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有村治子
参議院 比例
自由民主党・国民の声
昭和45年9月21日、石川県生まれ、滋賀県育ち。近江兄弟社高校を経て、ICU国際基督教大学教養学部卒業。米国SIT大学院修士課程修了後、日本マクドナルド(株)本社人事本部能力開発促進部に入社。平成13年、参議院議員選挙比例代表(全国区)にて初当選。平成17年~18年、文部科学大臣政務官。平成20年~21年、参議院環境委員長。平成26年~27年、国務大臣(女性活躍・行政改革・国家公務員制度担当・規制改革・少子化対策・男女共同参画担当)。平成31年、参議院自民党政策審議会長。令和元年~、参議院政治倫理審査会会長。しっかりとした国家観と、地に足のついた生活観を併せ持って、命の重み・家族や地域の絆・国家の尊厳を守ることを志す。ホームページにて、国会内外の活動の様子を報告している。http://www.arimura.tv
有村治子
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第208回[参] 内閣委員会 2022/06/07 20号
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自由民主党の有村治子でございます。
今日は、清原先生、泉市長、中嶋先生、大変洞察力のある、また熱量のあるお話をありがとうございます。
敬意を持って拝聴いたしました。
その上で、限られた十五分という質問時間でございますから、行政経験が豊かな清原先生と泉先生御両方に、できれば質問を二問させていただきたいと思います。
時間の進行を見ます。
泉市長が対談をされていた先月の事前の資料を、東洋経済でしたか、拝見をさせていただきました。
その中で、市長や知事の権限の最たるものは予算編成権と人事権だと、首長の権限として。
首長と議会の二元代表制というのはよく指摘されることで、それがあったからこその明石のすばらしいミラクルを積んでいかれたんだと敬意を持つわけですが。
その一方で、市長に与えられていない権限に三つの分野があると、警察と医療と教育だというふうに挙げられています。
警察と連携ができていないので児童虐待や消費者被害の救済は臨機応変にできないと。
医療についてもコロナ禍でもどかしい思いをしたと。
そして、過去に教員の不祥事が発覚したときも、教育というのがなかなか権限が与えられていないので、もしその県の教育委員会あるいは県の権限から移譲してもらえば、いじめや不登校を減らせると思うというふうに御発言をされていらっしゃるんですが、この辺について、例えば両市長のようなすばらしい方に恵まれれば非常にいい結果が出るかもしれませんが、必ずしも子供あるいは教育ということに得意じゃない市長だって出てくることもあり得るので、そういう意味では県で一定のクオリティーを保ちたいということに一定の合理性はあるということも私も思うのですが、どういうときに権限を、市という基礎自治体に任せてもらえるといいのか、逆にどういうところにつまずいたのかということを具体的にもう少し教えていただけると有り難いなというふうに思います。
まずは、じゃ、泉市長から、そして、清原先生に次に伺いたいと思います。
はい。
済みません。
済みません。
警察について一言ありますか。
今教育のことをおっしゃっていただきましたが。
誠に説得力のある御発言に感謝します。
その上でなんですが、感染症の世界的流行、コロナ禍も足掛け残念ながら三年目になりました。
その間には、里帰り出産ができないとか、あるいは立会い出産ができないとか、出産そのものに関しても相当なハードルが、残念ながら余儀なくされてしまっている中で、このつい最近出された去年の出生数というのが予定されていたよりもかなり厳しい状況で、実数で八十一万一千六百六名と。
これ、推計を出していたときには八十八万ぐらい、あるいは厳しくても速報で八十四万と言われていたのが八十一万になって、恐らく八十万を切るのも時間の問題ということになっています。
昭和四十一年、一九六六年にひのえうまということで一・五八ショックがあったわけですけれども、このようにその人為的なものが、社会的なものが一年で終わらないというふうに考えると、これは、これからゼロ歳児保育にしても、時間差はあるけれども、必ずその町づくりにも、そのお子たち、家族にも、その地域にも、当然日本全体にも相当な影響力の出てくる社会的、政治的な変化だというふうに思います。
だからこそ、この時代に生をうける、あるいはうけようとする、あるいは、結婚そのものも十万人減ってしまっていると、六十万人が五十万になってしまっているので、そこにはもう期間限定でもいいからあえてその政治的な光を当てて、結婚しようとする、子供を授かろうとする、そしてやっと授かった命にもう期間限定で家族的に支援をするという、そういう社会あるいは政策ということについては、それ賛否両論もあると思いますけれども、これをやらずして社会をどうやって守っていくんだという視点もあるとすれば、それに対しての賛否はどのようなお考えになられますでしょうか。
両先生に。
大変貴重なお話をありがとうございました。
必ずこのコロナ禍での結婚、妊娠、出産、またその豊かな育みということを応援していくという社会ニーズは絶対出てくると思いますので、また今日のお話を参考にして生かしていきたいと思います。
誠にありがとうございます。
以上で終わります。
第208回[参] 憲法審査会 2022/05/18 5号
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自由民主党の幹事を務めております有村治子です。
憲法審査会岡崎事務局長と川崎法制局長の実に的確な御報告に感謝を申し上げ、本日は合区問題について持論を申し述べます。
平成二十七年の公職選挙法改正で、島根、鳥取、また徳島、高知という四県による二つの合区が導入をされました。
これら四県においては、投票率の低下、また合区反対と書かれた多くの無効票が出るなど、合区に対する不満が顕著に出ています。
鳥取県の地方紙による調査では、合区反対の世論が七六%もあり、このままでは人口の少ない地方の声が国政に届かなくなるのではという切実な危機感があります。
人材や食料、エネルギー等を大都市に供給してきた地方の貢献なくして国民生活が成り立たないことは明らかです。
また、足掛け三年となるコロナ禍で更に出生率が低下し、どの都道府県においても早晩人口減少に直面していくことが予想される中、人口だけが民主主義を測る唯一の物差しとなっている現状のままでよいのでしょうか。
人口の多い少ないを唯一の指標とする計算を行い、その算定に一喜一憂を繰り返すことで、果たして私たちは人口減少社会、日本の将来に備えられるものなのでしょうか。
人口減少や高齢化率が急速に高まっている離島が国境を守る島々であったりもいたします。
厳しい自然環境や過疎化が進む地域であっても、父祖伝来の地に住み、ふるさともお墓も暮らしも守りたいと人々がその地に住み続けられることで、国境や漁業権や漁場、里山も守られている。
この現実に向き合い、国政の中枢に現状を伝えて政治的な光を当てていく議会人が少なくなっていくことが、国家全体の経営という視点で健全なことだとは思えません。
政治的、社会的関心を寄せ続けなければ、厳しい環境における地方の人口減少が加速度的に進んでしまうことを憂慮いたします。
都道府県単位での地方の声を着実に国政に届けられる選挙制度の実現を目指して、全国知事会、全国市長会、全国町村会、全国都道府県議会議長会、全国市議会議長会、全国町村議会議長会という地方を代表する公的な六団体は全てそれぞれ独自に合区解消に対する決議を採択しています。
これに加えて、現在までに三十五の県議会が合区解消の意見書を採択しています。
大事な民意です。
もちろん、投票価値の平等という理念は、それ自体極めて大事な価値であることを承知しておりますが、一方で、最高裁判決では、先ほど御紹介いただいたように、投票価値の平等は唯一、絶対の基準となるものではないとも言っています。
たった一つの物差し、絶対的な基準ではないと司法自身も明言しているわけです。
地方区と全国比例によって構成される参議院においては、四県による二合区が導入される前まで、地方区選挙は都道府県単位で行われ、その全域の民意と職責を負う議会人を選出してきました。
都道府県は、明治二十年来の府県制以来百三十年の歴史を重ねてきた社会の単位であり、その区域ごとに行政府、議会、警察、教育委員会などが設置され、農林水産、医療、保健、商工業といった様々な組織、団体が合意形成を図り、国と市町の間で調整機能を果たしてきました。
今般の感染症対策でも現に法的責任を負っている行政単位であり、自衛隊に対する災害派遣要請も知事により都道府県単位で行われています。
このように、都道府県は、歴史的、政治的、経済的、社会的、文化的にも意義と実体を有し、国民にとって重要な役割を果たしてきました。
以上の観点から、自由民主党として、参議院は、全国比例選挙と都道府県を単位とする地方選出によって構成する価値を堅持し、合区を解消することが肝要だと考えます。
自由民主党として、憲法改正を行う際の最重要事項四項目の一つに合区解消の価値を掲げるゆえんです。
都道府県という行政単位をまたいだ合区制度の副作用については、合区の対象となっていない全国ほとんどの地域には実感としてなかなか見えにくい傾向があります。
四県により二つの合区選挙区において選出された同僚議員が語られる切実な現実にも真摯に耳を傾けながら、地方も都市も持続可能な日本にする憲法審査会議論が深まっていくことを願い、自由民主党、有村治子の意見表明とさせていただきます。
以上です。
第208回[参] 内閣委員会 2022/04/26 13号
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自由民主党の有村治子です。
二十分という限られた時間でございますが、今日は前半、海のことを論じます。
冒頭、北海道知床での海難事故に当たり、お亡くなりになった方々の霊を悼み、謹んで御冥福をお祈り申し上げます。
同時に、この瞬間も危険と隣り合わせになりながら捜索、救助に当たっていただいている海上保安庁、警察始め関係皆様の献身的な働きに思いをいたし、皆様とともにその安全を念じたいと思います。
それでは、本題に入らせていただきたいと思います。
経済安全保障の中核の一つは、国民生活の基盤となるサプライチェーンの脆弱性を乗り越えていくことになります。
この視点に立てば、現下のウクライナ危機から我が国が学ぶべき教訓とはどのようなものになるでしょうか。
ウクライナを侵略したロシアに対する国連非難決議に対し、実に百四十一か国もの国々が非難決議に賛同をいたしましたが、インドはその一方で棄権に回りました。
日米豪印、クアッドの一角を成すインドが、実は自国を守る防衛装備の多くをロシアの武器に依存しています。
国民が生きる上で根幹的に重要なことは、今御答弁をいただいたように、食料でありエネルギーであり国民を外敵から守る防衛力です。
また、それを支える科学技術力です。
これら、食料、エネルギー、防衛力を他国に過度に依存すると、独立主権国家といえども、理念に基づく自律的な意思決定が困難になることをまざまざと思い知らされます。
日本の場合、この食料、エネルギー、防衛力、またそれらを支える科学技術という国民の生存基盤に直接関わってくるのが実は海だと私は確信をしております。
四方を海に囲まれ、六千八百五十二の島々から成る海洋国家日本としての特徴を教えてください。
ありがとうございます。
海運業界では、世界が一つのマーケットとして動いています。
この世界単一市場において、造船分野では現在どこの国が国際的な競争力を持っているでしょうか。
ありがとうございます。
終戦後、焼け野原から再出発した日本経済を牽引したのは鉄の塊と向き合う造船業であり、約三十年前までは日本が世界第一のシェアを誇っていました。
世界中の船の半分がメード・イン・ジャパンという輝かしい時代でありました。
しかし、現在では、今御指摘のとおり、資料一を御覧ください、中国が世界市場の約四割、韓国が三割、その後塵を拝す三番手に日本がおり、直近では日本のシェアは一八%にまで下がってきています。
そこで、防衛省にお伺いします。
中国、韓国がじりじりと造船市場における日本の地位を脅かし、リードしている中で、今後、仮に万が一、日本の造船業が衰退し、日本が自国で船を造る能力をなくしてしまったとしたら、我が国はどのような状況に陥るのでしょうか。
教えてください。
同じ質問を海上保安庁、よろしくお願いいたします。
端的にありがとうございます。
周辺海域とおっしゃいましたけれども、尖閣諸島を巡視する海上保安庁の巡視船を中国や韓国に造ってもらうわけにはいかないということだと認識をしています。
防衛省さんがお答えになったように、造船業の衰退、技術力の低下は、即海上防衛の弱体化に直結して、国家の生存や繁栄を危うくします。
ロシアと中国の軍艦十隻が太平洋側を巡航するという初めての示威行為、それに対する自衛艦、艦船を中国か韓国に造ってもらうわけにはいかないというのも自明の理であろうかと思います。
近年、急激に海軍力を伸ばし、資源探索力、測定技術の探究を抜かりなく進めているのがお隣の中国であることに留意が必要だと私は考えています。
午前中の審議においても半導体の議論が続いておりましたけれども、世界トップの半導体の能力、生産基盤を失ってしまった日本の手痛い教訓、一度失った技術力やあるいは競争力、生産基盤を復活させることの難しさを身にしみて痛感をしている日本としては、海のポジションまで失う余裕はないはずであります。
食料自給率が低い、また天然資源にも乏しい我が国は、世界中の国々と安全な航路、シーレーンで安定的につながっている時代のみ、日本の平和と繁栄があります。
造船市場の四割以上を席巻し、五割をもうかがう中国が、国策として、先ほど国交省がお答えになったように、先端技術開発を進める重点領域として海洋を明示し、南シナ海、東シナ海で領土拡張主義的な動きを加速させている現在こそ、自由で開かれたインド太平洋の中核を成す日本が、健全で強靱な造船、海運の基盤を持ち続け、自由、民主主義、法の支配、人権の尊重という普遍的な価値を先端技術を守りながら守り抜いていくことが日本の国益であり、かつ世界への貢献だと私は確信をしております。
そこで、小林大臣、経済安全保障行政を進めるトップとして、大臣は日本にとっての海洋をどのように認識をされるか、お答えください。
ありがとうございます。
後半、学術会議と軍民両用技術、デュアルユースとなる先端技術研究について伺います。
七年前の二〇一五年、防衛装備庁が安全保障技術研究推進制度という研究助成制度の公募をスタートさせました。
