皆様の御奮闘に報いるためにも、我々政治家が襟を正し、国民生活を守り豊かにする政治の責任を果たしてまいりたい。
公明党は、大衆とともにという不変の立党精神を胸に、本年も生活者の声を政治に届け、コロナ克服と力強い日本の再生に全力を挙げることをお誓いし、私の質問を終わります。
第207回[参] 本会議 2021/12/10 3号
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公明党の山口那津男です。
私は、公明党を代表して、総理の所信表明演説等に対し、総理並びに関係大臣に質問いたします。
さきの衆院選を受けて、公明党と自民党は政権合意を結び、新たに選挙戦を通じて寄せられた民意を深く胸に刻みとの文言を挿入し、第二次岸田内閣を発足させました。
この政権合意に基づき、政府・与党は財政規模五十五兆七千億円に上るコロナ克服・新時代開拓のための経済対策を決定し、令和三年度補正予算と来年度当初予算を一体とする十六か月予算などを財源に実行していくことになります。
このところ、新たなオミクロン株の感染がにわかに世界各国に広がりを見せ、我が国でも水際対策を迅速に進める中、空港検疫で感染者が数例見付かっています。
政府は、オミクロン株の実態を解明するとともに、感染拡大を防止し、ようやく前向きになりつつある国民の不安をなくしていかなければなりません。
政府が今般閣議決定した今年度補正予算案については、重要な施策として、コロナ禍によって大きな影響を受けている生活への支援や雇用継続支援とともに、中小企業への賃上げなど、経済再生に向けた施策、子育て・教育支援、防災・減災対策などが盛り込まれています。
様々な課題が山積する中、コロナ禍の克服と力強い日本の再生に向けて岸田政権がどのように取り組まれるのか、以下、具体的に質問いたします。
医療提供体制の強化について伺います。
新型コロナウイルスの第六波は何としても阻止しなければなりません。
そのためには、オミクロン株の水際対策を徹底するとともに、ワクチン効果への影響など科学的知見を踏まえた対策が急務です。
その上で大切なことは、感染状況がやや落ち着いている今こそ、オミクロン株を含む第六波に備え、一つ一つの対策を着実に実行することです。
政府は、先月十二日、次の感染拡大に備えた対策の全体像を決定しました。
まずは、病床の確保を確実に進める必要があります。
感染が急拡大した第五波の課題として、受入れ可能と申告しながら、医療人材が足りないため、実際には患者を受け入れることができなかった医療機関もありました。
こうした課題を克服するための取組を進めることが急務です。
また、確保した病床を円滑に稼働させるためには医療人材の確保も欠かせません。
オミクロン株対策とともに、入院を必要とする人が確実に入院できるよう、病床や医療人材の確保をどのように進めるのか、総理の見解を伺います。
医療提供体制の逼迫を回避する上で、病床確保と併せて重要なことは、重症化する人をできるだけ少なくするための対策を強化することです。
今般の補正予算案には、かねてから公明党が求めていたとおり、追加のワクチン接種を無料で実施するための予算が盛り込まれました。
ワクチン接種は、発症予防や重症化予防に大きな役割を果たしており、三回目の追加接種も含めて促進することが求められます。
また、かねてより公明党は、検査体制を強化すべきと訴えてきました。
都道府県の判断でPCR検査などの無料検査を実施するための費用が補正予算案に盛り込まれましたが、感染拡大の傾向が見られる場合とされています。
具体的にどのような状況で無料検査が可能となるのか、迅速な治療につなげるために、国は都道府県や国民に対して分かりやすく説明していただきたい。
一方で、新型コロナの陽性と診断された方が迅速に治療を受ける体制を整える必要があります。
軽症者の重症化を予防する中和抗体薬は、早期に投与することで大きな効果を発揮します。
陽性と診断されたならば速やかに投与できるよう、入院に加えて外来や往診など多様な場面で投与できる体制を、第五波までの教訓を生かして一層強化しなくてはなりません。
さらに、患者が自宅で服用できる飲み薬の開発、普及も極めて重要です。
以上、ワクチン接種の促進や検査体制の強化、治療薬の普及などを進め、重症化を抑制する流れを更に強化することが重要だと考えますが、総理の見解を伺います。
生活や暮らしへの支援について伺います。
公明党は、先月八日に官邸へ申し入れた新たな経済対策の策定に向けた提言において、緊急小口資金等の特例貸付けや住居確保給付金の再支給、生活困窮者自立支援金について、申請期限、支給期間の延長を求めました。
また、雇用調整助成金について、雇用保険財政が枯渇した状況に陥っているため、一般会計から十分な財源を確保し、来年三月まで特例措置を延長することを提言しました。
これを受けて今般の経済対策では、緊急小口資金、総合支援資金、住居確保給付金の特例措置や生活困窮者自立支援金の申請期限を来年三月末まで延長するとともに、生活困窮者自立支援金の再支給を可能としました。
雇用調整助成金についても、雇用保険財政を安定させるために一般会計から繰入れを行い、特に業況が厳しい企業等については、来年三月末まで現行の日額上限、助成率の特例を継続することとなりました。
このうち、生活困窮者自立支援金は、今般、求職活動に関する要件が緩和されたものの、緊急小口資金等の特例貸付けと比べれば対象が限られており、支給を受けられない方もいます。
各地域における生活困窮者自立支援の体制を強化し、求職者支援制度などを活用し、こうした方々をきめ細かく支援することが必要と考えますが、総理の答弁を求めます。
経済再生に向け、中小企業の賃上げ支援などについて伺います。
新型コロナの感染がやや落ち着いている中、低迷していた消費を活性化し、成長と分配の好循環を具体化するためには、日本経済の屋台骨を支える中小企業の賃上げを強力に後押ししていくことが必要です。
他方で、中小企業の労働分配率は大企業と比べて高く、更なる賃上げの実現には、その原資をつくり出すことが重要となります。
来年度税制支援では、控除率を大胆に引き上げるとともに、人材投資や生産性向上を促し、持続的な賃上げに向けた仕組みとすることが重要です。
その上で、実際に中小企業が賃上げを行うためには、適正な対価が支払わなければ到底できません。
今回、一定規模以上の大企業には、中小企業との共存共栄を築いていくマルチステークホルダー経営宣言を実施することとなります。
宣言してもなお下請いじめを行うような企業が出ないよう、引き続き取引の適正化に向けた環境整備に力を入れていただきたい。
今年度補正予算案には、生産性向上を後押しするものづくり補助金や販路開拓などを支援する持続化補助金などが盛り込まれていますが、税制を利用できない赤字の中小企業でも、賃上げに挑戦する企業を重点的に支援する仕組みへと改善すべきです。
あわせて、中小企業で働く人々の賃金格差が広がらないよう、こうした制度の活用によって企業が抱える課題を克服し、自律的な賃上げへと結び付くよう、制度の丁寧な周知と相談体制の強化を行うべきです。
中小企業の賃上げ支援について総理の答弁を求めます。
デジタル社会の構築について伺います。
コロナ禍においてキャッシュレス決済の普及が進みました。
非接触かつ短時間で決済できるなど、消費者の利便性向上だけでなく、店舗の業務効率化やデータのマーケティング活用などのメリットもあります。
また、来年実施されるマイナポイント第二弾を一人でも多くの国民に使っていただくためには、使えるところ、つまり官民のキャッシュレス決済の広がりが鍵になります。
高齢者やデジタルに不慣れな人など、誰一人取り残されないような活用支援とともに、行政窓口や商店街、飲食店などあらゆる場所でキャッシュレス決済を導入するための強力な後押しも必要です。
政府は、手続の自動化やワンストップ化、データ活用で一人一人に合ったサービスの選択などが可能なデジタル社会を目指すとしていますが、全ての国民や事業者が安心してその利便性を享受できる社会にしていただきたい。
総理は、視察先で自らキャッシュレス決済を試みたとの報道もありますが、デジタルの効果を発揮できるようなキャッシュレス基盤の構築を始めデジタル社会の実現にどう取り組むのか、総理の考えを伺います。
新たなGoToトラベルの今後の再開について伺います。
いまだ回復途上にある観光・飲食産業は幅広い業種に影響があり、関連する多くの方々の雇用を守っていかなければなりません。
GoToトラベルは、観光業界だけでなく、交通事業者からも再開を望む声が寄せられています。
今後の観光需要の回復が期待される中、我が国経済のV字回復につなげる効果的な支援策として実施していくことが重要です。
今回の見直しでは、県民割支援の対象拡大とともに、新たなGoToトラベルでは、昨年の教訓や課題を踏まえ、中小企業・小規模事業者や公共交通への配慮、旅行需要の分散化など、我が党が主張してきた内容が盛り込まれたことは高く評価したい。
一方、再開には感染収束が大前提であり、感染防止対策の徹底が不可欠です。
今月二十日から入手できるようになるワクチン接種証明書や検査による陰性証明書の活用と感染防止対策などを適切に運用していくことが求められます。
安全、安心で、経済の底上げを図るGoToトラベルの今後の再開について、総理の答弁を求めます。
子供政策について伺います。
公明党は、子供の幸せを最優先する社会を目指し、教科書の無償配布や児童手当の創設、拡充、幼児教育、保育の無償化など、子育て、教育への支援を一貫して推進してきました。
しかし、コロナ禍で少子化は一層加速しており、子育て、教育を国家戦略に据えて施策を充実していく必要があると考えます。
特に、全ての三歳から五歳児を対象に幼児教育、保育が無償化される中、未就園のゼロ歳から二歳児は相対的に支援が薄くなっており、家事・育児支援などの充実が不可欠です。
今般の補正予算案には訪問による家事・育児支援など、子育て世帯を対象とした新たな支援策が盛り込まれました。
こうした支援を幅広く実施するとともに、臨時的な支援策にとどめず、児童福祉法の改正を含め、恒久化すべきと考えますが、総理の答弁を求めます。
子育て、教育の基盤を支える住宅支援も重要です。
公明党の提言を受け、今回の補正予算案には、子育て世帯や若者夫婦による省エネ住宅の新築やリフォームに対して補助を行うこどもみらい住宅支援事業の創設を始めUR賃貸住宅の近居割の拡充など、様々な住宅支援策が盛り込まれました。
大事なことは、必要とする人に確実に支援が行き届くことです。
これらの支援策の周知徹底とともに、その意義や効果について、国土交通大臣に答弁を求めます。
保育士、幼稚園教諭、介護・障害福祉職員の処遇改善について伺います。
子育て世帯、高齢者などを支える保育士や介護士等の処遇を改善することは、誰もが安心できる全世代型社会保障の基盤確立に向けた未来への投資です。
一方で、それらの職種は人材不足が大きな課題となっており、その一因は低賃金だと指摘されています。
例えば、二〇二〇年の平均月収では、介護職員は二十三万九千八百円、保育士は二十四万五千八百円で、全産業平均である三十万七千七百円を下回っています。
このような状況を打開するため、子育て世帯、高齢者などを支える方々が安心して働ける環境の整備が求められています。
そのために、保育士、幼稚園教諭、介護・障害福祉職員の賃金を来年二月から月額約九千円引き上げるための予算が今年度補正予算案に盛り込まれました。
こうした現場で働く方々の生活を支えるため、パート、アルバイトなども含めた柔軟な運用により、着実な賃上げを実施するとともに、その効果の継続を図ることが不可欠です。
保育士、幼稚園教諭、介護・障害福祉職員の賃上げに向けた取組について、総理の答弁を求めます。
非正規雇用労働者等の教育訓練について伺います。
月十万円の生活費を受給しながら無料で職業訓練を受けられる求職者支援制度は、現在、コロナ禍の特例として、パート、アルバイト等で働きながら利用しやすいように収入要件、出席要件が緩和されています。
公明党は、先月八日に政府に申し入れた経済対策の提言において、同制度がより利用しやすくなるように要件緩和の拡充を求めました。
その結果、今年度補正予算案では、世帯収入の要件が月二十五万円以下から月四十万円以下へと大幅に拡充されました。
また、一日でも欠席、遅刻、早退すると月十万円の給付金を受給できないという厳格な出席要件も緩和され、欠席日の給付金を日割りで減額することで、やむを得ない場合以外の欠席が訓練実施日の二割まで認められることになりました。
こうした特例措置を十分に生かして同制度が存分に活用されるよう、インターネットやSNSなども含めた積極的な周知広報を強化すべきと考えますが、総理の答弁を求めます。
大学ファンド、若手研究者等への支援強化について伺います。
科学技術は未来社会を切り開く成長戦略の柱であり、ポストコロナ社会の成長をリードする重要な分野です。
一方で、その科学技術の発展を支える若手研究者への支援の強化が現場から切実に求められております。
近年、若手研究者の安定的ポストは減少傾向にあるとともに、将来の不安から、大学院の博士課程への進学率についても一〇%を下回るなど、厳しい実態に直面しています。
こうした状況を打開するため、十兆円規模の大学ファンドを設置し、長期的な観点から適切なリスク管理と効果的な運用により、運用開始五年以内の可能な限り早い段階で年三千億円の運用益という目標を達成し、若手研究者支援や研究環境整備などに配分すべきです。
十兆円規模の大学ファンドの設置等による若手研究者等への支援強化について、総理の見解を求めます。
COP26の成果と課題について伺います。
先般のCOP26では、途上国の脱炭素化を促す市場メカニズムのルールが決まりました。
長年膠着していたこの議論を日本が主導し、合意に至ったことを高く評価します。
今後、この仕組みを活用して、更に地球規模の温室効果ガス排出削減へ貢献すべきです。
脱炭素社会実現に向けて、我が国の温暖化対策の加速化も急務です。
鍵となるのは、デジタル技術を活用した地域の脱炭素化とライフスタイルの転換です。
まずは、地方活性化や防災・減災にもつながる地域の特性を生かした再エネ導入を積極的に支援するため、複数年にわたり必要十分な予算の確保が重要と考えます。
また、国民の協力も欠かせません。
そのためには、日常生活の中に温暖化対策を自然な形で取り入れ、無理なく実践できる仕組みが必要です。
公明党がさきの衆院選重点公約にも掲げたグリーンライフポイントの早期導入が極めて重要です。
COP26の成果と脱炭素社会実現への具体的な取組について、総理に伺います。
次に、外交・安全保障政策について、まず核廃絶について伺います。
我が国は、核廃絶に向けて、核保有国と非保有国の橋渡しを主張し、両者の代表や中立的立場の有識者を交えた核軍縮の実質的な進展のための賢人会議を主催してきました。
昨日も賢人会議の議論の成果をフォローアップする会合が開催され、総理も挨拶をしております。
先月、総理は国連の軍縮部門トップの中満泉事務次長と会談され、核兵器のない世界の実現に向けた国際的な取組を牽引していく決意を述べられました。
来月、核兵器不拡散条約、NPT運用検討会議が開催されます。
前回の会議ではできなかった合意文書の採択を目指し、核の透明性の向上や核実験禁止の規範強化など意義ある成果が得られるよう、核保有国を始め関係国と緊密に連携して臨んでいただきたい。
一方で、非保有国側への橋渡しも模索しなければなりません。
来年三月に開催予定の核兵器禁止条約の締約国会合に、NATO加盟国であるノルウェーに続き、ドイツがオブザーバー参加する方針をG7として初めて示しました。
核を含む米国の抑止力に依存する核の傘の下にある国からの参加表明、また日本の世論調査でも国民の大多数が参加を求めていることを重く受け止めていただきたい。
これは、総理が所信表明演説で述べられた国民とともにある外交・安全保障につながるものではないでしょうか。
唯一の戦争被爆国として、日本のオブザーバー参加を強く求めます。
核兵器廃絶に向けた総理の決意を伺います。
国際保健分野での貢献について伺います。
世界では、オミクロン株の発生も含め、依然、新型コロナの感染が拡大しています。
日本は国際社会の責任ある一員として、自国における再感染を防ぐだけでなく、国際保健分野の協力を通じて世界全体でのコロナ克服に貢献していくべきだと考えます。
その意味で、ワクチンや治療薬、検査の国際格差を是正するための国際的な枠組みであるACTアクセラレーターを引き続き支援していくことが重要です。
中でも、ワクチンへの公平なアクセスに関し、公明党はCOVAXファシリティーとの連携を重視しています。
六月に日本が共催したCOVAXワクチンサミットは、世界に対して日本のリーダーシップを示しました。
ここでコミットした追加の財政貢献の早期拠出を通じ、途上国を含めたワクチン接種を加速させるべきです。
また、今週行われた東京栄養サミットでは、各国政府、国際機関などが世界の人々の栄養改善について幅広く熱心に議論をしました。
脱炭素社会、気候変動対策、さきに述べた核軍縮と併せ、SDGsの実現へ日本がリード役を担い、人間の安全保障の理念に立脚し、誰の健康も取り残されないユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成を目指すことが大切ではないでしょうか。
国際保健分野での貢献に向けた総理の答弁を求めます。
危険な盛土の規制について伺います。
不適切な盛土が被害を拡大させたと見られる静岡県熱海市の土石流災害から五か月以上が経過しました。
改めて犠牲となられた方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、被災された全ての方々に心よりお見舞い申し上げます。
引き続き、被災者に寄り添い、早期の復旧復興に全力を挙げていただきたい。
同じような災害を二度と繰り返してはなりません。
盛土の全国総点検を一日も早く完了させ、そこで明らかになった危険な盛土の撤去や対策工事を地方自治体と連携し、迅速かつ確実に進めるべきです。
これまでも公明党は、原因究明や再発防止策の徹底とともに、盛土に関する土地利用の規制強化など厳格な法整備を進めるよう政府に対し強く要請してきました。
それを受け政府は、危険な盛土の発生防止に向けた制度の検討など、有識者会議で進めていると承知しています。
総点検を踏まえた全国の危険な盛土の撤去等の実施と新たな法整備の方向性について、国土交通大臣の答弁を求めます。
防災・減災に関し、内水対策の強化について伺います。
気候変動等の影響により、甚大化する水災害に対応するため、本年度より全国各地で策定された流域治水プロジェクトが本格的にスタートし、先月には流域治水関連法が全面施行されるなど、取組が着実に進んでいます。
これまでの事前防災対策による効果も現れています。
例えば、今年八月の豪雨災害では、総降雨量では同規模の平成三十年七月豪雨と比較した場合、氾濫等が発生した河川数は大幅に減少しています。
一方、福岡県久留米市や佐賀県武雄市等では内水氾濫が発生し、浸水による甚大な被害が発生しました。
引き続きハード、ソフト一体の事前防災対策を一層加速化するとともに、八月の豪雨災害の教訓を踏まえた内水対策などの新たな強化について、国土交通大臣の答弁を求めます。
大規模地震に対する災害対応力の強化について伺います。
十月に首都圏を襲った最大震度五強の地震では、帰宅困難者や鉄道再開への対応など、新たな課題や教訓が浮き彫りとなりました。
また、今月三日午前には山梨県と和歌山県で震度五弱の地震が三時間間隔で発生し、不安を呼んでいます。
また、切迫する首都直下地震や南海トラフ地震とともに、日本海溝、千島海溝沿いの巨大地震・津波対策も喫緊の課題です。
積雪寒冷といった北海道や東北などの地域特性を踏まえた地震防災対策も進めなければなりません。
大規模地震に対する防災・減災対策や災害対応力の強化等について、総理の答弁を求めます。
軽石の回収や漁業、観光業等に対する支援について伺います。
今年八月に小笠原諸島の海底火山から噴出した軽石が沖縄県や鹿児島県奄美地方の漁港や海岸に大量に漂着し、漁業を始め観光業や離島の生活航路などに影響が生じています。
今後、伊豆諸島を始めより広い範囲の影響も懸念されることから、万全の準備と警戒が求められています。
政府においては、引き続き、被災自治体と緊密な連携を図りつつ、軽石の除去活動がより効果的に進むよう努めるとともに、回収した軽石の処理などの支援をお願いしたい。
また、懸念される影響の長期化も見据えて、漁業や観光業等への対応を含め支援に万全を期していただきたい。
軽石の回収や漁業、観光業等に対する支援について、総理の答弁を求めます。
ここまで申し上げてきたように、今、我が国にはコロナ対策を始め生活支援、雇用継続、中小企業への賃上げ支援、子育て・教育支援、防災・減災対策など早急な対応が求められており、今年度補正予算の早期成立を図っていくことが重要です。
その上で、政府・与党が一致結束して、国民の安心と希望につながる政策を着実に力強く推進していかなければなりません。
公明党は、岸田政権をしっかりと支えつつ、コロナ禍の克服に向け、全力で取り組んでいくことをお誓いし、代表質問を終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。
第205回[参] 本会議 2021/10/13 4号
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公明党の山口那津男です。
私は、公明党を代表して、岸田総理の所信表明演説に対し、総理並びに関係大臣に質問いたします。
コロナ禍との闘いが続く中、国民の期待を背負い、岸田新内閣が誕生しました。
新政権の発足に先立ち、自民党と公明党は新たな連立政権合意を結び、謙虚な姿勢で真摯な政権運営に努めるとの自公連立政権の原点を踏まえるとともに、国民の命と健康、雇用と暮らしを守る政策を着実に実現することでコロナ禍を克服し、力強い日本の再生を成し遂げるという新政権の取組方針を確認しました。
また、コロナ対策や経済再生を始め子育て、教育支援、脱炭素社会、防災・減災対策、外交関係の強化など直面する重要課題に対して着実に結果を出し、感染収束に御協力いただいた国民の皆様にお応えしていくことが新内閣に課された責務です。
総理が述べられている国民の声を聞く政治、これは私たちが最も大切にしている政治姿勢です。
この一年九か月余り、コロナ禍との闘いの中で、公明党は、地方議員と国会議員のネットワークを生かし、生活現場の声を政府に届け、ワクチン接種や療養体制の改善、効果的な治療薬の活用促進など、一つ一つ政策を実現してきました。
コロナ禍で浮き彫りになった、危機に際して脆弱な政治・行政システムの変革を大きく前に進めるためにも、国民生活の窮状に寄り添い、問題の核心を的確に捉えた政策を国民の理解を得ながら迅速に進めていく必要があります。
社会の閉塞感を打ち破り、日本の将来展望を開くため、公明党は岸田内閣の取組を支え、力強い日本の再生に全力を挙げてまいります。
