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前川清成
衆議院 近畿
日本維新の会
昭和三十七年十二月二十二日、奈良県橿原市生まれ。昭和六十年三月、関西大学法学部を卒業する。同六十二年十月、司法試験に合格し、同六十三年四月から司法修習生に採用される(四十二期)。平成二年四月、大阪弁護士会に登録し、その後大阪弁護士会消費者保護委員会副委員長、日本弁護士連合会代議員、関西大学法学部非常勤講師等を歴任する○同十六(二〇〇四)年参議院奈良県選挙区において初当選。その後、憲法調査特別委員会理事、予算委員会理事等を歴任○同二十二(二〇一〇)年奈良県選挙区にて再選。その後、経済産業委員長、内閣府副大臣(金融、消費者)、復興副大臣、議院運営委員会理事、裁判官訴追委員等を歴任する○著書「ここが知りたい!Q&A相続入門」ほか多数○当選一回(49)参二回(20 22)
前川清成
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法務委員会
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第208回[衆] 法務委員会 2022/05/18 16号
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日本維新の会の前川清成です。
私たち日本維新の会は、五月十二日に、インターネット誹謗中傷対策の推進に関する法律案を提出いたしました。
私たちは、今、米山議員の議論の中にもありましたけれども、プロ野球を楽しむ野球ファンがスタジアムで、三振したバッターに対して、あるいはホームランを打たれたピッチャーに対して、役立たず、給料泥棒と、このやじることを、殊更、侮辱罪として取り上げる必要はないと考えています。
今、被害が顕在化しており、直ちに取り組むべきは、インターネット上での誹謗中傷だ。
その上で、私たち日本維新の会では、インターネット上での誹謗中傷の対策として、ただ侮辱罪の法定刑を引き上げるだけでは、被害者救済とか、あるいは被害の根絶の効果は期待できない、こういうふうに考えております。
この点で、今日は中西総務副大臣にお越しをいただきました。
総務省として、インターネット上での誹謗中傷の対策として、侮辱罪の法定刑引上げだけで十分というふうに考えておられるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
今、中西副大臣から様々な施策についてお示しをいただきましたけれども、私たち日本維新の会の対案では、例えば被害者救済という点では、被害者から相談を受ける窓口、あるいは被害者を支援する仕組み、こんなのも必要ではないのかと。
ですから、国や地方自治体に対して、相談に応じることや必要な情報提供に応じるための体制の構築、これを求めております。
啓発というお話がありましたけれども、やはり、被害を生まない、このことも大事でありますので、学校教育、社会教育あるいは家庭教育において、インターネットにおける誹謗中傷はあかんと、このことを教育する、啓発する、このことも大事だろうと思います。
もちろん、今般この委員会での議論で様々ありました、侮辱罪の法定刑は引き上げられますけれども、刑罰、これは謙抑的に行使されなければなりません。
しかし、それでも看過できない誹謗中傷があった場合に対して、今の警察の体制で十分なのか。
インターネット上の誹謗中傷に対して捜査を行う体制、専門人材が整っているのか。
私たち維新の対案では、捜査機関の勉強も必要だろうし、専門的知識、技能を持つ職員の配置も必要だ、こんなふうに考えております。
さらには、法務大臣は、判例があるから要らない、こういうふうな答弁がありましたけれども、表現の自由を萎縮させない、このためには、何が誹謗中傷なのか明確なルールが必要ではないか。
これは、私だけではなく、被害に遭った、お母様である木村響子参考人もそのようにおっしゃっていました。
また、正当な表現行為との線引き、このためには、刑法二百三十条の二のような条文を侮辱罪においても設ける必要があるのではないのか。
そのためには、役所だけではなく、憲法学者であるとか、そういう外部の有識者の御意見も承るべきではないのか。
ですから、私たちは、様々な意味において総合的な施策を推進しなければならないし、その司令塔としては総務省に期待をしております。
中西副大臣から、何点か総務省の取組、二〇二〇年九月とおっしゃいましたか、まとめた取組があると。
しかし、更に加えて、被害者救済という点でも、あるいは表現の自由を萎縮させないという点でも、もう少し深掘りをして、幅を、ウィングを広げていただく、こういうことをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
五月十三日の質疑でも説明をさせていただいたんですが、例えば、ツイッターで匿名の発信者から誹謗中傷を受けた被害者が、その匿名の発信者を特定する、そして損害賠償を請求しようとする場合には、最初に、ツイッター社を債務者として、IPアドレスの開示を求める仮処分を申し立てなければなりません。
仮処分で、仮処分決定をもらって、IPアドレスが判明した後、通信事業者を被告にして、発信者の住所、氏名を開示する裁判を起こさなければなりません。
木村参考人の場合、これら仮処分、開示請求の裁判に関して約百万円の費用が必要だった、こういうふうにおっしゃっています。
そこで、経済的に厳しい立場にある被害者が同じ手続を行う場合、法テラスにおいては、発信者を特定するための仮処分、そして裁判の弁護士費用について、どのような条件で、どの程度立て替えているのか、法務省にお尋ねをします。
竹内部長、よく質問を聞いていただいて。
保証金についてはこの後お尋ねする予定で、まだ聞いていなかったんです。
その上で、今、木村参考人が百万円かかったとおっしゃった、それは恐らく相場なんだろうと思います。
ところが、法テラスは十三万二千円。
余りにも相場との間の乖離がある。
そうであれば、弁護士の方もなかなか、この種事件、法テラスの案件では手を出しにくいのではないか。
これは法テラス一般に言えることかもしれませんが、報酬基準について考えておく必要があるだろうと思います。
その上で、仮処分に勝って、通信事業者を被告にした裁判も勝ち抜いて、やっと加害者に対して損害賠償を請求する、裁判を起こすことができますが、木村参考人の場合、判決で認容されたのは百三十万円だったそうです。
発信者を特定するためだけに百万円かかったのに、裁判所は百三十万円しか認めない。
発信者を特定するための費用を差し引くと、僅かに三十万円です。
人を死に追い込むような誹謗中傷で、賠償金額が僅かに三十万円です。
これを最高裁にどうだと聞くと、きっと、個別具体的な事案で、裁判官が適切に判断した、こういうふうに答弁すると思いますが、中西副大臣、政治家として、あるいは人間として、この三十万という相場、私は安過ぎると思いますし、世の中も安過ぎると思いますが、いかがですか。
この賠償額についてなかなか政治が踏み込めないということであれば、日本維新の会は、インターネット上の誹謗中傷に関して、これまで何度か勉強会を重ねてまいりました。
そのときに、いつ、どなたから、どういうことを聞いたのか、ちょっと記憶がおぼろげなんですが、学者の先生から、諸外国では、SNS事業者がお金を出し合って基金をつくって、被害者に対してはその基金の中から給付金を支払う、そういう仕組みもあるんだということを承ったことがあります。
裁判所が認める賠償金が安過ぎる、発信者を特定するための費用も十分賄えない、そういうことであれば、例えば、日本でも、これは直ちにはできないということは十分分かっております、様々な困難な問題があるということも分かっておりますが、SNS事業者が、あるいは通信事業者が、それぞれお金を出し合って基金をつくって、被害者救済のための給付金制度、あるいは裁判を支援するための制度、こういうのを設けたらどうかと思いますが、総務省としてはいかがでしょうか。
先ほど中西副大臣の御答弁の中にありましたが、プロバイダー責任法が改正されました。
やがて施行されることになると思います。
ただ、施行後も、先ほどの案件でいうと、ツイッターで匿名の誹謗中傷を受けた、そんな被害者は、仮処分と本案、二本立てではないけれども、やはり、ツイッターと通信事業者、この二者を相手に裁判を起こさないと発信者を特定することができない、こういうたてつけになっていると思います。
この法律の改正ですけれども、やはり、裁判を経ずに発信者を特定する、そういう手続は考えることができなかったのか。
私の問題意識としては、何とか、この発信者を特定するための費用、これを安くできないのか、弁護士費用も含めて安くできないのか、そのためには、二者を相手方とする裁判、これを省略する、そんなところも検討できなかったのか、こういうふうに考えておるんですが、いかがでしょうか。
時間が参りましたのでこれで終わりますが、インターネット上における誹謗中傷対策としては、侮辱罪の法定刑引上げ、これだけでは決して足らなくて、様々な総合的な施策が是非必要ですので、この点を改めてお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
