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山口那津男
参議院 東京
公明党
昭和27年7月12日茨城県ひたちなか市に生まれる。茨城県立水戸第一高等学校を経て同53年東京大学法学部卒業○昭和57年4月弁護士登録(東京弁護士会)。同63年日弁連調査室嘱託。平成2年2月から同8年10月まで衆議院議員を2期6年半務める。同5年8月より同6年5月まで防衛政務次官。平成13年より参議院議員、行政監視委員長、党国対委員長及び政調会長等を歴任○現在外交防衛委員会、国家基本政策委員会各委員、公明党代表
山口那津男
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我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会
外交防衛委員会
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国家基本政策委員会
国家基本政策委員会合同審査会
国家基本政策委員会合同審査会(党首討論)
国土交通委員会
財政金融委員会
懲罰委員会
内閣委員会、農林水産委員会連合審査会
農林水産委員会
本会議
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第203回[参] 本会議 2020/10/30 3号
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公明党の山口那津男です。
私は、公明党を代表して、菅総理の所信表明演説に対し、総理並びに関係大臣に質問いたします。
菅内閣の発足から一か月以上が経過しました。
この間、やるべきことをスピード感を持って実行する新内閣の政治姿勢に国民から大きな期待が集まっています。
まさしく国民のために働く内閣として着実な成果を上げられるよう、政府・与党が一致協力して内外の重要課題の解決に全力で取り組んでまいりたいと思います。
新政権の発足に当たり、公明党は自民党と新たな連立政権合意を交わしました。
この中には、新型コロナウイルス感染症の影響から国民生活を守り、経済を成長軌道に回復させることを始め喫緊の課題であるデジタル化の推進、少子化の克服、防災・減災、復興、脱炭素社会の構築など、我が国が乗り越えなければならない優先課題への対応が盛り込まれています。
この政権合意に基づき、どこまでも国民の悩みに寄り添い、真摯に耳を傾けながら、困難な課題を一つ一つ解決してこそ、国民の信頼を獲得し、安定した政権運営と国民が待望する改革が成し遂げられるものと考えます。
公明党は、国民目線で改革を進める菅内閣を支え、将来に希望と安心の持てる日本をつくるため、全力を挙げてまいります。
以下、政権合意に盛り込まれた重要課題を中心に質問いたします。
初めに、これから冬を迎えるに当たり、新型コロナウイルス感染症の検査体制の充実と季節性インフルエンザとの同時流行に備えた対策について伺います。
感染症から国民の命と生活を守るため、社会的活動、経済的活動を維持しながら感染拡大を抑え込むことが求められています。
そのためには、検査が必要な人が迅速に検査を受けられるよう体制を拡充しなければなりません。
感染が広がる地域においては、医療機関や高齢者施設等で一斉に定期的な検査を実施することが可能となりました。
また、重症化リスクの高い高齢者や基礎疾患のある方が希望する場合、検査費用を国が補助する仕組みもできています。
今後、一日二十万件の検査体制を確保するに当たり、どの地域でも必要な検査が幅広く実施できるよう、国は準備状況を把握しつつ、体制整備が進んでいない自治体への支援など、適切な対策を講じるべきです。
あわせて、季節性インフルエンザと新型コロナの同時流行に備えた対策も急務です。
今後、発熱患者が増加することを想定し、医療機関に対し財政的な支援や個人防護具の無償配布などを実施し、適切に検査と診療ができる体制を速やかに整備しなければなりません。
検査体制の充実や季節性インフルエンザとの同時流行に備えた取組をどう進めていくのか、総理に伺います。
今、国民が期待する新型コロナワクチンの確保と接種体制の整備について伺います。
公明党は、海外開発のワクチン確保に加えて、国産ワクチンの開発も強力に推進してきました。
政府においては、安全で有効なワクチンを一日も早く全ての国民に提供できるよう、引き続き最重要課題として取り組んでいただきたい。
接種体制の整備については、国が主導し、身近な地域で迅速かつ円滑に受けられるよう万全を期すべきであります。
あわせて、希望する人が安心して接種できるよう、国が積極的に安全性、有効性について分かりやすく発信することも大切です。
一方で、世界規模で広がる感染拡大を防ぐには、発展途上国への支援も不可欠です。
発展途上国を含めてワクチンを幅広く供給する国際枠組み、COVAXファシリティーへの参加を公明党は政府に強く求めてきました。
こうした中で、日本が先進国の中でいち早くCOVAXへの参加を表明したことは関係機関から高く評価されています。
引き続きワクチンの開発と公平な分配に向けて、日本が世界を牽引するリーダーシップを発揮していただきたいと思います。
ワクチン確保や接種体制の整備が万全か、総理に伺います。
菅内閣が真正面から取り組む少子化対策について伺います。
二〇一二年に民主党、自民党、公明党の三党で合意した社会保障と税の一体改革では、年金、医療、介護に加え、新たに少子化対策が社会保障の柱の一つとなりました。
さらに、二〇一七年には消費税増収分の使い道を見直し、幼児教育の無償化や低所得者に対する大学など高等教育の無償化を実現し、加えて、私立高校生の授業料実質無償化を含め、全世代型社会保障の構築に向けて大きな一歩を踏み出しました。
しかしながら、昨年の出生数は初めて九十万人を下回り、今年もコロナ禍の影響の下、更に下回る予測であり、少子化は予想以上の速さで進んでいます。
少子化の背景には、出会いの機会の減少や子育て中の孤立感や負担感、子育てと仕事の両立の難しさ、教育費を含む経済的な負担など様々な要因が挙げられますが、若い世代の希望をかなえるために、こうした要因を取り除いていくことが必要です。
深刻な少子化を克服するため、焦点となっている不妊治療への保険適用や出産育児一時金の増額を始め結婚支援や男性の産休・育休支援、仕事との両立支援、さらには、年末までに取りまとめるポスト子育て安心プランなど、少子化対策の抜本的な強化をトータルパッケージで示す必要があると考えますが、総理の答弁を求めます。
本格的支援が注目される引きこもり、八〇五〇問題への対応について伺います。
少子高齢化、人口減少が進む中、八十代の親が引きこもりの五十代の子供を養う八〇五〇問題や介護と子育てを同時に担うダブルケアなど、個人や家族が抱える生きづらさやリスクが複雑化、多様化しています。
こうした複合的リスクに社会全体で対応するため、様々なニーズや生活上の課題を受け止める包括的支援体制の整備が急務です。
本年六月に成立した改正社会福祉法では、断らない相談支援を含む重層的支援体制整備事業が創設されました。
来年四月から本格的にスタートするこの制度は、国民が最も身近に感じ、菅政権が立ち向かう縦割り打破の象徴として、全区市町村での実施を目指すべきと考えます。
あわせて、行政のデジタル化を進める中で、給付金等の行政手続を申請主義から申請なしに届けるプッシュ型に切り替えていくことも必要です。
引きこもり、八〇五〇問題の支援について、総理の答弁を求めます。
切実な課題である自殺対策について伺います。
自殺者数は本年七月以降、昨年同時期と比べて三か月連続で増加。
特に、本年八月は三十代以下の女性の自殺者が七四%も増えており、看過できない状況です。
こうした中、SNSを活用した相談事業も利用者が増加傾向にあり、十分な対応が必要です。
対応の質を担保しつつ相談員を増やすことや、相談から個々の問題解決へ具体的支援につなげることが大切です。
さらに、コロナ禍が女性の雇用や生活に与える影響を早急に把握し、女性の自殺要因を分析した上で適切な対策を講じるべきです。
あわせて、インターネット上の誹謗中傷対策も重要です。
公明党は、本年六月に提言を政府に提出し、誹謗中傷の書き込み削除や加害者情報の開示促進、情報モラル教育や啓発普及、相談体制の強化、侮辱罪を始めとする刑事罰の見直しなど、早急な対策を求めました。
自殺対策やインターネット上の誹謗中傷対策にどう取り組むか、総理の答弁を求めます。
腰を据えて取り組むべき防災・減災対策について伺います。
昨年は台風災害が相次ぎ、今年も七月豪雨により、熊本県を始め九州や中部、東北など、各地で甚大な被害をもたらしました。
お亡くなりになられた方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた全ての方々に心よりお見舞いを申し上げます。
近年の気候変動等の影響により甚大化する風水害対策の強化は喫緊の課題です。
政府は、新たな取組として、全国の百九の一級水系を対象とした流域治水プロジェクトを表明しました。
プロジェクトの策定、実行に当たっては、縦割りを打破し、国と地方のみならず企業や住民も巻き込み、流域全体の関係者が一体となってハード、ソフトにわたる水害に強い地域づくりを着実に進めていくべきです。
加えて、高齢者や障害者の実効性ある避難支援、電気、ガス、水道、通信等のライフラインの強靱化、長期停電対策などの取組も重要です。
また、私が居住する葛飾区を含め二百五十万人が住む東京都の江東五区や名古屋、大阪などの都市部に広がる海抜ゼロメートル地帯における大規模広域避難などの事前防災対策も、国と地方が連携して急ぎ進めていくべきです。
気候変動等を踏まえた風水害対策の強化をどう図るか、総理の答弁を求めます。
私は、本年の七月豪雨の被災地、熊本に行った際、気象庁防災対応支援チーム、いわゆるJETTなど専門家による気象情報の分析や解説などを通じた市町村への支援が重要な役割を果たしたこと、また、災害発生地域において、地方気象台OBなどローカルな気象災害情報に精通した人のアドバイスが的確で有益だったことを伺いました。
防災が政治の主流となる今日、専門家の派遣とともに、受け手の市町村にも気象災害情報の専門家を育成していくことが大切です。
国の地方気象台だけでは地域のきめ細かな状況に対応し切れません。
災害が起きてからではなく、日頃から地域に精通した知識と技術を生かし、地方気象台を始め関係部門と連携しながら災害予防や避難体制の整備に当たることが望まれます。
例えば、茨城県の日立市では、天気相談所を設置し、気象予報士三人を含む専門人材を育成してきました。
百年を超える気象データの蓄積を基に地域特有の気象条件を解析し、きめ細かな気象情報を市民に提供するほか、防災対策、環境保全に取り組んでいます。
今後、こうした国と地方が連携した双方向の取組が不可欠です。
また、七月豪雨では、十一時間以上にわたって停滞した線状降水帯が球磨川流域に大規模な洪水氾濫をもたらしました。
早期避難に直結する線状降水帯の観測、予測技術の向上は喫緊の課題です。
気象災害情報の専門人材を生かした国と地方の双方向の地域防災力強化と線状降水帯の観測、予測技術の早期向上にどう取り組むか、国土交通大臣の答弁を求めます。
いよいよ全国配備が整うドクターヘリについて伺います。
救急医療や災害時対応など、国民の命を守るドクターヘリの役割はますます高まり、年間出動件数は増加し続けています。
公明党は、ドクターヘリの全国的、安定的な運営を確保し、効果的な活用が可能となるよう、一貫して取り組んできました。
これにより、現在未導入である東京都や福井県においても、令和三年度から導入が予定されています。
残る香川県も導入が視野に入り、京都府は近隣府県との広域的カバーができております。
今後は、こうした新規導入の財政支援に加え、人件費や飛行時間に応じて補助金を増額するなど、全国システムの充実が望まれます。
ドクターヘリの安定的な運航を確保するための財政支援の強化について、総理の答弁を求めます。
この夏も、九州地域における豪雨を始め世界各地で今まで経験したことのない異常気象が多発しており、気候危機への対応は待ったなしです。
新型コロナウイルスの影響により、今年のCOP26は来年に持ち越しとなりましたが、世界的な自然災害の動向を考えれば、温室効果ガス削減への流れを止めるわけにはいきません。
また、ウイズコロナ、アフターコロナを見据え、元の社会に戻すのではなく、この度の自公連立政権合意に盛り込んだように、思い切って持続可能で強靱な脱炭素社会に向け変革を促すことが必要です。
公明党は、二〇五〇年を視野に温室効果ガス排出実質ゼロを目指すことを本年一月の通常国会で提案しており、今般の総理の決断を歓迎いたします。
その上で、大事なことは具体的な取組です。
徹底した省エネや再エネの主力電源化の推進、石炭火力発電のフェードアウトやイノベーションの創出など、政策を総動員して脱炭素社会への取組を加速化させなければなりません。
そのためには、政府、自治体、経済界など、オールジャパンで推進することが不可欠です。
二〇五〇年までにCO2排出実質ゼロを表明した自治体、いわゆるゼロカーボンシティは、今や二十三都道府県、百四十四市区町村を数え、人口規模では約八千万人に達します。
一〇〇%再エネ調達を目指すRE一〇〇やESG投資など、グリーン化に取り組む企業も確実に増えています。
こうした脱炭素社会への自治体や経済界等の具体的な取組を後押しする手厚い支援が必要と考えますが、総理の答弁を求めます。
経済再生へ、ポストコロナ時代を見据えた成長戦略について伺います。
初めに、事業継続と経営改善に向けた支援についてです。
ポストコロナ時代の社会経済活動は、感染拡大防止に万全を期しながら、事業の再開、継続に果敢に挑戦する事業者を支援していくことが最も重要です。
特に、中小・小規模事業者に対しては、業種別ガイドラインに基づいた感染防止対策を一層支援するとともに、非対面型ビジネスモデルへの転換やテレワーク環境の整備といったデジタル化、リモート化、あるいはサプライチェーンの強靱化に向けた生産拠点の国内整備や多元化など、こうした前向きな投資を支援するための各種補助金の更なる拡充を求めます。
あわせて、サプライチェーン全体で適正な取引の実現や付加価値の向上が可能となるよう、下請取引の適正化に粘り強く取り組む必要があると考えます。
加えて、コロナの影響が長期化する中で、中堅・大企業も含め本業の立て直しや事業転換といった本格的な経営改善が課題となります。
今後は、資本性資金やファンドの活用、人材のマッチングなど、業種や企業規模ごとに異なる多様なニーズに応じた適切な支援につなげることが極めて重要です。
数ある支援が事業者の皆様にきちんと届くよう、金融機関やよろず支援拠点等を中心とした寄り添った相談支援体制を一層強化していただきたいと思います。
事業継続と経営改善に向けた支援について、総理の御見解を伺います。
次に、科学技術・イノベーション推進についてです。
コロナ禍を契機として、公衆衛生や健康・医療、気候変動、災害といった生命を守る産業分野におけるイノベーションを成長の源泉としていくことが重要と考えます。
総理が言及されたグリーン社会の実現に向けた革新的イノベーションを始め日本の高い技術力を生かし、生命を守る産業分野におけるイノベーション創出をポストコロナの成長戦略の柱に据え、投資目標を設定し、官民が連携して強力に推進していただきたい。
あわせて、我が国の研究力の抜本強化を図るため、特に、博士課程学生を含めた若手研究者の生活を支援し、キャリアパスを確保する仕組みを早急に実現するとともに、大学等によるファンドを着実に創設していただきたいと思います。
科学技術・イノベーション推進と研究環境整備について、総理の答弁を求めます。
新型コロナウイルスの感染拡大は地域経済にも甚大な影響を与えています。
国は、地域経済を支え奮闘する方々が希望を持ち安心して暮らせるよう、デジタル技術を駆使したポストコロナの地方創生を強力に推進すべきです。
とりわけ、地方におけるテレワークやサテライトオフィス等の環境整備、地方大学を含めた官民によるSTEM人材の育成は、地方のデジタル化を進める重要な取組です。
また、多くの方にデジタル化の魅力を実感してもらうためには、医療、教育、交通など、多岐にわたる分野でデータ利活用を推進するスマートシティーの構築が重要ですが、そのためには地域住民の理解と合意形成が必要となります。
先般、私が視察した福島県会津若松市は、データは市民のものという理念の下、市民が自ら同意の上でデータを提供し、成果を還元するオプトイン方式を実施し、市民の理解と協力により先進的なスマートシティーを実現しています。
このような先進モデルは、自治体の縦割りを打破し、システムの統一・標準化を進め、どの自治体に住んでいても行政サービスを届ける推進力になります。
まず福島県を震災復興、地方創生、分散型国土形成の象徴となるよう、デジタル化実証推進県として先行拠点に位置付けてはいかがでしょうか。
地方のデジタル社会実現に向けた支援策、特にデジタル庁構想に福島県を位置付けるアイデアについて、総理の答弁を求めます。
全国約九百万人の雇用を抱える観光産業も、新型コロナや豪雨災害等の影響により、大きな打撃を受けています。
事業継続や雇用維持などの支援策に加え、GoToトラベル事業などにより観光産業は回復の兆しを見せていますが、さらに、今後の需要動向や被災地の状況、現場の声も考慮してGoToトラベル事業の来年のゴールデンウイークを含めた延長、予算の増額も検討すべきです。
特に重要なことは、地域経済を支える中小のホテルや旅館、旅行業者、飲食・土産店などの経営の安定や雇用の維持とともに、生活や観光の足として地域を支え続けているバス、タクシー、鉄道、航空、旅客船等の交通事業者への一層の支援です。
また、働きながら休暇を楽しむワーケーションなどを通じた新たな旅行市場の拡大とともに、感染拡大防止の徹底や地域で展開する新たな観光ビジネスへの支援などが求められています。
こうした支援を年内に策定する政策プランに是非反映させていただきたいと思います。
今後、地域経済を支える観光復興にどう取り組むか、総理に伺います。
農林水産業の成長産業化を進める輸出拡大の取組について伺います。
政権交代時と比べて輸出額は倍増し、更なる輸出拡大に向けて、二〇三〇年まで輸出額五兆円を新たな目標とする食料・農業・農村基本計画も改定されました。
この計画に基づく輸出促進は地方活性化にもつながり、大きな起爆剤になると考えます。
しかし、担い手不足や輸出相手国・地域の規制等の諸問題に加え、新型コロナの影響による日本食の展覧会などのイベント中止や外国人観光客の大幅な減少等が農林水産業者の大きな痛手となっています。
また、小規模農家などは生産量が少ないため、海外からのニーズがあるのに輸出拡大が進まないといった課題もあります。
こうした実情を踏まえ、例えば、産地間の連携強化によって農地面積や生産量の拡大による供給力の充実を図り、販路開拓とともに輸出額を拡大していくことも必要です。
農林水産物・食品の輸出拡大に向けた当面の戦略を年末までに策定するに当たり、農林水産業の生産、加工、流通にわたって強みを生かし、弱みを打開する必要があると考えます。
農林水産業の輸出拡大に向けた支援について、総理の御見解を伺います。
先月開催された国連総会では、新型コロナウイルスの対応をめぐる米中の対立が鮮明になる中、総理は、一般討論演説において、多国間主義の重要性を強調されました。
このような状況だからこそ、多元的な価値観と対話を重視する国際協調体制を強化すべきと考えます。
貧困、格差、気候変動など地球規模の課題は未曽有の感染症拡大によってますます深刻化しています。
その問題それぞれの解決をゴールに掲げたSDGsは、本年、行動の十年をスタートしました。
SDGsの実現には多国間の取組が不可欠であり、その中心は国連です。
本年は国連創設七十五周年であり、ますますその役割は大きくなっています。
我が国としては、国連の行動を支援しつつ、人間の安全保障の理念の下、SDGs達成に向けて国内外の具体的な課題克服へのリーダーシップ発揮を求めたい。
さらに、世界で保護主義的な動きがある中、日本がTPP11や日EU・EPAなど、自由で公正な経済連携協定の締結を協調を旨として主導してきたことを高く評価いたします。
去る二十三日に署名した英国との新たな包括的経済連携協定は経済関係の緊密化と多国間協調につながるものであり、今国会での承認手続を急ぐべきです。
これからの外交課題における国際協調と日本の貢献について、総理の御見解を伺います。
十月二十五日、核兵器禁止条約が五十か国の批准を達成し、九十日後の来年一月二十二日に発効することが決まりました。
いかなる場合も核兵器の使用を禁止するとの規定には、核廃絶を目指す上で歴史的に大きな意義があります。
公明党は、先日、核廃絶に向けての緊急要望を政府に提出しました。
要望では、延期されているNPT運用検討会議について、次の会議が開催された際に成果文書が採択されるよう合意形成に貢献することや、米ロの新戦略兵器削減条約、いわゆる新STARTの延長と、対象分野や中国などを含めた枠組み拡大の道を開くこと、そして核兵器禁止条約発効後に開催される締約国会合へのオブザーバー参加など、我が国の貢献の在り方を更に検討していくよう求めました。
国連の中満泉事務次長との会談の際、中満氏は、核廃絶という目的の根っこは共有しているというメッセージが唯一の戦争被爆国である日本から出てくることが重要だと強調されましたが、全く同感です。
核兵器禁止条約の発効が確実となった今、私は改めて広島、長崎への締約国会合招致を求めたいと思います。
公明党は、日本が核兵器国と非核兵器国との真の橋渡しの役割を担い、核軍縮を進め、核廃絶に向けた国際社会の取組をリードする重要な使命を有していると考えます。
核廃絶に向けた総理の御決意を伺います。
最後になりますが、コロナ禍の影響は今なお国民生活に広く深く及んでいます。
特に、年末に向けては企業業績や雇用情勢の行方が注視されるところであり、引き続き国民生活を断じて守り抜くとの決意で、あらゆる事態に備えた万全の対応が必要となります。
公明党は、未曽有の危機を乗り越え、安心と活力ある日本の未来を開くため、これまで克服できなかった課題を解決し、国民本位の政策実現により一層取り組んでいくことを改めてお誓い申し上げ、私の代表質問を終わります。
第201回[参] 本会議 2020/01/24 3号
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公明党の山口那津男です。
私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました施政方針演説等に対し、安倍総理並びに関係大臣に質問いたします。
二〇二〇年代の幕開けとなる本年は、日本の未来を開く重要な一年のスタートとなります。
今国会では、まず、日本が直面する重要課題である防災・減災、復興や全世代型社会保障制度の構築、新たな経済成長の基盤強化を大きく前に進めるため、これらが盛り込まれた一九年度補正予算案と二〇年度予算案の早期成立に全力を挙げてまいりたい。
これこそが最大の経済対策となります。
そして、これらの課題は、二〇二〇年だけにとどまらず、これからの日本を展望する上でも重要な取組の柱であり、この十年間が日本の将来を決定付けると言っても過言ではありません。
また、これらの課題を包含した国連の持続可能な開発目標、いわゆるSDGsや地球温暖化対策の国際的な枠組みであるパリ協定の目標達成年次は十年後の二〇三〇年となっており、その初年度に当たる本年の取組が正念場となります。
加えて、本年は、五十六年ぶりの東京五輪・パラリンピックが控えています。
世界の注目が日本に集まる中、多様性を尊重する共生社会の実現など、今大会の成功に向けた取組と相まって、活力と希望あふれる日本社会の構築に向けた本格的な取組を加速させなければなりません。
特に、復興五輪と位置付けられる今大会では、被災地での競技開催などを通じて災害復興を力強く進める姿を内外に発信し、勇気と希望を送る大会にしてまいりたいと思います。
緊張感が高まる国際情勢にあっては、多国間協調の枠組みや国際ルールの遵守を日本が主導しつつ、SDGsや地球温暖化対策など、持続可能な社会モデルの構築を日本がリードする役割を果たしていくべきです。
初めに、二〇三〇年に向けて、本年から行動の十年がスタートするSDGsについて伺います。
昨年末に改定された日本の実施指針には、ビジネスとイノベーション、地方創生、次世代・女性のエンパワーメントの三本柱を中核とする日本のSDGsモデル展開の加速化が掲げられています。
そして、地方自治体や民間企業など多様な担い手が一体となったオールジャパンでの取組が必須であるとして、公共と民間の垣根を越えた連携の推進が重要と指摘されています。