以下、総理が所信表明で述べられた三つの政策の柱に沿って質問をいたします。
初めに、総理が政策の第一に挙げられた新型コロナ対策について伺います。
緊急事態宣言がようやく解除されましたが、総理が述べたとおり、危機対応は常に最悪の事態を想定した備えが重要であり、第六波の流行も想定した対策に万全を期す必要があります。
引き続き、希望する方へのワクチン接種を着実に進めるとともに、効果的な治療薬の開発、普及に全力を挙げるべきです。
公明党は、自宅療養者など軽症者の重症化予防に効果のある抗体カクテル療法をより多くの場所で使用できるよう政府に求め、当初、入院に限られていたこの治療は、宿泊療養施設、外来、そして往診へと投与の場が拡大しました。
感染拡大が落ち着いた今こそ、こうした治療が、新たに承認された抗体薬も含めてそれぞれの地域で速やかに実施できる体制を整えておく必要があります。
さらに、より強力な変異株や新たな感染症にも対応できるよう国産のワクチン、治療薬の開発、実用化を強力に支援することが急務です。
コロナ禍で苦しんでいる事業者や生活困窮者などを守る支援策も必要です。
雇用対策では、雇用調整助成金等の特例措置を実施していますが、感染状況を踏まえながら、引き続き十分な水準を確保していただきたい。
また、パート、アルバイトなどシフト制で働く方については、休業手当が支払われていない場合に、休業支援金・給付金により引き続き生活を支えていくとともに、今後、より安定した雇用に結び付けていく取組が重要です。
事業者を守り抜く資金繰りにも万全を期すため、公庫による実質無利子、無担保融資は来年以降も当分の間、継続すべきです。
また、既往債務の再度の条件変更など、事業者の要望に沿った最大限柔軟な対応を徹底していただきたい。
子育て世帯に対しては、令和二年度第二次、第三次補正予算により子供食堂等の支援を通じて見守り体制の強化を行っていますが、是非恒久化していただきたい。
総理は、政策の第二に新しい資本主義を掲げ、成長と分配の好循環を実現すると述べられました。
公明党も、本格的な経済再生に向けて、新たな成長の源泉となるデジタル化やグリーン化への投資を通じて潜在成長力を高め、その成果を賃金などに広く分配し、家計の所得水準を向上することが重要だと考えます。
コロナ禍では、非正規雇用労働者等の収入が大幅に減少するなど、所得格差の問題が浮き彫りとなりました。
所得格差の是正には成長と分配の好循環を支える賃上げが不可欠であり、その鍵を握るのは、雇用の七割を支える中小企業です。
一方で、売上げの大幅な減少や今月から実施されている最低賃金の引上げに伴い、中小企業からは更なる支援を求める声が寄せられています。
生産性向上に向けた各種補助金等の大幅な拡充や、所得拡大促進税制等の支援、価格転嫁対策など、中小企業が賃上げしやすい環境整備を強力に支援すべきです。
中小企業への賃上げ支援を始め所得拡大と格差是正にどう取り組むのか、総理に伺います。
コロナ禍を機に、デジタル化やグリーン化などの社会変革が進みつつあります。
公明党は、こうした取組を生活の隅々まで浸透させるとともに、コロナ禍で落ち込んだ消費の回復につなげることが重要と考えます。
具体的に、新たなマイナポイント事業の創設を提案します。
私たちの暮らしを便利で豊かにするデジタル社会の実現は、その基盤となるマイナンバーカードの普及が不可欠です。
本年九月一日現在、その交付率は三七・六%と、十分に行き渡っている状況とは言えません。
そこで、マイナンバーカードの取得やキャッシュレス決済の普及促進と同時に、消費を喚起する対策として、カードを保有している方やこれから取得する方に対し、幅広いサービスや商品の購入に使えるマイナポイントの付与を提案します。
ポイントを購入した場合にプレミアムを付与する従来の仕組みを改め、一人三万円分のポイントを直接付与する新たなマイナポイント事業の創設を求めます。
二つ目に、グリーン社会の実現に貢献する製品を普及すると同時に、消費を喚起する対策として、電気自動車や燃料電池自動車、省エネ性能の高い住宅の購入支援制度を一層拡充するとともに、今後は、家庭用の太陽光パネルや蓄電池の導入支援制度も創設すべきと考えます。
これらの消費喚起策について、総理の答弁を求めます。
厳しい経営状況が続いてきた観光や飲食産業とともに、輸送需要が激減する中にあっても、国民の暮らしや経済活動を支えてきた地域公共交通への支援にもしっかり取り組まなければなりません。
緊急事態宣言が解除され、ワクチン接種が進む中、政府は、今後の感染対策と社会経済活動の両立を図るため、観光や飲食、イベント参加など行動制限の緩和に向けて、ワクチン・検査パッケージを活用した新たな仕組みの検討を進めています。
観光や飲食産業からは、GoTo事業再開を望む声が上がっています。
再開に当たっては、あくまでも感染収束を前提として、パッケージの活用を含め感染防止対策の維持、徹底が不可欠です。
加えて、ワクチン接種をしていない方々が不利益や不当な差別を受けることがないよう十分な配慮が必要です。
これまでの教訓を生かした創意工夫を盛り込み、安全、安心の観光産業の復興の原動力として、新たなGoToキャンペーンを実施していただきたいと思います。
総理の答弁を求めます。
総理が成長戦略の第一に掲げた科学技術立国について伺います。
今月五日、プリンストン大学の上級研究員である眞鍋淑郎さんがノーベル物理学賞を受賞されました。
地球温暖化を予測する地球気候モデルの開発が評価されたもので、気候学分野での物理学賞の受賞は初めてであり、歴史的な快挙です。
好奇心から始まった研究が気候変動問題など人類が直面する課題の解決に大きく貢献したことを考えると、基礎研究の重要性を改めて認識するとともに、多くの人々に夢と希望を与える科学技術の基盤強化を未来への投資として強力に推進することが重要です。
本年創設された大学ファンドを早期に十兆円規模へ拡大するなど、若手研究者等が基礎研究を始めとした研究に専念できる環境づくりを是非とも進めていただきたい。
科学技術立国の発展を支える若手研究者の支援について、総理の答弁を求めます。
公明党は、成長戦略の一環として、人への投資が重要であり、産業構造の転換や格差の是正を図るためにも、リカレント教育や職業訓練を強力に支援すべきと考えます。
非正規雇用等で働く方については、生活費として月十万円を受給しながら無料で職業訓練を受けられる求職者支援制度による支援が行われています。
コロナ禍でシフトが減少したパート、アルバイトの方が働きながら訓練を受けやすいように、収入要件や出席要件の緩和など特例措置も実施されています。
より多くの方が受講し、デジタル分野を始め希望する就職へとつながるよう、制度の拡充が必要です。
総理の答弁を求めます。
総理は、分配戦略の中で、子育て世帯への支援を表明されました。
公明党が推進した幼児教育、保育、私立高校授業料、大学など高等教育の三つの無償化により、我が国の家族関係支出の対GDP比は、二〇一五年の一・三一%から二〇二〇年には一・九%程度へと増加し、OECDに加盟する先進諸国の平均値である二・一%に近づきつつあります。
一方で、少子化が加速化し、児童虐待、いじめ、不登校、貧困、自殺など、子供と家庭をめぐる様々な課題が多様化、複雑化しています。
誰もが安心して子育てができ、十分な教育を受けられるように、子育て、教育支援を国家戦略に据えて強力な支援を行うべきです。
ライフステージに応じて必要な支援策をきちんと整え、その全体像を示すことが子育てへの希望のメッセージとなり、安心につながります。
例えば、出産費用は年々増加傾向にあるため、その実態を把握した上で、出産育児一時金の増額を行うべきです。
不妊治療については、公明党が一九九八年に党の政策として保険適用を掲げ、現在の助成制度の創設、拡充をリードしてきましたが、この保険適用が来年四月から実施される予定です。
保険適用となる治療や検査の範囲などについて検討を急ぐとともに、働きながら治療ができる環境づくりを更に進めていただきたい。
政府が本年閣議決定したいわゆる骨太方針には、不妊治療への保険適用や出産育児一時金の増額に向けた検討が、公明党の提言も踏まえ、明記されました。
新内閣において是非実現すべきと考えますが、総理の答弁を求めます。
公明党は、前回の衆院選公約において教育の負担軽減を掲げ、幼児教育や高等教育の無償化を前に進めてきましたが、今後は中間所得世帯も含めた教育費の無償化を段階的に拡充すべきと考えます。
また、教育の負担軽減とともに、子供たちが安心して学べる環境整備も重要な課題です。
本年の通常国会では、公明党が主導した、わいせつ行為などの性暴力を行う教員から子供を守るための法律が成立しました。
この新法に基づき、わいせつ等による免許状失効者の情報を閲覧可能にするデータベース整備等の取組を着実に進めることが必要です。
あわせて、保育士や塾講師などの子供と接する職種においても、わいせつ行為の対策強化の検討を求めます。
教育費無償化の拡大と性暴力から子供を守るための対策強化について、総理の答弁を求めます。
コロナ禍の影響により、文化芸術関係者は、早くから公演等の自粛を余儀なくされるなど、大きな影響を受けています。
その文化芸術を支える方々への支援を実施するため、公明党は関係者から現場の声を直接伺い、その声を政府に届け、文化芸術団体等に最大二千五百万円を支援するアーツ・フォー・ザ・フューチャーや、十八歳以下の子供たちが無料で舞台等を鑑賞できる機会の確保などを推進してきました。
引き続き、関係団体やフリーランス、舞台技術スタッフの方々が活動を継続するための支援を充実していただきたい。
文化芸術活動への継続支援について、総理の答弁を求めます。
総理が政策の第三に掲げた国民を守り抜く外交・安全保障について伺います。
総理は、地球規模の課題に向き合い、人類に貢献し、国際社会を主導する覚悟と、核兵器のない世界を目指す考え方を明確にされました。
広島出身の総理は、外務大臣時代、現職の米国大統領として初めてとなるオバマ氏の広島訪問に尽力されました。
唯一の戦争被爆国として、核保有国と非保有国の真の橋渡し役を担い、現実的かつ実践的な取組を更に積み重ねていただきたい。
公明党は、核廃絶への機運を高めている核兵器禁止条約について、締約国会合への日本のオブザーバー参加を強く求めます。
そして、中長期的には、日本が同条約を批准できるような安全保障環境を創出していくべきと考えます。
また、核保有国に対して核軍縮を進める義務を負わせている核兵器不拡散条約、いわゆるNPTの進展も重要です。
来年一月に開催予定のNPT運用検討会議では、懸念とされる核保有国の関係悪化や核兵器の近代化の進展などを課題として議論し、透明性の向上及び信頼醸成につなげる体制づくりや核兵器をめぐるリスクの低減などについて、各国が共に取り組むことのできる実質的な措置を見出していただきたい。
その成果を踏まえ、核兵器禁止条約と互いに補完し合いながら、実質的な核廃絶への道筋を示していただきたいと思います。
持続可能な開発目標、SDGsの達成に向けた取組も重要です。
コロナ禍により遅れが余儀なくされましたが、達成目標年の二〇三〇年に向けて、より一層加速させることが求められています。
公明党の提案で実現した全世界に公平にワクチンを供給する国際的枠組み、COVAXファシリティーへの参加もSDGsの取組の一つです。
このように各国が協力して行動を起こすとき、SDGs達成に向けた取組を着実に軌道に乗せることができると確信します。
貧困、教育、労働、環境、ジェンダー平等などの課題解決に向けた取組を加速化していくため、政府は、自治体、企業、市民社会、そして国際社会との協力を深めるべきです。
誰一人残さないとの考えの下、SDGs達成に向けた取組を進めていただきたいと思います。
核兵器のない世界とSDGs達成に向けた取組について、総理の決意を伺います。
総理は、地方活性化に向けた基盤づくりに向け、積極的な投資に言及されましたが、その中でも最優先すべきは防災・減災、復興の取組です。
自然災害の脅威は、温暖化の影響によって以前にも増し、風水害が深刻化し、迫りくる大規模地震や火山災害への対策は待ったなしです。
加えて、コロナ禍との複合災害への対応など、新たな課題も生じています。
これまで以上に国と地方、官と民がしっかりと連携、協働し、新技術や過去の教訓を生かすことが重要です。
また、我が国の危機管理対応力を総点検、強化するとともに、ハード、ソフト両面にわたる防災・減災対策をより一層進めなければなりません。
防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策に盛り込まれた流域治水やインフラ老朽化対策など、様々な取組の完了時期については可能な限り前倒しを求めます。
東日本大震災を始め近年の災害で被災された方々にしっかりと寄り添い、支援の取組に全力を尽くし、発災前を上回る創造的復興を進めて被災地の発展につなげることが重要です。
総理の御決意を伺います。
災害時、自力で避難が難しい高齢者や障害者等の避難対策や被災者支援は、引き続き重要な課題です。
本年改正された災害対策基本法では、要支援者の避難先や経路等を事前に定める個別避難計画の作成が市町村の努力義務として規定され、新たにその作成経費も措置されました。
個別避難計画は、災害時だけではなく、平時における地域福祉の強化や、孤立を防ぐ観点からも重要な取組です。
一方、コロナ禍での自宅療養者等の避難対応や生活支援など新たな課題も生じており、行政負担が増大しています。
これらの課題にも対応し、被災者支援の質を向上させるため、個別避難計画と連携し、地域の福祉団体や福祉専門職、自治会、NPOやボランティアなど多様な主体が効果的に連携、協働できるよう、平時と災害時をつなぐ地域の防災福祉の仕組みづくりが重要と考えます。
総理の答弁を求めます。
所信表明の中で、総理は、多様性が尊重される社会、全ての人が生きがいを感じられる社会について言及されました。
人口減少やコロナ禍の影響により地域公共交通の維持が一層厳しさを増す中、買物や通院など日常生活に不自由を強いられる高齢者や障害者など交通弱者の方々に対する移動支援の強化が喫緊の課題となっています。
地域の実情に応じて、コミュニティーバスやデマンドタクシーの導入、公共交通機関の利用割引など移動支援の拡充について、国は一層の後押しを図るべきです。
また、東京五輪・パラリンピック大会を契機に、ハード、ソフト両面から大きく進んだバリアフリー化を更に推進することも重要です。
一方、公共交通機関における障害者用ICカードや精神障害者割引、ウエブによる障害者用乗車券の予約、決済などの実施の現状は一部の事業者に限られており、更なる対応が求められます。
高齢者等に対する移動支援の拡充とバリアフリー化の更なる推進について、国土交通大臣の答弁を求めます。
本年三月、各国における男女平等を数値化したジェンダーギャップ指数が発表され、日本は百五十六か国中百二十位という結果となりました。
一つの要因として、近年、国民の関心が高まっている選択的夫婦別姓制度の有無が指摘されており、法務省によれば、夫婦別姓が選べない国は日本だけです。
結婚により改姓するのは九六%が女性であり、女性の活躍促進という観点から、婚姻後の仕事のキャリア維持など様々な理由で、希望する夫婦がそれぞれの姓を変えることなく結婚できるよう、制度導入を実現すべきと考えます。
また、性的少数者に対する課題解決も重要です。
現在、我が国には、自治体におけるパートナーシップ認定制度は進んでいるものの、その根拠法がありません。
こうした状況の中、さきの通常国会において超党派の議連で議論を重ねてきた理解増進法案が与野党で合意に至りました。
性的指向と性自認に対する差別、偏見、不適切な取扱いを解消し、多様性を尊重する社会の構築に向けた第一歩となる法案であり、早急な成立が求められます。
選択的夫婦別姓制度の導入や理解増進法案など、ジェンダーギャップの解消に向けた取組について、総理の御決意を伺います。
総理が所信表明の中で触れなかった重要課題について、何点か質問いたします。
本年六月、千葉県八街市で飲酒運転のトラックが下校中の小学生の列に衝突し、児童五人が死傷する痛ましい事故が発生しました。
事故を受けて全国で実施した通学路の総点検結果を踏まえ、歩道の設置、拡充やガードレールの整備など、危険箇所への対策を講じる際は、子供目線と地域住民の声に配慮した安全対策を進めていただきたい。
また、事故を起こした飲酒運転のトラックが自家用車と同じ白ナンバーであったことを踏まえて、一定台数以上の白ナンバー車両を有する事業者に対してドライバーのアルコール検知を義務付けるなど、飲酒運転の事故を根絶するための取組を強化すべきです。
子供の命を守る通学路の安全対策について、総理の答弁を求めます。
政治家に対する国民の信頼なくして政治を進めることはできません。
先般取り沙汰された公職選挙法違反などを起こした国会議員の歳費等の取扱いは、これまでも度々問題視されてきました。
公明党は、これらの国会議員の歳費等について、勾留された場合は支給停止、当選無効となった場合は返納を義務付ける骨子案を取りまとめ、八月末の与党骨子案の策定にも尽力してきました。
議員の不祥事が相次ぐ中、政治家自らが襟を正す姿勢を示していかなければなりません。
政治と金の問題を二度と起こさないために、速やかな法改正を始め不断に政治改革に取り組むことが重要であると考えますが、総理のお考えを伺います。
結びに、一言申し上げます。
長期にわたるコロナ禍との闘いは、いまだ終息に至らず、引き続き国民の命と生活を守る政策を最優先で進めなければなりません。
また、コロナ禍でスタートした我が国のデジタル化やグリーン化の取組は緒に就いたばかりであり、総理のリーダーシップの下、こうした社会変革の歩みを緩めることなく、力強く前に進めていくことが必要です。
公明党は、自民党とともに、国民と対話し、国民との信頼関係を築きながら、コロナを乗り越えたその先に希望と安心の未来が展望できるよう、日本再生へ不断の取組に挑戦してまいります。
そのことを改めてお誓い申し上げ、私の代表質問を終わります。
第204回[参] 本会議 2021/01/22 3号
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公明党の山口那津男です。
私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました施政方針演説等に対し、菅総理並びに関係大臣に質問をいたします。
新型コロナウイルスの感染拡大が猛威を振るう中、新たな年が開幕しました。
本院所属の羽田雄一郎議員が、昨年十二月二十七日、新型コロナウイルスに感染し急逝されたことに心から哀悼の意をささげますとともに、これまで感染で亡くなられた全ての方々に謹んでお悔やみを申し上げます。
本年に入り十一都府県に緊急事態宣言が再発令されるなど、感染の終息はいまだに見通せない状況にあります。
まずはコロナの脅威から国民の命と生活を守り抜くことに全力を挙げるとともに、その先を見据え、本年をポストコロナの新たな展望を開くスタートの年にしていかなければなりません。
菅内閣はこれまで、感染拡大防止と社会経済活動の両立という極めて困難な課題に挑戦する中、脱炭素社会やデジタル社会の構築など我が国の構造転換や社会変革を促す新たな方針を提示し、経済対策の策定や今国会での関連法案の提出を進めてきました。
また、公明党が長年取り組んできた携帯電話料金の引下げや不妊治療の保険適用にも道筋を付けるなど、着実な成果を上げつつあります。
この上は、コロナを克服し、日本の活力と成長を取り戻す本格的な構造改革を国民目線で着実に進めることができるのか、これからが正念場と言えます。
また、発災から十年の節目を迎える東日本大震災からの復興がどこまで進んだのか、そして、この夏に控える東京オリンピック・パラリンピックを成功裏に開催できるのか、このことも問われています。
米国ではバイデン新大統領が誕生し、パリ協定やイラン核合意への復帰に期待が高まる中、国際協調や多国間主義を重視してきた日本の役割と貢献がますます重要となります。
各国首脳との信頼関係の構築とともに、二〇三〇年までの達成をゴールとするSDGsの取組を加速させるなど、感染症や地球温暖化、防災・減災、核廃絶など地球規模の課題解決に向けて国際社会の協力と連帯を促すリーダーシップを総理に発揮していただきたいと思います。
公明党は、どこまでも国民の窮状に寄り添い、一人の声を大切にする政治の実現に本年も全力で取り組み、国民のために働く菅内閣を支えてまいります。
以下、当面する諸課題について質問いたします。
海外では新型コロナワクチンの接種がスタートし、日本においても国民の関心が高まっています。
国内では二月下旬までに接種を開始できるよう準備を進めるとの政府の方針が示されましたが、ワクチンの安全性、有効性が確認されたならば、速やかに接種できる体制を早急に整える必要があります。
一方で、円滑なワクチン接種に向けては課題が山積しています。
新たに開発されているワクチンには、その性能を保つため超低温による保管が必要なものもあります。
ワクチンの分配方法や保管体制の確保、感染防止対策を含めた接種場所の調整など、地域ごとの綿密な計画が必要です。
あわせて、市区町村には接種対象者に順次クーポン券を送付する作業も控えています。
障害者や寝たきりの方などへの対応も早急な検討が必要です。
このように、短期間でこれほど多くの人にワクチンを接種することは、これまで経験したことのない大事業です。
しかも、感染収束の見通しが立たず、医療従事者の不足が指摘される中、希望者全員に接種するためのマンパワーがきちんと確保できるのか、深刻な課題です。
こうした中で、総理は、ワクチン接種を円滑に進めるための担当大臣を設けることを表明しました。
国民の命が関わるこの事業に失敗は許されないとの強い覚悟で、総力を挙げて取り組んでいただきたい。
公明党は、党内にワクチン接種対策本部を設置し、全国の地方議員と連携して政府の取組を支えてまいります。
地方自治体とも緊密に連携し、接種までの手順や優先接種の順番などを国民に分かりやすく説明しながら、混乱なく接種できるよう準備を進めていただきたいと思います。
万全な接種体制の整備をどのように進めるのか、総理に伺います。
コロナ対応の長期化に伴い、医療機関の経営は極めて厳しい状況にあります。
さらに、看護師の離職などが相次いでいることに加え、昨年末から新規感染者数の増加も続き、病床の逼迫も深刻さを増しています。
病床逼迫の改善についてはその原因を分析した上で、例えば、急性期を脱した感染者について、一般病床以外の病床の活用も考えられます。
公明党は、今月七日、官房長官に対して、慢性期、すなわち回復期の病床に対しても十分に手当てして、再重症化すれば再び急性期の医療機関と連携できる仕組みを整えて、急性期病院にPCR検査が陰性になるまで入院させる現行の仕組みの改善を図るべきと提案しました。
医療提供体制を断じて守るため、病床確保に向けた働きかけや、看護師、保健師等の専門人材の派遣調整など、国が前面に立った最大限の支援をお願いしたい。
一方、感染が急拡大している地域では、自宅で療養する方が急増しており、その中には症状が急変し死亡する事態も起きています。