これを受けて日本学術会議は、二〇一七年に軍事安全保障研究に関する声明、これですね、を発表し、この声明に呼応する形で日本の多くの大学ではそれぞれガイドラインを定めています。
日本の大学において、自然科学系の研究者の多くがこの学術会議が出した声明によって、事実上、防衛装備庁による研究助成に申請、応募する道を断たれています。
日本学術会議は年間約十億円の国費が毎年投入をされていて、約五十人の国家公務員が事務局として勤務しているにもかかわらず、今回判明したことですが、この声明が出て五年間たった現在でも、大学ごとにどういう方針を出しているのか、その現状把握もしていないということが判明をしました。
これでは事務局が怠慢だと言われても致し方ありません。
猛省と誠実さを求めます。
日本の科学技術力の進展に極めて重要な役割を持つ各大学が、日本学術会議が発出した声明をどのように受け止め、動いたのか、その方針一覧を学術会議事務局の責任において正確に把握し、一覧にしてホームページなどで公表するという国民への説明責任を果たすべきだと考えます。
いかがでしょうか。
資料二を御覧ください。
これは、月刊「正論」二〇二一年四月号でございます。
そこから引用しておりますけれども、この資料二の事例が多く掲載されているように、事実上、防衛装備庁の研究制度への応募を禁じている大学が多々あります。
その公表をしていただきたいわけですが、実は産経「正論」がもう既にかなりのところを調べておられます。
昨日、私が調べただけでも少なくとも十五大学確認することができました。
そこで、防衛装備庁に伺います。
多くの大学が、この資料が示すように防衛装備庁の研究助成制度への応募を禁じ、敬遠している実態があるわけですが、防衛装備庁や研究助成制度というのは、日本の大学からそこまで忌み避けられ、警戒されるほど信用されていない危険な組織なのでしょうか、お答えください。
学術会議が出した五年前の声明の解釈をめぐって、最近改めて混乱が生じています。
防衛装備庁が募集する研究助成だというだけでその応募を禁じるのが意図なのか、そうでないのか。
日本の防衛力向上に資する基礎研究でさえ軍事研究だ、デュアルユースだと頭ごなしに決め付けて忌避するのかしないのか。
一体どちらが学術会議の真の意図なのか。
日本学術会議は、誤解を生まないよう見解を整理されて、公式な見解や声明として私たち国民に対する説明責任を果たされるべきだと考えます。
最後に御質問させていただきます。
私は、日本学術会議が主権者たる国民から共感や敬意を持たれる知的リーダーであってほしいと思います。
しかし、国民的な理解や共感を得るための説明責任、努力がなされないのであれば、井上前大臣が勧められたように、日本学術会議が国の関与から外れ、純粋な民間団体として再出発されるのも一案かと思います。
以上で、自由民主党、私、有村治子の質問を終わります。
ありがとうございました。
第208回[参] 内閣委員会 2022/04/14 10号
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皆様、おはようございます。
自由民主党の有村治子です。
質問の機会を賜りましたこと、また、答弁を御準備いただきました大臣始め、政府関係各位の皆様に御礼を申し上げます。
四十分間という限られた時間でできるだけ多くの往来を続けたいというふうに存じますので、御答弁は本質をテンポよく賜りますれば大変幸いに存じます。
御協力を仰ぎます。
コロナ感染症、ウクライナ危機、不確実性を増す世界情勢において、日本を取り巻く経済安全保障環境を直視し、その健全性を確保しようと努力をすることは、日本の安全、国民の健康、国民生活の安全や安定、経済的繁栄を維持する上で極めて今日的な課題だと認識をしております。
自由民主党では、経済安全保障につながる実質的な議論をおよそ二年前から始めており、当時、岸田文雄政調会長の下で自民党内の活発な議論をリードされていた小林先生、大野先生が、現在、大臣、副大臣となられて内閣の最前線で活躍されていらっしゃることは、もう率直にうれしいことだと思っています。
また、コロナ禍の環境激変の中で、日本の未来を守るために尽力をされている役所の皆様の御貢献、また、この法案を実効性あらしめるためにそれぞれに民間の立場でアドバイスをしてくださった、そういう丁寧な努力があることも心からの敬意を申し上げたいと存じます。
米国とロシア、中国などの緊張が、従来の伝統的な安全保障分野のみならず、科学技術力をめぐる熾烈な研究開発においても展開をされている現在、経済安全保障の主要論点の一つは、科学技術力において引き続き日本が世界的にも優位を保ち、我が国の安全と国民の安心、健康、日本の稼ぐ力、すなわち産業競争力を保てるかどうかに懸かっていると私は認識をしています。
そこで、先端科学技術の潮流や特性についてまずお伺いしたいと思います。
半導体は民生技術ですか、軍事技術ですか。
半導体の世界的な潮流と日本の競争力について教えてください。
お答えいただいたように、産業の脳とか産業の米ということで、日本の自動車メーカーも半導体が手に入らないからこそ製品が出せないということを、多くの自動車メーカーもそういうことが起こったということを私たちは記憶しております。
次に聞いていきます。
空飛ぶドローンは民生技術でしょうか、軍事技術でしょうか。
ドローンの世界的潮流と日本の競争力について教えてください。
今、いみじくもお答えいただきました。
私も資料一に用意をしておりますけれども、ドローンが東京オリンピックの開会式では夜空に光り輝くエンブレムを出していただきましたけれども、数百、数千のドローンで、商用に使われる一方で、武装ドローンも実際に戦場で使われているという御報告をいただきました。
では、重ねて技術についてお伺いします。
バイオ、3Dプリンター、自動運転、人工知能、AI、バーチャルリアリティー、GPSなどの測位時間技術、人工衛星、量子コンピューター、炭素繊維などの技術や先端の素材の中で、軍事用途には一切使われず、民生用途だけに活用されている技術はありますか。
米国が輸出管理をしているということは、我が方はその技術を持ちたいけれども、我が方と敵対する相手にはその技術を渡らせたくないというふうに認識をしている技術かというふうに理解をいたします。
すなわち、著しい成長が見込まれて世界中で研究されている先端科学技術においては、こちらが民生技術です、そしてここからが軍事安全保障技術ですと明確な見境が付けられない技術の多様性があります。
資料二に、例えば炭素繊維に関しても、民間航空機あるいはゴルフなどに使われる素材のものもありますけれども、その一方で、ミサイルをいかに強靱化、軽量化するかというのも炭素繊維が使われていると理解をしております。
そこで、外務省に伺います。
現在、莫大な国家予算と政治的エネルギーを掛けて技術覇権を争う米国及び中国、そのほかの国々も先進国おありになると思いますが、民生用途と軍事安全保障用途、どちらにも活用し得る先端技術の特徴について、米国や中国はどのように向き合っておられるのでしょうか。
今外務省さんが御答弁いただいたように、米国においても中国においても、民生の技術、それから軍事安全保障用の技術というのは両方あるということを当然視して、デュアルユース、すなわち、その用途が補完し合う形で産業競争力や軍事力の優位性を目指しておられます。
御言及がありましたDARPAは、国防省の科学技術イノベーションを誘発するためにリーダーを成していて、感染症に対するワクチン開発も国防総省が積極的に支援してきたというふうに記憶をしております。
また、中国も軍民両用を奨励して、軍民融合ということで世界一の技術覇権を目指す意図すら隠さなくなってきています。
民生の優れた技術から軍用に展開されるということを積極的に奨励する政策を取っているのも中国の特徴かと思います。
それでは、別の観点でお伺いしたいと思います。
顔認証技術というのは民生技術でしょうか、軍事技術でしょうか。
顔認証技術の世界的潮流と日本の競争力について教えてください。
日本が高い技術力を持っている顔認証技術だという御答弁をいただきました。
その技術レベルが高い監視カメラの顔認証技術は、例えば新疆ウイグル自治区に住む少数民族のウイグル族を認識することも技術的には可能だと理解をいたしております。
そこで、小林大臣に伺いします。
日本学術会議は、二〇一七年に軍事的安全保障研究に関する声明を出されています。
そして、この動きに呼応して、日本の多くの大学では、例えば軍事研究などを目的とする研究は行わない、デュアルユース、民生と軍事の両用ですね、デュアルユースを目的とした研究は実施しないなどの規程を自発的に発表をされています。
生命の尊厳を侵す教育研究は行わないという尊い理念をうたった大学規程もございます。
冒頭、経済産業省にお答えいただいたように、好むと好まざるとにかかわらず、例えば半導体や自動運転、GPS、ドローンなど私たちになじみのある技術も、民生と軍事安全保障、双方の用途を持っています。
日本が強みを持つ顔認証技術でさえも、使われ方によっては、特定の人種を見分ける技術が強権的な統治の下で人権抑圧に利用されている懸念が現に欧米から指摘をされています。
であれば、このような民生、軍事安全保障の双方に使われる技術や人権侵害に利用されてしまうおそれもある顔認証等の先端技術研究は、例えば軍事研究などを目的とする研究は行いませんと宣言している日本の大学において一切研究をされない、手を着けないという論理になるのでしょうか。
慎重に言葉を選んで、けれども、世界の潮流の中で日本だけが競争力を落として、稼ぐ力、科学技術力、防衛力、外交力を落とすわけにはいかないという危機感の下での御発言だったというふうに思います。
ワクチンを考えても、技術力、世界が欲しがる技術力をどこが持つかというのは、当然、その国のパワーバランスや外交力、また国際影響力にも持つような強大なパワーを持ってきているので、大臣と同じように、私も日本の大学、研究者の力を信じる、そして、それが適正に、まともな国としてそういう技術を持つことが極めて大事で、日本はその信頼に足る科学技術発出、産出国の一角を占めたいと私も思います。
そこで、日本学術会議事務局に伺います。
民生技術と軍事安全保障技術、どちらに発展するのか、誰がどのように進化をさせるのか、将来的な予見がかなわないという科学技術開発の特徴を実は最もよく理解されているのは、大学などに身を置かれる研究者御自身、またその総体としての学術会議でいらっしゃるということはないでしょうか。
どうですか。
今おっしゃった見解というのは、日本学術会議の公的な見解というふうに思ってよろしいんでしょうか。
ありがとうございます。
この法案が成立すれば、国家国民の安全や産業競争力を確保するために、今後、経済安全保障重要技術育成プログラムという制度ができます。
今後、先端重要技術を官民で開発すべく、政府が資金や機微情報をも民間と共有する技術開発の協力支援制度だと理解をしております。
二千五百億円もの公費が投じられる研究支援制度が成功するためには、制度の意義や理念、また公益性の本旨を高い能力と使命感を持った大学などの研究者、科学者の皆さん、民間の科学者も含めてしっかり共有することが重要であり、特に、研究者総体としてのアカデミアとも誠実に対話ができる関係性を築き、研究環境の充実を求められる研究者にとっても魅力度が高い、安心度が高い、また社会的貢献ができるということ、また、その情報管理等についても胸襟を開いて論じ合って丁寧に信頼関係を築くことが肝だというふうに私には思えますが、この辺についてはどのような御見解を政府はお持ちでしょうか。
研究者の皆さん、高い力を持っている研究者の皆さんにとってもメリットがあること、そういう意味では透明性とか公開性とかも非常に大事ですし、日本が強みがある基礎研究はいいけれども、社会実装が弱い、稼ぐ力に必ずしもつなげられていないという日本の今までの経過を含めると、経済安全保障の一環は、世界からやっぱり日本に一目置いてもらえるような技術をちゃんとつくっていく、そういう体制がつくられることを念じております。
国が発注者となって民間と共同で研究するための情報には、例えばですが、これは私が勝手に考えた例ですけれども、例えばテロから狙われやすい原子力発電所の脆弱性を克服するための情報、この克服するための技術ができたら世界の発電所が欲しがる技術になるかもしれません。
例えば日本のサイバーセキュリティーが抱える盲点や弱点に関する情報、例えば外国政府やテロリストの手に渡ると大量破壊兵器の開発に転用されてしまうおそれがある新技術などが出てくるかもしれません。
そういう情報が含まれるかもしれません。
そのような情報の提供を受ける民間人の条件に、現時点では、この法案では国籍条項が入っていません。
もちろん日本国籍を持っていれば安全だという保証も一〇〇%の保証はないわけでございますが、少なくとも、日本の公共の安全が脅かされる、こういうところが実は政府として悩んでいるんですよというような情報も民間と共有されることになる、それを克服したいという社会ニーズもある。
同時に、世界に誇る日本の先端機微技術の開発などについて情報提供を受ける民間技術者に対しては日本国籍を求めるべきだという議論は、法案の作成過程で考えられなかったんでしょうか。
別の言い方をしますが、例えば、外国政府と関係の深い産業スパイが民間研究者を装ってこの技術開発の担い手となりインナーとなり、そこで得た機微に触れる情報を本国に漏えいしても罰則は五十万円だとすれば、日本を狙う悪意ある情報窃取の抑止力としては五十万円では機能しないのではないか、外国政府やテロリストから確信犯的にスパイを潜入されるリスクというのがあるのではないでしょうか。
懲役一年、罰則五十万円というのはほかのものと並びだということで、萎縮させないという、もちろん萎縮させないというのは極めて大事ですけど、悪意ある外国政府と連動するような人が日本の脆弱性や世界に打って出るような日本の先進技術を取ろうとする、その抜け穴にならないかどうかというのは、ほかの法律と横並びかどうかということを聞いているわけではないので、この法律が成立して終わりというのではなくて、本当に情報セキュリティーの盤石な、確実な施行が与党からもやっぱり提言として出てきているということはノートしていただきたいというふうに思います。
機微情報の流出を防ぐための研究インテグリティーについてお伺いします。
令和二年六月に、私は参議院の財政金融委員会で千人計画について国会質問をさせていただきました。
中国政府が例えば我が国や米国あるいはヨーロッパ、ドイツとかですね、あるいはオーストラリアなどが持つ先端科学技術を狙って、桁違いの報酬を条件に先進国の例えばノーベル賞級の科学者を中国に呼び寄せて、秘密の契約をして、それは口外するなという約束をさせて、その技術を中国に移転する、あるいは窃取するという方法が安全保障上の懸念になることを国会質問で明らかにさせていただきました。