これまでSDGs推進に向けて民間団体などと交流を重ねてきた公明党も同様に考えますが、こうした連携の推進を含め、SDGsの取組を進める総理の御決意を伺います。
以下、当面する諸課題について質問いたします。
人生百年時代に対応し、誰もが安心して暮らすことのできる全世代型社会保障制度の構築に向け、年金、医療、介護などの制度改革を着実に進める必要があります。
今国会では年金、介護、雇用などの法案提出が予定されていますが、順次改革を進め、若者から高齢者までお一人お一人の活躍を最大限に後押ししていくべきです。
とりわけ、少子高齢化と人口減少が同時に進む日本では、子育て世代への支援は最優先の課題です。
少子化の問題は、教育費など経済的な負担や、仕事と子育ての両立の難しさ、子育て中の孤立感や負担感、出会いの機会の減少、年齢や健康上の理由など、様々な要因が挙げられます。
重要なことは、こうした要因を着実に解決して、希望する女性や若い世代が安心して子供を産み育てられる社会をつくることです。
政府が夏までにまとめる全世代型社会保障の最終報告では、少子化対策を柱としてしっかりと位置付け、抜本的な強化に取り組むべきと考えますが、総理の御決意を伺います。
少子化が進む様々な要因がある中で、多くの方が教育費の負担軽減を望んでいます。
昨年十月から幼児教育、保育の無償化が始まり、喜びの声が多数寄せられる一方、保育の質や保育士不足などの課題も指摘されました。
そこで、我が党は、昨年末までに、幼児教育・保育の無償化に関する実態調査を行いました。
この調査の中間報告では、利用者の約九割が無償化を評価し、今後取り組んでほしい一番の政策について、約五割の方が保育の質の向上を挙げています。
また、保育の質を高めるために処遇改善が必要だと答えた事業者が約八割に上りました。
この結果を踏まえ、政府においては、保育士等の処遇改善や職員配置の改善に必要な安定的な財源確保などに取り組んでいただきたい。
さらに、共働き世帯が増える中、夜間の保育ニーズが高いことも分かりました。
夜間保育所に加え、小学校に上がってからも預け先が確保できるよう、受皿整備を進めていくべきです。
幼児教育に加え、本年四月からは、我が党が推進した私立高校授業料の実質無償化、高等教育の無償化も実現します。
これまで自治体独自で実施してきた私立高校授業料の支援は、国からの補助が加わることで、自治体における更なる拡充に向けた環境が整います。
例えば、東京都のように、子供三人以上の世帯は収入に関係なく授業料の負担軽減を行うなど、多子世帯への支援も期待できます。
高等教育無償化についても、多子世帯や中間所得世帯の負担に配慮した取組が求められています。
あわせて、高校等の専攻科についても、四月から教育の負担軽減が実施されますが、今後更なる拡充を検討していくべきです。
保育の質の向上と処遇改善、夜間保育所等への支援とともに、教育費の負担軽減への取組について、総理の答弁を求めます。
昨年は台風災害が相次ぎ、各地で甚大な被害をもたらしました。
お亡くなりになられた方々に謹んで哀悼の意を表すとともに、被害に遭われた方々に対し心よりお見舞いを申し上げます。
被災地では、今も損壊したままの自宅や仮設住宅で暮らす方々が数多くいらっしゃいます。
農林漁業者や中小事業者の方々は、厳しい状況の中、将来不安を抱えながら奮闘されています。
また、一昨年発生した豪雨、地震被害などの被災地もいまだ復興途上にあります。
被災現場のニーズや課題は常に変化し多様化しており、こうした状況にきめ細かく対応しながら、被災者が希望を持って安心した生活を取り戻せるよう全力を挙げるべきです。
昨年の台風災害において、公明党の議員は、被災現場を奔走し、そこで寄せられた数多くの声を国と地方の議員ネットワークを生かして直接政府に届けてきました。
こうした現場の声を踏まえ、被災地の早期復旧復興や次の台風襲来に備えた風水害対策を促進するための施策が、今年度補正予算案と来年度予算案に盛り込まれています。
両予算案の早期成立と円滑な執行が重要です。
また、首都直下地震や南海トラフ地震など大規模地震による広域災害も常に懸念されており、様々な緊急事態を想定した万全な危機管理体制の構築とともに、防災・減災、インフラ老朽化対策を強力に進めなければなりません。
災害からの復旧復興、風水害対策の強化などについて、総理に伺います。
被災自治体のこれまでの災害対応の経験や教訓を被災経験の少ない自治体など全国の自治体等と共有し、今後の防災対策に生かすことが重要です。
例えば、ハザードマップの住民への周知と避難につながる活用、避難情報の発令と伝達、避難所等の適正配置、災害弱者等の個別避難計画の策定など、災害対応力の強化に向け、徹底した検証と対策を進めなければなりません。
私は、昨年、台風十九号の被災地に女性議員とともに行った際、一人の女性被災者から、避難所に女性スタッフがおらず、女性ならではの相談がしにくいとの声を聞きました。
すぐさまその声を市長に届け、速やかに市内全ての避難所に女性スタッフが配置されました。
防災対策に女性の視点を生かすことは、子供や高齢者、障害者など災害弱者の視点を生かすことにもつながります。
防災計画等への反映とともに、避難所等における現場でも着実に実行すべきです。
女性の視点を生かした防災対策の充実と現場での運用を含め、災害対応力の強化について、総理に伺います。
災害に強い社会を構築する上で、産業界や学術研究機関等との連携も重要です。
近年、防災・減災に役立つ技術や製品の開発が活発化しています。
防災関連産業や研究開発等の振興は、国民の防災意識を啓発し、自助、共助を促し、発災時には国民の命と暮らしを守るとともに、早期の復旧復興にもつながります。
災害から命を守るために最も重要な視点は、防災・減災、復興を社会の主流に押し上げ、災害を我が事として捉える当事者意識を国民一人一人が持つことです。
それは、災害に強い社会の構築に向けた大きな土台となります。
そのためには、防災教育を始め、住民の避難行動につながるマイタイムラインや災害・避難カード等の活用、地域における自主防災組織、地区防災計画などの自助、共助の取組を全国各地で促進すべきです。
自助、共助、公助の力を結集し、産学官民が一体となって取組を進める防災大国日本の構築について、総理の答弁を求めます。
近年、頻発する災害や将来起こり得る大規模地震を想定した場合、ドクターヘリの重要性はますます高まっています。
公明党は、二〇〇三年の衆院選公約にドクターヘリの全国配備を盛り込むなど、生命尊厳の観点から一貫して取り組んできました。
二〇〇七年には、公明党の主導でドクターヘリ特別措置法が成立したことにより、全国配備が飛躍的に進みました。
現在、全国で五十三機が導入されましたが、まだ配備されていない地域の一つである東京都においても、導入に向けた取組が始まりました。
空白地域が解消され、実質的な全国配備が進むことを見据え、広域連携や災害時の効果的な活用ができるネットワークづくりと、それらの財政的な支援を含め、最大限のバックアップをお願いしたい。
ドクターヘリの効果的な活用の在り方と、それに向けた国の支援について、総理に伺います。
今や日本は地球温暖化の被害国です。
災害のレベルが上昇している現状を深刻に受け止め、日本が地球温暖化の防止に本気で取り組み、世界をリードしていかなくてはなりません。
そのため、我が国は二〇五〇年を視野にCO2の排出を実質なくすことを目指すべきです。
石炭火力発電については新増設を認めないなど、大胆な対策に取り組むときです。
二〇五〇年までにCO2排出実質ゼロを表明する自治体も増え、その数は五十一自治体、人口で約四千九百万人にも上ります。
こうした自治体の行動も日本全体のCO2実質ゼロ達成に向けた大きな力となります。
本年、パリ協定が本格始動しましたが、世界全体のCO2削減に貢献できる市場メカニズムのルール決定は、次のCOP26へ先送りとなりました。
政府は公平なルール作りに力を尽くすべきです。
あわせて、森林吸収源対策も重要です。
森林環境譲与税なども活用しつつ、間伐、再造林など、適切な森林整備を行うべきです。
地球温暖化対策の取組について、総理の答弁を求めます。
再生可能エネルギーの主力電源化は、電力の安定供給を支え、温暖化対策を進める重要な取組の一環ですが、普及促進に向けては送電網の空き容量不足などの課題も指摘されています。
こうした中、昨年ノーベル化学賞を受賞した吉野彰氏は、発電量が不安定な再生可能エネルギーには蓄電システムが必要不可欠であり、リチウムイオン電池や同電池を搭載した電気自動車の普及がその切り札になるとの認識を示されています。
現在、産学官連携の下、リチウムイオン電池の性能を大幅に向上させる全固体電池等の革新的な研究開発が進められていますが、こうした取組を更に加速させ、車載用としても活用できる耐久性に優れた蓄電池の普及促進に取り組むべきです。
あわせて、既存の送電網を最大限に活用しつつ、更なる増強を行うなど、再生可能エネルギーで発電された電気を最大限融通できる環境整備を進める必要があります。
再生可能エネルギーの主力電源化を進める取組について、総理の答弁を求めます。
今月十九日、日米安全保障条約は改定から六十年の節目を迎えました。
これまで日米同盟がアジア太平洋地域の平和と繁栄に果たしてきた役割は極めて大きく、北朝鮮問題など日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中にあって、その重要性はより一層高まっています。
昨年末、金正恩朝鮮労働党委員長が核実験やICBMの発射の再開を示唆したことで朝鮮半島情勢の緊張が再燃しつつありますが、こうした北朝鮮をめぐる諸課題を前に進める上でも日米の緊密な連携と同盟の深化が重要です。
政府には、米朝協議を後押ししながら、北朝鮮の完全な非核化に向けた取組を粘り強く進めていただきたい。
日米同盟の意義について改めて確認するとともに、拉致問題の解決を含め北朝鮮問題に今後どのように対処していくのか、総理の答弁を求めます。
日中両国は、今や、アジアそして世界の平和と繁栄に欠かせない大きな責任と役割を共有しています。
両国が共にその責任と役割を果たしていくことが、国際社会から強く求められているところです。
現在、中国では新型コロナウイルスが原因と見られる感染症が拡大していますが、こうしたときだからこそ、日中が情報の共有や連携を強化し、感染拡大防止に向けて協力すべきです。
春節の連休期間にも入り、訪日客の増加も予想される中、WHO、世界保健機関の動きや提言を注視しながら、政府としても万全の対策をお願いしたい。
今春には習近平国家主席の国賓としての訪日が予定されており、対抗や競争ではなく、協調と協力への日中新時代を構築していくため、その環境を双方の努力で整えていくことが重要です。
総理は、先月、韓国の文在寅大統領と約一年三か月ぶりとなる首脳会談を行いました。
旧朝鮮半島出身労働者問題などで厳しい関係が続く中、率直な話合いができたことは、関係改善に向け、前進であったと評価します。
総理が述べているとおり、韓国は元来、基本的価値と戦略的利益を共有する最も重要な隣国です。
関係改善に向けて日韓双方が努力していくことを切に望みます。
日中、日韓関係について、総理の御見解を伺います。
先月、私は、党として初めて公式にミャンマーを訪問しました。
アウン・サン・スー・チー国家最高顧問との会談では、ラカイン州情勢をめぐる人権侵害疑惑に対する適切な措置と避難民帰還のための環境整備が極めて重要であることや、ミャンマー政府が設置した独立調査団がまとめた最終報告書を真摯に受け止め、その勧告を踏まえた法的措置を速やかにとることが必要だと指摘いたしました。
ミャンマー政府は、この報告書を踏まえ、問題の捜査、訴追を進めるとしており、ミャンマー自身による責任追及に向けた重要な進展と考えます。
この度示された国際司法裁判所の仮保全措置を踏まえ、日本としても、ラカイン州の状況改善のため、公平で客観的な姿勢でミャンマーの取組を支えていただきたい。
スー・チー国家顧問からは、これまでのインフラ整備や教育などに対する日本の支援に大変に感謝するとの言葉が寄せられ、日本への信頼と期待は極めて大きいと感じました。
ミャンマーの安定と発展のための民主的な国づくり支援について、総理の御見解を求めます。
東京五輪に向けて訪日外国人の更なる増加が見込まれる中、観光先進国の実現は、内外の需要喚起や消費活性化を図る上で重要な取組となります。
我が国の訪日外国人旅行者数は既に年間三千万人を突破し、訪日外国人の旅行消費額は四兆円を超えました。
欧米など幅広い国への更なる訪日プロモーションや受入れ環境整備、地方誘客の取組とともに、観光収入の拡大に向けた訪日外国人一人当たりの旅行支出を上げるため、新たな観光コンテンツを広げることも重要です。
また、オーバーツーリズムや災害時の外国人支援などの対策強化も一層進めるべきです。
訪日外国人旅行者数六千万人の実現を目指し、まずは四千万人の着実な目標達成とともに、地方への誘客や消費額の更なる拡大に向けた取組について、赤羽国土交通大臣に伺います。
近年、日本の研究力の相対的な低迷が指摘される中、我が国の中長期的な成長を考えると、世界トップレベルの研究力を維持し、新たなイノベーションの創出を後押しする環境整備が重要です。
二〇二一年度から始まる第六期科学技術基本計画の策定に向け、積極的に準備を進めていただきたい。
中でも、若手研究者への支援は喫緊の課題です。
昨年ノーベル賞を受賞した吉野氏は、公明党の会議で、基礎研究の重要性とともに、歴代ノーベル賞受賞者がその研究を始めた平均年齢が三十歳代半ばであることに触れ、若手研究者への支援の重要性を訴えられました。
科学技術の振興は未来への投資です。
未来を担う若手研究者が、安定と自立を確保し、腰を据えて研究に専念できる環境整備を急ぐべきです。
昨年は、沖縄首里城の主要な建物が火災で焼失しました。
これを受け、政府は、世界遺産や国宝など文化財建造物の防火対策強化に向けた五か年計画を策定しました。
文化財は、日本の宝であるとともに、日本の魅力を発信し、インバウンドの更なる取り込みに向けた重要なツールでもあります。
現在、五輪開催に伴う文化プログラムとして全国各地で日本文化を紹介する日本博も行われていますが、その宝を後世に継承できるよう対策に万全を期すべきです。
科学技術立国、文化芸術立国の実現に向けた総理の御見解を伺います。
共生社会の実現に向けた取組も大きく進めなければなりません。
一昨日、私は、障害者団体の方々とお会いした際、皆様から近年のバリアフリー政策に評価をいただく一方で、まだ多くの課題が存在することを伺いました。
例えば、災害時に避難所となる学校施設、新幹線や小規模店舗などハード面のバリアフリー化に加え、鉄道、バス、タクシーなど公共交通事業者における声掛けや見守り、車椅子の乗車方法に関する事業者の習熟など、ソフト面のバリアフリーの課題も浮き彫りとなりました。
あわせて、視覚や聴覚などに障害のある人のコミュニケーション手段の確保もソフト面の課題です。
自治体レベルでは、障害者の情報取得や多様なコミュニケーション手段を利用しやすい環境整備に向けた条例の制定も進んでおり、国においても、言語や情報伝達手段の法的位置付けを始め必要な体制整備などを盛り込んだ法整備の検討を進めるべきと考えます。
先日お会いした日本パラリンピック委員長の河合純一さんは次のように述べています。
オリンピックが平和の祭典とよく言われますが、パラリンピックは人間の可能性の祭典だと思います。
また、英語のimpossibleは不可能との意味ですが、iとmの間にアポストロフィーを入れるとI'mpossible私はできるに変わります。
できないができるに変わる、パラリンピックはそれを示す舞台ですと。
東京五輪・パラリンピック大会は、真の共生社会を広げる大きな契機となるはずです。
心のバリアフリーを進め、誰もが利用しやすい社会インフラを整備することは、未来に受け継ぐべき大会のレガシーとして極めて重要です。
共生社会の実現に向けたバリアフリーの整備について、総理の答弁を求めます。
多様な人材の活躍が社会の活力の源泉です。
公明党は、いわゆる就職氷河期世代の支援に一貫して取り組んできました。
雇用状況の改善も相まって同世代のフリーター数は十年間で約三十六万人減少しましたが、現在もなお約五十万人の方が不本意に非正規雇用で働いており、約四十万人は無業です。
こうした方々が長期間厳しい現実に直面しながら奮闘されてきたことを重く受け止め、これまでの経験や能力を生かして活躍できるよう、人生百年時代を展望したキャリアアップ支援を更に進めるべきです。
政府は、昨年、同世代の正規雇用を三年間で三十万人拡大するなどの支援プログラムを策定しましたが、その実効性を高め、着実に取り組んでいただきたい。
本年四月からは、大企業における正社員と非正規雇用の不合理な待遇差が禁止されます。
就職氷河期世代を含め、非正規雇用の待遇改善につながるよう、円滑な施行に万全を期すべきです。
就職氷河期世代の支援と非正規雇用の待遇改善について、総理の答弁を求めます。
本年から地方創生第二期がスタートします。
これまでの第一期では、地方の若者の就業率や農林水産物等の輸出額が増加するなど、仕事の創生については一定の成果が出ています。
更なる地方の課題解決に向けては、これまでの実績を踏まえた実効性ある取組が重要です。
地方公共団体の主体的な取組を支援する地方創生推進交付金については、地方での就業、起業を更に進めるため、地方公共団体がより活用しやすい制度に改善すべきです。
また、地方に一定期間移住し、地域事業に従事する地域おこし協力隊は、任期終了後の定住、定着支援の強化が必要です。
加えて、地方創生の新たな潮流となるソサエティー五・〇の推進、中でも地域の課題解決策として期待されるローカル5Gについては、積極的に取り組む地方への支援を強化すべきです。
地方創生第二期の取組について、総理に伺います。
以上、当面する重要政治課題を中心に質問をいたしました。
前回の東京オリンピック・パラリンピックが開催された一九六四年は、公明党が結成された年でありました。
これからも立党の原点を忘れず、小さな声にも真摯に耳を傾け、国民の多様なニーズを政策として実現する取組を深化させながら、新たな十年を開く日本の改革に全力で取り組んでいくことをお誓いし、私の代表質問を終わります。
第200回[参] 本会議 2019/10/09 3号
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公明党の山口那津男です。
私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました所信表明演説に対し、総理並びに関係大臣に質問いたします。
令和改元より五か月余りが経過しました。
この間、新たな時代を迎えた日本のかじ取りを託す参議院選挙が行われ、自民党、公明党の与党は改選議席の過半数を超える議席を獲得することができました。
私たちは、この結果を安定した政治基盤の下で日本が直面する諸課題を力強く前に進めてほしいとの国民の期待と受け止め、将来不安の払拭や国民生活の向上につながる政策の実現に邁進してまいります。
世界に例のない人口減少と少子高齢化が進む中で、持続的な経済成長を維持し、人生百年時代に対応した社会保障制度の再構築をどのように進めるのか。
激甚化、頻発化する大規模自然災害に備えて、防災・減災対策などを計画的に進め、災害に強い国づくりを前進させることができるのか。
分断と対立を深める国際情勢の中で、対話と協調を基軸とした平和外交を推進し、国際社会の安定と繁栄にどのような貢献を果たしていくのか。
こうした目の前の課題を一つ一つ乗り越え、岐路に立つ日本の政治を大きく前に進めるためには、まさに改造内閣が掲げる安定と挑戦が必要となります。
公明党が大切にする小さな声を聴く力や、幅広い民意を政策に反映させる合意形成の力は、政治に信頼と希望を生み出し、政治の安定をつくり出す源泉と考えます。
また、国会議員と地方議員の強固なネットワークで現場のニーズをいち早く吸い上げ、生活者の視点で政策立案を進めることは、困難な課題に挑戦し、解決の糸口を見出す原動力となります。
引き続き公明党は、連立政権の一翼として安倍内閣を支え、安心と希望ある日本の未来を開くため、全力を挙げてまいります。
以下、当面する諸課題について具体的に質問いたします。
本年は、六月から九月にかけて、日本が初の議長国を務めたG20大阪サミットを始めG7や横浜で開催されたアフリカ開発会議、いわゆるTICAD7、東方経済フォーラム、国連総会など、重要な国際会議が相次いで開催されました。
安倍総理は、これらの会議において各国首脳と精力的に会談し、世界の安定と繁栄のため、分断と対立の回避に向けた努力を重ねてこられたことを高く評価いたします。
私自身も、直近では中国やトルコを訪問し、両国の関係強化の礎となる政党間の交流を深めてまいりました。
その経験を基に質問いたします。
この八月は、党訪中団として長春市や天津市などを訪れ、教育、文化交流を始め日中の安定的な発展に向けた関係強化を確認し合いました。
中央対外連絡部の宋濤部長との会談では、来春予定されている習近平国家主席の国賓としての訪日実現を成功させるため、双方が環境を整えることで一致しました。
改善基調にあるこの機を生かし、定期的な首脳往来などを通じて、様々な分野で新たな協力関係の強化に取り組んでいくべきです。
日中関係の深化に向けた総理の御決意を伺います。
先月、トルコ共和国の与党、公正発展党の招請により、公明党として初めてトルコを訪問しました。
アジア大陸の東と西の端に位置し、これまで長きにわたり友好関係を築いてきた両国は、近年、要人の往来が活発になり、経済や文化、安全保障など、幅広い分野での協力関係が進んでいます。
中でも、現在交渉中の日トルコ経済連携協定が締結されれば、更なる貿易、投資の拡大を始めインフラ整備や防災協力、民間交流の拡大など、更なる関係強化に弾みが付きます。
訪問中に会談したオクタイ副大統領からは、第三国における日本とトルコの協力関係についても言及があり、アフリカ開発での協力の可能性などにも議論が及びました。
日本、トルコの経済連携協定の早期合意とともに、地政学的な位置関係を生かした第三国での協力関係についても、TICAD7の方向性も踏まえつつ、意欲的に取り組むべきと考えます。
総理の御所見を伺います。
八月に開催されたTICAD7では、アフリカへの民間投資や人材育成の促進などが活発に議論されました。
総理が提唱する自由で開かれたインド太平洋構想が明記された横浜宣言二〇一九が採択され、その重要性について認識を共有できたことは、大きな意味があったと思います。
私も、全体会合でSDGs達成に向けた公明党の取組を報告するとともに、参加した七か国の大統領らと人的交流の促進や教育支援の強化をめぐり、有意義な会談を行いました。
一部の報道では、過剰融資で債務の返済困難に陥る問題が強調されましたが、実際、会談をしてみると、アフリカ諸国の本音は、どこの国に限らず、各国が共に協力した形で最大限の支援を求めていると感じました。
日本は、こうした意向を尊重しつつ、アフリカの平和と自立的な発展のために主導的な役割を担うべきと考えます。
TICAD7の成果とアフリカ支援の今後の取組について総理に伺います。
近年、北朝鮮の核開発問題や米国のイラン核合意からの離脱、米ロの中距離核戦力全廃条約の失効など、核を取り巻く国際情勢は一段と厳しさを増しています。
こうした中で、唯一の戦争被爆国である日本が、核なき世界へ向けた国際社会の合意形成に果たすべき役割は非常に大きいと考えます。
核兵器保有国と非保有国の橋渡し役として、公明党が被爆地開催を提唱し、継続的に活動してきた賢人会議が、NPT再検討会議とその後のプロセスを見据えた報告書を提出することになっています。
これを踏まえ、日本が来年開かれるNPT運用再検討会議での対話を促し、実質的な核軍縮に結び付ける役割を果たしていただきたい。
人工知能を備え、自動で標的を識別して攻撃の判断をする自律型致死兵器システム、いわゆるLAWSへの脅威も高まっています。
この規制に関し、国連の専門家会合が開かれ、国際人道法を遵守するなどの指針を盛り込んだ報告書がまとめられました。
法的拘束力はないものの、事実上初めて国際ルールができたことは評価に値します。
公明党は、LAWSが人間による指揮統制の範囲内に置かれるべきことを始めLAWSの規制に関する国際合意を促す提言を政府に提出しました。
人道的視点に立脚した国際規範が確立されるよう、日本が積極的に議論をリードすべきです。
核廃絶に向けた取組とLAWSへの対応について、総理の答弁を求めます。
地球温暖化に伴い、熱波や豪雨などの異常気象が深刻化する中、先般の気候行動サミットでは、グテーレス国連事務総長の呼びかけに応じて、六十五か国が二〇五〇年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすると表明。
世界でも、日本の長崎県壱岐市を含む約一千の自治体が気候非常事態宣言を議決し、温暖化対策の具体化に取り組むなど、社会の総力を挙げた対策の機運が高まっています。