また、家族内感染を防ぐために宿泊施設での療養も推進すべきですが、こちらも清掃、消毒などの対応が追い付かず、十分な受入れができない施設もあると言われています。
公明党が提案したパルスオキシメーターの適切な使い方を徹底し、体調の悪化など迅速に把握するための仕組みを厳格化するとともに、体調の変化に応じて医療機関と確実につながる体制を早急に構築すべきです。
国と自治体双方がこうした課題と責任を共有し協力して取り組まなければ、助かる命も助かりません。
自治体の現場で効果的な運用がなされるよう、政府は責任を持って取り組んでいただきたいと思います。
加えて、英国で見付かったコロナの変異種が静岡県の感染者から確認されました。
海外渡航歴がなかったとのことですが、新たな感染拡大要因になり得ることから、感染源の特定とともに水際対策の強化も急務です。
医療提供体制と水際対策の強化、そして、自宅や宿泊施設で療養される方の命をどう守るのか、総理の答弁を求めます。
今国会では、新型インフルエンザ等対策特別措置法などの改正が検討されています。
特措法の改正に当たっては、実効性を担保するため、都道府県知事が店舗に対し休業や営業時間短縮を要請、指示した場合の支援や応じない場合の罰則の在り方が焦点になっています。
一方、感染症法及び一部検疫法の改正については、個人の権利に十分配慮した上で宿泊療養、自宅療養の実効性をどう確保するかが課題です。
その際、宿泊療養の質を見直すとともに、やむを得ず自宅療養になった場合の管理体制を具現化すべきです。
さらに、都道府県をまたぐ情報共有が進まないとの指摘を踏まえ、感染者を把握する保健所設置自治体と医療提供体制の調整を行う都道府県の情報連携の強化も急務です。
罰則については、基本的人権尊重の下に、罰則の目的や保護すべき利益とのバランスを図る必要があります。
その上で、国民の皆様には罰則の必要性や罰則適用の具体例を示すなど、丁寧な説明をお願いしたい。
できるだけ幅広い合意を得て関係法律の早期改正を行い、今後の対応に生かしていくべきです。
コロナ対策に必要な法改正をどのように進めていくのか、総理に答弁を求めます。
政府が昨年策定した全世代型社会保障改革の方針には、公明党が二十年以上にわたり推進してきた不妊治療の保険適用や、待機児童対策などが盛り込まれました。
不妊治療については、令和四年度からの保険適用に向けた工程表が定められ、保険適用までの間は助成金が大幅に拡充されます。
流産を繰り返す不育症についても、自治体が検査費用等の助成を行う場合、最大五万円の補助金が創設されます。
待機児童の解消に向けては、新たに十四万人分の保育の受皿を確保する新子育て安心プランが策定されました。
令和三年度税制改正では、ベビーシッターや認可外保育施設の利用に対する助成金や産後ケア事業の消費税が非課税になります。
こうした取組に加え、安心して子供を産み育てられる環境整備に向けては、更なる経済的負担の軽減が重要です。
これまで公明党は、子供医療費助成制度を推進し、未就学児を対象とした助成制度が全市区町村で実施されています。
今国会では未就学児の均等割保険料の軽減などを盛り込んだ法改正も検討されていますが、コロナ禍による影響も踏まえ、更なる減免も検討すべきです。
さらに、男性の育児休業取得も重要な課題です。
男性の産休制度を創設するとともに、育休を分割して取得できるようにし、育休制度の周知や環境整備を事業主に義務付けるため、今国会において育児休業法の改正案が提出される運びです。
その際、従業員の育児休業取得など子育て支援に積極的に取り組む中小企業には、新たな補助金の創設など支援策の充実が不可欠です。
子育て世帯の更なる経済的負担の軽減や、育休取得に積極的な中小企業への支援について、総理に伺います。
公立小学校の一クラスの人数を二〇二五年度までに四十人から三十五人に引き下げることが決定いたしました。
小学校全体の上限人数の引下げは約四十年ぶりとなります。
少人数学級の実現は公明党の長年の主張でもあり、一歩前進と評価します。
これによって教員が子供たちと向き合う時間が増え、いじめや不登校等に対応するきめ細かな指導の充実が可能となります。
また、少人数によるICTを活用した学習を推進することで、一人一人に応じた学びの実現につながると期待できます。
今後は、教員の働き方改革や英語等の専科教員、ICT支援員の配置などを通じて、教員の質を確保しつつ、小学校の三十五人学級を段階的に進めながら、中学校も含めた三十人学級の実現に向けて検討を進めていくべきと考えます。
教員の質の確保を含めた少人数学級の実現に向けた取組について、総理の答弁を求めます。
この夏に予定されている東京オリンピック・パラリンピック競技大会は、コロナ危機を世界が結束して乗り越え、再起を誓い合う象徴の場であり、各国選手たちが与えてくれる勇気と感動は、不安と閉塞感に覆われたこの世界に希望の光をともしてくれるはずです。
また、東日本大震災より十年の節目を迎える本年、東京大会は、被災地を勇気付け、全世界に東北の復興と感謝を発信する復興五輪としての意義もあります。
本大会を目指して、誰もが安心して暮らし活躍できる真の共生社会の実現に向けて昨年はバリアフリー法が改正され、心のバリアフリーを含めたソフト対策が強化されましたが、開催を契機に未来に受け継ぐレガシーを残していくことも重要な取組です。
一方で、視覚障害の方が鉄道駅のホームから転落する事故が後を絶ちません。
コロナ禍による影響で障害者への声掛けが減っていることも懸念されています。
近年、各地で増加する無人駅の安全、円滑な利用に向けた対応も課題です。
今国会に提出予定の障害者差別解消法改正案では、民間事業者による合理的配慮の提供の義務化が検討されており、周知啓発や相談体制の充実が求められます。
東京大会の開催に向けた決意と、世界に誇れる真の共生社会の実現へ、総理の答弁を求めます。
デジタル社会の構築は、ポストコロナにおける経済成長の源泉であり、国民生活の向上や豊かさの実感につながるデジタル化をあらゆる分野で進めていく必要があります。
そのためには、高速通信網の整備や、情報システム、データの標準化、行政が保有する情報を有効活用できるデータ連携基盤など、デジタル全体の基盤整備が急務です。
また、多くの方々にいち早くデジタル化の恩恵を実感していただくためには、5Gが当たり前の社会をつくらなければなりません。
現在、企業や自治体等が個別に利用できるローカル5Gは全国の三十八か所で実施されていますが、更なる導入促進が必要です。
ローカル5Gにより、飛躍的な生産性向上や、へき地等の診療所における遠隔診療、リアルタイムでの災害情報の把握など、多岐にわたる分野で国民生活を向上させることができます。
こうした取組を進めた上で、スマートシティーのような未来都市を、先進事例の経験を役立てながら全国各地で構築すべきです。
また、海外では、次世代の通信規格であるビヨンド5Gの研究開発が活発化しつつあります。
海外に後れを取ることなく、我が国でも官民連携の下で研究開発に取り組み、世界のフロントランナーとして、日本の情報通信インフラを積極的に海外展開していくべきと考えます。
ポストコロナにおけるデジタル化をどのように進めていくのか、総理の答弁を求めます。
二〇五〇年カーボンニュートラルの実現を目指す脱炭素社会の構築は、デジタル化と並び、我が国の産業構造やライフスタイルの転換を促し、今後の日本経済の発展を左右する最重要の取組です。
であればこそ、これまでの延長線上ではなく、官民が総力を挙げて取り組まなければ目標達成は困難であり、鍵を握る民間の革新的な技術開発を後押しするためには、政府の継続的な支援が不可欠です。
第三次補正予算案には公明党が提案した企業の革新的技術開発を支援する基金が盛り込まれましたが、こうした予算措置とともに、税制、金融、規制緩和、国際連携など、あらゆる施策を総動員し、技術開発から実証、社会実装をトータルで支援していくことが重要です。
その際、大事なことは、世界トップレベルの技術力を持ち、物づくり等の分野で世界を牽引してきた中小企業の潜在力を引き出し、脱炭素分野においても十分な競争力を持った企業、新産業を育成する視点が大切です。
二〇五〇年目標の達成に向けた道筋と中小企業や新産業育成の視点を踏まえた基金の効果的活用について、総理に伺います。
本年は、パリ協定の発効から五年を迎えます。
既に百二十以上の国・地域が二〇五〇年カーボンニュートラルを表明し、国内では二百八自治体がゼロカーボンを宣言するなど、国内外で脱炭素社会構築への機運が高まっています。
十一月にはCOP26が開催されますが、この機会を捉え、引き続き我が国が市場メカニズムの構築など、国際社会全体の温室効果ガス削減に貢献する具体案を積極的に発信すべきです。
他方で、国内対策も重要です。
来年度予算案等には、ゼロカーボンを目指す自治体の計画策定から設備導入の支援などが数多く盛り込まれており、こうした支援策も活用しながら、国と自治体が総力を挙げて取組を加速化させるべきです。
また、各自治体で再エネ比率を向上できるよう、実効性のある地球温暖化対策推進法等の改正や複数の自治体が連携した再エネ導入支援など、自治体での取組を強力に後押しすべきです。
COP26に向けた具体案及び自治体の取組への支援について、総理の答弁を求めます。
農林水産物・食品の輸出拡大は地方の活性化を進める上で極めて重要な取組であり、更なる輸出拡大に向けて、政府は、農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略を策定しました。
高品質な日本の農林水産物の物流の高度化や効率化を進めるためには物流基盤の更なる強化が重要ですが、現在、北海道や九州などの地方で生産された農林水産物の多くは、鮮度が求められるものであっても、一旦集積能力のある東京や大阪などに集められ輸出されることが主流となっています。
今後も拡大が期待されるアジアの消費市場などに対応するためには、都市部だけではなく、安全で速やかに鮮度を保った状態で世界各地へ届けられるよう、地域別の集積地を設けるべきです。
その際、物流コストの削減を図るとともに、鮮度を維持できる設備の導入や新たなルート開拓、改善への支援が重要です。
農林水産物・食品の輸出拡大に向けた物流基盤の強化について、総理に伺います。
昨日、米国大統領の就任式が行われ、バイデン新政権がスタートしました。
我が国の外交・安全保障の基軸である日米同盟を更に強化するため、首脳会談の早期実現などを通じて新政権との信頼関係の構築、強化を図ることが極めて重要です。
就任演説でバイデン大統領は、新型コロナ、気候変動などの課題解決に向け国民に結束を強く訴えるとともに、世界の平和、発展、安全のために同盟を修復し、再び世界に関与すると述べ、国際協調を重視する姿勢を示しました。
就任直後にパリ協定への復帰を表明されたことを踏まえ、今後、日米両国が連携して目標達成に向けた取組を加速化させることが重要です。
また、大統領選挙期間中にはイラン核合意への復帰にも言及していますが、そうした中で、昨日、イランのロウハニ大統領は、米国の合意復帰と制裁解除を要請しました。
先般、イランが合意を大きく逸脱する濃縮度のウラン製造に着手したことで復帰への道のりは険しいと思われますが、国際不拡散体制の強化、そして世界と中東地域の平和と安定のために米国には再交渉の努力を望みたい。
加えて、米国と同盟関係を結び、イランとも長い友好関係を築いてきた日本が、その立場を生かして両国の歩み寄りのために最大限の外交努力を尽くすべきではないでしょうか。
自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった普遍的価値を共有する日米両国が共に指導力を発揮し、世界が直面する新型コロナや気候変動等、困難な課題の解決に取り組んでいかなければなりません。
バイデン新政権とどのように日米関係を深化させていくのか、総理の答弁を求めます。
核兵器禁止条約が発効します。
同条約は、長年にわたり核の実相を語り継いできたヒバクシャの強い思いの結晶であり、核兵器の実験や開発、保有、使用などを初めて全面的に禁止した画期的な国際法規範です。
バイデン大統領は、オバマ政権が掲げた核なき世界の理念を継承することを表明しています。
同条約の発効と合わせ核廃絶の機運が世界で一層高まることを期待したい。
公明党は、昨年、同条約発効後に開催される締約国会合に日本がオブザーバーとして参加すべきと提言しました。
唯一の戦争被爆国である日本が条約のプロセスに関与することに大きな意義があり、何より、核兵器保有国が交渉に関わらない中で、日本が締約国会合に加わることで真の橋渡し役を担うことにつながると考えるからです。
また、締約国会合を広島、長崎へ招致することで被爆体験、科学的知見を生かすことや、各国の代表が集う平和記念式典の時期に合わせた特別会合開催の機運醸成を図るなど、我が国の具体的な貢献策の検討を強く求めたいと思います。
核兵器保有国も参加する核兵器不拡散条約、いわゆるNPTの運用検討会議は、コロナの影響で本年八月に延期されています。
開催会期内に広島、長崎の原爆の日が含まれることからも、何としても会議を成功させ、核なき世界への取組が前進するよう全力を尽くしていただきたいと思います。
核兵器のない世界の実現に向けた総理の決意を伺います。
コロナ禍においても、甚大化する風水害や切迫する巨大地震への対策は待ったなしです。
昨年、政府が与党から強い要請を受けて、総事業費十五兆円規模の防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策を決定したことは、我が国の防災・減災対策を加速化し、地域経済を活性化する観点からも高く評価します。
その上で、災害に強い国づくりを進めるため、同対策に盛り込まれた計百二十三項目にわたる施策を国と地方、さらには官民が連携し、次の五年間でどれだけ進めることができるのかが重要な課題です。
特に、公明党の主張を踏まえて盛り込まれた流域治水対策やインフラ老朽化対策などの施策は強力に進めていただきたい。
また、二〇一五年に採択された仙台防災枠組の中に、全てのセクターにわたる防災の主流化が示されています。
災害に備える力を一層向上させるため、生活や行動、様々な制度や仕組みの中に防災・減災、復興の視点を取り入れて、社会の主流に押し上げていくべきです。
国土交通大臣の答弁を求めます。
昨年、公明党は、近年の台風や豪雨等の被災地で行ったアンケート調査を基に、政府に対し新たな防災・減災対策を提言しました。
提言を受けて政府は、高齢者等の避難支援情報を盛り込んだ個別計画の策定の促進強化、避難勧告と避難指示の一本化とともに、広域避難を円滑に行うため、災害が発生するおそれの段階で国の災害対策本部を設置できるようにするなど、新たな制度化の方針を明らかにしました。
特に、東京、名古屋、大阪の三大都市圏に広がる海抜ゼロメートル地帯の広域避難対策については、自治体や民間企業とも連携し、台風の接近など災害の発生を想定し、発災前に具体的な避難先や経路、避難手段の調整や財源の確保などに向けた災害対策基本法や災害救助法の見直しが不可欠です。
また、昨年の七月豪雨等の教訓から、全国の浸水想定区域内に立地する高齢者福祉施設の避難対策とともに、コロナ禍に対応した避難所の確保なども次の出水期に向けた喫緊の課題です。
要配慮者を含めた広域避難対策等について、総理に伺います。
昨年秋の臨時国会で、私は、地方気象台のOBなどのアドバイスが昨年の七月豪雨の際に自治体の防災業務の支援に有益だった事例を紹介し、気象防災の専門人材を自治体でもっと生かすべきと質問しました。
これを受けて気象庁は、昨年の十二月、新たに二十九名の気象台OB、OGの方々を気象防災アドバイザーとして委嘱しました。
この中には既に前橋市防災危機管理課の防災アドバイザーという役職で任命されている人もいます。
今後も、市区町村の防災力向上を図るため、気象庁と総務省が連携し、市区町村に対し気象防災アドバイザーの周知と活用、普及に向けた仕組みづくりを推進するとともに、市区町村の中にも防災業務の専門家を育成していくことが重要です。
総理の答弁を求めます。
最後に、一言申し上げます。
現在も続くコロナとの闘いは、国民生活になお影響を与えています。
その中で、国民が一丸となって危機を乗り越え、内外の諸課題を大きく前に進めるためには、政治の安定と信頼が不可欠です。
政治家自らが襟を正し、ひたすら国民生活の向上のために働き、結果を出す中でしか政治の信頼は回復できません。
公明党は、生活者の目線で政策の合意形成を図り、国民に安心と希望を送る政治の実現に全力を挙げることを改めてお誓いし、私の質問を終わります。
第203回[参] 本会議 2020/10/30 3号
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公明党の山口那津男です。
私は、公明党を代表して、菅総理の所信表明演説に対し、総理並びに関係大臣に質問いたします。
菅内閣の発足から一か月以上が経過しました。
この間、やるべきことをスピード感を持って実行する新内閣の政治姿勢に国民から大きな期待が集まっています。
まさしく国民のために働く内閣として着実な成果を上げられるよう、政府・与党が一致協力して内外の重要課題の解決に全力で取り組んでまいりたいと思います。
新政権の発足に当たり、公明党は自民党と新たな連立政権合意を交わしました。
この中には、新型コロナウイルス感染症の影響から国民生活を守り、経済を成長軌道に回復させることを始め喫緊の課題であるデジタル化の推進、少子化の克服、防災・減災、復興、脱炭素社会の構築など、我が国が乗り越えなければならない優先課題への対応が盛り込まれています。
この政権合意に基づき、どこまでも国民の悩みに寄り添い、真摯に耳を傾けながら、困難な課題を一つ一つ解決してこそ、国民の信頼を獲得し、安定した政権運営と国民が待望する改革が成し遂げられるものと考えます。
公明党は、国民目線で改革を進める菅内閣を支え、将来に希望と安心の持てる日本をつくるため、全力を挙げてまいります。
以下、政権合意に盛り込まれた重要課題を中心に質問いたします。
初めに、これから冬を迎えるに当たり、新型コロナウイルス感染症の検査体制の充実と季節性インフルエンザとの同時流行に備えた対策について伺います。
感染症から国民の命と生活を守るため、社会的活動、経済的活動を維持しながら感染拡大を抑え込むことが求められています。
そのためには、検査が必要な人が迅速に検査を受けられるよう体制を拡充しなければなりません。
感染が広がる地域においては、医療機関や高齢者施設等で一斉に定期的な検査を実施することが可能となりました。
また、重症化リスクの高い高齢者や基礎疾患のある方が希望する場合、検査費用を国が補助する仕組みもできています。
今後、一日二十万件の検査体制を確保するに当たり、どの地域でも必要な検査が幅広く実施できるよう、国は準備状況を把握しつつ、体制整備が進んでいない自治体への支援など、適切な対策を講じるべきです。
あわせて、季節性インフルエンザと新型コロナの同時流行に備えた対策も急務です。
今後、発熱患者が増加することを想定し、医療機関に対し財政的な支援や個人防護具の無償配布などを実施し、適切に検査と診療ができる体制を速やかに整備しなければなりません。
検査体制の充実や季節性インフルエンザとの同時流行に備えた取組をどう進めていくのか、総理に伺います。
今、国民が期待する新型コロナワクチンの確保と接種体制の整備について伺います。
公明党は、海外開発のワクチン確保に加えて、国産ワクチンの開発も強力に推進してきました。
政府においては、安全で有効なワクチンを一日も早く全ての国民に提供できるよう、引き続き最重要課題として取り組んでいただきたい。
接種体制の整備については、国が主導し、身近な地域で迅速かつ円滑に受けられるよう万全を期すべきであります。
あわせて、希望する人が安心して接種できるよう、国が積極的に安全性、有効性について分かりやすく発信することも大切です。
一方で、世界規模で広がる感染拡大を防ぐには、発展途上国への支援も不可欠です。
発展途上国を含めてワクチンを幅広く供給する国際枠組み、COVAXファシリティーへの参加を公明党は政府に強く求めてきました。
こうした中で、日本が先進国の中でいち早くCOVAXへの参加を表明したことは関係機関から高く評価されています。
引き続きワクチンの開発と公平な分配に向けて、日本が世界を牽引するリーダーシップを発揮していただきたいと思います。
ワクチン確保や接種体制の整備が万全か、総理に伺います。
菅内閣が真正面から取り組む少子化対策について伺います。
二〇一二年に民主党、自民党、公明党の三党で合意した社会保障と税の一体改革では、年金、医療、介護に加え、新たに少子化対策が社会保障の柱の一つとなりました。
さらに、二〇一七年には消費税増収分の使い道を見直し、幼児教育の無償化や低所得者に対する大学など高等教育の無償化を実現し、加えて、私立高校生の授業料実質無償化を含め、全世代型社会保障の構築に向けて大きな一歩を踏み出しました。
しかしながら、昨年の出生数は初めて九十万人を下回り、今年もコロナ禍の影響の下、更に下回る予測であり、少子化は予想以上の速さで進んでいます。
少子化の背景には、出会いの機会の減少や子育て中の孤立感や負担感、子育てと仕事の両立の難しさ、教育費を含む経済的な負担など様々な要因が挙げられますが、若い世代の希望をかなえるために、こうした要因を取り除いていくことが必要です。
深刻な少子化を克服するため、焦点となっている不妊治療への保険適用や出産育児一時金の増額を始め結婚支援や男性の産休・育休支援、仕事との両立支援、さらには、年末までに取りまとめるポスト子育て安心プランなど、少子化対策の抜本的な強化をトータルパッケージで示す必要があると考えますが、総理の答弁を求めます。
本格的支援が注目される引きこもり、八〇五〇問題への対応について伺います。
少子高齢化、人口減少が進む中、八十代の親が引きこもりの五十代の子供を養う八〇五〇問題や介護と子育てを同時に担うダブルケアなど、個人や家族が抱える生きづらさやリスクが複雑化、多様化しています。
こうした複合的リスクに社会全体で対応するため、様々なニーズや生活上の課題を受け止める包括的支援体制の整備が急務です。
本年六月に成立した改正社会福祉法では、断らない相談支援を含む重層的支援体制整備事業が創設されました。
来年四月から本格的にスタートするこの制度は、国民が最も身近に感じ、菅政権が立ち向かう縦割り打破の象徴として、全区市町村での実施を目指すべきと考えます。
あわせて、行政のデジタル化を進める中で、給付金等の行政手続を申請主義から申請なしに届けるプッシュ型に切り替えていくことも必要です。
引きこもり、八〇五〇問題の支援について、総理の答弁を求めます。
切実な課題である自殺対策について伺います。
自殺者数は本年七月以降、昨年同時期と比べて三か月連続で増加。
特に、本年八月は三十代以下の女性の自殺者が七四%も増えており、看過できない状況です。
こうした中、SNSを活用した相談事業も利用者が増加傾向にあり、十分な対応が必要です。