日本からどのような分野のどのような学者がこの中国共産党直結の二〇〇八年からずっと行われてきた千人計画等に参加をして、寄附や特別便宜がなされているのか。
当時、文部科学省を始め日本政府は、中国政府や人民解放軍と関係の深い企業や中国の大学から日本の研究者が一定金額以上の寄附や特別便宜、例えばファーウェイから研究資金ということを受けていたとしても、その動向を把握するすべがない状況でございました。
これが、アカデミアによる機密情報の海外流出についてそこが抜け穴にならないようにという対応を促した質問でございました。
それからちょうど二年がたとうとしています。
政府は、先端機微技術、特に日本の血税、日本の資源でつくられた技術でございます、また、その中でも軍事機微技術に転用可能な先端技術の移転や窃取を狙う外国勢力からの働きかけに対して、どのような対策をこの二年で講じられたのでしょうか。
それでは確認ですが、例えばこれから千人計画などの海外の勢力、しかも、例えば中国の軍事費というのは公表されているだけで日本の四倍ぐらい、まあ大まかに言うと二十兆円ぐらいあるかと思うんですけれども、その技術力向上に日本の実は技術が相当使われているという疑義が幾つかございます。
そういうことの動きの兆候を日本政府はちゃんと把握できるというふうに理解してよろしいでしょうか。
特定の国を意識する、特段意識しているわけではないということでございますけれども、外国勢力に対してしっかりと警戒感を持つ、そしてそれが、よもや日本の大事な公金で使われた資源が日本の安全保障を脅かすような技術に使われないようにということは、引き続きその制度の実効性を保っていただきたいと改めて申し上げる次第でございます。
それでは、サイバー攻撃の実態についてお伺いしたいと思います。
人々の資産や財産、信用、社会秩序など、価値あるものを奪うサイバー攻撃に国家として自ら手を染めている国を挙げてください。
また、その目的を明らかにしてください。
ありがとうございます。
ロシア、北朝鮮、中国のサイバー攻撃という具体的な国名が出てきたわけです。
いつもは慎重な言い回しに徹しておられる日本政府、中でも慎重な警察が、サイバー攻撃を仕掛ける国の可能性が高いとして具体的な国名を列挙されました。
事実でなければ名誉毀損にもなりかねない答弁でございますが、論拠を、詳細は明らかにされないまでも、論拠が明確にあるという、そういう御答弁と理解してよろしいのでしょうか。
ロシア、中国、北朝鮮というのは日本を取り巻く近隣国でございます。
強権的な統治、独裁国家であるという指摘もなされます。
核、ミサイルを保持する国々でもあります。
これを確認した上で、この法案についてまた質問させていただきます。
この法案が目指すとおり、業界の垣根や所管官庁、所管法律の縦割りを乗り越えて、電気やガス、石油、水道、金融、放送、鉄道、航空など、社会経済基盤の安全性やレジリエンス、強靱性を高めるための仕組みを構築することは国民生活の安定を堅持するためにも大事な取組だと、明確にこれを支持いたします。
その上で、大臣、最近痛感するんですが、日本の大事な公共財としての社会インフラは、実は今挙げたような目に見える建物や機能だけではないのではないかという思いを強めています。
先端技術を使って外国勢力が主権者たる国民世論の操作、特に、民意を集めることになる国民投票や選挙などでの不当な介入、歪曲を図ることへの備えが必要なのではないかと強く思っております。
今日配付をさせていただいた資料三を御覧になってください。
これは、ちょうど一年ほど前に読売新聞が報道したものでございますが、震度六強の揺れがあった福島、宮城県の地震について、当時の官房長官であられた加藤官房長官がテレビ会見をされた、そのときの、この記事の中の左下、下の方が本物です。
実際には、この地震のことを、近況を官房長官として放送されていらっしゃるわけですが、その後、誰かによってこのディープフェイクが作られて、上の写真、すなわち震度六の揺れということを緊急性を持って国民に知らさなきゃいけないときにあたかも笑顔で話しているような映像が第三者によって作られて流されまして、実際にこれが再配信を、リツイートをされていきました。
ということは、これは、熊本地震のときにはライオンがおりから出たぞというのが大変な数リツイートされてしまって、多くは善意で、警戒してくださいという善意でこれをリツイートして、それは大変な愉快犯であって、それは社会で忌むべきことですが、こういう状況になると、単なる愉快犯ではなくて、まさに政治家を狙って、あるいは民主主義をじゅうりんするような先端技術が他国から狙われるというのは、実は米国大統領だけの話ではなくなってきた。
そして、現在のウクライナにおいても、ゼレンスキー大統領が国民に対して降伏を促すというような動画が作られた、全く本人とは関係ない。
ということであれば、例えば、先ほどサイバーで挙げられた国々に対して批判的な政治家、この人を政治的に殺そうと思った場合には、選挙の直前に本人とは全く関係のない、そんな映像が作られて、例えば、その人が人種差別的な発言をしたとか、あるいは汚職をしたというようなことを思わせるに足る映像が作られてしまったら、それは的確な民意の集積にはならないわけでございます。
それが、一年前にはこのような、民主主義を脅かすというふうに書いてありますけれども、これは単に選挙の、選挙やあるいは通信を仕切る総務省だけの問題ではないはずでございます。
例えば、日銀の総裁が為替に対して、外貨準備高に対して発言をするという完全なフェイクが作られたときには大混乱に社会を陥れる、そういうリスクが日本でも起こり始めているということの予兆を報じた読売の記事だと思っています。
そこで、官房副長官にお伺いします。
外国からの介入により国民あるいは社会経済を深刻な動揺に陥れるフェイクが拡散されたとき、日本政府の威信を懸けて正確な情報をアナウンスし、ファクトチェックをし、国民の信頼や社会秩序を守るというのは、日本政府のどの部門、誰が担うのでしょうか。
最後の質問になります。
今大臣お聞きになっていただいて、このようなことこそ基幹インフラで、他国の先進国はここに手当てをする法律なりをもう用意し始めてきています。
本来はこの法案に入れ込むべきではないかという真摯な質問に対して大臣はどうお答えになられるでしょうか、教えてください。
大臣、誠にありがとうございました。
民主主義を守る日本の繁栄と安全と世界への貢献を念じて、私、自由民主党、有村治子の質問を終わります。
ありがとうございました。
第208回[参] 内閣委員会 2022/04/07 8号
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皆様、おはようございます。
自由民主党の有村治子でございます。
質問の機会を賜りましたこと、また、大臣、総裁始め、準備に当たっていただきました政府の皆様にも感謝を申し上げます。
二十五分という限られた時間でこの往来をできるだけ多くいたしたいと存じますので、御答弁はテンポよく、本質を簡潔にお答えいただけますれば大変幸いに存じます。
御協力を仰ぎます。
現在の国家公務員制度が、高い倫理観や責任感、専門性や国際性を持った人材を魅了し、養成できているかどうか、また、日本の科学技術力の凋落を食い止めて、博士号取得者に社会的敬意が向けられる、そんな日本になっていくためには何が必要かという問題意識の下で、一昨日に続き質問をさせていただきます。
まず、科学技術のエキスパートとして大野副大臣に質問をさせていただきたいと思います。
大野副大臣は、修士号を持ち、かつ博士号を修められた、国会議員の中でも貴重な存在でいらっしゃいます。
大学院と一くくりに言っても、大学を卒業後二年の間研究を進めてきた修士号取得者と、五年間あるいはそれ以上研究を進めてきた博士号取得者、論文博士もありますが、専門的経験値に大きな差があるというふうに考えます。
では、社会実務において修士と博士ではどのような能力の違いが出るのか、政府の御見解を伺います。
大野副大臣、ありがとうございます。
まさに今おっしゃっていただいたように、博士号を持っている方というのは、その学術的なトレーニングを通して仮説、検証を自ら説得力ある形で言語化して他者に説得できるような、そういう能力を積んでこられる方々だと私も思っています。
今日の配付資料でも安西先生が資料一でおっしゃっていますが、博士課程の本質は、これまで誰も考えなかった、あるいは見付けられなかった新しい考え方を提唱するイノベーションの経験を積むことにあり、博士号はその証明書であるというふうにおっしゃっていらっしゃるのを、副大臣の御答弁を聞いて改めて自らに言い聞かせます。
では、さて、今副大臣が御答弁されたような博士の付加価値というのは、国家公務員制度における処遇として人事制度にしっかりと反映できているのでしょうか。
人事院にお伺いします。
頑張って真理を探求する学術的な訓練を積んだ修士や博士なのに、その結果として、公務員として入省する年齢は大卒に比べて二年あるいは五年ビハインド、遅れての出発となります。
しかし、国家公務員の定年は大卒と同じ一律の六十歳でございます。
これは果たして公正なことなのでしょうか。
真摯な御答弁ありがとうございます。
今、各省において考えていただくということをおっしゃっていただいて、その自主性はとても大事なことですが、ともすると各省に丸投げになっていないかどうかということはこれからも見させていただきたいというふうに思います。
大学卒業後五年の研究を積んだ博士は、今申し上げたようにその分勤務年数が五年短くなるわけですが、では、生涯賃金ということを考えた場合、大学卒で入る場合と博士で五年ビハインドで入省した場合とでは、生涯賃金はどちらが上回るのでしょうか。
そのとおりですね。
すなわち、生涯賃金としては学卒で入るのと博士を持って入るのとどちらが上回るのかという具体的なシミュレーションを組んでおられないという現状でございます。
すなわち、博士号を取得することが、残念ながら、生涯を豊かにし、社会的に尊敬される人事上のインセンティブにはなっていないということを皆様確認されると思います。
このような状況では、我が国においては、将来、大学で研究したい、教授になりたいということを志す学者や研究者を除いては、不必要な苦行、艱難をも耐えられる言わば物好きな努力家とか異端者しか博士号を目指さないということでは困ってしまいます。
結果としては、日本社会において、聡明な公務員は大卒で入省し、キャリアの王道、主流派を占め、トップまで上り詰められる年数をちゃんと稼いで働いた方が得策だという生涯計算となるのは必然ではないでしょうか。
資料一を御覧ください。
私の問題意識に本当に我が意を得たりという論考で、安西祐一郎先生、これ慶應大学の、慶應義塾の塾長までされた方ですが、私は物好きな努力家、異端者にしてはいけないという思いですが、この安西先生御自身も、博士課程について、赤字を読みます。
オタク的イメージを変えよということで、読み上げます、赤字の部分ですね。
「世界では企業や行政、報道のリーダーに博士号取得者が多いのに日本ではほとんど見ない。博士課程は狭い意味でのオタク的研究者指向の人間が行くところ、という社会通念が固着している。」と、こびりついているということをアカデミアのトップを上り詰めた方もおっしゃっています。
そして、このようなオタク的イメージというのは、日本特有のイメージでございます。
このオタク的イメージをやっぱり警告しておられる、それを乗り越えていく日本になれるかどうかが問われているのだと思います。
そこで、直球で国家公務員担当大臣にお伺いしますが、資源に乏しい日本においては人材こそ命だと言ってはきたものの、皮肉なことに、実は国家公務員制度こそが大卒を中心にして社会を動かす前提となっており、それは、戦後に本当に護送船団方式の大量生産という中では実際に機能してきたけれども、その反動として、結果的に、現在は博士を評価しない世間の仕組みを日本社会にこびりつかせる元凶にまでなっているのではないでしょうか。
御見解をお伺いします。
大臣が文字どおり前向きな御答弁をいただいたこと、大変有り難く存じます。
属人的な、この人が大学卒なのか、院卒なのか、博士なのか、修士なのか、学卒なのかということは入口では見るけれども、その後は属人的なものではなく能力で見ると、建前でおっしゃっていただきます。
そのとおりだと思いますが、実際にはほとんどの国家公務員がAランクに査定されて、便宜上、その形式的なことは毎年毎年の給与法でも答弁が出ているということを申し上げていますので、大臣の後半の御答弁を、私たちもしっかりと自らのこととして、人事当局が動いていただくことを切に願います。
木原官房副長官、今日はありがとうございます。
副長官は、政治家になる前、誰もが認める優秀な国家公務員でいらっしゃいましたと伺っております。
財務省エースと目されていた木原財務官僚がイギリスの財務省に赴任されたときの御経験を率直にお話しいただきたいと思います。
含蓄のあるエピソードを誠に有り難いと思います。
以前、木原副長官とこの話を科学技術の勉強会で伺って、私の問題意識を惹起していただいた、その一つの起点でございました。
イギリスの財務省に新進気鋭の日本のエースとして交換赴任で一期生としていらした方が、語学の問題ではなく専門性の問題で歯が立たないということを痛感して帰っておられた。
まさか財務省に金融工学のPhD、統計のPhD、博士、あるいは犯罪の博士がそこにいるというのは、やっぱり新鮮な情報でございます。
副長官御発言のとおり、日本から欧米や国際機関あるいは外国の政府に赴任された際、周囲の同僚の多くが修士か博士号を持っているという環境に放り込まれる事例というのは少なくありません。
副長官の場合は、七人の同僚の中の四人が博士を持っていたという状況であられました。
そこで、科学技術担当大臣に伺います。
現在少子化であり、今後なお一層、副長官がおっしゃったように、限られた人員、限られた予算でEBPM、証拠、論拠に基づく効果的な政策を打っていかなきゃいけない、そしてそれは真に国民に寄り添う政策であらねばならない。
そんな我が国の現状にあって、博士号という最高学位までの訓練を積んだ人材の知恵を生かす活力に乏しい人事制度や慣行のままでは果たして日本は世界に伍していけるのかどうかということで、ほかの先進国が、資料三の右側御覧になってください、博士人材をどんどん増やしていく、特に米国と中国が博士の絶対数を近年倍増させている中、資料四、この十年間を比較しても、日本だけが博士を減らしています。
博士号取得者に対する社会的関心が少なく、最高学位を取得してもその功績が人事の処遇とリンクしていない、むしろ報われないという我が国の現状のままで、果たして日本は今後も科学技術立国たり得るのでしょうか。
小林大臣から実に的確なコメントをいただきました。
まさに人事当局がイノベーティブでなければならないけれども、人事当局だけではできないことでございます。