日本も、省エネや再エネの主力電源化とともに、最もCO2を排出する石炭火力を含めた火力発電の削減に急ぎ取り組まなければなりません。
自治体レベルでの取組も急務です。
その鍵はイノベーションにあり、光触媒等を活用してCO2を再利用するカーボンリサイクルの実現など、研究開発の一層の推進が必要です。
現在、産学官の世界の英知がイノベーションによる気候変動対策などを議論するICEFなどの国際会議が日本で開催されています。
ここで得られた成果も生かしつつ、更なる取組を日本が主導すべきです。
地球規模で広がるプラごみ問題については、海洋プラスチックごみによる新たな汚染を二〇五〇年までになくす大阪ブルー・オーシャン・ビジョンがG20大阪サミットで合意されました。
このビジョンの実現に向けては、まず議長国である日本が、本年策定したプラスチック資源循環戦略に基づき、基本原則である3Rプラスリニューアブルの徹底などを通じてプラごみ削減に範を示すとともに、国ごとの取組を着実に進めるため、途上国の廃棄物管理に関する能力構築やインフラ整備等への支援を進めるなど、世界を牽引する取組を行うべきであります。
気候変動対策と資源循環戦略の実現並びに海洋プラスチックごみ対策について、総理の見解を求めます。
人生百年時代に対応した全世代型社会保障の構築が急がれます。
この十月より、消費税率引上げによる税収を活用して、幼児教育、保育の無償化がスタートしました。
幼稚園、認可保育所、認定こども園等のほか、公明党の主張を踏まえ、幼稚園の預かり保育や認可外保育施設も対象となっています。
一方で、現場からは、一部の認可外保育施設や私立幼稚園で質の向上を伴わない保育料の便乗値上げが行われているとの指摘や、幼稚園としての基準を満たさず無償化の対象とならない幼稚園類似施設も利用者の負担を軽減してほしいなどといった声も上がっています。
こうした中、幼稚園類似施設を独自に支援する自治体も出ており、無償化の恩恵が幅広く行き渡るよう、実態をつぶさに把握しながら、利用者の目線に立って、国としての適切な対応と必要な支援策の検討を求めます。
来年四月からは、私立高校授業料の実質無償化と高等教育無償化も始まります。
実施のための準備に万全を期すとともに、特に、大学等へ通う多子世帯や中間所得世帯について、負担に配慮した取組を更に検討すべきです。
幼児教育の無償化などの取組について、総理の答弁を求めます。
人生百年時代を展望した際、高齢者や障害者など多様な人材が活躍できる環境整備が重要となります。
現在、仕事をしている六十歳以上の多くが六十五歳を過ぎても働き続けたいと望んでいる反面、六十代後半の就業率は四六・六%、六十六歳以降も働ける制度がある企業は二七・六%にとどまります。
高齢期の就業機会を確保するため、企業や地域の取組を後押ししつつ、法改正に向けた議論を促進するとともに、高齢者が安全で安心して働けるよう、労働災害を防止する対策も欠かせません。
また、高齢者が一定以上の収入を得て働くと年金の支給を停止する在職老齢年金制度については、就労意欲を阻害するという指摘もあり、公平性に留意した上で見直すべきです。
障害者雇用については、公務部門における法定雇用率の着実な達成とともに、障害者雇用の経験がない中小企業等への支援を強化するなど、障害者がより一層活躍できる環境整備を推進すべきです。
重い障害があり、通勤や職場で介助を必要とする方については、福祉施策と労働施策の連携の下で必要な支援を実施すべく、検討を加速するよう求めます。
高齢者、障害者など、一人一人の希望や状況に応じた多様な働き方の環境整備について、総理に伺います。
就職氷河期世代等への支援に本格的に取り組まなくてはなりません。
バブル崩壊による厳しい雇用環境の下で就職時期を迎えたこの世代は、本人の希望によらず不安定な仕事に就いている方や無業の方など、様々な課題に直面しています。
新卒一括採用と年功序列の雇用慣行が根強く残る中、その枠組みに入れなかった方が再び活躍の機会を得ることは依然として難しい状況です。
引きこもりについては、四十歳から六十四歳の中高年を対象とした初の全国調査が実施され、引きこもりの状態にある方が約六十一万人に上り、その期間が七年以上経過した方が約半数を占めるなど、引きこもりの長期化、高齢化が浮き彫りとなりました。
公明党は、こうした方々のニーズに応じた丁寧な支援を行い、活躍の場を広げていくために、関係者との意見交換を行うなど精力的な検討を行い、本年五月、政府に政策提言を行いました。
これを受け、政府が策定した就職氷河期世代支援プログラムには、能力開発メニューとしてのリカレント教育の充実や支援機関によるアウトリーチ機能の強化、複合的な課題に対応できる包括支援などが盛り込まれました。
就職氷河期世代等への支援策について、総理の答弁を求めます。
今月、消費税率引上げと同時に軽減税率がスタートいたしました。
先日、都内のスーパーを視察し、実際に声を伺いました。
消費者からは、キャッシュレスポイント還元は分かりにくいとの声がある反面、キャッシュレス決済にはなじめないので軽減税率は助かりますといった率直な声をいただき、日常生活に大きな安心感を与えていると実感しました。
また、事業者からは、しっかり準備をしていたので混乱なくスタートできたという声もいただき、軽減税率対応レジの導入など早めの準備を進めたところは、おおむね円滑に実施されていることが確認できました。
軽減税率が恒久的な制度として、今後も国民生活に安心感を与え、多くの方に喜んでいただける制度となるよう、二点御提案申し上げたい。
一点目は、軽減税率対応レジの更なる導入促進です。
政府は、制度開始まで二十四万台のレジが導入され、導入の必要性が高い事業者の必要分はほぼ確保できたとしていますが、一方で、対応レジの注文が殺到し、希望するレジの契約が進まず、補助金の申請ができなかったという話も聞いています。
こうしたケースについて、実態を踏まえつつ、補助金の活用を含めた更なる支援策の検討をお願いしたい。
二点目は、複数税率下で初となる申告について、一番早い事業者が十二月末に、個人事業主は来年三月末に申告期限が訪れます。
是非きめ細やかな相談体制の構築をお願いしたい。
事業者の皆様が正しく円滑に申告、納税できるよう、各地の税務署の体制強化を図るなど万全を期していただきたいと思います。
軽減税率の定着化に向けた取組について、総理に伺います。
日本経済の持続的な成長の実現に向けては、生産性向上や人材投資を始め、潜在成長率を底上げする成長戦略の実行が極めて重要となります。
公明党は、大胆な未来への投資を成長戦略の柱として掲げ、これまで、科学技術に関する研究の推進や若手研究者の活躍促進などに取り組んできました。
今後は、少子高齢化や地球温暖化など、先進国共通の課題解決と同時に、経済成長も実現できるようなイノベーションの創出に向けて、量子技術等の世界最高水準の研究開発拠点の形成や、我が国が強みを持つ健康・医療、防災・減災、環境・エネルギー等の重点分野への研究開発投資を進めるなど、国際競争力の強化に向けた取組を積極的に推進すべきです。
また、明年開催される東京オリンピック・パラリンピック競技大会は、我が国の技術力や文化、芸術、食文化など、日本の魅力を余すことなく発信する絶好の機会でもあります。
これを契機として、インバウンド需要の取り込みや輸出力の強化などに取り組むとともに、観光、農林水産業を始めとする地域経済の活性化などを通じて、大会後の持続的な成長拡大へとつなげるべきです。
日本経済の持続的な成長に向けた取組について、総理に伺います。
先月、台風十五号が猛威を振るい、千葉県を中心に伊豆諸島を含む首都圏各地に甚大な被害をもたらしました。
改めて、お亡くなりになられた方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた方々に心よりお見舞いを申し上げます。
政府においては、台風十九号の接近に不安が募る中、一日も早く被災者の方々が安心した生活を取り戻せるよう、生活再建、損壊家屋の補修、災害廃棄物の処理、産業、なりわい再生に向けた支援に取り組むとともに、早期の復旧復興に全力を挙げていただきたい。
また、長期停電の再発防止、非常時の電源機能の強化、倒木対策、電柱等の暴風対策、情報発信の在り方など、今回の災害で浮き彫りとなった課題の徹底した検証と再発防止策も進めるべきです。
台風十五号を始め、九州北部豪雨などを含めた一連の災害対応について、十分な財源を確保し、必要な対策を講じていただきたい。
総理の答弁を求めます。
首都直下地震や南海トラフ巨大地震などの大規模災害が懸念される中、国民の命と暮らしを守るため、防災・減災、復興を社会の主流に押し上げなければなりません。
そのため、平時の防災・減災や訓練を始め、応急対策、復旧復興全体まで一貫して責任を持って切れ目なく担い、全てのノウハウが組織として集約、蓄積される防災体制を構築するとともに、ハード、ソフト両面にわたって総合的な防災・減災対策を継続的、計画的に推進し、世界一災害に強い防災大国日本を構築すべきです。
総理の御所見を伺います。
さて、昨年の補正予算などにより、学校施設等の危険なブロック塀の安全対策、公立小中学校等の普通教室や特別教室のエアコン設置が順次進められています。
昨年の臨時国会で私は、通学路や避難路沿いにあるブロック塀の安全対策とともに、災害時に避難所としても活用する学校体育館へのエアコン設置についても急ぐべきと訴えました。
その後、政府は、ブロック塀の安全対策について、予算の拡充とともに耐震診断の義務付けなどを推進し、これが後押しとなって各自治体での支援制度の整備が進んでいます。
引き続き、着実な支援制度の拡大とともに、安全対策が広がるよう、政府の支援が必要です。
学校体育館のエアコン設置については、災害時に多くの高齢者や乳幼児などが避難所に身を寄せることを考えても、その必要性は明らかです。
昨年の西日本豪雨の際には、プッシュ型支援によって、避難所となった体育館にスポットクーラーなどが設置されました。
また、緊急防災・減災事業債を活用すれば指定避難所となる体育館のエアコン設置も可能ですが、来年度までの期限です。
全国の通学路や避難路のブロック塀の安全対策や学校体育館のエアコン設置を今後どう進めていくのか、総理の御見解を伺います。
土砂災害におけるレッドゾーン対策について伺います。
ハザードマップには、地域住民がこれを活用して実効性ある避難体制をつくるなどの自助、共助を支援するとともに、行政が危険区域を把握し、防災・減災対策やハード整備などの公助を推進するという役割があります。
他方、地域によっては、ハザードマップを整備し、土砂災害特別警戒区域、いわゆるレッドゾーンの指定場所が明らかになったとしても、民有地のため放置され、管理や安全対策もなされていない場所が存在し、多くの住民の安全を脅かす状況となっています。
早期に対策を進めるため、土地所有者と防災対策の関係を含めた新たな方策を検討すべきと考えますが、国土交通大臣の答弁を求めます。
患者の救命率を大きく高めるドクターヘリについて伺います。
公明党は、地方議員との連携により、党を挙げてドクターヘリの全国配備を推進し、我が党が目標として掲げた五十機を超える五十三機の導入が四十四道府県で実現し、そのうち京都府では他府県が共同運航で領域をカバーしており、残る三都県でも早期導入の検討が進んでいます。
しかしながら、課題もまだ残されています。
夜間飛行のための環境整備やパイロットの人材確保を始め安定的な運航を支える財政支援など、国レベルでの計画的な支援が必要です。
また、隣接県によるドクターヘリの応援協定を結ぶ地域も増えています。
こうした広域連携が重複要請などに効果を発揮するとの指摘もあり、都道府県単位に縛られない広域連携に向けた後押しを国も積極的に行うべきです。
さらに、大規模災害時のルールに基づいた運用をどうするかも課題です。
東日本大震災において全国のドクターヘリが被災地に参集しましたが、指揮命令系統等の明確化などが指摘され、平成二十八年に国の運用指針が策定されました。
この指針に基づいて平時からの体制整備や関係機関との連携が実際に機能するか、訓練等を含めて即応性を高めるべきです。
こうした課題に対応する前提として、全ての都道府県での導入を完了し、運用経験を共有して相互に連携できる基盤を確立することが必要と考えます。
その上で、課題の解決に向けては、国が主導的な役割を果たし、ドクターヘリの効果的な活用や安定的な運用を支えていくべきです。
総理の御見解を伺います。
明年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催まで一年を切りました。
世界各地から多くの人が集まる東京大会の成功に向けては、全ての人の安全、安心に万全を期すため、残された課題に取り組む必要があります。
まずは、暑さ対策です。
夏季に開催される大会期間中は、選手を始め観客の方々の安全を確保するため、マラソンコースなどの路面温度の上昇を抑える遮熱性舗装の整備や道路の緑化、体感温度を下げるためのドライミスト設置などの対策が有効です。
また、期間中の選手、観客、関係者等の円滑な移動を実現するための交通渋滞対策も重要です。
大会運営や市民生活への影響を考慮し、鉄道や首都高速などの交通混雑の緩和策に取り組むとともに、そうした影響について国民、企業に広く周知するほか、テレワークなどへの支援も推進すべきです。
さらに、東京大会をきっかけとして、障害の有無などにかかわらず、誰もが相互に個性を尊重し支え合う心のバリアフリーの取組を充実させるとともに、障害者が安心して来場できるよう、バリアフリー化、ユニバーサルデザイン化を進め、共生社会の実現を促進すべきです。
東京大会に向けた取組について、総理の答弁を求めます。
最後に、一言申し上げます。
この十月五日で公明党と自民党の連立政権発足から二十年となりました。
この間、政治の安定を目指し、内外の重要課題を乗り越えるという大局観に立って、両党が協力し、合意をつくり、国民のニーズにお応えする政策の実現にひたすら取り組んでまいりました。
この政権参画当初の原点をいささかも忘れず、これまでの経験も生かしながら、真摯に誠実に国民と向き合うことによって、政権の信頼確保に努めてまいりたいと思います。
これからも公明党は、生活者の視点で困難な課題を乗り越える合意形成をつくり出し、与党としての責任を果たしゆくことを改めてお誓い申し上げ、私の代表質問を終わります。
第198回[参] 本会議 2019/02/01 4号
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公明党の山口那津男です。
私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました施政方針演説等四演説に対し、安倍総理並びに関係大臣に質問します。
二〇一九年、平成が終わります。
振り返れば、平成の始まり一九八九年は、ベルリンの壁の崩壊など国際社会が激しく揺れ動く中でのスタートでした。
東西冷戦が幕を閉じ、新たな国際秩序が模索される中で、我が国が国際社会の平和と安定にどう臨んでいくのか、世界の中の日本の在り方が問われた重大な転機であったのです。
そして、日本は、PKOへの参加を始め、国際社会の平和と安定に向けた貢献に大きな一歩を踏み出しました。
あれからおよそ三十年、平成が終わろうとする足下はどうでしょうか。
国際社会は、政治、経済、地球的な課題への対応など、まさに大きな岐路にあります。
世界各国では、保護主義やポピュリズムの危機などにさらされています。
本年から、我が国を舞台に、G20サミット、TICADⅦなど政治や経済の国際会議、ラグビーワールドカップ、オリンピック・パラリンピックといったスポーツの祭典など、国際的なイベントが続きます。
また、十月には、新天皇陛下の即位礼正殿の儀及び饗宴の儀にも海外から多数の来賓が来日されます。
このようなときだからこそ、日本が国際社会において対話による多国間協力の道を開き、協調をリードする役割と責任を担う重要な機会であり、そうした期待もあるのではないでしょうか。
昨年、世界人権宣言が七十年の節目を迎えました。
近年は、SDGsの取組も大きく進んでいます。
こうした普遍の理念や価値を更に現実の政治にも反映させることが重要です。
そして、人類益あるいは地球益にも通じる国際的な取組は、即、日本の国益にも相通ずるものであります。
公明党は、生命、生活、生存を最大限に尊重する人間主義の理念、中道主義を掲げ、平成のその先の時代にあっても、分断のない社会へ、世界の平和と安定へ全力を挙げてまいります。
以下、当面する課題について具体的に質問いたします。
経済の再生と好循環を実現する、六年前の自公連立政権発足時の最も重要な政策課題でした。
それが今やどうでしょうか。
日本経済は着実に回復を続け、女性や高齢者を含め雇用環境は大きく改善、賃上げも五年連続して高水準で推移しています。
連立政権で進めてきた働き方改革も、本年いよいよ本格的に動き出します。
有言実行、確かな成果を収めつつあります。
しかし、気を緩めてはなりません。
まだまだ課題は残されています。
また、米中間の貿易摩擦など世界経済の先行きにも注視が必要です。
経済の好循環に向けて、賃上げの更なる拡大など、確かな経済財政運営を総理には求めたい。
総理の答弁を求めます。
子供からお年寄りまで安心の全世代型社会保障を構築しなければなりません。
本年十月の消費税率引上げ分の一部を活用し、教育無償化や年金の福祉給付金、介護保険料の軽減などが図られ、その基盤は大きく強化されます。
万全な準備を求めます。
持続的な社会保障を守るためには、安定した財源が欠かせません。
全ての世代が将来にわたって安心して暮らせる日本をつくるため、そして将来世代に負担を先送りしないため、総理が施政方針演説で述べられたとおり、消費税率引上げはどうしても必要です。
改めて、消費税の意義と税率引上げについて、総理の明確な答弁を求めます。
その上で、政府には、消費税がなぜ必要なのか、国民の理解を得るとともに、引上げによる景気への影響を最小限に抑える対応策が求められます。
まずは、税率引上げと同時に実施される軽減税率制度です。
買物の都度、痛税感の緩和を実感でき、低所得者ほど効果を発揮する軽減税率制度は、国民生活を守る最大の支援策です。
しかし、税率の線引きが分かりにくい、納税事務が煩雑になるといった懸念の声をいまだに耳にします。
また、税率引上げ先送り願望などもあり、中小企業や小売店を中心に、システムやレジの更新などの準備が思うように進んでいません。
懸念の払拭、支援策の周知徹底など、準備を加速化すべきです。
また、政府広報、テレビなどを活用した国民への一層の周知も重要です。
第二に、駆け込み需要、反動減対策についてです。
公明党は、税率引上げ後の家計を応援し、消費の下支えのため、低所得者や子育て世帯に配慮したプレミアム商品券を提案、政府の対策にも盛り込まれました。
プレミアム商品券は、前回の実績から、消費喚起効果があると報告されています。
発行する自治体が、地域の実情に合わせ、効果を最大限に発揮できる最も適切な方法を実施できるよう強く求めます。
また、景気への影響が大きい自動車や住宅への対策も重要です。
自動車については、長年の課題であった自動車税の恒久減税を決断するとともに、消費税対応として新たに導入される環境性能割の税率を臨時的に軽減するなどの措置を講じることとしています。
また、住宅については、住宅ローン減税の控除期間の三年間延長、すまい給付金の拡充、次世代住宅ポイントの付与といった予算、税制両面による総合的な対策を講じるなど、それぞれ税率引上げ後の購入にメリットがある環境をつくり出しています。
さらに、ポイント還元対策を含め、政府は、消費税率引上げによる影響二兆円に対し、これを乗り越えるため、総額二・三兆円の対策を講じると説明しています。
こうした対策も国民の皆様の理解がないと効果を発揮できませんが、各種対策について国民の理解、認知度を高め、一層浸透を図っていかなければなりません。
消費税引上げまで九か月。
制度設計を急ぐとともに、国民への周知を含め、準備を急ぐべきです。
軽減税率制度の円滑な実施及び平準化対策について、総理の答弁を求めます。
少子高齢、人口減少の大波を乗り越えるために成長力を底上げすること、特に日本経済を支える中小企業、地域経済が元気であることが重要です。
人工知能やロボット等の第四次産業革命の社会への組み込みを通じた大胆な生産性向上に取り組むとともに、女性や高齢者など多様な人材が活躍できる環境を整備し、また、そのマッチングを支援し、人手不足に対応する必要があります。
さらに、それを物づくりを支える地域の中小・小規模事業者まで波及させていかなければ、日本の未来は見えてきません。
中小企業の新たなチャレンジを応援してきたものづくり補助金。
公明党は、当初予算化を含む拡充を強く後押しし、中小企業投資促進税制等の拡充と併せ、生産性向上を支援してきました。
ものづくり補助金は、これまでに採択が約六万四千件を超え、数多くの事業者で活用されており、新製品の開発、販売によって売上高が増えるなど、着実に効果が表れています。
引き続き、制度の周知徹底や手続の簡素化、ワンストップ化などを通じて、より多くの企業に活用されるよう、事業者の立場に立った改善を進めるべきです。
日本の成長力底上げについて、総理の答弁を求めます。
後継問題に悩む中小・小規模事業者への事業承継支援策が大きく前進しました。
昨年四月から大幅に拡充された法人版事業承継税制は、想定をはるかに超える申請件数となり、爆発的な伸びを見せています。
また、個人事業者の事業承継についても、来年度税制改正において、事業用の土地や建物を引き継ぐ際に相続税や贈与税を今後十年間全額猶予するなどの措置を盛り込み、四月から施行される予定です。
政府においては、引き続き円滑に事業承継が進むよう、伴走型で、税制を含めた支援に取り組むよう求めます。
本年四月から大企業の働き方改革が順次実施されることに伴い、そのしわ寄せが下請事業者に及ぶことが懸念されます。
下請Gメンの調査でも、短い納期で発注すること等への懸念、金型管理の適正化などの課題もなお残っています。
昨年末、下請事業者と親企業の望ましい取引関係に関する振興基準が改正されましたが、引き続き、望ましくない商慣行などに厳正に対処し、日本特有の下請の概念を取り払うような公正な取引環境を実現すべきではないでしょうか。
あわせて、消費税の転嫁対策にも万全な体制で臨むべきです。
中小・小規模事業者への支援について、総理の答弁を求めます。
本年六月、我が国が初の議長国を務めるG20サミットが大阪で、またテーマごとの関係大臣会合も今年いっぱい日本各地で開催されます。
世界経済の先行き不透明感が増す中、議長国である日本が、ルールに基づく国際協調の枠組みを維持しつつ、世界経済の安定と繁栄に主導的な役割を果たしていくべきです。
特に、自由貿易の推進については、昨年末発効したTPP11や本日発効の日本とEUの経済連携協定など自由で公正なルール作りを主導してきた日本が、両協定を通じてその恩恵や価値を改めて世界に発信するとともに、TPP参加国の拡大やRCEP交渉の加速化に取り組むべきです。
自由貿易体制の堅持と我が国が果たすべき役割について、総理に伺います。
東日本大震災から今年三月で丸八年を迎えます。
大きな節目となる復興・創生期間が終わるまでの二年間、まさにここからが正念場です。
公明党は、これからも被災者に寄り添い、人間の復興を目指し全力を挙げてまいります。
多様化する被災地の課題解決に一つ一つ向き合いながら、復興を大きく前進させていく。
未曽有の災害を経験した東北だからこそ、震災前より、より安全で快適に過ごせる復興、活力あふれる世界が瞠目するような復興、まさに創造的復興を目指すべきです。
総理の決意を伺います。
昨年は、自然災害が相次ぎました。
近年の気候変動など、自然災害が人間の安全保障への大きな脅威となっています。
国土強靱化、防災・減災に向けて、七兆円規模の三か年緊急対策を含め、継続的な対応策を講じるよう強く求めます。
昨年九月、私は公明党として訪中した際に、中日友好協会会長の唐家セン氏とお会いしました。
その際、唐会長は次のように発言されました。
日中は、災害について協力できることがいっぱいあります、特に日本は経験、技術が進んでいるので、学ばなければならないことがたくさんあります、是非この分野は協力していきましょうと。
私は、まさに防災の分野が日中関係の強化につながる重要なテーマの一つではないかと感じました。
世界的にも、近年の異常気象等による自然災害のリスクは深刻な課題です。
様々な災害を経験し、防災・減災対策、復旧復興の取組を重ねてきた防災先進国日本が、世界の強靱化で国際社会をリードし、防災・減災について国際協力、国際貢献で果たす役割と使命はますます大きくなっていると確信します。
防災・減災への国際貢献について、総理の見解を伺います。
防災・減災にとどまらず、我が国が国際社会で果たすべき課題は多岐にわたります。