対応の質を担保しつつ相談員を増やすことや、相談から個々の問題解決へ具体的支援につなげることが大切です。
さらに、コロナ禍が女性の雇用や生活に与える影響を早急に把握し、女性の自殺要因を分析した上で適切な対策を講じるべきです。
あわせて、インターネット上の誹謗中傷対策も重要です。
公明党は、本年六月に提言を政府に提出し、誹謗中傷の書き込み削除や加害者情報の開示促進、情報モラル教育や啓発普及、相談体制の強化、侮辱罪を始めとする刑事罰の見直しなど、早急な対策を求めました。
自殺対策やインターネット上の誹謗中傷対策にどう取り組むか、総理の答弁を求めます。
腰を据えて取り組むべき防災・減災対策について伺います。
昨年は台風災害が相次ぎ、今年も七月豪雨により、熊本県を始め九州や中部、東北など、各地で甚大な被害をもたらしました。
お亡くなりになられた方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた全ての方々に心よりお見舞いを申し上げます。
近年の気候変動等の影響により甚大化する風水害対策の強化は喫緊の課題です。
政府は、新たな取組として、全国の百九の一級水系を対象とした流域治水プロジェクトを表明しました。
プロジェクトの策定、実行に当たっては、縦割りを打破し、国と地方のみならず企業や住民も巻き込み、流域全体の関係者が一体となってハード、ソフトにわたる水害に強い地域づくりを着実に進めていくべきです。
加えて、高齢者や障害者の実効性ある避難支援、電気、ガス、水道、通信等のライフラインの強靱化、長期停電対策などの取組も重要です。
また、私が居住する葛飾区を含め二百五十万人が住む東京都の江東五区や名古屋、大阪などの都市部に広がる海抜ゼロメートル地帯における大規模広域避難などの事前防災対策も、国と地方が連携して急ぎ進めていくべきです。
気候変動等を踏まえた風水害対策の強化をどう図るか、総理の答弁を求めます。
私は、本年の七月豪雨の被災地、熊本に行った際、気象庁防災対応支援チーム、いわゆるJETTなど専門家による気象情報の分析や解説などを通じた市町村への支援が重要な役割を果たしたこと、また、災害発生地域において、地方気象台OBなどローカルな気象災害情報に精通した人のアドバイスが的確で有益だったことを伺いました。
防災が政治の主流となる今日、専門家の派遣とともに、受け手の市町村にも気象災害情報の専門家を育成していくことが大切です。
国の地方気象台だけでは地域のきめ細かな状況に対応し切れません。
災害が起きてからではなく、日頃から地域に精通した知識と技術を生かし、地方気象台を始め関係部門と連携しながら災害予防や避難体制の整備に当たることが望まれます。
例えば、茨城県の日立市では、天気相談所を設置し、気象予報士三人を含む専門人材を育成してきました。
百年を超える気象データの蓄積を基に地域特有の気象条件を解析し、きめ細かな気象情報を市民に提供するほか、防災対策、環境保全に取り組んでいます。
今後、こうした国と地方が連携した双方向の取組が不可欠です。
また、七月豪雨では、十一時間以上にわたって停滞した線状降水帯が球磨川流域に大規模な洪水氾濫をもたらしました。
早期避難に直結する線状降水帯の観測、予測技術の向上は喫緊の課題です。
気象災害情報の専門人材を生かした国と地方の双方向の地域防災力強化と線状降水帯の観測、予測技術の早期向上にどう取り組むか、国土交通大臣の答弁を求めます。
いよいよ全国配備が整うドクターヘリについて伺います。
救急医療や災害時対応など、国民の命を守るドクターヘリの役割はますます高まり、年間出動件数は増加し続けています。
公明党は、ドクターヘリの全国的、安定的な運営を確保し、効果的な活用が可能となるよう、一貫して取り組んできました。
これにより、現在未導入である東京都や福井県においても、令和三年度から導入が予定されています。
残る香川県も導入が視野に入り、京都府は近隣府県との広域的カバーができております。
今後は、こうした新規導入の財政支援に加え、人件費や飛行時間に応じて補助金を増額するなど、全国システムの充実が望まれます。
ドクターヘリの安定的な運航を確保するための財政支援の強化について、総理の答弁を求めます。
この夏も、九州地域における豪雨を始め世界各地で今まで経験したことのない異常気象が多発しており、気候危機への対応は待ったなしです。
新型コロナウイルスの影響により、今年のCOP26は来年に持ち越しとなりましたが、世界的な自然災害の動向を考えれば、温室効果ガス削減への流れを止めるわけにはいきません。
また、ウイズコロナ、アフターコロナを見据え、元の社会に戻すのではなく、この度の自公連立政権合意に盛り込んだように、思い切って持続可能で強靱な脱炭素社会に向け変革を促すことが必要です。
公明党は、二〇五〇年を視野に温室効果ガス排出実質ゼロを目指すことを本年一月の通常国会で提案しており、今般の総理の決断を歓迎いたします。
その上で、大事なことは具体的な取組です。
徹底した省エネや再エネの主力電源化の推進、石炭火力発電のフェードアウトやイノベーションの創出など、政策を総動員して脱炭素社会への取組を加速化させなければなりません。
そのためには、政府、自治体、経済界など、オールジャパンで推進することが不可欠です。
二〇五〇年までにCO2排出実質ゼロを表明した自治体、いわゆるゼロカーボンシティは、今や二十三都道府県、百四十四市区町村を数え、人口規模では約八千万人に達します。
一〇〇%再エネ調達を目指すRE一〇〇やESG投資など、グリーン化に取り組む企業も確実に増えています。
こうした脱炭素社会への自治体や経済界等の具体的な取組を後押しする手厚い支援が必要と考えますが、総理の答弁を求めます。
経済再生へ、ポストコロナ時代を見据えた成長戦略について伺います。
初めに、事業継続と経営改善に向けた支援についてです。
ポストコロナ時代の社会経済活動は、感染拡大防止に万全を期しながら、事業の再開、継続に果敢に挑戦する事業者を支援していくことが最も重要です。
特に、中小・小規模事業者に対しては、業種別ガイドラインに基づいた感染防止対策を一層支援するとともに、非対面型ビジネスモデルへの転換やテレワーク環境の整備といったデジタル化、リモート化、あるいはサプライチェーンの強靱化に向けた生産拠点の国内整備や多元化など、こうした前向きな投資を支援するための各種補助金の更なる拡充を求めます。
あわせて、サプライチェーン全体で適正な取引の実現や付加価値の向上が可能となるよう、下請取引の適正化に粘り強く取り組む必要があると考えます。
加えて、コロナの影響が長期化する中で、中堅・大企業も含め本業の立て直しや事業転換といった本格的な経営改善が課題となります。
今後は、資本性資金やファンドの活用、人材のマッチングなど、業種や企業規模ごとに異なる多様なニーズに応じた適切な支援につなげることが極めて重要です。
数ある支援が事業者の皆様にきちんと届くよう、金融機関やよろず支援拠点等を中心とした寄り添った相談支援体制を一層強化していただきたいと思います。
事業継続と経営改善に向けた支援について、総理の御見解を伺います。
次に、科学技術・イノベーション推進についてです。
コロナ禍を契機として、公衆衛生や健康・医療、気候変動、災害といった生命を守る産業分野におけるイノベーションを成長の源泉としていくことが重要と考えます。
総理が言及されたグリーン社会の実現に向けた革新的イノベーションを始め日本の高い技術力を生かし、生命を守る産業分野におけるイノベーション創出をポストコロナの成長戦略の柱に据え、投資目標を設定し、官民が連携して強力に推進していただきたい。
あわせて、我が国の研究力の抜本強化を図るため、特に、博士課程学生を含めた若手研究者の生活を支援し、キャリアパスを確保する仕組みを早急に実現するとともに、大学等によるファンドを着実に創設していただきたいと思います。
科学技術・イノベーション推進と研究環境整備について、総理の答弁を求めます。
新型コロナウイルスの感染拡大は地域経済にも甚大な影響を与えています。
国は、地域経済を支え奮闘する方々が希望を持ち安心して暮らせるよう、デジタル技術を駆使したポストコロナの地方創生を強力に推進すべきです。
とりわけ、地方におけるテレワークやサテライトオフィス等の環境整備、地方大学を含めた官民によるSTEM人材の育成は、地方のデジタル化を進める重要な取組です。
また、多くの方にデジタル化の魅力を実感してもらうためには、医療、教育、交通など、多岐にわたる分野でデータ利活用を推進するスマートシティーの構築が重要ですが、そのためには地域住民の理解と合意形成が必要となります。
先般、私が視察した福島県会津若松市は、データは市民のものという理念の下、市民が自ら同意の上でデータを提供し、成果を還元するオプトイン方式を実施し、市民の理解と協力により先進的なスマートシティーを実現しています。
このような先進モデルは、自治体の縦割りを打破し、システムの統一・標準化を進め、どの自治体に住んでいても行政サービスを届ける推進力になります。
まず福島県を震災復興、地方創生、分散型国土形成の象徴となるよう、デジタル化実証推進県として先行拠点に位置付けてはいかがでしょうか。
地方のデジタル社会実現に向けた支援策、特にデジタル庁構想に福島県を位置付けるアイデアについて、総理の答弁を求めます。
全国約九百万人の雇用を抱える観光産業も、新型コロナや豪雨災害等の影響により、大きな打撃を受けています。
事業継続や雇用維持などの支援策に加え、GoToトラベル事業などにより観光産業は回復の兆しを見せていますが、さらに、今後の需要動向や被災地の状況、現場の声も考慮してGoToトラベル事業の来年のゴールデンウイークを含めた延長、予算の増額も検討すべきです。
特に重要なことは、地域経済を支える中小のホテルや旅館、旅行業者、飲食・土産店などの経営の安定や雇用の維持とともに、生活や観光の足として地域を支え続けているバス、タクシー、鉄道、航空、旅客船等の交通事業者への一層の支援です。
また、働きながら休暇を楽しむワーケーションなどを通じた新たな旅行市場の拡大とともに、感染拡大防止の徹底や地域で展開する新たな観光ビジネスへの支援などが求められています。
こうした支援を年内に策定する政策プランに是非反映させていただきたいと思います。
今後、地域経済を支える観光復興にどう取り組むか、総理に伺います。
農林水産業の成長産業化を進める輸出拡大の取組について伺います。
政権交代時と比べて輸出額は倍増し、更なる輸出拡大に向けて、二〇三〇年まで輸出額五兆円を新たな目標とする食料・農業・農村基本計画も改定されました。
この計画に基づく輸出促進は地方活性化にもつながり、大きな起爆剤になると考えます。
しかし、担い手不足や輸出相手国・地域の規制等の諸問題に加え、新型コロナの影響による日本食の展覧会などのイベント中止や外国人観光客の大幅な減少等が農林水産業者の大きな痛手となっています。
また、小規模農家などは生産量が少ないため、海外からのニーズがあるのに輸出拡大が進まないといった課題もあります。
こうした実情を踏まえ、例えば、産地間の連携強化によって農地面積や生産量の拡大による供給力の充実を図り、販路開拓とともに輸出額を拡大していくことも必要です。
農林水産物・食品の輸出拡大に向けた当面の戦略を年末までに策定するに当たり、農林水産業の生産、加工、流通にわたって強みを生かし、弱みを打開する必要があると考えます。
農林水産業の輸出拡大に向けた支援について、総理の御見解を伺います。
先月開催された国連総会では、新型コロナウイルスの対応をめぐる米中の対立が鮮明になる中、総理は、一般討論演説において、多国間主義の重要性を強調されました。
このような状況だからこそ、多元的な価値観と対話を重視する国際協調体制を強化すべきと考えます。
貧困、格差、気候変動など地球規模の課題は未曽有の感染症拡大によってますます深刻化しています。
その問題それぞれの解決をゴールに掲げたSDGsは、本年、行動の十年をスタートしました。
SDGsの実現には多国間の取組が不可欠であり、その中心は国連です。
本年は国連創設七十五周年であり、ますますその役割は大きくなっています。
我が国としては、国連の行動を支援しつつ、人間の安全保障の理念の下、SDGs達成に向けて国内外の具体的な課題克服へのリーダーシップ発揮を求めたい。
さらに、世界で保護主義的な動きがある中、日本がTPP11や日EU・EPAなど、自由で公正な経済連携協定の締結を協調を旨として主導してきたことを高く評価いたします。
去る二十三日に署名した英国との新たな包括的経済連携協定は経済関係の緊密化と多国間協調につながるものであり、今国会での承認手続を急ぐべきです。
これからの外交課題における国際協調と日本の貢献について、総理の御見解を伺います。
十月二十五日、核兵器禁止条約が五十か国の批准を達成し、九十日後の来年一月二十二日に発効することが決まりました。
いかなる場合も核兵器の使用を禁止するとの規定には、核廃絶を目指す上で歴史的に大きな意義があります。
公明党は、先日、核廃絶に向けての緊急要望を政府に提出しました。
要望では、延期されているNPT運用検討会議について、次の会議が開催された際に成果文書が採択されるよう合意形成に貢献することや、米ロの新戦略兵器削減条約、いわゆる新STARTの延長と、対象分野や中国などを含めた枠組み拡大の道を開くこと、そして核兵器禁止条約発効後に開催される締約国会合へのオブザーバー参加など、我が国の貢献の在り方を更に検討していくよう求めました。
国連の中満泉事務次長との会談の際、中満氏は、核廃絶という目的の根っこは共有しているというメッセージが唯一の戦争被爆国である日本から出てくることが重要だと強調されましたが、全く同感です。
核兵器禁止条約の発効が確実となった今、私は改めて広島、長崎への締約国会合招致を求めたいと思います。
公明党は、日本が核兵器国と非核兵器国との真の橋渡しの役割を担い、核軍縮を進め、核廃絶に向けた国際社会の取組をリードする重要な使命を有していると考えます。
核廃絶に向けた総理の御決意を伺います。
最後になりますが、コロナ禍の影響は今なお国民生活に広く深く及んでいます。
特に、年末に向けては企業業績や雇用情勢の行方が注視されるところであり、引き続き国民生活を断じて守り抜くとの決意で、あらゆる事態に備えた万全の対応が必要となります。
公明党は、未曽有の危機を乗り越え、安心と活力ある日本の未来を開くため、これまで克服できなかった課題を解決し、国民本位の政策実現により一層取り組んでいくことを改めてお誓い申し上げ、私の代表質問を終わります。
第201回[参] 本会議 2020/01/24 3号
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公明党の山口那津男です。
私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました施政方針演説等に対し、安倍総理並びに関係大臣に質問いたします。
二〇二〇年代の幕開けとなる本年は、日本の未来を開く重要な一年のスタートとなります。
今国会では、まず、日本が直面する重要課題である防災・減災、復興や全世代型社会保障制度の構築、新たな経済成長の基盤強化を大きく前に進めるため、これらが盛り込まれた一九年度補正予算案と二〇年度予算案の早期成立に全力を挙げてまいりたい。
これこそが最大の経済対策となります。
そして、これらの課題は、二〇二〇年だけにとどまらず、これからの日本を展望する上でも重要な取組の柱であり、この十年間が日本の将来を決定付けると言っても過言ではありません。
また、これらの課題を包含した国連の持続可能な開発目標、いわゆるSDGsや地球温暖化対策の国際的な枠組みであるパリ協定の目標達成年次は十年後の二〇三〇年となっており、その初年度に当たる本年の取組が正念場となります。
加えて、本年は、五十六年ぶりの東京五輪・パラリンピックが控えています。
世界の注目が日本に集まる中、多様性を尊重する共生社会の実現など、今大会の成功に向けた取組と相まって、活力と希望あふれる日本社会の構築に向けた本格的な取組を加速させなければなりません。
特に、復興五輪と位置付けられる今大会では、被災地での競技開催などを通じて災害復興を力強く進める姿を内外に発信し、勇気と希望を送る大会にしてまいりたいと思います。
緊張感が高まる国際情勢にあっては、多国間協調の枠組みや国際ルールの遵守を日本が主導しつつ、SDGsや地球温暖化対策など、持続可能な社会モデルの構築を日本がリードする役割を果たしていくべきです。
初めに、二〇三〇年に向けて、本年から行動の十年がスタートするSDGsについて伺います。
昨年末に改定された日本の実施指針には、ビジネスとイノベーション、地方創生、次世代・女性のエンパワーメントの三本柱を中核とする日本のSDGsモデル展開の加速化が掲げられています。
そして、地方自治体や民間企業など多様な担い手が一体となったオールジャパンでの取組が必須であるとして、公共と民間の垣根を越えた連携の推進が重要と指摘されています。
これまでSDGs推進に向けて民間団体などと交流を重ねてきた公明党も同様に考えますが、こうした連携の推進を含め、SDGsの取組を進める総理の御決意を伺います。
以下、当面する諸課題について質問いたします。
人生百年時代に対応し、誰もが安心して暮らすことのできる全世代型社会保障制度の構築に向け、年金、医療、介護などの制度改革を着実に進める必要があります。
今国会では年金、介護、雇用などの法案提出が予定されていますが、順次改革を進め、若者から高齢者までお一人お一人の活躍を最大限に後押ししていくべきです。
とりわけ、少子高齢化と人口減少が同時に進む日本では、子育て世代への支援は最優先の課題です。
少子化の問題は、教育費など経済的な負担や、仕事と子育ての両立の難しさ、子育て中の孤立感や負担感、出会いの機会の減少、年齢や健康上の理由など、様々な要因が挙げられます。
重要なことは、こうした要因を着実に解決して、希望する女性や若い世代が安心して子供を産み育てられる社会をつくることです。
政府が夏までにまとめる全世代型社会保障の最終報告では、少子化対策を柱としてしっかりと位置付け、抜本的な強化に取り組むべきと考えますが、総理の御決意を伺います。
少子化が進む様々な要因がある中で、多くの方が教育費の負担軽減を望んでいます。
昨年十月から幼児教育、保育の無償化が始まり、喜びの声が多数寄せられる一方、保育の質や保育士不足などの課題も指摘されました。
そこで、我が党は、昨年末までに、幼児教育・保育の無償化に関する実態調査を行いました。
この調査の中間報告では、利用者の約九割が無償化を評価し、今後取り組んでほしい一番の政策について、約五割の方が保育の質の向上を挙げています。
また、保育の質を高めるために処遇改善が必要だと答えた事業者が約八割に上りました。
この結果を踏まえ、政府においては、保育士等の処遇改善や職員配置の改善に必要な安定的な財源確保などに取り組んでいただきたい。
さらに、共働き世帯が増える中、夜間の保育ニーズが高いことも分かりました。
夜間保育所に加え、小学校に上がってからも預け先が確保できるよう、受皿整備を進めていくべきです。
幼児教育に加え、本年四月からは、我が党が推進した私立高校授業料の実質無償化、高等教育の無償化も実現します。
これまで自治体独自で実施してきた私立高校授業料の支援は、国からの補助が加わることで、自治体における更なる拡充に向けた環境が整います。
例えば、東京都のように、子供三人以上の世帯は収入に関係なく授業料の負担軽減を行うなど、多子世帯への支援も期待できます。
高等教育無償化についても、多子世帯や中間所得世帯の負担に配慮した取組が求められています。
あわせて、高校等の専攻科についても、四月から教育の負担軽減が実施されますが、今後更なる拡充を検討していくべきです。
保育の質の向上と処遇改善、夜間保育所等への支援とともに、教育費の負担軽減への取組について、総理の答弁を求めます。
昨年は台風災害が相次ぎ、各地で甚大な被害をもたらしました。
お亡くなりになられた方々に謹んで哀悼の意を表すとともに、被害に遭われた方々に対し心よりお見舞いを申し上げます。
被災地では、今も損壊したままの自宅や仮設住宅で暮らす方々が数多くいらっしゃいます。
農林漁業者や中小事業者の方々は、厳しい状況の中、将来不安を抱えながら奮闘されています。
また、一昨年発生した豪雨、地震被害などの被災地もいまだ復興途上にあります。
被災現場のニーズや課題は常に変化し多様化しており、こうした状況にきめ細かく対応しながら、被災者が希望を持って安心した生活を取り戻せるよう全力を挙げるべきです。
昨年の台風災害において、公明党の議員は、被災現場を奔走し、そこで寄せられた数多くの声を国と地方の議員ネットワークを生かして直接政府に届けてきました。
こうした現場の声を踏まえ、被災地の早期復旧復興や次の台風襲来に備えた風水害対策を促進するための施策が、今年度補正予算案と来年度予算案に盛り込まれています。
両予算案の早期成立と円滑な執行が重要です。
また、首都直下地震や南海トラフ地震など大規模地震による広域災害も常に懸念されており、様々な緊急事態を想定した万全な危機管理体制の構築とともに、防災・減災、インフラ老朽化対策を強力に進めなければなりません。
災害からの復旧復興、風水害対策の強化などについて、総理に伺います。
被災自治体のこれまでの災害対応の経験や教訓を被災経験の少ない自治体など全国の自治体等と共有し、今後の防災対策に生かすことが重要です。
例えば、ハザードマップの住民への周知と避難につながる活用、避難情報の発令と伝達、避難所等の適正配置、災害弱者等の個別避難計画の策定など、災害対応力の強化に向け、徹底した検証と対策を進めなければなりません。
私は、昨年、台風十九号の被災地に女性議員とともに行った際、一人の女性被災者から、避難所に女性スタッフがおらず、女性ならではの相談がしにくいとの声を聞きました。
すぐさまその声を市長に届け、速やかに市内全ての避難所に女性スタッフが配置されました。
防災対策に女性の視点を生かすことは、子供や高齢者、障害者など災害弱者の視点を生かすことにもつながります。
防災計画等への反映とともに、避難所等における現場でも着実に実行すべきです。
女性の視点を生かした防災対策の充実と現場での運用を含め、災害対応力の強化について、総理に伺います。
災害に強い社会を構築する上で、産業界や学術研究機関等との連携も重要です。
近年、防災・減災に役立つ技術や製品の開発が活発化しています。
防災関連産業や研究開発等の振興は、国民の防災意識を啓発し、自助、共助を促し、発災時には国民の命と暮らしを守るとともに、早期の復旧復興にもつながります。
災害から命を守るために最も重要な視点は、防災・減災、復興を社会の主流に押し上げ、災害を我が事として捉える当事者意識を国民一人一人が持つことです。
それは、災害に強い社会の構築に向けた大きな土台となります。
そのためには、防災教育を始め、住民の避難行動につながるマイタイムラインや災害・避難カード等の活用、地域における自主防災組織、地区防災計画などの自助、共助の取組を全国各地で促進すべきです。