資料二の左を御覧になってくださいませ。
民間の企業においても、博士号取得者の割合というのは他国に比べて低いのが現状です。
これ文部科学省のデータなんですけれども、私もびっくりしました。
十七か国中、民間企業の研究者に占める博士号取得者の割合が、トップはオーストリアの一六・三%、日本は四・四%で一番低いと、十七か国の中ではですね、衝撃的だったんですが、これで世界と伍していかなければならないということを考えると、やはり、研究職も恐らく大学卒あるいは修士で回しておられるというのが日本の前提になっているのかもしれませんが、やはり博士号をしっかりと応援できて、その知恵をみんなの利益のために、国益や利益、公益のために使っていただくという仕組みを回していけるかどうかが問われているのだと自らに言い聞かせます。
では、外務省にお伺いします。
国連など国際機関でマネジャー、管理職として働くためには、どの程度の学力が事実上求められているのでしょうか。
国連、十五の専門機関がありますけれども、その人たち、トップを目指して、トップになっている人たちの学歴を教えてください。
国連ではほとんどが修士であるということを最初におっしゃっていただいて、国連の十五の専門機関のトップは、修士号、最終学歴、修士号が八つ、博士が五つ、そして大学卒、学士が二つということでございました。
十五の専門機関の最高責任者として大卒の人が就任しているのは二つの組織のみ。
そのうちの一つは、日本人が率いているUPU、万国郵便連合であります。
誤解が生じないようにこの点明確にいたしますが、私は、UPU、万国郵便連合のトップを担っておられる目時政彦さんを茶化しているわけでは全くありません。
むしろ優秀な方だというふうに伺っております。
日本の期待を背負った方だと伺っております。
けれども同時に、国連トップクラスの人事を狙うなら修士号、博士号を持っていることがごくごくスタンダードになってきている現状を日本政府も直視して、これに備える人材育成をする必要があります。
国連の専門機関は、国際秩序や技術標準を決めていく中枢にあります。
出身国で長年その分野の行政、国際経験を積んだ業界のプロばかりが世界の中でインナーを成し、事実上その限られたインナーが発言力、影響力を行使して相場観をつくり上げ、多数派工作を進めながら将来的な標準技術、国際秩序を決めていきます。
その有力者の多くが博士号や修士号、学術的訓練を積んで猛者の集まるカオスの中で頭角を現していきます。
日本は、この厳しい国際環境に対応できる公務員を育てているでしょうか。
そこで、人事院総裁にお伺いします。
日本の科学技術の凋落を食い止めるためにも、また日本の国際秩序の中での存在感を高めていくためにも、博士号取得者が日本の未来を牽引するような活躍ができる仕組みをつくり上げていくために、人事院総裁は例えばどのような方策を具体的に提案していただけるでしょうか、お聞かせください。
総裁、ありがとうございます。
最後の質問になろうかと思います。
木原官房副長官、日本が引き続き世界を牽引する先進国の一角にいられるかどうかの大事な岐路に立っています。
公務員が劣化して割を食らうのは私たち国民であります。
だからこそ、優秀な人材を魅了して、その能力を公益のために生かす国家公務員制度構築に向けてどう動かれるのか、岸田内閣の見解を官房副長官としてお聞かせいただきたいと思います。
議会人になって苦しいこと、つらいこともいっぱいありますが、最も有り難い喜びの一つは、本当にすばらしい人格を持った、能力を持った国家公務員の皆さんと公益のために一緒に働けること、これは本当にうれしい喜びの一つでございます。
その能力を伸ばしていただいて、日本の未来のために科学技術力を再び力を付けていただけることを念じ、また自らの責任も自らに言い聞かせて、私、有村治子の質問を終わります。
誠にありがとうございました。
第208回[参] 内閣委員会 2022/04/05 7号
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皆様、おはようございます。
自由民主党の有村治子です。
質問の機会を賜りましたこと、また、二之湯大臣、川本人事院総裁始め、答弁の御準備をいただきました政府の皆様に感謝を申し上げます。
二十分間という限られた時間でできるだけ多くの往来をしたいと思いますので、御答弁は簡潔に本質をお伝えいただけますれば大変有り難く存じます。
御協力を仰ぎます。
現在の公務員人事制度が、国家国民に仕える矜持を持ち、高い能力と倫理観を持つ優秀な人材をしっかりと魅了できているのかどうかという問題意識の下、毎年恒例の給与水準などを審議する視点にとどまらない構造的な問題を今日は論じたいと思います。
そこで、早速、内閣人事局にお伺いします。
近年、国家公務員を志願する人が減っています。
また、現在の国家公務員においても、特に二十代、三十代の若い層で自己都合で退職する人が増加をしています。
なぜですか。
さてさて、働き方改革だけでその兆候を変更できるのかどうか。
内閣人事局に改めて伺います。
倫理観や責任感を持ち、本当に能力が高い人たちがかつてのようには国家公務員を志さず、また公務員になった若い職員、人材が大量に退職をするような事態が続けば、私たち国家国民にどのような影響が出てくるのでしょうか。
政府当局としても危機感をお持ちだと思いますけれども、私たち国民にとっても、しっかりとした国家公務員制度が機能していただくことは大変重要な関心事項でございます。
そこで、科学技術担当の大野副大臣に伺いたいと存じます。
資料の三を御覧になってください。
この二十年間で、先進国各国は博士号取得者を増やしており、中国も猛追をしており、絶対数においては米国と中国が圧倒的な博士人材の数を誇っています。
その一方で、日本だけ博士号取得者を減らしているような状況でございます。
なぜか。
日本社会においては、博士号取得者が不当に低い評価を受けているという社会に問題があるのか、それとも低い評価しか受けられない博士号しか輩出できない日本の大学側に問題があるのか、はたまた社会と大学その両方に問題があるのでしょうか。
冷静な分析をお聞かせください。
大野副大臣、ありがとうございます。
今御指摘されたように、両方に問題があるということをおっしゃっていただきました。
日本の科学技術力も国家公務員のキャリアとしての魅力度も、残念ながらかつてほどの勢いはありません。
そこで、引き続きお伺いをしますけれども、今、大野副大臣が御指摘されたような凋落傾向というのは、今までにも心ある研究者、官僚からも大野副大臣のように的確な指摘がなされてきました。
なのに、なぜいまだこれらの凋落傾向に歯止めが掛かっていないのでしょうか。
私たちは、本来どのような構造的な問題に向き合わねばならないとお考えでしょうか。
相対的な地位の低下に危機感を持っておられる政府としても、今回の十兆円ファンドなど、博士課程の生活をしっかりと支えていくという岸田政権での覚悟を明確にされたことは高く評価したいというふうに思っております。
ただ、在職中のPhD在籍者の支援だけで本当に十分なのかどうかという観点では、今御指摘のような危機感や価値観が、皆が尊重する人事制度に織り込まなければ、単なる理念主義とかあるいは提言で終わってしまうのではないかということを懸念をしております。
私は、当然日本の未来を強く信じている者ですが、同時にこの二つの凋落にただならぬ危機感を持っています。
この半年間、私なりに探求をする中で、実は日本は博士号取得者への敬意に乏しい国なのではないかとの問題意識を持って、三つの側面の懸念を持ち始めています。
資料の四を御覧ください。
私が持っている懸念ということの一つ目は、大学教授など教育研究職、アカデミアを除いて、日本では博士という最高学位を持ち産業界や行政で活躍している実像がそもそも少ない、ロールモデルが見えにくい社会であります。
そもそも博士号取得者に対する社会の関心が薄く、本来向けられるはずの社会的敬意や処遇がほかの先進国と比して乏しいのではないかという懸念です。
二つ目の懸念としては、日本には最高学位であるはずの博士号取得者に対する明確かつ揺るぎない国家的ビジョン、国家戦略が見当たらないのではないかという懸念です。
先ほど米田統括官がおっしゃっていただいた十兆円ファンドは本当に有り難いと思っていますが、じゃ、その方々をどのように文字どおり国や社会を引っ張る頼もしいリーダーとして評価して、三つ目の懸念でございますが、その専門的知見に基づく貢献を社会の発展や公益にいかにつなげるかという戦略的価値観が、人事制度、とりわけ国家公務員の人事制度にリンクしていないのではないかという懸念を持っております。
以下、具体的に質問をしたいと思います。
人事院に伺います。
国家公務員において博士号取得者というのはどのくらい存在しますか。
今お答えになったように、研究職とか医師ということで博士号は持っているけれども、一般の行政官としては博士号は少ないという御指摘がありました。
二十五万三千人の国家公務員の中での〇・六%、千五百七十一人とお答えいただきました。
ちなみに、その内訳として、どの省庁に博士が何人ずつぐらいいらっしゃるのか、省庁別に博士号取得者の在籍人数を教えていただきたいと思います。
事前の勉強会で、各省庁にそれぞれ博士が何人在籍しておられるのか正確な情報をいただきたいと依頼を掛けても、明確な回答はできませんということでございました。
今の御答弁もそのようなことでございました。
任意のアンケートでしかこの博士号在籍者を把握しておられないと。
公表を前提としたアンケートではないので、結果は私たち国民に報告できないということでございます。
それが的確なのかどうか。
人は測られる物差しによってその能力を伸ばす、ピープル・ビカム・ホワット・ユー・メジャーと言われますが、博士号を持っているかどうかは人事政策上評価するべき物差しの指標になっていない現状が浮かび上がってまいります。
もちろん、修士、博士という属性ではなくて、職責に見合った能力を発揮できるかどうかを評価していますという、そちら側の、人事当局の建前、大義名分はあるものの、実際にはほとんどの国家公務員職員が便宜上Aランクに評定をされる年功序列の価値観が強固に粘着をしている人事制度であることは、毎年の国会審議においても何度も指摘されたことです。
だからこそ、国家公務員担当大臣の二之湯大臣にお伺いします。
今おっしゃったように、博士号がどの省庁に何人いるかというのは機微に触れる個人情報を含んでいません。
博士号取得者の省庁別内訳すら公表できない、こういうことでは各省庁の幹部にさえ問題意識が共有をされません。
論理的に仕事を進めて説得力あるコミュニケーションが取れる博士人材を積極登用できる日本社会そのものになっていくためにも、今後は意識して博士の採用、在籍状況を把握していただきたい。
各省庁と調整を進めて今後の博士号取得者の実態は公表すべきだと考えますが、大臣の御見解を伺います。
大臣、前向きな御発言をいただいてありがとうございます。
文字どおり前向きな御検討をいただいて、結果を出していただけるように心から願っております。
そこで、川本人事院総裁に伺いたいと思います。
各国が最先端科学技術への大幅なてこ入れをしている、そして付加価値の高い産業政策を重視するためにも博士号の取得者を各国が着実に増加させている中で、唯一日本だけが博士号取得者が減っています。
公務員人事制度においても博士を戦略的に大事にできなかった社会の代償を突き付けられており、それに対応する日本の変革力、変われる力、アップデート力が問われていると私は確信をしています。
そこで、人事院総裁、今日の質疑をどのような思いでお聞きくださったでしょうか。
人事院総裁、川本総裁は、東大卒業後、イギリスのオックスフォード大学院を修了され、日米欧の金融業、また世界有数の米国コンサルティング会社で実績を積まれ、日本の大学で学生を導く教授職、現在は人事院のトップのポジションという大変貴重なキャリアコンビネーションの持ち主でいらっしゃいます。
国際派、研究家、実務家、また次世代を育む教育者ならではの忌憚のない御意見を人事院総裁としてお伺いいたします。
人事院のトップのお言葉は重いと思います。
官民協力をして垣根を越えてというふうにありました。
まさにアカデミア、学術界と産業界と行政の垣根を越えて日本が変わっていかなければならないときに来ていると思います。
最後になろうかと思いますが、二之湯国家公務員制度担当大臣にお伺いします。
世界の潮流を見定めて今のような議論を聞きますと、従来の国家公務員制度では足らざる世界と伍していくためのブレーンを採用して、その専門的知見を公益のためにしっかりと発揮をしていただく戦略的人事制度を構築するためには、一体何が必要だとお考えになるでしょうか。
今までこの必要性は何度も唱えられてきました。
けれども、なぜそれが実現できていないのかを私たちは直視しなければならないと思います。
この成功するためには、日本政府において一体誰がこのような戦略的人事制度の策定、構築に責任を負っていただけるのか、何が必要なのか、御答弁をいただきたいと思います。
当然ながら、私は博士号取得者のためにこの質問をしているわけではなくて、日本の凋落を止めて、再びまた日本が科学技術立国として、また国家国民に備える、そういう行政をするために質問を続けております。
残余の質問は、あさっての内閣委員会の一般質問で続けさせていただきたいと思います。
以上で、私、有村の質問を終わります。
ありがとうございました。
第208回[参] 政府開発援助等及び沖縄・北方問題に関する特別委員会 2022/03/30 6号
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自由民主党の有村治子です。
質問の機会を賜りましたこと、また西銘大臣始め答弁準備に当たっていただきました政府各位の皆様に感謝を申し上げます。
二十五分という限られた時間でできるだけ多くの往来をしたいと思いますので、御答弁は本質を簡潔におまとめいただけますれば大変有り難く存じます。
御協力を仰ぎます。
どうぞよろしくお願いいたします。
早速本題に入ります。
いよいよ五月十五日には沖縄が本土に復帰してからちょうど五十年の節目を迎えます。
戦中戦後に沖縄がたどった歩みに真摯に思いをはせ、半世紀続いてきた沖縄振興特別措置法等について、今日は沖縄が置かれた特殊な事情という歴史的側面に焦点を当てて質問をさせていただきます。
まず最初に、沖縄戦の戦禍について伺います。
七十七年前、さきの大戦末期におよそ三か月続いた沖縄戦では、筆舌尽くし難い戦禍があり、二十万人を超える方々がお亡くなりになっています。
三か月で二十万人が帰らぬ人となっている。
哀悼の思いを携え、謹んでお伺いをいたしますが、沖縄戦ではどのような属性の方々がどのくらい戦死されていらっしゃるのか、御説明ください。