貧困、平和構築、保健、女性、防災等の地球規模課題の解決を目指す国際社会の共通目標、SDGs。
誰一人取り残さないとの理念は、一人の声を大切にしてきた公明党の姿勢とも合致します。
また、分断や対立によって不透明感が高まる中で、人間の安全保障の理念に基づいた、人に焦点を当てるSDGsの取組はますます重要であり、国際社会の隅々まで浸透するよう努めていくべきです。
我が国はSDGs先進国を目指し、政府、自治体、NGO、企業などがそれぞれの持ち味を生かし、国民の意識を高めながら目標達成へ向けて果敢に挑戦すべきです。
SDGsを通じて世界を変えていく、日本の本気度が試されています。
政府が掲げる人間中心の未来社会の実現に向けて、経済発展と社会的課題の解決を両立する持続可能な日本のSDGsモデルを世界に発信すべきではないでしょうか。
SDGsの取組について、総理の答弁を求めます。
総理は、ダボス会議において、気候変動に立ち向かうには非連続的なイノベーションが必要であると強調されました。
水素、人工光合成など、大きな技術革新への取組を一層強化することの重要性は私も大いに賛同します。
その上で、パリ協定に基づく我が国自身の目標、すなわち温室効果ガスの排出量を二〇五〇年までに八〇%削減、この目標達成に向けた長期戦略の策定も急がれます。
気候変動問題で国際的なリーダーシップを発揮していくためには、高い目標を掲げた長期戦略を今夏のG20に先立って策定し、国内外に発信していくことが重要と考えますが、総理の見解を伺います。
また、総理は、海洋プラスチックごみ対策をG20の主要テーマに取り上げるとしています。
生物や生態系、漁業や観光への影響が懸念される問題であり、地球規模での取組が欠かせません。
廃プラスチックのリユースを含む有効利用率を高めるなど、資源を最大限有効に活用する循環型社会に向けた取組を急ぐべきです。
私は、昨年の代表質問でも取り上げましたが、世界的にも関心が高まり、企業を含めた取組が始まりつつあります。
G20では、我が国が旗振り役となり、海洋プラスチックごみを減らし、処理する技術支援など、実効性のある国際協力を進める大きなチャンスと考えます。
総理の決意を伺います。
外交・安全保障問題について質問します。
先日、日ロ首脳会談が開かれ、特に平和条約締結問題について、引き続き交渉を更に前進させるよう両国外相に指示されました。
この問題は、戦後七十年以上たっても解決せず残されてきた大きな課題です。
両首脳が築き上げてきた信頼関係の上に日ロ関係を前に進めてきましたが、本格的な交渉を行う絶好の機会が巡ってきています。
政府には、平和条約締結交渉に当たって、まず北方四島の元島民の納得、そして国民の理解が得られるよう可能な限り丁寧に説明を尽くしていただきたい。
日本とロシアが平和条約を結ぶことは、二国間だけでなく、地域や国際社会の平和と安定、発展にも貢献することでしょう。
あわせて、元島民の方々に対して航空機墓参を始めとする北方四島へのより自由な往来や、双方の法的立場を害さない形での共同経済活動の実現に向けた取組にも力を注いでいただきたい。
私たちも与党の立場から政府をしっかり支えたいと思います。
総理の北方領土問題解決に懸ける決意と今後の取組を伺います。
我が国を取り巻く安全保障環境の急速な変化に応じた防衛力を整えるため、昨年末、平成三十一年度以降の防衛大綱、中期防衛力整備計画が閣議決定されました。
公明党は、与党協議にて、憲法の下、専守防衛に徹し、軍事大国にならないとの基本理念を堅持しつつ、必要な防衛力を整備するとの視点で議論に臨みました。
その結果、公明党の提案により、「いずも」型護衛艦を改修しても、憲法上保有が許されない攻撃型空母の能力を持たないことなどを含む確認書を与党間で交わし、その趣旨をそのまま閣議決定された本文にも明記させました。
政府は、不要な懸念を与えないため、国会を含めあらゆる機会を通じて国民に対して丁寧な説明をすべきです。
また、厳しい財政状況の中、社会保障など全体の予算とのバランスも十分考慮しつつ、防衛費の抑制にも努め、予算の透明化、そして約二兆円の削減目標も設定されました。
防衛大綱、中期防衛力整備計画の改定について、総理の答弁を求めます。
人間の判断が介在せずAIが自律的に標的を選択、攻撃する自律型致死兵器システム、LAWS、これが現実のものとなれば、銃の発明、核兵器の開発に続く戦争における第三の革命となってしまいます。
これに対し、NGOや科学者等から深刻な懸念の声が上がっています。
公明党としても、国際人道法や倫理上の観点からLAWSの開発は看過できません。
LAWS開発についての総理の見解を求めます。
ラグビーワールドカップ、東京オリンピック・パラリンピック、そしてワールドマスターズゲームズ。
本年、来年、そして再来年は、日本において世界のトップアスリートたちと、時間と空間、そして感動を共有できる絶好の機会となります。
日本、日本人の活躍を大いに期待するとともに、平和と文化の祭典として成功裏に終えなければなりません。
また、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックは、スポーツを通じ、我が国の共生社会、ユニバーサル社会の実現への重要な好機です。
健常者も障害者も共に一緒にスポーツを楽しむことができるよう、地域でのスポーツ環境の整備を進めることも重要です。
さらに、東京五輪に先立ち、東京都豊島区で国も支援する東アジア文化都市イベントが本日から開催されるなど、来年にかけて各地で文化芸術プログラムが実施され、五輪期間中は日本博も開催されます。
日本の文化芸術を広く世界に発信し、訪日客にも親しんでもらえるまたとない機会になるでしょう。
スポーツ、文化芸術には、人種や言語などの壁を越えて人々の心と心を結ぶ絶大な力があります。
スポーツ、文化芸術の振興について、総理の答弁を求めます。
また、パラリンピックに向けて、バリアフリーのまち、日本の姿を世界の方々に示していくために、自治体とも足並みのそろった取組を加速すべきです。
昨年は、バリアフリー法の改正で、地域の町づくりや鉄道、バスなど、公共交通機関でのバリアフリー施策が拡充しました。
しかし、まだまだ課題もあります。
例えば、車椅子に乗ったままで乗り降りができるユニバーサルデザインタクシーは広く普及しましたが、車椅子の方を乗せるのに二十分以上掛かることなどから、車椅子の方が乗車を断られたと感じる事例などもあるようです。
また、ホテルによっては、トイレや浴室の入口の幅が狭いため、電動車椅子などは利用ができないなどの事例もあります。
バリアフリー社会の実現に向けた、石井国土交通大臣の答弁を求めます。
障害者手帳について質問します。
障害を持たれる方に交付される障害者手帳については、都道府県、政令市、中核市が交付しますが、現在は紙の手帳が基本です。
障害者の方は、公共交通機関で割引を受ける場合には乗り降りのたびに窓口で手帳を提示することが求められるなど、日常生活での使用する機会は多いものの、持ち運びの不便さや汚損のおそれなどがあることから、以前からカード化を求める声が出ており、私も国会で取り上げさせていただいたこともあります。
昨年十月、社会保障審議会で自治体の選択によりカード化できる方向で了承され、ようやく厚生労働省でカード化に向けた省令改正の準備が進められているとのことです。
しかし、来年の五輪・パラリンピックに向け、政府を挙げてユニバーサル社会の実現に取り組んでいるときであり、一日も早く実際に障害者の方の手元に届くよう、自治体での発行手続が加速化されることを強く期待します。
カード化することによって、障害者の方の心のバリアが除かれるとともに、さらに、マイナンバーカードとの関連も視野に入れることにより、飛躍的に利便性が高まる社会の形成にも通じるものと確信します。
このように、利用する側の視点から課題の解決に取り組むことで、世界に誇れるユニバーサル社会の実現が可能になるのではないでしょうか。
是非、国が地方の協力も促しながらスピード感を持って対応していただきたい。
あえて総理の答弁を求めます。
最後に一言申し上げます。
妊婦の方が公共交通機関等を利用する際に身に付けているマタニティーマーク。
今では誰もが知るようになり、電車などで妊婦の方に席を譲り合う光景は当たり前となりつつあります。
未婚の一人親に対する支援策は地方自治体が独自に実施してきましたが、保育料の軽減等、厚労省の各種の施策にも寡婦控除のみなし適用が実施されるようになりました。
さらには、税制上の措置も、まずは個人住民税の非課税措置の拡充という形で今後適用されます。
現場の声、利用者の声、地方の声、こうした小さな声を拾い上げ、国と地方の役割をきちんと精査し、分担しながら必要なことを国政に反映していく。
これこそがネットワークを生かした政策を推進する公明党の重要な役割の一つです。
常日頃小さな声に真摯に耳を傾ける地方議員があればこそ、国政を大きく動かす力ともなるのです。
公明党は、こうした原点を忘れず、日本の政治を前に進めていくことをお誓い申し上げ、私の代表質問を終わります。
第197回[参] 本会議 2018/10/31 3号
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公明党の山口那津男です。
私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました所信表明演説等に対し、安倍総理並びに関係大臣に質問します。
自公連立政権発足から間もなく六年。
安定した政治の下で積み上げてきた国民のための改革を将来に向け更に深化させていく。
そのために公明党は、引き続き、与党の一翼として、日本の将来への責任感と緊張感を持って国民の負託に力強く応えてまいる決意です。
東日本大震災から八回目、熊本地震から三回目の冬を迎えようとしています。
公明党は、被災地の復興、そして福島再生へ全党を挙げて取り組んでまいります。
さて、今年に入り、大阪府北部地震、西日本豪雨、台風二十一号、北海道胆振東部地震など、大規模な自然災害が各地に甚大な被害をもたらしました。
災害でお亡くなりになられた方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、被災された全ての方々に心よりお見舞いを申し上げます。
公明党は、防災・減災ニューディールを提唱し、災害に強い国・地域づくりに取り組んできました。
しかし、地震、津波、豪雨、火山の噴火など、近年の災害の激甚化、頻発化を目の当たりにし、改めて日本全体が災害多発列島であることを認識させられました。
残念ながら、自然現象そのものは止められません。
しかし、災害を防ぐ、あるいは災害による被害を減らすことはできます。
観測情報の精度を上げる、被害を少なくする、回避する、回復を早くする、ここにこそ政治の使命と責任、役割があるのではないでしょうか。
公明党は、災害の都度、復旧を図ることを繰り返すというのではなく、防災・減災への取組を日本の政治の主流、社会の主流に押し上げるべきと考えます。
災害から国民の生命と暮らしを守る、そのために、国の体制を整え、自治体や地域の取組を強化し、そして国民一人一人の防災意識改革を進める。
いつでも災害が起こるとの前提に立ったあらゆる社会の仕組みの改革を進めるべきです。
さらには、災害の多い日本だからこそ、世界各国に対して防災・減災分野での貢献も可能ではないでしょうか。
防災・減災対策について、総理の答弁を伺います。
さて、当面する最重要の課題は、一連の災害からの復旧です。
緊急性を要する事業の早期執行に向けて、補正予算の早期成立を強く望みます。
また、台風二十一号、北海道胆振東部地震の後に起こった災害への対応、被災地の復興に向けた必要な支援措置の検討を求めます。
被災地では、いまだ多くの被災者の方々が、心身の疲労、ストレス、これからの生活不安などの中で長期にわたる避難生活を強いられています。
政府においては、一日も早く安心した暮らしを取り戻せるよう、生活再建、なりわいの再生、事業の再開のためにきめ細やかな支援の手を差し伸べていただきたい。
総理の答弁を求めます。
さて、今般の自然災害からは様々な教訓や課題が見えてきました。
今後の対策にしっかりと生かさなければなりません。
台風に伴う強風により、関西国際空港では、連絡橋の損壊や高潮による浸水などで空港が機能不全に陥りました。
北海道の地震では道内全域が停電するというブラックアウトが発生し、生活や産業など、あらゆる分野に多大な影響を及ぼしました。
さらに、これらを通じ、災害時における人の流れや物流等の輸送ルートや、機能不全となった重要インフラの代替対策の確保といった課題、さらには、大都市災害が経済社会に与える影響の大きさから、首都中枢機能のバックアップの在り方などの課題も改めて浮き彫りになったところです。
総理は、電力や空港などの重要インフラについての緊急点検を指示され、十一月末をめどに、その結果を踏まえた対策をまとめるとしています。
今般の災害による教訓、課題を専門的な知見も入れながらしっかりと検証し、中長期にわたる明確な目標を立てつつ、連続性を持った集中的な防災・減災、インフラ老朽化対策を進めていくべきです。
重要インフラを含むハード面での防災対策について、総理の答弁を求めます。
ソフト面の対策も重要です。
長期にわたる避難所での生活。
暑さ寒さ対策は万全か、段ボールベッド、トイレなどの衛生環境面の配慮はなされているか、高齢の方、女性、子供の視点は大丈夫か。
被災者一人一人の尊厳が守られる、きめ細やかな対策が重要です。
更に言えば、避難所生活から一日でも早く解放されるような対応策こそ求められます。
例えば、災害時に公的賃貸住宅の空き室、民間の空き家など、既存の住宅ストックを活用したみなし仮設住宅の提供などの仕組みも検討すべきと考えます。
その他、情報取得手段としてのスマホ等の充電可能な電源設備の確保、災害時の訪日外国人旅行者への対応など、国と地方自治体が連携し、対策を急ぐべきです。
地域防災力の向上と防災意識の改革も欠かせません。
特に、ハザードマップやタイムラインなどを整備し、災害時の避難対策と連動させることや、地域防災力を軸としたコミュニティー活性化を図るべきです。
地域住民による自主防災組織を整備し、訓練や備え、自主防災マップの作成、さらには、防災リーダーや消防団など、地域の防災人材の確保と育成も不可欠であると考えます。
以上、ソフト対策、地域防災力の向上について、総理の見解を求めます。
今年の夏、日本列島は記録的な猛暑に見舞われました。
熱中症対策として、学校教室のエアコン設置が急がれます。
また、児童生徒の安全を守る観点から、倒壊のおそれある危険なブロック塀の除去、改修も急務であり、これらの対策が補正予算に盛り込まれたことを高く評価したい。
予算成立後は、ブロック塀対策は速やかに、エアコンは来年の夏までに確実に設置できるよう、設置主体である自治体と連携し、取組が加速されるよう強く望みます。
公明党は、早くからエアコンの学校教室への設置を訴えてきました。
今から二十七年前の平成三年、公明党のある地方議員が過去の気温上昇を比較調査し、それを根拠に学校のエアコン設備を議会で粘り強く主張し続け、実現。
その自治体は、現在、全小中学校でエアコンが設置されました。
私も、改めて気象庁のデータを確認しました。
七月、八月の東京の平均気温について十年間平均で比較したとき、直近と二十年前とを比べると約摂氏一・三度、明治八年の統計開始の頃と比べると約摂氏二・五度上昇しています。
また、文部科学省の調査の結果でも、教室内の温度が子供たちの学習意欲や効率や成績にまで影響を与えることが明らかになっています。
設置は必須です。
当面、未設置の普通教室が優先されますが、今後、整備状況を見極めつつ、特別教室や災害時の避難所となる体育館等への整備も大きな課題と考えます。
一方、ブロック塀ですが、宮城県では、昭和五十三年の宮城県沖地震の教訓を踏まえ、県内の市町村でブロック塀の撤去と生け垣等への改修に対する助成制度をスタート。
危険なブロック塀を点検、調査し、所有者等への継続的な訪問で改善指導を続けています。
着実に実績を積み上げた結果、東日本大震災ではブロック塀の倒壊による犠牲者は一人も確認されませんでした。
今般の大阪での地震を教訓に、各地の地方自治体での取組が大きく広がりを見せています。
さらに、学校施設だけでなく、通学路や緊急避難道路などのブロック塀の対策も政府は検討を急ぐべきと考えます。
総理の見解を伺います。
あわせて、通学路など一般道路でのブロック塀の安全対策について、石井国土交通大臣の答弁を求めます。
安倍総理は、新内閣の発足に当たり、全ての世代が安心できる社会保障制度へと改革を進めていくと宣言されました。
これまでも、社会保障と税の一体改革のほか、連立政権において、一億総活躍社会、働き方改革、さらには教育の無償化など、全世代に通じた社会保障関連施策を着実に進めてきたところです。
その上で、将来世代への責任として、人口減少社会、人生百年時代、さらには団塊ジュニアの世代が高齢者になる二〇四〇年頃を見据えた持続的な社会保障制度の姿を示していくことが求められています。
年齢にかかわらず意欲と能力に応じて活躍できる生涯現役社会の実現は、個人はもとより、地域や社会全体に活力をもたらすものです。
中でも、働く場は、現在六十五歳までになっている継続雇用や定年延長の在り方、さらには高齢者の再就職、起業支援などについて、早急に検討し、整備を進めていくべきではないでしょうか。
年金制度も、働き方の多様化に対応するため、本人の希望による受給開始年齢の柔軟化や、在職老齢年金制度の見直し、厚生年金の適用拡大などを総合的に検討すべきと考えます。
予防、健康づくりの強化も重要です。
全国各地に設置されている高齢者の通いの場。
予防、健康づくりのための大切な地域の居場所であり、その数は着実に増えています。
通いの場が拡大している市町村では、単に体操の場にとどまらず、口腔ケアやフレイル対策などといった医療との連携が進められている地域も見受けられます。
地域、住民主体のこうした場を活用し、健康無関心層へのアプローチも強化しつつ、健康寿命、活動寿命の延伸につながるような取組を強化すべきです。
医療、介護、予防、健康づくりなど、社会保障の主体は地域です。
公明党は、ネットワーク政党として、地方からの改革を国で制度化する、あるいは、地方の様々な工夫、政策を横展開するという役割を担ってきました。
例えば、健康増進や介護予防に向けて、支え合いのためのポイント制度をつくるなど、地域の実情に沿った地域包括ケアの構築を我が党の議員が推進しています。
今後、さらに、国と地方自治体が連携協力しつつ、より良い社会保障の仕組みとなるよう努めていくべきです。
生涯現役社会に向けた総理の答弁を求めます。
暮らしの場、働く場である地域の持つ力を最大化するための地方創生がますます重要になっています。
公明党は、景気回復の恩恵を地方へ及ぼすことを訴えてきました。
結果、雇用や賃金の環境は大きく改善してきています。
一方で、人口減少や少子高齢化といった社会構造の変化、そしてなお続く東京一極集中の中で、地方への新しい人の流れをどのようにつくっていくのかが大きな課題です。
公明党は、まち・ひと・しごとの地方創生の中心は人であるとの観点から、例えば地方創生関係交付金を地方在住者の起業や就業にも活用できるなどの改善を進めてきました。
これをさらに、別の地域から移住してくる人の起業や就業へも支援の対象を広げるなどの対策を講じるべきです。
人が生きる地方創生へ、総理の決意を伺います。
来年十月、消費税率が引き上げられます。
そのことを前提に、幾つか申し上げます。
第一には、消費税は、急速な少子高齢化に伴い増大する社会保障費を維持するための重要な安定財源であるという点です。
引上げ時には、低所得の年金生活者に対する最大月五千円の支援給付金などが実施されます。
さらには、増収分の一部を活用し、子供たち、子育て世帯に対する幼児教育の無償化にも充てられます。
来年十月から、三歳から五歳児の全世帯とゼロ歳から二歳児の住民税非課税世帯の幼児教育の無償化を円滑に実施できるよう、自治体と連携し、準備を加速化していただきたい。
第二に、軽減税率制度の着実な実施です。
公明党が一貫して主張してきた飲食料品等を対象とする軽減税率制度が円滑に実施されるよう、国民の皆様に制度の趣旨、意義を含め丁寧な周知に努めるとともに、制度の円滑な実施に向けて、事業者を含めて準備に万全を期すよう強く求めます。
第三には、消費税率引上げに係る平準化対策であります。
前回の八%への引上げ時には、駆け込み需要、反動減が生じ、経済に大きな影響を及ぼしました。
こうした経験を生かし、経済への影響を緩和できる対策が必要です。
政府では、ポイント還元といった新たな手法による支援など、様々な検討がなされています。
キャッシュレス決済を普及させ、同時に平準化対策にも活用しようということでしょうが、実施に向けて、事業者、消費者共に混乱が起こらないよう、丁寧な制度設計を求めます。
同時に、軽減税率の対象とならない日用品など飲食料品以外の生活必需品の消費税負担についても、所得の低い人を中心に支援措置を検討する必要があります。
ばらまきを避け、できるだけ効果の高いものとするため、例えば税率引上げから一定期間使用できるプレミアム付き商品券などを検討してはどうかと考えます。
また、需要変動の大きい耐久消費財、住宅、自動車についても税制を含めた支援措置を講ずるべきであります。
以上、消費税引上げに係る対応策について、総理の答弁を求めます。
日本経済は、雇用・所得環境の大幅な改善が続くなど、緩やかな回復基調が続いています。
この戦後最長に迫る景気回復の流れを維持し、より一層拡大していくためにも、引き続き、米中の貿易摩擦や相次ぐ自然災害などが経済に与える影響を十分留意しつつ、来年の消費税率引上げに向けて積極的な対策を講ずるなど、機動的な経済財政運営に万全を期すよう求めたい。
多角的な自由貿易を促進し海外需要を取り込む、あるいは我が国の誇る技術やインフラ等の輸出を積極的に進め国際競争力を高めていく上で、TPP11や日EU経済連携協定などの推進は極めて重要です。
国と国とをいたずらに分断させる保護主義には毅然と立ち向かうべきです。
政府は、既に承認されたTPP11協定や、日EU経済連携協定などの早期発効、さらにはRCEP、東アジア地域包括的経済連携の早期交渉妥結に向けても、日本がリーダーシップを発揮し、必要な調整を主導していただきたい。
なお、国内には、日EU経済連携協定による農業への影響を懸念する声もあります。
今回の協定を契機に、我が国の農産物の輸出拡大につながるよう、地域ブランドの保護強化など必要な対策を講じるべきです。
我が国が自由貿易を推進する意義及び国内農業への対策について、総理の答弁を求めます。
AIやIoTなどの第四次産業革命が急速に広まる中、我が国においても、世界に通用する技術力を発揮し、大胆な設備投資を通じて潜在成長率を高めていく必要があります。
その鍵を握るのは、日本の屋台骨である中小企業・小規模事業者の活性化です。
現下の地域の中小企業にとっての最重要課題は、経済の好転と技術の急激な進歩による人手不足と設備の老朽化です。
こうした中小企業のニーズに応えてきたのが、公明党も強く推進してきたものづくり補助金です。
これまでも、企業のサービス開発や設備投資を後押しするなど、極めて高い効果を上げてきています。
しかし、これまでは、補正予算を財源とする一時的な制度であるため、激動する経済環境の変化への対応や事業者のニーズに対応するという意味では課題がありました。
これまでの対応に加え、ものづくり補助金の恒久化、当初予算化を進めるべきではないでしょうか。
あわせて、中小企業経営強化税制など、設備投資を後押しするための税制を延長、拡充し、事業者の攻めの投資を支援すべきと考えます。
他方、来年は、大企業の時間外労働の上限規制や消費税率の引上げを控え、下請企業へのしわ寄せが懸念されます。
引き続き、下請Gメンによるヒアリング調査を強化するなど、取引実態の把握に努めるべきです。
中小企業支援策について、総理の答弁を求めます。
世界の情勢は、不透明化、不確実性を増しつつあります。
今、大国を中心に、自国ファーストという言葉が飛び交うなど、それぞれの国益を過度に優先する傾向が見られ、また、保護主義やポピュリズムの台頭も懸念されています。
しかし、世界の平和と安定に向けては、多国間での枠組みの下、対話と協調によって国際的な秩序とルールを作っていくという基本をより重視することが今まで以上に求められているのではないでしょうか。
経済、貿易はもとより、さらには地球温暖化、海洋ごみ対策、そして防災対策等々、日本は様々な分野で国際的な秩序づくりにおける主体的、主導的な役割を担うべき立場にあるものと考えます。
また、SDGsの取組も重要です。
総理は地球儀を俯瞰する外交を展開されておられますが、日本外交の基本方針と国際社会における日本の役割について、総理の基本認識を伺います。
日中平和友好条約締結四十周年を迎えました。