自助、共助、公助の力を結集し、産学官民が一体となって取組を進める防災大国日本の構築について、総理の答弁を求めます。
近年、頻発する災害や将来起こり得る大規模地震を想定した場合、ドクターヘリの重要性はますます高まっています。
公明党は、二〇〇三年の衆院選公約にドクターヘリの全国配備を盛り込むなど、生命尊厳の観点から一貫して取り組んできました。
二〇〇七年には、公明党の主導でドクターヘリ特別措置法が成立したことにより、全国配備が飛躍的に進みました。
現在、全国で五十三機が導入されましたが、まだ配備されていない地域の一つである東京都においても、導入に向けた取組が始まりました。
空白地域が解消され、実質的な全国配備が進むことを見据え、広域連携や災害時の効果的な活用ができるネットワークづくりと、それらの財政的な支援を含め、最大限のバックアップをお願いしたい。
ドクターヘリの効果的な活用の在り方と、それに向けた国の支援について、総理に伺います。
今や日本は地球温暖化の被害国です。
災害のレベルが上昇している現状を深刻に受け止め、日本が地球温暖化の防止に本気で取り組み、世界をリードしていかなくてはなりません。
そのため、我が国は二〇五〇年を視野にCO2の排出を実質なくすことを目指すべきです。
石炭火力発電については新増設を認めないなど、大胆な対策に取り組むときです。
二〇五〇年までにCO2排出実質ゼロを表明する自治体も増え、その数は五十一自治体、人口で約四千九百万人にも上ります。
こうした自治体の行動も日本全体のCO2実質ゼロ達成に向けた大きな力となります。
本年、パリ協定が本格始動しましたが、世界全体のCO2削減に貢献できる市場メカニズムのルール決定は、次のCOP26へ先送りとなりました。
政府は公平なルール作りに力を尽くすべきです。
あわせて、森林吸収源対策も重要です。
森林環境譲与税なども活用しつつ、間伐、再造林など、適切な森林整備を行うべきです。
地球温暖化対策の取組について、総理の答弁を求めます。
再生可能エネルギーの主力電源化は、電力の安定供給を支え、温暖化対策を進める重要な取組の一環ですが、普及促進に向けては送電網の空き容量不足などの課題も指摘されています。
こうした中、昨年ノーベル化学賞を受賞した吉野彰氏は、発電量が不安定な再生可能エネルギーには蓄電システムが必要不可欠であり、リチウムイオン電池や同電池を搭載した電気自動車の普及がその切り札になるとの認識を示されています。
現在、産学官連携の下、リチウムイオン電池の性能を大幅に向上させる全固体電池等の革新的な研究開発が進められていますが、こうした取組を更に加速させ、車載用としても活用できる耐久性に優れた蓄電池の普及促進に取り組むべきです。
あわせて、既存の送電網を最大限に活用しつつ、更なる増強を行うなど、再生可能エネルギーで発電された電気を最大限融通できる環境整備を進める必要があります。
再生可能エネルギーの主力電源化を進める取組について、総理の答弁を求めます。
今月十九日、日米安全保障条約は改定から六十年の節目を迎えました。
これまで日米同盟がアジア太平洋地域の平和と繁栄に果たしてきた役割は極めて大きく、北朝鮮問題など日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中にあって、その重要性はより一層高まっています。
昨年末、金正恩朝鮮労働党委員長が核実験やICBMの発射の再開を示唆したことで朝鮮半島情勢の緊張が再燃しつつありますが、こうした北朝鮮をめぐる諸課題を前に進める上でも日米の緊密な連携と同盟の深化が重要です。
政府には、米朝協議を後押ししながら、北朝鮮の完全な非核化に向けた取組を粘り強く進めていただきたい。
日米同盟の意義について改めて確認するとともに、拉致問題の解決を含め北朝鮮問題に今後どのように対処していくのか、総理の答弁を求めます。
日中両国は、今や、アジアそして世界の平和と繁栄に欠かせない大きな責任と役割を共有しています。
両国が共にその責任と役割を果たしていくことが、国際社会から強く求められているところです。
現在、中国では新型コロナウイルスが原因と見られる感染症が拡大していますが、こうしたときだからこそ、日中が情報の共有や連携を強化し、感染拡大防止に向けて協力すべきです。
春節の連休期間にも入り、訪日客の増加も予想される中、WHO、世界保健機関の動きや提言を注視しながら、政府としても万全の対策をお願いしたい。
今春には習近平国家主席の国賓としての訪日が予定されており、対抗や競争ではなく、協調と協力への日中新時代を構築していくため、その環境を双方の努力で整えていくことが重要です。
総理は、先月、韓国の文在寅大統領と約一年三か月ぶりとなる首脳会談を行いました。
旧朝鮮半島出身労働者問題などで厳しい関係が続く中、率直な話合いができたことは、関係改善に向け、前進であったと評価します。
総理が述べているとおり、韓国は元来、基本的価値と戦略的利益を共有する最も重要な隣国です。
関係改善に向けて日韓双方が努力していくことを切に望みます。
日中、日韓関係について、総理の御見解を伺います。
先月、私は、党として初めて公式にミャンマーを訪問しました。
アウン・サン・スー・チー国家最高顧問との会談では、ラカイン州情勢をめぐる人権侵害疑惑に対する適切な措置と避難民帰還のための環境整備が極めて重要であることや、ミャンマー政府が設置した独立調査団がまとめた最終報告書を真摯に受け止め、その勧告を踏まえた法的措置を速やかにとることが必要だと指摘いたしました。
ミャンマー政府は、この報告書を踏まえ、問題の捜査、訴追を進めるとしており、ミャンマー自身による責任追及に向けた重要な進展と考えます。
この度示された国際司法裁判所の仮保全措置を踏まえ、日本としても、ラカイン州の状況改善のため、公平で客観的な姿勢でミャンマーの取組を支えていただきたい。
スー・チー国家顧問からは、これまでのインフラ整備や教育などに対する日本の支援に大変に感謝するとの言葉が寄せられ、日本への信頼と期待は極めて大きいと感じました。
ミャンマーの安定と発展のための民主的な国づくり支援について、総理の御見解を求めます。
東京五輪に向けて訪日外国人の更なる増加が見込まれる中、観光先進国の実現は、内外の需要喚起や消費活性化を図る上で重要な取組となります。
我が国の訪日外国人旅行者数は既に年間三千万人を突破し、訪日外国人の旅行消費額は四兆円を超えました。
欧米など幅広い国への更なる訪日プロモーションや受入れ環境整備、地方誘客の取組とともに、観光収入の拡大に向けた訪日外国人一人当たりの旅行支出を上げるため、新たな観光コンテンツを広げることも重要です。
また、オーバーツーリズムや災害時の外国人支援などの対策強化も一層進めるべきです。
訪日外国人旅行者数六千万人の実現を目指し、まずは四千万人の着実な目標達成とともに、地方への誘客や消費額の更なる拡大に向けた取組について、赤羽国土交通大臣に伺います。
近年、日本の研究力の相対的な低迷が指摘される中、我が国の中長期的な成長を考えると、世界トップレベルの研究力を維持し、新たなイノベーションの創出を後押しする環境整備が重要です。
二〇二一年度から始まる第六期科学技術基本計画の策定に向け、積極的に準備を進めていただきたい。
中でも、若手研究者への支援は喫緊の課題です。
昨年ノーベル賞を受賞した吉野氏は、公明党の会議で、基礎研究の重要性とともに、歴代ノーベル賞受賞者がその研究を始めた平均年齢が三十歳代半ばであることに触れ、若手研究者への支援の重要性を訴えられました。
科学技術の振興は未来への投資です。
未来を担う若手研究者が、安定と自立を確保し、腰を据えて研究に専念できる環境整備を急ぐべきです。
昨年は、沖縄首里城の主要な建物が火災で焼失しました。
これを受け、政府は、世界遺産や国宝など文化財建造物の防火対策強化に向けた五か年計画を策定しました。
文化財は、日本の宝であるとともに、日本の魅力を発信し、インバウンドの更なる取り込みに向けた重要なツールでもあります。
現在、五輪開催に伴う文化プログラムとして全国各地で日本文化を紹介する日本博も行われていますが、その宝を後世に継承できるよう対策に万全を期すべきです。
科学技術立国、文化芸術立国の実現に向けた総理の御見解を伺います。
共生社会の実現に向けた取組も大きく進めなければなりません。
一昨日、私は、障害者団体の方々とお会いした際、皆様から近年のバリアフリー政策に評価をいただく一方で、まだ多くの課題が存在することを伺いました。
例えば、災害時に避難所となる学校施設、新幹線や小規模店舗などハード面のバリアフリー化に加え、鉄道、バス、タクシーなど公共交通事業者における声掛けや見守り、車椅子の乗車方法に関する事業者の習熟など、ソフト面のバリアフリーの課題も浮き彫りとなりました。
あわせて、視覚や聴覚などに障害のある人のコミュニケーション手段の確保もソフト面の課題です。
自治体レベルでは、障害者の情報取得や多様なコミュニケーション手段を利用しやすい環境整備に向けた条例の制定も進んでおり、国においても、言語や情報伝達手段の法的位置付けを始め必要な体制整備などを盛り込んだ法整備の検討を進めるべきと考えます。
先日お会いした日本パラリンピック委員長の河合純一さんは次のように述べています。
オリンピックが平和の祭典とよく言われますが、パラリンピックは人間の可能性の祭典だと思います。
また、英語のimpossibleは不可能との意味ですが、iとmの間にアポストロフィーを入れるとI'mpossible私はできるに変わります。
できないができるに変わる、パラリンピックはそれを示す舞台ですと。
東京五輪・パラリンピック大会は、真の共生社会を広げる大きな契機となるはずです。
心のバリアフリーを進め、誰もが利用しやすい社会インフラを整備することは、未来に受け継ぐべき大会のレガシーとして極めて重要です。
共生社会の実現に向けたバリアフリーの整備について、総理の答弁を求めます。
多様な人材の活躍が社会の活力の源泉です。
公明党は、いわゆる就職氷河期世代の支援に一貫して取り組んできました。
雇用状況の改善も相まって同世代のフリーター数は十年間で約三十六万人減少しましたが、現在もなお約五十万人の方が不本意に非正規雇用で働いており、約四十万人は無業です。
こうした方々が長期間厳しい現実に直面しながら奮闘されてきたことを重く受け止め、これまでの経験や能力を生かして活躍できるよう、人生百年時代を展望したキャリアアップ支援を更に進めるべきです。
政府は、昨年、同世代の正規雇用を三年間で三十万人拡大するなどの支援プログラムを策定しましたが、その実効性を高め、着実に取り組んでいただきたい。
本年四月からは、大企業における正社員と非正規雇用の不合理な待遇差が禁止されます。
就職氷河期世代を含め、非正規雇用の待遇改善につながるよう、円滑な施行に万全を期すべきです。
就職氷河期世代の支援と非正規雇用の待遇改善について、総理の答弁を求めます。
本年から地方創生第二期がスタートします。
これまでの第一期では、地方の若者の就業率や農林水産物等の輸出額が増加するなど、仕事の創生については一定の成果が出ています。
更なる地方の課題解決に向けては、これまでの実績を踏まえた実効性ある取組が重要です。
地方公共団体の主体的な取組を支援する地方創生推進交付金については、地方での就業、起業を更に進めるため、地方公共団体がより活用しやすい制度に改善すべきです。
また、地方に一定期間移住し、地域事業に従事する地域おこし協力隊は、任期終了後の定住、定着支援の強化が必要です。
加えて、地方創生の新たな潮流となるソサエティー五・〇の推進、中でも地域の課題解決策として期待されるローカル5Gについては、積極的に取り組む地方への支援を強化すべきです。
地方創生第二期の取組について、総理に伺います。
以上、当面する重要政治課題を中心に質問をいたしました。
前回の東京オリンピック・パラリンピックが開催された一九六四年は、公明党が結成された年でありました。
これからも立党の原点を忘れず、小さな声にも真摯に耳を傾け、国民の多様なニーズを政策として実現する取組を深化させながら、新たな十年を開く日本の改革に全力で取り組んでいくことをお誓いし、私の代表質問を終わります。
第200回[参] 本会議 2019/10/09 3号
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公明党の山口那津男です。
私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました所信表明演説に対し、総理並びに関係大臣に質問いたします。
令和改元より五か月余りが経過しました。
この間、新たな時代を迎えた日本のかじ取りを託す参議院選挙が行われ、自民党、公明党の与党は改選議席の過半数を超える議席を獲得することができました。
私たちは、この結果を安定した政治基盤の下で日本が直面する諸課題を力強く前に進めてほしいとの国民の期待と受け止め、将来不安の払拭や国民生活の向上につながる政策の実現に邁進してまいります。
世界に例のない人口減少と少子高齢化が進む中で、持続的な経済成長を維持し、人生百年時代に対応した社会保障制度の再構築をどのように進めるのか。
激甚化、頻発化する大規模自然災害に備えて、防災・減災対策などを計画的に進め、災害に強い国づくりを前進させることができるのか。
分断と対立を深める国際情勢の中で、対話と協調を基軸とした平和外交を推進し、国際社会の安定と繁栄にどのような貢献を果たしていくのか。
こうした目の前の課題を一つ一つ乗り越え、岐路に立つ日本の政治を大きく前に進めるためには、まさに改造内閣が掲げる安定と挑戦が必要となります。
公明党が大切にする小さな声を聴く力や、幅広い民意を政策に反映させる合意形成の力は、政治に信頼と希望を生み出し、政治の安定をつくり出す源泉と考えます。
また、国会議員と地方議員の強固なネットワークで現場のニーズをいち早く吸い上げ、生活者の視点で政策立案を進めることは、困難な課題に挑戦し、解決の糸口を見出す原動力となります。
引き続き公明党は、連立政権の一翼として安倍内閣を支え、安心と希望ある日本の未来を開くため、全力を挙げてまいります。
以下、当面する諸課題について具体的に質問いたします。
本年は、六月から九月にかけて、日本が初の議長国を務めたG20大阪サミットを始めG7や横浜で開催されたアフリカ開発会議、いわゆるTICAD7、東方経済フォーラム、国連総会など、重要な国際会議が相次いで開催されました。
安倍総理は、これらの会議において各国首脳と精力的に会談し、世界の安定と繁栄のため、分断と対立の回避に向けた努力を重ねてこられたことを高く評価いたします。
私自身も、直近では中国やトルコを訪問し、両国の関係強化の礎となる政党間の交流を深めてまいりました。
その経験を基に質問いたします。
この八月は、党訪中団として長春市や天津市などを訪れ、教育、文化交流を始め日中の安定的な発展に向けた関係強化を確認し合いました。
中央対外連絡部の宋濤部長との会談では、来春予定されている習近平国家主席の国賓としての訪日実現を成功させるため、双方が環境を整えることで一致しました。
改善基調にあるこの機を生かし、定期的な首脳往来などを通じて、様々な分野で新たな協力関係の強化に取り組んでいくべきです。
日中関係の深化に向けた総理の御決意を伺います。
先月、トルコ共和国の与党、公正発展党の招請により、公明党として初めてトルコを訪問しました。
アジア大陸の東と西の端に位置し、これまで長きにわたり友好関係を築いてきた両国は、近年、要人の往来が活発になり、経済や文化、安全保障など、幅広い分野での協力関係が進んでいます。
中でも、現在交渉中の日トルコ経済連携協定が締結されれば、更なる貿易、投資の拡大を始めインフラ整備や防災協力、民間交流の拡大など、更なる関係強化に弾みが付きます。
訪問中に会談したオクタイ副大統領からは、第三国における日本とトルコの協力関係についても言及があり、アフリカ開発での協力の可能性などにも議論が及びました。
日本、トルコの経済連携協定の早期合意とともに、地政学的な位置関係を生かした第三国での協力関係についても、TICAD7の方向性も踏まえつつ、意欲的に取り組むべきと考えます。
総理の御所見を伺います。
八月に開催されたTICAD7では、アフリカへの民間投資や人材育成の促進などが活発に議論されました。
総理が提唱する自由で開かれたインド太平洋構想が明記された横浜宣言二〇一九が採択され、その重要性について認識を共有できたことは、大きな意味があったと思います。
私も、全体会合でSDGs達成に向けた公明党の取組を報告するとともに、参加した七か国の大統領らと人的交流の促進や教育支援の強化をめぐり、有意義な会談を行いました。
一部の報道では、過剰融資で債務の返済困難に陥る問題が強調されましたが、実際、会談をしてみると、アフリカ諸国の本音は、どこの国に限らず、各国が共に協力した形で最大限の支援を求めていると感じました。
日本は、こうした意向を尊重しつつ、アフリカの平和と自立的な発展のために主導的な役割を担うべきと考えます。
TICAD7の成果とアフリカ支援の今後の取組について総理に伺います。
近年、北朝鮮の核開発問題や米国のイラン核合意からの離脱、米ロの中距離核戦力全廃条約の失効など、核を取り巻く国際情勢は一段と厳しさを増しています。
こうした中で、唯一の戦争被爆国である日本が、核なき世界へ向けた国際社会の合意形成に果たすべき役割は非常に大きいと考えます。
核兵器保有国と非保有国の橋渡し役として、公明党が被爆地開催を提唱し、継続的に活動してきた賢人会議が、NPT再検討会議とその後のプロセスを見据えた報告書を提出することになっています。
これを踏まえ、日本が来年開かれるNPT運用再検討会議での対話を促し、実質的な核軍縮に結び付ける役割を果たしていただきたい。
人工知能を備え、自動で標的を識別して攻撃の判断をする自律型致死兵器システム、いわゆるLAWSへの脅威も高まっています。
この規制に関し、国連の専門家会合が開かれ、国際人道法を遵守するなどの指針を盛り込んだ報告書がまとめられました。
法的拘束力はないものの、事実上初めて国際ルールができたことは評価に値します。
公明党は、LAWSが人間による指揮統制の範囲内に置かれるべきことを始めLAWSの規制に関する国際合意を促す提言を政府に提出しました。
人道的視点に立脚した国際規範が確立されるよう、日本が積極的に議論をリードすべきです。
核廃絶に向けた取組とLAWSへの対応について、総理の答弁を求めます。
地球温暖化に伴い、熱波や豪雨などの異常気象が深刻化する中、先般の気候行動サミットでは、グテーレス国連事務総長の呼びかけに応じて、六十五か国が二〇五〇年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすると表明。
世界でも、日本の長崎県壱岐市を含む約一千の自治体が気候非常事態宣言を議決し、温暖化対策の具体化に取り組むなど、社会の総力を挙げた対策の機運が高まっています。
日本も、省エネや再エネの主力電源化とともに、最もCO2を排出する石炭火力を含めた火力発電の削減に急ぎ取り組まなければなりません。
自治体レベルでの取組も急務です。
その鍵はイノベーションにあり、光触媒等を活用してCO2を再利用するカーボンリサイクルの実現など、研究開発の一層の推進が必要です。
現在、産学官の世界の英知がイノベーションによる気候変動対策などを議論するICEFなどの国際会議が日本で開催されています。
ここで得られた成果も生かしつつ、更なる取組を日本が主導すべきです。
地球規模で広がるプラごみ問題については、海洋プラスチックごみによる新たな汚染を二〇五〇年までになくす大阪ブルー・オーシャン・ビジョンがG20大阪サミットで合意されました。
このビジョンの実現に向けては、まず議長国である日本が、本年策定したプラスチック資源循環戦略に基づき、基本原則である3Rプラスリニューアブルの徹底などを通じてプラごみ削減に範を示すとともに、国ごとの取組を着実に進めるため、途上国の廃棄物管理に関する能力構築やインフラ整備等への支援を進めるなど、世界を牽引する取組を行うべきであります。
気候変動対策と資源循環戦略の実現並びに海洋プラスチックごみ対策について、総理の見解を求めます。
人生百年時代に対応した全世代型社会保障の構築が急がれます。
この十月より、消費税率引上げによる税収を活用して、幼児教育、保育の無償化がスタートしました。
幼稚園、認可保育所、認定こども園等のほか、公明党の主張を踏まえ、幼稚園の預かり保育や認可外保育施設も対象となっています。
一方で、現場からは、一部の認可外保育施設や私立幼稚園で質の向上を伴わない保育料の便乗値上げが行われているとの指摘や、幼稚園としての基準を満たさず無償化の対象とならない幼稚園類似施設も利用者の負担を軽減してほしいなどといった声も上がっています。
こうした中、幼稚園類似施設を独自に支援する自治体も出ており、無償化の恩恵が幅広く行き渡るよう、実態をつぶさに把握しながら、利用者の目線に立って、国としての適切な対応と必要な支援策の検討を求めます。
来年四月からは、私立高校授業料の実質無償化と高等教育無償化も始まります。
実施のための準備に万全を期すとともに、特に、大学等へ通う多子世帯や中間所得世帯について、負担に配慮した取組を更に検討すべきです。
幼児教育の無償化などの取組について、総理の答弁を求めます。
人生百年時代を展望した際、高齢者や障害者など多様な人材が活躍できる環境整備が重要となります。
現在、仕事をしている六十歳以上の多くが六十五歳を過ぎても働き続けたいと望んでいる反面、六十代後半の就業率は四六・六%、六十六歳以降も働ける制度がある企業は二七・六%にとどまります。
高齢期の就業機会を確保するため、企業や地域の取組を後押ししつつ、法改正に向けた議論を促進するとともに、高齢者が安全で安心して働けるよう、労働災害を防止する対策も欠かせません。
また、高齢者が一定以上の収入を得て働くと年金の支給を停止する在職老齢年金制度については、就労意欲を阻害するという指摘もあり、公平性に留意した上で見直すべきです。
障害者雇用については、公務部門における法定雇用率の着実な達成とともに、障害者雇用の経験がない中小企業等への支援を強化するなど、障害者がより一層活躍できる環境整備を推進すべきです。
重い障害があり、通勤や職場で介助を必要とする方については、福祉施策と労働施策の連携の下で必要な支援を実施すべく、検討を加速するよう求めます。
高齢者、障害者など、一人一人の希望や状況に応じた多様な働き方の環境整備について、総理に伺います。
就職氷河期世代等への支援に本格的に取り組まなくてはなりません。
バブル崩壊による厳しい雇用環境の下で就職時期を迎えたこの世代は、本人の希望によらず不安定な仕事に就いている方や無業の方など、様々な課題に直面しています。
新卒一括採用と年功序列の雇用慣行が根強く残る中、その枠組みに入れなかった方が再び活躍の機会を得ることは依然として難しい状況です。
引きこもりについては、四十歳から六十四歳の中高年を対象とした初の全国調査が実施され、引きこもりの状態にある方が約六十一万人に上り、その期間が七年以上経過した方が約半数を占めるなど、引きこもりの長期化、高齢化が浮き彫りとなりました。