熾烈な戦闘、飢餓や混乱の中で、最も犠牲が多かったのは無辜の沖縄県民であり、次いで地元沖縄県出身の軍人軍属であられたことを心に刻みます。
同時に、沖縄県以外の四十六都道府県からも多くの兵士六万六千人が沖縄戦で散華をされており、沖縄以外で戦没者が最も多いのは、実は沖縄から最も離れた北海道でありました。
私が調べた限り、どの都道府県においても数百人から数千人、北海道では一万人を超える沖縄戦の戦没者がおられます。
戦争末期、国内最大の激戦地となった沖縄に文字どおり全国各地から兵士が集結されていた当時の様子が伝わってまいります。
続いて、外務省に伺います。
昭和二十年の終戦以降、独立国家としての主権を失った日本は、アメリカを始めとする戦勝国によって六年八か月のGHQの占領下に置かれました。
当時、既に沖縄の戦略的重要性を認識していた連合国、とりわけアメリカやイギリスは、沖縄に対してどのような統治をすべきだと考えていたのでしょうか。
また、イギリスやアメリカの方針に対し、当時の日本政府はいかなる対応を取ったのでしょうか。
すなわち、英国は、未来永劫、日本から沖縄をもう切り離す、主権を放棄させるという案を外交文書によると持っていた。
そして、イギリスのそのような考えに対してアメリカは、半ば永続的に、永遠に沖縄を統治しようという考えも当時あったようでございます。
その中で、せいぜい日本政府ができたのは、潜在主権ということでございました。
吉田茂首相が署名され昭和二十七年の四月二十八日に発効したサンフランシスコ平和条約によって、日本は晴れて主権を回復し、外交権を持つ独立主権国家として国際社会に復帰しました。
今年は日本の主権回復からちょうど七十年という節目でもあります。
私は、独立国家として、主権、すなわち自分の国の統治の在り方を自らが決め執行する権利の尊さをかみしめ、主権の存する私たち国民が主権を守り続けることの意義を確認することは極めて大事だと思っております。
と同時に、今御答弁ありましたように、七十年前、サンフランシスコ平和条約が発効して日本が主権を回復したこの四月二十八日は、時を同じくして、沖縄及び鹿児島県奄美群島及び東京都小笠原諸島が本土の動きから留め置かれ、引き続き米国の支配下に置かれることが決定的になったという意味で、厳しくつらい側面を持ちます。
同じ日本にあって国土を同じくする同胞として、このような悲しい分離があったこと、またこの日を屈辱の日として記憶にとどめておられる民意が沖縄にあることにも深く思いを致さなければならないと私自身思ってきました。
七十年前の四月二十八日、主権回復という日本にとって大事な悲願が達成された喜びがある一方で、この日を境に国土、国民の分離統治が確定したという悲しい側面があることについて、歴代の首相や日本政府はどのような留意をし、沖縄に向き合ってこられたのでしょうか。
昭和二十七年に日本が主権を回復してからも、なおのこと二十年間沖縄では米国統治が続きました。
この間、沖縄はいかなる法的地位にあり、内外においてはどのような立場に置かれたのでしょうか。
日本国憲法も適用されず、日本円も流通しない、国旗日の丸を掲揚することを禁じられ、その後も制約を受け、かといって米国の一部でもない、琉球国という国家が当時存在したわけでもない、まさに主権が発揮できない状態であり、国際的にも極めて不安定な立場を余儀なくされた沖縄でありました。
昭和四十年、佐藤内閣で佐藤首相が初めて米国統治下の那覇に飛び立たれ、沖縄の祖国復帰なくして日本の戦後は終わりません、この思いは日本国民全ての思いですということを演説された、まさにそれは当時の国民感情であったんだろうというふうに思います。
終戦から二十七年掛かりましたが、ともかくも、日米両国共に銃声を聞かれることもなく、ついに昭和四十七年、沖縄返還が実現しました。
復帰の日、今日から日本人と教室の黒板に書かれた沖縄県内小学校の様子を当時の新聞は高揚感を持って伝えています。
そもそも、戦争に勝った国が負けた国の国土や国民を統治し、その後、両国の平和的な外交交渉によって本来の祖国に領土、主権、統治権が返還されるという事案は、国際社会、国際政治において間々あることなんでしょうか。
時に起こり得ることなのか、ほかに似たような事例というのはあるものでしょうか。
今の御答弁では、当時まれであったというふうに理解をしておりますが、通告のときに伺っている限りは、世界において最も外交をよく知っている外務省において、そのような事例はほかに承知していないという御答弁をいただいております。
すなわち、沖縄戦では米国側も一万二千人、先ほどの御答弁ですと一万三千人とありましたが、私が調べた自らのデータでは一万二千人を超える兵士の命をなくしています。
戦火を交えて勝った国と負けた国ではそれぞれの戦没者遺族がおられ、全く異なる国民感情や歴史認識が出てきます。
戦争によって他国に占領された領土、とりわけ、その後の朝鮮戦争などもあり、沖縄の戦略的重要性を誰よりも理解している米国を相手にして行う返還交渉は、難易度が極めて高い国際交渉であったと思われます。
事実、歴代の総理が沖縄返還の夢を胸に抱きつつも、佐藤栄作内閣が昭和四十七年に沖縄返還を実現するまでには長い年月を要しました。
では、なぜこれほどまでにハードルの高い沖縄の本土復帰が実現できたのでしょうか。
戦後の米国統治下における数々の苦難にも向き合いながら、日本の本土復帰に向け長年にじむような努力を重ねられた沖縄の方々の強い意思があり、沖縄戦で親族を亡くされた全国の御遺族を始め多くの国民が沖縄に心を寄せ続けられ、歴代の政権が匍匐前進を続けられ、粘り強い国際交渉によってついに成し遂げられた沖縄の本土復帰は、文字どおり国民的悲願でありました。
立場や地域は、役割は違えども、復帰実現に向けてそれぞれの持ち場で尽力された先達の判断は、復帰後半世紀を経る今もなお歴史の評価に堪えており、現在の沖縄の基盤になっています。
沖縄が晴れて本土に復帰かなって、四十七都道府県全てに主権、施政権が日本に戻った五月十五日の歴史的意義を考えると、沖縄の本土復帰は、実は沖縄だけが向き合うローカルイベント、一地域の記念行事という位置付けではなく、本来であればもう少し国全体で大事に記憶されるべき歴史であり、まさに人々がきずなと望みを紡いで実現した我が国の歩みだと考えております。
平成二十五年、主権回復・国際社会復帰六十年を記念して開催された政府式典には、当時の天皇皇后両陛下の御臨席があった一方、当時の仲井眞沖縄県知事は、知事御自身ではなく副知事を代理出席されるという政治判断によって沖縄の複雑な気持ちを代弁されています。
ゆえ、令和の時代となった今、沖縄が復帰かなって五十年を記念するこの五月の式典にこそ、国民統合の象徴であられる天皇陛下の御臨席がかなうことが肝だと私は考えてきました。
昨年十二月の参議院本会議において、記念式典は日本政府として最高位の真心を持って開催していただきたいと訴えたゆえんでございます。
この度、岸田政権が沖縄に思いをはせる誠意として、天皇皇后両陛下の御臨席を調整され、正式発表されたことに心からの敬意と共感を申し上げます。
そこで、記念式典に向けて御尽力くださっている西銘大臣に伺います。
五月十五日に予定されています沖縄本土復帰五十年の記念式典に天皇皇后両陛下がオンラインで御臨席をされることになった意義及びその背景、意図をお聞かせください。
大臣、ありがとうございます。
沖縄の会場も大事、また日本ということでの東京の会場も、両方にオンラインで陛下がお言葉を賜れるというふうな背景であることを確認をさせていただきました。
資料一を御覧くださいませ。
現在、政府、各省庁では沖縄復帰五十年の各種記念事業を検討されているようでございますが、既に財務省からは記念硬貨の発行が発表をされています。
その意義や意図を御説明ください。
当時、分離された奄美、小笠原が日本に、本土に復帰したときにも硬貨が発行されているというふうに理解をいたしております。
そのときには銀貨が発行されたと理解をしておりますけれども、今回、五十周年ということで国民的な大事な行事として金貨が発行されるということを理解をいたしております。
復帰から五十年を経た今の時代、記憶の風化もありまして、残念ながら必ずしも国民的な認知度が高いわけでもない沖縄復帰の国民的、歴史的な意義について、より多くの世代や地域の方々にも認知を広げ、五十年を節目にして将来的な真の沖縄振興につなげていくことが大事だと考えています。
資料二を御覧ください。
昨年春開催された超党派の議員連盟、新たな国立公文書館の建設を実現する議連においては、私は、沖縄復帰五十年を記念し、政府が保有する沖縄復帰前後の外交文書などの公文書を一挙に公開する特別展示を検討していただきたい旨提案をしておりましたが、せんだって、この企画を実現する方向だと内閣府からお電話をいただきました。
議連における提案を文字どおり前向きに検討され、一年後、実現に向けて奔走くださった政府各位の御尽力に感謝をいたします。
そこで、国立公文書館における沖縄復帰五十年記念特別展の意図や特徴をお聞かせください。
西銘沖縄北方担当大臣は、御自身が米国統治下の沖縄に生まれ育たれ、沖縄返還前後における社会の激変を自ら経験されていると思います。
国立公文書館の沖縄復帰五十年記念特別展には若宮公文書館管理担当大臣とともに是非御参加を検討いただきたい、そして引き続き沖縄応援団の最前線で御活躍をいただきたいというふうに御提案を申し上げます。
沖縄本土復帰から五十年を経た今、沖縄における世論の分断にただならぬ関心を寄せ注力をしている人たちの一部は、実は海外の勢力だったりもいたします。
世論に対する分断工作は、現下のウクライナ危機においても危機感が高まっている典型的な認知影響工作に該当します。
政府におかれては、この点も引き続き御留意をいただきたいと思います。
沖縄がたどった歴史に思いをはせ、今後も主体性を持って花開く沖縄の真の振興、発展に温かいきずなと真の共感を寄せられる国民世論が熱くなることを念じております。
今日の議論を聞いていただいて、西銘大臣の当事者としての、また五十年後に担当大臣になられているその本当に巡り合わせも含めての決意をお聞かせいただきたいと思います。
西銘大臣の御活躍を念じ、現在の岸田総理も初入閣をされたのは沖縄北方担当大臣でございました。
その巡り合わせも偶然ではないというふうに信じております。
ますますの御活躍を念じて、また、沖縄の真の振興と発展に心を合わせられる、そういう動きが大きくなることを願って、私、自由民主党、有村治子の質問を終わります。
ありがとうございました。
第207回[参] 本会議 2021/12/09 2号
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自由民主党の有村治子です。
私は、自由民主党・国民の声を代表し、岸田内閣総理大臣の所信等に対し、質問をいたします。
中国武漢での新型の感染症が報告されてから、ちょうど二年がたとうとしています。
差し迫る公衆衛生の問題として、世界各国が相次ぐ変異株を警戒する中、政治、経済の文脈においても、日本や世界が感染症発生源である中国とどう向き合うのか、重い命題を突き付けられています。
コロナ禍におけるこの二年、私は、特に経済安全保障、尖閣諸島を始めとする国境離島や沖縄、台湾を含めた海洋政策、科学技術政策についてアンテナを張ってまいりました。
経済安全保障、科学技術政策、海洋安全保障の三分野は、いずれも米国と中国の緊張が高まる分野であり、日本の安全と繁栄を堅持するために避けては通れない分野だと考えています。
同時に、統治の在り方として、自由、民主主義、法の支配、人権やプライバシーの尊重という価値観と、専制主義、覇権拡張主義、監視統制を強める効率重視の価値観が相克し、日本の立ち位置や真価が試される重要分野でもあります。
深刻な危機に直面するときにこそ、各国の国柄や特徴、その本質が凝縮して浮き彫りになることがあります。
我が国に関して言えば、平時、日本は世界で最も治安が良く、自由で豊かな国ではあるものの、一たび誰も予想だにしていなかったレベルの危機が生じると結構もろい、少なからずの脆弱性を抱えていることが露呈しました。
平時の社会機能が安定し充実していることは日本の強みではありますが、ともすると平時の感覚や慣性から抜け出しにくく、機動力のある有事の対応が打ちにくい難しさがあります。
世界中が欲しがり、各国が囲い込みに動き、法外なお金を積み増し、頭を下げてでも入手したい、できれば自国で内製化しておきたい製品を戦略物資と定義するならば、昨年はこのマスクが戦略物資となりました。
一番安く、効率的に生産できる国に量産をさせ、できるだけ安価でタイムリーに輸入すればよいという経済合理性を重視してきた日本において、従来数円で入手できていた汎用品でさえ、他国に囲い込まれ、生産や流通をコントロールされてしまう現実を前に、医療安全保障という概念が切実な政治課題となりました。
国民の命と健康を守るための急所を他国に依存するわけにはいかないという警鐘です。
そこで、国産ワクチン開発について伺います。
歴史に鑑みれば、破傷風菌、ペスト菌などの研究で国際的にも大きな功績を残された北里柴三郎氏など、かつて日本は感染症研究において世界に貢献できる実力を有していたはずです。
事実、今でも薬を自国で開発できる能力を持つ世界有数の創薬国の一角を占めます。
にもかかわらず、なぜ日本で国産ワクチン、治療薬がまだ開発できないのか、国民の多くが持たれる疑問です。
幸い日本には経済力がまだあり、米国や欧州諸国から国民に必要な量のワクチンを何とか購入することができてはいるものの、国民一人当たりのワクチンを一体幾らで買わされているのか、その価格を公表してはならないと契約で厳しく規定されています。
例えば、ヨーロッパで作られたワクチンを域外に持ち出すことに審査を課したEUの囲い込みもあり、ワクチンがいつ、どのくらい日本に入ってくるのか、そのめどが立たないことで大規模接種、職域接種等に協力をしてくださった国民皆様の善意が落胆に変わり、いっときは内閣支持率を下げるほど綱渡りの時期もありました。
安全性、効果への信頼性にたけたワクチンの開発、量産にいち早く成功したフロントランナーは莫大な利益を手にし、誰にいつ、どのくらいのワクチンを幾らで供与するのか、その裁量権を持つ国や企業が世界に対して強大な交渉力、発言力、外交力を持ちます。
ゆえ、先進国はこぞって、強い政治的意思と意図を持って、ワクチン開発の量産に巨額の公費を投入してきています。
世界各地に軍隊を駐留させる米国は、感染症対策を一貫して重視しており、米中を始めとする各国は、生物化学兵器、テロへの対応力を含めて、まさに国の安全保障の一環として自国でのワクチンの開発を継続的に進めています。
同時に、主要国は、国民の富をつくる成長分野として自国の創薬力を上げる産業政策をてこ入れしています。
その一方、日本においては、そもそも公衆衛生のレベルが高く、他国を襲ったSARS、MERSのようなパンデミックが幸いにも国内で発生せず、また炭疽菌によるテロも起こっていません。