去る二十五日、二十六日の両日、安倍総理は、日本の首相として約七年ぶりに中国を公式訪問されました。
習近平国家主席との会談はもとより、経済やスポーツといったあらゆる分野における両国民の交流の飛躍的な強化など、日中関係は、まさに新たな段階へと進み始めました。
公明党は、自公で政権奪還以来、与党として日中の関係改善を目指し、安倍総理の習主席宛ての親書を四たび届けてきました。
首脳往来は、日中関係を安定的に発展させるための大きな弾みとなります。
経済大国である日中両国は、国際社会に与える影響が大きいからこそ、人的往来を含むあらゆる分野の具体的な協力、交流を幾重にも重ねながら、裾野を広げ、地域及び世界の繁栄と安定のために力を注いでいくべきです。
この度の訪中の成果を踏まえ、安倍総理の答弁を求めます。
北朝鮮をめぐる情勢は、米朝首脳会談によって大きく動き出しました。
しかし、これでもって北朝鮮の核、ミサイルの脅威が去ったわけではありません。
引き続き、関係各国と連携を図りながら、朝鮮半島の完全な非核化を目指していくべきです。
所信表明演説で、総理は、日朝関係について、金正恩委員長と向き合わなければならないとし、拉致問題の解決への思いを述べられましたが、この度の訪中結果も踏まえ、日朝関係に向けた展望を含め、答弁を求めます。
次に、外国人材の受入れ拡大について伺います。
政府は、六月に閣議決定をした骨太の方針の中で、中小・小規模事業者を始めとした人手不足の深刻化を防ぐ観点から、一定の専門性、技能を有した外国人材を幅広く受け入れる仕組みの構築を決定しました。
人口減少が進み、生産人口の減少し続ける我が国において、働き手不足への対応は喫緊の課題であり、一定の外国人材の受入れの拡大は重要な選択肢の一つであります。
今国会に関連法案を提出されるとのことですが、我が国の入国管理政策上の大きな転換でもあり、丁寧かつ慎重に制度設計を進めるべきです。
例えば、これまでの技能実習を含めた既存の在留資格制度の課題と新制度との関係性、受け入れる側の地域や住民の不安、さらには、日本に来る外国人の人権や生活者としての視点への配慮など、多岐にわたる懸念や疑問の声に十分に応えていただきたい。
そして、来る人も、受け入れる側も、共に共生できる制度とすべきです。
総理の答弁を求めます。
政治は、信なくば立たずです。
さきの国会では、残念ながら、森友、加計など、政府の説明責任や公文書管理をめぐる様々な問題が大きな議論となりました。
また、一部省庁の幹部職員による不祥事、さらには、政府の府省庁の障害者雇用が法定雇用率に達していない実情も明らかになりました。
民間に義務を課し、適切に実施している自治体もある中で、政府のこの有様は言語道断です。
国民のためとの深き信念に立って行政を遂行しているならば、こうしたことが起こるはずもありません。
安倍総理は所信表明演説で、長さゆえの慢心がないかと自戒され、一層身を引き締めて政権運営に当たる決意を述べられました。
まさにその言葉どおり、襟を正し、どこまでも国民のための政治を貫き通すことを強く期待し、私の代表質問を終わります。
第196回[参] 本会議 2018/01/26 3号
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公明党の山口那津男です。
私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました施政方針演説等政府四演説に対し、安倍総理並びに関係大臣に質問します。
少子高齢・人口減少社会の波が押し寄せる我が国は、重大な岐路にあります。
この大きな変革に、自民、公明の連立政権は果敢に挑戦を続けます。
そして、一人一人が輝き、将来にわたって夢と希望が持ち続けられる社会を構築していく決意です。
人が輝き活躍できる社会、それは、高齢者も若者も、障害や難病を持つ方も、全ての一人一人の持つ可能性や能力を最大限に発揮できる社会でなければなりません。
安倍内閣が進める一億総活躍社会の実現、働き方改革、人づくり革命、生産性革命の目的もそこにあります。
全世代型の社会保障を構築し、持続可能な社会保障制度を次世代に確実に引き継ぎます。
そして、誰もが生きがいを持って生活ができる、地域が支え合う共生社会を目指します。
安倍内閣発足から五年。
公明党は、連立与党にあって、これからも、生命、生活、生存を最大限に尊重する人間主義の理念をあらゆる政策の立案、遂行の根幹に据えて、政治を前に進めます。
以下、具体的に質問します。
経済が大きく好循環し始めました。
今年は、デフレからの脱却の大きなチャンスです。
広く景気回復の実感が得られるよう、更なる賃上げを継続、加速させるなど、あらゆる政策を総動員していかなければなりません。
その重要な課題の一つが働き方改革です。
働く人の心身にわたる健康を確保し、日々の生活をより豊かにする、働く人の視点から長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方を実現していくことは急務の課題です。
罰則付きの時間外労働の上限規制の導入、勤務間インターバル制度の普及促進などを含む法律案の早期成立を求めます。
リカレント教育は、時代の要請であり、一億総活躍社会の実現、特に働く意欲のある女性や高齢者の活躍の観点からも極めて重要です。
また、AI、いわゆる人工知能など技術革新のスピードの速さにも対応し、時代に即し、一人一人のライフスタイル、年齢に関係なく学び続けられる社会の構築が急がれます。
学び直しは、単に仕事に直結するスキルを身に付けるだけではありません。
生きがいや新たな気付きや自己発見の場でもあります。
こうした視点も踏まえ、継続的に学べる環境を整えるべきと考えます。
働き方改革について、総理の答弁を求めます。
昨年末、人づくり革命に向け、新しい経済政策パッケージが策定されました。
その中には、私が昨年十一月の本会議で申し上げた様々な理由でスタートラインにすら立てない方に対して温かな手を差し伸べるとの方向性も明確に記されました。
本格的な少子高齢化、人口減少社会への挑戦の大きな一歩が踏み出せたものと確信します。
政策パッケージには、幼児教育の無償化、私立高校授業料の実質無償化など、公明党の主張が多く盛り込まれています。
引き続き、ゼロ歳児から二歳児までの保育の更なる支援などについても着実に検討すべきです。
総理の答弁を求めます。
日本の物づくり社会を支えるのが中小企業です。
その中には、世界最高水準の技術力を持ち、その企業でしか作れないオンリーワンの製品や世界的シェアを保持する企業も多くあります。
まさに、日本経済の屋台骨です。
昨年十一月の本会議で、私は、優れた技術や技能を守り、次世代に継承していく攻めの取組として、事業承継問題について質問しました。
結果、株式の相続税、贈与税について、雇用要件の見直しや対象株式の上限撤廃などを図るとともに、今後十年間、承継時の納税を全額猶予し、承継時と売却、廃業時の納税額の差額を免除するなど、事業承継税制の抜本拡充が決まりました。
と同時に、ものづくり補助金の継続、事業承継を後押しする補助金、設備投資に係る固定資産税の減免措置など、支援策が大きく整備されました。
高く評価したいと思います。
今後、事業者の視点に立ったきめ細かな対応ができるよう、何でも相談できるよろず支援拠点、後継者のマッチングを支援する事業引継ぎ支援センター、そして地域の関係機関との事業承継ネットワークの機能強化など、体制整備を急ぐべきです。
また、せっかくの支援策が使われなければ意味がありません。
必要とする事業者が確実に支援策を受けられるよう、情報提供、周知徹底をしっかりと図っていただきたい。
中小企業支援策の強化について、総理の答弁を求めます。
人が輝く基盤である地域力の強化、地方創生が極めて重要です。
二〇一七年、訪日外国人観光者数は二千八百六十九万人となりました。
世界に誇れる観光立国へ、更なる飛躍を目指し、様々な施策を総動員しながら、二〇二〇年の四千万人達成へ弾みを付ける一年としていくべきです。
観光の潜在需要はまだまだ高い。
今はアジア各国からの訪日が中心ですが、欧米など幅広い国からの旅行客を増やす施策にも力を入れるべきです。
また、休み方改革と連動した国内観光の活性化も求められます。
観光の質も大切です。
最近は、地方における伝統、文化、自然に触れる体験型、交流型の観光に関心が高まっています。
魅力的な観光資源、文化財は全国各地にたくさんあります。
観光地域づくりのかじ取り役を担う日本版DMOや国立公園満喫プロジェクトなど、地方誘客の取組と連動させながら、地方の魅力が輝く戦略的な取組を強化すべきです。
訪日外国人の急拡大、航空会社間の激しい競争、空港二十四時間化などで航空業務は大幅に増大しています。
その中でも、特に、空港内の旅客の輸送、手荷物、貨物の積卸しなど、発着を裏方で支える業務の方の労働環境は、下請的な立場でもあり、大変厳しいとの声を伺いました。
観光戦略は国策です。
政府として、現場の実態を踏まえた適切な対応を求めます。
何度でも訪れたい日本へ。
観光立国への取組について、石井国土交通大臣の答弁を求めます。
地方創生について伺います。
地方創生の取組から三年。
依然、地方から東京圏への人の流れは止まっていません。
特に若者は、地元で働きたいが希望する職種が地元にはない、企業が少ないなどを理由に都市部で就職しているのが実情です。
政府は、地方大学の振興を基軸とする地方活性化に向けた法案提出を予定しています。
地方の大学、自治体、そして地方を拠点とする事業者が連携し、雇用の確保と、そこで活躍できる人材を育て送り出す仕組みが機能するよう、交付金を含めた国の支援が重要と考えます。
地方創生に向けた総理の答弁を求めます。
高齢者が住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けられるよう、医療・介護サービスに加えて、地域で見守りや支え合いなどの活動の充実が不可欠です。
神奈川県秦野市では、住民ボランティアが運営するデイサービス事業と住民主体の送迎支援サービスを組み合わせた総合事業が進んでいます。
住民ボランティアは七十代の方が中心、八十代も少なくありません。
支える側も高齢者が中心で、自身の生きがいとして活動されています。
一方、車による送迎が欠かせませんが、送迎支援サービスの担い手となったのがNPO法人です。
送迎スタッフが利用者を送り届ける車中で健康状態なども確認しながら、心身の変化に応じて地域包括支援センターや住民ボランティアなどとも情報を共有し、住民同士の支え合いによる独自のデイサービスを展開しています。
地域の多様な主体が支える側に回ることで、高齢者はサービスを利用しながら地域とのつながりを維持する。
二〇二五年に向けて、地域の状況やニーズを踏まえつつ、その地域の特性に応じた地域包括ケアシステムの深化、推進を急ぐべきです。
地域で支え合う共生社会について、総理の答弁を伺います。
生活困窮者自立支援制度は、生活保護に至っていない生活困窮者に対して包括的な支援を行う第二のセーフティーネットとして創設されました。
一億総活躍社会実現への重要な施策です。
施行から二年、新規相談者が約四十五万人、うち約六万人の方が就労、増収に結び付いています。
しかし、課題も見えてきました。
例えば、就労準備や家計支援などの事業が任意の事業であるため、地域間でばらつきが出てしまっています。
生活困窮者の社会からの孤立を防ぎ、また、生活上の課題解決による自立と社会参加に向けて、自立相談、就労準備、家計相談に係る支援が一体的に行えるようにするなど、実情を踏まえた支援体制の見直し、強化を強く求めます。
さらに、貧困の連鎖を断ち切るため、子供の学習支援のほか、生活習慣、環境などの向上にもつながるような支援を強化すべきです。
生活困窮者の自立支援の強化について、総理の見解を伺います。
昨年十月、座間市で九名の若者が殺害される凄惨な事件が起こりました。
SNSに自殺願望を投稿した被害者の心に付け込む極めて卑劣な手口に、怒りを通り越し、言葉を失いました。
死にたいという亡くなった人たちの叫びは、生きたいとの裏返しであり、助けを求めるSOSであったと思えてなりません。
特に、青少年の行き場のない悩み、心の叫びをきちんと酌み取ってあげられる体制を一刻も早く実現させなければなりません。
昨年、長野県では、LINEを活用したいじめ・自殺相談を試験的に実施しました。
既存の電話相談が年間二百五十九件であったのに対し、僅か二週間で千五百七十九人の中高生からアクセスがあり、五百四十七件に対応できたそうであります。
注目すべきは、交友関係や恋愛、学業など、身近な相談が多かったことです。
これは中高生たちが気軽に相談できたことを示しており、悩みが深刻化する前の早期解消につなげることが大いに期待されます。
サイバーパトロールの強化と併せて、こうしたSNS等を活用した相談事業を始め、悩みを抱える人が相談しやすい環境を全国各地に迅速に整備することを強く求めます。
また、SOSの出し方に関する教育を始め、社会全体で子供たちの心の不調に気付き、ケアする体制整備も急務です。
自殺対策について、総理の答弁を求めます。
今年は、東日本大震災から七年、熊本地震から二年を迎えます。
公明党は、被災者、被災地に寄り添いつつ、人間の復興へ総力を挙げるとともに、日本全体での人の命を守る防災・減災対策を不断に進めていきます。
東日本大震災からの復興については、引き続き、被災地、被災者の実情に沿ったきめ細やかな切れ目のない支援が大切です。
特に、心の復興事業や医療、福祉、介護など、身近な生活・社会保障分野への支援の充実を求めます。
あと三年で復興・創生期間は終了します。
その後、復興はどうなるのか。
特に、原発事故被害地域の方々の不安な気持ちを払拭するためにも、その先を見据えた復興の取組と将来の方向性をできるだけ早くお示しすべきではないでしょうか。
復興に向けた総理の決意をお聞かせください。
福島再生の夢と希望のプロジェクトが福島イノベーション・コースト構想です。
この構想は、廃炉研究、ロボット、水素、浮体式洋上風力などのエネルギー、さらには農業イノベーションなど、日本の未来を開くための新しい産業創出への挑戦です。
福島の方のみならず、広く国民の方にも知っていただきながら、着実に実現させていくべきです。
中でも、ロボット産業の一大研究開発拠点である福島ロボットテストフィールド内の各施設が順次開所を迎えます。
二〇二〇年には、世界ロボットサミットの競技の一部が開催される予定となっています。
これらを契機としながら、今後の地元企業の参入も含めた企業の呼び込みや雇用創出、住民帰還につなげられるよう、国としても全力で後押しをしていただきたい。
一方、福島では、農林水産物の販売不振や観光業への悪影響、また避難児童へのいじめの問題など、原発事故による風評被害や偏見、差別がいまだ根強いものがあります。
特に、福島産の農産物は、世界で最も厳しいレベルの安全検査を行い、基準値を超える放射性物質は一切出ていないにもかかわらず、消費者以上に流通業者の間で風評が根強いとの指摘もあります。
また、国民の方に対する福島の安全検査の実態、放射線に関する正確な情報の周知が不足していることも課題です。
政府は、新たに風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略を取りまとめました。
大事なことは実行力です。
福島の方々の生活の中で、また農林水産業、観光業その他あらゆる産業、なりわいの中で、目に見えての効果が如実に表れてくるよう、強力な風評被害対策の取組を求めます。
以上、福島再生、風評被害対策について、総理の決意を伺います。
地震、豪雨、水害、土砂災害、火山災害、災害の多い我が国において、国民の命と生活を守ることが政治の最優先課題です。
まずは、補正予算案、来年度当初予算案には災害復旧、防災・減災対策予算が組み込まれており、早期の成立と執行を強く求めます。
その上で、さらに、世界一安全な国を目指し、ソフト、ハードにわたる防災・減災対策を強力に推進し、災害に強い国づくりを加速化すべきです。
インフラ老朽化対策の推進とともに、インフラの損傷が軽微なうちに計画的に修繕を行うインフラメンテナンス産業を育成、発展させることも重要です。
さらに、ICT活用や研究開発の強化、推進も求められます。
防災・減災対策の強化について、総理の答弁を求めます。
誰もが訪れやすく、安心して快適に暮らすことができる、そして、誰もが持てる個性や能力を発揮できる、そうしたユニバーサル社会の実現が今こそ求められています。
それはそのまま地域社会の活性化にもつながっていくはずです。
公明党は、高齢者や障害者を始め、誰もが暮らしやすい町づくりに向け、段差の解消や鉄道駅のホームドア、内方線付き点状ブロック等の整備促進など、バリアフリー法の制定当時からその取組を強力に推進してきました。
昨年、政府は、障害当事者の意見や要望を十分に踏まえたユニバーサルデザイン二〇二〇行動計画を策定しました。
計画は、ユニバーサルデザインの町づくりとともに、障害者への差別や偏見をなくす心のバリアフリーが大きな二本柱になっています。
この計画を踏まえたバリアフリー法の改正を急ぐとともに、関連施策の見直し、実施に当たっては、引き続き、障害者とその家族、関係者など、現場の声、要望に適応したきめ細やかな配慮や工夫が求められます。
東京オリンピック・パラリンピックは、世界に誇れるユニバーサル社会実現の大きなチャンスです。
開催都市ともしっかり連携しながら、スピード感を持って推進するよう強く求めます。
総理の決意を伺います。
先日お会いした障害者スポーツの関係者はこう話されました。
障害は個性です。
健常者も障害者も差異なく、誰もが普通にスポーツに親しめる社会をつくりたい。
私は、胸が熱くなりました。
地域で誰もがスポーツを楽しめる共生社会をつくり上げていきたいと決意を新たにしました。
しかし、障害者スポーツには健常者スポーツに比べ多くの課題があることも現実です。
自分の住む地域で気軽にスポーツができるよう、施設等の環境整備、指導者や競技を支える方の育成、心のバリアを取り払う教育の充実など、総合的な取組が求められます。
障害があってもスポーツに取り組むことで、自らの可能性にチャレンジし、仲間との交流やコミュニケーションを深め、その結果、人生がより充実したものになる。
スポーツの力は絶大です。
二〇二〇年、東京パラリンピック大会に向けて、ソフト、ハード、そしてヒューマンの様々な面から支援策を強化していくべきと考えます。
障害者スポーツの推進について、総理の答弁を求めます。
また、二〇二〇年に向けては、過去の開催国が大切に引き継いできたたばこのないオリンピック・パラリンピックという伝統を継承するため、世界に恥じない実効性の高い受動喫煙対策を進めるための法案を早期に提出し、成立を図るべきと考えます。
総理の決意を伺います。
次に、外交政策について質問します。
昨年は、北朝鮮による六度目の核実験や弾道ミサイルの発射が相次ぐ中、十二月には新たな国連安保理決議が全会一致で採択されました。
前例にないレベルにまで一層高めた制裁措置であり、改めて、北朝鮮が核・ミサイル開発を続ける限り圧力を高め続けるとの国際社会の意思を反映したものです。
国際社会が一致結束し、全ての国連加盟国が、引き続き制裁の実効性を高めながら、北朝鮮に核開発を諦めさせ、対話による解決へと導くことが極めて重要です。
対北朝鮮政策について、総理の見解を求めます。
核兵器禁止条約は、国際的に核兵器を禁止する規範が確立されたという点から画期的な意義があると考えます。
一方、現実には、北朝鮮の核問題がある中で、核保有国と非保有国が共に協力、連携して当面の課題を解決しなければなりません。
我が国は唯一の戦争被爆国です。
核軍縮、核兵器のない世界実現への責任と権利を有します。
だからこそ、積極的に核保有、非保有各国間の橋渡し役として主導的な役割を果たし、そして核軍縮の結果を出していくべきではないでしょうか。
我が国の主導により、昨年十一月には、広島で第一回賢人会議が開催され、春のNPT運用検討会議に向けて提言を取りまとめることが決定しました。
核兵器のない世界実現へ、各国の協力と協調の下、現実的かつ実践的な道筋を示す取りまとめがなされるよう強く期待したいと思います。
総理の決意を求めます。
日本と中国は、昨年の国交正常化四十五周年に続き、本年は平和友好条約締結四十周年を迎え、関係改善への機運が高まっています。
昨年、公明党は訪中団を派遣し、様々な要人との会談を重ねました。
私自身、総理の親書を習近平国家主席に手渡し、与党の一員として、日中韓首脳会談や首脳往来に結び付くよう直接働きかける役割を果たすことができました。
戦略的互恵関係の下、懸案を適切に処理し、様々な分野での交流、協力関係を拡充強化しながら、未来に向かって新たな日中関係の在り方を模索すべきです。
一方、ロシアとの関係では、今年は相互に日本年、ロシア年です。
幅広い分野での相互交流、理解が深まることを強く期待したい。
昨年、私はロシアを訪問しました。
その際、要人の方々から、共同経済活動などを通じた平和条約締結交渉への強い期待が示されたところです。
北朝鮮問題での連携はもちろん、北方四島における共同経済活動、元島民の自由往来、幅広い分野での二国間協力の実行などを進めながら、引き続き、双方が受入れ可能な解決策を見出し、着実に歩みを進めていくことが重要であると考えます。
日中及び日ロ関係について、総理の見解を求めます。
地球温暖化対策に関し、温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることを目指すパリ協定の下、日本、イタリアを除くG7各国は大幅削減に向けた長期戦略を策定し、明確な方向性を打ち出しています。
我が国も、この潮流に乗り遅れることなく、長期戦略を早急に策定し、世界をリードする役割を果たすべきです。
また、海洋ごみは、地球上で増え続け、生態系や観光、漁業への影響等が懸念されています。
美しい海、地球を守るため、地球規模の対策が喫緊の課題です。
中でも、五ミリメートル以下のマイクロプラスチックは回収も困難で、人体への影響も懸念されています。
まずは、主要排出源の国や国際社会と連携し、実態把握を急ぐとともに、プラスチックなど海洋ごみの回収や発生抑制対策を講じるべきです。
地球規模の課題への取組について、総理の答弁を求めます。
最後に一言申し上げます。
SDGs、二〇三〇年に向けた持続可能な開発目標への取組が大きなうねりになろうとしています。
私は、この理念を、日本はもちろん、世界に広く浸透させることに全力を挙げていきたいと決意しています。
なぜならば、誰一人取り残さないとのSDGsの理念は、まさに公明党の理念とも合致するからであります。
ごみを拾う、捨てない、人を気遣う、思いやる、そうした小さな日常の行動の積み重ねが、SDGsの理念を一人一人の心の中に、そして地球全体へと広げていきます。
それが平和な社会の実現に通じるものと確信するものであります。
こうしたグローバルな視点と併せ、ローカル、いわゆる地域の視点も重要です。
人が住み、働き、そして日々生活する地域にこそ、様々な政策の課題とその解決に向けたヒントがあります。
公明党結党以来、粘り強く訴え続けてきた福祉の拡大への挑戦は、まさに地方議会から始まりました。
それが今や、政治のど真ん中に福祉が位置付けられました。
公明党は、これからも国と地方のネットワークを生かしながら、地域の現場に根差し、国民のための政治を貫くことをお約束し、私の代表質問を終わります。
第195回[参] 本会議 2017/11/22 5号
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公明党の山口那津男です。
私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました安倍総理の所信表明演説について、総理並びに関係大臣に質問をさせていただきます。
第四次安倍内閣が発足をしました。
さきの衆議院選挙において、自民、公明の連立政権による安定した政治基盤の下での確かな実行力、実現力を評価していただいたものと確信しております。
引き続きの政権運営に当たり、謙虚に、決しておごることなく、日々真摯に国民との対話に努めながら、更に政策を磨き、待ったなしである内外の諸課題の解決に全力を挙げてまいる決意であります。
人づくり革命について伺います。
先進国の中でも群を抜いて高齢化が進む我が国が、更に寿命を延ばし、約半数の人が百歳まで生きる可能性がある時代が来る、目指すべきは自分らしく元気に生き生きと過ごしながら年を重ねる社会の実現であり、そのために将来世代に対し何を残していけるのか、私は今を生きる我々の世代の責任を強く感じています。
人生百年時代への挑戦、それは本格的な少子高齢化、人口減少社会への挑戦です。
総理は国難と称されましたが、社会保障や教育、雇用など現在の社会システムの大転換、若者から高齢者まで誰もが安心できる全世代型の社会保障へのシフトチェンジは避けては通れません。