公明党は、こうした方々のニーズに応じた丁寧な支援を行い、活躍の場を広げていくために、関係者との意見交換を行うなど精力的な検討を行い、本年五月、政府に政策提言を行いました。
これを受け、政府が策定した就職氷河期世代支援プログラムには、能力開発メニューとしてのリカレント教育の充実や支援機関によるアウトリーチ機能の強化、複合的な課題に対応できる包括支援などが盛り込まれました。
就職氷河期世代等への支援策について、総理の答弁を求めます。
今月、消費税率引上げと同時に軽減税率がスタートいたしました。
先日、都内のスーパーを視察し、実際に声を伺いました。
消費者からは、キャッシュレスポイント還元は分かりにくいとの声がある反面、キャッシュレス決済にはなじめないので軽減税率は助かりますといった率直な声をいただき、日常生活に大きな安心感を与えていると実感しました。
また、事業者からは、しっかり準備をしていたので混乱なくスタートできたという声もいただき、軽減税率対応レジの導入など早めの準備を進めたところは、おおむね円滑に実施されていることが確認できました。
軽減税率が恒久的な制度として、今後も国民生活に安心感を与え、多くの方に喜んでいただける制度となるよう、二点御提案申し上げたい。
一点目は、軽減税率対応レジの更なる導入促進です。
政府は、制度開始まで二十四万台のレジが導入され、導入の必要性が高い事業者の必要分はほぼ確保できたとしていますが、一方で、対応レジの注文が殺到し、希望するレジの契約が進まず、補助金の申請ができなかったという話も聞いています。
こうしたケースについて、実態を踏まえつつ、補助金の活用を含めた更なる支援策の検討をお願いしたい。
二点目は、複数税率下で初となる申告について、一番早い事業者が十二月末に、個人事業主は来年三月末に申告期限が訪れます。
是非きめ細やかな相談体制の構築をお願いしたい。
事業者の皆様が正しく円滑に申告、納税できるよう、各地の税務署の体制強化を図るなど万全を期していただきたいと思います。
軽減税率の定着化に向けた取組について、総理に伺います。
日本経済の持続的な成長の実現に向けては、生産性向上や人材投資を始め、潜在成長率を底上げする成長戦略の実行が極めて重要となります。
公明党は、大胆な未来への投資を成長戦略の柱として掲げ、これまで、科学技術に関する研究の推進や若手研究者の活躍促進などに取り組んできました。
今後は、少子高齢化や地球温暖化など、先進国共通の課題解決と同時に、経済成長も実現できるようなイノベーションの創出に向けて、量子技術等の世界最高水準の研究開発拠点の形成や、我が国が強みを持つ健康・医療、防災・減災、環境・エネルギー等の重点分野への研究開発投資を進めるなど、国際競争力の強化に向けた取組を積極的に推進すべきです。
また、明年開催される東京オリンピック・パラリンピック競技大会は、我が国の技術力や文化、芸術、食文化など、日本の魅力を余すことなく発信する絶好の機会でもあります。
これを契機として、インバウンド需要の取り込みや輸出力の強化などに取り組むとともに、観光、農林水産業を始めとする地域経済の活性化などを通じて、大会後の持続的な成長拡大へとつなげるべきです。
日本経済の持続的な成長に向けた取組について、総理に伺います。
先月、台風十五号が猛威を振るい、千葉県を中心に伊豆諸島を含む首都圏各地に甚大な被害をもたらしました。
改めて、お亡くなりになられた方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた方々に心よりお見舞いを申し上げます。
政府においては、台風十九号の接近に不安が募る中、一日も早く被災者の方々が安心した生活を取り戻せるよう、生活再建、損壊家屋の補修、災害廃棄物の処理、産業、なりわい再生に向けた支援に取り組むとともに、早期の復旧復興に全力を挙げていただきたい。
また、長期停電の再発防止、非常時の電源機能の強化、倒木対策、電柱等の暴風対策、情報発信の在り方など、今回の災害で浮き彫りとなった課題の徹底した検証と再発防止策も進めるべきです。
台風十五号を始め、九州北部豪雨などを含めた一連の災害対応について、十分な財源を確保し、必要な対策を講じていただきたい。
総理の答弁を求めます。
首都直下地震や南海トラフ巨大地震などの大規模災害が懸念される中、国民の命と暮らしを守るため、防災・減災、復興を社会の主流に押し上げなければなりません。
そのため、平時の防災・減災や訓練を始め、応急対策、復旧復興全体まで一貫して責任を持って切れ目なく担い、全てのノウハウが組織として集約、蓄積される防災体制を構築するとともに、ハード、ソフト両面にわたって総合的な防災・減災対策を継続的、計画的に推進し、世界一災害に強い防災大国日本を構築すべきです。
総理の御所見を伺います。
さて、昨年の補正予算などにより、学校施設等の危険なブロック塀の安全対策、公立小中学校等の普通教室や特別教室のエアコン設置が順次進められています。
昨年の臨時国会で私は、通学路や避難路沿いにあるブロック塀の安全対策とともに、災害時に避難所としても活用する学校体育館へのエアコン設置についても急ぐべきと訴えました。
その後、政府は、ブロック塀の安全対策について、予算の拡充とともに耐震診断の義務付けなどを推進し、これが後押しとなって各自治体での支援制度の整備が進んでいます。
引き続き、着実な支援制度の拡大とともに、安全対策が広がるよう、政府の支援が必要です。
学校体育館のエアコン設置については、災害時に多くの高齢者や乳幼児などが避難所に身を寄せることを考えても、その必要性は明らかです。
昨年の西日本豪雨の際には、プッシュ型支援によって、避難所となった体育館にスポットクーラーなどが設置されました。
また、緊急防災・減災事業債を活用すれば指定避難所となる体育館のエアコン設置も可能ですが、来年度までの期限です。
全国の通学路や避難路のブロック塀の安全対策や学校体育館のエアコン設置を今後どう進めていくのか、総理の御見解を伺います。
土砂災害におけるレッドゾーン対策について伺います。
ハザードマップには、地域住民がこれを活用して実効性ある避難体制をつくるなどの自助、共助を支援するとともに、行政が危険区域を把握し、防災・減災対策やハード整備などの公助を推進するという役割があります。
他方、地域によっては、ハザードマップを整備し、土砂災害特別警戒区域、いわゆるレッドゾーンの指定場所が明らかになったとしても、民有地のため放置され、管理や安全対策もなされていない場所が存在し、多くの住民の安全を脅かす状況となっています。
早期に対策を進めるため、土地所有者と防災対策の関係を含めた新たな方策を検討すべきと考えますが、国土交通大臣の答弁を求めます。
患者の救命率を大きく高めるドクターヘリについて伺います。
公明党は、地方議員との連携により、党を挙げてドクターヘリの全国配備を推進し、我が党が目標として掲げた五十機を超える五十三機の導入が四十四道府県で実現し、そのうち京都府では他府県が共同運航で領域をカバーしており、残る三都県でも早期導入の検討が進んでいます。
しかしながら、課題もまだ残されています。
夜間飛行のための環境整備やパイロットの人材確保を始め安定的な運航を支える財政支援など、国レベルでの計画的な支援が必要です。
また、隣接県によるドクターヘリの応援協定を結ぶ地域も増えています。
こうした広域連携が重複要請などに効果を発揮するとの指摘もあり、都道府県単位に縛られない広域連携に向けた後押しを国も積極的に行うべきです。
さらに、大規模災害時のルールに基づいた運用をどうするかも課題です。
東日本大震災において全国のドクターヘリが被災地に参集しましたが、指揮命令系統等の明確化などが指摘され、平成二十八年に国の運用指針が策定されました。
この指針に基づいて平時からの体制整備や関係機関との連携が実際に機能するか、訓練等を含めて即応性を高めるべきです。
こうした課題に対応する前提として、全ての都道府県での導入を完了し、運用経験を共有して相互に連携できる基盤を確立することが必要と考えます。
その上で、課題の解決に向けては、国が主導的な役割を果たし、ドクターヘリの効果的な活用や安定的な運用を支えていくべきです。
総理の御見解を伺います。
明年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催まで一年を切りました。
世界各地から多くの人が集まる東京大会の成功に向けては、全ての人の安全、安心に万全を期すため、残された課題に取り組む必要があります。
まずは、暑さ対策です。
夏季に開催される大会期間中は、選手を始め観客の方々の安全を確保するため、マラソンコースなどの路面温度の上昇を抑える遮熱性舗装の整備や道路の緑化、体感温度を下げるためのドライミスト設置などの対策が有効です。
また、期間中の選手、観客、関係者等の円滑な移動を実現するための交通渋滞対策も重要です。
大会運営や市民生活への影響を考慮し、鉄道や首都高速などの交通混雑の緩和策に取り組むとともに、そうした影響について国民、企業に広く周知するほか、テレワークなどへの支援も推進すべきです。
さらに、東京大会をきっかけとして、障害の有無などにかかわらず、誰もが相互に個性を尊重し支え合う心のバリアフリーの取組を充実させるとともに、障害者が安心して来場できるよう、バリアフリー化、ユニバーサルデザイン化を進め、共生社会の実現を促進すべきです。
東京大会に向けた取組について、総理の答弁を求めます。
最後に、一言申し上げます。
この十月五日で公明党と自民党の連立政権発足から二十年となりました。
この間、政治の安定を目指し、内外の重要課題を乗り越えるという大局観に立って、両党が協力し、合意をつくり、国民のニーズにお応えする政策の実現にひたすら取り組んでまいりました。
この政権参画当初の原点をいささかも忘れず、これまでの経験も生かしながら、真摯に誠実に国民と向き合うことによって、政権の信頼確保に努めてまいりたいと思います。
これからも公明党は、生活者の視点で困難な課題を乗り越える合意形成をつくり出し、与党としての責任を果たしゆくことを改めてお誓い申し上げ、私の代表質問を終わります。
第198回[参] 本会議 2019/02/01 4号
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公明党の山口那津男です。
私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました施政方針演説等四演説に対し、安倍総理並びに関係大臣に質問します。
二〇一九年、平成が終わります。
振り返れば、平成の始まり一九八九年は、ベルリンの壁の崩壊など国際社会が激しく揺れ動く中でのスタートでした。
東西冷戦が幕を閉じ、新たな国際秩序が模索される中で、我が国が国際社会の平和と安定にどう臨んでいくのか、世界の中の日本の在り方が問われた重大な転機であったのです。
そして、日本は、PKOへの参加を始め、国際社会の平和と安定に向けた貢献に大きな一歩を踏み出しました。
あれからおよそ三十年、平成が終わろうとする足下はどうでしょうか。
国際社会は、政治、経済、地球的な課題への対応など、まさに大きな岐路にあります。
世界各国では、保護主義やポピュリズムの危機などにさらされています。
本年から、我が国を舞台に、G20サミット、TICADⅦなど政治や経済の国際会議、ラグビーワールドカップ、オリンピック・パラリンピックといったスポーツの祭典など、国際的なイベントが続きます。
また、十月には、新天皇陛下の即位礼正殿の儀及び饗宴の儀にも海外から多数の来賓が来日されます。
このようなときだからこそ、日本が国際社会において対話による多国間協力の道を開き、協調をリードする役割と責任を担う重要な機会であり、そうした期待もあるのではないでしょうか。
昨年、世界人権宣言が七十年の節目を迎えました。
近年は、SDGsの取組も大きく進んでいます。
こうした普遍の理念や価値を更に現実の政治にも反映させることが重要です。
そして、人類益あるいは地球益にも通じる国際的な取組は、即、日本の国益にも相通ずるものであります。
公明党は、生命、生活、生存を最大限に尊重する人間主義の理念、中道主義を掲げ、平成のその先の時代にあっても、分断のない社会へ、世界の平和と安定へ全力を挙げてまいります。
以下、当面する課題について具体的に質問いたします。
経済の再生と好循環を実現する、六年前の自公連立政権発足時の最も重要な政策課題でした。
それが今やどうでしょうか。
日本経済は着実に回復を続け、女性や高齢者を含め雇用環境は大きく改善、賃上げも五年連続して高水準で推移しています。
連立政権で進めてきた働き方改革も、本年いよいよ本格的に動き出します。
有言実行、確かな成果を収めつつあります。
しかし、気を緩めてはなりません。
まだまだ課題は残されています。
また、米中間の貿易摩擦など世界経済の先行きにも注視が必要です。
経済の好循環に向けて、賃上げの更なる拡大など、確かな経済財政運営を総理には求めたい。
総理の答弁を求めます。
子供からお年寄りまで安心の全世代型社会保障を構築しなければなりません。
本年十月の消費税率引上げ分の一部を活用し、教育無償化や年金の福祉給付金、介護保険料の軽減などが図られ、その基盤は大きく強化されます。
万全な準備を求めます。
持続的な社会保障を守るためには、安定した財源が欠かせません。
全ての世代が将来にわたって安心して暮らせる日本をつくるため、そして将来世代に負担を先送りしないため、総理が施政方針演説で述べられたとおり、消費税率引上げはどうしても必要です。
改めて、消費税の意義と税率引上げについて、総理の明確な答弁を求めます。
その上で、政府には、消費税がなぜ必要なのか、国民の理解を得るとともに、引上げによる景気への影響を最小限に抑える対応策が求められます。
まずは、税率引上げと同時に実施される軽減税率制度です。
買物の都度、痛税感の緩和を実感でき、低所得者ほど効果を発揮する軽減税率制度は、国民生活を守る最大の支援策です。
しかし、税率の線引きが分かりにくい、納税事務が煩雑になるといった懸念の声をいまだに耳にします。
また、税率引上げ先送り願望などもあり、中小企業や小売店を中心に、システムやレジの更新などの準備が思うように進んでいません。
懸念の払拭、支援策の周知徹底など、準備を加速化すべきです。
また、政府広報、テレビなどを活用した国民への一層の周知も重要です。
第二に、駆け込み需要、反動減対策についてです。
公明党は、税率引上げ後の家計を応援し、消費の下支えのため、低所得者や子育て世帯に配慮したプレミアム商品券を提案、政府の対策にも盛り込まれました。
プレミアム商品券は、前回の実績から、消費喚起効果があると報告されています。
発行する自治体が、地域の実情に合わせ、効果を最大限に発揮できる最も適切な方法を実施できるよう強く求めます。
また、景気への影響が大きい自動車や住宅への対策も重要です。
自動車については、長年の課題であった自動車税の恒久減税を決断するとともに、消費税対応として新たに導入される環境性能割の税率を臨時的に軽減するなどの措置を講じることとしています。
また、住宅については、住宅ローン減税の控除期間の三年間延長、すまい給付金の拡充、次世代住宅ポイントの付与といった予算、税制両面による総合的な対策を講じるなど、それぞれ税率引上げ後の購入にメリットがある環境をつくり出しています。
さらに、ポイント還元対策を含め、政府は、消費税率引上げによる影響二兆円に対し、これを乗り越えるため、総額二・三兆円の対策を講じると説明しています。
こうした対策も国民の皆様の理解がないと効果を発揮できませんが、各種対策について国民の理解、認知度を高め、一層浸透を図っていかなければなりません。
消費税引上げまで九か月。
制度設計を急ぐとともに、国民への周知を含め、準備を急ぐべきです。
軽減税率制度の円滑な実施及び平準化対策について、総理の答弁を求めます。
少子高齢、人口減少の大波を乗り越えるために成長力を底上げすること、特に日本経済を支える中小企業、地域経済が元気であることが重要です。
人工知能やロボット等の第四次産業革命の社会への組み込みを通じた大胆な生産性向上に取り組むとともに、女性や高齢者など多様な人材が活躍できる環境を整備し、また、そのマッチングを支援し、人手不足に対応する必要があります。
さらに、それを物づくりを支える地域の中小・小規模事業者まで波及させていかなければ、日本の未来は見えてきません。
中小企業の新たなチャレンジを応援してきたものづくり補助金。
公明党は、当初予算化を含む拡充を強く後押しし、中小企業投資促進税制等の拡充と併せ、生産性向上を支援してきました。
ものづくり補助金は、これまでに採択が約六万四千件を超え、数多くの事業者で活用されており、新製品の開発、販売によって売上高が増えるなど、着実に効果が表れています。
引き続き、制度の周知徹底や手続の簡素化、ワンストップ化などを通じて、より多くの企業に活用されるよう、事業者の立場に立った改善を進めるべきです。
日本の成長力底上げについて、総理の答弁を求めます。
後継問題に悩む中小・小規模事業者への事業承継支援策が大きく前進しました。
昨年四月から大幅に拡充された法人版事業承継税制は、想定をはるかに超える申請件数となり、爆発的な伸びを見せています。
また、個人事業者の事業承継についても、来年度税制改正において、事業用の土地や建物を引き継ぐ際に相続税や贈与税を今後十年間全額猶予するなどの措置を盛り込み、四月から施行される予定です。
政府においては、引き続き円滑に事業承継が進むよう、伴走型で、税制を含めた支援に取り組むよう求めます。
本年四月から大企業の働き方改革が順次実施されることに伴い、そのしわ寄せが下請事業者に及ぶことが懸念されます。
下請Gメンの調査でも、短い納期で発注すること等への懸念、金型管理の適正化などの課題もなお残っています。
昨年末、下請事業者と親企業の望ましい取引関係に関する振興基準が改正されましたが、引き続き、望ましくない商慣行などに厳正に対処し、日本特有の下請の概念を取り払うような公正な取引環境を実現すべきではないでしょうか。
あわせて、消費税の転嫁対策にも万全な体制で臨むべきです。
中小・小規模事業者への支援について、総理の答弁を求めます。
本年六月、我が国が初の議長国を務めるG20サミットが大阪で、またテーマごとの関係大臣会合も今年いっぱい日本各地で開催されます。
世界経済の先行き不透明感が増す中、議長国である日本が、ルールに基づく国際協調の枠組みを維持しつつ、世界経済の安定と繁栄に主導的な役割を果たしていくべきです。
特に、自由貿易の推進については、昨年末発効したTPP11や本日発効の日本とEUの経済連携協定など自由で公正なルール作りを主導してきた日本が、両協定を通じてその恩恵や価値を改めて世界に発信するとともに、TPP参加国の拡大やRCEP交渉の加速化に取り組むべきです。
自由貿易体制の堅持と我が国が果たすべき役割について、総理に伺います。
東日本大震災から今年三月で丸八年を迎えます。
大きな節目となる復興・創生期間が終わるまでの二年間、まさにここからが正念場です。
公明党は、これからも被災者に寄り添い、人間の復興を目指し全力を挙げてまいります。
多様化する被災地の課題解決に一つ一つ向き合いながら、復興を大きく前進させていく。
未曽有の災害を経験した東北だからこそ、震災前より、より安全で快適に過ごせる復興、活力あふれる世界が瞠目するような復興、まさに創造的復興を目指すべきです。
総理の決意を伺います。
昨年は、自然災害が相次ぎました。
近年の気候変動など、自然災害が人間の安全保障への大きな脅威となっています。
国土強靱化、防災・減災に向けて、七兆円規模の三か年緊急対策を含め、継続的な対応策を講じるよう強く求めます。
昨年九月、私は公明党として訪中した際に、中日友好協会会長の唐家セン氏とお会いしました。
その際、唐会長は次のように発言されました。
日中は、災害について協力できることがいっぱいあります、特に日本は経験、技術が進んでいるので、学ばなければならないことがたくさんあります、是非この分野は協力していきましょうと。
私は、まさに防災の分野が日中関係の強化につながる重要なテーマの一つではないかと感じました。
世界的にも、近年の異常気象等による自然災害のリスクは深刻な課題です。
様々な災害を経験し、防災・減災対策、復旧復興の取組を重ねてきた防災先進国日本が、世界の強靱化で国際社会をリードし、防災・減災について国際協力、国際貢献で果たす役割と使命はますます大きくなっていると確信します。
防災・減災への国際貢献について、総理の見解を伺います。
防災・減災にとどまらず、我が国が国際社会で果たすべき課題は多岐にわたります。
貧困、平和構築、保健、女性、防災等の地球規模課題の解決を目指す国際社会の共通目標、SDGs。
誰一人取り残さないとの理念は、一人の声を大切にしてきた公明党の姿勢とも合致します。
また、分断や対立によって不透明感が高まる中で、人間の安全保障の理念に基づいた、人に焦点を当てるSDGsの取組はますます重要であり、国際社会の隅々まで浸透するよう努めていくべきです。
我が国はSDGs先進国を目指し、政府、自治体、NGO、企業などがそれぞれの持ち味を生かし、国民の意識を高めながら目標達成へ向けて果敢に挑戦すべきです。
SDGsを通じて世界を変えていく、日本の本気度が試されています。
政府が掲げる人間中心の未来社会の実現に向けて、経済発展と社会的課題の解決を両立する持続可能な日本のSDGsモデルを世界に発信すべきではないでしょうか。
SDGsの取組について、総理の答弁を求めます。
総理は、ダボス会議において、気候変動に立ち向かうには非連続的なイノベーションが必要であると強調されました。
水素、人工光合成など、大きな技術革新への取組を一層強化することの重要性は私も大いに賛同します。
その上で、パリ協定に基づく我が国自身の目標、すなわち温室効果ガスの排出量を二〇五〇年までに八〇%削減、この目標達成に向けた長期戦略の策定も急がれます。
気候変動問題で国際的なリーダーシップを発揮していくためには、高い目標を掲げた長期戦略を今夏のG20に先立って策定し、国内外に発信していくことが重要と考えますが、総理の見解を伺います。
また、総理は、海洋プラスチックごみ対策をG20の主要テーマに取り上げるとしています。
生物や生態系、漁業や観光への影響が懸念される問題であり、地球規模での取組が欠かせません。
廃プラスチックのリユースを含む有効利用率を高めるなど、資源を最大限有効に活用する循環型社会に向けた取組を急ぐべきです。
私は、昨年の代表質問でも取り上げましたが、世界的にも関心が高まり、企業を含めた取組が始まりつつあります。
G20では、我が国が旗振り役となり、海洋プラスチックごみを減らし、処理する技術支援など、実効性のある国際協力を進める大きなチャンスと考えます。
総理の決意を伺います。
外交・安全保障問題について質問します。
先日、日ロ首脳会談が開かれ、特に平和条約締結問題について、引き続き交渉を更に前進させるよう両国外相に指示されました。