第208回[衆] 法務委員会 2022/05/13 15号
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日本維新の会の前川清成です。
昨日と今日、令和四年五月、法務省、警察庁と書かれた紙が配られました。
これは警察庁が作ったんですか、法務省が作ったんですか。
法務大臣にお尋ねしていいのか国家公安委員長にお聞きしていいのか分かりませんが、どちらがお作りになったのか、まずお答えいただきたいと思います。
この紙の中に、侮辱罪の成否の基準について、侮辱罪に言う侮辱がいかなる行為が当たるか、基準については、侮辱罪で有罪が確定した裁判例により、その処罰範囲の概念は明確になっている、こういうふうに書かれています。
処罰の範囲が明確であるのならば、例えば先ほど米山議員がおっしゃったように、誰々総理大臣はうそつきだとか、あるいは、私が昨日例に挙げたように、A総理大臣はあほだとか、これをツイッターに投稿した場合、処罰されるのかされないのか、明確に答えることができるはずだと思うんですが、政府統一見解ということですので、国家公安委員長、お答えいただいてよろしいですか。
それでしたら、甲子園球場で、何万人か入っている甲子園球場のスタンドからある観客が、三振したB選手に対して、あるいはホームランを打たれたC投手に対して、ピッチャーに対して、役立たず、給料泥棒、こういうふうにやじった場合、これは侮辱罪が成立して一年以下の懲役に科せられる場合もあるのでしょうか。
国家公安委員長、いかがですか。
この場で確定的な答えができないとなると、野球場でやじったら、場合によったら逮捕されて刑務所に行かなければならないかもしれない。
国民に不安を与えてしまうんですよ。
やはり、犯罪というのは、どこまでが犯罪で、どこまでが犯罪でないのか明確にしないといけないのではないかと思います。
それと、これ以上言いませんけれども、大臣にしたって、国家公安委員長にしたって、収集した証拠に基づいて法と正義で云々かんぬんといつもおっしゃいますけれども、例えば司法試験の短答試験で、次の場合に侮辱罪が成立しますか、枝があって、成立するとかしないとか答えないといけない場合があるわけですよ。
その場合に、法と証拠に基づいて判断します、こんなの答えてしまったら零点ですよ。
次に、一昨日、大臣と議論になりかけていた正当な行為、これについてお話をさせていただきたいと思います。
四月二十七日の委員会で大臣は、正当な表現行為であれば、それは違法性を阻却する、刑法三十五条に基づいて違法性を阻却する、こういうふうに答弁をされました。
それで、一昨日申し上げたように、刑法三十五条は、正当な行為とは書かれておりません。
「法令又は正当な業務による行為は、罰しない。」こういうふうに書かれておりまして、この条文をてこにして、手がかりにして、刑法の教科書などにおいては、社会的相当性が認められる行為については違法性が阻却される、こういうふうになっております。
社会的相当性のある行為。
その社会的相当性の部分をきっと古川大臣は省略されて、正当な行為、こうおっしゃっているんだろうと思うんですが、そもそも、侮辱罪において、侮辱において、社会的相当性のある誹謗中傷、これはどんな場合に成り立つんでしょうか。
四月二十七日に、二之湯国家公安委員長は、何がセーフでアウトか、私は知識を持ち合わせておりません、こういうふうにおっしゃいました。
国家公安委員長で、しかも、ある日突然道端で尋ねられたのではなくて、侮辱罪の法定刑引上げが審議されている国会に臨んで、知識を持ち合わせていない、こういうふうにおっしゃいました。
国家公安委員長でさえ、正当な表現行為に当たるのか当たらないのか直ちに判断できないにもかかわらず、現場の警察官の方、刑事手続において、正当な行為に当たるのか、侮辱に当たるのか、一番最初に判断するのは警察官ですが、警察官はどのような知識と判断能力に基づいてこの点を評価するのでしょうか。
国家公安委員長、揚げ足を拾うわけじゃないんですが、過去の判例って、何かあるんですか。
先ほど国家公安委員長は、正当な行為に当たるかどうかについて判例に照らして判断するんだ、こうおっしゃったので、正当な行為かどうかメルクマールを示した判例があるんですかとお尋ねをしたんですが、この点についてはお答えになりませんでした。
寡聞にして、私は、侮辱罪の成否について、正当な行為に当たるかどうかについて、最高裁あるいは高裁が示した判例というのは知りません。
したがって、そういうような判例はないと思います。
だから、全て個別具体的に判断すると言われれば、そのときの捜査官による恣意的な、差別的な判断を許してしまうことになります。
だから、私はよくないと思います。
実は、昨日、私たち日本維新の会は、この侮辱罪、対案を提出させていただきました。
その中で、表現の自由を萎縮させないように、公共の利害に関する場合の特例を検討するよう政府に求めました。
これは私の試案ですけれども、例えば、刑法二百三十条の二を参考にして、公共の利害に関わる事項についての論評は侮辱罪の違法性を阻却するとか、公務員又は公選による公務員の候補者に関する論評は公共の利害に関する事項とみなす、こういう条文をつけ加えたらいいのではないか、こういうふうに考えておりますが、この点、法務大臣の御見解はいかがでしょうか。
今大臣がおっしゃるように、前半の部分は、お聞きしたところ、違いましたけれども、後半の部分のところ、公共の利害に関わる表現であれば、いかなる誹謗中傷であったとしても違法性を阻却してしまうというのは、確かに、ある意味、行き過ぎがあるのかもしれません。
しかし、その一方で、その場その場の出たとこ勝負で判断しますとなると、国民に予測可能性を与えませんので、それは表現の自由を萎縮させてしまいます。
ですから、今日すぐにこの刑法改正案を修正しろとは言いませんが、憲法学者とか刑法学者の意見も聞いて、適切なメルクマールを設定する、こういう努力を引き続きしていただいたらどうかと思います。
次に、昨日提出した維新の対案では、インターネットによる誹謗中傷の被害を根絶する、このためには刑事罰だけでは足りない、こう考えています。
被害救済という点でいえば、木村響子参考人がおっしゃったとおり、賠償金が安過ぎるのではないか、賠償金で裁判費用さえ賄えないのであれば、被害者は泣き寝入りを余儀なくされてしまうのではないか。
木村さんは、裁判費用に一千万円近いお金がかかったとおっしゃっていました。
ですから、私たちは、損害賠償制度であるとか、あるいは被害者に対する給付金制度、あるいは裁判費用の支援、こういったものも必要ではないかというふうに提案をしています。
この文脈で確認をしたいんですが、今、改正プロバイダー責任法がまだ施行されていません。
この段階で、例えばツイッターに誹謗中傷した加害者に対して損害賠償請求を起こそうと思うと、まずはツイッター社を債務者にして、IPアドレスの開示を求める仮処分を申し立てます。
仮処分の決定が出て、裁判所に保証金、お金を預けて、その上で、IPアドレスが判明したら、今度は通信事業者、例えばNTTを被告にして、発信者の住所、氏名を開示する裁判を起こします。
仮処分に勝って、通信事業者を被告にした裁判に勝って、やっと加害者に対して損害賠償を請求する裁判を起こすことができます。
しかし、ツイッターを債務者にした仮処分、通信事業者を被告にした開示請求の裁判、さらには加害者を被告にした損害賠償請求訴訟、これらの手続を弁護士に委任せずに御自身でやることは困難です、不可能です。
ところが、木村さんは、御自身の裁判において、判決は百三十万円を認容しただけです、しかも一円も払われませんでした、こういうふうにおっしゃっています。
他方で、その人が、これは加害者のことですけれども、どこの誰かを突き止めるために百万円近いお金がかかってしまった、こういうふうにおっしゃっていました。
そこで、今日は最高裁にも来ていただいていますが、私たちは、インターネットによる誹謗中傷、その場合に、裁判所が認容する賠償額、これが低過ぎるのではないかと考えておりますが、最高裁の方では、賠償額、各地の裁判所がどの程度の金額を認容しているのか、統計をお持ちなのか、お持ちでないのか。
あるいは、諸外国の裁判所が、同種事案においてどの程度の賠償額を認容しているのか、調査しておられるのか、していないのか。
あるいは、これまでの裁判実務であれば、慰謝料として百万円前後を認定して、その一割を弁護士費用として、追加して認める、これが実務です。
しかし、木村響子さんの例のように、誰が加害者か突き止めるためだけに百万円以上かかってしまう。
そうであれば、仮処分や、あるいは発信者の開示情報、特定するための開示請求、これらの裁判費用についても、不法行為の賠償額の一部として認めるべきではないかと、私たちはそう考えておりますが、この三点について最高裁の御見解をお伺いしたいと思います。
時間が参りましたので終わりますが、もちろん司法の独立は承知しております。
しかし、裁判所の判断と……。
世間の常識とがずれていますので、この点については是非御検討をお願いできたらと思います。
終わります。
第208回[衆] 法務委員会 2022/05/11 14号