その重要な鍵が人づくり革命です。
これまでも政府・与党を挙げて人への投資に力を入れてきましたが、更に前へ進め、年齢にも経済的事情にも左右されない、希望に応じて学び働ける社会の実現こそが、我が国が取るべき道であると考えます。
全ての人が輝く社会の実現に向けて、特に、制度と制度のはざまに陥り社会的に孤立している方、様々な理由でスタートラインにすら立てない方に対して最も温かな手を差し伸べるべきと、強く申し上げておきたいと思います。
人づくり革命の意義について、総理の答弁を求めます。
総理は、少子高齢化という最大の壁に立ち向かい、生産性革命と人づくり革命を断行するため、新しい経済政策パッケージを十二月上旬に取りまとめるとし、あわせて、人づくり革命を力強く進めていくため、消費税率一〇%への引上げに伴う増収分などを活用した二兆円規模の政策を取りまとめるとしています。
消費税の増収分の子育てや教育などへの活用は、消費税の使途として分類されている四経費の中の少子化対策を拡充するものとして、社会保障と税の一体改革の趣旨に沿うものであると考えます。
一方、消費税の使い道の見直しによって、財政健全化の旗をおろそかにしてはなりません。
当初の目標の二〇二〇年プライマリーバランス黒字化達成は困難とのことですが、できる限り早く健全化への道筋を示すべきです。
社会保障と税の一体改革の意義と財政健全化について、総理の答弁を求めます。
全ての子供たちの笑顔が輝く社会へ、公明党は衆議院選挙において、経済的な事情に関係なく、希望すれば誰もが必要な教育を受けられる社会の構築に向け、人への投資が未来を開くとの考え方の下、幼児教育から大学までの大胆な教育費の無償化を主張してきました。
これまでにも、一体改革で消費税の使い道に子育て支援が追加され、子ども・子育て支援新制度がスタートし、保育所や幼稚園などの幼児教育の無償化も、お子さんの多い世帯や所得の少ない世帯などについて段階的に進めてきました。
しかし、待機児童については、政権発足以降、解消に向けて約五十三万人分の保育の受皿を確保してきましたが、女性の社会進出が進む中、なかなか実現には至っていません。
政府は、子育て安心プランを更に前倒しして実施し、企業主導型保育など多様な保育の受皿を早急に確保するとともに、それを支える人材の確保や質の向上にも取り組むべきです。
あわせて、放課後児童クラブの新たな整備などを盛り込んだ放課後子ども総合プランの前倒しも進めるべきと考えます。
総理も所信表明演説で述べられたように、今こそ、五歳児までの全ての幼児を対象に、質を確保しつつ、待機児童解消の取組と併せ、幼児教育無償化を一気に進めてまいりましょう。
総理の答弁を求めます。
長年、公明党が訴えてきた返還不要の給付型奨学金が今年度から先行実施されています。
来年度からの本格実施に万全を期すとともに、さらに、生活の不安なく学べるよう給付型奨学金の対象者や給付額を拡充し、授業料減免、無利子奨学金も含め、経済的な負担軽減策を大きく進めるべきです。
その際、多子世帯など幅広い対象にも配慮した制度設計を検討すべきです。
学び直しができる環境整備も重要です。
人工知能やITなど、技術革新が急速に進む時代、実社会のニーズは日々変化しています。
誰でも希望に応じて学び直しができ必要なスキルを身に付けられるよう、職業訓練、リカレント教育など、必要な公的助成を含め大幅に拡充すべきです。
あわせて、身に付けた新たなスキルを存分に活用できるよう、転職者の受入れや元気な高齢者の活躍など、転職、再就職の環境整備を進めるとともに、副業や起業への後押しも重要です。
奨学金の拡充、学び直しについて、総理の答弁を求めます。
政権交代以来、安倍内閣が最優先で取り組んできたのが経済再生です。
金融政策、財政政策、成長戦略という三本の矢によってデフレからの脱却と持続的な経済成長を支える基盤をつくるとともに、地域に新たな人の流れをつくる地方創生を始め、子育て支援や社会保障を強化する新三本の矢による一億総活躍社会の実現、そして、これらを横断的に支える働き方改革など、我が国の構造的な課題である人口減少や少子高齢化への対応も積極的に進めてきました。
その結果、この五年間で名目GDPは五十兆円増加。
足下の経済成長も七四半期連続でプラスが続き、政府などの調査でも、全ての地域で拡大、回復の傾向が続いています。
雇用も大きく改善。
昨年六月にはパートを含む有効求人倍率が全ての都道府県で一倍を超え、現在、全国ベースでは一・五二倍まで改善しました。
さらに、今年六月には、全国ベースの正社員のみの有効求人倍率が統計開始以来初めて一倍を超えました。
所得環境も、中小企業を含めて、二%程度の高い賃上げと最低賃金の大幅な引上げが四年連続で実現しています。
私は一貫して成長と分配の好循環を訴えてきましたが、好循環がようやく回り始めました。
政府一体となって、より確かに、より深化させるよう強く求めたい。
何より重要なのは、家計所得を増やす更なる賃上げです。
総理は経済界に三%の賃上げを要請しました。
過去最大の営業利益が見込まれる中で、賃上げの余地は十分にあり、企業の一層の努力を期待したい。
その上で、地方版政労使会議を活用することとともに、政府においては、企業業績の拡大を着実に賃上げや設備投資へとつなげる予算、税制上の取組が求められます。
特に、中小企業の賃上げに向け、所得拡大促進税制の拡充などの支援強化を強く求めます。
確実な賃上げに向けた総理の決意を伺います。
総理は、二〇二〇年までの三年間を生産性革命集中投資期間として、大胆な税制、予算、規制改革などあらゆる施策を総動員するとしています。
残念ながら、これまでの成長戦略は、毎年改訂を繰り返すものの十分な成果に結び付いていないとの批判もあります。
生産性革命は、総理の言葉どおり集中的に大胆に実行し、確実な成果を出していただきたい。
特に深刻なのは、中小・小規模事業者の人手不足、そして後継者問題です。
景気拡大に伴う労働需給の逼迫だけでなく、少子高齢化を見据えれば、まさしく構造問題であり、中長期にわたって企業の稼ぐ力を強くする生産性の向上が重要です。
具体的には、中小企業等経営強化法に基づく研究開発や設備投資への支援、IT、IoT、ロボット、AIなどの導入、活用の支援を大きく進めるべきです。
ものづくり補助金は、中小・小規模事業者の経営力向上に欠かせない支援策であり、確実な継続、拡充を求めます。
また、下請取引の適正化に向け、業界団体による自主行動計画の策定と着実な実行とこれらのフォローアップの実施、長時間労働につながる商慣行の是正などに取り組むべきです。
建設や物流分野の生産性向上も急務の課題です。
建設現場でICTを活用するi―Construction、トラック業界の荷待ち時間、荷役時間を削減する物流生産性革命などを加速すべきです。
生産性革命について、世耕経済産業大臣並びに石井国土交通大臣の答弁を求めます。
会社は黒字だが後継者がいないので廃業する、そうした企業が急増しています。
中小・小規模事業者の経営者の高齢化が進み、今後十年の間に多くの経営者が引退が見込まれる中で、その約半数の百二十七万を超える事業者で後継者が未定という衝撃的な試算もあります。
このまま放置すれば、単に一事業者の問題だけにとどまらず、日本全体の経済や雇用、さらには物づくりや技術の継承などにも深刻な影響を及ぼしかねない重大な事態と捉えるべきです。
こうした事態を打開するため、今こそ事業承継税制の抜本的な拡充を図るべきです。
具体的には、株式の贈与税、相続税について、現行の要件である雇用維持条件の更なる緩和、対象株式総数制限の撤廃、納税猶予割合一〇〇%への引上げなど、大事業承継時代を乗り越える思い切った税制改正を講じるべきであると強く申し上げたい。
あわせて、早期、計画的な事業承継を促進するため、気付きの機会の提供と事業引継ぎ支援センターを通じたプッシュ型の支援などで、現在年間五百件程度にとどまっている事業承継を桁違いに増やせるよう、抜本的な対策を求めます。
事業承継問題に関する総理の決意を伺います。
現在、二〇二五年をめどに、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、地域の特性に応じた、住まい、医療、介護、予防、生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築に向けた取組が始まっています。
来年度は、六年に一度の診療報酬、介護報酬同時改定を迎えます。
医療と介護の連携強化、医療機能の分化、連携を一層推進し、地域医療構想の実現や地域包括ケアシステムの構築を強力に推し進めるチャンスであり、診療報酬、介護報酬の両面から一体的な対応を図るべきです。
また、医療や介護現場でのICT活用に関心が高まっています。
医療と介護の連携強化につながり、結果、従事者の負担軽減も可能となるものであり、強く推し進めるべきです。
介護人材の確保も重要な課題です。
本年度から、技能や経験に応じて昇給する仕組みを構築し、月額平均一万円相当の処遇改善を行うなど、様々な取組を進めていますが、今なお他業種との賃金格差は歴然であり、一層の取組が欠かせません。
どんなにすばらしい制度や仕組みをつくり上げても、支えてくださる方がいなければサービスの提供はできません。
二〇二五年に約三十八万人不足すると予想される介護人材の確保に万全を期すため、より一層の処遇改善を進めるべきです。
とともに、業務負担の軽減や労働環境の改善なども促進すべきです。
地域包括ケアシステム及び介護人材の確保に向けた総理の見解を伺います。
二〇二五年には認知症高齢者が約七百万人に増加するとされる中、認知症対策の推進は最重要課題です。
何よりも当事者の意思を大切にし、家族も含めて寄り添っていくとの姿勢に基づく政府一体での総合的な対策が求められます。
具体的に三点申し上げたい。
認知症の研究開発費が十分ではなく、万全な対策を検討し実行に移すためにも大きく拡充すべきです。
また、認知症初期集中支援チームが二〇一八年度から全ての市町村で立ち上がりますが、医療・介護人材の確保など、万全な支援策を講じるべきです。
さらには、若年性認知症など、これまで十分に取り組まれてこなかった課題にも踏み込むべきです。
以上、認知症対策について、総理の答弁を求めます。
防災・減災対策について伺います。
今年も大型台風が日本列島を襲いました。
政府は、九州北部豪雨、台風二十一号などの大規模災害からの復旧、さらには昨年の熊本地震からの復興に向け、補正予算を含め適切に対応されるよう強く要請します。
近年、雨の降り方が局地化、集中化、激甚化しています。
各地で水害や土砂災害を伴うような豪雨も頻発しており、災害に強い国づくりは喫緊の課題です。
公明党は、国民の命と生活を守ることが政治の最優先課題との認識に立ち、防災・減災ニューディールを提唱し推進してきました。
単に災害が起きたときの復旧にとどまるのではなく、災害を教訓として、様々な大規模自然災害のリスクを踏まえた予防型の防災・減災対策を大きく前進させていくべきと考えます。
地域における防災対策も重要です。
公明党は、大震災を教訓に、女性の視点が欠けている事例を指摘しながら、地方自治体における防災対策の改善に取り組んできました。
女性は防災の主体的な担い手です。
地域の防災力向上のため、第四次男女共同参画基本計画を踏まえ、各自治体の防災会議での女性の割合を着実に増やすなどの取組を進めるべきです。
以上、防災・減災対策について、石井国土交通大臣の答弁を求めます。
東日本大震災の発災から六年と八か月がたちました。
被災地では、公共インフラや災害公営住宅の整備など、復興が着実に進む一方で、いまだ約八万人の方々が避難生活を強いられ、約四万人の方々が仮設住宅での生活を余儀なくされています。
公明党は、世界が刮目するような東北復興を目指し、被災者一人一人が人間の復興を成し遂げるまで、これからも全力を挙げる決意です。
復興の進展に伴い、被災者、被災地のニーズは多様化、複雑化しています。
政府には、引き続き、被災者、被災地に寄り添った、よりきめ細かな支援を強く求めたい。
被災地における産業、なりわいの再生は着実に進んでいるものの、依然として根強いのが風評被害です。
世界で最も厳しいとされる安全検査を実施している農作物だけでなく、東北の観光業も全国的に急増するインバウンドの効果を享受し切れていない厳しい現実があります。
政府の風評対策強化指針に基づいた対策を抜本的に強化し、特に正確な情報提供を通じて、国内外の誤解、偏見、思い込みの払拭に努めていただきたい。
公明党は、福島県浜通り地域の魅力ある復興を果たしていくため、福島イノベーション・コースト構想を力強く推進してきました。
現在、この構想の軸となるロボット産業では、物流やインフラ点検、災害対応に活用されるロボットの一大拠点となる福島ロボットテストフィールドの整備が進められています。
二〇二〇年には、ロボット国際大会のインフラ・災害対応分野の競技がこのフィールドで開催される予定です。
まち・ひと・しごと、これがそろわずして福島再生の実現はありません。
その決定打となり、さらには日本経済全体の成長につなげるという夢と希望のプロジェクト、これが福島イノベーション・コースト構想です。
今年五月には、改正福島復興再生特別措置法が成立し、同構想が法定化されました。
福島再生の実現に向けて、今後も国が十分に関与し、責任を持って取り組むことを強く求めます。
風評対策、福島再生に向けた総理の決意を伺います。
外交問題について伺います。
アメリカのトランプ大統領がアジアを初歴訪し、最初に日本を訪問しました。
日米両首脳がこれまで重ねてきた信頼関係の上に、北朝鮮情勢や経済分野などで率直に意見を交わし、強固な日米同盟のきずなを内外に示したことは大変有意義であったと思います。
今般の日米首脳会談の意義について、総理に伺います。
北朝鮮情勢は、我が国のみならず、東アジア、世界にとっての最大の懸念です。
北朝鮮は、国際社会の強い非難と警告を完全に無視し、核実験や日本の上空を飛び越えた事案を含む多くの弾道ミサイル発射を試み、核・弾道ミサイル開発能力を急速に進展させています。
繰り返される北朝鮮の暴挙に対し、政府のみならず、与野党の垣根を越え、立法府も共に断固たる姿勢で対処することが大切です。
また、この暴挙を止めるためには、国際社会が連携と連帯を深めることが不可欠です。
国際社会が一致して、一連の安保理決議に基づく制裁の実効性を具体的に高めていくことが重要であり、今は北朝鮮に対して圧力を掛けるときです。
その上で、核・弾道ミサイル開発を断念させ、対話による解決へとつなげていくべきです。
今般の日米首脳会談のみならず、総理のアジア訪問の中で、中国やロシアなどの首脳との会談を通じて改めてこうした方向性が確認されたことは大きな意義を持つものです。
また、トランプ大統領と拉致被害者御家族との面会が実現しました。
政府として引き続き拉致問題解決に全力を挙げるよう強く要請します。
対北朝鮮政策について、総理の見解を伺います。
貧困や飢餓などの脅威から人々を守る人間の安全保障の理念に立脚した持続可能な開発目標、SDGsがスタートして間もなく三年を迎えます。
SDGsは、さきのAPEC首脳宣言の中でも二〇三〇アジェンダに沿った取組の促進が合意されるなど、広く国際社会に浸透しつつあります。
本来SDGsは、政府はもちろん、企業、市民社会を含めた地球規模での行動を要請しています。
しかし、残念ながら、企業などでは事業開発や企業の社会的責任の観点からの取組が増えつつあるものの、国民の認知度はまだ低いのが現状です。
まずは、二〇一九年の首脳級のフォローアップ会合を目指し、日本が地球的な脅威から人々を守る取組を強くリードしていくべきではないでしょうか。
SDGsの取組について総理の見解を伺います。
本年七月、核兵器の開発や保有、使用を法的に禁止する核兵器禁止条約が採択されました。
現在、発効に必要な批准国数五十か国以上が既に署名済みです。
多くの方々の核廃絶に対する思いが条約として実を結んだことは大局的に一歩前進と評価します。
加えて、核兵器禁止条約の採択に貢献してきたNGOの核兵器廃絶国際キャンペーン、ICANにノーベル平和賞が授与されたことについて国民の多くは率直に歓迎しています。
核軍縮・不拡散に向けた機運が高まることは大変喜ばしいことです。
他方、条約採択の過程において、核兵器のない世界に向けた具体的なアプローチの違いから核兵器保有国が参加せず、非保有国との間で溝が深まり、分断が大きくなったとの指摘もあります。
核兵器のない世界という共通する大きな目標に向けて、核兵器の非人道性への共感を基軸として、厳しい安全保障環境も踏まえつつ、日本が橋渡し役となり、今後は双方の信頼関係の再構築を図りながら、具体的かつ現実的なアプローチを積み重ねていくことが極めて重要と考えます。
今月二十七日には、核兵器の保有国と非保有国などの有識者が参加する賢人会議が被爆地である広島で開催されます。
政府には、これらの会議を始め、核不拡散体制の維持強化や包括的核実験禁止条約の発効に向け、粘り強い取組を求めます。
核兵器のない世界に向けた総理の見解を伺います。
先般、APEC首脳会談、ASEAN首脳関連会議が開催されました。
世界の成長センターであるアジア太平洋地域において、APEC、そして創立五十年を迎えるASEANが果たすべき役割は非常に重要です。
特に、APEC期間中のTPP閣僚会合にて、いわゆるTPP11について大筋合意がなされたことは、自由、公正でレベルの高い経済ルールを世界に広げていくという意思を示すものであります。
アジア地域の繁栄における日本の役割は重大であり、今後も主導的な役割を発揮することに期待するものであります。
日中関係は、本年の日中国交正常化四十五周年及び来年の平和友好条約締結四十周年の節目を迎えます。
そうした中、ベトナムで日中首脳会談が行われ、新たなスタートとして、今後、意思疎通を図っていくことが確認されました。
今後、さらに、延期となっている日本での日中韓首脳会談の早期開催や両国首脳の相互訪問を通じて、関係改善の動きを更に進めていくことが重要です。
アジア太平洋地域における日本の役割及び日中関係について、総理の見解を伺います。
最後に、日ロ関係について伺います。
安倍総理は、APEC首脳会議の際、ロシアのプーチン大統領と二十回目の首脳会談に臨まれ、特に北朝鮮問題で安保理決議の完全履行などが確認されたことは極めて重要です。
一方で、北方領土問題を含む平和条約交渉の進展に向けては、北方四島における共同経済活動の成否に懸かっていますが、今後のプロジェクトの具体化に向けた現地調査を含め、粘り強い交渉を求めます。
また、元島民の方々の航空機による墓参を始めとする自由な往来など、人道的な措置の継続、改善も進めるべきです。
私が本年九月にロシアに訪問した際にも、共同経済活動を通じた平和条約交渉や相互交流などについて、強い期待や関心が示されたところです。
来年は、日本年、ロシア年。
幅広い交流を通じて相互理解を深め、日ロ平和条約締結へとつなげていくことも必要です。
日ロ関係についての総理の見解を伺います。
いよいよ、二〇一九年のラグビーワールドカップ日本開催まで六百六十七日、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック開催まで九百七十五日、国際的なスポーツの祭典への機運は高まってきました。
国と関係自治体、そして国民が力を合わせ、大成功を期していかなければなりません。
しかし、それらは決してゴールではありません。
私たちは、更にその先の未来をも見据え、政治を前に進めていかなければならない。
そのために、公明党は更に力を尽くしていくことをお誓いし、私の代表質問を終わります。
第193回[参] 本会議 2017/01/25 3号
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私は、公明党を代表し、ただいま議題となりました施政方針演説等政府四演説について、総理並びに関係大臣に質問いたします。
二〇一七年、新たな年を迎えました。
安倍連立政権は発足から五年目となりますが、経済再生、一億総活躍、働き方改革など、国民生活の安全、安心、安定への歩みを止めるわけにはいきません。
一方で、世界に目を転じれば、英国のEU離脱、トランプ米国大統領の誕生などにより世界経済の先行きに不透明感が増し、さらにはテロや災害など不安定な社会情勢も広がっています。
各国が社会の在り方や秩序を求めて模索を続けていると言ってもいいでしょう。
従来の常識や想定を超えて世界が動く、我が国もこうした心構えを持ちつつ、国際社会の動向に柔軟に対応し、国内政治を進めていくことが求められます。
その中で、日本の政治は、安定した政治状況の下、経済再生や平和外交など着実な成果を上げてきました。
政権基盤の更なる安定を図り、内外における責任を果たしていくためには、政権を担当する自公両党が、決しておごることなく、国民のニーズに的確に応える不断の努力を積み重ねていかなければなりません。
安倍政権の使命はますます重大であり、その一翼を担う公明党は、これからも国民目線で与党としての責任を全うしていく所存です。
以下、主に、平和外交の展開、経済再生と地方創生、そして安心と輝きの未来への三つの観点から質問いたします。
初めに、安倍総理が進める地球儀を俯瞰する外交に関して質問いたします。
昨年は、G7伊勢志摩サミットの成功を始め、その後のオバマ大統領の広島訪問、さらには安倍総理の真珠湾訪問など、平和外交を大きく展開する一年となりました。
本年に入ってからも、安倍総理は、アジア、豪州を歴訪されるなど積極的な外交を展開しており、引き続き、地域の安定と繁栄のため、平和国家にふさわしい貢献をお願いしたいと思います。
米国では、トランプ大統領が正式に就任し、新たなスタートを切りました。
戦後、日米両国は、自由、民主主義、基本的人権の尊重、法の支配といった基本的価値を共有し、強固で広範な日米同盟を築き上げてきました。
我が国の外交・安全保障の基軸である日米同盟のきずなを深め、トランプ新政権との基本的な信頼関係を構築していくためにも、早期に首脳会談が行われることを期待します。
今後の日米関係について、総理の見解を伺います。
今年は日中国交正常化四十五周年、来年二〇一八年は日中平和友好条約締結四十周年の節目に当たります。
これまで進めてきた経済交流や人的交流など幅広い分野における取組を官民挙げて行うとともに、両国関係を発展させ、この節目にふさわしい具体的な取組を検討すべきです。
我が党も政党間交流などを通じて日中関係発展のために尽力をしていきたい。
また、日中韓サミットの枠組みによる対話は非常に重要です。
現在、韓国内での政治の混迷もあり、早期開催が難しい状況にありますが、議長国として粘り強く対話を重ね、早期開催が可能となるよう強く期待します。
日中関係、日中韓サミットについて、総理の見解を求めます。
貿易立国である我が国にとって、貿易や投資の自由化、円滑化を進める経済連携協定の締結は極めて重要です。
日EU経済連携協定の締結に向けた交渉は大詰めを迎えていますが、畜産物等の重要品目に配慮しつつ、可能な限り早期に大筋合意がなされることを強く求めます。
並行して、日中韓の自由貿易協定、いわゆるFTAや東アジア地域の包括的な経済連携、いわゆるRCEP、さらに、昨年私が訪問したコロンビアとの経済連携など、各国との交渉を積極的に進めるべきです。
米国トランプ大統領のTPP離脱方針や英国のEU離脱を踏まえ、我が国の通商戦略や海外進出する日系企業への影響が懸念される中、二国間、多国間の経済連携をどのように進めるのか、総理の見解を求めます。
昨年は、核兵器廃絶に向け大きな進展がありました。
この流れを加速させるため、唯一の戦争被爆国である我が国は主導的な役割を果たすべきです。
核兵器のない世界を実現するためには、核保有国と非保有国が協力して現実的かつ具体的な措置を積み重ねていくことが不可欠です。
日本は過去二十三年間にわたり核廃絶決議を提案し、昨年の決議は米国を含む百六十七か国の幅広い支持を得て国連総会で採択されました。
この決議は、核保有国と非保有国が協力し、核兵器のない世界へ向けて現実的な道筋を示すものです。
他方で、核兵器禁止条約の交渉を開始する決議も採択されました。
我が国が反対したのは、核保有国が全て賛成しない中で、保有国と非保有国の対立を一層助長しかねない懸念があったからと認識しています。
しかし、決議が採択され具体的な交渉が始まる以上、積極的に議論に参画し、より良い結果となるよう尽力すべきです。
また、NPT、いわゆる核兵器不拡散条約の体制強化に向けた日本の役割も重要です。
核兵器のない世界へ、我が国の主体的な取組について、総理の見解を求めます。
深刻化する貧困や飢餓、感染症など国境を越えた脅威から人々を守る人間の安全保障、その理念に立脚した持続可能な開発目標、二〇三〇アジェンダ、いわゆるSDGsがスタートして一年が経過しました。
その取組を促進するため、我が国は、NGO、NPO等の多様な主体と連携しつつ、積極的な貢献を果たすべきです。