この問題は、戦後七十年以上たっても解決せず残されてきた大きな課題です。
両首脳が築き上げてきた信頼関係の上に日ロ関係を前に進めてきましたが、本格的な交渉を行う絶好の機会が巡ってきています。
政府には、平和条約締結交渉に当たって、まず北方四島の元島民の納得、そして国民の理解が得られるよう可能な限り丁寧に説明を尽くしていただきたい。
日本とロシアが平和条約を結ぶことは、二国間だけでなく、地域や国際社会の平和と安定、発展にも貢献することでしょう。
あわせて、元島民の方々に対して航空機墓参を始めとする北方四島へのより自由な往来や、双方の法的立場を害さない形での共同経済活動の実現に向けた取組にも力を注いでいただきたい。
私たちも与党の立場から政府をしっかり支えたいと思います。
総理の北方領土問題解決に懸ける決意と今後の取組を伺います。
我が国を取り巻く安全保障環境の急速な変化に応じた防衛力を整えるため、昨年末、平成三十一年度以降の防衛大綱、中期防衛力整備計画が閣議決定されました。
公明党は、与党協議にて、憲法の下、専守防衛に徹し、軍事大国にならないとの基本理念を堅持しつつ、必要な防衛力を整備するとの視点で議論に臨みました。
その結果、公明党の提案により、「いずも」型護衛艦を改修しても、憲法上保有が許されない攻撃型空母の能力を持たないことなどを含む確認書を与党間で交わし、その趣旨をそのまま閣議決定された本文にも明記させました。
政府は、不要な懸念を与えないため、国会を含めあらゆる機会を通じて国民に対して丁寧な説明をすべきです。
また、厳しい財政状況の中、社会保障など全体の予算とのバランスも十分考慮しつつ、防衛費の抑制にも努め、予算の透明化、そして約二兆円の削減目標も設定されました。
防衛大綱、中期防衛力整備計画の改定について、総理の答弁を求めます。
人間の判断が介在せずAIが自律的に標的を選択、攻撃する自律型致死兵器システム、LAWS、これが現実のものとなれば、銃の発明、核兵器の開発に続く戦争における第三の革命となってしまいます。
これに対し、NGOや科学者等から深刻な懸念の声が上がっています。
公明党としても、国際人道法や倫理上の観点からLAWSの開発は看過できません。
LAWS開発についての総理の見解を求めます。
ラグビーワールドカップ、東京オリンピック・パラリンピック、そしてワールドマスターズゲームズ。
本年、来年、そして再来年は、日本において世界のトップアスリートたちと、時間と空間、そして感動を共有できる絶好の機会となります。
日本、日本人の活躍を大いに期待するとともに、平和と文化の祭典として成功裏に終えなければなりません。
また、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックは、スポーツを通じ、我が国の共生社会、ユニバーサル社会の実現への重要な好機です。
健常者も障害者も共に一緒にスポーツを楽しむことができるよう、地域でのスポーツ環境の整備を進めることも重要です。
さらに、東京五輪に先立ち、東京都豊島区で国も支援する東アジア文化都市イベントが本日から開催されるなど、来年にかけて各地で文化芸術プログラムが実施され、五輪期間中は日本博も開催されます。
日本の文化芸術を広く世界に発信し、訪日客にも親しんでもらえるまたとない機会になるでしょう。
スポーツ、文化芸術には、人種や言語などの壁を越えて人々の心と心を結ぶ絶大な力があります。
スポーツ、文化芸術の振興について、総理の答弁を求めます。
また、パラリンピックに向けて、バリアフリーのまち、日本の姿を世界の方々に示していくために、自治体とも足並みのそろった取組を加速すべきです。
昨年は、バリアフリー法の改正で、地域の町づくりや鉄道、バスなど、公共交通機関でのバリアフリー施策が拡充しました。
しかし、まだまだ課題もあります。
例えば、車椅子に乗ったままで乗り降りができるユニバーサルデザインタクシーは広く普及しましたが、車椅子の方を乗せるのに二十分以上掛かることなどから、車椅子の方が乗車を断られたと感じる事例などもあるようです。
また、ホテルによっては、トイレや浴室の入口の幅が狭いため、電動車椅子などは利用ができないなどの事例もあります。
バリアフリー社会の実現に向けた、石井国土交通大臣の答弁を求めます。
障害者手帳について質問します。
障害を持たれる方に交付される障害者手帳については、都道府県、政令市、中核市が交付しますが、現在は紙の手帳が基本です。
障害者の方は、公共交通機関で割引を受ける場合には乗り降りのたびに窓口で手帳を提示することが求められるなど、日常生活での使用する機会は多いものの、持ち運びの不便さや汚損のおそれなどがあることから、以前からカード化を求める声が出ており、私も国会で取り上げさせていただいたこともあります。
昨年十月、社会保障審議会で自治体の選択によりカード化できる方向で了承され、ようやく厚生労働省でカード化に向けた省令改正の準備が進められているとのことです。
しかし、来年の五輪・パラリンピックに向け、政府を挙げてユニバーサル社会の実現に取り組んでいるときであり、一日も早く実際に障害者の方の手元に届くよう、自治体での発行手続が加速化されることを強く期待します。
カード化することによって、障害者の方の心のバリアが除かれるとともに、さらに、マイナンバーカードとの関連も視野に入れることにより、飛躍的に利便性が高まる社会の形成にも通じるものと確信します。
このように、利用する側の視点から課題の解決に取り組むことで、世界に誇れるユニバーサル社会の実現が可能になるのではないでしょうか。
是非、国が地方の協力も促しながらスピード感を持って対応していただきたい。
あえて総理の答弁を求めます。
最後に一言申し上げます。
妊婦の方が公共交通機関等を利用する際に身に付けているマタニティーマーク。
今では誰もが知るようになり、電車などで妊婦の方に席を譲り合う光景は当たり前となりつつあります。
未婚の一人親に対する支援策は地方自治体が独自に実施してきましたが、保育料の軽減等、厚労省の各種の施策にも寡婦控除のみなし適用が実施されるようになりました。
さらには、税制上の措置も、まずは個人住民税の非課税措置の拡充という形で今後適用されます。
現場の声、利用者の声、地方の声、こうした小さな声を拾い上げ、国と地方の役割をきちんと精査し、分担しながら必要なことを国政に反映していく。
これこそがネットワークを生かした政策を推進する公明党の重要な役割の一つです。
常日頃小さな声に真摯に耳を傾ける地方議員があればこそ、国政を大きく動かす力ともなるのです。
公明党は、こうした原点を忘れず、日本の政治を前に進めていくことをお誓い申し上げ、私の代表質問を終わります。
第197回[参] 本会議 2018/10/31 3号
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公明党の山口那津男です。
私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました所信表明演説等に対し、安倍総理並びに関係大臣に質問します。
自公連立政権発足から間もなく六年。
安定した政治の下で積み上げてきた国民のための改革を将来に向け更に深化させていく。
そのために公明党は、引き続き、与党の一翼として、日本の将来への責任感と緊張感を持って国民の負託に力強く応えてまいる決意です。
東日本大震災から八回目、熊本地震から三回目の冬を迎えようとしています。
公明党は、被災地の復興、そして福島再生へ全党を挙げて取り組んでまいります。
さて、今年に入り、大阪府北部地震、西日本豪雨、台風二十一号、北海道胆振東部地震など、大規模な自然災害が各地に甚大な被害をもたらしました。
災害でお亡くなりになられた方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、被災された全ての方々に心よりお見舞いを申し上げます。
公明党は、防災・減災ニューディールを提唱し、災害に強い国・地域づくりに取り組んできました。
しかし、地震、津波、豪雨、火山の噴火など、近年の災害の激甚化、頻発化を目の当たりにし、改めて日本全体が災害多発列島であることを認識させられました。
残念ながら、自然現象そのものは止められません。
しかし、災害を防ぐ、あるいは災害による被害を減らすことはできます。
観測情報の精度を上げる、被害を少なくする、回避する、回復を早くする、ここにこそ政治の使命と責任、役割があるのではないでしょうか。
公明党は、災害の都度、復旧を図ることを繰り返すというのではなく、防災・減災への取組を日本の政治の主流、社会の主流に押し上げるべきと考えます。
災害から国民の生命と暮らしを守る、そのために、国の体制を整え、自治体や地域の取組を強化し、そして国民一人一人の防災意識改革を進める。
いつでも災害が起こるとの前提に立ったあらゆる社会の仕組みの改革を進めるべきです。
さらには、災害の多い日本だからこそ、世界各国に対して防災・減災分野での貢献も可能ではないでしょうか。
防災・減災対策について、総理の答弁を伺います。
さて、当面する最重要の課題は、一連の災害からの復旧です。
緊急性を要する事業の早期執行に向けて、補正予算の早期成立を強く望みます。
また、台風二十一号、北海道胆振東部地震の後に起こった災害への対応、被災地の復興に向けた必要な支援措置の検討を求めます。
被災地では、いまだ多くの被災者の方々が、心身の疲労、ストレス、これからの生活不安などの中で長期にわたる避難生活を強いられています。
政府においては、一日も早く安心した暮らしを取り戻せるよう、生活再建、なりわいの再生、事業の再開のためにきめ細やかな支援の手を差し伸べていただきたい。
総理の答弁を求めます。
さて、今般の自然災害からは様々な教訓や課題が見えてきました。
今後の対策にしっかりと生かさなければなりません。
台風に伴う強風により、関西国際空港では、連絡橋の損壊や高潮による浸水などで空港が機能不全に陥りました。
北海道の地震では道内全域が停電するというブラックアウトが発生し、生活や産業など、あらゆる分野に多大な影響を及ぼしました。
さらに、これらを通じ、災害時における人の流れや物流等の輸送ルートや、機能不全となった重要インフラの代替対策の確保といった課題、さらには、大都市災害が経済社会に与える影響の大きさから、首都中枢機能のバックアップの在り方などの課題も改めて浮き彫りになったところです。
総理は、電力や空港などの重要インフラについての緊急点検を指示され、十一月末をめどに、その結果を踏まえた対策をまとめるとしています。
今般の災害による教訓、課題を専門的な知見も入れながらしっかりと検証し、中長期にわたる明確な目標を立てつつ、連続性を持った集中的な防災・減災、インフラ老朽化対策を進めていくべきです。
重要インフラを含むハード面での防災対策について、総理の答弁を求めます。
ソフト面の対策も重要です。
長期にわたる避難所での生活。
暑さ寒さ対策は万全か、段ボールベッド、トイレなどの衛生環境面の配慮はなされているか、高齢の方、女性、子供の視点は大丈夫か。
被災者一人一人の尊厳が守られる、きめ細やかな対策が重要です。
更に言えば、避難所生活から一日でも早く解放されるような対応策こそ求められます。
例えば、災害時に公的賃貸住宅の空き室、民間の空き家など、既存の住宅ストックを活用したみなし仮設住宅の提供などの仕組みも検討すべきと考えます。
その他、情報取得手段としてのスマホ等の充電可能な電源設備の確保、災害時の訪日外国人旅行者への対応など、国と地方自治体が連携し、対策を急ぐべきです。
地域防災力の向上と防災意識の改革も欠かせません。
特に、ハザードマップやタイムラインなどを整備し、災害時の避難対策と連動させることや、地域防災力を軸としたコミュニティー活性化を図るべきです。
地域住民による自主防災組織を整備し、訓練や備え、自主防災マップの作成、さらには、防災リーダーや消防団など、地域の防災人材の確保と育成も不可欠であると考えます。
以上、ソフト対策、地域防災力の向上について、総理の見解を求めます。
今年の夏、日本列島は記録的な猛暑に見舞われました。
熱中症対策として、学校教室のエアコン設置が急がれます。
また、児童生徒の安全を守る観点から、倒壊のおそれある危険なブロック塀の除去、改修も急務であり、これらの対策が補正予算に盛り込まれたことを高く評価したい。
予算成立後は、ブロック塀対策は速やかに、エアコンは来年の夏までに確実に設置できるよう、設置主体である自治体と連携し、取組が加速されるよう強く望みます。
公明党は、早くからエアコンの学校教室への設置を訴えてきました。
今から二十七年前の平成三年、公明党のある地方議員が過去の気温上昇を比較調査し、それを根拠に学校のエアコン設備を議会で粘り強く主張し続け、実現。
その自治体は、現在、全小中学校でエアコンが設置されました。
私も、改めて気象庁のデータを確認しました。
七月、八月の東京の平均気温について十年間平均で比較したとき、直近と二十年前とを比べると約摂氏一・三度、明治八年の統計開始の頃と比べると約摂氏二・五度上昇しています。
また、文部科学省の調査の結果でも、教室内の温度が子供たちの学習意欲や効率や成績にまで影響を与えることが明らかになっています。
設置は必須です。
当面、未設置の普通教室が優先されますが、今後、整備状況を見極めつつ、特別教室や災害時の避難所となる体育館等への整備も大きな課題と考えます。
一方、ブロック塀ですが、宮城県では、昭和五十三年の宮城県沖地震の教訓を踏まえ、県内の市町村でブロック塀の撤去と生け垣等への改修に対する助成制度をスタート。
危険なブロック塀を点検、調査し、所有者等への継続的な訪問で改善指導を続けています。
着実に実績を積み上げた結果、東日本大震災ではブロック塀の倒壊による犠牲者は一人も確認されませんでした。
今般の大阪での地震を教訓に、各地の地方自治体での取組が大きく広がりを見せています。
さらに、学校施設だけでなく、通学路や緊急避難道路などのブロック塀の対策も政府は検討を急ぐべきと考えます。
総理の見解を伺います。
あわせて、通学路など一般道路でのブロック塀の安全対策について、石井国土交通大臣の答弁を求めます。
安倍総理は、新内閣の発足に当たり、全ての世代が安心できる社会保障制度へと改革を進めていくと宣言されました。
これまでも、社会保障と税の一体改革のほか、連立政権において、一億総活躍社会、働き方改革、さらには教育の無償化など、全世代に通じた社会保障関連施策を着実に進めてきたところです。
その上で、将来世代への責任として、人口減少社会、人生百年時代、さらには団塊ジュニアの世代が高齢者になる二〇四〇年頃を見据えた持続的な社会保障制度の姿を示していくことが求められています。
年齢にかかわらず意欲と能力に応じて活躍できる生涯現役社会の実現は、個人はもとより、地域や社会全体に活力をもたらすものです。
中でも、働く場は、現在六十五歳までになっている継続雇用や定年延長の在り方、さらには高齢者の再就職、起業支援などについて、早急に検討し、整備を進めていくべきではないでしょうか。
年金制度も、働き方の多様化に対応するため、本人の希望による受給開始年齢の柔軟化や、在職老齢年金制度の見直し、厚生年金の適用拡大などを総合的に検討すべきと考えます。
予防、健康づくりの強化も重要です。
全国各地に設置されている高齢者の通いの場。
予防、健康づくりのための大切な地域の居場所であり、その数は着実に増えています。
通いの場が拡大している市町村では、単に体操の場にとどまらず、口腔ケアやフレイル対策などといった医療との連携が進められている地域も見受けられます。
地域、住民主体のこうした場を活用し、健康無関心層へのアプローチも強化しつつ、健康寿命、活動寿命の延伸につながるような取組を強化すべきです。
医療、介護、予防、健康づくりなど、社会保障の主体は地域です。
公明党は、ネットワーク政党として、地方からの改革を国で制度化する、あるいは、地方の様々な工夫、政策を横展開するという役割を担ってきました。
例えば、健康増進や介護予防に向けて、支え合いのためのポイント制度をつくるなど、地域の実情に沿った地域包括ケアの構築を我が党の議員が推進しています。
今後、さらに、国と地方自治体が連携協力しつつ、より良い社会保障の仕組みとなるよう努めていくべきです。
生涯現役社会に向けた総理の答弁を求めます。
暮らしの場、働く場である地域の持つ力を最大化するための地方創生がますます重要になっています。
公明党は、景気回復の恩恵を地方へ及ぼすことを訴えてきました。
結果、雇用や賃金の環境は大きく改善してきています。
一方で、人口減少や少子高齢化といった社会構造の変化、そしてなお続く東京一極集中の中で、地方への新しい人の流れをどのようにつくっていくのかが大きな課題です。
公明党は、まち・ひと・しごとの地方創生の中心は人であるとの観点から、例えば地方創生関係交付金を地方在住者の起業や就業にも活用できるなどの改善を進めてきました。
これをさらに、別の地域から移住してくる人の起業や就業へも支援の対象を広げるなどの対策を講じるべきです。
人が生きる地方創生へ、総理の決意を伺います。
来年十月、消費税率が引き上げられます。
そのことを前提に、幾つか申し上げます。
第一には、消費税は、急速な少子高齢化に伴い増大する社会保障費を維持するための重要な安定財源であるという点です。
引上げ時には、低所得の年金生活者に対する最大月五千円の支援給付金などが実施されます。
さらには、増収分の一部を活用し、子供たち、子育て世帯に対する幼児教育の無償化にも充てられます。
来年十月から、三歳から五歳児の全世帯とゼロ歳から二歳児の住民税非課税世帯の幼児教育の無償化を円滑に実施できるよう、自治体と連携し、準備を加速化していただきたい。
第二に、軽減税率制度の着実な実施です。
公明党が一貫して主張してきた飲食料品等を対象とする軽減税率制度が円滑に実施されるよう、国民の皆様に制度の趣旨、意義を含め丁寧な周知に努めるとともに、制度の円滑な実施に向けて、事業者を含めて準備に万全を期すよう強く求めます。
第三には、消費税率引上げに係る平準化対策であります。
前回の八%への引上げ時には、駆け込み需要、反動減が生じ、経済に大きな影響を及ぼしました。
こうした経験を生かし、経済への影響を緩和できる対策が必要です。
政府では、ポイント還元といった新たな手法による支援など、様々な検討がなされています。
キャッシュレス決済を普及させ、同時に平準化対策にも活用しようということでしょうが、実施に向けて、事業者、消費者共に混乱が起こらないよう、丁寧な制度設計を求めます。
同時に、軽減税率の対象とならない日用品など飲食料品以外の生活必需品の消費税負担についても、所得の低い人を中心に支援措置を検討する必要があります。
ばらまきを避け、できるだけ効果の高いものとするため、例えば税率引上げから一定期間使用できるプレミアム付き商品券などを検討してはどうかと考えます。
また、需要変動の大きい耐久消費財、住宅、自動車についても税制を含めた支援措置を講ずるべきであります。
以上、消費税引上げに係る対応策について、総理の答弁を求めます。
日本経済は、雇用・所得環境の大幅な改善が続くなど、緩やかな回復基調が続いています。
この戦後最長に迫る景気回復の流れを維持し、より一層拡大していくためにも、引き続き、米中の貿易摩擦や相次ぐ自然災害などが経済に与える影響を十分留意しつつ、来年の消費税率引上げに向けて積極的な対策を講ずるなど、機動的な経済財政運営に万全を期すよう求めたい。
多角的な自由貿易を促進し海外需要を取り込む、あるいは我が国の誇る技術やインフラ等の輸出を積極的に進め国際競争力を高めていく上で、TPP11や日EU経済連携協定などの推進は極めて重要です。
国と国とをいたずらに分断させる保護主義には毅然と立ち向かうべきです。
政府は、既に承認されたTPP11協定や、日EU経済連携協定などの早期発効、さらにはRCEP、東アジア地域包括的経済連携の早期交渉妥結に向けても、日本がリーダーシップを発揮し、必要な調整を主導していただきたい。
なお、国内には、日EU経済連携協定による農業への影響を懸念する声もあります。
今回の協定を契機に、我が国の農産物の輸出拡大につながるよう、地域ブランドの保護強化など必要な対策を講じるべきです。
我が国が自由貿易を推進する意義及び国内農業への対策について、総理の答弁を求めます。
AIやIoTなどの第四次産業革命が急速に広まる中、我が国においても、世界に通用する技術力を発揮し、大胆な設備投資を通じて潜在成長率を高めていく必要があります。
その鍵を握るのは、日本の屋台骨である中小企業・小規模事業者の活性化です。
現下の地域の中小企業にとっての最重要課題は、経済の好転と技術の急激な進歩による人手不足と設備の老朽化です。
こうした中小企業のニーズに応えてきたのが、公明党も強く推進してきたものづくり補助金です。
これまでも、企業のサービス開発や設備投資を後押しするなど、極めて高い効果を上げてきています。
しかし、これまでは、補正予算を財源とする一時的な制度であるため、激動する経済環境の変化への対応や事業者のニーズに対応するという意味では課題がありました。
これまでの対応に加え、ものづくり補助金の恒久化、当初予算化を進めるべきではないでしょうか。
あわせて、中小企業経営強化税制など、設備投資を後押しするための税制を延長、拡充し、事業者の攻めの投資を支援すべきと考えます。
他方、来年は、大企業の時間外労働の上限規制や消費税率の引上げを控え、下請企業へのしわ寄せが懸念されます。
引き続き、下請Gメンによるヒアリング調査を強化するなど、取引実態の把握に努めるべきです。
中小企業支援策について、総理の答弁を求めます。
世界の情勢は、不透明化、不確実性を増しつつあります。
今、大国を中心に、自国ファーストという言葉が飛び交うなど、それぞれの国益を過度に優先する傾向が見られ、また、保護主義やポピュリズムの台頭も懸念されています。
しかし、世界の平和と安定に向けては、多国間での枠組みの下、対話と協調によって国際的な秩序とルールを作っていくという基本をより重視することが今まで以上に求められているのではないでしょうか。
経済、貿易はもとより、さらには地球温暖化、海洋ごみ対策、そして防災対策等々、日本は様々な分野で国際的な秩序づくりにおける主体的、主導的な役割を担うべき立場にあるものと考えます。
また、SDGsの取組も重要です。
総理は地球儀を俯瞰する外交を展開されておられますが、日本外交の基本方針と国際社会における日本の役割について、総理の基本認識を伺います。
日中平和友好条約締結四十周年を迎えました。
去る二十五日、二十六日の両日、安倍総理は、日本の首相として約七年ぶりに中国を公式訪問されました。
習近平国家主席との会談はもとより、経済やスポーツといったあらゆる分野における両国民の交流の飛躍的な強化など、日中関係は、まさに新たな段階へと進み始めました。
公明党は、自公で政権奪還以来、与党として日中の関係改善を目指し、安倍総理の習主席宛ての親書を四たび届けてきました。
首脳往来は、日中関係を安定的に発展させるための大きな弾みとなります。