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時間も限られておりますので、今日は、侮辱罪の法定刑引上げに限って大臣の所見を伺いたいと思っております。
それで、まず、木村花さんへの誹謗中傷であったり、その当事者に対する量刑、科料九千円、こういうことに鑑みますと、私も、侮辱罪の法定刑、これは低過ぎるのではないか、そう考えております。
他方で、木村響子参考人が参考人質疑で述べられたとおり、侮辱罪の法定刑引上げが表現の自由を萎縮させてはならないし、この点は、大臣も表現の自由の重要性については再三言及されているとおりです。
また、二之湯大臣もおっしゃるように、認められるように、言葉狩りや言論封じに悪用されてはならないと思います。
そうであれば、そのために、表現の自由を萎縮させないために、言論封じに悪用されないために、明確なルールを用意しておかなければならないのではないかと私は考えております。
この議論のスタートライン、ここに相違があるのかどうかについて、まずは法務大臣に伺いたいと思います。
大臣、今の、答えがはっきりしていなかったんですけれども、明確なルールは必要なのかどうなのか、これを申し上げているんですけれども、結論として、必要なのか不要なのか、この点だけお答えいただけませんか。
表現の自由が大事だと認識されていることは何十遍も聞きましたので、もう結構です。
明確なルールを、必要か必要でないのか、必要だとしたら、それを用意するのかしないのか、この一点です。
この議論の前提でそもそも大臣と立場が異なるということは、もう想定もしていませんでした。
後でちょっと、じゃ、この点については詳しく議論させていただきたいと思います。
その前に、今回の法改正の目的、射程についてお伺いしたいと思いますが、今般、侮辱罪の法定刑を引き上げるのは、木村花さんの事例のようにインターネット上の誹謗中傷が社会問題化しており、もはや放置することができない、こういうふうな判断があったからなのか、あるいは、そうじゃなくて、インターネット以外の場面、例えば、街頭演説の場所にやってきた人たちが安倍辞めろと言ったり、あるいは、与党の要職にある人に対して薄っぺらいと批判する人たちのように、インターネット以外の場面でも規制が必要だ、こういうふうに考えておられるのか、どちらですか。
正当な表現行為かどうかの議論は後でさせていただくつもりで、質問通告もしておりましたので、大臣、ちょっと落ち着いて私の質問を聞いていただきたいと思います。
今のお話だと、インターネット以外の場面でも侮辱罪の法定刑を引き上げる必要があるんだ、こういう御答弁でしたが、そうであれば、法務省が事前に配っていたこの説明資料、ここによると、近年、インターネット上の誹謗中傷が社会問題化している、だから引き上げる、こういうふうに書いてあるんですが、この資料は間違っていた、こういうことですか。
釈迦に説法ですけれども、大臣が繰り返し繰り返しおっしゃるように、表現の自由、人権カタログの中でも優越的な地位にある表現の自由、これを規制する以上は、明白な害悪、放置することができない害悪が必要だ、こうなっています。
今般、私は、インターネット上の誹謗中傷が問題だから、その部分に限って法改正をなさるのかと思っていたところ、これも意外な答えでしたけれども、大臣は、いや、そうじゃないんだ、インターネット以外の場面でもやはり規制が必要なんだ、インターネット上の誹謗中傷というのは一つの契機にすぎないんだ、今そういうふうに答弁をなさいました。
つきましてはお尋ねをしたいと思うんですが、インターネット以外の場面では、法定刑を引き上げなければならないような、どんな害悪が世の中に存在しているんですか。
ちょっと、大臣、論理的にかみ合っていないと思うんですけれども、インターネット上の誹謗中傷に関しては、例えば、木村花さんのことであったり、あるいは池袋で御家族を亡くされた男性に対する誹謗中傷であったり、様々な、それは行き過ぎやでと、特に、ツイッターなどは匿名で投稿することができるので、どんどんどんどん、リツイートというんですか、それが繰り返されることによって誹謗中傷が広まっていく、これを何とかしやんなあかんというふうな声は私も聞いていますけれども、そうじゃなくて、リアルな場面でですよ、インターネット以外の場面で、社会的にこれは取り組まなければならないというふうな声は、一体どんな状況下で、どういう人たちからそんなお声が上がっているんですか。
大臣の今おっしゃっているのはいわゆるヘイトスピーチの問題であって、それはそれに焦点を当てて規制を考えるべきじゃないんですかね。
今大臣は強弁されましたけれども、社会問題化になっているのは、当初、法務省が認めていたとおり、法務省も想定していたとおり、インターネット上の誹謗中傷、これが社会問題化になっている。
そうであれば、私は、インターネット上の誹謗中傷の問題にもっと焦点を当てた法改正がよかったのではないかと思います。
その上で大臣にお尋ねしたいんですが、表現の自由というのが人権カタログの中でも優越的な地位にある。
だから、必要な範囲を超えて表現の自由を規制する、これは駄目ですよと。
これは、違憲性判断基準としては、過度に広範性ゆえに無効のテストというのがあります。
必要な範囲を超えて規制をしてしまうと、もうそれは、法律の中身に立ち入らずに、文面上、当該法律が憲法違反になってしまうという、合憲性判断テストがあります。
私は、この侮辱罪の法定刑の引上げ、インターネット上の誹謗中傷というのは大きな問題になっているけれども、そのほかの部分についてはそれほど大きな声は聞いていない、そうであれば、今回、インターネットであろうとそうでなかろうと、リアルな言論の場であろうと、全部引き上げてしまうというのは憲法上大きな問題をはらんでしまうのではないかという心配をしています。
大臣は、この規制の範囲、過度に広範と言えるのではないか、この点について御所見はいかがでしょうか。
大臣がおっしゃるようにL字形にするのであれば、インターネット上の誹謗中傷の部分だけを、その縦軸というんですか、そうするべきじゃないんですか。
一般に、例えば甲子園球場で、三振したバッターに対して、おまえ辞めてしまえ、このやじがひどいやんけというふうな声は上がっていないと私は思います。
この過度の広範性のテストについては、是非、将来最高裁で問題とならないような検討が必要ではないかと思います。
その上で、先ほど階議員からの質問、あるいは米山議員からの質問、あるいは私がまだ質問する前にお答えをいただいた、侮辱、その構成要件について議論をしたいと思うんですが、例えば、個人がツイッターにA総理大臣はあほだ、無能だと投稿したら、侮辱罪が成立するのかどうか。
これについて、今法務大臣は、具体的な事例に即さないと、法と証拠に照らさないと答えられない、千差万別だ、個人がツイッターにA総理大臣はあほだ、無能だと投稿した、これが侮辱罪が成立するかどうかは分からない、こういうお答えだったと思いますが、国家公安委員長、今日はお越しいただいていますが、国家公安委員長も同じ御見解でしょうか。
同じというのは、この場では答えられないという意味ですか。
答えられないのは、分からないからでいいですか。
具体的な状況って別に特にないんです。
今申し上げたように、個人が、一一般市民の方がツイッターに、A総理大臣はあほだ、無能だ、こう投稿した、それだけです。
それで、今大臣がおっしゃるように、具体的な状況がなければ判断できない。
具体的な状況というのは、何が分かれば判断できるんですか。
いや、今申し上げたとおり、ただただツイッターにですよ。
具体的な背景も何にもないわけだ。
総理大臣が別にAさんであろうとBさんであろうとCさんであろうといいわけです。
そのときの総理大臣を、一個人の方が、あほだ、無能だと投稿をした、それだけの事情です。
判断できないというのは、じゃ、具体的に更に、個別具体的にどのような事情が分かれば判断できるんですか。
だから、文言は、A総理大臣はあほだ、無能だです。
具体的な事由としては、ツイッターに投稿した、それだけです。
それでも、犯罪、侮辱罪が成立するかどうかは判断することができない、こういうことですか。
この点、法務大臣も同じ御見解ですか。
いや、誤解を与えたらあかんから、自分の行為が犯罪になるのかならないのかが事前に分かっておかないと表現の自由を萎縮させてしまうので、だから私は具体的な事例として、あほや無能、ツイッターに投稿する、これが侮辱罪に当たるかどうかお尋ねをしています。
その上で、大臣も御存じだと思いますが、最高裁判所の昭和五十年九月十日の大法廷判決があります。
いわゆる徳島市公安条例事件。
これはこんなことを言っています。
ある刑罰法規が曖昧不明確のゆえに憲法三十一条に違反するものと認めるべきかどうかは、通常の判断能力を有する一般人の理解において、具体的場合に当該行為がその適用を受けるものかどうかの判断を可能ならしめるような基準が読み取れるかどうかによってこれを決する。
言い換えれば、通常の判断能力を有する人がツイッターに、A総理大臣はあほや、こう書き込んだときに、これが侮辱罪に当たるか当たらないか事前に判断が可能でないと駄目ですよ、刑罰法規の明確性を欠きますよ、こういうふうに最高裁の昭和五十年の九月十日の判決は言っているわけです。
この最高裁判決、これは明確性の理論というんですが、先ほどの二之湯大臣の答弁、具体的な状況としては、ツイッターにA総理大臣はあほだ、無能だと投稿した、それだけ。