皮肉にも、このような負の経験がなかったことが、結果として感染症に国家として備えるという力、警戒心を弱くしていたという反省があるかもしれません。
日本のワクチン開発が、アメリカ、イギリス、中国、インドなどに後れを取った背景には一体どんな要因があったのか。
感染症対策を純粋に公衆衛生の問題としてしか認識していなかった日本と、これを安全保障を基盤とする産業政策と捉え、日々怠りなく精励してきた国々との根本的な認識の違いが、危機に際しての機動力に差を付けたのではないでしょうか。
経済合理性と危機管理のバランスをどのように調整し、国民の理解を得るのか、政治と行政の真価が問われているようです。
ワクチンの開発は、安定した製品を最初に開発したトップランナーが格段に大きな利益を得る先行者利益が激しい特徴があります。
トップランナーとなった企業や国は、国内外で大規模治験の協力を得ることができ、同時に、ワクチンの副反応や性別、年代、人種や民族による効果の違いや効力持続期間など、膨大なデータを集めることができます。
このデータ自体が宝の山であり、当該製品が世界で使われれば使われるほどデータの信頼性も上がり、製品の価値が更に上がる。
トップランナーが、技術力、交渉力、資金力のみならず、データにおいても覇権を握ってしまう構図をかいま見るにつけ、このワクチン開発や創薬が生き馬の目を抜くような熾烈な国際競争と国際協調の場であることを思い知らされます。
投入する予算の規模、研究主体の競争優位、緊急時の政治、行政の意思決定スピード、使命感や公益性を懸けた産学官の連携など、まさに国家としての総合力が問われている分野であり、日本はこのチャレンジを受けて立つ体制を構築できるかどうかの分岐点に立っているのではないでしょうか。
自由民主党は、さきの衆議院選挙に向けた公約の大きな柱として、経済安全保障の強化を掲げて選挙に臨み、自民党の各部会でその具体案を論じてきました。
今回、ワクチン開発及び安定的な生産能力の確保、構築に向け、五千億円規模の予算を計上した国の意思を明確に支持いたします。
その上で、経済安全保障担当大臣に伺います。
ワクチン開発において日本がなぜ後れを取ってしまったのか、政府はこの手痛い経験をどう分析されておられるのでしょうか。
また、先行者利益が大きいワクチンの開発において現在後塵を拝している日本が、それでもなお将来に向けて国産化にこだわっていく動機はどこにあるのか、納税者の理解が進むように御説明をください。
加えて、この五千億円に上る予算によって、今後何がどう変わり、将来的にいかなる果実が国民にもたらされるのか。
経済安全保障、医療安全保障の観点から、以上三点、小林大臣に伺います。
自衛隊の任務とワクチン接種について伺います。
今年七月、静岡県熱海市で大規模な土石流災害が発生した際には、延べ九千七百人の自衛官が現地に派遣され、救援活動等に従事されました。
被災された方々、犠牲になられた御霊を悼み、救助に当たっていただいた皆様に心を込めて感謝の念を強めます。
このとき、熱海に派遣された自衛官のワクチン接種率は僅か一割でした。
猛暑の中、腰までつかるほどの泥やぬかるみと闘い、ただひたすら行方不明者の捜索や御遺体の収容等を行った自衛官が、接種を受けられないまま感染リスクが高い三密での救助活動を続けられたと思うと、何とも忍びない思いです。
度重なる雨で地盤が緩み、二次災害の危険もある中で人命救助に当たる自衛官すら優先接種の対象となっていなかったことが、果たして適切だったのでしょうか。
自衛隊の第一義的な任務は、我が国の防衛です。
寝食を共にして警戒監視を続ける艦船や潜水艦は閉鎖空間が多く、より徹底したコロナ対策が必要なはずです。
例えば、急遽の代替要員が確保しにくい中で国境監視を続ける海上保安官、長期にわたり洋上で離島防衛の任務に就く自衛隊艦船の乗組員、災害救助の前線に立つ自衛官等の緊急度、必要度を精査し、優先接種の仕組みを整えるべきだと考えます。
自衛隊の最高指揮官であり、危機管理の先頭に立たれる総理のお考えを伺います。
続いて、自衛隊の任務について伺います。
日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す昨今、主たる任務以外の業務で自衛隊に負荷が掛かり過ぎていないでしょうか。
例えば、口蹄疫や豚熱における牛や豚の埋却や、鳥インフルエンザにおける何十万羽もの鳥の殺処分、冬季国体スキー会場等への雪の設営。
自衛隊にあれもこれもと出動を依頼することが半ば当たり前のようになってきていることを案じます。
自衛隊派遣には規律ある原理原則があるはずです。
自衛隊ならではの国防任務の重要性と大規模災害等での貢献に鑑みれば、自衛隊の主たる任務から遠く離れて相当な負荷を現場に強いる業務に自衛隊を駆り出すことは慎重に勘案されるべきだと考えます。
どのような基準で自衛隊派遣を考えればいいのか、防衛大臣の御見解を私たち国民にお聞かせください。
日本の稼ぐ力、国際競争力の凋落が指摘されている今、岸田総理は、成長戦略のトップに科学技術・イノベーション分野を明示されました。
平時において今ほど科学技術力が国家の盛衰を規定する時代はかつてなかったのではないかと感じてしまうほど、先進国はこぞって科学技術分野に大胆な投資をしています。
技術覇権と自国に有利な技術やシステムの国際標準化を狙う米国、中国、欧州はもちろんのこと、各国は大学院博士号を取得した優秀な人材を競い合って獲得しています。
人口百万人当たりの博士号取得者数は、イギリスが三百七十五人、ドイツが三百三十六人、韓国が二百九十六、次いで米国が二百八十一、そのはるか後塵を拝する日本は、米国の半分以下であり、トップを走るイギリスの三分の一以下となる百二十人です。
この二十年間で主要国が皆、国の繁栄を懸けて博士号取得者を増加させている一方、日本だけが博士号取得者数を減少させています。
なぜこのような厳しい状況に陥っているのか。
そもそも、日本においては博士課程に在籍する人を正当な対価を支払うべき専門家、社会の価値を創出する金の卵だと認識しているのか、それとも、授業料を払ってくれる学生、安く使える労働力とみなしているのか。
すなわち、お金を払う対象なのか、お金をもらう対象なのか、多くの人にヒアリングを重ねても、いまだ判然としません。
私自身、最近ふと気が付き、痛感をしているのですが、日本には、博士号取得者をどのくらい養成し、その専門性を国の活力ある未来のためにどのように活用するのかという定見、ビジョンともいうべき国家戦略が見当たりません。
だからこそ、ポスドク問題のような研究者の深刻な就業問題が生じており、高度人材の海外流出も顕在化しています。
国家公務員制度においても、博士号を取得した人材を積極的に登用し、その優れた専門性を行政組織の刷新に主体的に生かすインセンティブはほとんど機能していないように見受けられます。
日本の科学技術力の下落に危機感を持つ自民党は、昨年から政府各府省に熱意を持って働きかけ、世界に伍する大学を支援する十兆円ファンドという新しい枠組みが創設されました。
その一環で、この度の経済対策においても、博士課程に学ぶ学生が研究に専念できる環境を実現するための予算が計上されており、この十兆円ファンドは、日本の科学技術力の再起に向け何としても実効性を上げ成功させたい、希望の礎だと認識しています。
日本が引き続き先進国の一角を占め、科学技術立国を名のろうと決意するのであれば、特に理工系の博士号取得者を大学研究職に限定せず、能力に見合う処遇で産業界や公官庁でも活躍できる、みんなに見える確かなキャリアパスを産学官が必死になって築くべきです。
いやいや、博士号取得者なんて頭が固くて使いづらい、まだ修士号取得者の方が潰しが利いて使いやすいとの従来どおりの社会認識が続くようであれば、日本は科学技術の先頭集団から脱落し、中進国に甘んじることになるのも時間の問題だと認識します。
経済安全保障の主要課題は、科学技術の戦略的優位を磨くこと、技術力を稼ぐ力に進化させ、実際に富を生んでいく仕組みを回すこと、日本や同盟国の先端機微技術が他者、他国から窃取されることを防ぎ、知的財産や国際競争力、軍民両用に使われ得る技術を守り抜くことです。
これらを担う頭脳に、各国は、学術的な訓練を積んで高い課題解決能力を持つ博士人材を充てています。
小林大臣、なぜ日本だけ博士号取得者が減り続けているのでしょうか。
日本の大学が大学研究職のみならず社会のニーズに応え、実業界でも通用し、高く評価される博士人材を輩出できるよう抜本的に進化を遂げるためには一体何が必要だとお考えでしょうか。
また、博士号を取り巻く極めて厳しい現状を直視し、日本が再び科学技術立国として世界に冠たる先端技術や産業競争力を回復するために、小林大臣の下で博士号に対する国家ビジョンを明確に打ち立てていただきたいと提案いたしますが、いかがでしょうか。
科学技術担当大臣に伺います。
今年六月十一日、この参議院本会議場において、世界保健機関(WHO)の台湾への対応に関する決議が採択されました。
国権の最高機関である国会において、参議院を構成する全会派、すなわち自由民主党・国民の声、立憲民主・社民、公明党、日本維新の会、国民民主党・新緑風会、日本共産党、沖縄の風、れいわ新選組、碧水会、みんなの党、そして各派に属しない議員も含めた総意として、全会一致で決議を可決しています。
私自身も、筆頭発議者として決議案を提出し、与野党の心ある同僚議員とともに各会派の合意形成に向けて主体的に動きましたが、感染症の収束を願い、参議院が一致して国際防疫という世界的価値に向けての台湾参画の意義を訴え、意思を明確にできたことは本当に良かったと思っています。
この決議は、日本政府に対し、台湾がWHOの年次総会にオブザーバーとして参加する機会が保障されるよう、関係各国に強く働きかけることを求めています。
立法府の参議院が全会一致で日本政府に求めた重い要望を総理はどのように受け止められ、外務大臣は関係各国にいかに働きかけてくださるのか、御見解と方策を伺います。
近年、この参議院決議と同じような趣旨で、台湾WHO参加を支持する決議や、中国政府による人権侵害に関する決議等が各地の地方議会において採択されています。
その後、当該地方議員や議会関係者が、中国大使館の参事官や中国領事館の副総領事、政治部主任等を名のる人物から直接抗議や名指しで威圧されていることが報じられており、私自身も複数の議会関係者から証言を得ています。
日本は、思想信条の自由、表現の自由を尊ぶ民主主義国であり、国会であれ地方議会であれ、議会の正統な手続にのっとった意思表明は、他国の干渉や圧力を一切受けることなく、あくまで自由意思に基づいて行われなければなりません。
そうでなければ、他国政府による内政干渉を恒常的に許すことになり、これは健全な議会運営を毀損し、民主主義を脅かします。
地方議会で不安を覚えながら奮闘している議会人に対する威嚇の実態を政府として把握し、中国当局によって行われている威嚇の実態を国民の前に公表すべきだと思います。
地方議会の自由意思と安全を守り抜く日本政府の毅然とした態度こそ、我が国の民主主義や独立主権を堅持することにつながると確信をいたします。
総理の御賢察を伺います。
日本は、六千八百五十二の島々から成る海洋国家です。
島が存在していることによって我が国の排他的経済水域が形成され、人々が安心して島に住むことで日本の領土、領海が保全され、国境や漁業権が守られていることを考えれば、島の数を正確に把握し所管することは国益に関わる大事な行政です。
では、沖縄に島は幾つあるのでしょうか。
沖縄県のホームページには百六十の島々が点在すると記述されている一方、海上保安庁調査に基づく政府見解では、沖縄の島の数を三百六十三と発表しています。
現在、島の数え方にダブルスコア以上の乖離が生じています。
海洋国家日本の領土、領海を守り、また、国際法で担保されている我が国の排他的経済水域における権益を維持するためにも、私はこれまで、政府発表と地元自治体で公表する島の数に大きな乖離があることは健全ではなく、見解を一致するべきだと幾度となく訴えてまいりましたが、正式な回答がなかなかいただけません。
そこで、沖縄県は一体幾つの島から構成されるのか、政府の確立した最終統一見解を総理に伺います。
次に、私がライフワークとしている保育、幼児教育、子育て支援について伺います。
この度、総理は、新しい資本主義の実現に向けた分配戦略の一環として、看護、介護、保育、幼児教育などの現場で働く方々の収入の引上げを打ち出され、保育士等を対象に収入を三%、月額九千円引き上げることを表明されました。
幼子の命と健康を日々守っておられる保育の現場は、感染症対策の三密を意識しながらも、泣く子をおぶって、だっこして、離乳食を口に入れて、嘔吐物の衛生管理も徹底しながら、人の濃密な関わり合いによって運営をされています。
多くの国民が新型コロナウイルスにおびえていた昨年最初の緊急事態宣言下、全国の学校一斉休校のときでさえ園を開き続け、エッセンシャルワーカーの子女も含めて子供の心身を守った現場の貢献には本当に頭が下がるものがあります。
総理が強いこだわりを持って打ち出された今回の国主導の処遇改善は、実際に先生方お一人お一人の手元に行き渡るような制度設計にしていただきたく、切にお願いを申し上げます。
加えて、経済的な処遇改善だけではなく、幼児教育、保育に携わる先生方に対する社会的敬意が向けられるよう、引き続き社会を担う専門職に敬意を持った前向きな発信をしていただきたいと存じます。
併せて総理の御見解を伺います。
さて、日本は、来年五月十五日、沖縄が本土に復帰してからちょうど五十年という節目を迎えます。
さきの大戦末期、戦闘を続ける力も果てた沖縄戦において、大田實海軍司令官は、東京の海軍次官に宛てて最後の打電をし、自決されました。
「沖縄県民斯く戦えり、県民に対し、後世、特別の御高配を賜らんことを」と記された電文には、兵士のみならず、非戦闘員である老若男女が、着のみ着のまま必死に戦われた様子が克明に記されており、沖縄戦の熾烈さを今に伝えています。
吉田茂首相が署名し、昭和二十七年四月二十八日に発効したサンフランシスコ講和条約によって、それまで米軍に代表される戦勝国によって占領統治を受けてきた日本は、晴れて独立国家としての地位を回復し、国際社会に復帰しました。
日本の独立主権を回復した歴史的な日です。
同時に、講和条約が発効したこの四月二十八日は、沖縄が奄美や小笠原とともに引き続き米国統治下に置かれ続けることが決定的になった日でもあり、沖縄においては複雑なお気持ちがあることにも真摯に心を添わせます。
沖縄は、この日から更に二十年間、戦後から数えると実に二十七年もの長きにわたって米国の施政下に置かれました。
昭和三十九年の東京オリンピックでは、米国統治下の沖縄から聖火リレーが始められ、翌四十年、内閣総理大臣として戦後初めて沖縄を訪れた佐藤栄作総理は、沖縄の祖国復帰が実現しない限り我が国にとって戦後は終わりません、この思いは日本国民全ての気持ちであり、本土の同胞を代表して、これを皆さんにお伝えしたくて私は沖縄訪問を決意いたしましたと那覇飛行場で演説をされています。