経済大国である日中両国は、国際社会に与える影響が大きいからこそ、人的往来を含むあらゆる分野の具体的な協力、交流を幾重にも重ねながら、裾野を広げ、地域及び世界の繁栄と安定のために力を注いでいくべきです。
この度の訪中の成果を踏まえ、安倍総理の答弁を求めます。
北朝鮮をめぐる情勢は、米朝首脳会談によって大きく動き出しました。
しかし、これでもって北朝鮮の核、ミサイルの脅威が去ったわけではありません。
引き続き、関係各国と連携を図りながら、朝鮮半島の完全な非核化を目指していくべきです。
所信表明演説で、総理は、日朝関係について、金正恩委員長と向き合わなければならないとし、拉致問題の解決への思いを述べられましたが、この度の訪中結果も踏まえ、日朝関係に向けた展望を含め、答弁を求めます。
次に、外国人材の受入れ拡大について伺います。
政府は、六月に閣議決定をした骨太の方針の中で、中小・小規模事業者を始めとした人手不足の深刻化を防ぐ観点から、一定の専門性、技能を有した外国人材を幅広く受け入れる仕組みの構築を決定しました。
人口減少が進み、生産人口の減少し続ける我が国において、働き手不足への対応は喫緊の課題であり、一定の外国人材の受入れの拡大は重要な選択肢の一つであります。
今国会に関連法案を提出されるとのことですが、我が国の入国管理政策上の大きな転換でもあり、丁寧かつ慎重に制度設計を進めるべきです。
例えば、これまでの技能実習を含めた既存の在留資格制度の課題と新制度との関係性、受け入れる側の地域や住民の不安、さらには、日本に来る外国人の人権や生活者としての視点への配慮など、多岐にわたる懸念や疑問の声に十分に応えていただきたい。
そして、来る人も、受け入れる側も、共に共生できる制度とすべきです。
総理の答弁を求めます。
政治は、信なくば立たずです。
さきの国会では、残念ながら、森友、加計など、政府の説明責任や公文書管理をめぐる様々な問題が大きな議論となりました。
また、一部省庁の幹部職員による不祥事、さらには、政府の府省庁の障害者雇用が法定雇用率に達していない実情も明らかになりました。
民間に義務を課し、適切に実施している自治体もある中で、政府のこの有様は言語道断です。
国民のためとの深き信念に立って行政を遂行しているならば、こうしたことが起こるはずもありません。
安倍総理は所信表明演説で、長さゆえの慢心がないかと自戒され、一層身を引き締めて政権運営に当たる決意を述べられました。
まさにその言葉どおり、襟を正し、どこまでも国民のための政治を貫き通すことを強く期待し、私の代表質問を終わります。
第196回[参] 本会議 2018/01/26 3号
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公明党の山口那津男です。
私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました施政方針演説等政府四演説に対し、安倍総理並びに関係大臣に質問します。
少子高齢・人口減少社会の波が押し寄せる我が国は、重大な岐路にあります。
この大きな変革に、自民、公明の連立政権は果敢に挑戦を続けます。
そして、一人一人が輝き、将来にわたって夢と希望が持ち続けられる社会を構築していく決意です。
人が輝き活躍できる社会、それは、高齢者も若者も、障害や難病を持つ方も、全ての一人一人の持つ可能性や能力を最大限に発揮できる社会でなければなりません。
安倍内閣が進める一億総活躍社会の実現、働き方改革、人づくり革命、生産性革命の目的もそこにあります。
全世代型の社会保障を構築し、持続可能な社会保障制度を次世代に確実に引き継ぎます。
そして、誰もが生きがいを持って生活ができる、地域が支え合う共生社会を目指します。
安倍内閣発足から五年。
公明党は、連立与党にあって、これからも、生命、生活、生存を最大限に尊重する人間主義の理念をあらゆる政策の立案、遂行の根幹に据えて、政治を前に進めます。
以下、具体的に質問します。
経済が大きく好循環し始めました。
今年は、デフレからの脱却の大きなチャンスです。
広く景気回復の実感が得られるよう、更なる賃上げを継続、加速させるなど、あらゆる政策を総動員していかなければなりません。
その重要な課題の一つが働き方改革です。
働く人の心身にわたる健康を確保し、日々の生活をより豊かにする、働く人の視点から長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方を実現していくことは急務の課題です。
罰則付きの時間外労働の上限規制の導入、勤務間インターバル制度の普及促進などを含む法律案の早期成立を求めます。
リカレント教育は、時代の要請であり、一億総活躍社会の実現、特に働く意欲のある女性や高齢者の活躍の観点からも極めて重要です。
また、AI、いわゆる人工知能など技術革新のスピードの速さにも対応し、時代に即し、一人一人のライフスタイル、年齢に関係なく学び続けられる社会の構築が急がれます。
学び直しは、単に仕事に直結するスキルを身に付けるだけではありません。
生きがいや新たな気付きや自己発見の場でもあります。
こうした視点も踏まえ、継続的に学べる環境を整えるべきと考えます。
働き方改革について、総理の答弁を求めます。
昨年末、人づくり革命に向け、新しい経済政策パッケージが策定されました。
その中には、私が昨年十一月の本会議で申し上げた様々な理由でスタートラインにすら立てない方に対して温かな手を差し伸べるとの方向性も明確に記されました。
本格的な少子高齢化、人口減少社会への挑戦の大きな一歩が踏み出せたものと確信します。
政策パッケージには、幼児教育の無償化、私立高校授業料の実質無償化など、公明党の主張が多く盛り込まれています。
引き続き、ゼロ歳児から二歳児までの保育の更なる支援などについても着実に検討すべきです。
総理の答弁を求めます。
日本の物づくり社会を支えるのが中小企業です。
その中には、世界最高水準の技術力を持ち、その企業でしか作れないオンリーワンの製品や世界的シェアを保持する企業も多くあります。
まさに、日本経済の屋台骨です。
昨年十一月の本会議で、私は、優れた技術や技能を守り、次世代に継承していく攻めの取組として、事業承継問題について質問しました。
結果、株式の相続税、贈与税について、雇用要件の見直しや対象株式の上限撤廃などを図るとともに、今後十年間、承継時の納税を全額猶予し、承継時と売却、廃業時の納税額の差額を免除するなど、事業承継税制の抜本拡充が決まりました。
と同時に、ものづくり補助金の継続、事業承継を後押しする補助金、設備投資に係る固定資産税の減免措置など、支援策が大きく整備されました。
高く評価したいと思います。
今後、事業者の視点に立ったきめ細かな対応ができるよう、何でも相談できるよろず支援拠点、後継者のマッチングを支援する事業引継ぎ支援センター、そして地域の関係機関との事業承継ネットワークの機能強化など、体制整備を急ぐべきです。
また、せっかくの支援策が使われなければ意味がありません。
必要とする事業者が確実に支援策を受けられるよう、情報提供、周知徹底をしっかりと図っていただきたい。
中小企業支援策の強化について、総理の答弁を求めます。
人が輝く基盤である地域力の強化、地方創生が極めて重要です。
二〇一七年、訪日外国人観光者数は二千八百六十九万人となりました。
世界に誇れる観光立国へ、更なる飛躍を目指し、様々な施策を総動員しながら、二〇二〇年の四千万人達成へ弾みを付ける一年としていくべきです。
観光の潜在需要はまだまだ高い。
今はアジア各国からの訪日が中心ですが、欧米など幅広い国からの旅行客を増やす施策にも力を入れるべきです。
また、休み方改革と連動した国内観光の活性化も求められます。
観光の質も大切です。
最近は、地方における伝統、文化、自然に触れる体験型、交流型の観光に関心が高まっています。
魅力的な観光資源、文化財は全国各地にたくさんあります。
観光地域づくりのかじ取り役を担う日本版DMOや国立公園満喫プロジェクトなど、地方誘客の取組と連動させながら、地方の魅力が輝く戦略的な取組を強化すべきです。
訪日外国人の急拡大、航空会社間の激しい競争、空港二十四時間化などで航空業務は大幅に増大しています。
その中でも、特に、空港内の旅客の輸送、手荷物、貨物の積卸しなど、発着を裏方で支える業務の方の労働環境は、下請的な立場でもあり、大変厳しいとの声を伺いました。
観光戦略は国策です。
政府として、現場の実態を踏まえた適切な対応を求めます。
何度でも訪れたい日本へ。
観光立国への取組について、石井国土交通大臣の答弁を求めます。
地方創生について伺います。
地方創生の取組から三年。
依然、地方から東京圏への人の流れは止まっていません。
特に若者は、地元で働きたいが希望する職種が地元にはない、企業が少ないなどを理由に都市部で就職しているのが実情です。
政府は、地方大学の振興を基軸とする地方活性化に向けた法案提出を予定しています。
地方の大学、自治体、そして地方を拠点とする事業者が連携し、雇用の確保と、そこで活躍できる人材を育て送り出す仕組みが機能するよう、交付金を含めた国の支援が重要と考えます。
地方創生に向けた総理の答弁を求めます。
高齢者が住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けられるよう、医療・介護サービスに加えて、地域で見守りや支え合いなどの活動の充実が不可欠です。
神奈川県秦野市では、住民ボランティアが運営するデイサービス事業と住民主体の送迎支援サービスを組み合わせた総合事業が進んでいます。
住民ボランティアは七十代の方が中心、八十代も少なくありません。
支える側も高齢者が中心で、自身の生きがいとして活動されています。
一方、車による送迎が欠かせませんが、送迎支援サービスの担い手となったのがNPO法人です。
送迎スタッフが利用者を送り届ける車中で健康状態なども確認しながら、心身の変化に応じて地域包括支援センターや住民ボランティアなどとも情報を共有し、住民同士の支え合いによる独自のデイサービスを展開しています。
地域の多様な主体が支える側に回ることで、高齢者はサービスを利用しながら地域とのつながりを維持する。
二〇二五年に向けて、地域の状況やニーズを踏まえつつ、その地域の特性に応じた地域包括ケアシステムの深化、推進を急ぐべきです。
地域で支え合う共生社会について、総理の答弁を伺います。
生活困窮者自立支援制度は、生活保護に至っていない生活困窮者に対して包括的な支援を行う第二のセーフティーネットとして創設されました。
一億総活躍社会実現への重要な施策です。
施行から二年、新規相談者が約四十五万人、うち約六万人の方が就労、増収に結び付いています。
しかし、課題も見えてきました。
例えば、就労準備や家計支援などの事業が任意の事業であるため、地域間でばらつきが出てしまっています。
生活困窮者の社会からの孤立を防ぎ、また、生活上の課題解決による自立と社会参加に向けて、自立相談、就労準備、家計相談に係る支援が一体的に行えるようにするなど、実情を踏まえた支援体制の見直し、強化を強く求めます。
さらに、貧困の連鎖を断ち切るため、子供の学習支援のほか、生活習慣、環境などの向上にもつながるような支援を強化すべきです。
生活困窮者の自立支援の強化について、総理の見解を伺います。
昨年十月、座間市で九名の若者が殺害される凄惨な事件が起こりました。
SNSに自殺願望を投稿した被害者の心に付け込む極めて卑劣な手口に、怒りを通り越し、言葉を失いました。
死にたいという亡くなった人たちの叫びは、生きたいとの裏返しであり、助けを求めるSOSであったと思えてなりません。
特に、青少年の行き場のない悩み、心の叫びをきちんと酌み取ってあげられる体制を一刻も早く実現させなければなりません。
昨年、長野県では、LINEを活用したいじめ・自殺相談を試験的に実施しました。
既存の電話相談が年間二百五十九件であったのに対し、僅か二週間で千五百七十九人の中高生からアクセスがあり、五百四十七件に対応できたそうであります。
注目すべきは、交友関係や恋愛、学業など、身近な相談が多かったことです。
これは中高生たちが気軽に相談できたことを示しており、悩みが深刻化する前の早期解消につなげることが大いに期待されます。
サイバーパトロールの強化と併せて、こうしたSNS等を活用した相談事業を始め、悩みを抱える人が相談しやすい環境を全国各地に迅速に整備することを強く求めます。
また、SOSの出し方に関する教育を始め、社会全体で子供たちの心の不調に気付き、ケアする体制整備も急務です。
自殺対策について、総理の答弁を求めます。
今年は、東日本大震災から七年、熊本地震から二年を迎えます。
公明党は、被災者、被災地に寄り添いつつ、人間の復興へ総力を挙げるとともに、日本全体での人の命を守る防災・減災対策を不断に進めていきます。
東日本大震災からの復興については、引き続き、被災地、被災者の実情に沿ったきめ細やかな切れ目のない支援が大切です。
特に、心の復興事業や医療、福祉、介護など、身近な生活・社会保障分野への支援の充実を求めます。
あと三年で復興・創生期間は終了します。
その後、復興はどうなるのか。
特に、原発事故被害地域の方々の不安な気持ちを払拭するためにも、その先を見据えた復興の取組と将来の方向性をできるだけ早くお示しすべきではないでしょうか。
復興に向けた総理の決意をお聞かせください。
福島再生の夢と希望のプロジェクトが福島イノベーション・コースト構想です。
この構想は、廃炉研究、ロボット、水素、浮体式洋上風力などのエネルギー、さらには農業イノベーションなど、日本の未来を開くための新しい産業創出への挑戦です。
福島の方のみならず、広く国民の方にも知っていただきながら、着実に実現させていくべきです。
中でも、ロボット産業の一大研究開発拠点である福島ロボットテストフィールド内の各施設が順次開所を迎えます。
二〇二〇年には、世界ロボットサミットの競技の一部が開催される予定となっています。
これらを契機としながら、今後の地元企業の参入も含めた企業の呼び込みや雇用創出、住民帰還につなげられるよう、国としても全力で後押しをしていただきたい。
一方、福島では、農林水産物の販売不振や観光業への悪影響、また避難児童へのいじめの問題など、原発事故による風評被害や偏見、差別がいまだ根強いものがあります。
特に、福島産の農産物は、世界で最も厳しいレベルの安全検査を行い、基準値を超える放射性物質は一切出ていないにもかかわらず、消費者以上に流通業者の間で風評が根強いとの指摘もあります。
また、国民の方に対する福島の安全検査の実態、放射線に関する正確な情報の周知が不足していることも課題です。
政府は、新たに風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略を取りまとめました。
大事なことは実行力です。
福島の方々の生活の中で、また農林水産業、観光業その他あらゆる産業、なりわいの中で、目に見えての効果が如実に表れてくるよう、強力な風評被害対策の取組を求めます。
以上、福島再生、風評被害対策について、総理の決意を伺います。
地震、豪雨、水害、土砂災害、火山災害、災害の多い我が国において、国民の命と生活を守ることが政治の最優先課題です。
まずは、補正予算案、来年度当初予算案には災害復旧、防災・減災対策予算が組み込まれており、早期の成立と執行を強く求めます。
その上で、さらに、世界一安全な国を目指し、ソフト、ハードにわたる防災・減災対策を強力に推進し、災害に強い国づくりを加速化すべきです。
インフラ老朽化対策の推進とともに、インフラの損傷が軽微なうちに計画的に修繕を行うインフラメンテナンス産業を育成、発展させることも重要です。
さらに、ICT活用や研究開発の強化、推進も求められます。
防災・減災対策の強化について、総理の答弁を求めます。
誰もが訪れやすく、安心して快適に暮らすことができる、そして、誰もが持てる個性や能力を発揮できる、そうしたユニバーサル社会の実現が今こそ求められています。
それはそのまま地域社会の活性化にもつながっていくはずです。
公明党は、高齢者や障害者を始め、誰もが暮らしやすい町づくりに向け、段差の解消や鉄道駅のホームドア、内方線付き点状ブロック等の整備促進など、バリアフリー法の制定当時からその取組を強力に推進してきました。
昨年、政府は、障害当事者の意見や要望を十分に踏まえたユニバーサルデザイン二〇二〇行動計画を策定しました。
計画は、ユニバーサルデザインの町づくりとともに、障害者への差別や偏見をなくす心のバリアフリーが大きな二本柱になっています。
この計画を踏まえたバリアフリー法の改正を急ぐとともに、関連施策の見直し、実施に当たっては、引き続き、障害者とその家族、関係者など、現場の声、要望に適応したきめ細やかな配慮や工夫が求められます。
東京オリンピック・パラリンピックは、世界に誇れるユニバーサル社会実現の大きなチャンスです。
開催都市ともしっかり連携しながら、スピード感を持って推進するよう強く求めます。
総理の決意を伺います。
先日お会いした障害者スポーツの関係者はこう話されました。
障害は個性です。
健常者も障害者も差異なく、誰もが普通にスポーツに親しめる社会をつくりたい。
私は、胸が熱くなりました。
地域で誰もがスポーツを楽しめる共生社会をつくり上げていきたいと決意を新たにしました。
しかし、障害者スポーツには健常者スポーツに比べ多くの課題があることも現実です。
自分の住む地域で気軽にスポーツができるよう、施設等の環境整備、指導者や競技を支える方の育成、心のバリアを取り払う教育の充実など、総合的な取組が求められます。
障害があってもスポーツに取り組むことで、自らの可能性にチャレンジし、仲間との交流やコミュニケーションを深め、その結果、人生がより充実したものになる。
スポーツの力は絶大です。
二〇二〇年、東京パラリンピック大会に向けて、ソフト、ハード、そしてヒューマンの様々な面から支援策を強化していくべきと考えます。
障害者スポーツの推進について、総理の答弁を求めます。
また、二〇二〇年に向けては、過去の開催国が大切に引き継いできたたばこのないオリンピック・パラリンピックという伝統を継承するため、世界に恥じない実効性の高い受動喫煙対策を進めるための法案を早期に提出し、成立を図るべきと考えます。
総理の決意を伺います。
次に、外交政策について質問します。
昨年は、北朝鮮による六度目の核実験や弾道ミサイルの発射が相次ぐ中、十二月には新たな国連安保理決議が全会一致で採択されました。
前例にないレベルにまで一層高めた制裁措置であり、改めて、北朝鮮が核・ミサイル開発を続ける限り圧力を高め続けるとの国際社会の意思を反映したものです。
国際社会が一致結束し、全ての国連加盟国が、引き続き制裁の実効性を高めながら、北朝鮮に核開発を諦めさせ、対話による解決へと導くことが極めて重要です。
対北朝鮮政策について、総理の見解を求めます。
核兵器禁止条約は、国際的に核兵器を禁止する規範が確立されたという点から画期的な意義があると考えます。
一方、現実には、北朝鮮の核問題がある中で、核保有国と非保有国が共に協力、連携して当面の課題を解決しなければなりません。
我が国は唯一の戦争被爆国です。
核軍縮、核兵器のない世界実現への責任と権利を有します。
だからこそ、積極的に核保有、非保有各国間の橋渡し役として主導的な役割を果たし、そして核軍縮の結果を出していくべきではないでしょうか。
我が国の主導により、昨年十一月には、広島で第一回賢人会議が開催され、春のNPT運用検討会議に向けて提言を取りまとめることが決定しました。
核兵器のない世界実現へ、各国の協力と協調の下、現実的かつ実践的な道筋を示す取りまとめがなされるよう強く期待したいと思います。
総理の決意を求めます。
日本と中国は、昨年の国交正常化四十五周年に続き、本年は平和友好条約締結四十周年を迎え、関係改善への機運が高まっています。
昨年、公明党は訪中団を派遣し、様々な要人との会談を重ねました。
私自身、総理の親書を習近平国家主席に手渡し、与党の一員として、日中韓首脳会談や首脳往来に結び付くよう直接働きかける役割を果たすことができました。
戦略的互恵関係の下、懸案を適切に処理し、様々な分野での交流、協力関係を拡充強化しながら、未来に向かって新たな日中関係の在り方を模索すべきです。
一方、ロシアとの関係では、今年は相互に日本年、ロシア年です。
幅広い分野での相互交流、理解が深まることを強く期待したい。
昨年、私はロシアを訪問しました。
その際、要人の方々から、共同経済活動などを通じた平和条約締結交渉への強い期待が示されたところです。
北朝鮮問題での連携はもちろん、北方四島における共同経済活動、元島民の自由往来、幅広い分野での二国間協力の実行などを進めながら、引き続き、双方が受入れ可能な解決策を見出し、着実に歩みを進めていくことが重要であると考えます。
日中及び日ロ関係について、総理の見解を求めます。
地球温暖化対策に関し、温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることを目指すパリ協定の下、日本、イタリアを除くG7各国は大幅削減に向けた長期戦略を策定し、明確な方向性を打ち出しています。
我が国も、この潮流に乗り遅れることなく、長期戦略を早急に策定し、世界をリードする役割を果たすべきです。
また、海洋ごみは、地球上で増え続け、生態系や観光、漁業への影響等が懸念されています。
美しい海、地球を守るため、地球規模の対策が喫緊の課題です。
中でも、五ミリメートル以下のマイクロプラスチックは回収も困難で、人体への影響も懸念されています。
まずは、主要排出源の国や国際社会と連携し、実態把握を急ぐとともに、プラスチックなど海洋ごみの回収や発生抑制対策を講じるべきです。
地球規模の課題への取組について、総理の答弁を求めます。
最後に一言申し上げます。
SDGs、二〇三〇年に向けた持続可能な開発目標への取組が大きなうねりになろうとしています。
私は、この理念を、日本はもちろん、世界に広く浸透させることに全力を挙げていきたいと決意しています。
なぜならば、誰一人取り残さないとのSDGsの理念は、まさに公明党の理念とも合致するからであります。
ごみを拾う、捨てない、人を気遣う、思いやる、そうした小さな日常の行動の積み重ねが、SDGsの理念を一人一人の心の中に、そして地球全体へと広げていきます。
それが平和な社会の実現に通じるものと確信するものであります。
こうしたグローバルな視点と併せ、ローカル、いわゆる地域の視点も重要です。
人が住み、働き、そして日々生活する地域にこそ、様々な政策の課題とその解決に向けたヒントがあります。
公明党結党以来、粘り強く訴え続けてきた福祉の拡大への挑戦は、まさに地方議会から始まりました。
それが今や、政治のど真ん中に福祉が位置付けられました。
公明党は、これからも国と地方のネットワークを生かしながら、地域の現場に根差し、国民のための政治を貫くことをお約束し、私の代表質問を終わります。
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