ほかに具体的な状況は何にもありません。
別に、その投稿した人が立憲民主党の支持者だとか、あるいは共産党の支持者とか、維新の支持者とか、そういう背景も何もなし。
あるいは、その人が九州に住んでいるとか、大阪に住んでいるとか、北海道に住んでいるとか、そんな具体的な状況も何もなし。
ただ、ツイッターに投稿した。
それが、二之湯大臣のおっしゃるように、犯罪になるのかならないのか分からないということになれば、場合によっては刑務所に行かないといけないかもしれない。
先ほど藤岡議員からも議論ありましたけれども、逮捕されるかされないかさえ分からない、こういうことになれば、表現の自由を萎縮させることは明らかだと思います。
そうであれば、私は、明確なルールを決めておかないと、大臣は冒頭否定されましたけれども、明確なルールを決めておかないと、この最高裁判所の昭和五十年九月十日の大法廷判決に照らしても、今回の法改正というのが憲法違反というそしりを免れないのではないか。
でも、そういうことになってはいけないので、今、明確な基準を決めておく、そのことを是非与野党が一致をして努力するべきではないか、こういうふうに申し上げております。
この明確性の理論についてはいかがですか、法務大臣。
その今まで判断されたことがないというのは、今まで全部、明確だという判断が裁判所によって示されたという意味ではないんです。
科料にすぎないので、大きな問題になってこなかった。
略式命令で九千円で済むので、みんなそこまで言ってこなかったということなんです。
でも、これからは刑務所に行くかどうかという問題になってくるわけだから、やはりこの明確性の論理というのが、この後、大きな議論になるんじゃないかと私は思います。
その上で、大臣、繰り返し繰り返し、正当な表現行為であれば、それは保障されるんだ、侮辱罪にならないんだ、こういうふうに繰り返しておられますが、正当な表現行為であれば侮辱罪に当たらない、これはどういうふうな法律上の根拠になるのでしょうか。
大臣、分かっておられると思った上であえて申し上げますけれども、刑法三十五条は、正当な行為は罰しないとは書いておりません。
刑法三十五条は、「法令又は正当な業務による行為は、罰しない。」こう書いているわけです。
したがって、例えば、朝日新聞や産経新聞が、正当な、いやいや、A総理大臣は駄目だ、こう書けば、それは正当な業務行為かもしれませんが、個人の場合は業務行為ではありません。
それにもかかわらず、いや、刑法三十五条だとおっしゃるからには、もうワンクッション、理屈があるはずなんです。
ここはもう私の方から申し上げますと、そこを議論したいわけじゃありませんので私の方から申し上げますと、社会的相当性があるかないか、こういうことになると思います。
そうしたら、A総理はあほだと投稿した、その投稿に社会的相当性があるかどうか、これを刑事手続においては一番最初に判断するのは警察になるわけですけれども、現場の警察官はどういうふうなメルクマールで社会的相当性を判断するわけですか。
いや、その具体的な、どういう事情があれば社会的相当性があると認められて、どういう場合には社会的相当性がない、だから犯罪だ、侮辱罪だということになるのですか、その判断基準は何ですか、こういうふうにお聞きをしております。
時間が参りましたので、これで終わりますが、今日の議論を通して、結局、明確な基準は何もないと。
もしこれがまかり通ってしまうと、恣意的な、差別的な言論弾圧を許してしまうことになるのではないかと思います。
この続きはまたさせていただけたらと思います。
ありがとうございました。
第208回[衆] 法務委員会 2022/04/26 12号
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日本維新の会の前川清成でございます。
参考人の皆さん、本日は誠にありがとうございます。
また、日程が急で十分な御準備の時間もなかったかと思います。
ありがとうございます。
その上で、まず木村参考人にお尋ねをさせていただきたいと思います。
私も二人の子供を育ててまいりました。
この世の中に我が子ほどいとおしい存在はないのではないかと思っています。
花様を亡くされた悲しみはいかばかりかというふうに存じております。
私からも改めて、心から哀悼の意を表させていただきたいと思います。
二か月ほど前でしょうか、日本維新の会のインターネットによる誹謗中傷PTの席上で、オンラインですけれども、お話を承ることができました。
大変な悲しみを御経験されたにもかかわらず、その席上で、表現の自由と被害者救済の両立ということをおっしゃいました。
その御見識に敬服をいたしました。
花様や木村参考人の悲劇を決して繰り返してはならないし、その一方で、民主主義を支える基盤である表現の自由の保障、これも極めて肝要かと思っております。
その上で、つらいことを思い出していただくことになり申し訳ないんですが、手続の御苦労についてお尋ねをしたいと思います。
木村参考人がお書きになった「NPO法人RememberHANAの発足と取り組みについて」という論文において、事件の後、スクリーンショットを撮り続けて証拠を集めました、その後、弁護士に委任し、投稿者を特定しました、一部の投稿者は特定できたけれども、その他多くの投稿者は特定することができなかったというふうにお書きになっておられます。
この点で、何が障害となって一部の投稿者しか特定できなかったのか、お尋ねをいたしたいと思います。
木村参考人がお書きになった、先ほど御紹介した論文の中に、「裁判には、長い時間と高額な費用(調査費用も含みます)がかかりました。」というふうにお書きになっておられます。
先ほどの御意見の中でも、一千万円近い費用がかかった、被害届を提出するのに四十四万円かかった、こんなふうにおっしゃっていました。
この点で、私たち日本維新の会のインターネットによる誹謗中傷対策PTの中では、今の裁判所の損害賠償基準が低過ぎるのではないか、賠償額が余りにも安いから、結局、費用倒れになってしまう、だから、多くの皆さん方が、民事の救済がいい、こういうふうに考えても、民事の裁判を起こすのをためらってしまっているのではないか、賠償額をもっと上げなければならないのではないか、こんな意見が大勢を占めております。
この点について、木村参考人の御意見を承ることができればと思います。
次に、只木参考人にお尋ねをしたいと思います。
先生は刑法の司法試験委員をなさっているというふうにお聞きしたんですが、刑法二百三十一条侮辱罪における侮辱の定義をお聞かせいただけたらと思います。
私も弁護士なんですが、四十年ほど前に司法試験に挑戦をいたしました。
その当時、刑法各論は、ほとんどの受験生が大塚仁先生の教科書を使っておりまして、その中に、改めて読み返してみますと、侮辱とは、他人の名誉感情を害するに足りる軽蔑の表示を意味する、こういうふうに書かれておりまして、よくよく考えてみると、大変漠然とした、しかも広範な概念のように思います。
表現の自由との関係で、この侮辱という定義、どんなふうに考えればいいのか、お聞かせをいただけたらと思います。
只木参考人と趙参考人と神津参考人にお尋ねをしたいと思います。
先ほど、趙参考人からも例としてありましたけれども、例えば、A総理大臣はばかだ、総理の器ではない、あるいは、B法務大臣は法律を知らない、法務大臣失格だとか、C衆議院議員は役に立たない、税金泥棒だ、この税金泥棒については判例もあったかと思います。
こういうのが、こういうふうな発言、政治家に対する批判が侮辱罪に該当してしまうという可能性は極めて大きいと思います。
とりわけ、ウクライナへの侵攻があって、ロシア国内で言論が弾圧されている。
神津参考人が、即とは言わないけれども、今すぐとは言わないけれども、やはり言論が弾圧される危険というのを考えなければならない、こういうふうにおっしゃいました。
私も、この侮辱という漠然とした、しかも広範な概念、これが重罰化されて、政権批判の弾圧のために用いられるそのリスクは考えなければならないし、他方で、花さんのような誹謗中傷による悲劇を防ぐために侮辱罪の手当ても必要ではないのか、こんなふうに考えております。
つきましては、是非、三人の参考人の先生方から、侮辱罪の構成要件である侮辱という文言に関して、表現の自由、特に、政府や政治家、大企業に対する正当な論評、批判を萎縮させないような工夫はできないのか。
侮辱という文言を、例えば他の言葉に置き換えるということです。
あるいは、侮辱という言葉をそのまま残すとしても、私は、名誉毀損に関する刑法二百三十条の二に関して、真実性の証明などは不要とした上で、侮辱罪についても導入したらどうか、こんなふうに考えております。
この点について、参考人の御意見を承ることができればと思います。
時間が参りました。
参考人の先生方、ありがとうございました。
第208回[衆] 法務委員会 2022/04/20 10号
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日本維新の会の前川清成でございます。
期間限定裁判に関して、何人もの委員の皆さん方から様々な論点について質疑がありましたが、先ほどの米山委員の議論が大変緻密だったと思います。