具体的には、我が国の知見、経験を生かした防災の主流化を進めることが重要です。
一ドルの防災事前投資が七ドルの復興コストに匹敵すると言われるように、防災は、人命を守るだけでなく、復興コストを抑制し、貧困撲滅と持続可能な開発に寄与します。
また、誰一人取り残さないとのSDGsの理念は、広く未来を担う子供たちの心に深く刻んでほしい重要な考え方です。
そのため、教育の中に、具体的には学習指導要領に基づいてSDGsに関する学習を進めることを強く求めたい。
総理の見解を求めます。
京都議定書に続く温暖化対策の新たな国際的枠組みとなるパリ協定が発効しました。
パリ協定の特徴は、途上国を含む協定参加国が二酸化炭素の削減目標を掲げ、その削減達成を目指す点にあります。
その意味から協定の成否は途上国が握っています。
それには、協定に盛り込まれた環境協力を通じて途上国の二酸化炭素の排出量を削減する二国間クレジット制度、いわゆるJCMの活用が重要です。
JCMで自国の削減目標の達成も進めつつ、我が国の低炭素技術なども相手国に普及できるJCMは有益な仕組みです。
ただ、それでも、温室効果ガス削減の本命は国内での削減です。
そのためには、再生可能エネルギーの普及を図ることはもちろん、今後は水素エネルギーの活用が焦点になってきます。
一例を挙げれば、簡便に低炭素な高圧水素ガスを製造する機器の実用も始まっており、こうした取組の普及が急がれます。
今後の温暖化対策の取組方針について、総理に見解を求めます。
次に、経済再生と地方創生の観点から質問いたします。
これまで安倍政権では、デフレ脱却、経済再生を第一に取り組んだ結果、国内景気は緩やかながら回復基調が継続しています。
過去四年間で企業業績は改善し、雇用の安定や賃金の上昇をもたらすなど、その成果は着実に現れています。
そして重要なことは、経済成長の成果を一人でも多くの人々に行き渡らせていくことです。
経済成長一辺倒では格差が生じます。
社会の実態に目を凝らせば、かつての高度経済成長期と比べ、社会構造が大きく変わっています。
少子高齢化が進み、働いて賃金を得て生活する人ばかりでなく、年金等で生活を支える人々も増えました。
生活者の目線で経済成長の果実を適切に分配し、希望が行き渡る社会を構築していくことが持続可能な経済成長の基盤ともなります。
そうした中、二〇一七年度の税制改正、予算案では、中小企業の所得拡大の促進や設備投資、イノベーション創出による生産性の向上、さらには働き方改革、無年金対策、奨学金制度の充実など、安倍政権が進めてきた成長と分配の好循環を更に後押しする施策が盛り込まれており、早期の成立、執行が欠かせません。
これまでの経済再生への取組と成果、そして我が国の経済を更に強靱にしていく取組について、総理の答弁を求めます。
経済の好循環をより確かなものとするためには、全事業者の九割を占める中小企業・小規模事業者への重点的な支援が欠かせません。
経営者の高齢化や雇用環境の改善による人手不足など、中小企業を取り巻く環境は深刻であり、後継者が決まらないとの理由から黒字企業の廃業も増えつつあります。
こうした課題を解決するには、第一に中小企業の継続的な賃上げ支援が必要です。
来年度の税制改正では、公明党が要望した固定資産税の軽減措置の拡充や賃上げを行う企業への支援強化が盛り込まれました。
また、下請取引条件の改善や社会保険・労働保険料負担の軽減など、中小・小規模事業者の賃上げや設備投資を後押しする支援策も求めてきました。
第二に、企業の稼ぐ力を強化することが必要です。
そのためには生産性の向上が不可欠であり、その鍵を握るのが、IoT、ビッグデータ、人工知能等を活用した第四次産業革命の推進です。
我が国が誇る高い技術力を生かした技術や商品を国内外に展開する販路開拓支援を強化し、企業の収益力向上や継続的な賃上げへとつなげるべきです。
中小企業・小規模事業者の賃上げや生産性向上の取組について総理に伺います。
地方創生は、日本を元気にするための最重要テーマの一つです。
本年は、地方創生の五年間の政策目標などを示したまち・ひと・しごと創生総合戦略の策定から三年目に突入します。
昨年、ほぼ全ての都道府県、市区町村で地方版総合戦略が策定されていますが、国においては、この総合戦略の本格的な実行に際して、PDCAサイクルが十分に機能しているかを含め、きめ細かな支援を継続すべきです。
また、地方創生を進めるには、その取組を下支えする若い世代が集まる流れをつくることが重要ですが、その手法の一つに教育における社会活動が挙げられます。
島根県では、廃校寸前だった島唯一の高校で、多様な文化や価値観の中で多くの学びが生まれる島留学を実施。
全国から多くの生徒が集った結果、生徒数は七年間で約二倍に拡大しました。
さらに、将来の進路を考える契機とするため、生徒が地域住民とともに社会活動を実践する科目も創設しています。
地方創生の成否は、いよいよ重大な局面を迎えています。
政府は、地方版総合戦略の実行に向けて、情報、人材、財政の面から支援することはもちろん、教育の観点も含め、若者の活躍を通じた地域活性化を後押しすべきです。
地方創生について、総理の見解を伺います。
観光立国の推進について伺います。
訪日外国人は昨年二千四百万人を突破し、今や観光、なかんずくインバウンドは、日本の経済成長とともに地方創生を進める上で重要な柱となっています。
今後、二〇二〇年度の四千万人の高みを目指していく上で、さらに日本の伝統文化、芸術、体験、歴史など、全国各地にある観光資源、それらを支える人を最大限に生かしていく体制を一層強化しなければなりません。
既に政府は、訪日外国人受入れのためのあらゆる環境整備の促進、訪日プロモーション活動などを行っていますが、外国人の方が何に魅力を感じ日本を訪れているのか、ゴールデンルートに集中する外国人旅行者の流れをどう地方に波及させていくのか、リピーターや長期滞在者をどうすれば増やせるのかなど、民間等と連携をしながら知恵を絞り、的確な手を打ち続けていくことが求められます。
観光立国の更なる推進について国土交通大臣に伺います。
東日本大震災から間もなく丸六年となります。
公共インフラの復興、災害公営住宅の整備などが着実に進む一方、生活再建とともに、産業、生業の再生、東北観光復興などはもう一段の支援が必要です。
心の復興、人間の復興を成し遂げるまで、徹して被災者に寄り添う支援を継続していきたい。
福島では、最新鋭の農林水産業を促進し、安全、安心な福島ブランドの普及など、風評被害を払拭する更なる取組が必要です。
また、廃炉・汚染水対策とともに、新たな産業基盤をつくる福島イノベーション・コースト構想の具体化を促進すべきです。
さらに、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックは、復興五輪として、福島県内で野球などの競技を開催する方針に大きな希望の光が広がっています。
国内のみならず、世界中が刮目するような輝かしい東北復興の姿を示していきたい。
東北復興の取組について総理に伺います。
昨年は、熊本地震や鳥取県中部地震、台風など、相次ぐ自然災害に見舞われました。
被災地の皆様が未来に希望を持って進めるよう、復旧復興の取組を加速させなければなりません。
被災現場では、様々な課題が浮き彫りとなりました。
熊本地震では、耐震改修が遅れていた庁舎や病院などが損壊し、防災拠点として機能しないケースが相次ぎました。
北海道や岩手を中心に襲った台風による集中豪雨では、堤防の決壊による河川の氾濫で、災害弱者の避難体制や堤防の強化などが課題となりました。
新潟県糸魚川市の大規模火災では、その原因に、強風とともに木造建築物の密集が指摘されました。
他方で、防災無線や地域住民による声掛けが早期の避難につながったことは、地域防災力の重要性を改めて認識するものでした。
これらに加え、社会インフラの老朽化対策も急がれます。
昨年十一月、産官学民が連携したインフラメンテナンス国民会議が発足しました。
老朽化対策を通じた防災、減災の加速化とメンテナンス技術という新しい産業の育成、活性化を図るものとして期待されています。
国民の生命と財産を守り、自然災害に強い国づくりを実現する防災、減災の取組について、国土交通大臣の答弁を求めます。
次に、安心と輝きの未来へという視点から質問いたします。
働くことを希望する女性が安心して子供を産み育てられる社会、そのためには、保育の受皿整備と保育士の確保が欠かせません。
公明党が求めてきた保育士の処遇改善策では、二〇一七年度から保育士給与を月額六千円増やすことに加え、技能や経験に応じて更に四万円を上乗せすることとしています。
こうした処遇改善を通じ、新たな保育士の養成や潜在保育士の活用など、保育士確保に向けた取組を一層強化すべきです。
総理の答弁を求めます。
介護人材の確保も急務です。
介護職員等の処遇改善により、二〇一七年度から月一万円程度給与が上がることは大きな前進です。
しかし、それでもなお人材不足は深刻であり、再就職支援を含めた人材の確保や離職者を減らすための抜本的な対策が必要です。
介護現場で働く方の悩みとして、仕事量に対する低い賃金や深夜業務への不安、人間関係、利用者からの暴力や暴言等が挙げられています。
現場任せにはせず、実態を踏まえた相談体制の強化を進めるとともに、介護ロボットの活用やICT化による業務負担の軽減も促進すべきです。
介護職員の幅広い処遇改善策について、総理の見解を求めます。
国民一人一人の活躍を後押しする働き方改革、その実効性ある取組が急がれます。
公明党は、昨年末、働く人の立場に立った働き方改革の実現に向けた提言、いわゆる中間報告を総理に提出しました。
今般策定された政府の同一労働同一賃金のガイドライン案には、基本給だけでなく、賞与、各種手当、福利厚生を含めた非正規労働者の処遇改善施策など、我が党の主張が反映されており、これを評価いたします。
以下、この提言内容に沿って二点伺います。
一点目は、テレワークや副業、兼業といった多様な働き方の推進です。
長時間労働の是正やワーク・ライフ・バランスの実現、さらには職場内、職場外を含めた能力開発の機会を充実させ、若者、高齢者、障害者等の多様な働き手の参画を後押しする取組が重要です。
テレワークは、子育てと仕事の両立を始め、離職防止の観点からも大事な取組です。
また、副業、兼業は、オープンイノベーションや起業の手段として大きな効果が期待されています。
勤務時間の管理の難しさや更なる長時間労働を助長する懸念などが指摘されていますが、こうした課題の解決に取り組みつつ、労働生産性の向上の観点から更なる普及を図るべきです。
二点目は、女性が活躍しやすい環境整備です。
女性活躍推進法や改正育児・介護休業法により、女性が働く環境は改善しつつあります。
しかし、正社員として活躍する女性が増える一方で、働く女性の六割近くがパートなど非正規雇用であることや男性との賃金格差も課題となっています。
また、女性の復職、再就職について、正社員だった女性が子育てなどで一旦離職すると、パート等の非正規で働き続けざるを得ない実態もあります。
リカレント教育により多くの方が学び直しできるよう助成制度を拡充することや、短時間勤務の導入など、女性がライフステージに応じて再就職しやすい環境整備を急ぐべきです。
働き方改革の取組について総理に伺います。
若者の活躍推進について伺います。
公明党は、これまで青年議員を中心に各地で懇談会や意識調査などを行い、学生を始め若者の声を国政に反映してきました。
その結果、若者雇用促進法の制定や、いわゆるブラック企業、ブラックバイトの根絶などの取組が前進しました。
また、地方版政労使会議を提案し、地方における賃上げや働き方改革も推進してきました。
他方で、若者に関する施策は各省庁に分かれており、政策効果を高めるためにも横断的な取組が必要です。
政府には、青年政策を担当する大臣を明確にすることや担当部局の体制強化など、総理のリーダーシップで青年政策を総合的かつ力強く進めていただきたい。
若者の活躍推進に向け、総理の答弁を求めます。
教育について申し上げます。
教育の原点は子供の幸福にあります。
しかし、子供たちにとって楽しく学ぶ場であるはずの学校が、いじめなどの深刻な問題により、生きる喜びが奪われてしまうことがあります。
昨年の調査結果では、いじめの認知件数が二十二万四千五百四十件と過去最多となりました。
いじめの兆候を早期に把握しようとする学校現場の機運の高まりとの見方もありますが、深刻な数字と受け止め、これまで以上に未然防止や相談体制の充実に全力を挙げるべきです。
そして、何よりも、未来の宝である子供たちを苦しめるいじめは絶対に許さないとの気風を社会全体で確立していくことがいじめの根絶につながります。
また、不登校児童生徒の数は十二万六千人に上ります。
全ての子供にとって、学ぶ権利は尊重されなければなりません。
さきの臨時国会では、フリースクールや夜間中学など多様な学びの場を提供するための教育機会確保法が議員立法で成立しました。
同法の趣旨を踏まえ、学校に行けない児童生徒に学びの場を確保していただきたい。
「ひとしく教育を受ける権利を有する。」との憲法二十六条を社会の変化に応じて具体化していく取組が求められます。
いじめ、不登校問題への対応について総理に伺います。
最後に、三年後に開催される平和の祭典、東京オリンピック・パラリンピックについて質問いたします。
前回の東京大会が開催された一九六四年は、公明党が誕生した年でもありました。
当時の大会では、新幹線や高速道路の開通など、現在にも残る数々のレガシーが生み出され、戦後の荒廃から立ち上がった日本の復興を世界に示す象徴となりました。
二〇二〇年の大会においても、高齢社会、環境・エネルギー問題など、日本を始め多くの国々が直面する共通課題を踏まえ、日本の強みである技術、文化を生かしながら、その先頭に立って課題解決に取り組む姿を世界に示し、次世代に誇れるレガシーを創出していかなければなりません。
具体的に三点伺います。
まず、テロなど組織犯罪への対策強化とともに、高齢者や障害者など誰もが安心して生活、移動できるユニバーサルデザインの町づくりや、心のバリアフリーを含め全ての人の社会参加を後押しする取組を一層強化すべきです。
次に、オリンピックでは世界各国から多数の人が集まることもあり、選手村を始めとして、日本で提供される食品には安全の確保や環境への配慮が求められます。
この大会を契機に、国際的に通用する認証取得に取り組みつつ、多様な食文化への対応が可能となれば、日本の食の競争力を高め、輸出拡大のチャンスともなります。
さらには、オリンピックは文化の祭典でもあります。
文化芸術を通じて世界に日本の魅力を発信するとともに、文化芸術立国の実現を推し進めるため、昨年十月にスタートした文化プログラムを全国津々浦々で展開し、成功させていただきたい。
東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた取組について、総理の見解を求めます。
以上、我が国が直面する内外の政治課題について述べさせていただきました。
冒頭申し上げたとおり、世界経済や各国の政治体制に不確実性が高まる中にあって、我が国は安定の要としてその責任を果たし、国際社会の平和と安定に積極的な貢献をしていかなければなりません。
連立政権の一翼を担う公明党は、引き続き、国民の声に真摯に耳を傾けながら、こうした課題を克服し、安心と希望ある未来を切り開くための政策を着実に実行していくことをお誓いし、私の質問を終わります。
第192回[参] 外交防衛委員会 2016/10/20 2号
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公明党の山口那津男でございます。
まず初めに、南スーダンのPKO活動への自衛隊の派遣についてお伺いしたいと思います。
南スーダンにおいては国連南スーダン共和国ミッション、いわゆるUNMISSがPKO活動を展開中でありますが、我が国も自衛隊を参加をさせて活動を継続しております。
しかし、この今派遣されている活動は、今月末、十月三十一日で派遣期間が終了するという予定になっております。
一方で、その基になる国連のUNMISSの活動そのものは活動期間が更に延長されておりますので、我が国としてその後どうするかということがいずれ判断を問われるわけであります。
その前提となる基本的なことを何点か私からお伺いしたいと思います。
まず、稲田防衛大臣に伺いますが、大臣は去る十月八日、南スーダンを訪問し、首都のジュバ周辺を視察をし、また、南スーダン政府や国連南スーダン共和国ミッション、いわゆるUNMISSの要人などとも会談をされたと伺っております。
日本ではこの南スーダンで時折起こる武力衝突の模様などが報道されたりしますから、国民の皆さんの中には治安状況について不安を覚える方もいらっしゃると思います。
そこで、実際に現地に行かれたことを踏まえて、この南スーダンの情勢について大臣としてどう認識されておられるか、お答えいただきたいと思います。
南スーダンが独立したのは五年前のことであります。
この間、順調に統治する能力あるいは自立していく能力、この国家としての能力が育っているというわけにはいかない状況であろうかと思うわけであります。
だからこそ、国連がその初期段階の国づくりのためにPKO活動で支援をしていくということが大切だろうと思います。
この南スーダンのミッションにはカンボジアも参加をしております。
カンボジアはかつて内戦を終結して、最初にUNTACというPKO活動を展開し、日本の自衛隊も施設部隊を送ってこの自立を支援した。
今では立派に自立して、こうした南スーダンにも参加をできるようになったわけであります。
そういうカンボジアと日本がこの南スーダンの自立のためにPKO活動を共にするということも私は歴史的な意義があるのではないかと、このように思っております。
しかし、また一方で、日本からかなり遠い国であります。
また、内陸の国でありますから、いろいろ支援、補給するのも容易ではありません。
そうした状況も見た上で、これから果たして継続していく必要があるのかと、こういう見方をする人もいないわけではありません。
さて、この南スーダンPKOに自衛隊を派遣をする基本的な意義について大臣としてどうお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
今大臣がお述べになられたように、大きな意義があると、本来あると、このように思います。
しかしまた、最初に述べられたように、厳しい現在の情勢の認識からして、今後どう継続していくべきか否か。
この点については、初めて出すときは、そもそもPKOの五原則の適用が問題となるような紛争当事者というのは存在しなかったんですね。
ですから、厳格な五原則の適用云々というよりも、不安定な治安の状況は確かにあった。
そこをよく配意をしながら、注意を払いながら活動しようということでPKO活動に参加をしたのだと私は思っております。
さて、そういう中で改めて、これからどうするかということについて、このPKOに自衛隊を派遣、あるいは派遣を継続する、そういう場合の判断の要素、どういうメルクマール、基準によって判断をしていくのか、これを国民の皆さんに分かりやすく、改めて御説明いただきたいと思います。
今お述べになられたように、我が国の憲法上の問題を生じるかどうかというこの五原則の適用の在り方、しかし、この南スーダンのPKOについてはそうした問題はそもそもなかった、しかし、その不安定な治安状況に対応していこうと、こういうことだと伺いました。
そこで、外務大臣に伺いますが、この治安状況については注意すべきものがあるわけですね。
しかし、日本の施設部隊、これは、防衛大臣もお述べになったように、本来の国づくり、道路や橋を造ったり国づくりを支援する、あるいは避難民を保護するためにトイレを造ってあげたり、あるいは防護柵を設置してあげたり、そういう人道的な支援をする、こういうことが仕事であります。
直接治安の維持強化に当たる仕事ではないわけですね。
しかし、現実にはその不安定な治安の状況はある。
この治安に対応するのはそもそも自衛隊ではなくて、ほかの仕組みがあるはずであります。
それはどういう仕組みで南スーダンで行われているか。
南スーダン政府の対応するところもあるでしょう。
UNMISSが対応するところもあるでしょう。
それらを整理して御説明いただきたいと思います。
今大臣がお述べになられたように、南スーダン政府においても言わば二重の治安を守る体制がある、UNMISSにおいても独自の治安を守る部隊、組織がいる、また、最近では治安を更に強化するために部隊を増派して厚くすると、こういうことも伺っているわけであります。
そうしますと、これらがうまく機能すれば自衛隊が施設部隊としての本来の活動を安全に実行することが可能なはずでありますが、それでもなおかついろいろな新たな仕事を与えるべきかどうか、これは今後の課題だと思いますので、政府として様々な前提を踏まえながら慎重に検討をして結論を出していただきたいと、このように思います。
さて、次の質問に参りますが、外務大臣の所信の一端として、中南米との協力関係を強化すると、こういう所信が述べられました。
私は、今年の八月三十日から九月の八日まで、パナマ、コロンビア、キューバ、三か国を訪れ、特に、言わば冷戦の名残といいますか、こうした状況の残っているこの地域が、今安定へ向かう方向にあります。
そういうところをこの目で確かめ、そして日本がどういう支援が必要かということを確認するために訪問してまいりました。
まず、コロンビアについてお伺いしたいと思います。
コロンビアは九月一日から三日訪問し、政府と反政府ゲリラが六十年近く紛争を続けてまいりましたが、このほど和平合意が成立をいたしました。
その後の国民投票で僅かな差で否決はされたんですが、なお新たな和平合意をつくろうということで、今様々な当事者が前向きな活動を開始していると、このように伺っております。
その和平合意を政府の側で推進したのがサントス大統領であります。
この大統領と会談した折には、この長年の紛争の負の遺産ともいうべき対人地雷、これが国土に広く分布している、しかも、その量は世界で埋設量第二位という膨大な量に上る、これらを処理していくことが和平のプロセスを進めるに当たっても大事なことだ、そして、この地雷除去に対する日本の支援を自分は確認をしている、大変有り難い、感謝すると、そして新たな支援にも期待を示していらっしゃったわけであります。
私たちは、この会見の後に、コロンビア国軍のトレマイダという基地に赴きまして、地雷除去部隊の訓練状況、活動状況を視察してまいりました。
そこでコロンビア側が求めていたのは、既に日本から供与された地雷除去機があるわけですが、この優れた機材を更にもっと供与してもらいたいと、そして、これをどう使ったらいいのかという経験、技術、これも是非教えてもらいたいというのがコロンビア側の要望でありました。
この和平合意は、十月二日、否決されたわけでありますが、その後の七日に、和平合意を推進したサントス大統領に今年のノーベル平和賞が授与されました。
このことによって、新しい和平プロセスを更に進展させようという機運が今起きてきているわけであります。
そこで、今年の十月十一日、本院の予算委員会で我が党の平木大作議員が安倍総理に質問をいたしました。
この合意ができた、国民投票で否決された、ノーベル平和賞が授与された、その後、日本はどういう支援をすべきかという質問に対して、安倍総理からは大きく二点お答えがありました。
一つは、和平合意の国民投票否決の後でも和平プロセスを我が国としてしっかり支援をしていくという意思を表明されたことであります。
二点目は、和平合意を、新たな合意を形成する後押しになるような支援をやろう、この間成立しました第二次補正予算、これも活用して積極的に行うと、このような御答弁をされたわけであります。
そこで伺いますが、ノーベル平和賞受賞後、国民投票否決後も和平合意を目指すとしている、否決した側、推進した側、双方の当事者の理解を得て新しい合意を促していくためにも、日本が地雷除去や、あるいはそれによって傷ついた被害者のリハビリ支援など、人道支援を適切なタイミングでやっていくことが今後も有効だと私は考えますが、外務大臣の認識を伺いたいと思います。
今大臣が十八日に草の根・人間の安全保障無償資金を使って供与をしたと新たな供与についてお述べになりました。
確かにこれも大事なことでありますが、量、規模としては決して大きいものではありません。
このコロンビアの国土が広大であり、その地雷の埋設地域が広く分布していること、そしてまた地形が複雑です。
山岳地もあれば低地もあります。
そうした状況に対応していくためには、その草の根無償のみならず一般無償資金なども使いながら、もう少し規模の大きいもの、しかも、相当数の除去機の数とともに、これらを運ぶための手段、トレーラーなどの手段、あるいはそれらを継続的に補修してメンテナンスしていけるような手段、そうしたものも伴った総合的な支援をやっていく必要があるし、また、コロンビア側にもそれは歓迎されることだと思います。