沖縄においても、祖国復帰期成会や祖国復帰協議会等が結成されて復帰への機運が高まり、国民的悲願であった沖縄の本土復帰は、ついに昭和四十七年、一九七二年五月十五日に実現をしました。
この沖縄復帰によってこそ、日本は四十七都道府県全てにおいて主権を回復したことになり、これは、真の意味で日本が国家としての主権回復をやっと成し遂げられた歴史だと言えるかもしれません。
戦中戦後に沖縄がたどった歴史に思いを致し、沖縄と日本全体がお互いに深甚な努力を続けて実現したこの歴史を深く記憶にとどめ、来年の本土復帰五十年の節目が真に国民的理解のある沖縄繁栄の新たな出発点となるよう願っております。
今月に入り、沖縄県議会においても、又吉清義議員や島袋大議員が沖縄復帰五十年の在り方について質問に立たれています。
日本政府においては、沖縄県の意向に真摯に耳を傾け、沖縄としっかりと手を携え、日本の意思として沖縄本土復帰五十年の記念式典を最高位の真心を持って開催していただきたいと考えます。
また、沖縄が琉球時代から培ってきた高い文化や、戦中戦後にたどった歴史への国民的理解を深めるため、政府におかれては、例えば記念切手の発行など、この数年で各省庁が実行できる記念事業を御検討いただきたいと提案をいたします。
総理の御見解を伺います。
以上、様々な分野の質問を重ねましたが、全ての質問に共通するのは、かけがえのない守るべき価値をしっかりと守り抜く日本の態勢が構築できているかどうか、そのための私たちの努力に不足なかりしかという素朴で根幹的な自問です。
心休まるときもなく、日々コロナの難しい国家のかじ取りに向き合っておられる総理と岸田内閣の御活躍を念じ、日本の未来に向けて共に責任を負う与党自民党の役割を自らに言い聞かせ、自由民主党、有村治子の質問を終わります。
ありがとうございました。
第204回[参] 決算委員会 2021/05/31 8号
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自由民主党の有村治子です。
多くの皆様の御理解と御協力をいただいて、今日、この発言の機会をいただいていることに謹んで感謝を申し上げます。
慰安婦問題は、この三十年間、日韓関係を揺るがす最大懸案の一つであり続けてきました。
何が事実であったのかなかったのか、ただひたすら真実と公正性を探求したい、この思いで今日は質問に立たせていただきます。
慰安婦に対するおわびと反省を表明した河野談話が発出されてから二十八年がたちました。
政府が明言されているとおり、河野談話を作成した頃と現在とでは、歴史の真実をめぐってとても大きな環境変化があります。
暴力の限りを尽くして何百人の慰安婦狩りをしたと訴え続けた吉田清治氏が完全な作り話の詐欺師であったことが判明し、これを長年積極的に担いできた朝日新聞が関連記事の数々を取り消し、謝罪をしました。
政治的決着として、軍による何らかの強制性を認めることを日韓両国であらかじめ合意し、韓国の依頼に基づいて宮澤内閣では河野談話を出し、その内容も韓国政府と詳細なすり合わせを重ねたことが平成二十六年の河野談話検証過程で明らかになりました。
韓国からの反論にひるまず、この検証を完遂された当時の安倍内閣、菅官房長官の御判断は、まさに歴史の評価に堪え得る政治判断でありました。
一方、韓国において元慰安婦を支援してきたと言われる正義記憶連帯の尹美香前代表は、元慰安婦がアジア女性基金の償い金を受けて和解することを邪魔したり、実態は慰安婦支援というより慰安婦を食い物にして自らの私腹を肥やすような言動を重ねてきたことが、昨年、元慰安婦から暴露されました。
韓国の国会議員となった現在も、業務上横領罪、詐欺罪、業務上背任罪、寄附金管理法違反など八つの容疑により、現在、在宅起訴されています。
また、この正義連が舌鋒鋭く喧伝してきた旧日本軍による強制連行についても、事実としては、強制連行を示す証拠が日本からも、また韓国からも現在に至るまで一点たりとも出てきていないことが政府答弁で明らかになっています。
このような史実が次々に明らかになり、河野談話を取り巻く環境は劇的な変化を遂げています。
しかし、国際世論において、日本は歴史を修正し、女性の人権を軽視しているといういわれなきレッテルを貼られ、国際世論戦で我が国が孤立するという事態を避けねばならない日本政府としては、河野談話を全体として継承するという苦渋の選択をし、そのスタンスを国際社会に伝えてきました。
菅内閣においても談話を継承されるというのであれば、その意図をしっかりと整理し、日本の尊厳と信用に懸けて我が国の立ち位置を的確に発信することこそ、今を生きる私たちの責任ではないでしょうか。
日本政府は歴史の真実に対して忠実であってほしい、また、偽りの情報によって日本が不当におとしめられている国際世論については毅然と向き合い、真実を粘り強く訴えてほしいという国民世論の存在を、私自身、身にしみて感じております。
そこで、官房長官にお伺いします。
河野談話を継承することによって、国民を代表する日本政府は一体何におわびと反省の気持ちを表明しているのか、また、何に対して事実に反すると毅然と反論しておられるのか、それぞれ明確にお答えください。
今、関連の御言及がありましたが、この度、従軍慰安婦等の表現に関する維新、馬場議員の質問主意書に対して政府答弁書が出されました。
日本軍の組織的関与や残虐性を印象付けるため一九七〇年代に新たに出てきた造語である従軍慰安婦という言葉のまやかしを菅政権で明確に不適切だと否定されたことで、今後は教科書においても従軍慰安婦の記述がなくなっていくことが期待されます。
これは、菅内閣のクリーンヒットであり、大きな一歩です。
答弁書をまとめ上げられました加藤官房長官の御尽力に対して、心からの敬意と共感を申し上げます。
その一方で、この政府答弁書では、軍による強制連行という見方が広く社会に流布した原因として、吉田清治の虚偽を大手新聞社が事実であるかのように大きく報道したことを理由に挙げています。
かつて国連でも、日本政府代表の杉山外務審議官が強制連行の誤解について朝日新聞の非を社名を明らかにして公式に発言されており、慰安婦問題において歴史的な誤報を連発した朝日新聞が往年の記事を十八本取り消し、おわび記事を掲載したことは公然の事実であります。
朝日新聞は、吉田証言の真偽は確認できないとの認識を一九九七年に記事にしていたにもかかわらず、二〇一四年に自らの過ちを公表するまで実に十七年間、虚偽情報を放置したままでありました。
また、資料一のとおり、女子挺身隊を慰安婦にしたという全くの虚偽の解説や報道を八年間、二十件以上も続けており、これら真実にもとる情報によって国内世論がつくられ、韓国世論に飛び火し、さらには国際世論で反日感情を広げ、在外邦人が蔑まれ、その子女たちがいじめられ、どれだけか日本の信用と国益が減じられたことか、計り知れません。
その深刻な影響を考えれば、今更大手新聞社などと匿名にする必要など全くないと考えます。
朝日新聞だと明言される方がみんなにとって公正であり、国際社会に向けてもメッセージが明確になるのではないでしょうか。
官房長官にお伺いします。
資料二は、韓国以外の国々で近年設置されてしまった慰安婦像の例です。
公用地に建てられています。
ドイツ、米国など日韓以外の第三国でも広がっている慰安婦像や碑文には、被害者数として二十万人、何十万人、数十万人とおびただしい数の説明書きがありますが、そもそも、この二十万人説、慰安婦二十万人説は一体どこから出てきているのでしょうか。
また、政府が慰安婦二十万人説を否定する根拠はどこにあるのか、教えてください。
ありがとうございます。
今政府が御答弁いただいたことでございますが、では、女子挺身隊と慰安婦、これは多くの新聞社も同じ間違いを、混同して同じ間違いを続けてきましたけれども、その女子挺身隊と慰安婦の違いを明確に御説明いただきたいと思います。
この女子挺身隊と慰安婦の違いというのは、大手新聞社はほとんど、また、当時の著名な国語辞典もみんなこれを混同して孫引きをして、世の中が全てだまされているような、そんな風潮がございました。
やはり歴史は真実に基づいていただきたい、しっかり調べていただきたいというふうに改めて思います。
国連人権委員会におけるクマラスワミ報告書においても、日本を糾弾する際、慰安婦は軍性奴隷、ミリタリー・セックス・スレーブと表現をされていますが、日本政府はこの性奴隷という表現に反対をしています。
実は、慰安婦であった韓国人女性が性奴隷という汚い言葉を使ってほしくないと訴えていたにもかかわりませず、正義連の尹美香代表は、いやいや、性奴隷という言葉を使うのは米国人が怖がって聞く耳を持つようにするためです、米国人が聞いてくれるようにするためですと説明していたことを、昨年、韓国の中央日報が報じています。
そもそも、元慰安婦であった方自身も嫌がるような性奴隷というおどろおどろしい言葉は一体いつ誰が国際社会に定着させたのか、また、性奴隷という表現を日本政府が再三否定されている根拠を明らかにしてください。
今まさに政府答弁がされたように、日本と韓国の正式な合意ではこの性奴隷というのは適切ではないということで、二〇一五年の日韓合意、慰安婦日韓合意でも使われていないということを私たちはもっともっと伝えていかなければならないというふうに思います。
今御答弁いただいたように、まさに性奴隷という言葉は、二国間の懸案であった慰安婦問題を国際問題に格上げ、発展させ、括弧付きです、女性の人権問題という普遍的な価値を日本がじゅうりんしたものだとの歴史認識を国際世論に定着させるための鍵となる戦略用語、マジックワードでありました。
事実、欧米世論はこの言葉に引き寄せられます。
今春、ハーバード大学のラムザイヤー教授は、学術論文を発表したことで韓国主導の国際世論からは集中砲火を浴びました。
軍人に対する性の提供、受益に対して金銭の移動があり、また、慰安所経営者と慰安婦の間に例えば六対四、例えば五対五などの売上分配の取決め、すなわち契約があったという当時公然の商習慣を基に慰安婦問題の解明を試みたラムザイヤー論文が発表されると、韓国主導の国際世論が前提とする性奴隷というロジックの根幹が崩れてしまうからこそ、ラムザイヤー教授は警戒をされ、いわれなき中傷をばらまかれ、学術論文の撤回すら要求をされました。
しかし、実際には、当時の新聞紙上においても民間業者による慰安婦の募集広告が掲載されており、資料三のとおり、そこには月収三百円以上、そして前借り金三千円まで可と書かれています。
すなわち、戦地におけるリスクの高い慰安婦が高い報酬をうたわれて募集されていたことは当時周知の事実でありました。
このことを世間が皆知っていたからこそ、慰安婦の方々は、ドイツの慰安婦像の碑文に書かれている言葉をそのままそっくりお借りすれば、故郷に帰った後でも恥と孤独の中で生きておられたのでしょう。
だからこそ、韓国政府は、元慰安婦の方々の名誉回復のために、このような境遇の女性は高い報酬に釣られて自発的に慰安婦になったわけではなく、自らの本意ならず慰安婦にならされたのだと日本政府に認めさせることを政治課題とし、当時の日本政府もまた、本人の意思に反してという意味での強制性を日本の善意として認めることによって韓国政府の要望に応え、もって両国は一九九三年の河野談話の発表を区切りとして慰安婦問題の政治的決着を図ろうとしたというのが事の真相ではないでしょうか。
今の時代を生きる私たちの感覚では、父兄が娘を身売りすることなど到底考えられないことですが、当時、男性が圧倒的に強い立場にあった家父長制度的風土の中で、父親があっせん業者から前借り金、前借金を受け取り、自己決定権のない娘がその借金を背負わされる形で業者が身元を引き受けることも少なくなかった時代背景があります。
貧しさもあり、一族が生き延びるために父兄の一存で女衒に身売りされるふびんな女性が少なからずいらした時代背景にも思いを致します。
その上で、日本は、慰安婦の方々の名誉回復とそのお気持ちに寄り添うことについては日本の善意としてもベストを尽くすけれども、当時は売春、買春を合法とする公娼制が取られており、現に高い金額を提示して慰安婦募集がなされており、事実、多くの日本人と韓国人女性がこれに応募しており、実際に多くの兵士たちが慰安婦にお金を払って慰安所を利用していたという数々の証拠がある事実まで、慰安婦の名誉回復という大義の下、全てなかったことにするというのは歴史の事実に反します。
それゆえに、河野談話作成当時の石原官房副長官は、全ての慰安婦に強制性があったなど絶対に言えないと日本政府の譲れない一線を主張しておられました。
慰安婦の名誉回復を図ること自体は戦後の大事な務めですが、だからといって、全ての慰安婦が本人の意思に反し、日本軍によって無理やり慰安婦にさせられたなどという事実にもとる責めまで我が国が背負い込み、日本の尊厳が不当に毀損されてよいわけではありません。
資料四を御覧ください。
今年一月、元慰安婦などが日本政府に対して損害賠償を求めた訴訟の判決をソウル地裁が出した際、韓国政府は、日本軍慰安婦被害者問題は世界で類を見ない戦時の女性の人権じゅうりんであると断罪をしています。
この期に及んで文在寅政権がこのような新たなレッテル貼りを吹聴し、国際社会で日本を不当におとしめる次なる印象操作を展開するに至っては、つくづく善意を全く生かし切れていないこの三十年の日韓関係の不毛さと国民性の違いを痛感いたします。
そこで、政府にお伺いします。
そもそも、戦時、兵士のための慰安所はどのような理由で設営されていたのでしょうか。
まさに今おっしゃっていただいたように、強姦、婦女暴行による民心離反、暴動等の治安悪化を避けるため、また、戦争遂行に必要な機密情報が不特定多数に漏えいをするのを防ぐため、また、部隊において性病の蔓延を防ぐため、これが最も大きかったかもしれません。
今おっしゃった慰安婦設営の目的は果たして日本特有のものでしょうか。
日本の尊厳が懸かっているので、この公式の場で勇気を振り絞ってあえてお尋ねいたしますが、世界中で旧日本軍の男性だけが戦時性欲があったのでしょうか。
資料五を御覧ください。
朝鮮戦争時、韓国軍と米軍を始めとする国連軍の性の相手をするために韓国人慰安婦が動員されたことは当時の東亜日報にも書かれています。
加えて、韓国陸軍本部が朝鮮戦争について出版をしている公文書、後方支援、人事編には特殊慰安活動、慰安隊の記述があります。
韓国政府はこの存在をどう説明されるのでしょうか。
また、朝鮮戦争後も韓国に駐留した米軍相手の韓国人慰安婦は、基地村女性と言われてきました。
これらあまたの韓国人女性たちを米軍駐留と外貨稼ぎに貢献する愛国者と持ち上げて正当化し、米軍の依頼に基づいて徹底した性病管理のために性病罹患女性の身柄を拘束するなど、女性の人権をめぐって訴訟を起こされているのは一体どこの行政機関でありますでしょうか。