つきましては、通告の順番を変えて、期間限定裁判についてまずお尋ねしたいと思います。
先ほどの大臣の御答弁ですけれども、期間限定裁判については、判決を簡単にするものではありませんよと。
今の民事訴訟では審理に要する期間がなかなか予見できない、ついては、使い勝手が悪い、裁判の使い勝手をよくするように予見可能性を高めるんだ、そのための期間限定裁判なんだ、こういう御説明だったと思いますけれども、これで間違いないでしょうか。
それでは、今大臣のおっしゃる予見可能性ですけれども、その予見の時期、それはいつになるんでしょうか。
大臣、そこをお聞きしているんじゃなくて、国民が、あるいは企業が裁判を利用しやすいかどうか、そのための予見可能性のはずなんです。
であればですよ、今の局長の答弁は的外れで、裁判を起こす前に、あるいは起こすか起こさないか決定する前に予見できていないと、おっしゃるような使い勝手のいい裁判にはならない。
だから、予見の時期というのは裁判を起こす前、決して手続が始まってからではない、私はそう思うんですが、いかがですか。
ですから、予見の時期は、裁判を起こす前、裁判を起こすか起こさないか決める段階ということでいいですよね。
局長、私の意識じゃなくて、大臣の答弁が、先ほど米山議員との議論を聞いていて、判決を簡単にするための期間限定裁判ではありません、裁判を利用しやすいために、するためには裁判の審理期間を予見可能なものにしなければならない、そのための期間限定裁判だ、こういうふうにおっしゃったので、それに関してちょっとお尋ねしております。
その上で、大臣にお尋ねしますけれども、裁判を起こすか起こさないかを決める。
ああ、期間限定裁判がある、六か月程度で終わりそうだな、じゃ、裁判を利用してみようか。
たとえ個人があるいは企業がそういうふうに判断したとしても、三百八十一条の二の二項のとおり、双方が申出をしないと期間限定裁判は使えません。
それと、先ほどからるる議論があったように、原則として、こちらは弁護士をつけても被告が弁護士をつけなかったら期間限定裁判は使えない。
さらには、三百八十一条の四の一項、期間限定裁判が始まっても途中下車が自由になっています。
さらには、三百八十一条の八の一項、異議があれば期間限定裁判が終わって通常訴訟に戻ります。
こういうふうな、様々に、期間限定裁判が当然に始まるんじゃなくて、様々な要素によって、始まる場合もあれば、あるいは始まっても途中で終わってしまう場合もある、通常訴訟に戻ってしまう場合もある。
結局のところ、この期間限定裁判の予見可能性、これが、遠慮して言えば中途半端なものになっているし、もっとはっきり言えば、予見可能性と大臣はおっしゃるけれども、そんなものは実際のところほとんどないのではないか、こういうふうに考えるんですが、その点、いかがですか。
予見可能性については、今議論させていただいたとおり、必ずしも当事者にとって十分なものではない、このことは大臣もお認めいただけると思います。
それと適用範囲、今日は余り時間がありませんので指摘だけにとどめますけれども、想定しているのは、当事者間に基本的な事実の争いはない、ただ、契約書の解釈あるいは法律の解釈、これだけを裁判所にお願いしたい、こういうケース、あるいは交通事故、こんなことが想定されているんです。
私、弁護士で、今年で三十三年目、参考人になられた松森弁護士、恐らく弁護士を五十年近くされていると思いますけれども、契約書の解釈だけで裁判というケースは一件もありません。
ほとんどそんな、実務においてそういう実例はないと思います。
交通事故については、過失割合についても、先ほど階議員からあったように、損害額についても全て公刊されていますので、これについて、期間限定裁判が活躍する、活用される場面というのもほとんどないんじゃないのかな、こんなふうに思っております。
ちょっとほかの論点についても議論させていただきたいので、次に、百三十二条の十の一項についてお尋ねをいたします。
ここで、書面等の提出については、ファイルに記録する方法によって行う、こういうふうに書かれていますが、これは民事局長で結構ですが、ファイルに記録する方法というのはどういうことでしょうか。
百三十二条の十の五項で、こちらは電磁的記録の送達によってするというふうに書かれています。
ファイルに記録する方法と電磁的記録の送達、これは当然意味が違うと思います。
電磁的記録の送達、これはどういうことを意味するんでしょうか。
そうしたら、ファイルに記録する方法により行うというのは、今、弁護士が、例えば訴状であれば、裁判所に持参しているあるいは郵送している、準備書面についてはファクスで送っている。
これをメールで、添付ファイルで送るではなくて、あらかじめ、裁判所の何かコンピューターのシステムがあって、そこに書き込んでいく、こういうことでいいですよね。
その上でお聞きするんですけれども、じゃ、そのためのシステム、これは、どれぐらいの期間で、どれぐらいのお金をかけてつくるんですか。
今の門田民事局長の御答弁は、システムをつくるのにどれだけお金がかかるかまだ分かりません、こういうことだと思うんですけれども、でも、それだったら、これは例えば与党の先生方であっても、賛成するか反対するか決めかねるんじゃないですか。
だって、漠然と何億円か何十億円かで済むというふうに思っているけれども、例えば、極端な話、何兆円もかかるんだったら、ここにいる議員みんな反対すると思いますよ。
大体どれぐらいの金額でできるのか、今やじもありましたけれども、相場みたいなものはあるでしょう。
そうしたら、これは、幾ら金がかかるか分からないのに賛成するか反対するか決めるわけですか。
次に、百三十二条の十の三項についてお尋ねをしたいと思います。
これは、まず、例えば訴状については、ファイルに記録されたときに受け付けられたものとみなされる。
だから、例えば時効が問題になっている事件だったら、記録されたときに時効の完成が、完成猶予される、こういうことだと思うんですが。
百三十二条の十一の第三項、裁判所の電子計算機の故障がある場合については適用しません、こういうふうになっているんですね。
要は、裁判所のコンピューターが壊れたら、あるいはシステムが障害を起こしたときのために百三十二条の十一の三項という規定が設けられています。
裁判所のシステムでさえ、裁判所のパソコンでさえ壊れることを想定しているんですが、当事者のパソコン、例えば弁護士が使うパソコン、これは壊れることは当然あると思うんです。
この場合に一体どうするのか、お尋ねをしたいと思います。
裁判所のパソコンが潰れてしまう場合を想定して条文が置かれています。
そうしたら、そこよりもお金もないし予算もないし人もない法律事務所のパソコンが潰れる場合というのも当然考えておかなければならないと思います。
裁判所のコンピューターが壊れたら紙で出すことを認めている。
そうであれば、今民事局長が言うように個別具体的な判断ではなくて、ここの、百三十二条の十の一項に言う書面等には、例えば控訴状も含まれるわけです。
控訴期間が過ぎてしまって出せなくて、後になって個別具体的な事情で裁判所が判断すると言われても、それは当事者は不安でたまらないので、当事者のパソコンが潰れた場合でも、一旦は紙で提出することを認めて、その上で後で追完をさせる、どうしても電子データの方がいいというのであれば後で追完させる、こういう運用があってもいいと思うんです。
ですから、この場で法律を修正しろとは言いませんが、これから最高裁で規則を決めていくときに、民訴規則を決めていくときに、そういうふうな運用を盛り込むことはできないでしょうか。
次に、百三十二条の十二の一項についてお尋ねをしたいと思います。
この条文によると、本人であれば準備書面や書証を紙で出してもいい、ただ、紙で出した場合には裁判所の書記官がこれをファイルに記録する、電子データ化する、こういうことになっていると思います。
ところが、参考人質疑においても、小澤司法書士会会長から、ファイルに記録する方法によって行うことについて、本人サポートが必要だ、こういうふうな発言がありました。
でも、裁判所の書記官がやってくれるのであれば、何もわざわざ司法書士会の司法書士さんたちがボランティアで取り組む必要もないんだろうと思うんです。
金子民事局長が十五日の答弁でも、可能な限り当事者も、当事者というのは本人訴訟の場合の本人も、インターネットを用いた方法によって行われることが望ましい、こういうふうに答弁されておられるので、もしかすると裁判所はこれから、この百三十二条の十二の一項の条文があるにもかかわらず、本人が紙で持っていったらこれを嫌がるのではないのか、電子データで申立てするように、強引にと言えば言い過ぎでしょうかね、強く誘導してしまうのではないのかと。
それもこれも、裁判所の書記官が不足しているからではないのかなと。
今年の法案でも、裁判官も裁判所の書記官も定数を減らすという法案が出ましたけれども、むしろ、こういうことがあるのであれば、裁判所の人的な基盤というのを拡充していく必要があるのではないのかな、こう考えるんですが、いかがですか。
門田局長、是非、今の御答弁を新法成立後も守っていただきたいと思います。
やはりパソコンとかITについて不慣れな方というのは国民の中にたくさんいらっしゃいますので、何が何でもパソコンを使えとなると、それこそ国民の裁判を受ける権利というのが侵害されると思います。