是非、こうした一般無償資金も活用した規模の大きな支援、これについてやっていただきたいと思いますが、大臣の御決意を伺いたいと思います。
その際、コロンビア側は、実際に機材を使って除去した経験、技術、取り除く経験、技術、これも授けてもらいたいと、こういう要望もあったわけであります。
我が国においては自衛隊のOBの皆さんが国際NGO等を組織してボランティアベースでカンボジアなどで活動した経験はあります。
また、カンボジアで我が国が支援して育てた地雷除去機関、CMACといいますが、ここも豊富な経験を持っております。
むしろこのカンボジアのCMACのような組織を、部隊をコロンビアに派遣をして、そして共にお手伝いをすると、そういうことを日本も協力したらどうかと私は思うわけであります。
そうすると、この経験が機材とともに大きく生きていくだろうと、コロンビア側もそれを受けて自らの技術、経験を磨いていくことができるだろうと、こう思います。
是非この点でも御一考いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
地雷除去、負の遺産の処理という側面でありますが、もっと前向きにコロンビアとの経済協力を進めていくべきだと思います。
いわゆる太平洋同盟、これはメキシコ、チリ、ペルー、コロンビアと加わっているんですが、コロンビア以外の国々はAPECにも参加していますし、TPPにも参加をしております。
コロンビアが少し後れを取っているんですが、しかし、その資源や人材や様々な総合的な能力は大変高いものがあると思われます。
そうしたコロンビアと我が国の間で経済連携協定、EPAのようなものを早く結ぶ。
そして、無償資金協力だけではなくて、円借款もコロンビア側と合意を結んでこれを供与できるようにする。
こうした経済協力が今後必要ではないかと思うわけであります。
それと相まってこそ両国の関係が一層強化されるものと確信をいたしております。
この点について大臣の所見を伺いたいと思います。
コロンビアの後、キューバを訪れました。
ディアスカネル副議長やロドリゲス外務大臣とも会談をし、また、安倍総理からお預かりした親書をラウル・カストロ議長にもお届けさせていただきました。
その後、安倍総理大臣御自身が九月二十二日からキューバを訪問されて首脳会談等行ったところであります。
また、岸田大臣におかれましても昨年キューバを訪問されていらっしゃいますし、要人の往来が相次ぐ今こそ関係を強化する絶好のチャンスだと、このように思います。
昨年はアメリカと国交正常化を果たしました。
日本人の観光客も急激に増えております。
こうやって関心が高まっているところであればこそ、本格的な経済協力を検討すべきだと考えます。
総理が訪問した折には、債務問題を処理したり、あるいは医療機材を供与するなど、無償資金協力の第一号案件も実現をいたしました。
今後のことを考えますと、この無償資金の第二弾、第三弾はもちろん、円借款、これも前提を整えることも必要でしょうし、また、それらを推進するためのJICAの事務所、現在はないわけでありますが、この拠点を設けるということも必要になってくるのではないでしょうか。
また、長年社会主義の体制でありまして、経済開発特区なども今つくりつつありますが、日本の企業が投資やビジネスをしていくための環境整備など、いろいろ取り組まなければならないことがあると思います。
どのように進めていらっしゃるおつもりか、それをお伺いしたいと思います。
終わります。
第192回[参] 本会議 2016/09/29 3号
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公明党の山口那津男です。
私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました所信表明演説及び財政演説に対し、安倍総理並びに関係大臣に質問します。
「希望が、ゆきわたる国へ。」、公明党はさきの参院選でこのスローガンを掲げ、国民に政策を訴え抜きました。
国内を見れば、少子高齢、人口減少という構造的変化の中、仕事や生活への不安、社会保障や地域コミュニティーの持続可能性の揺らぎ、頻発する自然災害の猛威へのおそれなど、容易に晴れない様々な課題が山積しています。
一方、世界では、紛争や難民問題、無差別テロなど、人道上許し難い事態が続いています。
しかし、未来は変えられます。
これらの不安を取り除く希望を示し、実行し、そして結果を出していく、これこそが政治の使命です。
公明党は、多様化する社会にあって、一人一人が輝き活躍できる社会を目指してまいります。
この夏、台風十号を始め記録的な豪雨が相次ぎ、北海道、東北、九州などを中心に大きな被害をもたらしました。
お亡くなりになった方々に哀悼の意を表し、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。
特に岩手県は、さきの東日本大震災と今般の台風による二重の被害に見舞われました。
復興への意欲が損なわれないよう十分な支援を求めます。
私は、甚大な被害に見舞われた北海道南富良野町に伺いました。
苦心惨たんの末、丹念に作り上げた大切な大切な畑が一瞬で無残な姿になり果て、悔しさをにじませる農家の方の姿が忘れられません。
水産業でも主要な輸出産品であるホタテ養殖で多大な被害が出るなど、廃業や後継者離れの不安も広がっています。
政府は、被災地の強い要望を踏まえ、迅速な対応で被害の大きかった地域を激甚災害に指定したことは高く評価します。
引き続き、被災者に寄り添い、一日も早い復旧と生活再建へ、被災された方々が将来に夢と希望が持てるよう最大限の支援を強く求めたい。
総理の決意をお聞かせください。
近年、日本での自然災害の多くに、これまでに経験したことのないという形容詞が付きます。
北海道では、さきの台風により多くの川が決壊し、氾濫が起こりました。
自治体が管理する二級河川は今般のような豪雨を想定した設計管理体制になっておらず、結果、被害の拡大につながったとの指摘もあります。
日本全国、異常気象が頻発し、また、自然災害は局地化、集中化、激甚化しています。
現在進めている自治体の国土強靱化地域計画の策定は継続して整備しつつも、さらに、今起こっている、あるいは起こりつつある気象環境の変化に対応した防災・減災対策を国と自治体が一体となって再構築していく必要があるのではないでしょうか。
新たな防災・減災対策の必要性について、総理の答弁を求めます。
東日本大震災から五年、復興は復興・創生期間へとステージが移りました。
公明党は、これからも人間の復興に焦点を定め、新しい東北の未来を開くべく全力で取り組みます。
福島については、浜通りの夢と希望の象徴である福島イノベーション・コースト構想を力強く進めていくことが福島再生の大きな原動力になります。
廃炉技術の開発とロボット関連産業とともに、再生可能エネルギーや水素等の最先端エネルギー産業の集積も進め、そこから新たな産業振興や雇用創出につなげていくことも重要です。
オリンピック・パラリンピックの舞台は、リオから二〇二〇年東京へと移ります。
東京とはいっても、日本全国が舞台です。
福島での野球、ソフトボールの試合開催を検討中とも伺っています。
復興五輪に向け、東北再生を強く後押しすべきです。
熊本地震からの復旧復興に向けても、引き続き、被災者に寄り添い、多様な状況に応じたきめ細かい支援に全力を挙げるよう求めます。
以上、東日本大震災、熊本地震からの復興について、総理の決意を伺います。
さて、安倍政権の最重要課題は経済の再生です。
政権発足後、雇用と所得環境を中心に大きく改善されるなど、着実に回復へと向かっています。
しかし、なお道半ばです。
世界経済も、イギリスのEU離脱による不確実性の高まりなど、下振れリスクもあります。
こうした状況を捉まえ、アベノミクスは失敗だったとの批判が聞かれますが、これは全く当たりません。
経済再生の重要なキーワード、それは成長と分配の好循環です。
成長だけ、分配だけでは循環しません。
成長と分配が互いにかみ合って循環してこそ、経済と生活の結束が生まれます。
アベノミクスによる成長の果実を分配に回す。
その分配された果実を使い投資や消費などで経済を回す。
それが更に成長を促す。
この好ましいサイクルを今まさにつくり上げつつあるのです。
一億総活躍社会の実現、働き方改革、第四次産業革命の活用などによる成長戦略、地方創生の本格化等々、消費税率引上げ再延期と併せ、経済再生へ総合的かつ一体的な取組が同時並行で進行中です。
あわせて、デフレ脱却に向け、日銀の金融政策も政府と連携を密にしつつ適切に取り組んでいくことが重要です。
まさにアベノミクスの加速化に向けた正念場です。
与党として政府とともにこれらの改革を強力に推し進め、必ずや成果を出してまいります。
安倍総理、これまでの経済政策による成果、そして、今後、成長と分配の好循環をつくり出すための取組について、金融政策も含め、答弁を求めます。
経済再生を後押しする重要な柱が、さきに決定した事業規模二十八兆円を超える未来への投資を加速する経済対策です。
そして、その実行のための第二次補正予算案です。
速やかな成立と執行を強く期待します。
三点、申し上げたい。
第一には、消費税率引上げ時に実施予定であった社会保障の充実策の一つである無年金対策、すなわち年金受給資格の取得期間を二十五年から十年へと短縮する制度を来年度から導入することを決めました。
まさに成長の果実を財源として活用し実現したものであり、安倍政権が赤字国債に頼るなどの無責任な財源論を取らない好事例とも言えましょう。
第二には、日本経済を支える中小・小規模企業者に対する施策です。
金融支援だけでなく、生産性の向上や革新的な商品開発、海外展開など新たな挑戦を後押しするものです。
また、公明党の強い要望により、いわゆるものづくり補助金が追加計上されたことは高く評価します。
第三には、リニア中央新幹線など大型公共事業のみならず、生活密着型インフラの整備が重要な柱として位置付けられました。
ホームドア、エレベーターなど鉄道駅のバリアフリー、上下水道、浄化槽の整備、開かずの踏切対策など、地域のニーズに応じた施策が展開されるとともに、地域の経済活性化にも資するものと考えます。
このように、今般の経済対策、補正予算案は、成長の果実を活用し、家計、中小企業、地方への分配によって、未来に向かって大きな経済効果をもたらす重要なものと考えます。
総理の答弁を求めます。
アベノミクスによる大きな成果は、賃金の大幅な上昇と雇用環境の改善です。
この流れを維持、加速化する一方、人手不足という新たな課題の解決への取組も大切です。
まず第一に指摘したいのは、成長戦略の加速です。
今年まとめた日本再興戦略二〇一六を実効あるものとするため、明確に焦点を定め、工程に沿って、絶えずPDCAサイクルを回しつつ、官民一体での取組を加速し、着実に成果を出していくことが重要です。
ロボット、人工知能、ビッグデータ、IoTといった技術は、私たちの想像を超えるスピードで進展しています。
いわゆる第四次産業革命という世界の流れに我が国が乗り遅れることは許されません。
こうした技術は、人口減少に伴う供給制約や人手不足を克服するための生産性革命にも通じます。
例えば、人手不足に悩む介護の現場。
介護離職の要因の一つが要介護者のケアなどの重労働です。
こうした負担もロボットの導入で大幅な軽減が期待できます。
国、自治体、企業、大学、そして現場が一体となり、実用性のある機器の開発を加速していくべきです。
第四次産業革命に向けた総理の決意を伺います。
第二は、働き方改革です。
次代を担う若者が安定した就労によって将来設計を描くことができる。
子育てや介護に奮闘する現役世代が安心と希望を持つことができる。
年齢や障害にかかわらず、意欲と能力に応じて多様な選択肢が提供される。
こうした働き方の実現こそ、一人一人が持つ力を最大限に発揮し、希望に応じて活躍できる社会を構築するために必要不可欠です。
また、それは、これからの日本社会の活力と持続的な成長を生み出す源泉であると考えます。
そこで強調したいのは、女性や若者の活躍を後押しする施策の充実です。
安倍総理は、非正規という言葉をこの国から一掃しようと呼びかけられました。
そのとおりです。
政府・与党、力を合わせて実現を目指します。
非正規から正規への流れをつくり出すためには、働く人の実情に沿ったきめ細かな支援策が不可欠です。
例えば、非正規で働く人のキャリアアップにつなげる能力開発の機会を拡大し、希望する仕事や職種に就けるように支援を強化すべきです。
また、子育てや介護などで人生の途上で仕事上のキャリアが断絶してしまわないよう、テレワークなど柔軟な働き方の導入促進や再雇用、復職ができるような支援に配慮すべきです。
高齢者の雇用促進も欠かせません。
現在、法的には六十五歳までの雇用確保措置があります。
さらに、来年一月からは六十五歳以上の高齢者も雇用保険が適用されるようになります。
今後、さらに元気な高齢者が活躍できるよう環境整備を進めていくべきです。
他方、高齢者雇用の現実は、求職希望に対し実際就職できたのは四分の一程度にとどまっています。
高齢者の特性を踏まえたきめ細かな再就職支援が大きな課題です。
高齢者の再就職を支援する生涯現役支援窓口の設置促進、シルバー人材センターの機能強化など、相談、マッチング、雇用の場の拡大への取組を一層強化すべきです。
女性、若者、高齢者、障害者、全ての人が活躍できる働き方改革の実現に向けた総理の答弁を求めます。
第三には、本格的な実行段階に入る地方創生についてです。
各自治体が策定した地方版総合戦略には、地域資源や地域の特色に着目したユニークな施策が数多く盛り込まれています。
地方の取組を更に定着、発展させるため、国による財政面、ソフト面など幅広い継続的支援が不可欠です。
中でも、地域を支える人材、人手不足は地方の方が深刻です。
若者が大都市に流出するという経済社会構造を転換する抜本的な対策が必要です。
政府機関を一部地方に移転する取組に加え、企業の本社機能を地方に移転することは、新たな雇用を生み出します。
その促進のため、税制を含めた措置の拡充を検討すべきです。
あわせて、地方にいても十分に働けて生活ができるよう、働き方改革などの制度改革も急ぐべきと考えます。
第四には、中小・小規模企業への支援についてです。
アベノミクスの大きな成果である賃上げは、中小・小規模事業者にも広がってきました。
しかし、売上げや収益が伸びず、賃上げができない、あるいは賃上げするにしても無理を通して取り組んでいる経営者の方々も多くおられます。
生産性向上、経営力強化への支援はもちろん、賃上げができる環境を整えるための様々な施策を講じていくべきです。
例えば、補正予算では、小規模事業者を対象とした持続化補助金について、賃上げを実施した場合は上限百万円まで補助する措置が盛り込まれました。
こうしたきめ細かな対策が求められます。
中小・小規模事業者の生産性向上、経営力強化について、総理の答弁を求めます。
下請対策も重要です。
親企業による不適正な取引行為は正されるべきです。
下請取引適正化については、公明党も提言を取りまとめるなど政府・与党一体で取り組み、様々な改善を進めてきました。
先般公表されたパッケージ策でも下請代金法の運用強化や下請ガイドラインの充実などの我が党の主張が示されており、今後、取引慣行の改善の加速化が期待されます。
下請対策の取組について、世耕経済産業大臣の答弁を求めます。
私が総理とともに成長と分配の好循環をなぜ強調するのか。
それは、成長の好循環だけでは貧困や格差を解消できないからです。
特に、未来の宝である子供たちへの支援は国の重要な責務です。
しかし、現実には家庭の経済事情による教育格差が大きな課題となっています。
経済状況が厳しい家庭で育った子供が満足な教育を受けられず進学や就職のチャンスを失う、そして自らも貧困に陥ってしまう。
こうした貧困の連鎖を断ち切らなければなりません。
そのため、教育の機会均等の確保、特に教育費負担の軽減は極めて重要です。
これまで公明党は、奨学金の拡充に力を注いできました。
安倍総理は、来年度の給付型奨学金の創設、そして、無利子奨学金も成績にかかわらず必要とする全ての学生が奨学金を受けられるようにする旨、明言されました。
確実な実現を求めます。
さらに、大学授業料の免除枠の拡大に取り組むとともに、幼児教育の段階的無償化、高校生等奨学給付金の拡充等により、全ての子供が希望すれば大学まで進学できる仕組みを構築していくべきです。
また、学校をプラットフォームとした子供の貧困対策、学習支援などにも力を入れていただきたい。
子供が抱える問題は多様です。
きめ細かな学習指導とともに、学校を窓口とした福祉関連機関等との連携を強化するためにスクールソーシャルワーカーの配置を拡充するなど、支援策を強化すべきです。
以上、教育格差の是正、子供の貧困対策について、総理の答弁を求めます。
子育て支援に関しては、保育所等の整備や保育士の処遇改善など強力に推進してきました。
しかしながら、まだ待機児童問題は解消されていません。
待機児童ゼロへの取組を更に加速化すべきです。
二〇一四年度中に無理心中以外の虐待で亡くなった子供は四十四人。
そのうちゼロ歳児が六割以上を占めています。
望まない妊娠をした母親が孤立したまま出産し虐待につながった、残念ながらこうしたケースは少なくありません。
増え続ける児童虐待対策の強化も待ったなしです。
私は、これまで妊娠期から子育て期までの切れ目ない支援策を担う日本版ネウボラの全国展開の必要を訴えてきました。
子育てに不安を抱える母親の心を和らげ、それが出生率の増加や児童虐待の防止、減少に確実につながるという確かな効果があります。
NPO等、民間団体との連携の強化を含め、子育てを地域ぐるみで支える体制を整備すべきです。
児童虐待対策、地域で育む子育て支援策の整備について、総理の答弁を求めます。
地域のコミュニティーを基軸にした安全、安心の優しい町づくりを進めていかなければなりません。
先日、地下鉄駅で視覚障害者の方が駅のホームから転落し死亡する痛ましい事故が起きました。
駅にホームドアが設置されていれば防げた事案です。
ホームドア設置にはコストや扉の位置の兼ね合いなどの課題がありますが、これらを解決する新たなホームドアの実用化も進んでいます。
駅などの公共施設に関しては、高齢者や障害者だけでなく多くの人にとって使いやすいユニバーサルデザインに改めることは、これからの公共事業の重要な視点の一つと言えます。
住宅対策の見直しも検討すべきです。
空き家対策は、法整備も含め進んでいますが、依然、人口減少、高齢化の中で空き家は増加し、結果、地域のコミュニティーも停滞しています。
地域の活性化の視点から、空き家問題も含めた住宅政策の見直しが急がれます。
あわせて、若者が家を持てるよう、住宅セーフティーネットの構築なども進めるべきと考えます。
以上、公共事業の在り方、住宅政策について、石井国土交通大臣の答弁を求めます。
安倍総理は、自ら積極的に世界各地に赴き、地球儀を俯瞰する外交を展開しています。
参議院選挙後の二か月で地球を三周。
ASEM首脳会合に始まって、先週の国連総会、キューバ訪問に至るまで、国際会議、二国間での首脳会談など精力的に外交活動を展開されてきました。
また、今年は、G7議長国として一連の閣僚会合も含め成功裏に終了し、その責務を果たしたものと評価します。
安倍政権になり、世界の中での日本の存在感は格段に高まりました。
更に外交力を高めていくべきです。
さて、核・弾道ミサイル技術の進展を伴う北朝鮮の挑発行為は、地域の安全保障環境の不安定化を招くだけでなく、国際社会の平和と安全に対する重大な挑戦です。
国際社会が一致して累次の安保理決議に基づく制裁措置の完全履行や、新たな非難と実効性を伴う安保理決議の早期採決は非常に重要です。
安倍総理は国連総会で、既往に一線を画す対応をもってこれに応じなくてはならない、力を結集し、北朝鮮の計画をくじかなくてはならない、安保理が新次元の脅威に対し明確な態度を示すべきときと強く訴えられました。
また、キューバ訪問の際にも、核、ミサイル、拉致といった諸問題の解決への協力を要請されました。
国際社会が一致して対処することが重要です。
北朝鮮の暴挙に対し、政府としてどう対峙していくのか、総理の答弁を求めます。
本年五月、オバマ大統領が現職のアメリカ大統領として初めて広島を訪問されました。
我が党も微力ながら大統領の被爆地訪問実現への取組を進めてきたところであり、大変に感慨深いものがあります。
核兵器のない世界を日本とともに目指していく、この力強いオバマ大統領の演説は歴史的意義を持つものです。
また、安保理は、今月二十三日、核実験を全面的に禁じる包括的核実験禁止条約、すなわちCTBTの早期発効を求める決議を採択しました。
今こそ、核兵器のない世界、核廃絶への流れを強めるチャンスです。
唯一の戦争被爆国として、核不拡散体制の強化はもちろん、核保有国と非保有国の橋渡し役を積極的に務め、核廃絶に向けて具体的な措置を積み重ねる、こうした地道な取組が核兵器禁止条約を含む様々な法的枠組みの実現につながるものと考えます。
第六回アフリカ開発会議が、初めてアフリカで開催されました。
採択されたナイロビ宣言には、人間の安全保障の考え方の下、質の高いインフラ投資や気候変動・防災対策などが盛り込まれ、公明党も重視している持続可能な開発目標、すなわちSDGsの達成に向けて大きな弾みとなりました。
今後の取組として、政府のSDGs推進本部の下、NGOや民間部門とも連携し、国外のみならず国内対策も含めた指針を策定し、国際社会をリードしていくことが重要です。
以上、核兵器のない世界の実現、SDGs達成に向けた取組について、総理の見解を求めます。
先般、私は、党訪問団として、パナマ、コロンビア、キューバの中南米三か国を訪問しました。
政府間外交ではない政党・議員間交流は、人と人との信頼をつなぎ、平和の礎を築く力を持っています。
公明党は、これからも政党交流を積極的に進める決意です。
特に、キューバについては、安倍総理の親書を携えて訪問し、要人との有益な対話を重ねてきました。
この度、総理は、日本の総理として初めてキューバを訪問され、医療機材に係る新たな無償資金協力で合意するなど両国間の重要な礎を築かれました。
今後、更に民間を含めた経済協力の拡大など両国関係の強化に力を注ぎ、この地域の安定化に貢献していただきたいと思います。
また、安倍総理は、コロンビアのサントス大統領とも会談されました。
同国は、半世紀以上続いた内戦に終止符が打たれ、今後、平和の定着と経済の発展が大きな課題です。
私と会談した折も、平和の定着に向けた対人地雷の除去支援など我が国の貢献に謝意を表し、今後の支援に期待を示しました。
我が国の技術と実績を生かして、更に積極的な支援、協力を強化すべきと考えます。
キューバ、コロンビア両国との関係強化と中南米地域の安定化について、総理の見解を求めます。
人道にもとる卑劣なテロは到底容認できず、国際社会はこれに屈してはなりません。
二〇二〇年の東京五輪。
世界一安全な国、日本をつくるためのテロ対策は待ったなしの課題です。
国際組織犯罪防止条約は、二〇〇三年、国会で、自民党、当時の民主党、公明党、そして共産党が賛成し、承認されました。
しかし、先進国の中では、我が国だけが締結には至っていません。
日本として、テロとの闘いを進める国際的な連携に不安はないのでしょうか。
テロは世界各地で頻発し、残念ながら日本人の犠牲者も出ています。
二〇二〇年東京五輪を含め大きな国際行事を控える我が国において、テロ対策はどうあるべきか、総理の見解を求めます。
昨年末、COP21において、全ての国が温室効果ガスの削減に取り組む国際的な枠組みであるパリ協定が採択されました。
今月三日には、排出量世界第一位の中国、第二位のアメリカがそれぞれ批准しました。
また、パリ協定の発効の要件の一つである五十五か国以上の締結手続は達成され、年内発効に向け、排出量第六位の日本の動向に強い関心が集まっています。
日本は、先進国として、地球温暖化という深刻な課題に断固たる決意で立ち向かうという明確な意思表示をすべきです。
そのため、今国会での承認と批准手続を進めるべきです。
また、環境先進国として、途上国に対する支援も併せて強化していくべきです。
地球温暖化問題への取組に対する総理の答弁を求めます。
最後に一言申し上げます。
安倍政権発足から三年九か月。
政治の安定の上に立って、政策を着実に前へと進める。
さきの参議院選挙も含め、国民の皆様から自民、公明の連立政権に大きな支持をいただきました。
これからも、多様な民意、ニーズを受け止める一翼を担う与党として、公明党は、更にその力を発揮し、山積する政治政策課題に真正面から取り組み、政府と一体となって国民の政策を着実に実現してまいることをお誓い申し上げ、私の代表質問とさせていただきます。
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