翻って、戦後直後の日本においても、占領軍による日本人女性への強姦等の性犯罪事件はGHQによる検閲の対象となり厳しく報道規制をされていましたが、進駐軍による強姦や凌辱などの婦女暴行の被害を低減するため、程なくRAA、特殊慰安施設協会が結成され、日本の全国各地でアメリカ軍専用の慰安所が設営され、その慰安婦集めには全国の警察が協力をしていました。
すなわち、米軍も韓国軍も旧日本軍も、ふるさとを離れた軍人の性欲を部隊としてどう制御するかは、およそ軍隊組織が避けては通れない重要課題でありました。
戦場における最大の敵は性病だと言われるくらい、性病罹患者の多い部隊はもはや戦闘集団たり得ず、各部隊は性病の蔓延に四苦八苦していました。
そこで、外務大臣にお伺いします。
実際のところ、戦地や駐屯地における軍人の性の問題は、古今東西、各国各部隊が頭を悩ませてきた課題です。
古くは紀元前から、また、ナポレオン戦争においても第一次、第二次戦争においても日露戦争においても、みんないかに性病を少なくするかという記録が残っています。
にもかかわらず、韓国政府は、世界で類を見ない戦時の女性の人権じゅうりんなどという新たなレッテルを貼ることで日本を不当におとしめて孤立をさせ、事実に基づかない歴史認識を国際社会に喧伝をしています。
この文在寅政権の主張は、歴史の公正さから見ても到底受け入れられるものではありません。
事、慰安婦問題となると日本はただひたすら防戦一方ですが、日本政府には是非とも事実に基づく反論を毅然と進めていただきたい。
同時に、真に女性の人権と安全が尊重される国際貢献、特に有事には女性と子供に本当に不条理なことが起こりやすくなるというのは世界の常でございます。
この現実を直視して、私たちは立ち上がっていかなければなりません。
真に女性の人権と安全が尊重される国際貢献を進めて、国際世論で確かな渡り合いを日本として進めていただきたいと思います。
外務大臣の御見解と展望をお伺いします。
今外務大臣がいみじくもおっしゃいました、やはり戦時において本当にその不条理なことが行くのは女性であり子供であったりします。
現在は戦時ではありませんけれども、コロナ感染下でやはり女性の自殺率が増えたり、あるいは子供にしわ寄せが行ったりということが起こっています。
今日は、いみじくも自民党の質問者は、森まさこ先生、有村、自見はなこ先生と、全て女性でございます。
そして、その森先生も自見先生も、本当に女性の問題、また子供の問題、一生懸命やっていただいております。
やはり歴史認識ということは、歴史の素材を扱っていますが、現代の情報戦でございます。
外務大臣がおっしゃっていただいたように、在外の韓国人、中国人の方がこの国際的な世論戦の最前線に立っているという現実、ロビイストに相当なお金と労力を付けているというこの現実の上で、私たちは日本の名誉を守っていかなければなりません。
今回の慰安婦問題を研究して分かることは、韓国の主張されていることは実は韓国のオリジナルではなくて、日本からこのような事実に基づかない、また日本をおとしめられる情報が相当出てきたということを、右からも左からも研究者が指摘をしています。
そういう意味で、私たちは、右だ左だのレッテル貼りではなくて、真実がどうだったのかということに共感を得られるような活動を地道にしていかなければならないというふうに思います。
その上で、外務大臣、その国際世論の前線に立たれていらっしゃるわけですけれども、引き続き国際世論の共感を得られるような御尽力をいただいて、私たちみんなが歴史の評価に堪え得るような政治決断を重ねていきたい、私自身もその分を担っていきたいという自らの決意を改めて申し上げ、私、自由民主党の有村治子の質問を終わります。
ありがとうございました。
第204回[参] 文教科学委員会 2021/05/13 12号
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皆様、おはようございます。
自由民主党の有村治子です。
二十分という限られた質問時間を最大限に生かしたいので、御答弁は要点のみを簡潔に賜りますれば大変有り難く存じます。
御協力を仰ぎます。
早速本題に入ります。
この国立法人大学改正法によって、改正によって、今後、大学経営の一環として日本の国立大学と外国企業が共同で出資するケースも増加が見込まれます。
社会実装という点では評価すべきことですが、我が国が生み出した貴重な研究成果や先端技術、経営ノウハウが国外に不当に流出するおそれも出てまいります。
外国企業と一言で言っても、純粋民間企業ではなく、外国国営企業だったり、事実上外国政府が支配する企業が日本の大学と組みたいと思うこともあるでしょう。
このため、外国企業との共同出資には、日本の大学の知的財産や稼ぐ力を守り、安全保障の視点を生かす点からも、例えば一定の領域規制を掛けるなど、的確な対策を講じるべきだと考えます。
文部科学省の見解をお伺いします。
是非よろしくお願いいたします。
続けて、我が国の高等教育機関における健全性を確保するために各国の大学が直面している課題について質問を続けます。
孔子学院についてです。
今年三月、防衛省の防衛研究所が東アジア戦略概観二〇二一を発表しました。
これは、日本を取り巻く東アジアの安全保障環境を学術的に研究をし、日本語と英語で毎年公表されているものです。
驚くべきことに、ここに孔子学院が取り上げられています。
教育部門であるはずの孔子学院が米国の安全保障の章において詳細に分析されており、アメリカが国家安全保障上の重要課題として孔子学院を警戒している近年の状況を日本の防衛省防衛研究所がレポートしているという点に深いメッセージがあるのではないでしょうか。
孔子学院は、二〇〇四年、外国における中国語と中国文化の普及を図る目的で、中国政府肝煎りの国家戦略として設置されました。
NGO、非政府組織の形を取っていますが、実態は中国共産党、中国政府教育部を中心とした各省機能を結集させた国家プロジェクトであり、中国国内の大学と受入れ国の大学を提携させて、中国から教員や教材を各国に派遣して、世界的な規模で影響力拡大が図られてきました。
そもそも、孔子学院という名前は、約二千五百年前の中国の思想家、孔子の名前を冠していますが、論語や儒教とは直接の関係はありません。
文化大革命では迫害の対象となった孔子も、現在においては世界に冠たるブランドネームとして中国共産党に重用されており、胡錦濤政権に続く習近平国家主席もソフトイメージを使ったこの海外工作を殊のほか重視しており、外遊先では積極的に孔子学院を訪問しています。
資料の一と二を御覧ください。
二〇一九年現在、世界の百六十二の国々や地域において、大学レベルに設置された五百五十の孔子学院と小中高校などに設置された千百七十二の孔子学級が存在しています。
日本においては、現在、少なくとも十四の大学に孔子学院が設置、確認されています。
この十五年ほどの間に孔子学院は破竹の勢いで世界的な拡大を図ってきましたが、資料四、読売新聞いわく、中国のスパイ拠点警戒、米国、孔子学院閉鎖次々という記事で読売が報じているとおり、近年、むしろ各国で警戒感が増し、孔子学院の閉鎖も相次いでいます。
我が国においても拠点を閉鎖したところがあります。
そこで、外務省にお伺いします。
中国が戦略的にターゲットにし、世界最多、百十以上の孔子学院を設置されてしまった米国では様々な摩擦が起きています。
アメリカの大学で教えている教授陣、教職員によって構成される米国大学教授協会及び全米学術協会は、近年、孔子学院に対し警告の声明を出しています。
どのようなものでしょうか。
教育現場のみならず、米国議会でも動きがあります。
一昨年、上院の国土安全保障・政府問題委員会は、米国の教育制度に対する中国の影響について公式な報告書を発表しています。
孔子学院について、この報告書ではどのような指摘がなされていますか。
続けて外務省にお伺いします。
ありがとうございます。
この報告書を公開した上院では、今年三月、孔子学院についての管理を強化するための法案を与野党全会一致で可決をしています。
米国議会での警戒感と相まって、ホワイトハウスも動いています。
昨年夏、トランプ政権において、ポンペオ国務長官は、孔子学院が中国共産党による世界規模のプロパガンダ、政治宣伝工作に使われていると断定をしました。
資料三のとおり、昨年十月にはポンペオ国務長官とデボス教育長官が連名で全米各州の教育長官と全米各大学の学長に通達を出し、アメリカの教育機関が孔子学院を受け入れることの深刻な影響を国中に警告をしています。
アメリカが自国の教育制度を脅かすリスクとしていかに孔子学院を警戒しているのか、その緊張感が伝わってきます。
すなわち、共和党政権であれ民主党政権であれ、与野党の区分なく、米国の教育大臣も外務大臣も、はたまたCIAやFBIという情報捜査機関までもが中国共産党にとって都合の良い主張と仕組みが孔子学院によってアメリカの教育現場に浸透していることを警告し、民主主義国家としての最大級の対策を打ってきています。
外務省にお伺いします。
では、米国以外の自由民主主義国では孔子学院についてどのようなことが起こっているのでしょうか。
今おっしゃっていただいた国に加えて、オーストラリアでも深刻な事態が生じています。
(資料提示)オーストラリアが中国によって気付かぬうちに侵食をされてきた経緯を詳細に記したサイレントインベージョン、日本語訳はハミルトン教授による著書「目に見えぬ侵略中国のオーストラリア支配計画」という、ドキュメンタリーのような大学教授によるレポートですが、ここにおいても孔子学院のことが詳しく書かれています。
孔子学院の出資が、中国教育部門を通しているものの、実態は中国共産党の中央喧伝部から出ている点などを指摘し、米国で指摘された孔子学院の数々の問題点と同様の手口でオーストラリアのキャンパスが中国に侵食されている様子が、関係者、関係大学、実名の記録として書かれています。
これらの民主主義国で共通することは、ホームランド、すなわち自国の本土の、よりによって国の未来を担う将来世代の学びやが中国喧伝工作のターゲットになっていることを各国が安全保障の脅威として認識をし、内なる守りを固めようと立ち上がっている現実であります。
そこで、外務省にお伺いします。
日本の大学内において、孔子学院のような外国政府が事実上支配する文化発信拠点というものはほかに例があるのでしょうか。
今、伯井局長が証言をしていただいたとおり、中国共産党の孔子学院だけなんですよね。
日本の大学において唯一組織的、戦略的に設置されてきた文化センターが、同盟国でもない共産党一党支配の国の拠点であるということが果たして健全なことなのかどうか。
共産党一党支配の国では、全体主義的、権威主義的な統治体制、すなわちトップの意向が絶対の正義とされて、政権に意見する民主的な声が出にくい、情報統制下に置かれる国民みんなが自由に参加できる普通選挙も事実上なく、ゆえに民主的な政権交代も起こらず、時の政権の誤謬や過ちが指摘されにくいという特徴があります。
今回の感染症についても、私たち世界がそのような傾向を目撃しているというふうに理解をいたしております。
今まで、日本側の大学が中国側の大学と個々に孔子学院設立の交渉を行い、その契約内容は、先ほど外務省がおっしゃっていただいたように、中国政府には報告される反面、日本国内では文部科学省に対して報告義務がありません。
孔子学院の実態がどのようなものなのか把握する仕組みがないからこそ、少なからずの日本国民が不安感と不信感を持っておられるのだと思います。
文部科学省は、現在のところ、孔子学院についての情報をほとんど持ち合わせていません。
しかし、その一方で、日本政府においては、ほかの複数の省庁の方が孔子学院に関する動向にアンテナを張り、情報収集を図っています。
つまり、文部科学省以外は孔子学院を純粋な国際交流拠点だとは見ていないということなのではないでしょうか。
大学構内に置かれる孔子学院の周辺では、例えばチベット、ウイグル問題、天安門事件、宗教に対する弾圧、人権問題など、中国共産党にとって都合の悪いテーマを取り扱わないタブーがある一方で、例えば台湾の表記や尖閣諸島についての政治的主張など、中国政府の公式見解をなぞり拡散してくれる中国通の人材を世界各国で囲い込み、受入れ国の世論に働きかけさせ、中国に有利な国際世論をつくっていく手法が懸念をされています。
私たち日本を始め民主主義国の高等教育では、多様な言論が自由に表明されてこそ真理の探求が進むとの信念があるはずです。
キャンパスにおける言論の自由、思想の自由、学問領域の自由を堅持するために、各国は努力して孔子学院の透明性を求めています。
誤解が生じないよう明確にいたしますが、私は、孔子学院を現在キャンパスに設置している日本の大学等をその事実だけをもって直ちに批判しているわけではありません。
一般論として、他国の豊かな文化や言語に対する深い理解、国際交流を進めようと尽力をされてきた関係各位の善意と御努力に敬意を払います。
しかし、近年の中国外交、また中国共産党の対外教育工作を見ていると、善意の国際交流というだけでは説明の付かない国家的動機があり、中国の政治的喧伝が各国の教育行政と深刻な摩擦を起こしている以上、日本の教育行政としてもこの問題から目をそらすわけにはいきません。
そこで、文部科学大臣に伺います。
文科省としても、当事者意識を持って孔子学院の現状を把握し、人事権や予算権、カリキュラム編成権において日本の大学が主体的な管理を行えるよう、孔子学院の透明性を図り、私学助成も含めて大学教育を支えている国民の安心につなげていただきたいと思います。
萩生田大臣の御見解、今後の展望についてお伺いをいたします。
萩生田大臣、ありがとうございました。
やはり、文科省以外の省庁が情報を持っているという現実を鑑みても、その省庁間の連携を図っていただき、まさに、実は、私立大学に孔子学院が設立をされていますけれども、国立大学でも孔子学院が設立されそうになった動きがございました。
まさに、対外的に先端技術の技術流出をどうするかと、他国に深刻な技術が持っていかれないようにすると同時に、ホームランドとして、我が国の、日本の浸透をどう外国の喧伝部から守るかということも大事な問題になってきている世界の潮流がございます。
教育分野においても、日本を守るための安全保障の視点を持つことは時代の要請であると、必要な時代になったというふうに確信をいたしております。
萩生田大臣を筆頭に、文部科学省の御活躍を念じて、しっかりとアンテナを張っていただいて、特に自由民主主義国家としての潮流をしっかりと念頭に置いていただいて施策を進めていただきますことを心からお祈り申し上げ、私、自由民主党、有村治子の質問を終わります。
ありがとうございました。
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