私がなぜ、ちょっと耳の痛い話をさせてもらうかもしれませんが、なぜ裁判所がいろいろ当事者に押しつけるかもしれないという危惧を持っているのかについて、資料を配らせていただきました。
一枚目は、これは私や金子さんの頃の司法研修所の民事訴訟記録の一審手続の解説の別冊の、そこの書証目録の部分です。
本来、裁判所は、当事者が出した書証について、裁判所の書記官が、例えば標目、契約書だったり催告状だったり書いて、あるいは、いつ出たか、認否も書いて提出することになっていますが、一枚めくっていただいて、今の実務では、裁判所はこういう本来の書証目録を作っていません。
当事者が書証を出しても、裁判官は証拠説明書はまだですかと言います。
証拠説明書がまだだったら、じゃ、今日は出していないことにしましょうと言って、裁判所に届いているんだけれども受け付けてくれない。
証拠説明書を出した段階で初めて書証は提出したことに扱っています。
何でそんな扱いにしているのかというと、この二枚目の書証目録を見ていただいたらいいんですが、証拠説明書記載のとおりという判こを押すと、一枚目にあるような証拠の標目だとか作成日だとか、そんなのを書かずに済む。
書記官にとっては省略化ができる。
つまりは、本来書記官が作るべき書証目録を弁護士に作らせているという現実があるのではないのか。
だから、これからITが、どんどんなってくると、やはり同じような知恵が裁判所の中に湧いてきて、同じようなことが行われるのではないのか、こういう心配をしています。
この証拠説明書について、いかがでしょうか。
これで終わります。
今の答弁は、お立場上、そうお答えになるしかないと思いますが、くれぐれも当事者に、インターネットについて、電子申立てについて、必要以上の指導、勧告をしないように、この点はお願いしたいと思います。
終わります。
第208回[衆] 法務委員会 2022/03/25 7号
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日本維新の会の前川清成でございます。
参考人の先生方、今日は大変貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございます。
まず、期間限定裁判に関して松森参考人にお尋ねをさせていただきたいと思うんですが、期間限定裁判が想定している守備範囲、これについて、事実関係には争いはなくて、契約書の解釈だけが争点になっているようなケース、こういうふうなお話がありました。
これは法制審の議論の中でもそういうことが出ていたと思うんですが、松森参考人は弁護士をもう四十年以上しておられると思うんですが、こんな、事実関係に争いがなくて契約書の解釈だけが争われているというふうな事件を経験なさったことがあるのか、ないのか。
私は、弁護士三十年を超えました。
寄り道もしておりますけれども、全くそんな経験はありません。
この期間限定裁判の守備範囲について御意見を承れればと思います。
今、松森委員から、最後の方で少し触れていただきましたけれども、現在の実務でも、争点の少ない事件というのは、私は、比較的短期間に終結しているのではないかと思います。
長期化する事件、これは、今、松森参考人が少し言及されましたけれども、どういったところに原因があるのか、そして、より審理の期間を短縮するためには、国として、司法として何をなすべきなのか、御意見を承れればと思います。
次は、システムに関して別所参考人に教えていただきたいと思うんですが、今回のオンラインでの提出ですけれども、今ファクスで出しているような準備書面などをメールで添付ファイルで送る程度なのかなと思っておりましたら、裁判所の方でシステムをつくって、そこに登録するというふうな形になるそうです。
そうなりましたら、それこそ、記憶量というんですか、容量というんですか、それの大変大きなシステムをつくらなければならないことになると思います。
もちろん、技術が進歩していてそのことぐらいはたやすいのかもしれませんが、それでも、あのみずほ銀行でさえシステムが動かなくなって大変な混乱が生じた。
あるいは、ウイルスに感染して、個人情報が様々書かれた裁判の記録が漏えいしてしまう。
このIT化というのは、時代の趨勢だとは思いますが、やはり配慮しておくべきリスクも私はあるのではないかと思います。
この点について、是非、別所参考人の御意見を承ることができればと思います。
小澤参考人にお伺いしたいんですが、オンライン提出、司法書士の先生方のが始まって十五年ぐらいたつというふうにおっしゃいましたかね。
その結果、司法書士の先生方は、法務局に行かなくて済む、その分、楽になったのかもしれませんけれども。
ちょっと利用者という視点で考えてみて、先生方の業務に対してはマイナスかもしれませんけれども、オンライン申請が認められることによって登記申請が簡単になった、その結果、司法書士に委任しなくても、本人で申し立てることができるようになった。
この意味で、オンライン申請が利用者にとって利便性が高くなったんだ、こんなことはあるのでしょうか。
あるいは、逆に、別に本人申請は全然増えていませんということになるのか、いかがでしょうか。
もし今分かれば、教えていただきたいと思います。
先ほど山本参考人からも、本人サポートが大切だ、それに当たっては、弁護士や司法書士、あるいは弁護士会や司法書士会の役割が大切だというお話がございました。
ただ、誠に恐縮なんですけれども、弁護士も司法書士も公務員ではありません。
その都度、依頼者の方から費用を頂戴して生計を営んでおります。
弁護士会も司法書士会も税金で運営されているわけではありません。
そこで、小澤参考人と松森参考人にお伺いしたいのですが、事件の依頼を受けたのではなく、単に書類提出で本人サポートをする、こんな場合にもやはり費用というのは、もちろん先生方のボランティア的な精神でいろいろやっていただけるとは思うんですが、しかし全くのボランティアでは経営が成り立たないと思います。
この費用についてどう、逆に言えば、手数料についてどうお考えなのか。
そして、それは弁護士、司法書士の努力だけでは限界があるので、国に対して、司法に対して、こういう要望があるとかないとか、その辺もお伺いすることができればと思います。
時間が参りましたので、これで終了させていただきます。
山本参考人には、御質問させていただくことができずに申し訳ありませんでした。
参考人の先生方、いろいろ教えていただきまして、ありがとうございました。
第208回[衆] 法務委員会 2022/03/09 5号
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おはようございます。
日本維新の会の前川清成でございます。
まず、私からも、冒頭、ロシアによるウクライナ侵攻については強く抗議しなければならないと考えております。
法務省におかれては、難民の受入れなどについて御尽力をいただいているというふうに聞いております。
また、大臣におかれても、岸田内閣の一員として御尽力をいただいているかと思います。
今日も無辜の市民が殺されています。
本当にたまらないような気持ちになります。
トルコが仲介を申出したりしておりますけれども、日本政府としてもっとできることはないのかなと。
例えば、安倍前総理は二十七回、プーチン大統領とも面談しておられます、そんなチャンネルを利用できないのか、あるいは、更に経済制裁等を強化できないのか、いろいろな方策があろうかと思います。
この問題については、この委員会でも様々に質疑があったと思いますので、もしも、大臣におかれて、何か追加して御発言いただくことがあれば御発言いただきたいですし、特になければ結構でございます。
大臣は、鳩山邦夫法務大臣の下で政務官をなさっております。
私も、二〇〇七年当時、参議院の法務委員会におりまして、鳩山大臣とは様々な議論をさせていただきました。
鳩山大臣は、私がそれまで議論させていただいたほかの法務大臣の方と違って、紙頼みではなくて、官僚の答弁書を朗読するという答弁ではなくて、その都度、御自身のお言葉で議論していただいたと思います。
私たちも、その誠意に応えて、重箱の隅をつついたり、揚げ足を拾ったり、そんなことはしなかったつもりでございます。
是非、大臣にも、大物の対応を期待申し上げているところでございます。
それで、今、階議員から予備試験の問題がございました。
私も、ちょっと質疑の順序を変えて、この予備試験の問題を大臣にお尋ねしたいと思います。
階議員からもお話がありましたけれども、予備試験の合格者の司法試験合格率は九三・五%で、法科大学院卒業生の司法試験合格率は三四・六%です。
予備試験に通った方であれば、ほぼ司法試験に通る。
これはちょっと異常かなと。
なぜ予備試験の合格者の方はこれほど本番、司法試験に通るかというと、予備試験の合格率が僅か四・二%しかないんです。
予備試験というのは、法科大学院ができたときに、原則三年間、法科大学院に学ばなければならない、国立大学でも一年間に八十万円、私立大学だったら一年間に百三十万円お金がかかってしまう、そういう経済的に厳しい立場にある方についても法曹への道を閉ざさない、こういう趣旨で予備試験という制度が設けられたと思います。
それにもかかわらず、その経済的に厳しい立場の方が一生懸命勉強をして予備試験を受ける、しかし、その合格率が四・二%。
これは余りにもその経済的に厳しい若者たちに対して酷なのではないかと私は思います。
この点、先ほど、アプローチとして、大臣は、法科大学院の卒業生の合格者を増やすというふうにおっしゃいましたけれども、私は、そうじゃなくて、予備試験の合格者を増やせばそれで済むことじゃないのかな、こう考えるんですが、いかがでしょうか。
大臣は、予備試験の合格率が四・二%、予備試験の合格者の司法試験合格率がほぼ一〇〇%、これは異常だとは思われませんか。
プロセスが大事だ、それは分かるんです。
だから、法科大学院をつくったということですけれども。
では、経済的に厳しくて法科大学院に学ぶことができない学生はどうするんですか、それはもうほったらかしでいいんですか、いや、違うよね、予備試験をつくったわけだ。
それなのに、その予備試験の合格率が余りにも狭き門だ。
これが異常だというふうに私は申し上げています。
それと、今、大臣の御答弁の中にありましたが、予備試験考査委員という人たちがいるわけですか。
ちょっと私、知らなかったんですが、これはどんな人たちなんですか。
今のお話だったら、研究者もいる、結局は大学の先生ということですよね。
結局、この予備試験の合格率が低いのは、法科大学院に対する忖度ではないのか。
要は、法科大学院に行ってもなかなか司法試験に合格できない、法科大学院の受験生、法科大学院の学生がどんどん減ってしまう、すると、大学の経営が、法科大学院の経営がうまくいかない、だったら、予備試験というチャンネルを閉めてしまったら、みんな嫌々でも法科大学院に行くのではないか。
もしこれ、フラットに競争したら、大臣、予備試験の合格者はほぼ一〇〇%通るわけです。
お金も要らないわけです。
私がもし四十年前に戻って司法試験を受けるとしたら、それは法科大学院ではなくて予備試験を選ぶと思います。
でも、大学経営者としてはそれをされると困るから、予備試験のチャンネルを狭めている。
こういう実態であるとすれば、もちろん試験に関しては公正でなければなりませんが、考査委員に任せているので法務省は、政治は一切コミットしないというのは私は筋が通らないのではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。
今、大臣がおっしゃったとおり、予備試験の目的は、法科大学院修了生と同程度の学力を持っているかどうかなんですよね。
そうであれば、法科大学院の卒業生は、およそ三割、司法試験に合格する、だったら、予備試験の合格者も、司法試験の合格率が三割程度になるようにその間口を広げるべき、合格者を増やすべきではないかというふうに私は申し上げているんです。
ちょっと途中ですけれども、時間が参りましたので、これで終了させていただきます。
続きはまた午後にお願いしたいと思います。
ありがとうございました。
午前中の質疑の続きで、一つだけやり取りをさせていただきたいと思います。
午前中、私からも、あるいは階委員からも紹介がありましたけれども、予備試験の合格率が二〇二〇年で四・二%。
予備試験の合格者の司法試験合格率は九三・五%、法科大学院修了生の司法試験合格率は三四・六%、大きな違いがございます。
ですから、私は、司法試験法にあるように、予備試験というのは法科大学院修了者と同等の学力を持っているかどうかの試験であるというのであれば、予備試験の合格者数を増やさなければならない、予備試験の合格率を上げなければならない、こういうふうに申し上げました。
論理的には私の言うとおりだろうと思いますが、ところが、大臣の方から、いや、そうではなくて、法科大学院修了者の合格率を上げるんだ、こういうふうにおっしゃいました。
これは具体的にどのようなことをおっしゃっているのか。
法科大学院修了者の合格率を上げるとなると、方法は二つしかありません。
法科大学院の入学者数を減らすか、司法試験の合格者を増やすか、どちらかしかないと思いますが、大臣はどのようなお考えで午前中発言なさったのか、御確認をさせていただきたいと思います。
大臣、恐縮ですけれども、今長々お答えいただきましたけれども、私の質問には一向に答えていただいていないんじゃないですか。
大臣は午前中、法科大学院修了者の合格率を上げるんだ、それによって、予備試験の合格者、予備試験に合格して司法試験に合格した人たちと同じ水準に持っていくんだ、こうおっしゃったんですよ。
今のお話だったら、どういう方法で法科大学院修了者の合格率を上げるのかがお答えになっていないと思うんです。
合格率ですから、受験者を減らすか、合格者を増やすか、どちらかしか方法はないはずです。
今の御答弁が論理的に成り立っていないことは、賢明な大臣におかれては御自覚いただいていると思いますので、この予備試験の問題、またどこかの機会で議論させていただきたいと思いますので、是非大臣におかれても検討をお願いしたいと思います。
ただ、旧司法試験当時、司法試験の本質というのは公平、平等、開放、こう言われておりました。
誰だって受けられるし、平等だし、扱いは公平だと。
しかし今、予備試験と法科大学院修了生とは全く公平ではない。
これは司法試験の本質から大きく乖離しているということを指摘をさせていただきたいと思います。
ちょっと、今日は予備試験の問題だけをできませんので、次の問題に移りたいと思います。
最高裁の皆さんにおかれましては、午前中の質疑でお尋ねする予定が午後にずれ込んでしまいました、御迷惑をおかけいたしました。
その上で、裁判官の数について、今十分なのかどうなのかということを少しだけ議論させていただきたいと思います。
今回、判事補の定数を四十人減らします。
その結果、来年の判事補の採用数、これも減るのではないかというふうに私は心配しています。
かつて、司法試験の合格者が五百人だった当時、例えば一九九〇年、四十二期ですけれども、判事補の採用数は八十一名でした。
四十三期は九十六名でした。
五百人の時代におよそ百人判事補が採用されておりましたが、現在、千五百人、それにもかかわらず、二〇二〇年の判事補の数は六十一名です。
合格者が三倍になったにもかかわらず、大ざっぱに言って判事補の数は半分に減っているんです。
本当にこれで大丈夫ですか。
裁判所の人的基盤が先細りしていくのではないかということを心配しています。
その上で、今年の判事補の採用数としてはどれぐらいを見込んでいるのか、目標にしているのか、この点、お尋ねしたいと思います。
先ほど、附帯決議の中で、審理期間が長期化している近年の状況云々という文章もありました。
率直に申し上げて、審理期間が長期化するのは、裁判所あるいは裁判官の問題だけではないと私は思っています。
当事者である弁護士が、代理人が、準備に時間がかかる。
例えば、一か月単位で弁論準備を入れるんだけれども、弁護士の都合で、準備の都合で二月になってしまう、こういうことになれば審理期間は延びてしまうわけです。
ですから、裁判官の数だけが審理期間の長期化、短期化の原因ではないとは思いますが、ただ、少し分かりやすい例として挙げさせていただきたいのは、民事訴訟法の二百五十一条です。
判決の言渡しは口頭弁論終結の日から二か月以内にしなければならない、こういうふうに定めております。
旧民訴法時代は一か月だったと思いますが、裁判官が全部この条文を守らないので、新法制定の際、これは司法制度改革以前ですけれども、二か月というふうに延長されました。
私は、実感として申し上げて、この間、細々と弁護士をしながら糊口をしのいでまいりましたけれども、三月二十四日に、私、手持ち事件で二件、判決が予定されております。
個別具体的なことは申し上げませんが、三月二十四日に判決言渡し予定なんですけれども、うち一件は、去年の十二月二日に弁論が終結しております。
およそ四か月。
もう一件は、一月六日に弁論が終結しております。
ですから、裁判官も実は足らなくて、忙しくて、民事訴訟法を守りたくても守れない、そんな状況があるのではないか。
それにもかかわらず、判事補の定数を減らす。
将来的には裁判官、判事の数も減る。
これで本当に大丈夫なんですかということを最高裁にお尋ねしたいと思います。
今、民事訴訟法のただし書の議論をしたいと思って紹介したんじゃなくて、私が担当する事件だけ複雑困難なやつばかり集まるはずがないじゃないですか。
でも、一般的にそういうのが目につくということは、やはり裁判官がなかなか忙しくて、事件が十分回っていないんじゃないのか。
もちろん、裁判官の方も良心があって、やっつけ仕事でするわけにはいかないので、じっくり考えているので判決言渡し期日が先になる、こういうことであるならば、もっと最高裁の方も、司法試験の合格者は増えているわけだから、判事補の採用数も増やして、裁判官の数も増やす、そういう姿勢でもいいのではないのか、こういうふうに思っております。
またこの点は御検討いただけたらと思います。
それで、大臣、お戻りになりましたので、ちょっと話を変えまして、赤木俊夫さんの裁判、亡くなられた赤木俊夫さんの裁判を国が認諾した件について取り上げさせていただきたいと思います。
森友学園事件に関してお亡くなりになった赤木俊夫さんの御遺族が、令和二年の三月十八日に国に対して国賠訴訟を提起されました。
私も、大臣と同様に、赤木さんの御無念、これは察するに余りあると思っています。
突然、最愛の夫を失った奥様の悲しみもいかばかりのものかと思っています。
この請求について、この国賠訴訟について、国は、争っておりましたけれども、令和三年十二月十五日、突然、原告の請求を認諾するに至りました。
今日は、赤木ファイルがどうとか、安倍元総理御夫妻の関与がどうこうとか、そんなことは一切触れません。
法務委員会らしく、また、恐縮ですけれども、赤木様の御無念や奥様の悲しみは一旦横に置いておいて、法律上の問題に限って議論をさせていただきたいと思います。
その前提としてですが、私たち維新の政策調査会が、この事件の概要を知りたいと思いまして、法務省に、訴状なり、あるいは答弁書、これのコピーが欲しい、こういうふうに申入れをさせていただきました。
その結果、法務省から訴状、答弁書のコピーが来ましたけれども、大臣、御覧いただけますか。
まさに黒塗り、ノリ弁当。
ここなんか、もうほとんどページが真っ黒々なんです。
どうしてここまで黒塗りにする必要があるのか。
個人の識別情報だけをマスキングしたという状況では決してないと思います。
どのような基準で、どのような理由でマスキングをされたのか、お伺いしたいと思います。
その情報公開法の不開示情報というのは、具体的には何を指すんですか。
これだけ真っ黒だったら、恐らく、当事者の言い分は全部知らせたくないんだ、こんな趣旨かなと思うんですけれども、どういう基準なんですか。
済みません、不勉強で、情報公開法第何条の各号と言われても、私は暗記しておりません。
御教示いただければと思います。
そして、このケースにおいてはどの条項でマスキングをされたのか、教えていただきたいと思います。
ちょっと時間もありますので次に行きますが、私は弁護士を通して御遺族の意向も確認しましたけれども、別にマスキングを希望しておられるわけでは決してありません。
むしろ、御遺族の意向としては、自分たちの主張というのをこの国会の審議にも公にしてほしい、こういうふうに思っておられると思います。
昨年の維新の政策調査会の際には、法務省の担当者が、マスキングの範囲について見直す、こういうふうにお約束されていましたけれども、今日までナシのつぶてでございました。
是非このマスキングについても、適正な範囲、もちろん、個人情報が公にさらされて御遺族が不当な圧力を受けるなどあってはあきませんけれども、しかし、一億七百万円国の税金を使うわけですから、その税金の使い道が適正かどうか、そのためには、当事者がどのようなことを主張していたのかは明らかにしていただく必要があると思います。
その上で、鈴木財務大臣、令和三年十二月十五日の会見で、国の責任は明らかになった、御遺族には心よりおわびを申し上げる、こういうふうに発言をしておられます。
本当にそうだったら、どうして和解をしなかったのか、認諾をしてしまったのか。
大臣も、遺族が求めておられたことというのは決してお金ではないということは御理解いただいているかと思います。
訴状でも、冒頭に、本件訴訟の目的についてというところがありまして、本件訴訟の目的は、第一に、なぜ黒塗りが黒塗りに追い込まれなければならなかったのか、その原因と経緯を明らかにする点はある、原告は、愛する黒塗りがなぜ黒塗りに追い込まれたのか、その真相を知る権利を有するし、かつ義務があると考えている、黒塗りが黒塗りに追い込まれた原因と経緯がうやむやにされ、黒塗りがなかったことにされることは、原告にとって到底受け入れられるものではない。
訴状の冒頭にもこう書かれているんです。
そうであれば、本当に国が責任を認めて、御遺族に申し訳ない、反省しておられるのであれば、一方的に裁判を打ち切ってしまう認諾ではなく、和解協議をするべきだったと私は考えますが、いかがでしょうか。
今の大臣の、国の裁判に関わることだから答弁しないというのは、令和三年十二月十六日の参議院予算委員会における質疑、あるいは令和三年十二月十七日における予算委員会の質疑、これと矛盾しております。
参議院の予算委員会では、なぜ認諾したのか、なぜ和解しなかったのかについて詳細に答弁しておられます。
なぜ法務委員会では答えられないんですか。
法廷におけるやり取りを明らかにすると、国の将来における訴訟活動にどのような差し支えが出てくるんですか。
憲法で、公開の裁判を受ける権利というのが保障されていまして、裁判というのは全部公開されているんです。
公開されていない場所での裁判上のやり取りというのは世の中にあるんですか。
ちょっとおっしゃっている意味が分からないんですけれども。
国が支払った一億七百万円の内訳についてちょっと大臣に確認したいと思っております。
この点もマスキングされておりまして、原告の請求が幾らだったのか分かりません。
分かりませんが、損害賠償の基準、これは大阪地裁であったんですけれども、大阪地裁、東京地裁、大きな裁判所でしたら損害賠償基準というのを公開しています。
大阪の場合には、このように弁護士会が取りまとめて本が公刊されております。
この基準で赤木さんの損害額を計算させていただくと、まず、葬儀費が百五十万円、死亡慰謝料が二千八百万円。
逸失利益の計算、これはちょっとややこしいんですけれども、亡くなったときの所得に就労可能年数を掛けて、ライプニッツ係数というので中間利息を控除する、そして生活費控除を差し引く、生活費控除というのは三五%であったり、これも全て裁判所の方で算定基準を公開しております。
そういたしますと、赤木さんの亡くなられたときの収入が分かりませんので、平均賃金、平成三十年の賃金センサス、男性、産業計、企業規模計、学歴計の五十歳から五十四歳までの平均賃金が七百八万二千三百円、それに就労可能年数、六十七歳までの十三年間、これのライプニッツ係数が九・三九三、生活費控除を三五%で引きますと、逸失利益、死亡慰謝料、葬儀費、合計が七千二百七十四万円になります。
これに弁護士費用を上乗せしますと八千四万円。
これでも、国が認諾した一億七百万円との間に三千万円の差額があります。
一億七百万円という数字が裁判の相場からしたら大き過ぎる。
それにもかかわらず、突然、認諾した。
何か別の思惑があるのではないか、こういうふうに思わざるを得ません。
それと、赤木さんには誠に恐縮なんですけれども、御遺族の御意向というのは、訴状で御紹介したとおり、金銭だけではない、こういうふうに私も確認しております。
そこで、指摘させていただきますが、当然、法務省の訟務検事は認識しておったと思いますけれども、被害者が自死に至った場合、その加害行為と死亡との間に因果関係を認めるかどうか、これは最高裁の判例が分かれております。
最高裁の昭和五十年十月三日の判決は、因果関係そのものを否定しております。
したがって、この昭和五十年十月三日の最高裁判決に従ったならば、賠償額というのはゼロ円ということになってしまいます。
最高裁の平成五年九月九日の判決、これは因果関係を肯定しております。
認めておりますけれども、いわゆる過失相殺、この条文を類推適用して、損害額の八割を減額しています。
二割だけを賠償額として認めています。
そうなりますと、平成五年九月九日の最高裁判例に従ったとしても、先ほど計算した八千四万円から八割が減額されて、一千六百万円程度の賠償額、これが実務の現実なんです。
もちろん、これを佐川元長官がポケットマネーでお支払いになるというんだったら、わざわざ国会の委員会で取り上げる必要はないかと思いますが、税金の中から支払われています。
先ほど、鎌田委員、優生手術について、国があえて上告受理申立てをしたという紹介がありました。
国というのは、徹底的に責任を争う、賠償額を支払おうとしない。
それにもかかわらず、なぜこの赤木さんの事件、最高裁の平成五年の判決に従ったとしても、認容額は一千六百万円です。
それなのに一億七百万円支払っている。
明らかにおかしいのではないかと私なんかは思うんですが、大臣、いかがですか。
賢明な大臣は御理解いただいていると思いますが、責任の有無と責任の範囲とは別なんです。
一〇〇%過失があったとしても、じゃ、原告の請求を一〇〇%のむのか。
そうじゃないはずなんです。
適正な損害額というのは責任の有無とは別の議論、別の次元の議論です。
今の大臣の御発言というのは、ちょっと論理的にもつじつまが合っていないと思いますが、いかがですか。
今のもちょっとお考えいただけたらと思います。
それで、ちょっと時間が残り少なくなってまいりましたけれども、大臣が所信の中で、一人親家庭の養育費について御発言されております。
その中で、工夫をするというふうに述べておられます。
その工夫について教えていただけたらと思います。
今、法務省の離婚届の中には養育費の取決めについてチェック欄が設けられてありまして、これをもっと周知できたならば、今、離婚に際して養育費の取決めのない場合が約半分あるわけですけれども、この割合がもっと上がるのではないか、そうなれば、一人親家庭の二人に一人が相対的貧困にあると言われている現状についても改善できるのではないか、こんなふうに考えております。
この点、大臣からでも結構ですし、あるいは法務省から民事局長も来ていただいていますので、どちらかから、法改正を待たずに、少しでも一人親家庭の貧困が救済されるように法務省としてできることはないのか、お答えいただけたらと思います。
これで質問を終わらせていただきます。
終わります。